説明

化粧品又は製薬組成物におけるPPAR型受容体活性化剤としての芳香族多環式化合物の使用

【課題】本発明の目的は、皮膚及び毛髪の色素異常症の治療のための化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、皮膚及び毛髪の色素異常症の治療のためのPPAR−型受容体活性化剤に関する。本発明は、また、皮膚及び毛髪の色素異常症の治療用組成物の製造のためのPPAR−型受容体活性化剤としての化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚障害、例えば酒さ、内因性(又は年齢による)老化(加齢)、色素沈着障害、脂漏性機能障害、バリア機能障害及びより詳しくは表皮脂質分泌障害、傷治癒障害、コルチコステロイド誘導性皮膚萎縮、又は潰瘍;免疫系障害;循環器系疾患、及び/又は脂質代謝障害の治療用組成物の製造のための化合物の使用に関する。
【0002】
本発明はまた、バリア機能を回復させるための、より詳しくは皮膚脂質の代謝を調節及び/又は回復させるための美容処理方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む組成物を、より詳しくはPPAR型受容体活性化剤として皮膚に塗布することを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
非常に驚くべきことに、かつ意外にも、本出願人は、特許(出願)EP220118号、第US5,023,363号、及び第FR2,600,064号に、増殖防止作用を有する化合物として記載されているいくつかの化合物が、PPAR型受容体のトランス活性化に対して顕著な活性を有することを発見した。 この発見は、本発明の基礎を成す。
【特許文献1】EP220118号
【特許文献2】US5,023,363号
【特許文献3】FR2,600,064号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明は、皮膚障害、例えば酒さ、内因性(又は年齢による)老化、色素沈着障害、脂漏性機能障害、バリア機能障害、及びより詳しくは表皮脂質分泌障害、傷治癒障害、コルチコステロイド誘導性皮膚萎縮、又は潰瘍;免疫系障害;循環器系疾患、及び/又は脂質代謝障害の治療用組成物の製造のための、少なくとも1つの化合物の有効量の使用、より詳しくはPPAR型受容体活性化剤としての使用に関する。
【0005】
本発明はまた、バリア機能を回復するための、より詳しくは皮膚脂質の代謝を調節及び/又は回復させるための美容処理方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む組成物を、より詳しくはPPAR型受容体活性化剤として皮膚に塗布することを特徴とする方法に関する。
【0006】
これらの化合物は、一般式(I)を有する:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、
Rは、水素原子又は−OR3基を表わし、
3は下記の意味を有しており、
Xは、C=O基又はC=N−OH基を表わし、
1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、1〜12個の炭素原子を有する線状又は枝分かれアルキル基、−OR4基、−S(O)n4基、−OCOR4基、又は−NHCOR4基を表わし、
n及びR4は、下記の意味を有しており、 R1及びR2は共に、隣接芳香族環と共に、場合によってはメチル基で置換された、及び/又は場合によっては酸素又は硫黄原子、スルホン基、又はスルホキシド基によって中断された5−又は6−員飽和又は不飽和環を形成してもよく、この環は好ましくは飽和であり、
XがC=O基を表わす時、その場合にはR1及びR2は、隣接する芳香族環と共に、メチル基で置換された5員環を形成しないと理解され、
3は、水素原子、1〜20個の炭素原子を有する線状又は枝分かれアルキル基、又はモノ−又はポリヒドロキシアルキル基を表わし、
nは、0、1、又は2を表わし、
4は、水素原子、低級アルキル基、又はフェニル基を表わす)
並びにこれらの塩、及びこれらのキラル類似体である。式(I)の化合物は、アルカリ又はアルカリ土類金属、あるいはまた亜鉛又は有機アミンの塩の形態で供給されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明によれば、低級アルキル基という表現は、1〜6個の炭素原子を有する基、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、及びヘキシル基を意味すると理解される。
【0010】
1〜12個の炭素原子を有する線状又は枝分かれアルキル基のうち、特にメチル、エチル、プロピル、2−エチルヘキシル、オクチル、及びドデシル基を挙げることができる。
【0011】
1〜20個の炭素原子を有する線状又は枝分かれアルキル基のうち、特にメチル、エチル、プロピル、2−エチルヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル基を挙げることができる。
【0012】
モノヒドロキシアルキル基という表現は、1〜6個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有する基、特に2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、又は3−ヒドロキシプロピル基を意味すると理解される。
【0013】
ポリヒドロキシアルキル基という表現は、3〜6個の炭素原子、及び2〜5個のヒドロキシル基を含む基、例えば2,3−ジヒドロキシプロピル、2,3,4−トリヒドロキシブチル、又は2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル基、又はペンタエリトリトール残基を意味すると理解される。
【0014】
前記式(I)の化合物のうち、特に次のものを挙げることができる:
化合物1:6−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルナフタレン−2−カルボニル)ナフタレン−2−カルボン酸
化合物2:6−(2,2−ジメチルクロマン−6−カルボニル)−ナフタレン−2−カルボン酸
化合物3:6−(4−tert−ブチルベンゾイル)ナフタレン−2−カルボン酸
化合物4:6−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボニル)ナフタレン−2−カルボン酸
化合物5:6−(4,4−ジメチルクロマン−6−カルボニル)−ナフタレン−2−カルボン酸
化合物6:6−[ヒドロキシイミノ(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチル]ナフタレン−2−カルボン酸。
【0015】
本発明によれば、より具体的に用いられる式(I)の化合物は、化合物3:6−(4−tert−ブチルベンゾイル)ナフタレン−2−カルボン酸である。
【0016】
式(I)の化合物は特に、特許(出願)第EP220118号、第US5,023,363号、及び第FR2,600,064号に記載されている調製方法によって得ることができる。
【0017】
本発明の化合物は、PPAR型受容体活性化特性を示す。PPAR型受容体は、核ステロイド受容体ファミリーに属する受容体である。
【0018】
PPAR型受容体活性化剤という表現は、本発明によれば、トランス活性化テストにおいて、Kliewerら、Nature 358,771−774,1992に記載されているように、10μm又はそれ未満のAC50を示すあらゆる化合物を意味すると理解される。好ましくはPPAR型受容体活性化剤は、2μm又はそれ未満、有利には1μm又はそれ未満のAC50を示す。
【0019】
AC50は、対照分子の活性の50%を示すのに必要な「活性化剤」化合物の濃度である。この活性は、PPAR受容体の1つを介した、この化合物による活性化のためのリポーター酵素(ルシフェラーゼ)の補助によって測定される。
【0020】
PPAR型受容体の活性は、数多くの研究のテーマであった。手引書として、次の題名の出版物が挙げられる。すなわち「(Differential Expression of Peroxisome Proliferator−Activated Receptor Subtypes During the Differentiation of Human Keratinocytes)」、Michel Rivierら、J.Invest.Dermatol 111、1998、P1116−1121である。ここにおいて、PPAR型受容体に関する非常に多数の関係書目が列挙されている。
【0021】
バリア機能、及びより詳しくは表皮脂質分泌障害を回復するため、分化を促進するため、及び表皮増殖を阻害するための、PPAR−α−型受容体活性化剤の使用は、国際特許出願第WO98/32444号に記載されている。
【0022】
さらには、皮膚細胞の分化における異常と関連した皮膚異常を治療するための、PPAR−α−及び/又はPPAR−γ−型受容体活性化剤の使用は、Michel Rivierら、J.Invest.Dermatol 111、1998、P1116−1121による出版物に記載されている。
【0023】
同様に、特許出願第WO96/33724号に、PPARγに対して選択的な化合物、例えばプロスタグランジン−J2又は−D2は、肥満及び糖尿病の治療用の潜在的活性化剤であることも記載されている。
【0024】
従って式(I)の少なくとも1つの化合物を含む製薬組成物は、酒さ、色素沈着障害、脂漏性機能障害、バリア機能障害、及びより詳しくは表皮脂質分泌障害、傷治癒障害、コルチコステロイド誘導性皮膚萎縮、又は潰瘍;免疫系障害;循環器系疾患、及び/又は脂質代謝障害の治療のためのものである。
【0025】
色素沈着障害は、特に色素沈着過剰症、黒皮症、色素沈着低下、又は白斑を意味すると理解される。好ましくはこの色素沈着障害は、日光の有害な作用と関連していない。
【0026】
脂漏性機能障害のうち、特に高脂漏性又は脂漏性皮膚炎を挙げることができる。
【0027】
バリア機能障害、及びより詳しくは特に表皮脂質分泌障害のうち,特に33週以前に生まれた早産児における皮膚障害、機械的摩擦後の、唇の割れ又は水ぶくれが挙げられる。
【0028】
皮膚治癒障害のうち、特にケロイド又は肥厚性の傷跡が挙げられる。
【0029】
潰瘍のうち、特に化学火傷又は熱傷、水泡性障害、又は血管障害または虚血(静脈性、動脈性、塞栓性、又は糖尿病性潰瘍を含む)が挙げられる。
【0030】
免疫系障害のうち、特に自己免疫病(例えば1型真正糖尿病、多発性硬化症、狼そう及び狼そう型の病気、糸状体腎炎等であるが、これらに限定されない)、又は選択的免疫系機能不全(例えばエイズ)が挙げられる。
【0031】
循環器系疾患のうち、特にアテローム性動脈硬化症又は高血圧が挙げられる。
【0032】
脂質代謝の病気のうち、肥満、高脂血症、又は非インシュリン依存性糖尿病が挙げられる。
【0033】
本発明による組成物の投与は、腸から、非経口的、局所的、又は目から実施されてもよい。好ましくはこの製薬組成物は、局所投与に適した形態に包装されている。
【0034】
腸内投与のためには、この組成物、より詳しくは製薬組成物は、タブレット、ゼラチンカプセル、糖被覆タブレット、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、グラニュール、エマルジョン、制御された放出を可能にする、脂質又はポリマー製の、微小球、ナノ球(nanosphere)、又は小胞の形態で供給されてもよい。非経口投与のためには、この組成物は、注入又は注射用の溶液又は懸濁液の形態で供給されてもよい。
【0035】
本発明によって用いられるこれらの化合物は一般に、1〜3用量において、約0.001mg/体重kg〜100mg/体重kgの一日用量で投与される。
【0036】
局所投与のためには、本発明による製薬組成物は、より詳しくは皮膚及び粘膜の治療のためのものであり、軟膏、クリーム、乳液、ポマード、粉末、含浸パッド、溶液、ジェル、スプレー、ローション、又は懸濁液の形態で供給されてもよい。これはまた、脂質又はポリマー製の、微小球、ナノ球、又は小胞、又は制御された放出を可能にするポリマーパッチ及びヒドロゲルの形態で供給されてもよい。局所投与のためのこの組成物は、無水形態あるいは水性形態で供給されてもよい。
【0037】
これらの化合物は、この組成物の総重量に対して、一般に0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の濃度での局所投与によって用いられる。
【0038】
本発明による式(I)の化合物はまた、化粧品分野、特に体及び毛髪の衛生に、より詳しくは表皮脂質の代謝を調節及び/又は回復させるための用途をも見出す。以前に知られている製品と比較すると、式(I)のこれらの化合物は、さらなる他の有利な特性、特に抗炎症性又は鎮静特性を示すという利点をも有する。これらの特性によって、これらの化合物は、刺激性が少なく、従ってより許容される化合物になる。
【0039】
化粧品として許容しうるキャリヤー中に、式(I)の少なくとも1つの化合物、その光学異性体又は幾何異性体のうちの1つ、又はその塩のうちの1つを含む、本発明による化粧品組成物は、特にクリーム、乳液、ローション、ジェル、脂質又はポリマー製の、微小球、ナノ球又は小胞、石鹸又はシャンプーの形態で供給されてもよい。
【0040】
化粧品組成物における式(I)の化合物の濃度は、0.001〜3重量%である。
【0041】
本発明のその他の特徴、側面、目的、及び利点は、次の記載並びに様々な具体的実施例を読めば、さらに一層明らかになるであろう。しかしながらこれらはすべて、限定的なものではなく、本発明を例証するためのものである。
【0042】
前記組成物は、当然ながらさらに、不活性あるいは薬力学的に活性な添加剤、あるいはこれらの添加剤の組合わせさえ含んでいてもよく、特に:湿潤剤;脱色素剤(depigmenting agent)例えばヒドロキノン、アゼライン酸、コーヒー酸、又はコウジ酸;エモリエント;モイスチャライジング剤、例えばグリセロール、PEG400、チアモルホリノン、及びその誘導体あるいはまた尿素;脂漏防止剤又は抗アクネ剤、例えばS−カルボキシメチルシステイン、S−ベンジルシステアミン、これらの塩又はこれらの誘導体、又は過酸化ベンゾイル;抗真菌剤、例えばケトコナゾール又は4,5−ポリメチレン−3−イソチアゾリドン;抗菌剤、カロテノイド及び特にβ−カロテン;抗乾癬剤、例えばアントラリン及びその誘導体;5,8,11,14−エイコサテトライノン酸(eicosatetraynoic)及び5,8,11−エイコサトリイノン酸(eicosatriynoic)酸、これらのエステル及びアミド、及び最終的にはレチノイドである。式(I)の化合物はまた、Dビタミン又はこれらの誘導体、コルチコステロイド、抗フリーラジカル剤、α−ヒドロキシ又はα−ケト酸、及びこれらの誘導体、あるいはまたイオンチャネルブロッカーと組合わされてもよい。
【0043】
これらの組成物はまた、味向上剤、保存料、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル、安定化剤、湿度調節剤、pH−調節剤、浸透圧−修飾剤、乳化剤、UV−A−及びUV−B−スクリーニング剤、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、又はブチル化ヒドロキシトルエンを含んでいてもよい。
【0044】
当然ながら当業者は、本発明に本来そなわっている有利な特性が、考えられている添加によって不都合な影響を受けないか、あるいは実質的にこのような影響を受けないように、これらの組成物に添加しうる化合物を注意深く選択する。
【0045】
本発明による式(I)の活性化合物、並びにこのような化合物をベースとする様々な具体的配合物の生物学的テストの結果のいくつかの例が、ここで例証のために挙げられるが、これらに限定されるわけではない。次の記載及び先行の記載において、これらの%は、特に言及されない限り、重量%である。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
この実施例において、本発明の化合物のPPAR受容体トランス活性化特性を示す、生物学的テストの様々な結果が例証されている。
【0047】
これらの比較例は、特許(出願)第EP220,118号(比較例1及び2)、又は米国特許第5,023,363号(比較例3〜7)に記載されているものに相当するが、これらは式(I)の化合物の条件に対応していない。
【0048】
実施された生物学的テストは、この出願に記載されているものに対応する。AC50値を測定するために用いられた方法は、Kliewerら、Nature 358、771−774,1992に記載されているものである。従って分子のPPAR−α、PPAR−γ、又はPPAR−δを介する活性化力は、トランス活性化テストによって評価することができる。ここにおいて、HeLa細胞は、SV40ウイルスプロモーター部分およびルシフェラーゼ遺伝子の上流にクローンされたPPRE応答要素を含むレポータープラスミドと、これらの受容体をコードする発現ベクターとでコトランスフェクトされている。これらのコトランスフェクトされた細胞は、テストされる分子で24時間処理され、ルシフェラーゼ活性は、発光によって測定される。
【0049】
対照1、すなわちPPAR−αについての対照分子は、[4−クロロ−6−(2,3−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−2−イルスルファニル]酢酸である;
【0050】
対照2、すなわちPPAR−δ及びPPAR−γについての対照分子は、5−{4[2−(メチルピリジン−2−イルアミノ)エトキシ]−ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオンである;
【0051】
比較例1は、6−[ブトキシ(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチル]ナフタレン−2−カルボン酸である;
【0052】
比較例2は、C−(6−カルボキシ−ナフタレン−2−イル)−C−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチルアンモニウムである;
【0053】
比較例3は、6−(2,4−ジイソプロピル−ベンゾイル)ナフタレン−2−カルボン酸である;
【0054】
比較例4は、6−(6−メトキシ−ビフェニル−3−カルボニル)ナフタレン−2−カルボン酸である;
【0055】
比較例5は、6−(4−アダマンタン−1−イル−3−メトキシベンゾイル)ナフタレン−2−カルボン酸である;
【0056】
比較例6は、4−[(3−アダマンタン−1−イル−4−メトキシフェニル)ヒドロキシメチル]安息香酸である;
【0057】
比較例7は、4−(3−アダマンタン−1−イル−4−メトキシベンゾイル)安息香酸である。
【0058】
PPAR−型受容体トランス活性化テストにおいて得られた結果は、次の表にまとめられている:
【0059】
【表1】

【0060】
これらの結果は、PPAR−型受容体:PPAR−α、PPAR−β、及びPPAR−γの様々なサブタイプについての本発明の化合物に対する活性化を示す。
【0061】
(実施例2)
この実施例において、本発明による化合物をベースとする様々な具体的配合物が例証されている。
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
【表10】

【0071】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

[式中、
Rは、水素原子又は-OR3基を表し(ここでR3は下記の意味を有する);
Xは、C=O基又はC=N−OH基を表し;
1及びR2は、同一又は異なっていて、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基であって1乃至12の炭素原子を有するもの、-OR4基、-S(O)n4基、-OCOR4基、又は-NHCOR4基を表し(ここでn及びR4は下記の意味を有する);
1及びR2は、隣接する環と共同で5又は6員飽和又は不飽和環を形成してもよいが、これは適宜メチル基で置換され、及び/又は適宜酸素若しくは硫黄原子、スルホン基、又はスルホキシド基を間に挿入しているが、
但し、XがC=O基を表すとき、R1及びR2は隣接する環と共同で、メチル基で置換された5員環を形成しない;
3は、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基であって1乃至20の炭素原子を有するもの、又はモノ-若しくはポリヒドロキシアルキル基を表し;
nは、0、1、又は2を表し;
4は、水素原子、低級アルキル基、又はフェニル基を表す]
の化合物、その塩、又はそのキラル化合物からなる、皮膚および毛髪の色素異常症の治療のためのPPAR型受容体活性化剤。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、アルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、又は亜鉛の塩若しくは有機アミン塩の形態で提供されることを特徴とする請求項1に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項3】
前記の低級アルキル基が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、及びヘキシル基から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項4】
前記の1乃至20の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、及びオクタデシル基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項5】
前記のモノヒドロキシアルキル基が、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、及び3-ヒドロキシプロピル基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項6】
前記のポリヒドロキシアルキル基が、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2,3,4-トリヒドロキシブチル基、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル基、並びにペンタエリトリトール残基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項7】
前記の化合物が、
化合物1:6-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン-2-カルボニル)ナフタレン-2-カルボン酸;
化合物2:6-(2,2-ジメチルクロマン-6-カルボニル)-ナフタレン-2-カルボン酸;
化合物3:6-(4-tert-ブチルベンゾイル)ナフタレン-2-カルボン酸;
化合物4:6-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-カルボニル)ナフタレン-2-カルボン酸;
化合物5:6-(4,4-ジメチルクロマン-6-カルボニル)-ナフタレン-2-カルボン酸;
化合物6:6-[ヒドロキシイミノ(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)メチル]ナフタレン-2-カルボン酸
から成る群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項8】
前記の式(I)に対応する化合物が、6-(4-tert-ブチルベンゾイル)-ナフタレン-2-カルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項9】
前記の皮膚及び毛髪の色素異常症が、色素沈着過剰症、黒皮症、色素沈着低下、又は白斑であることを特徴とする請求項1に記載のPPAR型受容体活性化剤。
【請求項10】
皮膚および毛髪の色素異常症の治療剤の製造のための、
下記一般式(I):
【化2】

[式中、
Rは、水素原子又は-OR3基を表し(ここでR3は下記の意味を有する);
Xは、C=O基又はC=N−OH基を表し;
1及びR2は、同一又は異なっていて、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基であって1乃至12の炭素原子を有するもの、-OR4基、-S(O)n4基、-OCOR4基、又は-NHCOR4基を表し(ここでn及びR4は下記の意味を有する);
1及びR2は、隣接する環と共同で5又は6員飽和又は不飽和環を形成してもよいが、これは適宜メチル基で置換され、及び/又は適宜酸素若しくは硫黄原子、スルホン基、又はスルホキシド基を間に挿入しているが、
但し、XがC=O基を表すとき、R1及びR2は隣接する環と共同で、メチル基で置換された5員環を形成しない;
3は、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基であって1乃至20の炭素原子を有するもの、又はモノ-若しくはポリヒドロキシアルキル基を表し;
nは、0、1、又は2を表し;
4は、水素原子、低級アルキル基、又はフェニル基を表す]
の化合物、その塩、又はそのキラル化合物からなる、少なくとも1つのPPAR型受容体活性化剤の有効量の使用。

【公開番号】特開2006−225405(P2006−225405A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150237(P2006−150237)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【分割の表示】特願2001−546403(P2001−546403)の分割
【原出願日】平成12年12月21日(2000.12.21)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】