説明

医用画像システム、検像装置及びプログラム

【課題】検像者による検像作業の負担を軽減する。
【解決手段】検像装置30は、検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を、画像サーバ40から取得する。そして、検像装置30は、当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定する。そして、検像装置30は、当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像システム、検像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの医療機関において情報のデジタル化が図られている。例えば、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像生成装置(モダリティ)は、撮影により得られた医用画像の画像データに付帯情報を付帯させて、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則ったDICOM画像データを生成する。
【0003】
モダリティは、当該DICOM画像データを検像装置に送信する。検像装置では、放射線技師(検像者)による検像作業が行われる。そして、検像装置は、DICOM画像データを画像サーバに送信する。
【0004】
この検像装置として、例えば、医用画像を表示部に表示し、予め設定された条件(医用画像の表示時間が設定時間以上か否か、検査OKボタンが押されたか否か等)を満たした場合、DICOM画像データを画像サーバに送信する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
画像サーバは、モダリティにおいて生成された(検像装置から送信された)DICOM画像データを記憶管理する。画像サーバは、読影端末からDICOM画像データ取得要求があった場合、当該記憶管理しているDICOM画像データを提供する。そして、読影端末は、取得したDICOM画像データに基づいて、高精細モニタ上に医用画像(DICOM画像)を表示する。また、読影端末は、読影医のユーザ操作に基づき、表示されたDICOM画像の中から、読影対象となる重要な画像(キー画像(Key Object Selection Document))を選択する。
【特許文献1】特開2006−95054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、検像作業の際、検像装置では、モダリティから送信されたDICOM画像データに基づき、検査単位で医用画像がリスト表示される。そして、放射線技師(検像者)は、検査単位で画像番号1から終端番号までの全画像を対象に検像を行っている。
【0007】
しかし、近年では、モダリティの機能向上に伴い、1検査における医用画像の発生数が増加しており、放射線技師(検像者)による検像作業の負担が大きくなっている。
【0008】
例えば、1検査において医用画像が1000枚撮影された場合、放射線技師(検像者)は、画像番号1から画像番号1000までの全画像に対して検像を行っている。
【0009】
また、検像対象となる医用画像には、高い精度で検像作業を行うべき画像とそれ以外の画像とがある。例えば、比較読影の対象となる撮影範囲において生成された医用画像に対しては、高い精度で検像作業を行う必要があるが、それ以外の撮影範囲において生成された医用画像に対しては、その必要はない。
【0010】
しかし、現状では、放射線技師(検像者)は、どの医用画像が比較読影の対象となる撮影範囲において生成されたものなのかを知ることができず、全撮影範囲において生成された医用画像に対して、同じ精度で検像作業を行っている。
【0011】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、検像者による検像作業の負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供する検像装置と、前記DICOM画像を記憶管理する画像サーバとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された医用画像システムであって、
前記画像サーバは、
記憶管理しているDICOM画像の中から選択されたDICOM画像をキー画像として管理する管理手段、
を備え、
前記検像装置は、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を、前記画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
を備える。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記検像装置の制御部は、
前記特定したDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示させる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記検像装置の制御部は、
前記特定したDICOM画像付近のDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示させる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供する検像装置であって、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
を備える。
【0016】
請求項5に記載のプログラムは、
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供するコンピュータを、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、4、5に記載の発明によれば、検像装置の制御部は、検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を画像サーバから取得し、当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる。よって、検像者は、重要なDICOM画像を知ることができる。そのため、検像者による検像作業の負担を軽減することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記特定したDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示させる。そのため、検像者は、重要なDICOM画像を一見して知ることができ、検像者による検像作業の負担を更に軽減することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記特定したDICOM画像付近のDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示される。そのため、検像者は、重要なDICOM画像とその付近のDICOM画像とを知ることができ、検像作業における利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る医用画像システムの一実施形態について説明する。
【0021】
[医用画像システムのシステム構成]
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)10と、モダリティ20と、検像装置30と、画像サーバ40と、読影端末50と、レポート管理サーバ60とから構成されており、各装置は通信ネットワークNを介して、データ通信可能に接続されている。
【0022】
RIS10は、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、図示しない電子カルテシステム等において生成された撮影オーダ情報をモダリティ20に送信する。
【0023】
モダリティ20は、RIS10から受信した撮影オーダ情報に従って、患者を撮影し、医用画像の画像データを生成する撮影装置である。また、モダリティ20は、前記撮影オーダ情報に基づいて、前記画像データに関する付帯情報を生成する。そして、モダリティ20は、前記画像データ(以下、画像実データと称す。)に当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOM画像データを生成し、検像装置30に送信する。モダリティ20としては、CR装置、CT装置、MRI装置等、様々な種類の医用画像を撮影する撮影装置が適用可能である。
【0024】
図2に、モダリティ20が生成するDICOM画像データのデータ構成図を示す。前述したように、DICOM画像データは、付帯情報と画像実データとから構成される。また、付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報を含む。
【0025】
患者情報は、患者ID、患者名、生年月日、性別等の患者に関する情報である。検査情報は、検査を識別する検査インスタンスUID、検査日、検査時刻、受付番号、担当医師等の検査に関する情報である。シリーズ情報は、シリーズを識別するシリーズインスタンスUID、モダリティ名、検査部位、シリーズ番号等の、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)に関する情報である。画像情報は、画像を識別するSOPインスタンスUID、画像番号等の医用画像に関する情報である。
【0026】
また、1人の患者に対して1又は複数の検査が紐付けられる(関連している)。そのため、患者情報と検査情報との間には、1対1、又は1対複数の関連がある。また、1検査に対して1又は複数のシリーズが紐付けられる(関連している)。そのため、検査情報とシリーズ情報との間には、1対1、又は1対複数の関連がある。また、1シリーズに対して1又は複数の医用画像が紐付けられる(関連している)。そのため、シリーズ情報と画像情報との間には、1対1、又は1対複数の関連がある。
【0027】
以下、医用画像1枚に対応するDICOM画像データをDICOM画像データオブジェクトと称す。また、説明の便宜上、DICOM画像データオブジェクトや当該DICOM画像データオブジェクトに含まれる画像実データを単にDICOM画像と称すことがある。
【0028】
図1に戻り、検像装置30は、モダリティ20により生成された医用画像(画像実データ)とその付帯情報を表示し、検像装置30のユーザである検像者が医用画像及び付帯情報の確認及び修正(検像作業)を行うためのものである。検像装置30は、モダリティ20からDICOM画像データを受信すると、当該DICOM画像データに基づき、医用画像(画像実データ)とその付帯情報を表示する。そして、検像装置30は、検像者のユーザ操作に基づき、付帯情報の修正や、医用画像の画像処理(階調処理やアノテーションデータの付加等)を行う。そして、検像装置30は、当該DICOM画像データを画像サーバ40に送信する。
【0029】
画像サーバ40は、DICOM画像データを検像装置30から受信して、保存し管理する(記憶管理する)。つまり、画像サーバ40は、モダリティ20において生成されたDICOM画像データを検像装置30を経由して受信する。画像サーバ40は、読影端末50からDICOM画像データ取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じたDICOM画像データを読影端末50に送信する。
【0030】
レポート管理サーバ60は、読影端末50において作成された読影レポートを記憶し、管理する(記憶管理する)。
【0031】
読影端末50は、医用画像を表示するモニタを有し、読影医が医用画像の読影レポートを作成することを主な目的として設置されるPC(Personal Computer)等の端末である。読影端末50は、読影医によるユーザ操作に基づき、画像サーバ40にDICOM画像データ取得要求を送信し、当該取得要求に応じたDICOM画像データを取得する。そして、当該DICOM画像データに基づきモニタに医用画像を表示する。そして、読影端末50は、読影医によるユーザ操作等に基づき、モニタに表示される医用画像の中から読影対象となる重要な画像(以下、キー画像と称す)を選択する。そして、読影端末50は、読影医によるユーザ操作に基づき、読影レポートを作成し、レポート管理サーバ60に送信する。そして、レポート管理サーバ60は、送信された読影レポートを保存する。
【0032】
また、読影端末50は、キー画像を特定する(選択したDICOM画像を特定する)キー画像特定情報を生成する。そして、読影端末50は、作成した読影レポートをレポート管理サーバ60に送信すると、読影が完了した旨の通知である読影完了通知と前記キー画像特定情報とを画像サーバ40に送信する。キー画像特定情報とは、選択されたキー画像に対応するDICOM画像データオブジェクトに含まれる画像情報のSOPインスタンスUIDである。
【0033】
[画像サーバの機能的構成]
図3に、画像サーバ40の機能的構成を示す。図3に示すように、画像サーバ40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45を備えて構成され、各部はバス46により接続されている。
【0034】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、画像サーバ40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、記憶部45に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0035】
操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0036】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0037】
通信部44は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続された検像装置30、読影端末50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0038】
記憶部45は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部45は、モダリティ20により生成されたDICOM画像データ(1又は複数のDICOM画像データオブジェクト)を記憶する。
【0039】
また、記憶部45は、DICOM画像データを管理するためのデータベースプログラムを記憶する。当該データベースプログラムと制御部41との協働により、記憶部45に記憶されているDICOM画像データを管理する。
【0040】
図4に、記憶部45において記憶管理されているDICOM画像データの記憶管理イメージ図を示す。DICOM画像データオブジェクトは、付帯情報に含まれる患者情報、検査情報、シリーズ情報に基づき、記憶管理されている。図4によれば、記憶部45は、患者Aに対して行われた検査EのシリーズXに関するDICOM画像データオブジェクトを1000個記憶している(DICOM画像データオブジェクトd1〜d1000)。また、記憶部45は、患者Aに対して行われた検査EのシリーズYに関するキーオブジェクトを記憶している。
【0041】
ここで、記憶部45に記憶される当該キーオブジェクトについて説明する。制御部41は、通信部44を介して、読影端末50から読影完了通知とキー画像特定情報を受信すると、当該キー画像特定情報に基づいて、キーオブジェクトを生成する。具体的に、制御部41は、検査Eに関するシリーズXの他に、キー画像用のシリーズYを生成し、当該シリーズYに紐付いたキーオブジェクトを生成する。キーオブジェクトは、対象画像のSOPインスタンスUIDを保持する。制御部41は、変換テーブル等を使用し、該当するSOPインスタンスUIDを持つDICOM画像データオブジェクトと当該キーオブジェクトとをリンクさせる(例えば、ポインタを用いてDICOM画像データオブジェクトが格納されているアドレスを指し示す)。尚、キーオブジェクトは、1つとは限らず、複数存在してもよい。例えば、読影端末50において、キー画像が5枚選択された場合、制御部41は、シリーズYに紐付いたキーオブジェクトを5つ生成する。以上がキーオブジェクトの説明である。
【0042】
図3に戻り、制御部41は、通信部44を介して、検像装置30からキーオブジェクト取得要求を受信すると、該当するキーオブジェクトを検像装置30に送信する。また、制御部41は、通信部44を介して、検像装置30からキー画像取得要求を受信すると、該当するDICOM画像データオブジェクト(キー画像)を検像装置30に送信する。
【0043】
[検像装置の機能的構成]
図5に、検像装置30の機能的構成を示す。図5に示すように、検像装置30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0044】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、検像装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、記憶部35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0045】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0046】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0047】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたモダリティ20、画像サーバ40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0048】
記憶部35は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部35は、モダリティ20により生成されたDICOM画像データ(1又は複数のDICOM画像データオブジェクト)を一時記憶する。当該DICOM画像データは、検像対象となり、検像が行われると、制御部31により通信部34を介して画像サーバ40に送信される。以下、検像対象となるDICOM画像データ(DICOM画像データオブジェクト)を検像対象DICOM画像データ(DICOM画像データオブジェクト)と称することがある。
【0049】
制御部31は、通信部34を介してモダリティ20からDICOM画像データを受信すると、記憶部35に当該DICOM画像データを検像対象DICOM画像データとして一時保存する。そして、制御部31は、この検像対象DICOM画像データの付帯情報、画像実データを表示部33に表示して検像者の検像作業に供する。以下、制御部31が、検像対象DICOM画像データの付帯情報、画像実データを表示部33に表示させる処理を検像画面表示調整処理と称する。この検像画面表示調整処理についての詳細は後述する。
【0050】
そして、制御部31は、操作部32から検像作業終了の旨の操作信号を入力されると、検像対象DICOM画像データを検像済のDICOM画像データ(検像済DICOM画像データ)として、画像サーバ40に送信する。そして、画像サーバ40は、検像済DICOM画像データを保存する。
【0051】
制御部31は、キーオブジェクト取得要求を生成する。そして、制御部31は、通信部34を介して、画像サーバ40に当該キーオブジェクト取得要求を送信する。そして、制御部31は、画像サーバ40から当該キーオブジェクト取得要求に応じたキーオブジェクトを受信する。
【0052】
また、制御部31は、当該キーオブジェクトに基づいて、キー画像取得要求を生成する。そして、制御部31は、通信部34を介して、画像サーバ40に当該キー画像取得要求を送信する。そして、制御部31は、画像サーバ40から当該キー画像取得要求に応じたDICOM画像データオブジェクト(キー画像)を受信する。
【0053】
[キーオブジェクト生成に関して、医用画像システムで実行される処理]
次に、キーオブジェクト生成に関して、医用画像システム100において実行される各装置の具体的な動作について図6を用いて説明する。本処理は、読影端末50において、読影医が、医用画像の読影レポートを作成するときに実行される。
【0054】
まず、読影端末50は、読影医等のユーザ操作に基づき、DICOM画像データ取得要求を画像サーバ40に送信する(ステップS1)。当該DICOM画像データ取得要求には、患者名や検査日等のデータ特定情報が含まれる。
【0055】
画像サーバ40は、読影端末50からDICOM画像データ取得要求を受信すると、当該DICOM画像データ取得要求に含まれるデータ特定情報に基づき、該当するDICOM画像データを読影端末50に送信する(ステップS2)。具体的には、画像サーバ40は、データ取得要求の「患者名」と一致する「患者名」の値を持つ患者情報に紐付けられる検査情報のうち、データ取得要求の「検査日」の値と一致する「検査日」の値を持つ検査情報に紐付けられる全てのDICOM画像データオブジェクトを送信する。以下、図4の例に従い、当該データ取得要求に対応する検査を「検査E」とし、該当するDICOM画像データオブジェクトの数を1000として説明する。
【0056】
読影端末50は、画像サーバ40からDICOM画像データ(検査Eにおける1000個のDICOM画像データオブジェクト)を受信すると、当該DICOM画像データに基づき、モニタに1000枚の医用画像(DICOM画像)を表示する(ステップS3)。尚、読影端末50は、1000枚の医用画像(DICOM画像)を、画面をスクロールさせる等して表示する。
【0057】
そして、読影端末50は、読影医によるユーザ操作に基づき、モニタに表示された1000枚の医用画像(DICOM画像)の中から1又は複数枚のキー画像を選択する(ステップS4)。読影医は、当該キー画像に対して読影を行う。そして、読影端末50は、読影医によるユーザ操作に基づいて読影レポートを作成し、当該読影レポートをレポート管理サーバ60に保存する(ステップS5)。
【0058】
そして、読影端末50は、読影が完了した旨の通知である読影完了通知と、キー画像を特定する情報であるキー画像特定情報とを画像サーバ40に送信する(ステップS6)。ここで、キー画像特定情報とは、キー画像として選択されたDICOM画像に関する画像情報のSOPインスタンスUIDである。また、読影完了通知は、読影を行った検査に対応する患者情報と検査情報を含む。
【0059】
画像サーバ40は、読影端末50から読影完了通知とキー画像特定情報を受信すると、当該キー画像特定情報に基づいて、キーオブジェクトを生成する(ステップS7)。具体的に、画像サーバ40は、キー画像用のシリーズYを生成し、当該シリーズYに紐付いたキーオブジェクトを生成する。ここで、画像サーバ40は、当該キーオブジェクトを生成することにより、読影端末50において選択されたDICOM画像を、キー画像として管理する。以上で処理が終了する。
【0060】
[DICOM画像データ保存に関して、医用画像システムで実行される処理]
次に、DICOM画像データ保存に関して、医用画像システム100において実行される各装置の具体的な動作について図7を用いて説明する。本処理は、検像装置30において、検像者が、モダリティ20において生成されたDICOM画像データに対して、検像作業を行うときに実行される。
【0061】
まず、モダリティ20は、患者を撮影し、DICOM画像データを生成する(ステップS101)。ここで、モダリティ20は、この検査(検査Gとする)において、1000枚の医用画像を撮影したとする。つまり、モダリティ20は、検査Gにおいて、1000個のDICOM画像データオブジェクトを生成したことになる。
【0062】
そして、モダリティ20は、生成したDICOM画像データ(1000個のDICOM画像データオブジェクト)を検像装置30に送信する(ステップS102)。
【0063】
検像装置30は、モダリティ20からDICOM画像データを受信すると、当該受信したDICOM画像データ(1000個のDICOM画像データオブジェクト)を検像対象DICOM画像データとして記憶部35に一時保存する(ステップS103)。
【0064】
そして、検像者は、ステップS103において記憶部35に一時保存された検像対象DICOM画像データに対して、検像作業を開始する旨のユーザ操作を行う。
【0065】
そして、検像装置30は、検像対象DICOM画像データの付帯情報に基づいて、当該検像対象DICOM画像データを生成した検査と同一条件の過去検査におけるキーオブジェクト取得要求を生成し、当該キーオブジェクト取得要求を送信する(ステップS104)。同一条件の過去検査とは、例えば、「モダリティ名」「ステーション名」「検査部位」「検査方向」「検査体位」「手技」「患者ID」や、これらの組み合わせが等しい過去検査のことをいう。尚、当該同一条件に、これらの項目以外の項目を加えてもよい。
【0066】
具体的に、検像装置30は、検像対象DICOM画像データの付帯情報から項目「モダリティ名」「ステーション名」「検査部位」「検査方向」「検査体位」「手技」「患者ID」等を抽出して、当該項目を含むキーオブジェクト取得要求を生成する。ここで、項目「モダリティ名」とは、モダリティの種類であり、CR、CT、MR等の値をとる。また、項目「ステーション名」とは、装置名であり、装置の世代や製造メーカ毎に異なる値をとる。また、項目「検査部位」は、検査の部位であり、頭部、胸部等の左、右、前、後等の値をとる。また、項目「検査方向」は、撮影した方向であり、正面、側面等の値をとる。また、項目「検査体位」は、撮影した体位であり、立位、臥位等の値をとる。項目「患者ID」は、患者のIDである。尚、キーオブジェクト取得要求に含まれる項目は、同一条件の過去検査とみなすための項目の種類に応じて、適宜変更可能である。
【0067】
画像サーバ40は、検像装置30からキーオブジェクト取得要求を受信すると、当該キーオブジェクト取得要求に含まれる各項目に該当する患者情報、検査情報に紐付けられるキーオブジェクトを記憶部45から読み出し、当該キーオブジェクトを検像装置30に送信する(ステップS105)。検査Gと同一検査条件の過去検査を検査E(図4参照)とすると、患者Aに紐付く検査Eに紐付くシリーズYに紐付くキーオブジェクト(図4参照)が読み出される。
【0068】
検像装置30は、画像サーバ40からキーオブジェクトを受信すると、当該キーオブジェクトに基づきキー画像取得要求を生成し、画像サーバ40に送信する(ステップS106)。具体的に、この生成されたキー画像取得要求は、キーオブジェクトが指し示すDICOM画像データオブジェクトd301(図4参照)を取得する旨の要求である。
【0069】
画像サーバ40は、検像装置30からキー画像取得要求を受信すると、キーオブジェクトが指し示すDICOM画像データオブジェクト(キー画像)を記憶部45から読み出し、検像装置30に送信する(ステップS107)。具体的に、画像サーバ40は、DICOM画像データオブジェクトd301(図4参照)を読み出し、検像装置30に送信する。
【0070】
検像装置30は、画像サーバ40からキー画像(DICOM画像データオブジェクトd301)を受信すると、検像画面表示調整処理を行う(ステップS108)。
【0071】
図8は、検像装置30が行う検像画面表示調整処理(ステップS108)のフローチャートである。図8に示すように、検像装置30は、画像サーバ40から受信した、キー画像(キーオブジェクトが指し示すDICOM画像データオブジェクト)の付帯情報に含まれる画像情報に含まれる画像番号を抽出する(ステップS201)。
【0072】
そして、検像装置30は、記憶部35に一時記憶されている検像対象DICOM画像データオブジェクト群(検査Gにおいて生成された検像対象のDICOM画像データ)の中から、前記抽出した画像番号と同じ画像番号である検像対象DICOM画像データオブジェクトを特定する(ステップS202)。
【0073】
ここで、画像番号とは、1検査において生成(撮影)される医用画像に対して、1から順番に割り振られる番号のことである。例えば、検査Gにおいては1000枚の医用画像が生成されるので、それぞれの医用画像に対して画像番号が1〜1000まで順番に割り振られることになる。また、例えば、上から下の方向(頭部から脚部の方向)に、患者のスライス画像を1000枚撮影した場合、最上部の医用画像の画像番号は1、最下部の医用画像の画像番号は1000となる。
【0074】
そして、検像装置30は、検像画面331を表示部33に表示する(ステップS203)。図9に、検像画面331の画面例を示す。当該検像画面331では、1検査において生成された医用画像(DICOM画像)が配列表示(リスト表示)される。また、配列の一番左側から画像番号順にDICOM画像が並べられる。尚、検像画面331は、5行5列等の2次元配列表示とする構成としてもよい。
【0075】
検像装置30は、ステップS202において特定した検像対象DICOM画像データオブジェクトに対応するDICOM画像P301を画面中央に配置した状態の検像画面331を最初に表示する(図9(a)参照)。更に、この検像画面331では、DICOM画像P301とその前後10枚のDICOM画像(P291〜P300、P302〜P311)とにマーキングが付されている(枠で囲まれている)(図9(a)〜(c)参照)。尚、DICOM画像P301と、その前後10枚のDICOM画像(P291〜P300、P302〜P311)とは、図9(a)に示すように、異なる枠で囲うとしてもよいし、同じ枠で囲うとしてもよい。
【0076】
ユーザは、スクロールバーb1を左右に移動させて、1000枚のDICOM画像を閲覧する。図9(b)は、スクロールバーb1を左に移動させた検像画面331である。また、図9(c)は、スクロールバーb1を右に移動させた検像画面331である。また、図9(d)は、ユーザ操作に基づき、画面を一番左までスクロールさせた検像画面331である。
【0077】
ここで、図9(d)に示すように、画像番号1のDICOM画像P1は、通常、人体が写っていない画像となる。しかし、最初の検像画面331(図9(a))では、このような画像は表示されない。
【0078】
尚、ステップS203において、画像サーバ40は、前記特定した検像対象DICOM画像データオブジェクトに対応するDICOM画像とその前後10枚のDICOM画像とにマーキングを付すこととしたが、前記特定した検像対象DICOM画像データオブジェクトに対応するDICOM画像を中心とする、検像画面331に表示される全体の枚数(本実施例においては1000枚)の10パーセント(本実施例においては100枚)の画像にマーキングを付すこととしてもよい。また、全体の枚数の10パーセントと、前後10枚とを比較し、少ない枚数の方にマーキングを付すこととしてもよい。つまり、検像装置30は、前記特定した検像対象DICOM画像データオブジェクトに対応するDICOM画像と、当該DICOM画像付近のDICOM画像とに、マーキングを付すこととなる。以上で、検像画面表示調整処理が終了する。
【0079】
図7に戻り、検像画面表示調整処理において、検像画面331が表示されると、検像者は、当該検像画面331を参照して検像作業を行う。そして、検査Gにおいて生成された検像対象のDICOM画像データに対して、付帯情報の修正や、医用画像の画像処理(階調処理やアノテーションデータの付加等)を行い、当該検像対象のDICOM画像データを検像済のDICOM画像データとして、画像サーバ40に送信する(ステップS109)。
【0080】
画像サーバ40は、検像装置30から検像済のDICOM画像データ(検査Gにおける1000個のDICOM画像データオブジェクト)を受信すると、当該DICOM画像データを保存し、管理する(ステップS110)。以上で処理が終了する。
【0081】
以上、本実施の形態によれば、検像装置30は、モダリティ20において生成されたDICOM画像を受信し、当該DICOM画像を検像対象とする。そして、検像装置30は、検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を、画像サーバ40から取得する。そして、検像装置30は、当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定する。そして、検像装置30は、当該特定したDICOM画像P301を最初の検像画面331(図9(a))に表示させる。
【0082】
よって、検像者は、検像画面331の初期表示時に、重要なDICOM画像を閲覧することができ、重要なDICOM画像までスクロールバーb1を移動させる手間を省くことができる。また、重要なDICOM画像を知ることができる。そのため、検像者による検像作業の負担を軽減することができる。
【0083】
また、検像装置30は、前記特定したDICOM画像P301をマーキングを付して検像画面331に表示させる。そのため、検像者は、重要なDICOM画像P301を一見して知ることができ、検像者による検像作業の負担を更に軽減することができる。
【0084】
更に、検像装置30は、前記特定したDICOM画像P301付近のDICOM画像(P291〜P300、P302〜P311)にも、マーキングを付して検像画面331に表示させる。そのため、検像者は、重要なDICOM画像P301とその付近のDICOM画像とを知ることができ、検像作業における利便性を高めることができる。
【0085】
また、検像画面331は、初期表示時に、人体が写っていない画像番号1の医用画像を表示する構成ではないため、検像作業を必要としない医用画像を飛ばして次の医用画像を表示させるという初期操作が不要になる。そのため、検像作業における利便性を更に高めることができる。
【0086】
尚、本実施の形態における記述は、本発明に係る医用画像システムの一例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0087】
また、本実施の形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態における医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】DICOM画像データのデータ構成図である。
【図3】画像サーバのブロック図である。
【図4】画像サーバにおける記憶管理イメージ図である。
【図5】検像装置のブロック図である。
【図6】キーオブジェクト生成に関して、医用画像システムで実行される処理を示すラダーチャートである。
【図7】DICOM画像データ保存に関して、医用画像システムで実行される処理を示すラダーチャートである。
【図8】検像画面表示調整処理を示すフローチャートである。
【図9】検像画面の画面例である。
【符号の説明】
【0089】
10 RIS
20 モダリティ
30 検像装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 バス
40 画像サーバ
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 記憶部
46 バス
50 読影端末
60 レポート管理サーバ
100 医用画像システム
331 検像画面
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供する検像装置と、前記DICOM画像を記憶管理する画像サーバとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された医用画像システムであって、
前記画像サーバは、
記憶管理しているDICOM画像の中から選択されたDICOM画像をキー画像として管理する管理手段、
を備え、
前記検像装置は、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を、前記画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
を備える医用画像システム。
【請求項2】
前記検像装置の制御部は、
前記特定したDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示させる、
請求項1に記載の医用画像システム。
【請求項3】
前記検像装置の制御部は、
前記特定したDICOM画像付近のDICOM画像を、マーキングを付して検像画面に表示させる、
請求項2に記載の医用画像システム。
【請求項4】
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供する検像装置であって、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
を備える検像装置。
【請求項5】
DICOM画像を検像画面に表示させ検像作業に供するコンピュータを、
検像対象となるDICOM画像を生成した検査と同一条件の過去検査におけるキー画像を画像サーバから取得し、
当該取得したキー画像に付帯する付帯情報と、前記検像対象となるDICOM画像に付帯する付帯情報とを比較して、前記検像対象となるDICOM画像の中から前記取得したキー画像に対応するDICOM画像を特定し、
当該特定したDICOM画像を最初の検像画面に表示させる制御部、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−247431(P2009−247431A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96095(P2008−96095)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】