説明

医用画像データ処理システム

【課題】システム構成の柔軟性、危険分散、適正な処理機能の分散、医用画像データの効率よく、利用可能な医用画像データ処理システムが提供する。医用画像データを、利用者の目的に則して、操作性を高めて提供可能とする。
【解決手段】医用画像データ管理装置(21)と、ビューワ装置(31)と、ウェブ処理装置(41)とを通信網(12)を介して接続する。ビューワ装置は、各種情報を保持しているウェブ処理装置(41)と協働して、ディスプレイプロ・トコルの設定が可能であり、読影業務、外来、病棟、医局における画像データの参照など、利用者の使用目的、使用環境に応じた利用形態に適合した画像データなどを提供する。ビューワ装置は、CT値、心胸郭比などの各種計測、MIP/MPRなどの機能を装備している。ビューワ装置は読影業務の支援、院内参照支援、情報公開支援、データ利用支援などを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用画像データを処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種モダリティ、たとえば、CT装置、MRI装置、超音波診断装置などが撮像した医用画像データは、たとえば、病院内で種々の診断に用いられている。
特許文献1は、1台のコンピュータを用いて、各種モダリティからの医用画像データを収集して保存しておき、各モダリティの医用画像データの配置に関する表示形態とそれをし利用する利用者(たとえば、医師)の識別番号とを事前に登録しておくことにより、識別番号を指定すると希望する、保存された医用データのなかかから対応するモダリティの撮像画像データが希望する表示形態で表示される技術を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−313280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各種モダリティ、たとえば、CT装置、MRI装置の撮像精度が非常に高くなっている。それに伴い、モダリティで撮像された画像データの量が非常に膨大になっている。
薬事法などの規約により、モダリティで撮像した医用画像データの保存方法、保存期間などが規定され、医用画像データの保存を独立したコンピュータシステムで行う必要がでてきた。
【0005】
また、大きな病院では、各種のモダリティで撮像された医用画像データを集中的に保存、管理し、そのような医用画像データを患者の説明のため、その他、各医局などで利用することが望まれている。そのような医用画像データの利用方法としては、定型的な利用方法の他、それぞれの医師が自己の目的のために医師の希望する形態での利用方法など自由な利用形態が要望されている。
【0006】
以上の観点から、膨大な医用画像データの保存の限界、コンピュータシステムがダウンした場合の危険分散、利用目的に沿った医用画像データの提供、利用者利用者が病院内の各所に分散する状況を考慮すると、医用画像データの保存・管理、医用画像データの各種利用を1台のコンピュータシステムで行うことは、限界であり、利用者の要望を満足することができない。
【0007】
さらに、各モダリティの医用画像データの配置に関する表示形態とそれをし利用する利用者(たとえば、医師)の識別番号とを事前に登録しておくことにより、識別番号を指定すると希望する、保存された医用データのなかかから対応するモダリティの医用画像データが自動的に表示されることは操作性の面で便利ではあるが、医用画像データの利用形態は一義的に定まるものではなく、利用者、たとえば、医師、検査技師などが医用画像データを種々操作してみて、目的、用途に応じた表示形態を探す自由度に欠ける。
【0008】
本発明は、システム構成の柔軟性、危険分散、機能分散、規模を考慮して、医用画像データを効率よく、利用可能な医用画像データ処理システムを提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、各種モダリティで撮像した医用画像データを、利用者の目的、容易に則して、かつ、操作性を高めて提供可能とする医用画像データ処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、医用画像データ撮像装置で撮像された医用画像データと当該医用画像データの内容を示す管理情報とを、第1通信系統を介して受信して格納し、管理する医用画像データ管理装置と、第2通信系統を介して前記医用画像データ管理装置に接続され、所望の医用画像データを前記医用画像データ管理装置から入力して、第1の信号処理して出力するビューワ装置と、前記第2通信系統を介して前記ビューワ装置に接続され、前記ウェブ処理装置において使用する各種情報を記憶し、当該ビューワ装置と協働して、第2の信号処理を行うウェブ処理装置とを有し、
前記ビューワ装置には、これらの装置を利用する利用者の識別番号とパスワードが事前に登録されており、前記ビューワ装置は、前記登録された利用者の識別番号とパスワードが正当な場合のみ使用を許可し、許可された利用者は、対象とする患者情報を入力し、さらに、提示された表示条件のうち希望する条件を選択し、前記ビューワ装置は前記ウェブ処理装置と協働して前記選択された条件に該当する医用画像データおよび/または該医用画像データに関連するデータを出力する、医用画像データ処理システムが提供される。
【0011】
好ましくは、前記ビューワ装置は、表示装置の台数、表示装置の種類、分解能、性能に応じた画像データの設定、画像データを表示すべきモダリティの種別、検査数、シリーズ数による設定、過去の画像データおよび/または参照画像データとの比較のいずれかを行うことができる。
【0012】
また好ましくは、前記ビューワ装置は、ウインドウレベルの変更、画像の拡大・縮小の設定が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機能分散およびハードウエアの分散により、システム構成の柔軟性、危険分散、適正な処理機能の分散、医用画像データの効率よく、利用可能な医用画像データ処理システムが提供できた。
【0014】
また本発明によれば、医用画像データを、利用者の目的、容易に則して、かつ、操作性を高めて提供可能となった。
【0015】
さらに本発明によれば、利用者の希望する医用画像データの活用が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の医用画像データ処理システムの実施の形態を添付図面を参照して述べる。
図1は、医用画像データ処理システム1、たとえば、病院情報システム(HIS)の構成を示す図である。
図1に示した医用画像データ処理システム1は、医用画像データ管理装置21と、少なくとも1台の医用画像データ管理装置21、少なくとも1台のビューワ装置31と、少なくとも1台のウェブ処理装置41とを有し、これらが第1通信網11、第2通信網12を介して接続されている。
医用画像データ処理システム1は、各種のモダリティで撮像して得られた医用画像データ、および/または、デジタルカメラ、スキャナなどで撮像した画像データを利用者の希望する形態に処理する。
病院内で医用画像データを利用する利用者としては、担当医師、検査医師(技師)、技各医局の研究医、その他の利用者がいる。
【0017】
医用画像データ処理システム1としては、図示しない中央情報管理装置、バックアップ装置などを有しうる。
中央情報管理装置は、患者の基本情報、病歴、治療経歴、薬剤、担当医師などのデータベースを管理する。
バックアップ装置は、医用画像データ管理装置21に保存している各種モダリティから得た画像データとその管理データをバックアップする。
【0018】
モダリティ
モダリティとしては、1または複数のCT撮像装置101〜10m、1または複数の第1MRI撮像装置111〜11n、1または複数の超音波診断(UT)装置121〜12i、1または複数のCR撮像装置131〜13j、図示しない1または複数のPET装置、図示しない1または複数のSPECT装置、図示しない1または複数の内視鏡装置などがある。
大きな病院では、複数のCT撮像装置、複数のMRI撮像装置、多数のUT撮像装置、多数の内視鏡などが用いられるが、もちろん、病院によってはこれら例示したモダリティの全てが設けられている必要はない。
なお、医用画像データ管理装置21に画像データを入力する装置としては、上述したモダリティの他、デジタルカメラ、スキャナなども可能である。これらの撮像した画像データも、上述した医用画像データと同様に扱うことができる。
【0019】
医用画像データ管理装置
医用画像データ管理装置21は、第1通信網11を介して、上述したモダリティ、デジタルカメラ、スキャナなどから送出されたモダリティで得た画像(撮像画像)データと、その画像データの内容を示す情報を格納し、管理する。
第1通信網11は、好ましくは、たとえば、病院内の専用通信回線を用いて、モダリティ、デジタルカメラ、スキャナなどで撮像した患者の情報が医用画像データ管理装置21に到達する間に外部に漏洩しないようにしている。
たとえば、第1CT撮像装置101から、たとえば、連続する複数のCT画像データが、たとえば、DICOM規格に基づいて第1通信網11を経由して送出され、医用画像データ管理装置21はそれらの画像データを保存する。同様に、第1MRI撮像装置111から、たとえば、連続する複数のMRI画像データが、たとえば、DICOM規格に基づいて第1通信網11を経由して送出され、医用画像データ管理装置21はそれらの画像データを保存する。その他のモダリティからの送出された画像データの保存も上記同様である。
【0020】
画像データの内容を示す管理情報としては、たとえば、医用画像データの管理番号、モダリティの種類、撮像年月日時間、患者名、医師名および/または撮像技師、撮像部位、撮像条件、参照画像番号、などを含む。
医用画像データ管理装置21は、それぞれのモダリティ、デジタルカメラ、スキャナなどから送出される画像データを、DICOMデータおよび/またはJPEG画像データとして、原画像データの形態を保持して、保存する。好ましくは、医用画像データ管理装置21におけるこれら画像データの保存方法は、画像データを圧縮した保存する。
医用画像データ管理装置21に保存されたデータは、所定時間ごとに、バックアップ装置に保存することができる。
【0021】
なお、医用画像データ管理装置21としては、その病院内に設置されている医用画像データ管理装置の他、通信系統を介して、ビューワ装置と接続される外部の医用画像データ管理装置も含まれる。
【0022】
他方、その病院内にはそのような医用画像データ管理装置を設けず、通信系統を介して、各種モダリティ、デジタルカメラ、スキャナなどと接続される外部の医用画像データ管理装置であってもよい。ただし、そのような外部の医用画像データ管理装置と、ビューワ装置、ウェブ処理装置とは通信系統を介して医用画像データなどのデータ通信が相互に可能であるように構成されている。
【0023】
ビューワ装置
ビューワ装置は、病院の規模、医局などの数などに応じて、適宜、その数が決定されるが、医用画像データ処理システム1の設置開始後も、ビューワ装置が増設される可能性は高い。
そのため、ビューワ装置を、インターネットなどに容易に接続されるコンピュータ、たとえば、パーソナルコンピュータで構成することが望ましい。そのため、第2通信網12としては、インターネット通信可能な通信網とすることができる。但し、情報の機密性の保持の対策は講じる。
なお、ビューワ装置の処理機能としては、「ディスプレイ・プロトコル」を始めとする、後述する各種の機能(プログラム)を有するものとする。
「ディスプレイ・プロトコル」を用いると、利用者が自己の目的、用途に適した形態で医用画像データを提供を受けることが可能となる。その詳細は後述する。
【0024】
ウェブ処理装置
同様に、本発明の利用者処理装置としての、ウェブ処理装置は、ビューワ装置に対応して、利用者の数、医局の数などに応じて、適宜、その数が決定されるが、医用画像データ処理システム1の設置開始後も、ウェブ処理装置の増減の可能性がある。
そこで、ウェブ処理装置は、インターネットなどに容易に接続されるコンピュータ、たとえば、パーソナルコンピュータで構成することが望ましい。そのため、第2通信網12としては、インターネット通信網とすることができる。但し、情報の機密性の保持の対策は講じる。
【0025】
ウェブ処理装置41をパーソナルコンピュータで構成する他の利点は、たとえば、医局の各医師が、医用画像データを自己の目的、用途に応じて任意に操作可能とするため、各医師がその様な処理のためのプログラムを追加することを可能とするためである。
【0026】
図1に例示した医用画像データ処理システム1は、モダリティからの医用画像データを保存・管理する医用画像データ管理装置と、ビューワ装置と、ウェブ処理装置とをハードウエア的に分離して構成し、かつ、機能分散し、これらの装置を通信網(または通信系統)を介して相互に接続した。
【0027】
ビューワ装置とウェブ処理装置とは協働して動作して、目的とする処理を遂行するように構成している。利用者は常にビューワ装置を介して操作を行い、ウェブ処理装置はそのための情報を保存している。
【0028】
ビューワ装置
ビューワ装置において各種の医用画像データを提供するため、および、ウェブ処理装置において医師などの利用者が自己の目的、用途に適した形態で医用画像データを提供を受けることが可能にするため、表示形態を自由に設定可能な処理機能を提供する。
そのため、ビューワ装置は、図2に例示した構成をしている。
【0029】
ビューワ装置31は、バス312を介して接続された、CPU311、RAM313、ROM314、ハードディスク装置(HDD)315、画像データ記憶用メモリ316、通信装置317、第1表示装置321、第1表示装置用入力装置323、第2表示装置325、第2表示装置用入力装置327、プリンタ装置329を有する。
【0030】
HDD315には、後述する処理をCPU311で行うための各種プログラムが格納されている。
HDD315に格納されているプログラムのうち、動作すべきプログラムがRAM313に読みだされてCPU311における動作して下記に述べる種々の処理を行う。RAM313には、CPU311で処理した画像データなども記憶される。
ROM314には、固定のパラメータなどが記憶されている。ROM314に、CPU311で動作するプログラムを格納することもできる。
画像データ記憶用メモリ316は、たとえば、医用画像データ管理装置21から入力してた医用画像データを保存し、CPU311で画像処理した結果を保存する。画像データ記憶用メモリ316を削除して、HDD315に医用画像データ管理装置21から入力した医用画像データを保存することもできる。
通信装置317は、第2通信網12に接続されて、医用画像データ管理装置21、ウェブ処理装置41などのデータの通信を行う装置である。
【0031】
第1表示装置321は、たとえば、解像度が2000×1570、輝度が600cd/m2 、12ビットの高精細な表示装置であり、第2表示装置325は、たとえば、解像度が1024×768、輝度が200cd/m2 、8ビットの表示装置である。
第1表示装置用入力装置323は、第1表示装置321における、医用画像データの表示を含む各種データの表示に関する操作を利用者が行うために使用する、キーボード、マウス、ポインティングデバイスを含む。
同様に、第2表示装置用入力装置327は、第2表示装置325における、医用画像データの表示を含む各種データの表示に関する操作を利用者が行うために使用する、キーボード、マウス、ポインティングデバイスを含む。
第1表示装置321、第2表示装置325に表示される例は後述する。
【0032】
プリンタ装置329は、画像の印刷、レポートの出力などに用いる。
なお、プリンタ装置329は、図2に図解したように、ビューワ装置31のバス312に接続してビューワ装置31において専用に使用する他、プリンタ装置329に相当するプリンタ装置をたとえば、第2通信網12に接続し、医用画像データ管理装置21などからも画像データ、関連するデータを出力可能とすることができる。
【0033】
図2に図解したビューワ装置31は、必要に応じた画像データ記憶用メモリ316を設けたこと、第1表示装置321と第1表示装置用入力装置323に高精細な表示装置を設けたことなどを除いては、通常のパーソナルコンピュータとして構成される。
したがって、低価格で構成できる。
【0034】
医用画像データ処理システム1は、このように、医用画像データ管理装置21、少なくとも1台のビューワ装置31と、少なくとも1台のウェブ処理装置41とをハードウエア的に分離して構成し、かつ、処理機能を分離している。
このシステム構成により、医用画像データ処理システム1においては、各種モダリティで撮像した医用画像データは、ビューワ装置31、ウェブ処理装置41の処理に無関係に医用画像データ管理装置21に保存されて管理される。他方、ビューワ装置の利用者は、医用画像データ管理装置21に格納された医用画像データを他の処理、たとえば、医師が自由に医用画像データを処理する作業に影響されることなく作業を進めることができる。
仮に、第2ビューワ装置32(図示せず)に障害で発生したとしても、第1ビューワ装置31には影響がなく、医用画像データ処理システム1内の装置を動作させる(使用する)ことができる。
他方、大容量の医用画像データを蓄積する医用画像データ管理装置21を病院の外部の医用画像データ管理装置21を用いることにより、その病院の設備価格を低減することができる。
【0035】
ビューワの処理機能例
図2の構成を有するビューワ装置31は、病院内での種々の画像参照を可能としており、たとえば、医用画像データ管理装置21に保存されている医用画像データについて下記に例示する処理を可能とする。
さらに、ビューワ装置31は、第1通信網11に接続することにより、直接、モダリティ、たとえば、第1CT撮像装置101から直接、撮像CT画像データを入力する事も可能であり、入力したCT画像データについて下記に例示する処理を行うことができる。
もちろん、ビューワ装置31は、モダリティの他、デジタルカメラ、スキャナなどで採取して画像データについても医用画像データと同様に処理することができる。
【0036】
患者の関する情報に接するビューワ装置を第3者が勝手に使用できないように制限するため、利用可能な利用者の識別番号または識別コードとパスワードをビューワ装置31を事前に登録しておき(たとえば、ROM314およびHDD315に記憶しておく)、たとえば、第2表示装置325の操作表示画面を見ながら、第2表示装置用入力装置327のキーボードから登録された、利用者の識別番号または識別コードとパスワードが入力されたときのみ、下記の操作を行うことができる。
【0037】
(1)放射線科における読影業務、外来、病棟、医局における画像データの参照など、利用者、たとえば、医師、検査技師などの使用目的、使用環境に応じた利用形態に適合した画像データなどを提供する。そのため、モダリティごとに、画像データの表示目的、たとえば、比較ごとにディスプレイ・プロトコルの設定が可能であり、しかも、利用者、たとえば、医師ごとにその設定を保持することができる。
【0038】
(2)また、ビューワ装置31は、CT値、心胸郭比などの各種計測、MIP/MPRなどの機能を装備しており、効率的な読影業務を支援可能である。
【0039】
(3)ビューワ装置31は支援業務を可能とする。
ビューワ装置が行う支援業務としては、たとえば、読影業務の支援、院内参照支援、情報公開支援、データ利用支援などを行う。
【0040】
読影業務支援
読影業務支援としては、病院内で日々行われる、読影業務を効率よく行えるようにするため、上述したディスプレイプロトコルの設定、ショートカットキー設定、MIP/MPR機能、3次元ボリュームレンダリングなどを行う。これらの内容の概要を下記に述べる。
【0041】
(a)ディスプレイ・プロトコルの設定
目的、環境に応じた画像表示を可能とするディスプレイプロトコルの設定としては、たとえば、ビューワ装置31内の第2表示装置325と第2表示装置用入力装置327を用いた利用者と対話方式で、下記の設定が可能である。
(イ)表示モニタ(第2表示装置325)の台数、高精細モニタ(第1表示装置321)の有無、高精細モニタの種類、性能に応じた画像データの設定。
(ロ)画像データを表示すべきモダリティの種別、検査数、シリーズ数による設定
(ハ)過去の画像データおよび/または参照画像データとの比較
このように、ディスプレイ・プロトコルの設定により、利用者の希望に応じた医用画像データの表示をを可能にする設定を行うことができる。
設定された上記内容は、ビューワ装置31内のRAM313に記憶されるほか、HDD315に記憶されて保存される。その結果、仮にビューワ装置31がダウンして場合でも、設定した内容はHDD315に保存されており、たとえば、ビューワ装置31の再起動のときにその内容が復元される。
【0042】
以下に述べる条件の設定も上記同様、HDD315に保存されており、仮にビューワ装置31がダウンして場合でも、設定した内容はHDD315に保存されており、たとえば、ビューワ装置31の再起動のときにその内容が復元される。
【0043】
(b)ショートカットキー設定
ショートカットキー設定は、ウインドウレベルの変更、画像の拡大・縮小、画像のページングなどのビューワ(たとえば、第1表示装置321)上での操作を、たとえば、第1表示装置用入力装置323内のキーボードにショートカットキー設定として割り当てて、効率のよい操作性を提供する。
ショートカットキー設定されたパラメータは、RAM313およびHDD315に保存される。
【0044】
(c)MIP/MPR機能
MIP、MPR、MINIP、ダブルオブリークが可能であり、3次元ボリュームレンダリングまで拡張可能である。
【0045】
院内参照支援
院内参照支援としては、HISと連携して、患者への説明などに利用するため、画像検索機能、レポートデータ連携、動画連携、HIS連携などがある。これらの内容の概要を下記に述べる。
【0046】
(d)動画検索機能
たとえば、第2表示装置325および第2表示装置用入力装置327を用いて、利用者との対話形式で、患者ID、患者名、検査日、モダリティ種別による希望する動画を絞り込むことができる。さらに、検索条件を複数指定して指定した条件のAND条件での検索も可能である。このようにして決定された対象医用画像データが、医用画像データ管理装置21から入力されて、たとえば、第1表示装置321に表示される。
患者情報、たとえば、患者ID、患者名、検査日などは、好ましくは、中央情報管理装置にも格納されており、中央情報管理装置に格納されているこれら情報をビューワ装置31で読みだして、確認して使用することができる。
【0047】
(e)レポートデータ連携
たとえば、HDD315に記憶されている画像検索リストから、たとえば、第2表示装置325にレポートデータを表示する。対象患者に参照可能なレポート情報が存在する場合は、たとえば、第2表示装置325に表示される「Report」ボタンを指定すればよい。レポートデータは、たとえば、プリンタ装置329で印刷できる。
【0048】
(f)動画連携
動画サーバ装置と連携することにより、院内への動画参照呼び込み連携を配信することができる。
【0049】
(g)HIS連携
たとえば、外来の患者への説明のために、電子カルテ、オーダリングシステムからの動画呼び込み連携を可能とする。
【0050】
情報公開支援
情報公開支援としては、シリーズ自動分割機能、アノテーション情報共有機能、プレゼンテーション・ステート機能などがある。これらの内容の概要を下記に述べる。
【0051】
(h)シリーズ自動分割機能
各種医用画像データのスライスロケーション、エコー時間、エコー番号などの情報を基にビューワでの動画表示に際してシリーズを自動分割する。
【0052】
(i)アノテーション情報共有機能
画像上に記入したテキスト情報、計測値などの情報を保存する。保存された情報は医用画像データ処理システム1内の全ての利用者に共有されて利用可能となる。
【0053】
(j)プレゼンテーション・ステート(PR)機能
画像参照時に適用した条件、たとえば、ウインドウ値などを保存する機能である。保存された情報は医用画像データ処理システム1内の全ての利用者に共有されて利用可能となる。
なお、PR機能により保存された条件を次回の画像参照時に適用して表示するか、適用せずに表示するかの設定をすることが可能である。
【0054】
データ利用支援
データ利用支援としては、イメージャへのプリント機能、ファイル・エクスポート機能、DICOMビューワ付きメディア作成機能などがある。これらの内容の概要を下記に述べる。
【0055】
(k)イメージャへのプリント機能
DICOMイメジァーへのプリントを行う。
【0056】
(l)ファイル・エクスポート機能
ビューワで表示している画像ファイルをエクスポートする。
画像ファイルとしては、JPEG、TIFF、DICOMなどが適用できる。
【0057】
(m)DICOMビューワ付きメディア作成機能
記録媒体にDICOMファイルとして保存するとき、DICOMビューワ機能付きで保存可能である。その結果、コピーファイルを出力することなく、電子記録媒体として患者に提供することができる。
【0058】
ウェブ処理装置
複数のウェブ処理装置41〜4nは、通常、ビューワ装置に対応して設置され、ビューワ装置で使用する各種情報、たとえば、利用者の識別番号、画像データの処理方法などを記憶する。
各ウェブ処理装置の構成は、基本的に、図2に例示したビューワ装置の構成と同じである。各ウェブ処理装置は、たとえば、インターネット通信機能を有する第2通信網12に接続されて、ビューワ装置と通信を行う。
ウェブ処理装置を直接、利用者が操作することはなく、ビューワ装置を介して利用者が各種操作を行い、ウェブ処理装置に保存されている必要な情報がビューワ装置に読みだされる。
【0059】
操作方法
図3〜図5を参照してビューワ装置31を操作する動作例を述べる。
ログイン
たとえば、ビューワ装置31の利用者は、第1表示装置321の第1表示装置用入力装置323に対応する表示装置用入力装置を操作してログイン画面のURLを入力する。
これにより、CPU311は、たとえば、図4(a)に例示した、第1表示装置321にログイン画面を表示する。
【0060】
図3に図解したフローチャートに示すように、利用者は、ログイン画面において、その利用者を識別する識別番号とパスワードを入力する。
利用者の正しい識別番号、パスワードなどは、たとえば、ウェブ処理装置41に保存されており、ビューワ装置31は第2通信網12を介してウェブ処理装置41から正しい識別番号、パスワードなどを入力して、入力された識別番号、パスワードなどのチェックに用いる。
【0061】
識別番号が正しくないときは、エラーメッセージが出力される。何度か入力を試みても識別番号が正しくないときは、その操作が打ち切られる。
同様に、パスワードが正しくないときは、エラーメッセージが出力される。何度か入力を試みてもパスワードが正しくないときは、その操作が打ち切られる。
【0062】
検索条件入力画面の表示、患者情報、モダリティの入力
識別番号とパスワードの入力が正しいとき、用途に応じた操作が行われる。
CPU311は、たとえば、第1表示装置321に図4(b)に例示した検索条件入力画面を表示する。
利用者は、患者情報、モダリティまたはデジタルカメラ、スキャナなどの種別などを入力し、希望する検索条件を入力する。CPU311は、たとえば、図4(c)に例示した画面を第1表示装置321に表示する。
【0063】
利用者が、たとえば、図4(c)に表示された左枠の希望する表示ボタンを押すと、CPU311は、たとえば、図4(d)に例示した「シリーズ表示画面」が第1表示装置321に表示される。
【0064】
たとえば、図4(d)に表示したシリーズ表示画面において、WebDICOMビューワ画面を選択すると、1つの画像が、たとえば、図5(a)または、たとえば、複数シリーズの画像が図5(b)に表示される。
【0065】
たとえば、図4(d)に表示したシリーズ表示画面において、サムネイル表示画面を選択すると、たとえば、図6に例示した画像が表示される。
たとえば、図6に例示した画面は、この画面左枠内のページ切り替えボタンを押すと、指定ページに遷移して該当する画像が表示される。
【0066】
たとえば、図6に表示した表示画面において、拡大画像を選択すると、たとえば、図7に例示した画像が表示される。
たとえば、図6に例示した画面は、たとえば、この画面左枠内のページ切り替えボタンを押すと、ページ切り替えボタンを押すと、指定ページに遷移して該当する画像が表示される。
また、たとえば、図6に表示した表示画面において、シリーズ表示画面を選択すると、たとえば、図4(d)の画面が表示される。
さらに、たとえば、図6に表示した表示画面において、WebDICOMビューワ画面を選択すると、1つの画像が、たとえば、図5(a)または、たとえば、複数シリーズの画像が図5(b)に表示される。
【0067】
たとえば、図7に例示した画面の画面左枠内のページ切り替えボタンを押すと、指定ページに遷移して該当する画像が表示される。
また、たとえば、図7に表示した表示画面において、シリーズ表示画面を選択すると、たとえば、図4(d)の画面が表示される。さらに、たとえば、図7に表示した表示画面において、WebDICOMビューワ画面を選択すると、1つの画像が、たとえば、図5(a)または、たとえば、複数シリーズの画像が図5(b)に表示される。
【0068】
たとえば、図4(d)に表示したシリーズ表示画面において、参照画像比較画像を選択すると、たとえば、図8に例示した様々な組み合わせの画像のいずれかの画像が表示される。
【0069】
たとえば、図4(d)、図5、図6、図7、図8に例示した表示画面の内容は、利用者が、たとえば、ディスプレイ・プロトコルの設定、ショートカットキー設定など上述した機能を使用することにより、自己の望む表示形態に設定できる。
設定した表示形態は、RAM313、HDD315などに記憶される。したがって、一度設定すると、図6の表示内容は設定された条件に従って行われる。その内容を変更するときは、ディスプレイプロトコルの設定を変更する。次回使用するときは、設定された条 なお、ディスプレイ・プロトコルの設定の初期値は、予め予想した設定値に設定されている。
【0070】
たとえば、図6の表示画面の内容、すなわち、どの画像を組み合わせて同時に表示するかをディスプレイ・プロトコルの設定を用いて行うことができる。あるいは、どの表示装置に表示するかなどを設定することができる。
【0071】
また、たとえば、図7に例示した拡大表示において、ショートカットキー設定機能を用いて、ウインドウレベル、画像の拡大・縮小、画像のページングなどのビューワ(たとえば、第1表示装置321)上での操作を、たとえば、第1表示装置用入力装置323内のキーボードにショートカットキー設定として割り当てる。
ショートカットキー設定されたパラメータは、RAM313およびHDD315に保存される。したがって、一度設定すると、たとえば、図7の表示内容は設定された条件に従って行われる。その内容を変更するときは、ショートカットキー設定を変更する。
なお、このショートカットキーの設定の初期値は、予め予想した設定値に設定されている。
【0072】
本実施の形態によれば、図4〜図8を参照して述べた流れに従って、希望する医用画像データを希望する表示形態で表示することができる。
【0073】
このように、本実施の形態によれば、表示条件を選択していくことにより、利用者の希望する医用画像データが希望する表示形態が表示することができる。
以上の操作は、利用者とビューワ装置31との対話形式であり、操作が容易である。
【0074】
本発明は実施の形態に際しては上述した実施の形態に限定されることなく、種々の変形態様をとることができる。
たとえば、モダリティ、デジタルカメラ、スキャナなどは例示したものに限らず、医用画像データ処理システム1の医用画像データ管理装置21などに撮像した医用画像データを提供するものであれば、例示したものに限らない。
【0075】
また、ビューワ装置31の構成と、機能とは、上述した例示したものに限らず、医用画像データを処理するための各種の公知技術を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は本発明の実施の形態の医用画像データ処理システムの構成図である。
【図2】図2は図1に図解したビューワ装置の構成図である。
【図3】図3は図1に図解したビューワ装置の処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】図4は図1に図解したビューワ装置による表示例(1)を示す図である。
【図5】図5は図1に図解したビューワ装置による表示例(2)を示す図である。
【図6】図6は図1に図解したビューワ装置による表示例(3)を示す図である。
【図7】図7は図1に図解したビューワ装置による表示例(4)を示す図である。
【図8】図8は図1に図解したビューワ装置による表示例(5)を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1…医用画像データ処理システム、11…第1通信網、12…第2通信網、
21〜2m…医用画像データ管理装置、31〜3m…ビューワ装置、41〜4n…ウェブ処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データ撮像装置で撮像された医用画像データと当該医用画像データの内容を示す管理情報とを、第1通信系統を介して受信して格納し、管理する医用画像データ管理装置と、
第2通信系統を介して前記医用画像データ管理装置に接続され、所望の医用画像データを前記医用画像データ管理装置から入力して、第1の信号処理して出力するビューワ装置と、
前記第2通信系統を介して前記ビューワ装置に接続され、前記ウェブ処理装置において使用する各種情報を記憶し、当該ビューワ装置と協働して、第2の信号処理を行うウェブ処理装置と
を有し、
前記ビューワ装置には、これらの装置を利用する利用者の識別番号とパスワードが事前に登録されており、
前記ビューワ装置は、前記登録された利用者の識別番号とパスワードが正当な場合のみ使用を許可し、
許可された利用者は、対象とする患者情報を入力し、さらに、提示された表示条件のうち希望する条件を選択し、前記ビューワ装置は前記ウェブ処理装置と協働して前記選択された条件に該当する医用画像データおよび/または該医用画像データに関連するデータを出力する、
医用画像データ処理システム。
【請求項2】
前記ビューワ装置は、表示装置の台数、表示装置の種類、分解能、性能に応じた画像データの設定、画像データを表示すべきモダリティの種別、検査数、シリーズ数による設定、過去の画像データおよび/または参照画像データとの比較のいずれかを行うことができる、
請求項1に記載の医用画像データ処理システム。
【請求項3】
前記ビューワ装置は、ウインドウレベルの変更、画像の拡大・縮小の設定が可能である、
請求項1または2に記載の医用画像データ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−79648(P2008−79648A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259835(P2006−259835)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(399056820)テクマトリックス株式会社 (20)
【Fターム(参考)】