医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム
【課題】複数のシリーズ画像の間において、それらに含まれるスライス画像を、簡単且つ短時間に位置合わせすることができる医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する標準座標系及び特徴量格納部22と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与するスライス座標決定部25とを有する。
【解決手段】入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する標準座標系及び特徴量格納部22と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与するスライス座標決定部25とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用撮像モダリティによって取得された画像データに基づいて、画像表示端末に軸位断画像を表示させる医用画像処理装置、及び、そのような装置において用いられる医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療診断においては、生体の内部が表示された医用画像が多く用いられており、そのような医用画像を取得するために、X線撮影や、X線CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置や、超音波(US)診断装置や、MRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴撮像)装置や、PET(positron emission tomography:ポジトロン断層撮影)等の様々な技術や装置(モダリティ)が広く利用されている。それらの装置の多くはディジタル化されており、病院内での診断情報処理システム等の構築が進められている。また、それらの撮像技術の内でも、CTやMRIは生体の軸位断画像を比較的狭い間隔で取得して表示できるので、生体の病変部位の発見や評価に大きな成果を上げている。ここで、軸位断画像とは、被検体の体軸に直交又はほぼ直交する面(所謂、輪切り面)が表された断層像のことをいう。以下において、軸位断画像のことを、単にスライス画像とも言う。
【0003】
このような医用画像に基づいて医療診断を行う際に、患部の経時的変化を観察するために、同一の患者の同一部位を異なる時期に撮像したスライス画像を比較読影する場合がある。そのような場合に、読影医は、まず、一方のシリーズ画像の内の注目すべきスライス画像に対して、解剖学的にそれと同じ断層面が表されたスライス画像を、他方のシリーズ画像の内から探し出さなくてはならない。ところが、1回の撮像によって生成される1連(1シリーズ)の画像に含まれるスライス画像は、数百枚、或いは、それ以上になるため、そのような作業は読影医にとって大変な手間となっている。
【0004】
関連する技術として、特許文献1には、少なくとも1つの医用画像撮影モダリティに基づく複数回の検査により取得された複数枚の断層像から成る複数組の三次元画像を出力デバイスに表示するようにした画像表示システムにおいて、複数組の三次元画像の中から解剖学的断層位置が略同一の第1の断層像対を少なくとも1つ指定する指定手段と、上記複数組の三次元画像中の少なくとも1つの三次元画像の断層間隔及び第1の断層像対間の位置情報に基づいて、上記複数組の三次元画像の中から解剖学的断層位置が略同一の少なくとも1つの断層像対を設定する断層像対設定手段と、設定された少なくとも1つの断層像対を出力デバイスに表示させる表示制御手段とを備える画像表示システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、医用画像撮像装置により得た複数枚の断層画像である同一受診者の当日撮影胸部画像(現在画像)と過去撮影胸部画像(過去画像)を読み込み、その両画像を同時に画像表示手段に表示する画像診断支援装置において、現在画像及び過去画像から気管及び気管支を抽出する抽出手段と、該抽出手段によって抽出された気管から最初に分岐する気管支分岐部をそれぞれ判別する気管支分岐判別手段と、該気管支分岐判別手段によってそれぞれ判別した気管支分岐部に対応する現在画像と過去画像とを基準にして、体軸方向の同一位置における現在画像と過去画像とを画像表示手段に表示させる画像位置合わせ手段とを備える画像診断支援装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−294485号公報
【特許文献2】特開2005−124895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、2つのシリーズ画像の間において、解剖学的に同じ断層が表された複数組のスライス画像の位置を合わせる手法が知られている。しかしながら、3つ以上のシリーズ画像について位置合わせを行いたい場合には、2つのシリーズ画像間における座標系の変換処理(位置合わせ処理)を、全ての組み合わせについて行わなくてはならい。例えば、5つのシリーズ画像A〜Eを互いに位置合わせする場合には、AとB、AとC、…、DとEの計20回の演算処理を行う必要が生じる。従って、非常に多くの手間と時間を要しており、効率が悪い。
【0007】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、3つ以上のシリーズ画像についても、それらに含まれるスライス画像を、簡単且つ短時間に位置合わせすることができる医用画像処理装置と、そこで用いられる医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る医用画像処理装置は、入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する格納手段と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与する座標決定手段とを具備する。
【0009】
また、本発明の1つの観点に係る医用画像処理プログラムは、入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置において用いられるプログラムであって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を読み出す手順(a)と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与する手順(b)とをCPUに実行させる。
【0010】
本願において、各軸位断画像のことを「スライス画像」といい、1つのシリーズに含まれる軸位断画像の集合のことを「シリーズ画像」という。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数のスライス画像に、解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系における座標値を付与するので、その座標系を介してシリーズ画像間の位置合わせを容易に行うことができる。また、シリーズ画像間の座標変換等の直接的な処理が不要になるので、3つ以上のシリーズ画像を位置合わせする場合においても、少ない手間で効率的に処理することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。この医用画像撮影システムは、被検体について医用画像の撮像検査を行うモダリティ1と、画像サーバ2と、画像表示端末3と、読影用端末4とを含んでいる。これらの装置1〜4は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠している。
【0013】
モダリティ1は、CT装置1aや、CR(computed radiography)装置1bや、MRI装置1cや、PET装置1dや、超音波診断装置(US)1e等の医用画像撮影装置を含んでいる。これらのモダリティ1a〜1eは、撮像検査を行うことにより画像データを生成して、画像付帯情報と共に画像サーバ2に出力する。画像付帯情報には、例えば、患者情報(氏名、年齢、性別等)や、撮像日情報や、部位情報(頭部、胸部、腹部等)や、画像の方向を表す情報((0020,0037):Image Orientation(Patient)、又は、(0020,0020):Patient Orientation)や、スライスの厚さを表す情報((0018,0050):Slice Thickness)等が含まれる。ここで、括弧内は、各情報のDICOMタグ及び属性名を示している。
【0014】
画像サーバ2は、モダリティ1によって取得された画像データを保管及び管理するPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像情報システム)用のサーバである。この画像サーバ2は、通常の画像サーバの機能(画像データの保管等)に加えて、複数のシリーズ画像間における位置合わせを行う機能(位置合わせ処理機能)も有しており、位置合わせ用の医用画像処理装置としても動作する。画像サーバ2は、後述する読影用端末4の要求に従って、画像データを画像表示端末3に出力する。画像サーバ2の機能及び動作については、後で詳しく説明する。
【0015】
画像表示端末3は、外部から入力される画像データに基づいて検査画像を表示する端末装置であり、高精細なディスプレイを備えている。また、画像表示端末3は、ユーザが命令を入力するための入力装置(例えば、入力ボタン、キーボード、マウス等)を備えていても良い。なお、図1に示す画像表示端末3の画面3aには、複数の軸位断画像が模式的に示されている。
【0016】
読影用端末4は、ユーザ(読影医)が、画像表示端末3に表示された検査画像を参照しながら読影レポート等を作成するために用いられる装置であり、読影レポート等を表示する画面4aや、キーボード等の入力デバイス4b等を備えている。
【0017】
次に、画像サーバ2の機能及び位置合わせ処理動作について説明する。図1に示すように、画像サーバ2は、制御部21と、標準座標系及び特徴量格納部22と、特徴量計算部23と、座標値探索部24と、スライス座標決定部25と、格納部26と、位置合わせ処理部27と、表示形式設定部28とを有している。この内の制御部21、特徴量計算部23〜スライス座標決定部25、及び、位置合わせ処理部27〜表示形式設定部28は、CPU(中央演算処理装置)とプログラムとによって構成されており、以下に説明する位置合わせ処理動作は、格納部26に格納されている本実施形態に係る医用画像処理プログラムに従って、CPUにより実行される。
【0018】
制御部21は、モダリティ1から出力された画像データ及びその画像付帯情報を格納部26に格納させる。また、制御部21は、入力された画像データによって表される画像の方向(軸位断(axial)、冠状断(coronal)、矢状断方向(sagittal)等)を確認し、軸位断方向である場合には、その画像データ及び画像付帯情報を特徴量計算部23にも出力する。なお、画像の方向は、例えば、DICOMタグ(0020,0037):Image Orientation(Patient)、又は、(0020,0020):Patient Orientationが付与された画像付帯情報によって取得される。
【0019】
格納部26は、例えば、画像サーバ2に内蔵されているハードディスクドライブであり、制御部21の制御の下で、画像データ及びその画像付帯情報や、CPUに位置合わせ動作をさせるための制御プログラム(医用画像部位分割プログラム)等を格納する。なお、記録媒体としては、ハードディスクの他に、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いても良く、その場合には、それらの記録媒体を駆動する駆動装置が、画像サーバ2に内蔵され、又は、画像サーバ2の外部に接続される。
【0020】
標準座標系及び特徴量格納部22は、予め用意されている1つ又は複数の標準座標系と、標準座標系の各座標値における標準特徴量を格納している。
標準座標系とは、複数のシリーズ画像間の位置合わせを行う際に基準として使用される座標系であり、被検体の各部分の位置を体軸(Z軸)上の座標値として表したものである。
【0021】
図2は、骨格に関する標準座標系を示す模式図である。この標準座標系においては、頭頂部をZ=0、足底部をZ=100としている。このようなスケールにおいて、眼球の座標値Zは6.7であり、第一頚椎の座標値Zは10.0であり、第一胸椎の座標値Zは17.3であり、第一腰椎の座標値Zは34.7であり、恥骨結合の座標値Zは51.3となっている。
【0022】
標準座標系としては、図2に示す骨格を基準とした座標系の他に、臓器の配置を基準とした座標系(軟部組織に関する標準座標系)等を用意しても良い。また、呼吸の状態に応じて複数の座標系を用意しても良い(例えば、呼気状態座標系、吸気状態座標系、平均状態座標系等)。さらに、骨格のバランスや臓器の配置は、年齢や身長や男女の別等に応じて変化するので、被検体の分類に応じて複数の座標系を作成しても良い(例えば、幼児用座標系、12〜15歳用座標系、成年用座標系、男性用座標系、女性用座標系等)。
【0023】
一方、特徴量とは、1つの軸位断面における解剖学的な特徴を様々な観点から数値化したものである。その内の標準特徴量とは、標準座標系の各座標値における一般的な(標準的な)特徴量のことである。図3は、標準座標系及び特徴量格納部22に格納されている標準特徴量テーブルを示している。ある座標値Zにおけるスライス画像は、以下に説明する標準特徴量XA、XB、XC、XDによって特徴付けられる。
【0024】
ここで、モダリティによらず、スライス画像全般においては、特徴量として、体部の形状に基づいて算出した値(例えば、円形度)が用いることができる。また、各画素データの値(即ち、画素の輝度)が体部の特性(組織性状等)に対応している場合には、その値から特徴量を算出しても良い。例えば、CT画像における画素データの値はCT値によって決定されるが、この値は、体部を透過した放射線量を表す物理量である。なお、水のCT値は0HUであり、空気領域のCT値は−1000HU程度であり、骨領域のCT値は、例えば、80HU〜1000HU程度である。また、臓器等の軟部組織のCT値は、空気領域よりも高く、骨領域よりも低い、例えば、28HU〜60HU程度である。
【0025】
図3に示すように、本実施形態においては、次の4つの特徴量を用いている。
(a)体部全体の円形度
円形度XAは、対象領域の面積S及びその周囲の長さLを用いて、次式(1)によって算出される。
XA=4πS/L2 …(1)
円形度XAは、対象領域の形状が真円に近づくほど1.0に近づき、形状が真円から離れるほど(例えば、楕円率が1から離れるほど)小さくなる。例えば、対象領域が頭部である場合には、円形度は比較的高くなる。反対に、対象領域が胸部や腹部である場合には、円形度は比較的低くなる。
【0026】
(b)空気領域特徴量
空気領域特徴量XBは、(空気領域を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。例えば、対象領域が胸部である場合には、肺が存在しているために空気領域は比較的広くなる(40%〜80%)。また、腹部においては、空気領域の割合は、それよりも若干低くなる(10%〜40%)。さらに、対象領域が頭部や脚部である場合には、空気領域はほぼゼロとなる。
【0027】
(c)骨領域特徴量
骨領域特徴量XCは、(骨領域を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。例えば、対象領域が腹部である場合には、体部全体に対する骨部の領域は比較的狭い範囲となる。反対に、対象領域が脚部である場合には、体部全体に対して骨部が多くの割合を占める。
【0028】
(d)軟部組織特徴量
軟部組織特徴量XDは、(軟部組織を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。
【0029】
なお、上記の(b)〜(d)を採用する場合には、体部全体から脂肪領域を除くことが望ましい。脂肪領域は個人差による変動要素が大きいからである。
或いは、モダリティに対応した画素値のヒストグラムそのものや確率分布を標準特徴量として利用しても良い。
【0030】
標準座標系及び特徴量格納部22に格納されている標準特徴量は、例えば、次のようにして用意される。
(i)論文等に開示されている解剖学的な既知データから標準特徴量を取得する。
(ii)特定の被検体を表すシリーズ画像を解析することによって特徴量を取得する。
(iii)過去に撮像されたシリーズ画像の内で、各スライス画像に表された体部の解剖学的な位置(第一頚椎、肺尖等)が特定されているものを抽出し、スライス画像の解析を行うことにより特徴量を求め、それらの平均値を標準特徴量とする。
【0031】
ここで、上記の方法(iii)を用いる場合には、全てのスライス画像を目視観察することにより、そこに表された体部の解剖学的な位置を特定しても良い。また、より簡易な方法として、適当な間隔で目視観察することにより幾つかのスライス画像の解剖学的な位置を特定し、画像付帯情報の内のスライス間隔情報を用いて、計算によりそれらの間のスライス画像の位置を決定しても良い。さらに、別の方法として、解剖学的な位置が既知である部位が表されたスライス画像を、手動又は自動で認識するようにしても良い。例えば、図4の(a)に示すように、特徴量の1つである空気領域の変化を観察すると、空気領域が増加し始める位置(胸部の開始位置)や、空気領域が急激に減少する位置(胸部と腹部の境界)が発見される。そこで、図4の(b)に示すように、1シリーズのスライス画像について算出された空気領域の微分値を探索することにより、そのような特徴的な位置(境界等)を特定することができる。さらに、スライス間隔情報を用いて、それらの間のスライス画像の位置を計算により決定すればよい。
このような標準特徴量は、標準座標系が複数存在する場合には、標準座標系ごとに用意される。また、1つの標準座標系に対して、標準特徴量をモダリティごとに用意しても良い。
【0032】
再び、図1を参照すると、特徴量計算部23は、制御部21から入力されたスライス画像の特徴量を算出する。本実施形態においては、標準特徴量XAに対応する特徴量Xa(円形度)と、標準特徴量XBに対応する特徴量Xb(空気領域)と、標準特徴量XCに対応する特徴量Xc(骨領域)と、標準特徴量XDに対応する特徴量Xd(軟部組織領域)とが算出される。
【0033】
座標値探索部24は、特徴量計算部23において算出された特徴量に最も適合する標準特徴量と、その標準特徴量に対応する所定の標準座標系における座標値を探索する。そして、その標準特徴量に対応する座標値を、解析対象となっているスライス画像の座標値として暫定的に付与する。なお、座標値探索部24において用いられる標準座標系は、ユーザが指定しても良いし、画像付帯情報(患者情報、撮像部位等)に基づいて、特徴量計算部23が選択するようにしても良い。
【0034】
座標値の探索方法としては、例えば、次の方法(1)及び(2)が挙げられる。
(1)評価関数を用いる方法
所定の評価関数を用意し、その値が最も小さくなるときの標準特徴量を求め、その標準特徴量に対応する標準座標系上の座標値を、スライス画像の座標値とする。評価関数としては、例えば、算出された特徴量と標準特徴量との差の絶対値の和|Xa−XA|+|Xb−XB|+|Xc−XC|+|Xd−XD|や、平均自乗誤差{((Xa−XA)2+(Xb−XB)2+(Xc−XC)2+(Xd−XD)2)/4}1/2が用いられる。また、評価関数の値を計算する際には、特徴量の種類に応じて重み付けをしても良い。
【0035】
(2)確率分布を用いる方法
標準特徴量として確率分布が用意されている場合には、確率分布を利用して特徴量のマッチングを行う。
ここで、図5を参照すると、標準座標系上の座標Z=20における空気領域の標準特徴量の確率分布(平均80%)と、座標Z=45における空気領域の標準特徴量の確率分布(平均40%)が得られている。いま、解析対象となっているスライス画像の空気領域が70%であるとして、標準座標系上の各座標における空気領域の確率分布と比較すると、このスライス画像の座標がZ=20である確率は0.8であり、このスライス画像の座標がZ=45である確率は0.2である。このような確率分布を利用した解析を、他の特徴量についても行い、各座標における確率を合計して最も確率が高くなる座標を、解析対象であるスライスの座標値とする。
【0036】
再び、図1を参照すると、スライス座標決定部25は、座標値探索部24が1シリーズ分のスライス画像について標準座標系における座標値を暫定的に付与すると、各スライス画像の画像付帯情報に含まれるスライス番号を参照して、スライス番号と座標値とが矛盾していないか否かを確認する。そして、矛盾が生じている場合には、それらのスライス画像及び暫定的に付与された座標値を座標値探索部24に戻し、スライス番号順になるように座標値の探索をやり直させる。一方、矛盾が生じていない場合には、スライス座標決定部25は、各スライス画像の画像付帯情報に標準座標系における座標値を追加して、画像データ格納部26に格納させる。
【0037】
このような動作を、モダリティ1から出力された各シリーズ画像について行うことにより、図6に示すように、別々に撮像されたシリーズ画像A〜Cが、標準座標系に関連付けられる。
【0038】
位置合わせ処理部27は、制御部21の制御の下で、格納部26に格納されている互いに異なるシリーズ画像に含まれるスライス画像同士を、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、各々に付与された座標値に基づいて関連付ける。
また、表示形式設定部28は、位置合わせ処理部27において互いに対応付けられたシリーズ画像を画像表示端末3に表示する際に、その表示形式を設定する。
【0039】
位置合わせ処理部27によって行われる位置合わせ処理方法、及び、表示形式設定部28によって設定される表示形式は、次に挙げる(1)〜(7)の通りである。
(1)対応するスライス画像を手動入力により表示させる方法
例えば、図7の(a)に示すように、シリーズ画像Aを読影中のユーザが、その内のスライス画像301と同じ断層が表されたスライス画像であって、過去に撮像されたものを参照したい場合に、ユーザはスライス画像301上にカーソル200を合わせてクリックする。それにより、スライス画像301に対応するスライス画像を表示する旨の命令が、画像サーバ2に入力される。それに応じて、位置合わせ処理部27は、図8に示すように、スライス画像301の画像付帯情報から標準座標系における座標値(例えば、Z=Z2=17.0)を取得し、同じ患者について過去に撮像されたシリーズ画像Bの内から、座標値Z=17.0が付与されたスライス画像を検索する。そして、座標値Z=17.0が付与されたスライス画像があった場合には、そのスライス画像401を格納部26から画像表示端末3に出力させる。それにより、図7の(b)に示すように、画像表示端末3の画面に、スライス画像301に対して解剖学的な断層の位置が等しいスライス画像401が表示される。
【0040】
2つのスライス画像の表示形式としては、図7の(b)に示すように、スライス画像301とスライス画像401とを1つの画面内に隣接して並べて表示しても良いし、2つの画像表示端末3を用いる場合には、それらの画像表示端末3にスライス画像301及び401をそれぞれ表示しても良い。また、図7の(a)において、ユーザが複数のスライス画像をクリックすることにより、互いに対応付けられた複数のスライス画像の組を並べて表示するようにしても良い。さらに、共通の標準座標系における座標値が付された3つ以上のシリーズ画像が存在する場合には、それらの間において対応するスライス画像を全て、又は、ユーザの指定により所望の数だけ表示するようにしても良い。
【0041】
ここで、シリーズ画像Aとシリーズ画像Bとにおいて、スライス間隔が異なっていたり、標準座標系における座標値Zの値がずれていたりする場合には、所望の座標値Zを有するスライス画像を取得できない場合がある。例えば、図8に示すように、シリーズ画像Aの内のスライス画像302(座標値Z=18.3)に対して、解剖学的な断層の位置が厳密に等しいスライス画像は、シリーズ画像Bには存在しない。そのような場合に、位置合わせ処理部27は、シリーズ画像Bの内から、座標値Zがスライス画像302の座標値に最も近いスライス画像402(座標値Z=18.4)を検索して表示させる。或いは、スライス画像302の座標値Z=18.3の両隣に位置する2枚のスライス画像403及び402(座標値Z=18.0及び18.4)を表示させても良い。さらに、2枚のスライス画像403及び402に基づいて、座標値Z=18.3におけるスライス画像を、補間処理によって新たに生成して表示させても良い。それにより、画像表示端末3の画面に、スライス画像302に対して解剖学的な断層の位置が略等しいスライス画像を表示することができる。
【0042】
(2)続きのスライス画像を手動入力により表示させる方法
図9に示すように、ユーザがシリーズ画像Aを読影しているときに、スライス画像303の続きとなるスライス画像を参照したい場合に、ユーザはその旨の命令を画像サーバ2に入力する。命令の入力方法としては、例えば、画像表示端末3の画面に表示されたスライス画像にカーソルを合わせて右クリックし、それによって表示されたポップアップから所望の命令を選択するようにすれば良い。それに応じて、位置合わせ処理部27は、スライス画像303の画像付帯情報から、標準座標系における座標値Z=18.6を取得し、同じ患者について撮像されたシリーズ画像Cの内から、座標Z=18.6又はその近辺のスライス画像を検索する。そして、座標Z=18.6又はその近辺のスライス画像401以降のスライス画像を、画像表示端末3に表示させる。
【0043】
(3)対応するスライス画像を連動して自動表示(スタック表示)させる方法
ユーザによってシリーズ画像Aとシリーズ画像Bとを連動表示させる旨がサーバ2(図1)に入力されると、位置合わせ処理部27は、格納部26からシリーズ画像A及びBの画像付帯情報を取得する。そして、シリーズ画像Aの各スライス画像に付与された標準座標系における座標値Zと、シリーズ画像Bの各スライス画像に付与された標準座標系における座標値Zとに基づいて、座標値Zが等しいスライス画像を互いに対応付ける(図8参照)。一方、表示形式設定部28は、図10に示すように、シリーズ画像A及びBを表す画像データを2つの画像表示端末3にそれぞれ出力させ、互いに対応付けられたスライス画像が画面上の対応する位置に表示されるように、スライス画像の配置を決定する。
【0044】
なお、先にも述べたように、一方のシリーズ画像内のスライス画像が、他方のシリーズ画像内のスライス画像に厳密に対応付けられないことがある。そのような場合には、先に述べたように、座標値Zが最も近似しているスライス画像同士を関連づけるようにしても良いし、補間処理により、座標値Zが等しいスライス画像を新たに生成しても良い。或いは、対応付ける相手が存在しないスライス画像については、そのスライス画像の相手方の表示欄を空欄にしておいても良い。
【0045】
(4)対応するスライス画像を連動して自動表示(シネ表示)させる方法
ユーザによってシリーズ画像Aとシリーズ画像Bとを連動シネ表示させる旨がサーバ2(図1)に入力されると、位置合わせ処理部27は、上記の方法(3)において説明したのと同様に、それらのシリーズ画像A及びBにそれぞれ含まれるスライス画像を互いに対応付ける。一方、表示形式設定部28は、図11に示すように、シリーズ画像A及びBを表す画像データを2つの画像表示端末3にそれぞれ出力させ、互いに対応付けられたスライス画像が2つの画面上にそれぞれ、同じタイミングで順次表示されるように、表示を切り替える。なお、この方法においても、2つのシリーズ画像にそれぞれ含まれるスライス画像を厳密に対応付けられない場合には、座標値Zが最も近似しているスライス画像同士を関連づけても良いし、補間処理により新たなスライス画像を生成しても良い。或いは、対応付ける相手が存在しないスライス画像については、そのスライス画像の表示タイミングにおいて相手方の表示欄を空欄にしておいても良い
【0046】
上記の方法(3)及び(4)においては、シリーズ画像A及びBを2つの画像表示端末3にそれぞれ表示させているが、1つの画像表示端末3の画面に2つの領域を設けて、それらの領域にシリーズ画像A及びBをそれぞれ表示させても良い。また、共通の標準座標系における座標値が付された3つ以上のシリーズ画像が存在する場合には、それらの間において対応するスライス画像を全て、又は、ユーザの指定により所望の数だけ連動して表示させるようにしても良い。
【0047】
以上の方法(1)〜(4)においては、互いに異なるシリーズ画像を同時に表示させているが、その際には、階調、回転、縮尺等の表示パラメータを互いに揃えることが望ましい。
【0048】
(5)模式図と連携してスライス画像を表示させる方法
図12に示すように、標準座標系に関連付けられた人体組織の模式図を予め用意しておき、画面の一部に模式図を表示させておく。そして、ユーザが模式図上の所望の位置にカーソル220を合わせてクリックすると、位置合わせ処理部27は、その位置に相当する座標値Zを取得し、読影対象となっているシリーズ画像や過去に撮像されたシリーズ画像から、その座標値Zが付与されたスライス画像を検索して、画像データを出力させる。それにより、ユーザ所望の解剖学的な断層が表されたスライス画像が、画像表示端末3(図1)に表示される。
【0049】
(6)部位リストと連携してスライス画像を表示させる方法
上記の方法(5)における人体組織の模式図の替わりに、図13に示すように、標準座標系に関連付けられた部位リストを用意しても良い。例えば、ユーザが、リスト中の「肺尖」欄にカーソル230を合わせてクリックすると、位置合わせ処理部27は、「肺尖」に対応する座標値Zを取得し、読影対象となっているシリーズ画像や過去に撮像されたシリーズ画像からその座標値Zが付与されたスライス画像を検索して、画像データを出力させる。
【0050】
(7)単純X線画像と連携してスライス画像を表示させる方法
上記の方法(5)における人体組織の模式図の替わりに、読影対象となっているシリーズ画像と同じ患者について撮影された単純X線画像を標準座標系に関連付けることにより、シリーズ画像と単純X線画像とを連携させても良い。単純X線画像に表された体部の各部分に標準座標系における座標値Zを割り当てる際には、公知の自動画像認識技術を利用すれば良い。例えば、胸部X線画像については、特開2005−198887号公報に開示されている肺野認識技術を適用しても良い。
【0051】
上記の方法(5)〜(7)においては、標準座標系における座標値を利用することにより、スライス画像をユーザ所望の模式図等に容易に連携させることができ、また、連携させる模式図等を容易に切り替えることが可能になる。さらに、連携させる模式図等の所望の領域をユーザが指定することにより、その領域に相当する座標値Z(又はその近似値)が付与されたスライス画像を複数のシリーズ画像の内からそれぞれ検索し、それらを並べて同時に表示させても良いし、それらのスライス画像から出発して、対応するスライス画像を連動してスタック表示又はシネ表示させても良い。
【0052】
次に、本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。図14は、本実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。
図14に示すように、このシステムは、図1に示す画像サーバ2の替わりに、画像サーバ5と、医用画像処理装置6と、画像格納装置7とを含んでいる。これらの装置5〜7は、DICOM規格に準拠している。その他の構成については、図1に示すシステムにおけるものと同様である。
【0053】
画像サーバ5は、モダリティ1から出力された画像データを保管及び管理するPACS用サーバである。画像サーバ5は、モダリティ1から入力された画像データを画像格納装置7に格納させる。また、画像サーバ5は、画像データを医用画像処理装置6にも出力し、複数のシリーズ画像間における位置合わせ処理を実行させる。さらに、画像サーバ5は、読影用端末4の要求に従って、画像格納装置7に格納されている画像データを画像表示端末3に出力するように、画像格納装置7を制御する。
【0054】
医用画像処理装置6は、複数のシリーズ画像間において、それらに含まれるスライス画像の位置合わせを行う装置であり、標準座標系及び特徴量格納部61と、特徴量計算部62と、座標値探索部63と、スライス座標決定部64と、位置合わせ処理部65と、表示形式設定部66とを有している。これらの各部の機能及び動作は、図1に示す標準座標系及び特徴量格納部22〜スライス座標決定部25、及び、位置合わせ処理部27〜表示形式設定部28におけるものと同様である。このような医用画像処理装置6は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。
【0055】
画像格納装置7は、例えば、画像サーバ5に接続されているハードディスクドライブである。或いは、記録媒体として、その他に、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いても良く、その場合には、それらの記録媒体を駆動する駆動装置が、画像サーバ5に接続される。或いは、画像サーバ5に画像格納装置7を内蔵させても良い。
【0056】
このように、本実施形態においては、医用画像処理装置6をPCによって構成するので、既存の医用画像撮影システムに医用画像位置合わせ処理機能を容易に組み込むことができる。従って、既存の設備を活用しつつ、所望のスライス画像を効率良く表示させることが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態において、医用画像処理装置6は、画像処理後の画像データやそれらの画像付帯情報を画像格納装置7に出力して格納させているが、医用画像処理装置6に内蔵されている格納装置(例えば、ハードディスク)に画像データや画像付帯情報を格納するようにしても良い。
【0058】
ここで、以上説明した第1及び第2の実施形態においては、モダリティ1から直接画像サーバ2及び5に入力された画像データについて、位置合わせ処理が行われている。しかしながら、モダリティ1において生成された後で一旦記録媒体に格納された画像データを画像サーバ2又は医用画像処理装置6に読み込むことにより、位置合わせ処理を行っても良い。
【0059】
次に、本発明の第1及び第2の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの別の構成例について、図15を参照しながら説明する。図15に示すように、このシステムにおいて、モダリティ1、画像サーバ2、画像表示端末3、読影用端末4は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等のネットワークN1を介して互いに接続されている。或いは、画像サーバ2の替わりに、図14に示す画像サーバ5と、医用画像処理装置6と、画像格納装置7とを、ネットワークN1に接続しても良い。また、このネットワークN1に、各診療科に設置されている端末30や、RIS(radiology information system:放射線科情報管理システム)40や、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)50を接続しても良い。
【0060】
図15に示すように、医用画像位置合わせ処理機能を有する画像サーバ2(又は、医用画像処理装置6)をネットワークN1に接続することにより、互いに位置合わせされた複数のシリーズ画像を種々の端末(例えば、読影用端末4や、各診療科端末30)において利用できるようになるので、効率の良い読影や医療診断を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、医療用撮像モダリティによって取得された画像データに基づいて、画像表示端末に軸位断画像を表示させる医用画像処理装置、及び、そのような装置において用いられる医用画像処理プログラムにおいて利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示す図である。
【図2】骨格に関する標準座標系を示す図である。
【図3】標準特徴量を示すテーブルである。
【図4】空気領域特徴量の体軸方向における変化を示すグラフである。
【図5】確率分布に基づいて特徴量を求める方法を説明するための図である。
【図6】シリーズ画像の標準座標系への関連付けの概念を示す図である。
【図7】対応するスライス画像を手動入力により表示させる方法を説明するための図である。
【図8】標準座標系を介したスライス画像の位置合わせを説明するための図である。
【図9】続きのスライス画像を手動入力により表示させる方法を説明するための図である。
【図10】位置合わせされたスライス画像が連動して自動表示(スタック表示)される画面を示す図である。
【図11】位置合わせされたスライス画像が連動して自動表示(シネ表示)される画面を示す図である。
【図12】模式図と連携してスライス画像を表示させる方法において用いられる模式図を示す図である。
【図13】部位リストと連携してスライス画像を表示させる方法において用いられる部位リストである。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムを示すブロック図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 モダリティ
1a コンピュータ断層撮影(CT)装置
1b コンピュータ放射線撮影(CR)装置
1c 磁気共鳴撮像(MRI)装置
1d ポジトロン断層撮影(PET)装置
1e 超音波撮像(US)装置
2、5 画像サーバ
3 画像表示端末
3a、4a 画面
4 読影用端末
4b 入力デバイス
6 医用画像処理装置
21 制御部
22、61 標準座標系及び特徴量格納部
23、62 特徴量計算部
24、63 座標値探索部
25、64 スライス座標決定部
26 画像データ格納部
27、65 位置合わせ処理部
28、66 表示形式設定部
30 診療科端末
40 放射線科情報管理システム(RIS)
50 病院情報システム(HIS)
200、220 カーソル
100、301〜303、211、212、401〜403 スライス画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用撮像モダリティによって取得された画像データに基づいて、画像表示端末に軸位断画像を表示させる医用画像処理装置、及び、そのような装置において用いられる医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療診断においては、生体の内部が表示された医用画像が多く用いられており、そのような医用画像を取得するために、X線撮影や、X線CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置や、超音波(US)診断装置や、MRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴撮像)装置や、PET(positron emission tomography:ポジトロン断層撮影)等の様々な技術や装置(モダリティ)が広く利用されている。それらの装置の多くはディジタル化されており、病院内での診断情報処理システム等の構築が進められている。また、それらの撮像技術の内でも、CTやMRIは生体の軸位断画像を比較的狭い間隔で取得して表示できるので、生体の病変部位の発見や評価に大きな成果を上げている。ここで、軸位断画像とは、被検体の体軸に直交又はほぼ直交する面(所謂、輪切り面)が表された断層像のことをいう。以下において、軸位断画像のことを、単にスライス画像とも言う。
【0003】
このような医用画像に基づいて医療診断を行う際に、患部の経時的変化を観察するために、同一の患者の同一部位を異なる時期に撮像したスライス画像を比較読影する場合がある。そのような場合に、読影医は、まず、一方のシリーズ画像の内の注目すべきスライス画像に対して、解剖学的にそれと同じ断層面が表されたスライス画像を、他方のシリーズ画像の内から探し出さなくてはならない。ところが、1回の撮像によって生成される1連(1シリーズ)の画像に含まれるスライス画像は、数百枚、或いは、それ以上になるため、そのような作業は読影医にとって大変な手間となっている。
【0004】
関連する技術として、特許文献1には、少なくとも1つの医用画像撮影モダリティに基づく複数回の検査により取得された複数枚の断層像から成る複数組の三次元画像を出力デバイスに表示するようにした画像表示システムにおいて、複数組の三次元画像の中から解剖学的断層位置が略同一の第1の断層像対を少なくとも1つ指定する指定手段と、上記複数組の三次元画像中の少なくとも1つの三次元画像の断層間隔及び第1の断層像対間の位置情報に基づいて、上記複数組の三次元画像の中から解剖学的断層位置が略同一の少なくとも1つの断層像対を設定する断層像対設定手段と、設定された少なくとも1つの断層像対を出力デバイスに表示させる表示制御手段とを備える画像表示システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、医用画像撮像装置により得た複数枚の断層画像である同一受診者の当日撮影胸部画像(現在画像)と過去撮影胸部画像(過去画像)を読み込み、その両画像を同時に画像表示手段に表示する画像診断支援装置において、現在画像及び過去画像から気管及び気管支を抽出する抽出手段と、該抽出手段によって抽出された気管から最初に分岐する気管支分岐部をそれぞれ判別する気管支分岐判別手段と、該気管支分岐判別手段によってそれぞれ判別した気管支分岐部に対応する現在画像と過去画像とを基準にして、体軸方向の同一位置における現在画像と過去画像とを画像表示手段に表示させる画像位置合わせ手段とを備える画像診断支援装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−294485号公報
【特許文献2】特開2005−124895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、2つのシリーズ画像の間において、解剖学的に同じ断層が表された複数組のスライス画像の位置を合わせる手法が知られている。しかしながら、3つ以上のシリーズ画像について位置合わせを行いたい場合には、2つのシリーズ画像間における座標系の変換処理(位置合わせ処理)を、全ての組み合わせについて行わなくてはならい。例えば、5つのシリーズ画像A〜Eを互いに位置合わせする場合には、AとB、AとC、…、DとEの計20回の演算処理を行う必要が生じる。従って、非常に多くの手間と時間を要しており、効率が悪い。
【0007】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、3つ以上のシリーズ画像についても、それらに含まれるスライス画像を、簡単且つ短時間に位置合わせすることができる医用画像処理装置と、そこで用いられる医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る医用画像処理装置は、入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する格納手段と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与する座標決定手段とを具備する。
【0009】
また、本発明の1つの観点に係る医用画像処理プログラムは、入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置において用いられるプログラムであって、被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を読み出す手順(a)と、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、上記座標系における座標値を付与する手順(b)とをCPUに実行させる。
【0010】
本願において、各軸位断画像のことを「スライス画像」といい、1つのシリーズに含まれる軸位断画像の集合のことを「シリーズ画像」という。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数のスライス画像に、解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系における座標値を付与するので、その座標系を介してシリーズ画像間の位置合わせを容易に行うことができる。また、シリーズ画像間の座標変換等の直接的な処理が不要になるので、3つ以上のシリーズ画像を位置合わせする場合においても、少ない手間で効率的に処理することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。この医用画像撮影システムは、被検体について医用画像の撮像検査を行うモダリティ1と、画像サーバ2と、画像表示端末3と、読影用端末4とを含んでいる。これらの装置1〜4は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠している。
【0013】
モダリティ1は、CT装置1aや、CR(computed radiography)装置1bや、MRI装置1cや、PET装置1dや、超音波診断装置(US)1e等の医用画像撮影装置を含んでいる。これらのモダリティ1a〜1eは、撮像検査を行うことにより画像データを生成して、画像付帯情報と共に画像サーバ2に出力する。画像付帯情報には、例えば、患者情報(氏名、年齢、性別等)や、撮像日情報や、部位情報(頭部、胸部、腹部等)や、画像の方向を表す情報((0020,0037):Image Orientation(Patient)、又は、(0020,0020):Patient Orientation)や、スライスの厚さを表す情報((0018,0050):Slice Thickness)等が含まれる。ここで、括弧内は、各情報のDICOMタグ及び属性名を示している。
【0014】
画像サーバ2は、モダリティ1によって取得された画像データを保管及び管理するPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像情報システム)用のサーバである。この画像サーバ2は、通常の画像サーバの機能(画像データの保管等)に加えて、複数のシリーズ画像間における位置合わせを行う機能(位置合わせ処理機能)も有しており、位置合わせ用の医用画像処理装置としても動作する。画像サーバ2は、後述する読影用端末4の要求に従って、画像データを画像表示端末3に出力する。画像サーバ2の機能及び動作については、後で詳しく説明する。
【0015】
画像表示端末3は、外部から入力される画像データに基づいて検査画像を表示する端末装置であり、高精細なディスプレイを備えている。また、画像表示端末3は、ユーザが命令を入力するための入力装置(例えば、入力ボタン、キーボード、マウス等)を備えていても良い。なお、図1に示す画像表示端末3の画面3aには、複数の軸位断画像が模式的に示されている。
【0016】
読影用端末4は、ユーザ(読影医)が、画像表示端末3に表示された検査画像を参照しながら読影レポート等を作成するために用いられる装置であり、読影レポート等を表示する画面4aや、キーボード等の入力デバイス4b等を備えている。
【0017】
次に、画像サーバ2の機能及び位置合わせ処理動作について説明する。図1に示すように、画像サーバ2は、制御部21と、標準座標系及び特徴量格納部22と、特徴量計算部23と、座標値探索部24と、スライス座標決定部25と、格納部26と、位置合わせ処理部27と、表示形式設定部28とを有している。この内の制御部21、特徴量計算部23〜スライス座標決定部25、及び、位置合わせ処理部27〜表示形式設定部28は、CPU(中央演算処理装置)とプログラムとによって構成されており、以下に説明する位置合わせ処理動作は、格納部26に格納されている本実施形態に係る医用画像処理プログラムに従って、CPUにより実行される。
【0018】
制御部21は、モダリティ1から出力された画像データ及びその画像付帯情報を格納部26に格納させる。また、制御部21は、入力された画像データによって表される画像の方向(軸位断(axial)、冠状断(coronal)、矢状断方向(sagittal)等)を確認し、軸位断方向である場合には、その画像データ及び画像付帯情報を特徴量計算部23にも出力する。なお、画像の方向は、例えば、DICOMタグ(0020,0037):Image Orientation(Patient)、又は、(0020,0020):Patient Orientationが付与された画像付帯情報によって取得される。
【0019】
格納部26は、例えば、画像サーバ2に内蔵されているハードディスクドライブであり、制御部21の制御の下で、画像データ及びその画像付帯情報や、CPUに位置合わせ動作をさせるための制御プログラム(医用画像部位分割プログラム)等を格納する。なお、記録媒体としては、ハードディスクの他に、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いても良く、その場合には、それらの記録媒体を駆動する駆動装置が、画像サーバ2に内蔵され、又は、画像サーバ2の外部に接続される。
【0020】
標準座標系及び特徴量格納部22は、予め用意されている1つ又は複数の標準座標系と、標準座標系の各座標値における標準特徴量を格納している。
標準座標系とは、複数のシリーズ画像間の位置合わせを行う際に基準として使用される座標系であり、被検体の各部分の位置を体軸(Z軸)上の座標値として表したものである。
【0021】
図2は、骨格に関する標準座標系を示す模式図である。この標準座標系においては、頭頂部をZ=0、足底部をZ=100としている。このようなスケールにおいて、眼球の座標値Zは6.7であり、第一頚椎の座標値Zは10.0であり、第一胸椎の座標値Zは17.3であり、第一腰椎の座標値Zは34.7であり、恥骨結合の座標値Zは51.3となっている。
【0022】
標準座標系としては、図2に示す骨格を基準とした座標系の他に、臓器の配置を基準とした座標系(軟部組織に関する標準座標系)等を用意しても良い。また、呼吸の状態に応じて複数の座標系を用意しても良い(例えば、呼気状態座標系、吸気状態座標系、平均状態座標系等)。さらに、骨格のバランスや臓器の配置は、年齢や身長や男女の別等に応じて変化するので、被検体の分類に応じて複数の座標系を作成しても良い(例えば、幼児用座標系、12〜15歳用座標系、成年用座標系、男性用座標系、女性用座標系等)。
【0023】
一方、特徴量とは、1つの軸位断面における解剖学的な特徴を様々な観点から数値化したものである。その内の標準特徴量とは、標準座標系の各座標値における一般的な(標準的な)特徴量のことである。図3は、標準座標系及び特徴量格納部22に格納されている標準特徴量テーブルを示している。ある座標値Zにおけるスライス画像は、以下に説明する標準特徴量XA、XB、XC、XDによって特徴付けられる。
【0024】
ここで、モダリティによらず、スライス画像全般においては、特徴量として、体部の形状に基づいて算出した値(例えば、円形度)が用いることができる。また、各画素データの値(即ち、画素の輝度)が体部の特性(組織性状等)に対応している場合には、その値から特徴量を算出しても良い。例えば、CT画像における画素データの値はCT値によって決定されるが、この値は、体部を透過した放射線量を表す物理量である。なお、水のCT値は0HUであり、空気領域のCT値は−1000HU程度であり、骨領域のCT値は、例えば、80HU〜1000HU程度である。また、臓器等の軟部組織のCT値は、空気領域よりも高く、骨領域よりも低い、例えば、28HU〜60HU程度である。
【0025】
図3に示すように、本実施形態においては、次の4つの特徴量を用いている。
(a)体部全体の円形度
円形度XAは、対象領域の面積S及びその周囲の長さLを用いて、次式(1)によって算出される。
XA=4πS/L2 …(1)
円形度XAは、対象領域の形状が真円に近づくほど1.0に近づき、形状が真円から離れるほど(例えば、楕円率が1から離れるほど)小さくなる。例えば、対象領域が頭部である場合には、円形度は比較的高くなる。反対に、対象領域が胸部や腹部である場合には、円形度は比較的低くなる。
【0026】
(b)空気領域特徴量
空気領域特徴量XBは、(空気領域を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。例えば、対象領域が胸部である場合には、肺が存在しているために空気領域は比較的広くなる(40%〜80%)。また、腹部においては、空気領域の割合は、それよりも若干低くなる(10%〜40%)。さらに、対象領域が頭部や脚部である場合には、空気領域はほぼゼロとなる。
【0027】
(c)骨領域特徴量
骨領域特徴量XCは、(骨領域を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。例えば、対象領域が腹部である場合には、体部全体に対する骨部の領域は比較的狭い範囲となる。反対に、対象領域が脚部である場合には、体部全体に対して骨部が多くの割合を占める。
【0028】
(d)軟部組織特徴量
軟部組織特徴量XDは、(軟部組織を示すCT値の画素数)/(体部全体の画素数)によって算出される。
【0029】
なお、上記の(b)〜(d)を採用する場合には、体部全体から脂肪領域を除くことが望ましい。脂肪領域は個人差による変動要素が大きいからである。
或いは、モダリティに対応した画素値のヒストグラムそのものや確率分布を標準特徴量として利用しても良い。
【0030】
標準座標系及び特徴量格納部22に格納されている標準特徴量は、例えば、次のようにして用意される。
(i)論文等に開示されている解剖学的な既知データから標準特徴量を取得する。
(ii)特定の被検体を表すシリーズ画像を解析することによって特徴量を取得する。
(iii)過去に撮像されたシリーズ画像の内で、各スライス画像に表された体部の解剖学的な位置(第一頚椎、肺尖等)が特定されているものを抽出し、スライス画像の解析を行うことにより特徴量を求め、それらの平均値を標準特徴量とする。
【0031】
ここで、上記の方法(iii)を用いる場合には、全てのスライス画像を目視観察することにより、そこに表された体部の解剖学的な位置を特定しても良い。また、より簡易な方法として、適当な間隔で目視観察することにより幾つかのスライス画像の解剖学的な位置を特定し、画像付帯情報の内のスライス間隔情報を用いて、計算によりそれらの間のスライス画像の位置を決定しても良い。さらに、別の方法として、解剖学的な位置が既知である部位が表されたスライス画像を、手動又は自動で認識するようにしても良い。例えば、図4の(a)に示すように、特徴量の1つである空気領域の変化を観察すると、空気領域が増加し始める位置(胸部の開始位置)や、空気領域が急激に減少する位置(胸部と腹部の境界)が発見される。そこで、図4の(b)に示すように、1シリーズのスライス画像について算出された空気領域の微分値を探索することにより、そのような特徴的な位置(境界等)を特定することができる。さらに、スライス間隔情報を用いて、それらの間のスライス画像の位置を計算により決定すればよい。
このような標準特徴量は、標準座標系が複数存在する場合には、標準座標系ごとに用意される。また、1つの標準座標系に対して、標準特徴量をモダリティごとに用意しても良い。
【0032】
再び、図1を参照すると、特徴量計算部23は、制御部21から入力されたスライス画像の特徴量を算出する。本実施形態においては、標準特徴量XAに対応する特徴量Xa(円形度)と、標準特徴量XBに対応する特徴量Xb(空気領域)と、標準特徴量XCに対応する特徴量Xc(骨領域)と、標準特徴量XDに対応する特徴量Xd(軟部組織領域)とが算出される。
【0033】
座標値探索部24は、特徴量計算部23において算出された特徴量に最も適合する標準特徴量と、その標準特徴量に対応する所定の標準座標系における座標値を探索する。そして、その標準特徴量に対応する座標値を、解析対象となっているスライス画像の座標値として暫定的に付与する。なお、座標値探索部24において用いられる標準座標系は、ユーザが指定しても良いし、画像付帯情報(患者情報、撮像部位等)に基づいて、特徴量計算部23が選択するようにしても良い。
【0034】
座標値の探索方法としては、例えば、次の方法(1)及び(2)が挙げられる。
(1)評価関数を用いる方法
所定の評価関数を用意し、その値が最も小さくなるときの標準特徴量を求め、その標準特徴量に対応する標準座標系上の座標値を、スライス画像の座標値とする。評価関数としては、例えば、算出された特徴量と標準特徴量との差の絶対値の和|Xa−XA|+|Xb−XB|+|Xc−XC|+|Xd−XD|や、平均自乗誤差{((Xa−XA)2+(Xb−XB)2+(Xc−XC)2+(Xd−XD)2)/4}1/2が用いられる。また、評価関数の値を計算する際には、特徴量の種類に応じて重み付けをしても良い。
【0035】
(2)確率分布を用いる方法
標準特徴量として確率分布が用意されている場合には、確率分布を利用して特徴量のマッチングを行う。
ここで、図5を参照すると、標準座標系上の座標Z=20における空気領域の標準特徴量の確率分布(平均80%)と、座標Z=45における空気領域の標準特徴量の確率分布(平均40%)が得られている。いま、解析対象となっているスライス画像の空気領域が70%であるとして、標準座標系上の各座標における空気領域の確率分布と比較すると、このスライス画像の座標がZ=20である確率は0.8であり、このスライス画像の座標がZ=45である確率は0.2である。このような確率分布を利用した解析を、他の特徴量についても行い、各座標における確率を合計して最も確率が高くなる座標を、解析対象であるスライスの座標値とする。
【0036】
再び、図1を参照すると、スライス座標決定部25は、座標値探索部24が1シリーズ分のスライス画像について標準座標系における座標値を暫定的に付与すると、各スライス画像の画像付帯情報に含まれるスライス番号を参照して、スライス番号と座標値とが矛盾していないか否かを確認する。そして、矛盾が生じている場合には、それらのスライス画像及び暫定的に付与された座標値を座標値探索部24に戻し、スライス番号順になるように座標値の探索をやり直させる。一方、矛盾が生じていない場合には、スライス座標決定部25は、各スライス画像の画像付帯情報に標準座標系における座標値を追加して、画像データ格納部26に格納させる。
【0037】
このような動作を、モダリティ1から出力された各シリーズ画像について行うことにより、図6に示すように、別々に撮像されたシリーズ画像A〜Cが、標準座標系に関連付けられる。
【0038】
位置合わせ処理部27は、制御部21の制御の下で、格納部26に格納されている互いに異なるシリーズ画像に含まれるスライス画像同士を、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、各々に付与された座標値に基づいて関連付ける。
また、表示形式設定部28は、位置合わせ処理部27において互いに対応付けられたシリーズ画像を画像表示端末3に表示する際に、その表示形式を設定する。
【0039】
位置合わせ処理部27によって行われる位置合わせ処理方法、及び、表示形式設定部28によって設定される表示形式は、次に挙げる(1)〜(7)の通りである。
(1)対応するスライス画像を手動入力により表示させる方法
例えば、図7の(a)に示すように、シリーズ画像Aを読影中のユーザが、その内のスライス画像301と同じ断層が表されたスライス画像であって、過去に撮像されたものを参照したい場合に、ユーザはスライス画像301上にカーソル200を合わせてクリックする。それにより、スライス画像301に対応するスライス画像を表示する旨の命令が、画像サーバ2に入力される。それに応じて、位置合わせ処理部27は、図8に示すように、スライス画像301の画像付帯情報から標準座標系における座標値(例えば、Z=Z2=17.0)を取得し、同じ患者について過去に撮像されたシリーズ画像Bの内から、座標値Z=17.0が付与されたスライス画像を検索する。そして、座標値Z=17.0が付与されたスライス画像があった場合には、そのスライス画像401を格納部26から画像表示端末3に出力させる。それにより、図7の(b)に示すように、画像表示端末3の画面に、スライス画像301に対して解剖学的な断層の位置が等しいスライス画像401が表示される。
【0040】
2つのスライス画像の表示形式としては、図7の(b)に示すように、スライス画像301とスライス画像401とを1つの画面内に隣接して並べて表示しても良いし、2つの画像表示端末3を用いる場合には、それらの画像表示端末3にスライス画像301及び401をそれぞれ表示しても良い。また、図7の(a)において、ユーザが複数のスライス画像をクリックすることにより、互いに対応付けられた複数のスライス画像の組を並べて表示するようにしても良い。さらに、共通の標準座標系における座標値が付された3つ以上のシリーズ画像が存在する場合には、それらの間において対応するスライス画像を全て、又は、ユーザの指定により所望の数だけ表示するようにしても良い。
【0041】
ここで、シリーズ画像Aとシリーズ画像Bとにおいて、スライス間隔が異なっていたり、標準座標系における座標値Zの値がずれていたりする場合には、所望の座標値Zを有するスライス画像を取得できない場合がある。例えば、図8に示すように、シリーズ画像Aの内のスライス画像302(座標値Z=18.3)に対して、解剖学的な断層の位置が厳密に等しいスライス画像は、シリーズ画像Bには存在しない。そのような場合に、位置合わせ処理部27は、シリーズ画像Bの内から、座標値Zがスライス画像302の座標値に最も近いスライス画像402(座標値Z=18.4)を検索して表示させる。或いは、スライス画像302の座標値Z=18.3の両隣に位置する2枚のスライス画像403及び402(座標値Z=18.0及び18.4)を表示させても良い。さらに、2枚のスライス画像403及び402に基づいて、座標値Z=18.3におけるスライス画像を、補間処理によって新たに生成して表示させても良い。それにより、画像表示端末3の画面に、スライス画像302に対して解剖学的な断層の位置が略等しいスライス画像を表示することができる。
【0042】
(2)続きのスライス画像を手動入力により表示させる方法
図9に示すように、ユーザがシリーズ画像Aを読影しているときに、スライス画像303の続きとなるスライス画像を参照したい場合に、ユーザはその旨の命令を画像サーバ2に入力する。命令の入力方法としては、例えば、画像表示端末3の画面に表示されたスライス画像にカーソルを合わせて右クリックし、それによって表示されたポップアップから所望の命令を選択するようにすれば良い。それに応じて、位置合わせ処理部27は、スライス画像303の画像付帯情報から、標準座標系における座標値Z=18.6を取得し、同じ患者について撮像されたシリーズ画像Cの内から、座標Z=18.6又はその近辺のスライス画像を検索する。そして、座標Z=18.6又はその近辺のスライス画像401以降のスライス画像を、画像表示端末3に表示させる。
【0043】
(3)対応するスライス画像を連動して自動表示(スタック表示)させる方法
ユーザによってシリーズ画像Aとシリーズ画像Bとを連動表示させる旨がサーバ2(図1)に入力されると、位置合わせ処理部27は、格納部26からシリーズ画像A及びBの画像付帯情報を取得する。そして、シリーズ画像Aの各スライス画像に付与された標準座標系における座標値Zと、シリーズ画像Bの各スライス画像に付与された標準座標系における座標値Zとに基づいて、座標値Zが等しいスライス画像を互いに対応付ける(図8参照)。一方、表示形式設定部28は、図10に示すように、シリーズ画像A及びBを表す画像データを2つの画像表示端末3にそれぞれ出力させ、互いに対応付けられたスライス画像が画面上の対応する位置に表示されるように、スライス画像の配置を決定する。
【0044】
なお、先にも述べたように、一方のシリーズ画像内のスライス画像が、他方のシリーズ画像内のスライス画像に厳密に対応付けられないことがある。そのような場合には、先に述べたように、座標値Zが最も近似しているスライス画像同士を関連づけるようにしても良いし、補間処理により、座標値Zが等しいスライス画像を新たに生成しても良い。或いは、対応付ける相手が存在しないスライス画像については、そのスライス画像の相手方の表示欄を空欄にしておいても良い。
【0045】
(4)対応するスライス画像を連動して自動表示(シネ表示)させる方法
ユーザによってシリーズ画像Aとシリーズ画像Bとを連動シネ表示させる旨がサーバ2(図1)に入力されると、位置合わせ処理部27は、上記の方法(3)において説明したのと同様に、それらのシリーズ画像A及びBにそれぞれ含まれるスライス画像を互いに対応付ける。一方、表示形式設定部28は、図11に示すように、シリーズ画像A及びBを表す画像データを2つの画像表示端末3にそれぞれ出力させ、互いに対応付けられたスライス画像が2つの画面上にそれぞれ、同じタイミングで順次表示されるように、表示を切り替える。なお、この方法においても、2つのシリーズ画像にそれぞれ含まれるスライス画像を厳密に対応付けられない場合には、座標値Zが最も近似しているスライス画像同士を関連づけても良いし、補間処理により新たなスライス画像を生成しても良い。或いは、対応付ける相手が存在しないスライス画像については、そのスライス画像の表示タイミングにおいて相手方の表示欄を空欄にしておいても良い
【0046】
上記の方法(3)及び(4)においては、シリーズ画像A及びBを2つの画像表示端末3にそれぞれ表示させているが、1つの画像表示端末3の画面に2つの領域を設けて、それらの領域にシリーズ画像A及びBをそれぞれ表示させても良い。また、共通の標準座標系における座標値が付された3つ以上のシリーズ画像が存在する場合には、それらの間において対応するスライス画像を全て、又は、ユーザの指定により所望の数だけ連動して表示させるようにしても良い。
【0047】
以上の方法(1)〜(4)においては、互いに異なるシリーズ画像を同時に表示させているが、その際には、階調、回転、縮尺等の表示パラメータを互いに揃えることが望ましい。
【0048】
(5)模式図と連携してスライス画像を表示させる方法
図12に示すように、標準座標系に関連付けられた人体組織の模式図を予め用意しておき、画面の一部に模式図を表示させておく。そして、ユーザが模式図上の所望の位置にカーソル220を合わせてクリックすると、位置合わせ処理部27は、その位置に相当する座標値Zを取得し、読影対象となっているシリーズ画像や過去に撮像されたシリーズ画像から、その座標値Zが付与されたスライス画像を検索して、画像データを出力させる。それにより、ユーザ所望の解剖学的な断層が表されたスライス画像が、画像表示端末3(図1)に表示される。
【0049】
(6)部位リストと連携してスライス画像を表示させる方法
上記の方法(5)における人体組織の模式図の替わりに、図13に示すように、標準座標系に関連付けられた部位リストを用意しても良い。例えば、ユーザが、リスト中の「肺尖」欄にカーソル230を合わせてクリックすると、位置合わせ処理部27は、「肺尖」に対応する座標値Zを取得し、読影対象となっているシリーズ画像や過去に撮像されたシリーズ画像からその座標値Zが付与されたスライス画像を検索して、画像データを出力させる。
【0050】
(7)単純X線画像と連携してスライス画像を表示させる方法
上記の方法(5)における人体組織の模式図の替わりに、読影対象となっているシリーズ画像と同じ患者について撮影された単純X線画像を標準座標系に関連付けることにより、シリーズ画像と単純X線画像とを連携させても良い。単純X線画像に表された体部の各部分に標準座標系における座標値Zを割り当てる際には、公知の自動画像認識技術を利用すれば良い。例えば、胸部X線画像については、特開2005−198887号公報に開示されている肺野認識技術を適用しても良い。
【0051】
上記の方法(5)〜(7)においては、標準座標系における座標値を利用することにより、スライス画像をユーザ所望の模式図等に容易に連携させることができ、また、連携させる模式図等を容易に切り替えることが可能になる。さらに、連携させる模式図等の所望の領域をユーザが指定することにより、その領域に相当する座標値Z(又はその近似値)が付与されたスライス画像を複数のシリーズ画像の内からそれぞれ検索し、それらを並べて同時に表示させても良いし、それらのスライス画像から出発して、対応するスライス画像を連動してスタック表示又はシネ表示させても良い。
【0052】
次に、本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。図14は、本実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。
図14に示すように、このシステムは、図1に示す画像サーバ2の替わりに、画像サーバ5と、医用画像処理装置6と、画像格納装置7とを含んでいる。これらの装置5〜7は、DICOM規格に準拠している。その他の構成については、図1に示すシステムにおけるものと同様である。
【0053】
画像サーバ5は、モダリティ1から出力された画像データを保管及び管理するPACS用サーバである。画像サーバ5は、モダリティ1から入力された画像データを画像格納装置7に格納させる。また、画像サーバ5は、画像データを医用画像処理装置6にも出力し、複数のシリーズ画像間における位置合わせ処理を実行させる。さらに、画像サーバ5は、読影用端末4の要求に従って、画像格納装置7に格納されている画像データを画像表示端末3に出力するように、画像格納装置7を制御する。
【0054】
医用画像処理装置6は、複数のシリーズ画像間において、それらに含まれるスライス画像の位置合わせを行う装置であり、標準座標系及び特徴量格納部61と、特徴量計算部62と、座標値探索部63と、スライス座標決定部64と、位置合わせ処理部65と、表示形式設定部66とを有している。これらの各部の機能及び動作は、図1に示す標準座標系及び特徴量格納部22〜スライス座標決定部25、及び、位置合わせ処理部27〜表示形式設定部28におけるものと同様である。このような医用画像処理装置6は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。
【0055】
画像格納装置7は、例えば、画像サーバ5に接続されているハードディスクドライブである。或いは、記録媒体として、その他に、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いても良く、その場合には、それらの記録媒体を駆動する駆動装置が、画像サーバ5に接続される。或いは、画像サーバ5に画像格納装置7を内蔵させても良い。
【0056】
このように、本実施形態においては、医用画像処理装置6をPCによって構成するので、既存の医用画像撮影システムに医用画像位置合わせ処理機能を容易に組み込むことができる。従って、既存の設備を活用しつつ、所望のスライス画像を効率良く表示させることが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態において、医用画像処理装置6は、画像処理後の画像データやそれらの画像付帯情報を画像格納装置7に出力して格納させているが、医用画像処理装置6に内蔵されている格納装置(例えば、ハードディスク)に画像データや画像付帯情報を格納するようにしても良い。
【0058】
ここで、以上説明した第1及び第2の実施形態においては、モダリティ1から直接画像サーバ2及び5に入力された画像データについて、位置合わせ処理が行われている。しかしながら、モダリティ1において生成された後で一旦記録媒体に格納された画像データを画像サーバ2又は医用画像処理装置6に読み込むことにより、位置合わせ処理を行っても良い。
【0059】
次に、本発明の第1及び第2の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの別の構成例について、図15を参照しながら説明する。図15に示すように、このシステムにおいて、モダリティ1、画像サーバ2、画像表示端末3、読影用端末4は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等のネットワークN1を介して互いに接続されている。或いは、画像サーバ2の替わりに、図14に示す画像サーバ5と、医用画像処理装置6と、画像格納装置7とを、ネットワークN1に接続しても良い。また、このネットワークN1に、各診療科に設置されている端末30や、RIS(radiology information system:放射線科情報管理システム)40や、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)50を接続しても良い。
【0060】
図15に示すように、医用画像位置合わせ処理機能を有する画像サーバ2(又は、医用画像処理装置6)をネットワークN1に接続することにより、互いに位置合わせされた複数のシリーズ画像を種々の端末(例えば、読影用端末4や、各診療科端末30)において利用できるようになるので、効率の良い読影や医療診断を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、医療用撮像モダリティによって取得された画像データに基づいて、画像表示端末に軸位断画像を表示させる医用画像処理装置、及び、そのような装置において用いられる医用画像処理プログラムにおいて利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示す図である。
【図2】骨格に関する標準座標系を示す図である。
【図3】標準特徴量を示すテーブルである。
【図4】空気領域特徴量の体軸方向における変化を示すグラフである。
【図5】確率分布に基づいて特徴量を求める方法を説明するための図である。
【図6】シリーズ画像の標準座標系への関連付けの概念を示す図である。
【図7】対応するスライス画像を手動入力により表示させる方法を説明するための図である。
【図8】標準座標系を介したスライス画像の位置合わせを説明するための図である。
【図9】続きのスライス画像を手動入力により表示させる方法を説明するための図である。
【図10】位置合わせされたスライス画像が連動して自動表示(スタック表示)される画面を示す図である。
【図11】位置合わせされたスライス画像が連動して自動表示(シネ表示)される画面を示す図である。
【図12】模式図と連携してスライス画像を表示させる方法において用いられる模式図を示す図である。
【図13】部位リストと連携してスライス画像を表示させる方法において用いられる部位リストである。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムを示すブロック図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 モダリティ
1a コンピュータ断層撮影(CT)装置
1b コンピュータ放射線撮影(CR)装置
1c 磁気共鳴撮像(MRI)装置
1d ポジトロン断層撮影(PET)装置
1e 超音波撮像(US)装置
2、5 画像サーバ
3 画像表示端末
3a、4a 画面
4 読影用端末
4b 入力デバイス
6 医用画像処理装置
21 制御部
22、61 標準座標系及び特徴量格納部
23、62 特徴量計算部
24、63 座標値探索部
25、64 スライス座標決定部
26 画像データ格納部
27、65 位置合わせ処理部
28、66 表示形式設定部
30 診療科端末
40 放射線科情報管理システム(RIS)
50 病院情報システム(HIS)
200、220 カーソル
100、301〜303、211、212、401〜403 スライス画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、
被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する格納手段と、
前記複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、前記座標系における座標値を付与する座標決定手段と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記座標系が、骨格、又は、臓器を含む軟部組織に関連付けられている、請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記格納手段が、前記座標系に関連付けられた各断層面における解剖学的な特徴を表す標準特徴量をさらに格納しており、
前記座標決定手段が、軸位断画像に表された体部の解剖学的な特徴を表す特徴量を算出し、前記標準特徴量を参照することにより、前記特徴量に対応する前記座標系上の座標値を求める、
請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記標準特徴量及び前記特徴量が、体部の円形度と、空気領域の割合と、骨領域の割合と、軟部組織の割合との内の少なくとも1つを含む、請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記座標決定手段によって軸位断画像に付与された座標値に基づいて、複数のシリーズ画像の間において、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、複数の軸位断画像を互いに対応付ける位置合わせ処理手段をさらに具備する請求項1〜4のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記座標決定手段によって座標値が付与された第1のシリーズの軸位断画像が前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示されており、前記画面上においてユーザが所望の軸位断画像を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、第1のシリーズとは異なる第2のシリーズの軸位断画像の内で、ユーザによって指定された軸位断画像に対応付けられた軸位断画像を選択し、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示させる、請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面の対応する位置にそれぞれ表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手段をさらに具備する請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に同じタイミングで連動して順次表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手段をさらに具備する請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記座標系に関連付けられた模式図を画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記模式図中の所望の領域を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記座標系に関連付けられた部位リストを画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記部位リスト中の所望の部位を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該部位に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記座標系に関連付けられた単純X線画像を画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記単純X線画像中の所望の領域を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置において用いられるプログラムであって、
被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を読み出す手順(a)と、
前記複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、前記座標系における座標値を付与する手順(b)と、
をCPUに実行させる医用画像処理プログラム。
【請求項13】
前記座標系が、骨格、又は、臓器を含む軟部組織に関連付けられている、請求項12記載の医用画像処理プログラム。
【請求項14】
手順(a)が、前記座標系に関連付けられた各断層面における解剖学的な特徴を表す標準特徴量をさらに格納することを含み、
手順(b)が、軸位断画像に表された体部の解剖学的な特徴を表す特徴量を算出し、前記標準特徴量を参照することにより、前記特徴量に対応する前記座標系上の座標値を求めることを含む、
請求項12又は13記載の医用画像処理プログラム。
【請求項15】
前記標準特徴量及び前記特徴量が、体部の円形度と、空気領域の割合と、骨領域の割合と、軟部組織の割合との内の少なくとも1つを含む、請求項14記載の医用画像処理プログラム。
【請求項16】
手順(b)において軸位断画像に付与された座標値に基づいて、複数のシリーズ画像の間において、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、複数の軸位断画像を互いに対応付ける手順(c)をさらにCPUに実行させる請求項12〜15のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項17】
手順(b)において座標値が付与された第1のシリーズの軸位断画像が前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示されており、前記画面上においてユーザが所望の軸位断画像を指定した場合に、手順(c)が、第1のシリーズとは異なる第2のシリーズの軸位断画像の内で、ユーザによって指定された軸位断画像に対応付けられた軸位断画像を選択し、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示させることを含む、請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項18】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面の対応する位置にそれぞれ表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手順(d)をさらにCPUに実行させる請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項19】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に同じタイミングで連動して順次表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手順(d)をさらにCPUに実行させる請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項20】
前記座標系に関連付けられた模式図を画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記模式図中の所望の領域を指定した場合に、手順(c)が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項21】
前記座標系に関連付けられた部位リストを画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記部位リスト中の所望の部位を指定した場合に、手順(c)が、該部位に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項22】
前記座標系に関連付けられた単純X線画像を画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記単純X線画像中の所望の領域を指定した場合に、手順(c)が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項1】
入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置であって、
被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を格納する格納手段と、
前記複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、前記座標系における座標値を付与する座標決定手段と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記座標系が、骨格、又は、臓器を含む軟部組織に関連付けられている、請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記格納手段が、前記座標系に関連付けられた各断層面における解剖学的な特徴を表す標準特徴量をさらに格納しており、
前記座標決定手段が、軸位断画像に表された体部の解剖学的な特徴を表す特徴量を算出し、前記標準特徴量を参照することにより、前記特徴量に対応する前記座標系上の座標値を求める、
請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記標準特徴量及び前記特徴量が、体部の円形度と、空気領域の割合と、骨領域の割合と、軟部組織の割合との内の少なくとも1つを含む、請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記座標決定手段によって軸位断画像に付与された座標値に基づいて、複数のシリーズ画像の間において、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、複数の軸位断画像を互いに対応付ける位置合わせ処理手段をさらに具備する請求項1〜4のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記座標決定手段によって座標値が付与された第1のシリーズの軸位断画像が前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示されており、前記画面上においてユーザが所望の軸位断画像を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、第1のシリーズとは異なる第2のシリーズの軸位断画像の内で、ユーザによって指定された軸位断画像に対応付けられた軸位断画像を選択し、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示させる、請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面の対応する位置にそれぞれ表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手段をさらに具備する請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に同じタイミングで連動して順次表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手段をさらに具備する請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記座標系に関連付けられた模式図を画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記模式図中の所望の領域を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記座標系に関連付けられた部位リストを画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記部位リスト中の所望の部位を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該部位に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記座標系に関連付けられた単純X線画像を画面に表示させる手段をさらに具備し、
ユーザが前記単純X線画像中の所望の領域を指定した場合に、前記位置合わせ処理手段が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
入力される画像データに基づいて医用画像を画面に表示する少なくとも1つの画像表示装置に接続されて用いられ、複数のシリーズ画像の間において、各シリーズ画像に含まれる複数の軸位断画像の解剖学的な断層の位置を対応付ける装置において用いられるプログラムであって、
被検体の解剖学的な断層の位置に関連付けられた座標系を読み出す手順(a)と、
前記複数のシリーズ画像の各々に含まれる複数の軸位断画像に対し、前記座標系における座標値を付与する手順(b)と、
をCPUに実行させる医用画像処理プログラム。
【請求項13】
前記座標系が、骨格、又は、臓器を含む軟部組織に関連付けられている、請求項12記載の医用画像処理プログラム。
【請求項14】
手順(a)が、前記座標系に関連付けられた各断層面における解剖学的な特徴を表す標準特徴量をさらに格納することを含み、
手順(b)が、軸位断画像に表された体部の解剖学的な特徴を表す特徴量を算出し、前記標準特徴量を参照することにより、前記特徴量に対応する前記座標系上の座標値を求めることを含む、
請求項12又は13記載の医用画像処理プログラム。
【請求項15】
前記標準特徴量及び前記特徴量が、体部の円形度と、空気領域の割合と、骨領域の割合と、軟部組織の割合との内の少なくとも1つを含む、請求項14記載の医用画像処理プログラム。
【請求項16】
手順(b)において軸位断画像に付与された座標値に基づいて、複数のシリーズ画像の間において、解剖学的な断層の位置が一致又は略一致するように、複数の軸位断画像を互いに対応付ける手順(c)をさらにCPUに実行させる請求項12〜15のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項17】
手順(b)において座標値が付与された第1のシリーズの軸位断画像が前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示されており、前記画面上においてユーザが所望の軸位断画像を指定した場合に、手順(c)が、第1のシリーズとは異なる第2のシリーズの軸位断画像の内で、ユーザによって指定された軸位断画像に対応付けられた軸位断画像を選択し、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に表示させることを含む、請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項18】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面の対応する位置にそれぞれ表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手順(d)をさらにCPUに実行させる請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項19】
複数のシリーズ画像の間で互いに対応付けられた複数の軸位断画像同士が、前記少なくとも1つの画像表示装置の画面に同じタイミングで連動して順次表示されるように、前記少なくとも1つの画像表示装置における表示形式を設定する手順(d)をさらにCPUに実行させる請求項16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項20】
前記座標系に関連付けられた模式図を画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記模式図中の所望の領域を指定した場合に、手順(c)が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項21】
前記座標系に関連付けられた部位リストを画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記部位リスト中の所望の部位を指定した場合に、手順(c)が、該部位に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【請求項22】
前記座標系に関連付けられた単純X線画像を画面に表示させる手順をさらにCPUに実行させ、
ユーザが前記単純X線画像中の所望の領域を指定した場合に、手順(c)が、該領域に対応する前記座標系における座標値と同一又は略同一の座標値が付与された軸位断画像を抽出し、前記少なくとも1つの画像表示装置に表示させることを含む、
請求項12〜19のいずれか1項記載の医用画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−43524(P2008−43524A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221922(P2006−221922)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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