説明

医用画像表示装置及び医用画像表示プログラム

【課題】操作者の作業効率及び確認精度を向上させることができる医用画像表示装置を提供する。
【解決手段】医用画像表示装置1において、被検体の内部を表す三次元画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域を三次元画像から抽出する第1抽出手段と、抽出した塞栓器具領域に連結する血管領域を三次元画像から抽出する第2抽出手段と、抽出した塞栓器具領域と抽出した血管領域との関連性から瘤状血管部位の根元部に関する根元情報を算出する第1算出手段と、算出した根元情報に基づき三次元画像に対するアフィン変換行列を算出する第2算出手段と、算出したアフィン変換行列により三次元画像をアフィン変換して表示する表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置及び医用画像表示プログラムに関し、特に、三次元医用画像を処理して表示する医用画像表示装置及び医用画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像表示装置は、X線コンピュータ断層撮影(以下、CTと記す)装置又はX線診断装置、磁気共鳴診断(以下、MRIと記す)装置、超音波診断装置などの診断モダリティを用いて収集された三次元画像を処理して表示する表示装置である(例えば、特許文献1参照)。この医用画像表示装置は、特に、三次元画像データに含まれる瘤状血管異常の塞栓治療部の術後状態を確認するために三次元画像を表示する術後観察装置として用いられている。
【0003】
ここで、瘤状血管異常の一例として脳動脈瘤が挙げられる。この脳動脈瘤が破裂すると、脳卒中の中でも死亡率の高い疾患であるくも膜下出血が生じてしまう。昨今のCTやMRIの画像診断技術の発展により、未破裂脳動脈瘤の発見率が高まっており、破裂前に治療することが可能になっている。
【0004】
この治療法としては、大きく分けて、開頭術によって脳動脈瘤のネック部(根元部:首根っこ)を金属製のクリップで挟み閉塞するクリッピング術と、カテーテルによって脳動脈瘤内にコイルを入れて閉塞するコイル塞栓術がある。これらの術式は、脳卒中による死亡を予防する非常に有効な術式であるが、難易度が高く、失敗するケースもあるため、期待通りに塞栓されたかを術後に確認することが必須である。具体的には、以下の1〜4のような失敗のケースに該当しないかが確認ポイントとなる。特に、瘤のネック部が塞栓されずに残存していると、ネック部における血流異常が生じ、瘤の再破裂やネック部の血栓化の可能性があり危険であるため、このネック部の術後確認は必須である。
【0005】
1.瘤のネック部の残存
2.瘤内からの血栓の漏れ
3.瘤内への血液の流入
4.コイルのはみ出し。
【0006】
術後の確認方法としては、術後に撮像された造影CT画像や造影・非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)画像をMIP(Maximum Intensity Projection)などの画像レンダリング方式により三次元表示し、ネック部を拡大表示して確認する方法が一般的である。この確認作業には、一般的な三次元医用画像処理ワークステーションが使用される。
【0007】
以下、具体的な作業手順を、頭部の三次元CT画像データを用いた例で説明する。まず、頭部の三次元CT画像データを単純にMIP表示すると、CT値の高い頭蓋骨が最大値投影の対象画素となり、術部が隠れて見えない。そこで、クリッピングと呼ばれる三次元画像の加工処理を用いて、術部周辺領域のみを対象としたMIP画像を表示させる。この作業は、術部周辺領域を定義する直方体の6面の位置をマウスやキーボードなどのユーザーインターフェイスを操作して特定する作業を伴う。この作業により、術部周辺領域のみをMIP画像上で可視化することができるようになるが、可視化された術部には塞栓に使用したクリップやコイルと呼ばれる塞栓器具が留置されており、これら塞栓器具は金属製でCT値が非常に高いため、その像が重なっていると瘤のネック部を確認することができない。
【0008】
そこで、ネック部が見えるように塞栓器具と血管が重ならないような向きにMIP画像を回転させる操作を行う。この操作は、前述の加工処理同様、ユーザーインターフェイスを用いて行われる。さらに、術部を画面中心に移動したり、拡大したり、輝度値を調整したりする操作も行われる。このようにして、ようやく瘤のネック部が確認できる状態となり、前述の確認ポイントに基づいて確認作業を開始することになる。
【特許文献1】特開平5−261087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述のようにMIPレンダリング方式による三次元画像上から瘤のネック部を探し出すことは非常に面倒な作業である。例えば、前述のクリッピングと呼ばれる三次元画像の加工処理を用いる場合には、技師はユーザーインターフェイスを操作して術部周辺領域を定義する直方体の6面の位置を特定する面倒な作業を行う必要がある。
【0010】
さらに、ネック部が見えるように塞栓器具と血管が重ならないような向きにMIP画像を回転させる操作を行う場合には、前述の加工処理同様、ユーザーインターフェイスを用いて操作を行うが、所望の向きに三次元画像を回転させる操作は複雑で面倒な作業である。加えて、術部を画面中心に移動したり、拡大したり、さらに、輝度値を調整したりする操作も当然必要となるため、全体として非常に手間のかかる作業となる。
【0011】
このように、確認作業前の事前準備の手間は、操作者である技師に負担をかけ、技師の多忙な業務の中で業務時間を圧迫しており、作業効率を低下させている。特に、最適な画像表示条件の設定が不十分であった場合には、術後の確認精度も下がる結果になってしまう。
【0012】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作者の作業効率及び確認精度を向上させることができる医用画像表示装置及び医用画像表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明の特徴は、医用画像表示装置において、被検体の内部を表す三次元画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域を三次元画像から抽出する第1抽出手段と、抽出した塞栓器具領域に連結する血管領域を三次元画像から抽出する第2抽出手段と、抽出した塞栓器具領域と抽出した血管領域との関連性から瘤状血管部位の根元部に関する根元情報を算出する第1算出手段と、算出した根元情報に基づき三次元画像に対するアフィン変換行列を算出する第2算出手段と、算出したアフィン変換行列により三次元画像をアフィン変換して表示する表示手段とを備えることである。
【0014】
請求項8記載の発明の特徴は、医用画像表示プログラムにおいて、医用画像を処理して表示する医用画像表示装置が備えるコンピュータに、被検体の内部を表す三次元画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域を三次元画像から抽出する第1抽出ステップと、抽出した塞栓器具領域に連結する血管領域を三次元画像から抽出する第2抽出ステップと、抽出した塞栓器具領域と抽出した血管領域との関連性から瘤状血管部位の根元部に関する根元情報を算出する第1算出ステップと、算出した根元情報に基づき三次元画像に対するアフィン変換行列を算出する第2算出ステップと、算出したアフィン変換行列により三次元画像をアフィン変換して表示する表示ステップとを実行させることである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、操作者の作業効率及び確認精度を向上させることができる医用画像表示装置及び医用画像表示プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る医用画像表示装置1は、医用画像撮影装置の一つであるマルチスライスCT2により取得された三次元画像データを処理対象として処理して医用画像を表示する装置である。この医用画像表示装置1は、塞栓器具領域抽出部11、血管領域抽出部12、ネック情報算出部13、アフィン変換行列算出部14、画像表示部15及び回転角度入力部16を備えている。この医用画像表示装置1としては、例えば汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。
【0018】
塞栓器具領域抽出部11は、三次元画像データが表す画像(被検体の内部を表す三次元画像)から、その画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域R1を抽出する。この塞栓器具領域抽出部11が第1抽出手段として機能する。
【0019】
血管領域抽出部12は、三次元画像データが表す画像中で、塞栓器具領域抽出部11により抽出された塞栓器具領域R1に連結する血管領域R2を抽出する。なお、血管領域R2は、塞栓器具により塞栓された瘤状血管部位である瘤Aができた血管を指し、その血管と瘤Aとの連結部は瘤Aのネック部(根元部)Nを意味する(詳しくは、後述する)。この血管領域抽出部12が第2抽出手段として機能する。
【0020】
ネック情報算出部13は、塞栓器具領域抽出部11により抽出された塞栓器具領域R1と血管領域抽出部12により抽出された血管領域R2との関連性に基づいて、瘤状血管部位のネック部に関するネック情報(根元情報)を算出する。なお、関連性としては、例えば、塞栓器具領域R1と血管領域R2との接触領域を示す接触面M1を用いることが可能である(詳しくは、後述する)。このネック情報算出部13が第1算出手段として機能する。
【0021】
アフィン変換行列算出部14は、ネック情報算出部13により算出されたネック情報に基づいて最終的に表示する三次元画像の画像表示条件(平行移動、回転、拡大/縮小)を表すアフィン変換行列を算出する。このアフィン変換行列算出部14が第2算出手段として機能する。
【0022】
画像表示部15は、アフィン変換行列算出部14により算出されたアフィン変換行列を用いて三次元画像(例えばマルチスライスCT画像データ)をアフィン変換し、CRTなどの二次元画像表示装置上に、MIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)などのレンダリング方式による三次元画像やMPR(Multi Planar Reconstruction:多断面再構成)などのレンダリング方式による任意断面画像を表示する。この画像表示部15は表示手段として機能する。
【0023】
回転角度入力部16は、マウスやキーボードなどのユーザーインターフェイスから入力された情報をネック軸周りの三次元画像データの回転角度情報として保存する。回転角度入力部16に回転角度情報が保存されている場合には、アフィン変換行列算出部14では、その回転角度情報に基づいたネック軸周りの回転行列をアフィン変換行列にかけて最終的なアフィン変換行列とする。
【0024】
ここで、塞栓器具領域抽出部11、血管領域抽出部12、ネック情報算出部13、アフィン変換行列算出部14、画像表示部15及び回転角度入力部16は、前述のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサに画像処理プログラム(医用画像表示プログラム)を実行させることにより実現される。なお、画像処理プログラムはコンピュータ装置に予めインストールされても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク及び半導体メモリなどのリムーバブルな記録媒体に記録され、あるいはネットワークを介して配布され、それらを介してコンピュータ装置に適宜インストールされても良い。また、前述の各部の一部または全てをロジック回路などのハードウェアにより実現することも可能であり、また、それぞれをハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて実現することも可能である。
【0025】
次に、前述の医用画像表示装置1の表示動作について説明する。
【0026】
図2に示すように、医用画像表示装置1は、塞栓器具領域抽出部11により塞栓器具領域R1の抽出を行い(ステップS1)、血管領域抽出部12により血管領域R2の抽出対象範囲として塞栓器具領域R1を含む関心領域(VOI:Volume of Interest)V1の特定を行い(ステップS2)、さらに、血管領域抽出部12により関心領域V1内で塞栓器具領域R1と連結する血管領域R2の抽出を行う(ステップS3)。
【0027】
ステップS1では、三次元画像データ内の画素のうちCT値2000HU以上の画素の連結領域を全て抽出し、そのうち連結領域内のボクセル数が最多の連結領域を特定し、これを塞栓器具領域R1とする(図3参照)。頭蓋骨やそれ以外の軟組織のCT値は2000HU未満であり、一方、金属製である塞栓器具のCT値は2000HU以上であるため、これにより塞栓器具領域R1を特定することができる。なお、図3では、塞栓器具の一例としてクリップを示す。
【0028】
ステップS2では、塞栓器具領域R1の外接立方体の2倍の辺長さを持つ立方体領域を関心領域(VOI)V1として求める(図3参照)。この関心領域V1内に、塞栓器具で塞栓された瘤(瘤状血管部位)Aを有する血管が含まれていることが想定されている。
【0029】
ステップS3では、関心領域V1内の画素のうちCT値100HU以上で2000HU未満の画素の連結領域を全て抽出し、そのうち連結領域内のボクセル数が最多の連結領域を特定し、これを血管領域R2とする(図3及び図4参照)。関心領域V1内において軟組織領域のCT値は30HU程度であり、造影された血管領域R2のCT値は300HU程度であり、塞栓器具領域R1のCT値は3000HU程度であるので、前述の閾値設定によって、血管領域R2を特定することができる。なお、頭蓋骨領域のCT値は1000HU程度であるが、関心領域V1は塞栓器具周囲の微小領域であるため、関心領域V1内に頭蓋骨は存在しないことが前提とされている。
【0030】
ステップS3の後、図2に示すように、医用画像表示装置1は、ネック情報算出部13により塞栓器具領域R1と血管領域R2との関連性(例えば、塞栓器具領域R1と血管領域R2との接触面M1)に基づきネック情報としてネック部Nのネック軸Naを算出し(ステップS4)、アフィン変換行列算出部14によりネック情報に基づき最終的に表示する三次元画像のアフィン変換行列を算出し(ステップS5)、画像表示部15によりアフィン変換行列に基づきMIPなどの三次元画像やMPR画像を作成し、CRTなどの二次元表示装置上に表示する(ステップS6)。
【0031】
なお、画像の表示後、技師などの操作者がマウスやキーボードなどのユーザーインターフェイスを用いて回転角度情報を入力した場合には、回転角度入力部16により回転角度情報を保存し(ステップS7)、続いてステップS5を再度実行する。このステップS5では、既に算出されているアフィン変換行列に回転角度情報に基づいたネック軸周りの回転角度行列を更にかけて新たなアフィン変換行列を求める。その後、ステップS6では、新たなアフィン変換行列に基づいて表示画像を再作成し、表示を更新する。このようなステップS7、S5、S6の処理は操作者からの回転角度情報の入力がある度に繰り返し行われる。これにより、操作者の入力操作に連動して表示画像がネック軸周りに回転する表示仕様が実現される。
【0032】
ステップS4では、関心領域V1内において、塞栓器具領域R1から血管領域R2へ入射する三次元直線をネック部Nのネック軸Naとして求める。具体的には、塞栓器具領域R1と血管領域R2とが接触している接触面M1の重心位置からの法線を表す三次元直線をネック軸Naとする(図4参照)。
【0033】
ステップS5では、最終的に画面上に表示する三次元画像上で、ネック軸Naが表示画面の中心に位置し、その向きが画面に平行かつ画面下方向が血管領域R2への入射方向となるように(図5参照)、三次元画像のアフィン変換行列を求める。また、このとき、関心領域V1が画面一杯に表示されるようにアフィン変換行列の拡大率の成分を調整する。また、ステップS7において回転角度値が保存されている場合には、三次元画像を更にその回転角度だけネック軸周りに回転させる回転行列をかけて最終的なアフィン変換行列とする。
【0034】
ステップS6では、算出したアフィン変換行列に基づいたMIP画像G1(図6の右下参照)及びMPR画像G2(図6左上参照)、さらにそのMPR画像G2に直交する2断面のMPR画像G3、G4(図6右上及び図6左下参照)を作成し、それらの画像G1〜G4を2×2の画面レイアウト上に配置して表示する(図6参照)。
【0035】
ステップS7では、操作者がマウスをドラッグした量に比例した値、又は、画面上の数値入力欄に操作者がキーボードを用いて入力した値を回転角度値(回転角度情報)として保存する。
【0036】
このような処理により、まず、被検体の内部を表す三次元画像から塞栓器具領域R1が抽出され、その塞栓器具領域R1に連結する血管領域R2が抽出される。その後、塞栓器具領域R1と血管領域R2との関連性、すなわち接触面M1から瘤Aのネック部Nに関するネック情報としてネック軸Naが算出され、そのネック軸Naに基づいて三次元画像に対するアフィン変換行列が算出される。最後に、そのアフィン変換行列により三次元画像がアフィン変換されて表示される。
【0037】
このようにして、動脈瘤塞栓術後の三次元画像データの読み込みに応じて、瘤Aのネック部Nが見える適切な画像表示条件の確認用画像を自動的に表示することが可能になる。これにより、事前準備作業の手間をかけずに即座に確認作業を開始することができ、また、ネック部Nを観察し易い状態で確認作業を開始することができる。なお、塞栓器具としてコイルを用いた場合も同様な処理により画像表示が行われる。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、被検体の内部を表す三次元画像から塞栓器具領域R1を抽出し、抽出した塞栓器具領域R1に連結する血管領域R2を抽出し、抽出した塞栓器具領域R1と抽出した血管領域R2との関連性から瘤状血管部位である瘤Aのネック部Nに関するネック情報(例えばネック軸Na)を算出し、算出したネック情報に基づき三次元画像に対するアフィン変換行列を算出し、算出したアフィン変換行列により三次元画像をアフィン変換して表示することによって、動脈瘤塞栓術後の三次元画像データを用いた手術結果確認作業において、瘤Aのネック部Nが見えるように画像表示条件を手動で設定する煩わしい作業を行わなくても、瘤Aのネック部Nが見える適切な画像表示条件の確認用画像が表示される。これにより、三次元画像データの読み込み後、即座に術部が観察し易い状態で確認作業を開始することが可能になるので、操作者の作業効率及び確認精度を向上させることができる。
【0039】
さらに、血管領域R2を抽出する場合、塞栓器具領域R1を含む関心領域V1を特定し、特定した関心領域V1内だけを対象として血管領域R2を抽出することによって、関心領域V1の特定を自動化することが可能になるので、操作者の作業効率をより向上させることができる。
【0040】
また、塞栓器具領域R1及び血管領域R2を抽出する場合、画素値を閾値処理することにより塞栓器具領域R1及び血管領域R2を抽出することから、確実及び正確に塞栓器具領域R1及び血管領域R2を抽出することが可能になるので、操作者の確認精度をより向上させることができる。
【0041】
また、塞栓器具領域R1及び血管領域R2の一方の領域から他方の領域へ入射する三次元直線をネック情報として算出することによって、ネック部Nの位置を正確に把握することが可能になるので、観察し易い状態でネック部Nを表示することができる。その結果、操作者の確認精度をより向上させることができる。
【0042】
さらに、三次元直線が表示画面に平行になるように三次元画像を回転させるアフィン変換行列を算出することによって、観察し易い状態でネック部Nを確実に表示することが可能になるので、操作者の確認精度をより向上させることができる。
【0043】
加えて、三次元直線を回転軸として画像を任意角度に回転させるアフィン変換行列を算出することによって、希望する状態でネック部Nを表示することが可能になるので、同時に様々な角度からネック部Nを観察することができる。その結果、操作者の確認精度をより向上させることができる。
【0044】
また、三次元画像として投影画像及び多断面再構成画像のどちらか一方又は両方を表示することによって、投影画像又は多断面再構成画像を見てネック部Nを観察することができ、また、それらの画像の両方を表示した場合には、様々な角度からネック部Nを観察することが可能になるので、操作者の確認精度をより向上させることができる。
【0045】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0046】
例えば、前述の実施の形態においては、ネック情報算出部13によりネック情報としてネック部Nのネック軸Naを算出しているが、これに限るものではなく、ネック情報として、接触面M1に外接する接線を算出するようにしてもよい。
【0047】
また、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の一形態に係る医用画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す医用画像表装置が行う画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2に示す画像表示処理における関心領域を説明するための説明図である。
【図4】図2に示す画像表示処理におけるネック軸の算出を説明するための説明図である。
【図5】図2に示す画像表示処理におけるアフィン変換行列の算出を説明するための説明図である。
【図6】図2に示す画像表示処理における表示の一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 医用画像表示装置
R1 塞栓器具領域
R2 血管領域
N 根元部(ネック部)
Na 三次元直線(ネック軸)
V1 関心領域
G1 投影画像
G2 多断面再構成画像
G3 多断面再構成画像
G4 多断面再構成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部を表す三次元画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域を前記三次元画像から抽出する第1抽出手段と、
抽出した前記塞栓器具領域に連結する血管領域を前記三次元画像から抽出する第2抽出手段と、
抽出した前記塞栓器具領域と抽出した前記血管領域との関連性から前記瘤状血管部位の根元部に関する根元情報を算出する第1算出手段と、
算出した前記根元情報に基づき前記三次元画像に対するアフィン変換行列を算出する第2算出手段と、
算出した前記アフィン変換行列により前記三次元画像をアフィン変換して表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記第2抽出手段は、前記塞栓器具領域を含む関心領域を特定する特定手段を具備し、特定した前記関心領域内だけを対象として前記血管領域を抽出することを特徴とする請求項1記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記第1抽出手段は、画素値を閾値処理することにより前記塞栓器具領域を抽出し、
前記第2抽出手段も、画素値を閾値処理することにより前記血管領域を抽出すること特徴とする請求項1又は2記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記第1算出手段は、前記塞栓器具領域及び前記血管領域の一方の領域から他方の領域へ入射する三次元直線を根元情報として算出することを特徴とする請求項1、2又は3記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記第2算出手段は、前記三次元直線が表示画面に平行になるように三次元画像を回転させるアフィン変換行列を算出することを特徴とする請求項4記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記第2算出手段は、前記三次元直線を回転軸として画像を任意角度に回転させるアフィン変換行列を算出することを特徴とする請求項4記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記三次元画像として、投影画像及び多断面再構成画像のどちらか一方又は両方を表示することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
医用画像を処理して表示する医用画像表示装置が備えるコンピュータに、
被検体の内部を表す三次元画像に含まれる瘤状血管部位を塞栓する塞栓器具の塞栓器具領域を前記三次元画像から抽出する第1抽出ステップと、
抽出した前記塞栓器具領域に連結する血管領域を前記三次元画像から抽出する第2抽出ステップと、
抽出した前記塞栓器具領域と抽出した前記血管領域との関連性から前記瘤状血管部位の根元部に関する根元情報を算出する第1算出ステップと、
算出した前記根元情報に基づき前記三次元画像に対するアフィン変換行列を算出する第2算出ステップと、
算出した前記アフィン変換行列により前記三次元画像をアフィン変換して表示する表示ステップと、
を実行させることを特徴とする医用画像表示プログラム。
【請求項9】
前記第2抽出ステップでは、前記塞栓器具領域を含む関心領域を特定する特定手段を具備し、特定した前記関心領域内だけを対象として前記血管領域を抽出することを特徴とする請求項8記載の医用画像表示プログラム。
【請求項10】
前記第1抽出ステップでは、画素値を閾値処理することにより前記塞栓器具領域を抽出し、
前記第2抽出ステップでは、画素値を閾値処理することにより前記血管領域を抽出すること特徴とする請求項8又は9記載の医用画像表示プログラム。
【請求項11】
前記第1算出ステップでは、前記塞栓器具領域及び前記血管領域の一方の領域から他方の領域へ入射する三次元直線を根元情報として算出することを特徴とする請求項8、9又は10記載の医用画像表示プログラム。
【請求項12】
前記第2算出ステップでは、前記三次元直線が表示画面に平行になるように三次元画像を回転させるアフィン変換行列を算出することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示プログラム。
【請求項13】
前記第2算出ステップでは、前記三次元直線を回転軸として画像を任意角度に回転させるアフィン変換行列を算出することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示プログラム。
【請求項14】
前記表示ステップでは、前記三次元画像として、投影画像及び多断面再構成画像のどちらか一方又は両方を表示することを特徴とする請求項8ないし13のいずれか一に記載の医用画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−279331(P2009−279331A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136832(P2008−136832)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】