半導体チップのピックアップ装置及びピックアップ方法
【課題】この発明は粘着シートに貼着された半導体チップのピックアップを剥離条件が変化した場合でも、円滑かつ確実に行えるようにしたことにある。
【解決手段】上面が粘着シート2を吸着保持する吸着面に形成され中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、バックアップ体内に同心的に設けられた複数の押し上げ体35〜37を有し、所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が所定の高さまで上昇したときに上昇が制限された後、内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段26と、複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して粘着シートのピックアップされる半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側の押し上げ体から内側の上げ体によって順次押し上げて半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させるカム体と、複数の押し上げ体を押し上げたとき、径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整するリング状部材41を具備する。
【解決手段】上面が粘着シート2を吸着保持する吸着面に形成され中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、バックアップ体内に同心的に設けられた複数の押し上げ体35〜37を有し、所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が所定の高さまで上昇したときに上昇が制限された後、内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段26と、複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して粘着シートのピックアップされる半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側の押し上げ体から内側の上げ体によって順次押し上げて半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させるカム体と、複数の押し上げ体を押し上げたとき、径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整するリング状部材41を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は粘着シートに貼着された半導体チップをピックアップするピックアップ装置及びピックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハをさいの目状に切断して形成された半導体チップは粘着シートに貼られており、この半導体チップを基板に実装する場合には吸着ノズル(コレット)によって上記粘着シートから1つずつピックアップするようにしている。
【0003】
半導体チップを粘着シートからピックアップする場合、従来は吸着ノズルからなるピックアップツールによってピックアップされる半導体チップが貼着された粘着シートの、上記半導体チップの周辺部をバックアップ体の上面によって吸着保持する。そして、その半導体チップを下面側から先端が鋭利な突き上げピンによって突き上げることで、上記半導体チップから上記粘着シートを剥離させ、上記吸着ノズルによってピックアップするということが行なわれていた。
【0004】
ところで、最近では半導体チップの厚さが50μm以下と非常に薄い場合があり、そのように薄い半導体チップは荷重を加えることで湾曲変形する柔軟性を備えている。そのため、そのように薄い半導体チップを突き上げピンによって粘着シートを引き伸ばしながら突き上げると、突き上げられた半導体チップの周辺部に上記粘着シートの張力が加わることになるから、その張力によって上記半導体チップは下方へ湾曲変形するということがある。
【0005】
半導体チップが下方へ湾曲変形すると、その半導体チップの周辺部から粘着シートが剥離し難くなるため、半導体チップを上記吸着ノズルによってピックアップすることができないということがあったり、湾曲度合が大きくなると半導体チップが損傷するということがある。
【0006】
そこで、特許文献1に示されるように、半導体チップを突き上げたとき、その半導体チップが湾曲変形するのを防止し、しかも半導体チップの下面に貼着された粘着シートの剥離が半導体チップの周辺部から中心部に向かって徐々に進行するようにしたピックアップ装置が開発されている。
【0007】
上記ピックアップ装置は、突き上げホルダ内に軸線を一致させて同芯的に設けられた複数の突き上げ体を有する。複数の突き上げ体がなす上面形状は、通常、ピックアップされる矩形状の半導体チップよりもわずかに小さな矩形状に形成されている。
【0008】
そして、上記ピックアップ装置は、上記突き上げホルダと一体的に複数の突き上げ体を同時に所定の高さまで上昇させ、最も外側に位置する突き上げ体の上昇高さに応じて粘着シートに張力を付与し、その張力によって半導体チップの外周側の端部から粘着シートを剥離を開始させる。
【0009】
ついで、上記突き上げホルダ内に圧縮空気を送り込み、複数の突き上げ体が受ける受圧面積の大小の関係から、外側の突き上げ体から上昇させ、最終的には外側の突き上げ体から内側の突き上げ体にゆくにつれて次第に高くなるよう上昇させる。
【0010】
それによって、半導体チップの下面の外側から、中心に向かって粘着シートが徐々に剥離されるから、半導体チップの一部に集中的に大きな応力を加えて湾曲させるようなことなく、上記半導体チップの下面から粘着シートの剥離を円滑に行なえるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平1−321650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、半導体チップの下面から粘着シートを剥離する際、最初に半導体チップの外周側の端部から粘着シートを円滑かつ確実に剥離することが重要となり、そのためには半導体チップの厚さ、粘着シートの粘着力、或いは粘着シートに貼着された複数の半導体チップのダイシング状態などの条件(この条件を剥離条件という)に応じて最も外側に位置する上記突き上げ体の上昇高さを設定しなければならない。
【0013】
すなわち、上述した剥離条件によって半導体チップの外周側の端部から粘着シートが剥離を開始する上記突き上げ体の突き上げ高さ(上昇高さ)が変化するから、剥離条件が変化した場合であっても、半導体チップの外周側の端部から粘着シートが確実に剥離し始めるよう、上記突き上げ体の上昇高さを設定しなければならない。
【0014】
しかしながら、上述した従来技術では、剥離条件の変化に応じて上記突き上げ体の突き上げ高さを制御するということを行なうことなく、単に上記突き上げ体を所定の高さまで上昇させて半導体チップの外周側の端部から粘着シートの剥離を開始させるようにしていた。すなわち、上記突き上げ体は設計された形状に基いた上昇高さで上昇されるようになっていた。
【0015】
そのため、剥離条件が変わった場合、たとえば半導体チップの外周側の端部から粘着シートが確実に剥離されない状態で、突き上げホルダ内に圧縮空気を送り込み、複数の突き上げ体を上昇させてしまうということがあり、そのような場合には半導体チップの湾曲度合がかなり大きくなるまで剥離が開始されず、欠けや割れが生じる原因になるなど、半導体チップから粘着シートを円滑かつ確実に剥離することができないということになる。
【0016】
この発明は、半導体チップから粘着シートを剥離するとき、剥離条件が変化した場合には、剥離条件の変化に応じて剥離開始時に上記半導体チップを上昇させる高さを設定できるようにした半導体チップのピックアップ装置及びピックアップ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップする半導体チップのピックアップ装置であって、
上面が上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップの周辺部分に対応する部分を吸着保持する吸着面に形成されるとともに、上記上面の中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、
このバックアップ体内に軸心を同じにして互いに移動可能な状態で設けられた複数の押し上げ体を有し、複数の押し上げ体は上記開口部から上端部が突出するよう所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が上記所定の高さまで上昇したときにそれ以上上昇するのが制限された後、径方向外側に位置する押し上げ体よりも内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段と、
複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側に位置する押し上げ体から径方向内側に位置する押し上げ体の上端部によって順次押し上げて上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させる駆動手段と、
この駆動手段によって上記複数の押し上げ体を押し上げたとき、複数の押し上げ体のうちの少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整する調整手段と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ装置にある。
【0018】
上記複数の押し上げ体の少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体は、円筒部と、この円筒部の上面の中心部に設けられ外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状であって、上記駆動手段によって押し上げられたときに上記バックアップ体の開口部から上方に突出する押圧部を有し、
上記調整手段は上記円筒部の上端外周面に螺合され回転させることで上下方向に移動して位置決め調整可能であって、上記押し上げ体が上昇方向に駆動されたときにその上面が上記バックアップ体の上部内面に当接して上記押し上げ体の上昇位置を制限するリング状部材であることが好ましい。
【0019】
上記押し上げ体の大径部の上面には上記リング状部材の回転角度を設定する目盛りが設けられていることが好ましい。
【0020】
上記バックアップ体は、基部と、この基部に下端部が着脱可能に取付けられ上面の中央部に上記開口部が形成された蓋体部とを有し、上記基部から上記蓋体部を取り外すことで、上記リング状部材を回転操作できるよう上記押し上げ体が露出する構造であることが好ましい。
【0021】
上記押し上げ手段は、
上記バックアップ体に上下方向に駆動可能に設けられた突き上げ軸と、
この突き上げ軸の上記バックアップ体内に位置する上端部に上下方向に弾性的に変位可能に設けられた取付け盤と、
上面の中心部に外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状の第1の押圧部が設けられ上記取付け盤の上面に取付けられた第1の押し上げ体と、
この第1の押し上げ体内に上記第1の押し上げ体に対して弾性的に変位可能に収容保持され上面の中心部に上記第1の押圧部内に入り込む矩形中空状の第2の押圧部が形成されていて、上記第1の押し上げ体が上記取付け盤によって上昇限まで駆動されてから上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第2の押し上げ体と、
この第2の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上部が上記第2の押圧部内に入り込む断面矩形状の第3の押圧部を有し、上記第2の押し上げ体が上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位した後、上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第2の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第3の押し上げ体と
によって構成されていることが好ましい。
【0022】
この発明は、粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップツールでピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、
上記粘着シートの上記ピックアップツールによってピックアップされる上記半導体チップの周辺に位置する部分を上記ピックアップツールの上面に吸着保持する工程と、
軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上面を同じ高さにして一体的に上昇させ、最も外側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップの外周縁から上記粘着シートを剥離させてから、内側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップを順次押し上げて上記粘着テープを上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって剥離する工程と、
少なくとも最も外側に位置する上記押し上げ体によって上記粘着シートの上記半導体チップが設けられた部分の下面を押し上げるときその押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される条件に応じて設定する工程と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ方法にある。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上昇させて粘着テープに貼着された半導体チップを剥離するとき、最も外側に位置する押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを、上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される剥離条件である、半導体チップの厚さ、粘着テープの粘着力或いは粘着テープに貼着された複数の半導体チップのダイシング状態などに応じて調整できるようにした。
【0024】
そのため、半導体チップを粘着テープから剥離する剥離条件が変わった場合であっても、最も外側に位置する押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを調整することで、半導体チップを粘着テープから確実かつ迅速に剥離することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す半導体チップのピックアップ装置の概略的構成図。
【図2】上記ピックアップ装置のバックアップ体の縦断面図。
【図3】上記バックアップ体の平面図。
【図4】第1の押し上げ体の平面図。
【図5】第1乃至第3の押し上げ体が第1の高さH1まで押し上げられた状態の説明図。
【図6】第2、第3の押し上げ体が第2の高さH2まで押し上げられた状態の説明図。
【図7】第3の押し上げ体が第3の高さH3まで押し上げられた状態の説明図。
【図8】上部吸着ノズルによって半導体チップが粘着シートからピックアップされた状態の説明図。
【図9】この発明の第2の実施の形態を示す押し上げ手段の断面図。
【図10】第2の押し上げ体の側面図。
【図11】第1の押し上げ体の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図8はこの発明の第1の実施の形態を示す。図1に示すピックアップ装置はバックアップユニット10を備えている。このバックアップユニット10は図示しないウエハリングに張設された粘着シート2の下面側に対向して設けられ、図示しないZ駆動源によってZ方向において、後述するごとく上記バックアップユニット10のバックアップ体1の上面が粘着シート2に接触する位置と、粘着シート2から離れる位置との間で駆動されるようになっている。
【0027】
上記粘着シート2の上面には半導体ウエハをさいの目状にダイシングした複数の半導体チップ3が貼着されている。上記ウエハリングは図示しないX及びY駆動源によって水平方向に駆動されるようになっている。
【0028】
それによって、粘着シート2に貼着された半導体チップ3はバックアップユニット10に対してX及びY方向に位置決め可能となっている。なお、バックアップユニット10に代わり、ウエハリングをZ方向に駆動するようにしてもよく、要はウエハリングとバックアップユニット10とが相対的にX、Y及びZ方向に駆動されるようになっていればよい。
【0029】
上記粘着シート2の上面側で、上記バックアップユニット10の上方にはピックアップ手段を構成する吸着ノズル体4が設けられている。この吸着ノズル体4は、図示しないX、Y及びZ駆動源によってX、Y及びZ方向に駆動されるピックアップ軸5を有する。このピックアップ軸5の下端面には凸部6が設けられている。
【0030】
上記ピックアップ軸5には先端を上記凸部6の端面に開口した吸引孔7が軸方向に沿って形成されている。この吸引孔7は適宜の吸引ポンプ、たとえばこの実施の形態では図1に示す吸引ポンプ21に接続されている。上記凸部6にはゴムや軟質又は硬質の合成樹脂などの弾性材料によって形成された上部吸着ノズル8が着脱可能に取着されている。この上部吸着ノズル8には一端が上記吸引孔7に連通し、他端が先端面に開口したノズル孔9が形成され、さらに下面は平坦面8aに形成されている。
【0031】
上記上部吸着ノズル8の半導体チップ3を吸着する吸着面を平坦面8aに代えて半導体チップ3の外形状に対応する角錐状の凹部とし、その凹部内に半導体チップ3を吸着保持するようにしてもよい。
【0032】
なお、上記ピックアップ軸5をZ方向に駆動するZ駆動源としてはボイスコイルモータなどを用い、吸着ノズル体4により上記半導体チップ3を押圧する荷重が一定となるよう制御することが好ましい。
【0033】
図2と図3に示すように、上記バックアップ体1は平面形状が円形状の基部12と、下面が開口した円筒状をなしていて、上記基部12に下端が気密かつ着脱可能に連結固定された蓋体部13を有する。図3に示すように、この蓋体部13の上部壁の中央部には鎖線で示すピックアップの対象となる四角形状、この実施の形態では正方形の半導体チップ3よりもわずかに小さな正方形の開口部14が形成されている。
【0034】
上記バックアップ体1の上部壁に開口形成された上記開口部14は後述するように気密に閉塞される。それによって、上記バックアップ体1の内部空間は気密状態を維持できるようになっている。
【0035】
上記半導体チップ3は正方形でなく、長方形の場合もあり、その場合はバックアップ体1に形成される開口部14を半導体チップ3よりもやや小さな長方形とすればよい。
【0036】
上記バックアップ体1の上面には、上記開口部14を囲む複数の円形の環状溝16が同芯状に形成されている。複数の環状溝16は、上記バックアップ体1の上面に周方向に90度間隔で、径方向に沿って形成された4つの連通溝17によって連通している。4つの連通溝17の1つには吸引孔18の一端が開口している。この吸引孔18の他端は上記蓋体部13の上部壁の下面に開口している。
【0037】
図2に示すように、上記バックアップ体1の蓋体部13の周壁には接続孔19が穿設され、この接続孔19には上記吸引ポンプ21が配管22によって接続されている。上記吸引ポンプ21が作動すれば、蓋体部13の内部空間から上記吸引孔18及び連通溝17を介して複数の環状溝16に吸引力が発生する。
【0038】
それによって、図1に示すように上記バックアップ体1の上面を粘着シート2の下面に接触させれば、その上面に粘着シート2が吸着保持される。つまり、バックアップ体1の上面は粘着シート2を吸着保持する吸着面となっている。
【0039】
図2に示すように、上記バックアップ体1の円柱状の蓋体部13内には、ピックアップされる半導体チップ3を押し上げるための押し上げ手段26が設けられている。この押し上げ手段26は突き上げ軸27を有する。この突き上げ軸27は、上記バックアップ体1の基部12の径方向中心部に上下方向に貫通形成された支持孔28に挿通され、上下一対のOリング28aによって気密な状態でスライド可能に支持されている。
【0040】
上記突き上げ軸27の上記蓋体部13内に突出した上部には受け部29が一体的に設けられている。上記突き上げ軸27には、径方向の中心部に通孔31aが穿設された取付け盤31がその通孔31aを上記突き上げ軸27に嵌挿させて設けられている。上記取付け盤31と上記受け部29の間にはコイル状の第1のばね32が設けられ、このばね32によって上記取付け盤31は上記突き上げ軸27に沿って上下方向に弾性的に変位可能に支持されている。
【0041】
上記突き上げ軸27の上端には上記取付け盤31が上記突き上げ軸27から抜出するのを阻止する止めねじ33が螺合されている。この止めねじ33の上面には半球形状の当接部34が形成されている。
【0042】
上記取付け盤31の上面には複数の押し上げ体、この実施の形態では第1乃至第3の押し上げ体35〜37が軸芯を上記突き上げ軸27に一致させて同芯状に設けられている。
【0043】
最も外側に位置する上記第1の押し上げ体35は、外径寸法が上記取付け盤31の外径寸法とほぼ同じ大きさに設定されるとともに、下面が開口した第1の円筒部38を有する。この第1の円筒部38の上面の中心部には、外周面を上記蓋体部13の上部壁に形成された正方形の開口部14の内周面に気密に摺接させる大きさの正方形の筒状に形成された第1の押圧部39が突設され、下端面は上記取付け盤31の上面に接触させてねじなどにより着脱可能に固定されている。
【0044】
上記第1の円筒部38の上端部の外周面にはおねじ38aが形成され、このおねじ38aには調整手段としてのリング状部材41が螺合されている。このリング状部材41は、上記第1の押し上げ体35を後述するように上記突き上げ軸27によって上昇させたとき、上記蓋体部13の上部壁の内面に上面の全周が当接し、上記第1の押し上げ体35の上昇高さを制限する。
【0045】
つまり、上記リング状部材41のねじ込み量を調整して図1に矢印Zで示す方向に水平に上下動作させ、上記第1の円筒部38の上面からの突出高さを調整すれば、上記第1の押し上げ体35の上昇高さである、上記蓋体部13の開口部14からの上記第1の押圧部39の突出高さを設定できるようになっている。
【0046】
上記リング状部材41が上記蓋体部13の上部壁の内面に当接した状態で上記突き上げ軸27がさらに上昇方向に駆動されると、上記受け部29が第1のばね32を圧縮しながら上記取付け盤31に対して相対的に上方へ弾性的に変位するようになっている。
【0047】
図4に示すように、上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上面には周方向に沿って目盛り38bが形成され、上記リング状部材41の上面には上記目盛り38bを指す指針41aが形成されている。したがって、上記第1の円筒部38に対する上記リング状部材41のねじ込み量、つまり第1の円筒部38の上面からの突出高さを上記目盛り38bによって精密に設定できるようになっている。
【0048】
なお、上記リング状部材41のねじ込み量の調整は、上記バックアップ体1の上記蓋体部13を上記基部12から取り外すことで、行なうことができる。
【0049】
図2に示すように、上記第1の押し上げ体35の内部には、この第1の押し上げ体35と相似形状をなした上記第2の押し上げ体36が収納されている。この第2の押し上げ体36は、外周面を上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の内周面に摺接させた第2の円筒部42を有する。この第2の円筒部42の周壁には周方向全長にわたる収納溝43が上面に開放して形成されている。
【0050】
上記収納溝43と上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上部壁の内面との間にはコイル状の第2のばね44が収容されている。それによって、上記第2の押し上げ体36は上記取付け盤31の上面で上昇方向に変位できるよう弾性的に保持されている。
【0051】
上記第2の円筒部42の上面には、外周面が上記第1の押圧部39の内周面に気密な状態で摺接する正方形で、中心部に断面円形状の挿通孔45aが形成された中空筒状の第2の押圧部45が設けられている。
【0052】
上記第2の押し上げ体36の内部には上記第3の押し上げ体37が収容されている。この第3の押し上げ体37は外周面を上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の内周面に摺接させ、下面を上記突き上げ軸27の上端に螺合された止めねじ33の上面の当接部34に接触させた円柱部47を有する。この円柱部47の上面には上記第2の押圧部45の挿通孔45aの内周面に外周面を気密な状態で摺接させた、円柱状の第3の押圧部48が設けられている。
【0053】
上記円柱部47の上面と、上記第2の円筒部42との間にはコイル状の第3のばね49が収容され、この第3のばね49によって上記第3の押し上げ体37は上記取付け盤31上で上昇方向に弾性的に変位可能に支持されている。
【0054】
なお、第1乃至第3の押し上げ体35〜37は互いに気密な状態で摺動するようになっている。そのため、摺動時に互いの押し上げ体35〜37の間に形成される空間部内の空気を逃がす逃げ孔(図示せず)が形成され、上記押し上げ体35〜37の動きが円滑に行われるようになっている。
【0055】
図1に示すように、上記突き上げ軸27の下端にはカムフォロア51が回転可能に設けられている。このカムフォロア51はカム体52の外周面である、カム面52aに接触している。上記カム体52は回転駆動源53によって矢印で示すように所定の角度で往復回転される。それによって、上記突き上げ軸27は上記カム体52のカム面52aの回転角度内における高低差に応じて上下方向に駆動されるようになっている。
【0056】
この実施の形態では、上記カムフォロア51、カム体52及び回転駆動源53によって上記押し上げ手段26を上昇方向に駆動する駆動手段を構成している。
【0057】
上記突き上げ軸27を上昇させる前、上記第1乃至第3の押し上げ体35,36,37の第1乃至第3の押圧部39,45,48の上端面は同じ高さ、つまり上記蓋体部13の上面と同じ高さになるよう設定されている。
【0058】
そして、上記突き上げ軸27が上昇方向に駆動されると、図5に示すように上記第1乃至第3の押し上げ体35,36,37が上記取付け盤31とともに一体的に上昇する。上記第1の押し上げ体35に設けられた上記リング状部材41が上記蓋体部13の上部壁の内面の全周にわたって当接して上記第1の押し上げ体35とともに上記取付け盤31の上昇が制限されると、上記突き上げ軸27はこれに設けられた上記受け部29によって上記第1のばね32を圧縮変形させながら上昇する。このときの上記第1の押し上げ体35の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを図5に示すように第1の高さH1とする。
【0059】
上記突き上げ軸27が上昇すると、その上端の止めねじ33の上面に形成された当接部34によって第3の押し上げ体37の円柱部47の下面が押圧される。それによって、第3の押し上げ体37と、この第3の押し上げ体37に第3のばね49によって弾性的に保持された第2の押圧体36とが上記第2のばね44を圧縮変形させながら上昇する。
【0060】
それによって、上記第1の押し上げ体35の第1の押圧部39に対して上記第2、第3の押圧部45,48が同じ高さを維持しながら上昇する。
【0061】
上記第2、第3の押圧部45,48が上記第2のばね44を圧縮変形させながら上昇すると、第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上面が上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上部壁の内面に当接し、上記第2の押し上げ体36の上昇が制限される。このときの上記第2の押し上げ体36の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを図6に示すように第2の高さH2とする。
【0062】
さらに、上記突き上げ軸27が上昇方向に駆動されると、図7に示すように上記第3の押し上げ体37だけが第3のばね49を圧縮変形させながら上昇し、その第3の押圧部48が上記第2の押圧部45よりも上昇する。このときの第3の押圧部48の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを第3の高さH3とする。
【0063】
この第3の高さH3がカム体52により上記第3の押し上げ体37上方に駆動される量、すなわち上記第3の押し上げ体37のストロークとなる。
【0064】
このように、上記突き上げ軸27がカム体52の回転によって上昇方向に駆動されたとき、最初は上記第1乃至第3の押し上げ体35〜37が一体的に上昇してから、第1の高さH1で第1の押し上げ体35の上昇が阻止され、ついで第2の高さH2で第2の押し上げ体36の上昇が阻止された後、第3の高さH3まで第3の押し上げ体37だけが上昇するよう、上記第1、第2及び第3のばね32,44,49の強さが設定されている。つまり、第1のばね32が最も低い弾力性を有し、ついで第2のばね44、第3のばね49の順に設定されている。
【0065】
つぎに、上記構成のピックアップ装置によって半導体チップ3を粘着シート2からピックアップするときの動作について説明する。
ピックアップされる半導体チップ3を図3に鎖線で示すようにバックアップ体1の上面の開口部14に対して位置決めしたならば、吸引ポンプ21による吸引力で粘着シート2をバックアップ体1の環状溝16が形成された上面によって吸着保持する。つまり、粘着シート2は、ピックアップされる半導体チップ3の周辺部に対応する部分がバックアップ体1の上面によって吸着保持される。
【0066】
このように粘着シート2を吸着保持したならば、吸着ノズル体4を下降させて上部吸着ノズル8によってピックアップされる半導体チップ3の上面を吸着した後、カム体52を回転駆動源53によって回転させ、突き上げ軸27を上昇方向に駆動する。
【0067】
それによって、まず、図5に示すように第1乃至第3の押し上げ体35〜37が突き上げ軸27に設けられた取付け盤31によって、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41がバックアップ体1の蓋体部13の上部壁の内面に当接する第1の高さH1まで一体的に上昇して、半導体チップ3を押し上げる。
【0068】
このとき、吸着ノズル体4は半導体チップ3とともに上昇する。第1乃至第3の押し上げ体35〜37が上昇し、これらの第1乃至第3の押圧部39,45,48によって半導体チップ3が押し上げられると、粘着シート2が引き伸ばされる。それによって、粘着シート2の半導体チップ3の周辺部を貼着した部分には張力及び吸引ポンプ21の吸引力が作用する。
【0069】
それによって、粘着シート2の半導体チップ3の周辺部に対応する部分が張力によって引っ張られ、しかも吸引ポンプ21の吸引力によって吸引されるから、粘着シート2は半導体チップ3の周辺部の端部、とくに半導体チップ3の角部から剥離し始める。
【0070】
半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が剥離を開始するときの条件は、同じ高さで上昇する第1、第2、第3の押圧部39,45,48が粘着シート2に加える張力、つまり最も外側に位置する第1の押圧部39が上昇を停止する第1の高さH1によって大きく左右されることになる。
【0071】
つまり、粘着シート2の粘着力、半導体チップ3の厚さ、粘着シート2に貼着された半導体チップ3のダイシング状態などの剥離条件に応じて粘着シート2に加える張力を調整することで、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が円滑かつ確実に剥離を開始させることが必要となり、そのための上記第1の押圧部39の上昇高さを第1の高さH1と仮定する。
【0072】
上記第1の高さH1は、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41によって設定することができる。つまり、上記第1の円筒部38に対してリング状部材41をねじ込む方向に回転させれば、第1の押し上げ体35の上昇高さを高くすることができ、逆に緩める方向に回転させれば、低くすることができる。つまり、第1の押し上げ体35の上昇高さである、第1の高さH1を任意に設定することができる。
【0073】
このとき、リング状部材41の上面の全周が蓋体部13の上部壁の内面に当接するので、第1の押圧部39の上面が水平状態から傾くことがない。そのため、半導体チップ3の四隅を粘着シート2から均一、つまり同じ状態で剥離することができるので、上記半導体チップ3の剥離状態が不安定になったり、割れが生じるのを防止することができる。
【0074】
しかも、第1の高さH1は上記第1の円筒部38の上面に設けられた目盛り38bによって精密に設定することが可能である。
【0075】
したがって、第1の押し上げ体35が上昇を停止する第1の高さH1を、上述した剥離条件の変化に応じて設定することで、半導体チップ3の周辺部の端部からの粘着シート2の剥離を、円滑かつ確実に開始することができる。
【0076】
このようにして、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が円滑かつ均一に剥離し始めれば、ついで第2、第3の押圧部45,48を図6に示すように高さH2まで上昇させることで、粘着シート2の剥離が周辺部から中央部に向かって進行する。
【0077】
さらに、第2、第3の押圧部45,48のうち、第3の押圧部48だけを第2の高さH2から図7に示す第3の高さH3まで上昇させることで、粘着シート2は半導体チップ3の第3の押圧部48によって押圧された部分を除いて剥離されることになる。
【0078】
したがって、第3の押し上げ体37が第3の高さH3まで上昇したならば、図8に示すように半導体チップ3の上面を吸着した吸着ノズル体4を上昇させることで、半導体チップ3を粘着シート2から剥離することができる。
【0079】
このように、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38にリング状部材41を螺合し、このリング状部材41が上記第1の円筒部38の上面から突出する高さを設定することで、第1の押し上げ体35が第2、第3の押し上げ体36,37とともに一体的に上昇限まで上昇する第1の高さH1を種々の剥離条件に応じて設定できるようにした。
【0080】
粘着シート2が半導体チップ3の周辺部の端部、つまり四隅部から円滑かつ均一に剥離し始める、上記第1の高さH1は上述した剥離条件によって変化する。そのため、剥離条件の変化に応じて第1の高さH1を設定することで、剥離条件が変化しても、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2の剥離を円滑かつ確実に開始させることができる。
【0081】
このように、粘着シート2を半導体チップ3の周辺部の端部から円滑に剥離することができれば、半導体チップ3に応力が加わり過ぎて欠けや割れを招くのを防止できるから、半導体チップ3のピックアップを能率よく確実に行えるということになる。
【0082】
バックアップ体1の基部12から蓋体部13を取り外すことで、上記第1の押し上げ体35を外部に露出させることができる。上記第1の押し上げ体35を外部に露出させれば、上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41を回転させて上記第1の押し上げ体35の上昇限となる上昇高さ、つまり第1の高さH1を設定することができる。すなわち、第1の押し上げ体35の第1の高さH1の設定を容易に、しかも目盛り36bによって精密に行なうことができる。
【0083】
図9乃至図11はこの発明の第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明は省略する。
【0084】
この第2の実施の形態では、図9と図10に示すように、押し上げ手段26の第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上端部の外周面におねじ42aが形成され、このおねじ42aには調整手段としてのリング状部材56が螺合されている。
【0085】
ここで、第1の押し上げ体35に設けられるリング状部材を第1のリング状部材41とし、第2の押し上げ体36に設けられるリング状部材を第2のリング状部材56とする。
【0086】
上記第2のリング状部材56は、上記第2の押し上げ体36を突き上げ軸27によって上昇させたとき、上記第1の押し上げ体35の側壁上部に後述するように形成された当接部57に上面の全周が当接する。それによって、上記第2の押し上げ体36の上昇高さが制限されるようになっている。
【0087】
図9と図11に示すように、上記第1の押し上げ体35の側壁は、内径寸法が上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上端部に螺合された第2のリング状部材56の外径寸法よりもわずかに大きく形成された下部側壁部58aと、第2のリング状部材56の外径寸法よりもわずかに小さく形成された上部側壁部58bとを有する。
【0088】
それによって、上記第2の押し上げ体36が上記第1の押し上げ体35に対して上昇すると、上記リング状部材56の上面が全周にわたって上記上部側壁部58bの下端面、つまり上記当接部57に当接して上昇高さが制限されるようになっている。
【0089】
上記下部側壁部58aの上記上部側壁部58bとの境界部分には、周方向に180度間隔で2つの開口部59が上記下部側壁部58aを残して形成されている。つまり、上記下部側壁部58aと上記上部側壁部58bとは分断されることがないよう、上記2つの開口部59の大きさが設定されている。
【0090】
図10に示すように、上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の外周面には周方向に目盛り42cが形成され、上記第2のリング状部材56には指針56aが下方に向かって設けられている。上記目盛り42cと指針56aは上記開口部59から覗くことができるようになっていて、しかも上記第2のリング状部材56は上記開口部59から手指を差し入れて回転させることができるようになっている。
【0091】
それによって、上記第2のリング状部材56を回転させて水平な状態で上下動させれば、上記リング状部材56の上面の全周が上記上部側壁部58bの下端面の当接部57に当接する高さ、つまり第1の押し上げ体35に対する第2の押し上げ体36の上昇高さH2を設定できるようになっている。
【0092】
このように、第1の押し上げ体35の上昇限である第1の上昇高さH1とともに、第2の押し上げ体36の上昇限である第2の高さH2を設定できるようにしたことで、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2の剥離が開始した後、その剥離が半導体チップ3の周辺部から内方に向かって進行する剥離速度を、剥離条件に応じた上記第2の高さH2によって設定することができる。
【0093】
それによって、第1の押し上げ体35の第1の上昇高さH1だけを設定できるようにした場合に比べて粘着シートの剥離を円滑かつ確実に行なうことができるようになる。
【0094】
しかも、第3の押し上げ体37の第3の上昇高さH3は、カム体52の回転角度を制御することで設定することができる。つまり第1乃至第3の押し上げ体35〜37の上昇高さをそれぞれ設定することができる。
【0095】
そのため、剥離条件が異なる半導体チップ3の厚さや粘着シート2の粘着力などに対応して第1乃至第3の上昇高さH1〜H3をそれぞれ設定することができるから、剥離条件の変化に対応して半導体チップ3を粘着シート2から割れや欠けを招くようなことなく、確実に剥離することが可能となる。
【0096】
なお、押し上げ手段を第1乃至第3の押し上げ体によって構成したが、押し上げ体の数は2つ或いは4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…バックアップ体、2…粘着シート、3…半導体チップ、4…吸着ノズル体、12…基部、13…蓋体部、14…開口部、26…押し上げ手段、27…突き上げ軸、32…第1のばね、35〜37…第1乃至第3の押し上げ体、38…第1の円筒部、39…第1の押圧部、41…リング状部材(調整手段)、42…第2の円筒部、44…第2のばね、45…第2の押圧部、48…第3の押圧部、49…第3のばね、51…カムフォロア(駆動手段)、52…カム体(駆動手段)、53…回転駆動源(駆動手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は粘着シートに貼着された半導体チップをピックアップするピックアップ装置及びピックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハをさいの目状に切断して形成された半導体チップは粘着シートに貼られており、この半導体チップを基板に実装する場合には吸着ノズル(コレット)によって上記粘着シートから1つずつピックアップするようにしている。
【0003】
半導体チップを粘着シートからピックアップする場合、従来は吸着ノズルからなるピックアップツールによってピックアップされる半導体チップが貼着された粘着シートの、上記半導体チップの周辺部をバックアップ体の上面によって吸着保持する。そして、その半導体チップを下面側から先端が鋭利な突き上げピンによって突き上げることで、上記半導体チップから上記粘着シートを剥離させ、上記吸着ノズルによってピックアップするということが行なわれていた。
【0004】
ところで、最近では半導体チップの厚さが50μm以下と非常に薄い場合があり、そのように薄い半導体チップは荷重を加えることで湾曲変形する柔軟性を備えている。そのため、そのように薄い半導体チップを突き上げピンによって粘着シートを引き伸ばしながら突き上げると、突き上げられた半導体チップの周辺部に上記粘着シートの張力が加わることになるから、その張力によって上記半導体チップは下方へ湾曲変形するということがある。
【0005】
半導体チップが下方へ湾曲変形すると、その半導体チップの周辺部から粘着シートが剥離し難くなるため、半導体チップを上記吸着ノズルによってピックアップすることができないということがあったり、湾曲度合が大きくなると半導体チップが損傷するということがある。
【0006】
そこで、特許文献1に示されるように、半導体チップを突き上げたとき、その半導体チップが湾曲変形するのを防止し、しかも半導体チップの下面に貼着された粘着シートの剥離が半導体チップの周辺部から中心部に向かって徐々に進行するようにしたピックアップ装置が開発されている。
【0007】
上記ピックアップ装置は、突き上げホルダ内に軸線を一致させて同芯的に設けられた複数の突き上げ体を有する。複数の突き上げ体がなす上面形状は、通常、ピックアップされる矩形状の半導体チップよりもわずかに小さな矩形状に形成されている。
【0008】
そして、上記ピックアップ装置は、上記突き上げホルダと一体的に複数の突き上げ体を同時に所定の高さまで上昇させ、最も外側に位置する突き上げ体の上昇高さに応じて粘着シートに張力を付与し、その張力によって半導体チップの外周側の端部から粘着シートを剥離を開始させる。
【0009】
ついで、上記突き上げホルダ内に圧縮空気を送り込み、複数の突き上げ体が受ける受圧面積の大小の関係から、外側の突き上げ体から上昇させ、最終的には外側の突き上げ体から内側の突き上げ体にゆくにつれて次第に高くなるよう上昇させる。
【0010】
それによって、半導体チップの下面の外側から、中心に向かって粘着シートが徐々に剥離されるから、半導体チップの一部に集中的に大きな応力を加えて湾曲させるようなことなく、上記半導体チップの下面から粘着シートの剥離を円滑に行なえるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平1−321650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、半導体チップの下面から粘着シートを剥離する際、最初に半導体チップの外周側の端部から粘着シートを円滑かつ確実に剥離することが重要となり、そのためには半導体チップの厚さ、粘着シートの粘着力、或いは粘着シートに貼着された複数の半導体チップのダイシング状態などの条件(この条件を剥離条件という)に応じて最も外側に位置する上記突き上げ体の上昇高さを設定しなければならない。
【0013】
すなわち、上述した剥離条件によって半導体チップの外周側の端部から粘着シートが剥離を開始する上記突き上げ体の突き上げ高さ(上昇高さ)が変化するから、剥離条件が変化した場合であっても、半導体チップの外周側の端部から粘着シートが確実に剥離し始めるよう、上記突き上げ体の上昇高さを設定しなければならない。
【0014】
しかしながら、上述した従来技術では、剥離条件の変化に応じて上記突き上げ体の突き上げ高さを制御するということを行なうことなく、単に上記突き上げ体を所定の高さまで上昇させて半導体チップの外周側の端部から粘着シートの剥離を開始させるようにしていた。すなわち、上記突き上げ体は設計された形状に基いた上昇高さで上昇されるようになっていた。
【0015】
そのため、剥離条件が変わった場合、たとえば半導体チップの外周側の端部から粘着シートが確実に剥離されない状態で、突き上げホルダ内に圧縮空気を送り込み、複数の突き上げ体を上昇させてしまうということがあり、そのような場合には半導体チップの湾曲度合がかなり大きくなるまで剥離が開始されず、欠けや割れが生じる原因になるなど、半導体チップから粘着シートを円滑かつ確実に剥離することができないということになる。
【0016】
この発明は、半導体チップから粘着シートを剥離するとき、剥離条件が変化した場合には、剥離条件の変化に応じて剥離開始時に上記半導体チップを上昇させる高さを設定できるようにした半導体チップのピックアップ装置及びピックアップ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップする半導体チップのピックアップ装置であって、
上面が上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップの周辺部分に対応する部分を吸着保持する吸着面に形成されるとともに、上記上面の中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、
このバックアップ体内に軸心を同じにして互いに移動可能な状態で設けられた複数の押し上げ体を有し、複数の押し上げ体は上記開口部から上端部が突出するよう所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が上記所定の高さまで上昇したときにそれ以上上昇するのが制限された後、径方向外側に位置する押し上げ体よりも内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段と、
複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側に位置する押し上げ体から径方向内側に位置する押し上げ体の上端部によって順次押し上げて上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させる駆動手段と、
この駆動手段によって上記複数の押し上げ体を押し上げたとき、複数の押し上げ体のうちの少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整する調整手段と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ装置にある。
【0018】
上記複数の押し上げ体の少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体は、円筒部と、この円筒部の上面の中心部に設けられ外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状であって、上記駆動手段によって押し上げられたときに上記バックアップ体の開口部から上方に突出する押圧部を有し、
上記調整手段は上記円筒部の上端外周面に螺合され回転させることで上下方向に移動して位置決め調整可能であって、上記押し上げ体が上昇方向に駆動されたときにその上面が上記バックアップ体の上部内面に当接して上記押し上げ体の上昇位置を制限するリング状部材であることが好ましい。
【0019】
上記押し上げ体の大径部の上面には上記リング状部材の回転角度を設定する目盛りが設けられていることが好ましい。
【0020】
上記バックアップ体は、基部と、この基部に下端部が着脱可能に取付けられ上面の中央部に上記開口部が形成された蓋体部とを有し、上記基部から上記蓋体部を取り外すことで、上記リング状部材を回転操作できるよう上記押し上げ体が露出する構造であることが好ましい。
【0021】
上記押し上げ手段は、
上記バックアップ体に上下方向に駆動可能に設けられた突き上げ軸と、
この突き上げ軸の上記バックアップ体内に位置する上端部に上下方向に弾性的に変位可能に設けられた取付け盤と、
上面の中心部に外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状の第1の押圧部が設けられ上記取付け盤の上面に取付けられた第1の押し上げ体と、
この第1の押し上げ体内に上記第1の押し上げ体に対して弾性的に変位可能に収容保持され上面の中心部に上記第1の押圧部内に入り込む矩形中空状の第2の押圧部が形成されていて、上記第1の押し上げ体が上記取付け盤によって上昇限まで駆動されてから上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第2の押し上げ体と、
この第2の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上部が上記第2の押圧部内に入り込む断面矩形状の第3の押圧部を有し、上記第2の押し上げ体が上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位した後、上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第2の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第3の押し上げ体と
によって構成されていることが好ましい。
【0022】
この発明は、粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップツールでピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、
上記粘着シートの上記ピックアップツールによってピックアップされる上記半導体チップの周辺に位置する部分を上記ピックアップツールの上面に吸着保持する工程と、
軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上面を同じ高さにして一体的に上昇させ、最も外側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップの外周縁から上記粘着シートを剥離させてから、内側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップを順次押し上げて上記粘着テープを上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって剥離する工程と、
少なくとも最も外側に位置する上記押し上げ体によって上記粘着シートの上記半導体チップが設けられた部分の下面を押し上げるときその押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される条件に応じて設定する工程と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ方法にある。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上昇させて粘着テープに貼着された半導体チップを剥離するとき、最も外側に位置する押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを、上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される剥離条件である、半導体チップの厚さ、粘着テープの粘着力或いは粘着テープに貼着された複数の半導体チップのダイシング状態などに応じて調整できるようにした。
【0024】
そのため、半導体チップを粘着テープから剥離する剥離条件が変わった場合であっても、最も外側に位置する押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを調整することで、半導体チップを粘着テープから確実かつ迅速に剥離することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す半導体チップのピックアップ装置の概略的構成図。
【図2】上記ピックアップ装置のバックアップ体の縦断面図。
【図3】上記バックアップ体の平面図。
【図4】第1の押し上げ体の平面図。
【図5】第1乃至第3の押し上げ体が第1の高さH1まで押し上げられた状態の説明図。
【図6】第2、第3の押し上げ体が第2の高さH2まで押し上げられた状態の説明図。
【図7】第3の押し上げ体が第3の高さH3まで押し上げられた状態の説明図。
【図8】上部吸着ノズルによって半導体チップが粘着シートからピックアップされた状態の説明図。
【図9】この発明の第2の実施の形態を示す押し上げ手段の断面図。
【図10】第2の押し上げ体の側面図。
【図11】第1の押し上げ体の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図8はこの発明の第1の実施の形態を示す。図1に示すピックアップ装置はバックアップユニット10を備えている。このバックアップユニット10は図示しないウエハリングに張設された粘着シート2の下面側に対向して設けられ、図示しないZ駆動源によってZ方向において、後述するごとく上記バックアップユニット10のバックアップ体1の上面が粘着シート2に接触する位置と、粘着シート2から離れる位置との間で駆動されるようになっている。
【0027】
上記粘着シート2の上面には半導体ウエハをさいの目状にダイシングした複数の半導体チップ3が貼着されている。上記ウエハリングは図示しないX及びY駆動源によって水平方向に駆動されるようになっている。
【0028】
それによって、粘着シート2に貼着された半導体チップ3はバックアップユニット10に対してX及びY方向に位置決め可能となっている。なお、バックアップユニット10に代わり、ウエハリングをZ方向に駆動するようにしてもよく、要はウエハリングとバックアップユニット10とが相対的にX、Y及びZ方向に駆動されるようになっていればよい。
【0029】
上記粘着シート2の上面側で、上記バックアップユニット10の上方にはピックアップ手段を構成する吸着ノズル体4が設けられている。この吸着ノズル体4は、図示しないX、Y及びZ駆動源によってX、Y及びZ方向に駆動されるピックアップ軸5を有する。このピックアップ軸5の下端面には凸部6が設けられている。
【0030】
上記ピックアップ軸5には先端を上記凸部6の端面に開口した吸引孔7が軸方向に沿って形成されている。この吸引孔7は適宜の吸引ポンプ、たとえばこの実施の形態では図1に示す吸引ポンプ21に接続されている。上記凸部6にはゴムや軟質又は硬質の合成樹脂などの弾性材料によって形成された上部吸着ノズル8が着脱可能に取着されている。この上部吸着ノズル8には一端が上記吸引孔7に連通し、他端が先端面に開口したノズル孔9が形成され、さらに下面は平坦面8aに形成されている。
【0031】
上記上部吸着ノズル8の半導体チップ3を吸着する吸着面を平坦面8aに代えて半導体チップ3の外形状に対応する角錐状の凹部とし、その凹部内に半導体チップ3を吸着保持するようにしてもよい。
【0032】
なお、上記ピックアップ軸5をZ方向に駆動するZ駆動源としてはボイスコイルモータなどを用い、吸着ノズル体4により上記半導体チップ3を押圧する荷重が一定となるよう制御することが好ましい。
【0033】
図2と図3に示すように、上記バックアップ体1は平面形状が円形状の基部12と、下面が開口した円筒状をなしていて、上記基部12に下端が気密かつ着脱可能に連結固定された蓋体部13を有する。図3に示すように、この蓋体部13の上部壁の中央部には鎖線で示すピックアップの対象となる四角形状、この実施の形態では正方形の半導体チップ3よりもわずかに小さな正方形の開口部14が形成されている。
【0034】
上記バックアップ体1の上部壁に開口形成された上記開口部14は後述するように気密に閉塞される。それによって、上記バックアップ体1の内部空間は気密状態を維持できるようになっている。
【0035】
上記半導体チップ3は正方形でなく、長方形の場合もあり、その場合はバックアップ体1に形成される開口部14を半導体チップ3よりもやや小さな長方形とすればよい。
【0036】
上記バックアップ体1の上面には、上記開口部14を囲む複数の円形の環状溝16が同芯状に形成されている。複数の環状溝16は、上記バックアップ体1の上面に周方向に90度間隔で、径方向に沿って形成された4つの連通溝17によって連通している。4つの連通溝17の1つには吸引孔18の一端が開口している。この吸引孔18の他端は上記蓋体部13の上部壁の下面に開口している。
【0037】
図2に示すように、上記バックアップ体1の蓋体部13の周壁には接続孔19が穿設され、この接続孔19には上記吸引ポンプ21が配管22によって接続されている。上記吸引ポンプ21が作動すれば、蓋体部13の内部空間から上記吸引孔18及び連通溝17を介して複数の環状溝16に吸引力が発生する。
【0038】
それによって、図1に示すように上記バックアップ体1の上面を粘着シート2の下面に接触させれば、その上面に粘着シート2が吸着保持される。つまり、バックアップ体1の上面は粘着シート2を吸着保持する吸着面となっている。
【0039】
図2に示すように、上記バックアップ体1の円柱状の蓋体部13内には、ピックアップされる半導体チップ3を押し上げるための押し上げ手段26が設けられている。この押し上げ手段26は突き上げ軸27を有する。この突き上げ軸27は、上記バックアップ体1の基部12の径方向中心部に上下方向に貫通形成された支持孔28に挿通され、上下一対のOリング28aによって気密な状態でスライド可能に支持されている。
【0040】
上記突き上げ軸27の上記蓋体部13内に突出した上部には受け部29が一体的に設けられている。上記突き上げ軸27には、径方向の中心部に通孔31aが穿設された取付け盤31がその通孔31aを上記突き上げ軸27に嵌挿させて設けられている。上記取付け盤31と上記受け部29の間にはコイル状の第1のばね32が設けられ、このばね32によって上記取付け盤31は上記突き上げ軸27に沿って上下方向に弾性的に変位可能に支持されている。
【0041】
上記突き上げ軸27の上端には上記取付け盤31が上記突き上げ軸27から抜出するのを阻止する止めねじ33が螺合されている。この止めねじ33の上面には半球形状の当接部34が形成されている。
【0042】
上記取付け盤31の上面には複数の押し上げ体、この実施の形態では第1乃至第3の押し上げ体35〜37が軸芯を上記突き上げ軸27に一致させて同芯状に設けられている。
【0043】
最も外側に位置する上記第1の押し上げ体35は、外径寸法が上記取付け盤31の外径寸法とほぼ同じ大きさに設定されるとともに、下面が開口した第1の円筒部38を有する。この第1の円筒部38の上面の中心部には、外周面を上記蓋体部13の上部壁に形成された正方形の開口部14の内周面に気密に摺接させる大きさの正方形の筒状に形成された第1の押圧部39が突設され、下端面は上記取付け盤31の上面に接触させてねじなどにより着脱可能に固定されている。
【0044】
上記第1の円筒部38の上端部の外周面にはおねじ38aが形成され、このおねじ38aには調整手段としてのリング状部材41が螺合されている。このリング状部材41は、上記第1の押し上げ体35を後述するように上記突き上げ軸27によって上昇させたとき、上記蓋体部13の上部壁の内面に上面の全周が当接し、上記第1の押し上げ体35の上昇高さを制限する。
【0045】
つまり、上記リング状部材41のねじ込み量を調整して図1に矢印Zで示す方向に水平に上下動作させ、上記第1の円筒部38の上面からの突出高さを調整すれば、上記第1の押し上げ体35の上昇高さである、上記蓋体部13の開口部14からの上記第1の押圧部39の突出高さを設定できるようになっている。
【0046】
上記リング状部材41が上記蓋体部13の上部壁の内面に当接した状態で上記突き上げ軸27がさらに上昇方向に駆動されると、上記受け部29が第1のばね32を圧縮しながら上記取付け盤31に対して相対的に上方へ弾性的に変位するようになっている。
【0047】
図4に示すように、上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上面には周方向に沿って目盛り38bが形成され、上記リング状部材41の上面には上記目盛り38bを指す指針41aが形成されている。したがって、上記第1の円筒部38に対する上記リング状部材41のねじ込み量、つまり第1の円筒部38の上面からの突出高さを上記目盛り38bによって精密に設定できるようになっている。
【0048】
なお、上記リング状部材41のねじ込み量の調整は、上記バックアップ体1の上記蓋体部13を上記基部12から取り外すことで、行なうことができる。
【0049】
図2に示すように、上記第1の押し上げ体35の内部には、この第1の押し上げ体35と相似形状をなした上記第2の押し上げ体36が収納されている。この第2の押し上げ体36は、外周面を上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の内周面に摺接させた第2の円筒部42を有する。この第2の円筒部42の周壁には周方向全長にわたる収納溝43が上面に開放して形成されている。
【0050】
上記収納溝43と上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上部壁の内面との間にはコイル状の第2のばね44が収容されている。それによって、上記第2の押し上げ体36は上記取付け盤31の上面で上昇方向に変位できるよう弾性的に保持されている。
【0051】
上記第2の円筒部42の上面には、外周面が上記第1の押圧部39の内周面に気密な状態で摺接する正方形で、中心部に断面円形状の挿通孔45aが形成された中空筒状の第2の押圧部45が設けられている。
【0052】
上記第2の押し上げ体36の内部には上記第3の押し上げ体37が収容されている。この第3の押し上げ体37は外周面を上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の内周面に摺接させ、下面を上記突き上げ軸27の上端に螺合された止めねじ33の上面の当接部34に接触させた円柱部47を有する。この円柱部47の上面には上記第2の押圧部45の挿通孔45aの内周面に外周面を気密な状態で摺接させた、円柱状の第3の押圧部48が設けられている。
【0053】
上記円柱部47の上面と、上記第2の円筒部42との間にはコイル状の第3のばね49が収容され、この第3のばね49によって上記第3の押し上げ体37は上記取付け盤31上で上昇方向に弾性的に変位可能に支持されている。
【0054】
なお、第1乃至第3の押し上げ体35〜37は互いに気密な状態で摺動するようになっている。そのため、摺動時に互いの押し上げ体35〜37の間に形成される空間部内の空気を逃がす逃げ孔(図示せず)が形成され、上記押し上げ体35〜37の動きが円滑に行われるようになっている。
【0055】
図1に示すように、上記突き上げ軸27の下端にはカムフォロア51が回転可能に設けられている。このカムフォロア51はカム体52の外周面である、カム面52aに接触している。上記カム体52は回転駆動源53によって矢印で示すように所定の角度で往復回転される。それによって、上記突き上げ軸27は上記カム体52のカム面52aの回転角度内における高低差に応じて上下方向に駆動されるようになっている。
【0056】
この実施の形態では、上記カムフォロア51、カム体52及び回転駆動源53によって上記押し上げ手段26を上昇方向に駆動する駆動手段を構成している。
【0057】
上記突き上げ軸27を上昇させる前、上記第1乃至第3の押し上げ体35,36,37の第1乃至第3の押圧部39,45,48の上端面は同じ高さ、つまり上記蓋体部13の上面と同じ高さになるよう設定されている。
【0058】
そして、上記突き上げ軸27が上昇方向に駆動されると、図5に示すように上記第1乃至第3の押し上げ体35,36,37が上記取付け盤31とともに一体的に上昇する。上記第1の押し上げ体35に設けられた上記リング状部材41が上記蓋体部13の上部壁の内面の全周にわたって当接して上記第1の押し上げ体35とともに上記取付け盤31の上昇が制限されると、上記突き上げ軸27はこれに設けられた上記受け部29によって上記第1のばね32を圧縮変形させながら上昇する。このときの上記第1の押し上げ体35の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを図5に示すように第1の高さH1とする。
【0059】
上記突き上げ軸27が上昇すると、その上端の止めねじ33の上面に形成された当接部34によって第3の押し上げ体37の円柱部47の下面が押圧される。それによって、第3の押し上げ体37と、この第3の押し上げ体37に第3のばね49によって弾性的に保持された第2の押圧体36とが上記第2のばね44を圧縮変形させながら上昇する。
【0060】
それによって、上記第1の押し上げ体35の第1の押圧部39に対して上記第2、第3の押圧部45,48が同じ高さを維持しながら上昇する。
【0061】
上記第2、第3の押圧部45,48が上記第2のばね44を圧縮変形させながら上昇すると、第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上面が上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38の上部壁の内面に当接し、上記第2の押し上げ体36の上昇が制限される。このときの上記第2の押し上げ体36の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを図6に示すように第2の高さH2とする。
【0062】
さらに、上記突き上げ軸27が上昇方向に駆動されると、図7に示すように上記第3の押し上げ体37だけが第3のばね49を圧縮変形させながら上昇し、その第3の押圧部48が上記第2の押圧部45よりも上昇する。このときの第3の押圧部48の上記蓋体部13の上面からの上昇高さを第3の高さH3とする。
【0063】
この第3の高さH3がカム体52により上記第3の押し上げ体37上方に駆動される量、すなわち上記第3の押し上げ体37のストロークとなる。
【0064】
このように、上記突き上げ軸27がカム体52の回転によって上昇方向に駆動されたとき、最初は上記第1乃至第3の押し上げ体35〜37が一体的に上昇してから、第1の高さH1で第1の押し上げ体35の上昇が阻止され、ついで第2の高さH2で第2の押し上げ体36の上昇が阻止された後、第3の高さH3まで第3の押し上げ体37だけが上昇するよう、上記第1、第2及び第3のばね32,44,49の強さが設定されている。つまり、第1のばね32が最も低い弾力性を有し、ついで第2のばね44、第3のばね49の順に設定されている。
【0065】
つぎに、上記構成のピックアップ装置によって半導体チップ3を粘着シート2からピックアップするときの動作について説明する。
ピックアップされる半導体チップ3を図3に鎖線で示すようにバックアップ体1の上面の開口部14に対して位置決めしたならば、吸引ポンプ21による吸引力で粘着シート2をバックアップ体1の環状溝16が形成された上面によって吸着保持する。つまり、粘着シート2は、ピックアップされる半導体チップ3の周辺部に対応する部分がバックアップ体1の上面によって吸着保持される。
【0066】
このように粘着シート2を吸着保持したならば、吸着ノズル体4を下降させて上部吸着ノズル8によってピックアップされる半導体チップ3の上面を吸着した後、カム体52を回転駆動源53によって回転させ、突き上げ軸27を上昇方向に駆動する。
【0067】
それによって、まず、図5に示すように第1乃至第3の押し上げ体35〜37が突き上げ軸27に設けられた取付け盤31によって、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41がバックアップ体1の蓋体部13の上部壁の内面に当接する第1の高さH1まで一体的に上昇して、半導体チップ3を押し上げる。
【0068】
このとき、吸着ノズル体4は半導体チップ3とともに上昇する。第1乃至第3の押し上げ体35〜37が上昇し、これらの第1乃至第3の押圧部39,45,48によって半導体チップ3が押し上げられると、粘着シート2が引き伸ばされる。それによって、粘着シート2の半導体チップ3の周辺部を貼着した部分には張力及び吸引ポンプ21の吸引力が作用する。
【0069】
それによって、粘着シート2の半導体チップ3の周辺部に対応する部分が張力によって引っ張られ、しかも吸引ポンプ21の吸引力によって吸引されるから、粘着シート2は半導体チップ3の周辺部の端部、とくに半導体チップ3の角部から剥離し始める。
【0070】
半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が剥離を開始するときの条件は、同じ高さで上昇する第1、第2、第3の押圧部39,45,48が粘着シート2に加える張力、つまり最も外側に位置する第1の押圧部39が上昇を停止する第1の高さH1によって大きく左右されることになる。
【0071】
つまり、粘着シート2の粘着力、半導体チップ3の厚さ、粘着シート2に貼着された半導体チップ3のダイシング状態などの剥離条件に応じて粘着シート2に加える張力を調整することで、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が円滑かつ確実に剥離を開始させることが必要となり、そのための上記第1の押圧部39の上昇高さを第1の高さH1と仮定する。
【0072】
上記第1の高さH1は、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41によって設定することができる。つまり、上記第1の円筒部38に対してリング状部材41をねじ込む方向に回転させれば、第1の押し上げ体35の上昇高さを高くすることができ、逆に緩める方向に回転させれば、低くすることができる。つまり、第1の押し上げ体35の上昇高さである、第1の高さH1を任意に設定することができる。
【0073】
このとき、リング状部材41の上面の全周が蓋体部13の上部壁の内面に当接するので、第1の押圧部39の上面が水平状態から傾くことがない。そのため、半導体チップ3の四隅を粘着シート2から均一、つまり同じ状態で剥離することができるので、上記半導体チップ3の剥離状態が不安定になったり、割れが生じるのを防止することができる。
【0074】
しかも、第1の高さH1は上記第1の円筒部38の上面に設けられた目盛り38bによって精密に設定することが可能である。
【0075】
したがって、第1の押し上げ体35が上昇を停止する第1の高さH1を、上述した剥離条件の変化に応じて設定することで、半導体チップ3の周辺部の端部からの粘着シート2の剥離を、円滑かつ確実に開始することができる。
【0076】
このようにして、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2が円滑かつ均一に剥離し始めれば、ついで第2、第3の押圧部45,48を図6に示すように高さH2まで上昇させることで、粘着シート2の剥離が周辺部から中央部に向かって進行する。
【0077】
さらに、第2、第3の押圧部45,48のうち、第3の押圧部48だけを第2の高さH2から図7に示す第3の高さH3まで上昇させることで、粘着シート2は半導体チップ3の第3の押圧部48によって押圧された部分を除いて剥離されることになる。
【0078】
したがって、第3の押し上げ体37が第3の高さH3まで上昇したならば、図8に示すように半導体チップ3の上面を吸着した吸着ノズル体4を上昇させることで、半導体チップ3を粘着シート2から剥離することができる。
【0079】
このように、第1の押し上げ体35の第1の円筒部38にリング状部材41を螺合し、このリング状部材41が上記第1の円筒部38の上面から突出する高さを設定することで、第1の押し上げ体35が第2、第3の押し上げ体36,37とともに一体的に上昇限まで上昇する第1の高さH1を種々の剥離条件に応じて設定できるようにした。
【0080】
粘着シート2が半導体チップ3の周辺部の端部、つまり四隅部から円滑かつ均一に剥離し始める、上記第1の高さH1は上述した剥離条件によって変化する。そのため、剥離条件の変化に応じて第1の高さH1を設定することで、剥離条件が変化しても、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2の剥離を円滑かつ確実に開始させることができる。
【0081】
このように、粘着シート2を半導体チップ3の周辺部の端部から円滑に剥離することができれば、半導体チップ3に応力が加わり過ぎて欠けや割れを招くのを防止できるから、半導体チップ3のピックアップを能率よく確実に行えるということになる。
【0082】
バックアップ体1の基部12から蓋体部13を取り外すことで、上記第1の押し上げ体35を外部に露出させることができる。上記第1の押し上げ体35を外部に露出させれば、上記第1の押し上げ体35の第1の円筒部38に螺合されたリング状部材41を回転させて上記第1の押し上げ体35の上昇限となる上昇高さ、つまり第1の高さH1を設定することができる。すなわち、第1の押し上げ体35の第1の高さH1の設定を容易に、しかも目盛り36bによって精密に行なうことができる。
【0083】
図9乃至図11はこの発明の第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明は省略する。
【0084】
この第2の実施の形態では、図9と図10に示すように、押し上げ手段26の第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上端部の外周面におねじ42aが形成され、このおねじ42aには調整手段としてのリング状部材56が螺合されている。
【0085】
ここで、第1の押し上げ体35に設けられるリング状部材を第1のリング状部材41とし、第2の押し上げ体36に設けられるリング状部材を第2のリング状部材56とする。
【0086】
上記第2のリング状部材56は、上記第2の押し上げ体36を突き上げ軸27によって上昇させたとき、上記第1の押し上げ体35の側壁上部に後述するように形成された当接部57に上面の全周が当接する。それによって、上記第2の押し上げ体36の上昇高さが制限されるようになっている。
【0087】
図9と図11に示すように、上記第1の押し上げ体35の側壁は、内径寸法が上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の上端部に螺合された第2のリング状部材56の外径寸法よりもわずかに大きく形成された下部側壁部58aと、第2のリング状部材56の外径寸法よりもわずかに小さく形成された上部側壁部58bとを有する。
【0088】
それによって、上記第2の押し上げ体36が上記第1の押し上げ体35に対して上昇すると、上記リング状部材56の上面が全周にわたって上記上部側壁部58bの下端面、つまり上記当接部57に当接して上昇高さが制限されるようになっている。
【0089】
上記下部側壁部58aの上記上部側壁部58bとの境界部分には、周方向に180度間隔で2つの開口部59が上記下部側壁部58aを残して形成されている。つまり、上記下部側壁部58aと上記上部側壁部58bとは分断されることがないよう、上記2つの開口部59の大きさが設定されている。
【0090】
図10に示すように、上記第2の押し上げ体36の第2の円筒部42の外周面には周方向に目盛り42cが形成され、上記第2のリング状部材56には指針56aが下方に向かって設けられている。上記目盛り42cと指針56aは上記開口部59から覗くことができるようになっていて、しかも上記第2のリング状部材56は上記開口部59から手指を差し入れて回転させることができるようになっている。
【0091】
それによって、上記第2のリング状部材56を回転させて水平な状態で上下動させれば、上記リング状部材56の上面の全周が上記上部側壁部58bの下端面の当接部57に当接する高さ、つまり第1の押し上げ体35に対する第2の押し上げ体36の上昇高さH2を設定できるようになっている。
【0092】
このように、第1の押し上げ体35の上昇限である第1の上昇高さH1とともに、第2の押し上げ体36の上昇限である第2の高さH2を設定できるようにしたことで、半導体チップ3の周辺部の端部から粘着シート2の剥離が開始した後、その剥離が半導体チップ3の周辺部から内方に向かって進行する剥離速度を、剥離条件に応じた上記第2の高さH2によって設定することができる。
【0093】
それによって、第1の押し上げ体35の第1の上昇高さH1だけを設定できるようにした場合に比べて粘着シートの剥離を円滑かつ確実に行なうことができるようになる。
【0094】
しかも、第3の押し上げ体37の第3の上昇高さH3は、カム体52の回転角度を制御することで設定することができる。つまり第1乃至第3の押し上げ体35〜37の上昇高さをそれぞれ設定することができる。
【0095】
そのため、剥離条件が異なる半導体チップ3の厚さや粘着シート2の粘着力などに対応して第1乃至第3の上昇高さH1〜H3をそれぞれ設定することができるから、剥離条件の変化に対応して半導体チップ3を粘着シート2から割れや欠けを招くようなことなく、確実に剥離することが可能となる。
【0096】
なお、押し上げ手段を第1乃至第3の押し上げ体によって構成したが、押し上げ体の数は2つ或いは4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…バックアップ体、2…粘着シート、3…半導体チップ、4…吸着ノズル体、12…基部、13…蓋体部、14…開口部、26…押し上げ手段、27…突き上げ軸、32…第1のばね、35〜37…第1乃至第3の押し上げ体、38…第1の円筒部、39…第1の押圧部、41…リング状部材(調整手段)、42…第2の円筒部、44…第2のばね、45…第2の押圧部、48…第3の押圧部、49…第3のばね、51…カムフォロア(駆動手段)、52…カム体(駆動手段)、53…回転駆動源(駆動手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップする半導体チップのピックアップ装置であって、
上面が上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップの周辺部分に対応する部分を吸着保持する吸着面に形成されるとともに、上記上面の中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、
このバックアップ体内に軸心を同じにして互いに移動可能な状態で設けられた複数の押し上げ体を有し、複数の押し上げ体は上記開口部から上端部が突出するよう所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が上記所定の高さまで上昇したときにそれ以上上昇するのが制限された後、径方向外側に位置する押し上げ体よりも内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段と、
複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側に位置する押し上げ体から径方向内側に位置する押し上げ体の上端部によって順次押し上げて上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させる駆動手段と、
この駆動手段によって上記複数の押し上げ体を押し上げたとき、複数の押し上げ体のうちの少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整する調整手段と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ装置。
【請求項2】
上記複数の押し上げ体の少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体は、円筒部と、この円筒部の上面の中心部に設けられ外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状であって、上記駆動手段によって押し上げられたときに上記バックアップ体の開口部から上方に突出する押圧部を有し、
上記調整手段は上記円筒部の上端外周面に螺合され回転させることで上下方向に移動して位置決め調整可能であって、上記押し上げ体が上昇方向に駆動されたときにその上面が上記バックアップ体の上部内面に当接して上記押し上げ体の上昇位置を制限するリング状部材であることを特徴とする請求項1記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項3】
上記押し上げ体の円筒部の上面には上記リング状部材の回転角度を設定する目盛りが設けられていることを特徴とする請求項2記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項4】
上記バックアップ体は、基部と、この基部に下端部が着脱可能に取付けられ上面の中央部に上記開口部が形成された蓋体部とを有し、上記基部から上記蓋体部を取り外すことで、上記リング状部材を回転操作できるよう上記押し上げ体が露出する構造であることを特徴とする請求項3記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項5】
上記押し上げ手段は、
上記バックアップ体に上下方向に駆動可能に設けられた突き上げ軸と、
この突き上げ軸の上記バックアップ体内に位置する上端部に上下方向に弾性的に変位可能に設けられた取付け盤と、
上面の中心部に外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状の第1の押圧部が設けられ上記取付け盤の上面に取付けられた第1の押し上げ体と、
この第1の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上面の中心部に上記第1の押圧部内に入り込む矩形中空状の第2の押圧部が形成されていて、上記第1の押し上げ体が上記取付け盤によって上昇限まで駆動されてから上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第2の押し上げ体と、
この第2の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上部が上記第2の押圧部内に入り込む断面矩形状の第3の押圧部を有し、上記第2の押し上げ体が上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位した後、上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第2の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第3の押し上げ体と
によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項6】
粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップツールでピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、
上記粘着シートの上記ピックアップツールによってピックアップされる上記半導体チップの周辺に位置する部分を上記ピックアップツールの上面に吸着保持する工程と、
軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上面を同じ高さにして一体的に上昇させ、最も外側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップの外周縁から上記粘着シートを剥離させてから、内側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップを順次押し上げて上記粘着テープを上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって剥離する工程と、
少なくとも最も外側に位置する上記押し上げ体によって上記粘着シートの上記半導体チップが設けられた部分の下面を押し上げるときその押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される条件に応じて設定する工程と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ方法。
【請求項1】
粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップする半導体チップのピックアップ装置であって、
上面が上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップの周辺部分に対応する部分を吸着保持する吸着面に形成されるとともに、上記上面の中央部に開口部が形成されたバックアップ体と、
このバックアップ体内に軸心を同じにして互いに移動可能な状態で設けられた複数の押し上げ体を有し、複数の押し上げ体は上記開口部から上端部が突出するよう所定の高さまで一体的に上昇し、最も外側の押し上げ体が上記所定の高さまで上昇したときにそれ以上上昇するのが制限された後、径方向外側に位置する押し上げ体よりも内側に位置する押し上げ体の方が高く上昇するよう構成された押し上げ手段と、
複数の押し上げ体を上昇方向に駆動して上記粘着シートのピックアップされる上記半導体チップが貼着された部分の下面を径方向外側に位置する押し上げ体から径方向内側に位置する押し上げ体の上端部によって順次押し上げて上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって上記粘着シートを剥離させる駆動手段と、
この駆動手段によって上記複数の押し上げ体を押し上げたとき、複数の押し上げ体のうちの少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体の上昇位置を調整する調整手段と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ装置。
【請求項2】
上記複数の押し上げ体の少なくとも径方向の最も外側に位置する押し上げ体は、円筒部と、この円筒部の上面の中心部に設けられ外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状であって、上記駆動手段によって押し上げられたときに上記バックアップ体の開口部から上方に突出する押圧部を有し、
上記調整手段は上記円筒部の上端外周面に螺合され回転させることで上下方向に移動して位置決め調整可能であって、上記押し上げ体が上昇方向に駆動されたときにその上面が上記バックアップ体の上部内面に当接して上記押し上げ体の上昇位置を制限するリング状部材であることを特徴とする請求項1記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項3】
上記押し上げ体の円筒部の上面には上記リング状部材の回転角度を設定する目盛りが設けられていることを特徴とする請求項2記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項4】
上記バックアップ体は、基部と、この基部に下端部が着脱可能に取付けられ上面の中央部に上記開口部が形成された蓋体部とを有し、上記基部から上記蓋体部を取り外すことで、上記リング状部材を回転操作できるよう上記押し上げ体が露出する構造であることを特徴とする請求項3記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項5】
上記押し上げ手段は、
上記バックアップ体に上下方向に駆動可能に設けられた突き上げ軸と、
この突き上げ軸の上記バックアップ体内に位置する上端部に上下方向に弾性的に変位可能に設けられた取付け盤と、
上面の中心部に外形状が上記半導体チップの外形状よりもわずかに小さな矩形中空状の第1の押圧部が設けられ上記取付け盤の上面に取付けられた第1の押し上げ体と、
この第1の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上面の中心部に上記第1の押圧部内に入り込む矩形中空状の第2の押圧部が形成されていて、上記第1の押し上げ体が上記取付け盤によって上昇限まで駆動されてから上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第2の押し上げ体と、
この第2の押し上げ体内に弾性的に変位可能に収容保持され上部が上記第2の押圧部内に入り込む断面矩形状の第3の押圧部を有し、上記第2の押し上げ体が上記第1の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位した後、上記突き上げ軸がさらに上昇方向に駆動されることで、上記第2の押し上げ体に対して弾性的に上昇変位する第3の押し上げ体と
によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項6】
粘着シートに貼着された四角形状の半導体チップをピックアップツールでピックアップする半導体チップのピックアップ方法であって、
上記粘着シートの上記ピックアップツールによってピックアップされる上記半導体チップの周辺に位置する部分を上記ピックアップツールの上面に吸着保持する工程と、
軸心を同じにして上昇駆動される複数の押し上げ体を上面を同じ高さにして一体的に上昇させ、最も外側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップの外周縁から上記粘着シートを剥離させてから、内側に位置する押し上げ体によって上記半導体チップを順次押し上げて上記粘着テープを上記半導体チップの下面周辺部から中心部に向かって剥離する工程と、
少なくとも最も外側に位置する上記押し上げ体によって上記粘着シートの上記半導体チップが設けられた部分の下面を押し上げるときその押し上げ体による上記半導体チップの押し上げ高さを上記半導体チップが上記粘着シートから剥離される条件に応じて設定する工程と
を具備したことを特徴とする半導体チップのピックアップ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−33850(P2013−33850A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169100(P2011−169100)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
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