説明

半導体デバイス

【課題】特徴サイズの小さいMOSトランジスタとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ショートチャネルの影響を低減し、薄くドープしたドレイン領域(LDD構造)を有さない。MOSトランジスタのゲート長さは1.25μm以下である。本発明のMOSトランジスタはゲート酸化物層を含み、この層は基板との間で平面状でかつストレスのないインタフェースを形成する。その結果、ホットキャリアの発生およびホットキャリアの悪影響が回避できる。LDD構造を省略したために、製造プロセスの複雑さが低下し、ソース−ドレインの直列抵抗が減り、その結果駆動電流と切り換え速度が改善された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路に関し、特にMOSトランジスタとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の複雑さが増えるにつれて、IC内のデバイスのサイズも小さくなければならない。デバイスのサイズを小さくするために、デバイスの様々な要素(特徴)もそれに比例して小さくしなければならない。これはデバイススケーリングとして知られている。集積回路における1つの共通のデバイスは、MOSFETである。このMOSFETにおいては、デバイスのスケーリングは、ゲートとチャネル長さの減少が必要である。ゲートとチャネル長さが小さくなるにつれて様々な影響が表れ、それがMOSFETの信頼性と性能を受け入れがたいものにしている。これらの影響はショートチャネル効果と称し、チャネル長さが1.25μm以下となるようなデバイスでは特に問題である。
【0003】
チャネル長さが短くなったデバイスの1つの影響は、水平方向と垂直方向の電界成分(特に、ドレイン領域における)が増加することである。この電界が増加することにより反転層のキャリアが加速され(ホット状態となり)、そしてそれらがホットキャリア効果と称する有害なデバイスの現象を引き起こす。最終的にこれらの現象は、デバイスの性能と信頼性に悪影響を及ぼす。
【0004】
ホットキャリア効果を解決する1つの方法は、低濃度でドープした領域(lightly doped drain(LDD))構造を使用することである。LDD構造においては、ソースとドレインは傾斜したドーピングプロファイルを有する。チャネルに最も近いソース領域とドレイン領域においては、ドーピングレベルはチャネルから離れたソース領域とドレイン領域よりもドーピングレベルが低い。このように低濃度でドープしたソース領域とドレイン領域は、ソースとドレイン近傍のチャネルの領域の電界強度を低減させるのに役立っている。この電界強度が低減することによりホットキャリアの生成を幾分押さえることに成功し、そしてそれによりホットキャリアの影響も低下させることができる。
【0005】
LDD構造は、ホットキャリア効果のようなショートチャネルの影響を低減するのに役立ってはいるが、それを使用することによるある種の欠点も存在する。このある種の欠点とは、ソースとドレインとの間の直列抵抗(直列ソース−ドレイン抵抗(Rsd)と称する)が増加することである。これは、低濃度でドープしたソースとドレイン領域におけるドーピングレベルが低下したことに起因している。このように抵抗が増加することは、飽和電流(駆動電流Idsatあるいはオン電流Ionと称する)が減少することに繋がる。
【0006】
onが減少すると、デバイスの切り換え速度が低下することになる。スイッチとして用いられているMOSFETは、キャパシタをチャージしたりディスチャージするデバイスと考えられる。キャパシタをチャージするのに必要な時間は、電流に比例する。かくして電流が減ると切り換え速度も低下する。したがってLDDを組み込んだ従来のデバイスにおいて、Rsdを増加させることは好ましくない。
【0007】
LDD構造の別の欠点は、その製造が複雑となることである。このような構造体を製造するためには、MOSFET製造のプロセスフローに追加しなければならない数多くの余分の処理ステップがある。この処理ステップには、光リソグラフマスキングレベル、LDD注入、誘電体スペーサの形成等が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、LDD MOSFET デバイスの上記の欠点を解決する新たなデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ショートチャネルの影響を改善するが、LDD構造を含むことのない特徴サイズを小さくしたMOSトランジスタを提供する。本発明の一実施例においては、MOSトランジスタのゲート長さは、1.25μm以下である。さらにまたLDD構造を使用しないことにより、直列ソース−ドレイン抵抗が減少し、その結果駆動電流と切り換え速度が改善される。
【0010】
本発明の他の実施例においては、MOSトランジスタの製造方法が開示されている。長さが1.25μm以下のゲート構造体が基板の上に形成され、その後ソースとドレインが低濃度でドープした領域を有することなく形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例のデバイスの断面図。
【図2】本発明の一実施例による製造工程の途中の段階におけるデバイスの断面図。
【図3】本発明の一実施例による製造工程の途中の段階におけるデバイスの断面図。
【図4】本発明の一実施例による製造工程の途中の段階におけるデバイスの断面図。
【図5】本発明の一実施例と従来のデバイスにおいてホットキャリアエージングHCAを表す時間対基板電流の関係を表すグラフ。
【図6】LDD構造を使用した従来のデバイスと本発明の一実施例のデバイスにおける駆動ゲート長さ対駆動電流の関係を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において本発明の一実施例によるトランジスタ10を示す。同図においてトランジスタ10は、基板12の上に形成されたゲート構造体11を有する。チャネル13がソース14とドレイン15の間に形成されている。ゲート構造体11は酸化物層16を有し、この酸化物層16は第1酸化物部分17と第2酸化物部分18を有する。第2酸化物部分18は、基板12との間でインタフェース19を形成する。材料層20が導電層21と酸化物層16との間に形成されている。
【0013】
この実施例において、トランジスタ10はNMOSデバイスである。かくしてソース14とドレイン15はn+ にドーピングされ、基板はp型である。本発明はPMOSとCMOSを含む他のデバイスでも利用できる。基板12はシリコン製で単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンのいずれでもよい。一般的には、酸化可能シリコンである。材料層20は高誘電率材料で、例えば五酸化タンタル、バリウム−ストロンチウム窒化物、シリケート製の誘電体材料を含む。さらにまた他の材料が、導電層21と酸化物層16との間に形成されて、様々な性能を得ている。
【0014】
図1のMOSFETは、低濃度でドープしたドレインと低濃度でドープしたソースとを有していない。これはゲート長さが1.25μm以下でホットキャリア効果を緩和させるためにLDD構造を採用した従来のデバイスとは対称的である。図1に示した実施例においては、トランジスタ10のゲート長さLは、1.25μm以下のオーダーである。さらにまたサブミクロンデバイスでも本発明を利用できる。
【0015】
ゲート長さは、0.25μmから0.05μmの範囲である。最後にデバイスのスケーリングは、ゲート長さと他のデバイス特徴物がスケーリングルールに従って比例しなければならないことが必要である。かくして、酸化物層16は選択されたゲート長さに合わせた厚さを有する。したがってここに示した実施例においては、1.25μmから0.05μmの範囲のゲート長さは、それぞれ20.0nmから1.5nmの範囲の厚さを有するゲート構造体11に対応する。
【0016】
酸化物/基板のインタフェース19は、ストレスがなく平面状態である。さらにまた酸化物層16は、従来の酸化物に比較するとインタフェーストラップ(Nit)の数と欠陥密度(D0 )は減少している。酸化物層16のこれらの特徴は、本発明を達成するのに有益である。酸化物の詳細とその特性は、同一出願人の米国特許出願(発明の名称“High Quality Oxide For Use In Integrated Circuits”に開示されている。
【0017】
本発明のデバイスは、従来のデバイスに対し優れた特徴を有する。これらの優れた特徴には、駆動電流と切り換え速度の改善が含まれる。さらにまた駆動電流の増加は、パンチスルーとして知られる好ましくないショートチャネルの影響を抑制するために、チャネルがドーピングレベルを上げることが必要な場合でも実現できる。
【0018】
さらにまたホットキャリアの影響は、デバイスの信頼性の劣化に繋がるがこれは本発明を用いることにより最小にできる。さらに本発明は製造の複雑さを押さえるために好ましい。このためLDD構造を形成するのに必要な比較的複雑な処理シーケンスは、従来のチャネル長さの短いデバイスを製造するためにはトレードオフとして必要なものと考えられていたが、本発明では不要なものとなった。
【0019】
図2−4に本発明製造シーケンスを示す。図2はチャネル13の上に酸化物層16を形成するのに用いられる酸化物成長シーケンスであり、その結果ほぼストレスのない平面上のインタフェース19が形成できる。この製造シーケンスの詳細は同出願人による米国特許出願“A Process For Fabricating Oxides”に開示されている。その後、図3に示すようにゲート構造体11が従来の処理技術を用いて完成される。この従来の処理技術には高k層の堆積ステップとアモルファスシリコンまたは多結晶シリコンの堆積ステップとゲート注入ステップとゲートマスキングステップが含まれる。
【0020】
図3に示すように、ゲート構造体11の製造が完了した後、チャネル13を形成する。これは標準のイオン注入技術により行われる。チャネルドーピングは、同一の導電型の「ハロー」あるいは「ポケット」と称する注入部30を介してチャネルとして隆起される。NMOSデバイスにおいては、5−40keVのエネルギ範囲でそのドーズ量が5×1011から5×1013/cmで、注入傾斜角が7−45℃(基板の法線方向に対し)の例えばボロンのイオン注入が行われる。
【0021】
同様にPMOSデバイスにおいては、エネルギ範囲が20−120keVで、ドーズ量が5×1011から5×1013/cmで、注入傾斜角が基板の放線方向に対し7−45℃の例えばリン注入が用いられる。チャネルドーピング濃度は、1×1016から1×1019/cmの範囲である。このチャネルドーピングステップは、デバイスのパンチスルーおよびその結果発生するショートチャネル効果を低減するよう機能する。
【0022】
図4に示すように、ハロー注入(halo inplantation )の後ソース14とドレイン15が形成される。NMOSデバイスにおいては、これは砒素を5−50keVのエネルギ範囲で、ドーズ量が5×1014から5×1015/cmで、注入傾斜角が0−7℃の範囲で注入することにより行われる。同様にPMOSデバイスにおいて、ソースとドレインがボロンをエネルギ範囲が0.5−10keVで、ドーズ量が5×1014から5×1015/cmで、注入傾斜角が0−7℃の範囲で注入することにより行われる。
【0023】
別法として、BF2注入が5−10keVのエネルギ範囲で、ドーズ量が5×1014から5×1015/cmで、注入傾斜角が0−7℃の範囲で行われる。その結果得られたソースとドレイン内のドーピングレベルは、1×1020/cmから5×1020/cmの範囲内にある。これは従来のLDDデバイスとは対称的で図1と4に示したソース14とドレイン15はドーピングされておらずかつ低濃度でドープした領域も含まない。
【0024】
図2−4を見ると、本発明の製造方法の容易さが理解できるであろう。従来のショートチャネルデバイスを製造するのに必要なプロセスは、LDDの製造を含む。最低限これはマスク形成ステップを追加し、そして第1注入を実行しなければならない。これは、低濃度でドープしたソース領域とドレイン領域を形成するのに必要である。その後、スペーサを堆積し、エッチングする。
【0025】
従来のLDDデバイスにおいては、スペーサはソースとドレインのより濃くドープした領域を形成するのに必要である。製造の複雑さに加えて、追加された注入部とスペーサは、その結果得られたデバイスに悪影響を及ぼす。これらの悪影響には、ソース/ドレインの直列抵抗Rsdの増加と飽和駆動電流Idsatの減少と切り換え速度の減少が含まれる。
【0026】
前述したようにホットキャリアの影響は、デバイスの信頼性に悪影響を及ぼす。ゲート長さが1.25μm以下のMOSトランジスタにおいては、ホットキャリアの影響は、チャネル長さが短くなった電界における水平方向と垂直方向の成分が増加することから発生している。これにより反転層のチャージは、ホットキャリア効果と通常称する有害な沢山のデバイス現象を引き起こす程度まで加速(加熱)される。ホットキャリア効果(影響)は、デバイスの信頼性を最終的に劣化させる。これは、ホットキャリアエージング(hot carrier aging(HCA))と称する。
【0027】
ホットキャリアエージングは、インタフェーストラップ生成あるいはホットキャリアにより結合された不動態化されたダングリングボンドの破壊に起因すると考えられている。シリコン−二酸化シリコンインタフェース内のダングリングボンドは、従来水素雰囲気で不動態化処理され、それによりインタフェーストラップの数を減少させていた。この不動態化技術は、従来のデバイスでは成功したが、ホットキャリアは、容易にシリコン−水素結合を破壊して、不動態化されたインタフェーストラップを再結合させる。インタフェース内のトラップは、散乱センタ(scattering centers)として機能し、これによりチャネル内のキャリアの移動度を低下させる。
【0028】
従来公知のように駆動電流Ion(あるいは飽和電流Idsat)と、トランスコンダクタンスgm はチャネル内のキャリアの移動度に正比例する。したがって散乱センタがホットキャリアの影響により、より豊富になるとチャネル内のキャリアの移動度は減少し、駆動電流とトランスコンダクタンスもまた減少する。かくしてインタフェーストラップの数によりデバイスは、駆動電流とトランスコンダクタンスのようなデバイスパラメータが変動するために劣化(経年変化)する。この劣化は、デバイスの信頼性に悪影響を及ぼす。
【0029】
酸化物層16は、シリコンボンドをダングリングする回数を減らし、そのためインタフェーストラップの数も減少させる。本出願人は、これはインタフェースにストレスが存在せず平面状態であるためにかつより完全な酸化プロセスの結果であると考えている。さらにまた、本発明の酸化物内にはインタフェーストラップの数が少ないために水素により不動態化処理されるトラップの数も少ない。本発明の酸化物を具備したデバイス内で、水素の放出に起因してデバイスのドリフトが少なくなることが予想される。最後にLDD構造は、ショートチャネルデバイスのホトキャリア効果を低減するのに役立つが、本発明の一実施例ではホットキャリア効果を大幅に減少させることになる。
【0030】
ホットキャリアエージングのその結果の大幅な改善は、図5のグラフから明らかである。従来ではホットキャリアエージングの限界は、トランスコンダクタンスの15%の変動である。プロット51は、ゲート長さが0.24μmで、酸化物層の厚さが5nm(50A)である本発明のデバイスのものである。プロット50は、ホットキャリアの悪影響を低減するために、LDD構造を組み込んだ同一のゲート長さを有する従来のデバイスに対するのもである。
【0031】
図5から明らかなように、1μA/μmの基板電流限界は、従来のLDD MOSFETでは100時間で達成したが、本発明の実施例においては、この限界は400時間である。ほぼ同等のゲート長さを有するデバイスにおいては、このホットキャリアエージングは、従来のLDD構造を必要とするデバイスと比較すると、本発明により4倍改善されている。
【0032】
HCAを減少することにより信頼性を改善することに加えて、本発明のデバイスは、キャリアの移動度が増加しソース−ドレインの抵抗が減少する両方の結果により駆動電流が増加する。移動度が増加することは、散乱センタの減少の結果である。Rsdの減少は、従来のLDD構造で使用される低濃度でドープしたソース領域とドレイン領域を省いたことの直接的な結果である。このためホットキャリアの発生は、LDD構造以外の手段によっても低減できるために、本発明のデバイスでは必要はない。
【0033】
したがって本発明のソースとドレインのドーピングレベルは、1×1020から5×1020/cm3の範囲内で実質的に均一である。これは50から150オーム/スクエアの範囲のソース−ドレインシート抵抗となる。これは本発明のデバイスのゲート幅が25から100オーム/μmのRsdに相当する。(比較のためにゲート幅は、図1に示した軸のz方向に沿って計ったものである。)
【0034】
これに対し、従来の低濃度でドープしたソースと低濃度でドープしたドレインの領域は、1×1019から5×1019/cm3のオーダである。従来のLDDのこれに対応するソース/ドレインシート抵抗は、500−1500オーム/スクエアの範囲である。これは従来のデバイスのゲート幅の100−200オーム/μmのRsdとなる。
【0035】
本発明によるソース−ドレインの直列抵抗が低下した結果、駆動電流が改善される。図6においては、ゲート長さ対駆動電流の関係が示されている。プロット60は、本発明のデバイスの駆動電流のグラフであり、プロット61は、LDD構造を使用した従来のデバイスに対するものである。トランジスタ駆動電流Idsatの改善は、LDD構造を組み込んだ同様な特徴サイズを有する従来のデバイスと比較したときの本発明のデバイスで測定された。
【0036】
上記したように、駆動電流が増加することは、切り換え速度が速くなることに繋がる。そしてスイッチとして用いられているMOSFETは、キャパシタをチャージしたり放電したりするデバイスと考えることもできる。これらのキャパシタは、MOSゲートキャパシタンス、ソース/ドレイン接合キャパシタンス、金属相互接合キャパシタンスのような要素から発生するCMOS回路の本来内在する部分である。
【0037】
キャパシタにチャージするのに必要な時間は、電流に比例する。かくして、駆動電流が増加するとき切り換え速度も増加する。駆動電流レベルを改善することは、本発明のMOSFETを用いたリング発信回路においては、従来のLDD MOSトランジスタよりも25%以上のオーダで切り換えスピードが改善されている。
【0038】
さらにまた本発明のデバイスにおける駆動電流の増加は、しきい値電圧Vt が若干増加しても実現できる。このため、チャネル長さが短くなったデバイスで起きる1つの現象は、パンチスルーとして公知である。パンチスルーとは、印加ゲート電圧がしきい値電圧Vt 以下のときに通常観測される。パンチスルーは、ドレイン上の逆バイアスが増加したときに、ドレインのディプレーション領域の幅が広がったときに起きる。
【0039】
このディプレーション領域の幅が十分大きくなると、ソースとドレインのディプレーション領域が出会い、許容できないレベルのキャリアフローが起こる。これはチャージの制御がまずくなり、そして電流レベルが許容できないオフ電流レベルとなって表れる。チャネルに最も近いソース領域とドレイン領域におけるドーピングレベルを減少させたLDD構造は、このパンチスルーの影響を低減させるが、これはソース/ドレインのディプレーション領域の幅を減少させるためにチャネルのドーピングレベルを増加することにより解決しなければならない。
【0040】
しかし、チャネルドーピングの濃度が増加すると、しきい値電圧を増加させチャネル内の導電への反転を生成するのに必要な電圧も増加する。このしきい値電圧の増加により駆動電流の低減が引き起こされる。かくして、パンチスルーの減少とチャネルドーピングの増加とのトレードオフは、従来のLDDデバイスの駆動電流の低下となる。
【0041】
本発明のデバイスは、しきい値電圧が増加しても駆動電流の増加を維持できることが見いだされた。例えば、0.24μmの特徴サイズのデバイスにおいては、同様なデバイス特徴を有する従来のLDDデバイスに対し、駆動電流は20%増加している。これはしきい値電圧の50mVの増加に関わらず発生する。これは本発明により実現されたソース−ドレインの直列抵抗の低下に起因すると考えられる。
【符号の説明】
【0042】
10 トランジスタ
11 ゲート構造体
12 基板
13 チャネル
14 ソース
15 ドレイン
16 酸化物層
17 第1酸化物部分
18 第2酸化物部分
19 インタフェース
20 材料層
21 導電層
30 注入部
50,51 プロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
ソース、ドレインおよび該ソースから該ドレインへと延長するチャネルを有するドープされた基板であって、該チャンネルが該基板のドーパント濃度よりも大きく、かつ該ソースおよびドレインのドーパント濃度よりも小さい1×1016/cmから1×1019/cmの範囲内のドーピング濃度を有している、ドープされた基板と、
該チャンネルの上に形成され、および幅が画成された酸化物であって、該基板と共に、ストレスが存在せず、かつ平坦なインターフェースを形成する酸化物と、
該チャンネルの上に配置され、該酸化物の幅と同じ幅と、1.25μm以下の長さと、を有するゲート構造体とを備え、
該半導体デバイスは、LDD構造における、チャンネル付近の低濃度でドープされたドレイン領域を含まない
ことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記長さが、0.25μmから0.05μmの範囲内にある
請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ゲート構造体が、酸化物層を有し、
前記酸化物層の厚さが、1.5nmから20.0nmの範囲である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ソースとドレインのドーピング濃度が、1×1020原子/cm3 から5×1020原子/cm3 の範囲内にある請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項5】
電界効果型トランジスタであって、
ソース、ドレインおよび該ソースから該ドレインへと延長するチャンネルを有するドープされた基板であって、該チャンネルが該基板のドーパント濃度よりも大きく、かつ該ソースおよびドレインのドーパント濃度よりも小さい1×1016/cmから1×1019/cmの範囲内のドーピング濃度を有している、ドープされた基板と、
ストレスが存在せず、かつ平坦な、該基板とインターフェースを形成する、幅により画成された酸化物を含むゲート構造体とを備え、
該ゲート構造体は、該酸化物の幅と同じ幅と、約0.05μmないし約0.25μmの範囲内の長さとを有し、および該電界効果型トランジスタはLDD構造における、チャンネル付近の低濃度でドープされたドレイン領域を含まない
ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項6】
前記チャンネルの長さが、0.05μmから0.25μmの範囲内にある請求項5記載のトランジスタ。
【請求項7】
前記酸化物層の厚さが、1.5nmから20.0nmの範囲内にある請求項5記載のトランジスタ。
【請求項8】
前記ソースとドレインのドーピングレベルが、1×1020/cmから5×1020/cmの範囲内である
ことを特徴とする請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−56558(P2010−56558A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246032(P2009−246032)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【分割の表示】特願2000−190016(P2000−190016)の分割
【原出願日】平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】