説明

半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムおよび積層基板

【課題】 薄肉化された銅−ポリイミドフィルム積層体を与えることが可能で半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム、及びこれらのポリイミドフィルムを用いた積層基板を提供する。
【解決手段】 減圧プラズム放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上で、
を満足する半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムおよび積層基板に関し、さらに詳しくは寸法精度が高く半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムおよびこのポリイミドフィルムを使用した積層基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化に伴い、これに使用される半導体装置には一層の小型化とともに高信頼性が求められており、この要求に対応できる半導体装置としてボ−ルグリッドアレイパッケ−ジ(BGA)構造、チップスケ−ルパッケ−ジ(CSP)構造,等の半導体部品構造が知られている。
【0003】
これらの半導体装置に使用される絶縁フィルムとしては、寸法精度が高く低吸水性のポリイミドフィルムが使用されている。
このようなポリイミドフィルムとしては、芳香族テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、芳香族ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを使用して得られる。
【0004】
そして、ポリイミドフィルムは導電性金属箔と接着剤によって積層して回路基板を形成し、いずれも封止樹脂で半導体とともに封止してパッケ−ジとされる。前記の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物−p−フェニレンジアミン系ポリイミドフィルムは、水蒸気透過率が小さいためICパッケ−ジの製造工程ごとにポリイミドフィルムの吸湿分を充分に乾燥除去するための乾燥工程が必要である。
この乾燥工程を省略してパッケ−ジを製造すると、このパッケ−ジを回路基板に実装する際にパッケ−ジ内部の水蒸気の気化に伴う膨張によりパッケ−ジ内部の破壊が生じることが知られており、前記の乾燥工程が設けられているのである。
【0005】
この乾燥工程を省略するため、原料にピロメリット酸二無水物を使用した水蒸気透過率の大きいポリイミドフィルムが提案されているが、上記のポリイミドフィルムは引張弾性率が小さいため、フィルムの厚みを大きくする必要があり微細パタ−ン化が求められる用途の半導体パッケ−ジ内部回路部材を形成するには不利である。
【0006】
一方、ポリイミドフィルムと銅箔とを積層するために使用される接着剤としては、電気絶縁性、耐熱性とともに歪を吸収するバッファ−効果が期待されているため、ある程度以上の厚みを確保することが必要である。
このため、接着剤を使用した銅張り基板を薄肉化することには限界がある。
【0007】
その対策として接着剤を使用しないで、ポリイミドフィルム支持体に銅層が形成されている「無接着剤型の複合材料」が提案されている。
しかし、ポリイミドフィルムは接着性が低いため、銅層を形成するポリイミドフィルムの接着性を改善するために種々の試みがなされている。例えば、デスミア処理やアルカリ処理等の湿式処理が挙げられるが、湿式処理後の洗浄を十分に行う必要があり工程上不利である。また、表面改質処理として常圧プラズマ放電処理やコロナ放電処理等が知られているが、十分な接着性は得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、薄肉化された銅−ポリイミドフィルム積層体を与えることが可能で半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム、及びこれらのポリイミドフィルムを用いた積層基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、この発明は、減圧プラズマ放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間、好適には0.05〜0.4g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上、好適には6000MPa以上で、
を満足する半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムに関する。
【0010】
また、この発明は、前記のポリイミドフィルムの少なくとも片面に電気銅メッキ層表面を有し、初期剥離強度が1kgf/cm以上、150℃で24時間加熱後の剥離強度が0.6kgf/cm以上である積層基板に関する。
また、この発明は、減圧プラズマ放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上で、
を満足するポリイミドフィルムのポリイミドフィルムの少なくとも片面に下地蒸着金属およびその上に蒸着銅層からなる厚さ10nm以上10μm以下の蒸着金属層およびその上に厚みが約1〜20μmの電気銅メッキ層を有し、初期剥離強度が1kgf/cm以上、150℃で24時間加熱後の剥離強度が0.6kgf/cm以上で、銅メッキ層表面の直径15μm以上の異常突起数が200個/mm以下である積層基板に関する。
さらに、この発明は、減圧放電処理によって、前記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムを与えるポリイミドフィルムに関する。
この明細書において、処理面に網目構造の凸部を有する凹凸形状を有しとは、処理面の少なくとも(0.1〜90%)一部の連続した凸部を形成しており網目構造であることを意味する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、寸法精度が高く半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムを得ることができる。
また、この発明によれば、半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である積層基板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下にこの発明の好ましい態様を列記する。
1)さらに、下記の条件
(5)光透過率(600mm)が60%以上である
(6)線膨張係数(50〜200℃)が8〜25ppm/℃
(7)加熱収縮率(200℃×2時間)が0.1%以下である
を満足する上記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
前記の発明によって寸法精度が高い銅張り基板が得られる。
2)減圧プラズマ放電処理された表面が、ポリイミドフィルムの少なくとも片面を減圧放電処理して網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成したものである上記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
前記の発明によって、金属蒸着−電気銅メッキ法と組み合わせて薄層金属化銅張り基板が得られる。
【0013】
3)ポリイミドフィルムが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルを必須成分として含むものである上記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
前記の発明によって、低吸水性で寸法精度が高い銅張り基板が得られる。
4)ポリイミドフィルムが、中心層としての高耐熱性の芳香族ポリイミド層および表面層としての主鎖中に屈曲性結合を含む柔軟性ポリイミド層からなる多層ポリイミドフィルムである上記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
前記の発明によって、接着性と耐熱性を兼ね備えたポリイミドフィルムが得られる。
5)減圧放電処理が、真空プラズマ放電処理である上記の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
前記の発明によって、接着性の良好なポリイミドフィルムが得られる。
【0014】
この発明の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムが適用される半導体パッケ−ジについて図面を用いて説明する。
図1は、半導体パッケ−ジの一つであるBGA型半導体装置の一例であり、例えば、パッケ−ジ構造の半導体装置1は、ポリイミドフィルム2に接着剤3と銅箔4とが積層された配線板あるいはポリイミドフィルムに蒸着金属そして銅メッキ層を積層して形成した配線板およびソルダ−レジスト5によってTABテ−プとし、このTABテ−プと接着剤6の間にエラストマ−7を例えば圧着して貼着し、さらに接着剤6によって半導体チップ8が貼着され、インナ−リ−ドボンディング(図示せず)、樹脂封止(図示せず)、半田ボ−ル9付け、個片化の各工程を経て得られる。
【0015】
この発明におけるポリイミドフィルムとしては、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分およびp−フェニレンジアミンを含む高耐熱性の芳香族ポリイミド層を中心層として有し、表面層が主鎖中に屈曲性結合、好適にはさらにp−フェニレンジアミンを含む柔軟性ポリイミド層である多層ポリイミドフィルム、あるいは前記高耐熱性の芳香族ポリイミドと主鎖中に屈曲性結合を含む柔軟性ポリイミドとを兼ね備えた単層のポリイミドフィルムが挙げられる。
【0016】
前記の多層ポリイミドフィルムとしては、中心層が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分およびp−フェニレンジアミンを含む高耐熱性の芳香族ポリイミド層で表面層が主鎖中に屈曲性結合およびp−フェニレンジアミンを含む柔軟性ポリイミド層の2〜5層構造、好適には3層構造の多層ポリイミドフィルムが挙げられる。
前記の単層のポリイミドフィルムとしては、高耐熱性ポリイミドを与える3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分およびp−フェニレンジアミンを含むポリアミック酸成分と主鎖中に屈曲性結合、好適にはさらにp−フェニレンジアミンを含む柔軟性ポリイミド層を与えるポリアミック酸成分との混合物から得られるブロック共重合ポリイミドあるいはブレンドポリイミドからなる単一層のポリイミドフィルムが挙げられる。
この発明におけるポリイミドフィルムは、好適には多層ポリイミドフィルムによって得ることができる。
【0017】
前記の多層ポリイミドフィルムとしては、好適には多層押出ポリイミドフィルムが挙げられる。
多層押出ポリイミドフィルムは、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分およびp−フェニレンジアミンを含む高耐熱性の芳香族ポリイミドの前駆体溶液と主鎖中に屈曲性結合を有する芳香族ポリイミドの前駆体溶液とを多層押出法によって押出した後、得られた積層物を80〜200℃の範囲内の温度で乾燥し、次いで熱300℃以上の温度、好ましくは300〜550℃の範囲内の温度での熱処理段階を含む熱処理に付すことにより製造した主鎖中に屈曲性結合を有する芳香族ポリイミド層を表面に有する多層芳香族ポリイミドフィルムが挙げられる。前記の前駆体溶液はいずれも500〜5000ポイズであることが好ましい。
【0018】
特に、高耐熱性の芳香族ポリイミドとして、10モル%以上、特に15モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と5モル%以上、特に15モル%以上のp−フェニレンジアミン成分とから、重合およびイミド化によって得られる芳香族ポリイミドであることが、耐熱性、機械的強度、寸法安定性の点から好ましい。他の残部の(もし2種類のテトラカルボン酸二無水物および/またはジアミンを使用する場合)芳香族テトラカルボン酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物が、また芳香族ジアミンとしては4,4−ジアミノジフェニルエ−テルが好ましい。
【0019】
上記の有機極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ピリジン、エチレングリコール等を挙げることができる。
【0020】
この発明における主鎖中に屈曲性結合を含む芳香族ポリイミドは、一般式(1)
【化1】

【0021】
(但し、XはO、CO、S、SO、CH、C(CHから選ばれた基である。)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体、あるいは一般式(2)
【0022】
【化2】

【0023】
(但し、XはO、CO、S、SO、CH、C(CHから選ばれた基であり、nは0〜4の整数である。)
で示される芳香族ジアミン化合物の少なくても一方、好適にはさらにp−フェニレンジアミンを必須成分として使用した芳香族ポリイミドが好適である。
【0024】
前記一般式(1)の芳香族テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体としては、芳香族テトラカルボン酸、およびその酸無水物、塩、エステル等を挙げることができるが、特に、酸二無水物が好ましい。芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル、等を挙げることができ、それらを単独、あるいは混合物として使用できる。
【0025】
前記一般式(2)の芳香族ジアミン化合物として、一般式(2)で示される化合物が使用される場合には、芳香族テトラカルボン酸成分として、さらに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、ピロメリット酸成分等を単独あるいは混合物として使用でき、さらに、上記一般式(1)の成分との混合物としても使用できる。
【0026】
前記一般式(2)で示される芳香族ジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系ジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン等のビス(アミノフェノキシ)ベンゼン系ジアミン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル等のビス(アミノフェノキシ)ビフェニル系ジアミン、等を挙げることができ、それらを単独、あるいは混合物として使用できる。
【0027】
芳香族テトラカルボン酸化合物として、一般式(1)で示される化合物が使用される場合には、ジアミン化合物として、さらに、ベンチジン、3,3’−ジメチルベンチジン等のベンチジン類等を単独、あるいは混合物として使用でき、さらに上記一般式(2)のジアミン成分との混合物としても使用できる。
【0028】
この発明におけるポリイミドフィルムは、例えば、次の製法によって得ることができる。先ず芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミンとをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのアミド系有機溶媒、特にN,N−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドンなどのポリイミドの製造に通常使用される有機極性溶媒中で、好ましくは10〜80℃で1〜30時間重合して、ポリマ−の対数粘度(測定温度:30℃、濃度:0.5g/100ml溶媒、溶媒:N−メチル−2−ピロリドン)が1〜5、ポリマ−濃度が10〜25重量%であり、回転粘度(30℃)が500〜4500ポイズであるポリアミック酸(イミド化率:5%以下)溶液を得る。
【0029】
次いで、例えば上記のようにして得られたポリアミック酸溶液に、高耐熱性ポリイミド層の場合にはさらに必要であればイミド化触媒、好適には1,2−ジメチルイミダゾ−ルを、特にポリアミック酸のアミック酸単位に対して0.005〜2倍当量、好適には0.005〜0.8倍当量、特に0.02〜0.8倍当量程度の量含有させる。1,2−ジメチルイミダゾ−ルの一部を、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、N−メチルイミダゾ−ル、N−ベンジル−2−メチルイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、5−メチルベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどで置き換えてもよい。
【0030】
上記のポリアミック酸溶液に、リン化合物を、好ましくはこのポリアミック酸100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.01〜3重量部、その中でも特に0.01〜1重量部の割合で有機リン化合物、好適には(ポリ)リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩あるいは無機リン化合物を添加しポリアミック酸溶液組成物を得る。
【0031】
前記の高耐熱性の芳香族ポリイミドの前駆体溶液および主鎖中に屈曲性結合を有する芳香族ポリイミドの前駆体溶液のいずれにもあるいは少なくともと主鎖中に屈曲性結合を有する芳香族ポリイミドの前駆体溶液に無機充填剤を加えて、無機充填剤を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を準備する。この場合、無機充填剤を、特にポリアミック酸100重量部に対して0.1〜3重量部のシリカ、コロイダルシリカ、窒化珪素、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、燐酸カルシウムなどの、好適には平均粒径0.005〜0.5μm、特に0.005〜0.2μmのものを添加して無機充填剤を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得ることが好ましい。
【0032】
次いで、多層押出形成用ダイスが設置された製膜装置を使用して、前記ダイスに、2種類のポリイミド前駆体溶液組成物を同時に別々に供給し、ダイスの吐出口(リップ部)から2層の薄膜状体として支持体(ベルト)の上に押出して均一な厚さの薄膜を形成し、キャスティング炉の内部でその薄膜を乾燥して溶媒を大部分除去し、厚み30〜100μm程度のフィルムを形成した後、支持体から自己支持性フィルムを剥離し、乾燥して、最後に、キュア−炉内で350〜450℃で2〜30分間程度加熱処理して、厚みが20〜60μmの芳香族ポリイミド製の多層構造のポリイミドフィルムを連続的に形成することができる。
【0033】
この発明におけるポリイミドフィルムの厚さは、20〜60μm、特に25〜50μmが好ましい。また、主鎖中に屈曲性結合を含む芳香族ポリイミド層の厚さ(単層)は0.1〜10μm、特に0.2〜5μmであり、残部が高耐熱性の芳香族ポリイミド層であることが好ましい。
【0034】
この発明においては、ポリイミドフィルムの該柔軟性ポリイミド層に減圧放電処理によりエッチングすることが必要であり、これらの組み合わせによって、処理面に網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成することができる。
前記の減圧放電処理で使用するガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、CF、Oなどの単体あるいは混合ガスが挙げられる。なかでもArは安価でフィルム表面の処理効果が良好であり好ましい。圧力は0.3〜50Pa、特に6〜27Paが好適である。温度は通常室温でよく、必要であれば−20〜20℃前後で冷却してもよい。
前記の減圧放電処理の代わりに常圧プラズマ放電処理やコロナ放電処理によっては、剥離強度の大きい積層基板を得ることが困難である。
【0035】
前記の方法において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分およびp−フェニレンジアミンを含む高耐熱性の芳香族ポリイミド層を中心層として有し表面層が主鎖中に屈曲性結合、さらに好適にはp−フェニレンジアミンを含む柔軟性ポリイミド層であるポリイミドフィルムの該柔軟性ポリイミド層表面を減圧放電処理によりエッチングして処理面に網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成せしめることが好ましい。
前記の放電処理ポリイミドフィルムは、処理面が網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成せしめたもので、好適には凹凸(粗さRa:平均粗さ)が0.03〜0.1μm、特に0.04〜0.08μmの網目の構造となっていることが好ましい。
【0036】
この発明の表面処理ポリイミドフィルムは、減圧プラズマ放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間、好適には0.05〜0.4g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上、好適には6000MPa以上で、
を満足し、好適にはさらに、下記の条件
(5)光透過率(600mm)が45%以上、好適には60%以上である
(6)線膨張係数(50〜200℃)が8〜25ppm/℃
(7)加熱収縮率(200℃×2時間)が0.1%以下である
を満足する。
【0037】
前記のポリイミドフィルムの厚みが20μmより小さいと銅積層板とした時の弾性が小さく取り扱いが困難であり、厚みが60μmより大きいと積層した時の厚みが大きくなり小型の半導体パッケ−ジ用の材料としては好ましくない。
水蒸気透過係数が0.05g/mm/m・24時間より小さいとパッケ−ジの破壊防止効果が少ない。
吸水率が2.0%より大きいと半導体パッケ−ジ内部に持ち込まれる水分量が多くなり、問題が発生しやすくなる。
引張弾性率が5000MPaより小さいとパッケ−ジ用基板材料として不適当である。
【0038】
また、この発明においては、前記の光透過率(600mm)が45%、好適には60%より大きいため後工程において作業性および精密加工が容易であり、線膨張係数(50〜200℃)が8〜25ppm/℃であると熱膨張に伴う寸法変化が抑制され信頼性が高くなり、加熱収縮率(200℃×2時間)が0.1%以下であると製造工程での加熱に伴う寸法変化が抑制され回路設計の精度を高めることができる。
【0039】
この発明の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性接着剤を使用して厚み4〜12μm程度の銅箔と積層して銅張基板を得てもよく、あるいは好適には金属蒸着した後電気銅メッキして銅張基板を得てもよい。
【0040】
前記の金属蒸着した後電気銅メッキする方法としては、ポリイミドフィルムを減圧放電処理した処理面に網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成せしめた後連続して、あるいは減圧放電処理後一旦大気中に置いた後プラズマスクリ−ニング処理によって清浄化した後、蒸着法によって金属薄膜を形成し、少なくとも2層の金属薄膜、特に下地金属蒸着層と、その上の銅蒸着層からなる2層の金属蒸着層が積層し、電気銅メッキすることが好ましい。
【0041】
前記の金属蒸着または金属蒸着と金属メッキ層とで金属層を形成するための金属を蒸着する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法などの蒸着法を挙げることができる。真空蒸着法において、真空度が、10−5〜1Pa程度であり、蒸着速度が5〜500nm/秒程度であることが好ましい。スパッタリング法において、特にDCマグネットスパッタリング法が好適であり、その際の真空度が13Pa以下、特に0.1〜1Pa程度であり、その層の形成速度が0.05〜50nm/秒程度であることが好ましい。得られる金属蒸着膜(層)の厚みは10nm以上、1μm以下であり、そのなかでも0.1μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。この上に好適には金属メッキにより肉厚の膜を形成することが好ましい。その厚みは、約1〜20μm程度である。
【0042】
金属薄膜の材質としては、種々の組み合わせが可能である。金属蒸着膜として下地層と表面蒸着金属層を有する2層以上の構造としてもよい。下地層としては、クロム、チタン、パラジウム、亜鉛、モリブデン、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、鉄などの金属あるいはこれらの金属の1種あるいは2種以上を含む合金、例えばニッケル−クロム合金、ニッケル−銅合金、ニッケル−金合金、ニッケル−モリブデン合金等が挙げられる。表面層(あるいは中間層)としては銅が挙げられる。蒸着層上に設ける金属メッキ層の材質としては、銅、銅合金、銀等、特に銅が好適である。真空プラズマ放電処理したポリイミドフィルムの片面に、クロム、チタン、パラジウム、亜鉛、錫、モリブデン、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル−銅合金、ニッケル−金合金、ニッケル−モリブデン合金等等の下地金属層を形成し、その上に中間層として銅の蒸着層を形成した後、銅の無電解メッキ層を形成し(無電解メッキ層を形成することは発生したピンホ−ルをつぶすのに有効である。)、あるいは、金属蒸着層の厚みを大きくして、例えば0.1〜1.0μmとして銅などの無電解金属メッキ層を省略し、表面層として電気銅メッキ層を形成してもよい。
【0043】
また、表面処理ポリイミドフィルムにレ−ザ−加工、機械加工あるいは湿式法によって穴あけ加工した後、2層の金属蒸着層または2層の金属蒸着層および金属メッキ層を形成してもよい。
また、金属薄膜層の厚みは、蒸着用タ−ゲット金属の均一部分を用いたり、電気メッキの外周部(厚くなる)を除いたりして、5%以内の均一にすることができる。
また、積層基板は、主鎖中に屈曲性結合を含む柔軟性ポリイミド層を両面に有するポリイミドフィルムの片面に2層の金属薄膜を形成し、他の面に熱伝導性を改良するために金属(例えば前記の金属)を使用して金属蒸着層あるいはセラミック蒸着層を形成したものであってもよい。
【0044】
前記の電気銅メッキは、好適には前記の下地金属薄膜層を有する長尺のポリイミドフィルムを送りロ−ルおよび巻き取りロ−ルと各槽内に配置されてフィルムの上部および下部を把持する把持部材によって、垂直搬送し、脱脂槽、酸洗浄槽、複数の銅メッキ槽、水洗槽、乾燥工程、巻き取りロ−ルを経て、長尺の銅張り積層フィルムを巻取ることによって、厚さ1〜20μmの電気銅メッキ層を形成して、この発明の積層基板を得ることができる。
【0045】
前記の電気銅メッキにおいて、例えば、硫酸銅50〜200g/l、硫酸100〜250g/lおよび光沢剤少量、温度15〜45℃、電流密度0.1〜10A(アンペア)/dm、空気攪拌、搬送速度0.1〜2m/分、適量の塩素および光沢剤を添加、陰極が銅の条件であることが好ましい。
【0046】
前記の方法によって得られる積層基板は、好適には初期剥離強度が1kgf/cm(1000N/m)以上、150℃で24時間加熱後の剥離強度が0.6kgf/cm(600N/m)以上である。
特に、前記の銅メッキにおいて、垂直搬送することによって、直径15μm以上の異常突起数を200個/mm以下、特に1〜200個/mmとすることができる。
【0047】
また、この発明によって得られる積層基板は、銅張り基板へのレジスト塗工厚を薄くすることが可能となり、より微細な配線パタ−ンを与えることが可能であり、半導体パッケ−ジ内部の水蒸気による破壊発生を低減することが容易である。
この積層基板は、フレキシブル印刷回路基板、TABテ−プ等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下にこの発明の実施例を示す。以下の各例において、各例の測定は以下に示す試験方法によって行った。
フィルム厚み:全体の厚みを接触式厚み計で、柔軟性ポリイミド層と高耐熱性ポリイミド層の厚みを、各々断面を光学顕微鏡により測定した。
水蒸気透過係数:JIS・K7129 B法に従って測定した。
吸水率:ASTM D570−63に従って測定した(25℃×24時間)。
引張弾性率:ASTM D882−64Tに従って測定
線膨張係数:300℃で30分間加熱して応力緩和した試験片をTMA装置に取り付け、昇温速度20℃/分で50℃から200℃まで加熱した時の変位を読み取り算出した。
加熱収縮率:ASTM D1204に従って測定
光透過率:大塚電子社のPCPD−3000を使用して波長600nmの透過率を測定
【0049】
フィルム表面状態:SEMにより50000倍にて観察し、網目構造の有無を確認した。
初期剥離強度:銅メッキ後24時間経過したサンプルを10mm幅に切り出し、JIS・C6471に準じ90度剥離強度(50mm/分の速度で剥離)を測定した。
耐熱性:150℃、空気中、24時間経過後のサンプルについて、前記と同様にして90度剥離強度を測定した。
【0050】
耐熱性:150℃、空気中、24時間経過後のサンプルについて、前記と同様にして90度剥離強度を測定した。
フィルム厚み:柔軟性ポリイミド層と高耐熱性ポリイミド層の厚みを、各々断面を光学顕微鏡により測定した。
【0051】
(比較例1)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを(1:1、モル比。以下同じ)N,N−ジメチルアセトアミド中で反応させて得られた芳香族ポリアミック酸の溶液を流延製膜法によって、厚み75μmの単層のポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムについて次の条件で表面処理した。
処理1:減圧プラズマ処理装置によるエッチング
減圧プラズマ処理装置内にポリイミドフィルムを設置後、0.1Pa以下に減圧後、Arガスを導入しAr=100%、圧力=13.3Pa、パワ−=5KW(40KHz)にて2分処理
【0052】
得られた表面処理ポリイミドフィルムは次の物性を示した。
引張弾性率:8000MPa。
引張強度:400MPa。
線膨張係数:20ppm/℃。
加熱収縮率:0.1%。
水蒸気透過係数:0.03g・mm/m・24hrs。
吸水率:1.2%。
光透過率(600nm):20%。
この表面処理ポリイミドフィルムを用いて、熱硬化性接着剤(厚み12μm)で電解銅箔(厚み18μm)と積層してTABを作成し、常法により、工程中ポリイミドフィルムに吸収されている水分を乾燥し、半導体パッケ−ジを得た。
【0053】
(実施例1)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを(1:1、モル比。以下同じ)N,N−ジメチルアセトアミド中で反応させて得られた芳香族ポリアミック酸の溶液に触媒として1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリアミック酸に対して2.5重量%添加したコア層用ポリアミック酸溶液と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとを(10:2:8)N,N−ジメチルアセトアミド中で反応させて得られた芳香族ポリアミック酸の溶液とから共押し出し流延製膜法によって3層の芳香族ポリイミドフィルムを得た。
この3層ポリイミドフィルムは厚み25μm(3.0μm/19μm/3.0μm)であった。
【0054】
このポリイミドフィルムを次の条件で減圧プラズマ放電処理した。
処理1:減圧プラズマ処理装置によるエッチング
減圧プラズマ処理装置内にポリイミドフィルムを設置後、0.1Pa以下に減圧後、Arガスを導入しAr=100%、圧力=13.3Pa、パワ−=5KW(40KHz)にて2分処理
【0055】
得られた表面処理ポリイミドフィルムは次の物性を示した。
引張弾性率:7600MPa。
引張強度:500MPa。
線膨張係数:17ppm/℃。
加熱収縮率:0.08%。
水蒸気透過係数:0.10g・mm/m・24hrs。
吸水率:1.5%。
光透過率(600nm):70%。
【0056】
この表面処理ポリイミドフィルムを用いて、常法によりモリブデン次いで銅を蒸着した後電気銅メッキして片面に厚み5μmの銅メッキ層を有するTABを作成し、定法により半導体パッケ−ジを得た。
途中の乾燥工程を、比較例1と比較して約50%短縮することができた。
得られたICパッケ−ジには水蒸気による破壊は全く生じず、フィルムの透明性が良好であり製造工程において不良品の生成を抑制することができた。
【0057】
(実施例2)
実施例1で得られた表面処理ポリイミドフィルムを用いて次の工程によって積層基板を得た。
処理2:フィルム表面クリ−ニング
スパッタリング装置に処理1のポリイミドフィルムを基板フォルダ−に設置し、2×10−4Pa以下の真空に排気後、Arを導入し、0.67Paとした後、ポリイミドフィルムの接した電極に13.56MHzの高周波電力300Wで1分間処理
【0058】
処理3:銅薄膜形成
処理2に連続して、Ar0.67Pa雰囲気にてDCスパッタリングにより、150Wにて、Mo薄膜を3nm形成後、Cu薄膜を300nm形成し、大気中に取り出した。
【0059】
その後、蒸着金属膜付きポリイミドフィルムを垂直に立てて搬送しながら、下記条件にて電解銅膜を形成し、5μm厚の電気銅メッキ層を有する積層基板を得た。
硫酸銅濃度:100g/l。
硫酸:150g/l。
添加物:適量の塩素および光沢剤。
メッキ液温度:23℃。
電流密度:1槽目1A(アンペア)/dm、2〜4槽3A/dm空気攪拌。
搬送速度:0.4m/分。
【0060】
得られた積層基板について、評価した。
(物性評価方法)
1.対物レンズ10倍×10=100倍の金属顕微鏡にて、1mm口の範囲を観察し、直径が15μm以上の異常突起の個数を観察した。
n=5の平均値にて、1mm単位の異常突起個数とした。
2.異常突起による問題を確認するため、積層基板上へ、液体レジストを塗工した、異常突起が原因となるレジストの塗工ムラやハジキの発生しない必要な厚さを測定した。
評価は、×がはじき、塗工ムラ有り、△がはじき無し、塗工ムラ無し、○がはじき、塗工ムラ無し、◎が良好(レジストパタ−ン形成に問題無し)。
使用したレジスト:クラリアント社のAZ8100DB5(23cp)。
塗工方法:ロ−ルコ−タ−。
プリベク条件:100℃、120秒。
【0061】
(結果)
1.顕微鏡観察による異常突起個数(個/mm
5個の試料平均:17個。
2.液体レジスト塗工結果
塗工厚1μm:△、
塗工厚2μm:○、
塗工厚3μm:◎、
塗工厚4μm:◎。
【0062】
別途、この積層基板を用いて、定法によりTABを作成し、定法によりICパッケ−ジを得た。
途中の乾燥工程を、比較例1と比較して約50%短縮することができた。
得られた半導体パッケ−ジには水蒸気による破壊は全く生じず、フィルムの透明性が良好であり製造工程において不良品の生成を抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、半導体パッケ−ジの一つであるBGA型半導体装置の一例である。
【符号の説明】
【0064】
1:パッケ−ジ構造の半導体装置、
2:ポリイミドフィルム、
3:接着剤、
4:銅箔、
5:ソルダ−レジスト、
6:接着剤、
7:エラストマー、
8:半導体チップ、
9:半田ボ−ル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧プラズム放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上で、
を満足する半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項2】
さらに、下記の条件
(5)光透過率(600mm)が60%以上である
(6)線膨張係数(50〜200℃)が8〜25ppm/℃
(7)加熱収縮率(200℃×2時間)が0.1%以下であるを満足する請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項3】
減圧プラズム放電処理された表面が、ポリイミドフィルムの少なくとも片面を減圧放電処理して網目構造の凸部を有する凹凸形状を形成したものである請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項4】
ポリイミドフィルムが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルを必須成分として含むものである請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項5】
ポリイミドフィルムが、中心層としての高耐熱性の芳香族ポリイミド層および表面層としての主鎖中に屈曲性結合を含む柔軟性ポリイミド層からなる多層ポリイミドフィルムである請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項6】
減圧放電処理が、真空プラズマ放電処理である請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの少なくとも片面に電気銅メッキ層表面を有し、初期剥離強度が1000N/m以上、150℃で24時間加熱後の剥離強度が600N/m以上である積層基板。
【請求項8】
減圧プラズム放電処理された表面を有し、下記の(1)〜(4)の条件
(1)厚みが20〜60μmで、
(2)水蒸気透過係数が0.05〜0.8g/mm/m・24時間で、
(3)吸水率が2.0%以下で、
(4)引張弾性率が5000MPa以上で、
を満足するポリイミドフィルムのポリイミドフィルムの少なくとも片面に下地蒸着金属およびその上に蒸着銅層からなる厚さ10nm以上10μm以下の蒸着金属層およびその上に厚みが1〜20μmの電気銅メッキ層を有し、初期剥離強度が1000N/m以上、150℃で24時間加熱後の剥離強度が600N/m以上で、銅メッキ層表面の直径15μm以上の異常突起数が200個/mm以下である積層基板。
【請求項9】
減圧放電処理によって、請求項1に記載の半導体パッケ−ジ内部絶縁用ポリイミドフィルムを与えるポリイミドフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2007−266615(P2007−266615A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108951(P2007−108951)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願2003−79611(P2003−79611)の分割
【原出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】