説明

半導体パッケージ及び半導体装置

【課題】半田を介して接続される上側と下側の基板の間の隙間に滞留する熱を効率よく冷却することができる半導体パッケージを提供することにある。
【解決手段】第1の電極パッド4が一面上に形成されたる第1の基板2と、第2の電極パッド13が一面上に形成された第2の基板12と、第1の基板2の一面と第2の基板12の一面を対向させた状態で第1の電極パッド4と第2の電極パッド13を接合する半田バンプ5と、第1の基板2と第2の基板13の間の間隙を側方から密封して囲む開口部31aを有する放熱体31と、第1の基板2と第2の基板12のそれぞれの一面のうち少なくとも一方に形成された溝16及び突起17と、第1の基板2と第2の基板12と放熱体31によって区画される空間に封入された冷媒35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばコンピュータにおいて半導体集積回路(LSI)素子を冷却するために、LSI素子の放熱面に放熱素子であるヒートスプレッダー、ヒートシンク等を接着し、さらに放熱素子の近傍に送風機を配置して放熱素子に風を送って熱を拡散している。この場合、LSI素子の放熱面として、はんだ接続用の電極パッドが形成されない面が選択される。
【0003】
近年、LSIの回路の高集積化や高機能化により、LSIの発熱量が増加する傾向にあり、これに伴い、大型のヒートスプレッダー、ヒートシンクを採用したり、それらの形状を複雑にする構造を作製したりしている。このことは、LSI素子を備えた機器の実装技術に大きな影響を与える。
【0004】
これに対し、LSI素子のうち回路基板との接合面側に放熱する方法もあり、例えば樹脂製の回路基板に替えてメタルコア基板を使用することが知られている。
【0005】
また、ヒートシンクにヒートパイプの一部を接続し、或いは樹脂製の回路基板の内部にメタル板を挟み込んだメタルコア基板を使用し、これによりLSI素子の冷却効率を高める構造も知られている。
【0006】
また、作動流体が封入された内部中空の金属製パッケージの表面の凹部に半導体集積回路チップを取り付けた構造が知られ、その中空部内には多数条の溝が形成されている。この場合、半導体集積回路チップのうち電極パッドの無い面が金属製パッケージに接着される。また、金属製パッケージの凹部の周囲には配線基板が取り付けられ、その配線基板の端子と半導体集積回路チップの端子は、ワイヤボンディングにより互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−47897号公報
【特許文献2】特開2002−335057号公報
【特許文献3】特開2004−172425号公報
【特許文献4】特開2002−15640号公報
【特許文献5】特開平5−198713号公報
【特許文献6】特開2007−123547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような半導体素子の冷却構造によれば、はんだ(半田)を介して半導体素子とインターポーザを接続する構造や、半田を介してインターポーザと配線基板を接続する構造のように、2つの基板の間の空間に滞留する熱を効率よく冷却することが難しい。
【0009】
本発明の目的は、半田を介して接続される上側と下側の基板の間の隙間、又は半導体素子と基板の間の隙間に滞留する熱を効率よく冷却することができる半導体パッケージ及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの観点によれば、第1の電極パッドが一面上に形成された第1の基板と、第2の電極パッドが一面上に形成された第2の基板と、前記第1の基板の前記一面と前記第2の基板の一面を対向させて前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドを接合する半田バンプと、前記第1の基板と前記第2の基板の間の間隙を側面から密封して囲む開口部を有する放熱体と、前記第1の基板の前記一面と前記第2の基板の前記一面のうち少なくとも一方に形成された溝及び突起と、前記第1の基板と前記第2の基板と前記放熱体によって区画される空間に封入された冷媒とを有する半導体パッケージが提供される。
別の観点によれば、第1の電極パッドが一面上に形成されたる半導体素子と、第2の電極パッドが一面上に形成された回路配線基板と、前記半導体素子の前記一面と回路配線基板の前記一面を対向させて前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドを接合する半田バンプと、前記半導体素子と前記第回路配線基板の間の間隙を側面から密封して囲む開口部を有する放熱体と、前記回路配線基板の前記一面の上に形成された溝及び突起と、前記半導体素子と前記回路配線基板と前記放熱体によって区画される空間に封入された冷媒とを有する半導体装置が提供される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半田バンプを介して電極パッド同士が接合される第1の基板と第2の基板の対向面のうち少なくとも一方に溝及び突起を形成するとともに、第1の基板、第2の基板及びそれらの外周の放熱体によって区画される空間内に冷媒を封入している。
冷媒は、溝及び突起における毛細管現象により第1、第2の基板の隙間内の半田バンプに向けて導かれる。
一方、第1の基板の上に実装される半導体素子から発生した熱は、主に電極パッド及び半田バンプを介して第1の基板と第2の基板の隙間に伝わる。また、その隙間内に存在する液状の冷媒は、溝における毛細管現象によって電極パッド及び半田バンプの周囲に導かれる。
前記毛細管現象により導かれた冷媒は、電極パッド及び半田バンプ及びその周辺において蒸発、気化するので、半田バンプは熱を奪われ、冷却される。気化した冷媒は、温度の低い外周部の放熱体により冷却されて液化し、再び溝及び突起を伝って第1、第2の基板の隙間の内部に向けて導かれ、そこで再び蒸発するというように、それらの循環を繰り返す。
また、本発明によれば、半田バンプを介して電極パッド同士が接合される半導体素子と回路配線基板の対向面のうち回路配線基板側に溝及び突起を形成するとともに、半導体素子、回路配線基板及びそれらの外周の放熱体によって区画される空間に冷媒を封入している。
半導体素子で発生した熱は、電極パッド及び半田バンプを伝わり、半導体素子と回路配線基板の間の空間で冷媒を蒸発させる。この場合の冷媒は、溝及び突起における毛細管現象により放熱体から、半導体素子と回路配線基板の隙間に導かれる。また、気化した冷媒は、外周部の放熱体により冷却されて液化し、再び溝及び突起を伝って半導体素子と回路配線基板の隙間の内側に導かれ、再び蒸発するというように、それらの循環を繰り返す。
以上のように、基板同士の隙間、又は半導体素子と回路配線基板の間の隙間において、半導体素子から電極パッド、半田バンプを介して伝わった熱は、その隙間内の冷媒を気化し、その隙間の温度上昇を抑制し、さらに半導体素子の温度上昇を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1A〜図1Cは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージのうちの実装基板の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図1D】図1D、図1Eは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージのうちの実装基板の形成工程を示す断面図(その4、5)である。
【図1F】図1F、図1Gは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージのうちの実装基板の形成工程を示す断面図(その6、7)である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図3】図3Aは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージのうちの実装基板の平面図、図3Bは、図3Aのうち上側の基板を取り除いた状態を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの実装基板内の熱交換作用を示す説明図である。
【図5A】図5A〜図5Dは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの実装基板に適用される電極パッド、溝及び突起の形成工程を示す断面図(その1〜4)である。
【図5E】図5E〜図5G、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージのうちの実装基板に適用される電極パッド、溝及び突起の形成工程を示す断面図(その5〜7)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの実装基板の別の例を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージに実装される半導体素子の別の配置例を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。電極パッドの別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1A〜図1Gは、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの形成工程を示す断面図である。
まず、半導体パッケージに使用される2つのインターポーザについて説明する。インターポーザは、一面側の金属パッドの位置を反対面側の金属パッドの位置に変換する回路基板である。
【0014】
図1Aに示す第1のインターポーザ1は、例えば厚さ約200μmのシリコン基板2と、シリコン基板2の第1面上に例えば50μm〜200μmのピッチで形成された複数の第1の電極パッド3とを有している。シリコン基板2の第2面上には、例えば約2mmピッチで複数の第2の電極パッド4が形成されている。第1の電極パッド3と第2の電極パッド4は、シリコン基板2の内部に形成された配線(不図示)、ビア(不図示)等により接続されている。
【0015】
また、第2の電極パッド4の表面には、半田バンプ5が接合されている。半田バンプ5は、鉛フリー半田、例えば融点217℃のスズ・銀・銅(Sn−Ag−Cu)合金から形成されている。
【0016】
図1Bに示す第2のインターポーザ11は、例えば厚さ約2mmのガラスエポキシ樹脂から形成される絶縁基板12と、その第1面上に形成された複数の第3の電極パッド13とを有している。第3の電極パッド13は、絶縁基板12の上に第1のインターポーザ1を重ねた状態で第2の電極パッド4に対向する位置に形成される。
【0017】
さらに、第2のインターポーザ11の第2面上には、第4の電極パッド14が形成されている。第3の電極パッド13と第4の電極パッド14は、絶縁基板12の内部に形成されたビアホール15a内のビア15を介して電気的に接続されている。
なお、絶縁基板12の内部に配線(不図示)、ビア(不図示)を形成することにより、
第3の電極パッド13と第4電極パッド14を電気的に接続してもよい。
【0018】
ビア15を形成する方法として、ビアホール15a内に導電性ペーストを充填した後に加熱する方法、或いは、金属膜、例えばCu膜をビアホール15aの内面に無電解メッキ、電解メッキにより形成する方法を採用してもよい。
【0019】
第2のインターポーザ11の絶縁基板12の第1面のうち、第3の電極パッド13とその周辺領域を除いた領域には複数の細溝16と突起17を有する金属膜18が形成されている。即ち、金属膜18の上部は凹凸形状を有し、突起17の幅は例えば約40μm、溝16の幅は例えば約40μmであり、突起17の高さは例えば約40μmに形成されている。
突起17は第3の電極パッド13から外部に向かって連続的又は断続的に伸びている。なお、溝16及び突起17の形成方法については後述する。
【0020】
次に、図1Cに示すように、第2のインターポーザ11の第3の電極パッド13の上に、半田ペースト6をスクリーン印刷により形成する。なお、半田ペースト6の代わりにフラックスを形成してもよい。
その後に、第2のインターポーザ11の第1面と第1のインターポーザ1の第2面を対向させる。さらに、第1のインターポーザ1を第1面側から押し、第1の半田バンプ5を半田ペースト6に押圧して第3の電極パッド13に接触させる。
【0021】
続いて、第2のインターポーザ11とその上の第1のインターポーザ1をリフロー炉内にいれ、その状態で第1の半田バンプ5の融点よりも例えば約20℃高い温度で半田バンプ5を溶融した後に、常温に戻す。
【0022】
これにより、図1Dに示すように、第1のインターポーザ1の第2の電極パッド4上の半田バンプ5は、第2のインターポーザ11上の第3の電極パッド13に接合される。
次に、図1Eに示すように、第1の半導体素子21と第2の半導体素子23のそれぞれの電極パッド21a、23aに接合された第2、第3の半田バンプ22、24を第1のインターポーザ1上の第1の電極パッド3に接合する。
【0023】
第2、第3の半田バンプ22、24は、第1のインターポーザ1の下の第1の半田バンプ5よりも融点が低い材料、例えば融点が206℃〜214℃のSn−In−Bi合金から形成することが好ましい。
【0024】
第2、第3の半田バンプ22、24を第1の電極3に接合するために、まず、第1のインターポーザ1の第1の電極パッド3上に半田ペースト又はフラックスを塗布する。その後に、第1のインターポーザ1のうち第1、第2の半導体素子21、23を載置する領域にスクリーン印刷法によりアンダーフィル層25を形成する。さらに、第1、第2の半導体素子21、23の第2、第3の半田バンプ22、24をアンダーフィル層25に押しつけて貫通させ、第1の電極パッド3に接触させる。なお、アンダーフィル層として熱硬化樹脂、例えばエポキシ樹脂を使用する。
【0025】
その後に第1、第2のインターポーザ1、11及び第1、第2の半導体素子21、23をリフロー炉に入れて加熱する。この場合の加熱温度は、アンダーフィル層25を熱硬化し且つ第2、第3の半田バンプ22、24を溶融する高さに設定される。その後に、アンダーフィル層25及び第2、第3の半田バンプ22、24を冷却することにより、第2、第3の半田バンプ22、24は、第1の電極パッド3に接合する。
なお、第1、第2の半導体素子21、22にはそれぞれ半導体集積回路が形成されている。
【0026】
次に、図1Fに示すように、銅、アルミニウム等の金属から形成される枠状の放熱体31の中央寄りの領域に形成された開口部31a内に第1、第2のインターポーザ1、11を嵌め込む。これにより、第1、第2のインターポーザ1、11の隙間を周囲から放熱体31により密閉状態で囲む。
【0027】
放熱体31のうち第1、第2のインターポーザ1、11を囲む開口部31aの内周面には、第1、第2のインターポーザ1、11の相互間の隙間に通じる横溝32が形成されている。横溝32の底面は、第2のインターポーザ11の第1面とほぼ同一面になるか或いはそれより上になる位置に形成される。また、放熱体31の下面は、第2のインターポーザ11の第2面から第2の電極パッド14よりも突出する形状を有している。
【0028】
また、放熱体31内には、その側面から横溝32の一部に通じる液体供給路33が形成されている。また、放熱体31の外面、例えば上面には複数枚の放熱フィン34が形成されている。
【0029】
続いて、放熱体31と第1、第2のインターポーザ1、11の境界を封止材31b、例えば、半田を用いて密封する。この場合の半田は、第1、第2、第3の半田バンプ5、22、24よりも融点が低い材料、例えばSn−In−Bi合金から形成することが好ましい。
【0030】
次に、図1Gに示すように、放熱体31の側面にある液体供給路33の開口端から冷媒となる作動流体35を供給する。作動流体35の供給量は、第1、第2のインターポーザ1、11の間の間隙に存在する細溝16内を満たし、且つその間隙内に空間を確保する量である。
【0031】
作動流体35として、沸点が例えば100℃以下の流体、例えば代替フロンとして使用されるハイドロクロロフルオロカーボンであるHFC−365、HFC−7000を使用し、或いは有機溶媒であるブタン、ペンタンのような炭化水素系流体を使用する。
その後に、放熱体31側面の液体供給路33の開口端を栓36により密閉し、これにより作動流体35の液漏れ、及び揮発による消失を防止する。
【0032】
次に、図2に示すように、第1、第2のインターポーザ1、11を回路基板37上に取り付ける。回路基板37内には、配線、ビア等(不図示)が形成され、また、回路基板37の上面には第5の電極パッド38が形成され、さらに第5の電極パッド38の上には第4の半田バンプ39が形成されている。第4の半田バンプ39は、第1〜第3の半田バンプ5、22,24よりも融点が低い材料、例えば融点が約199℃のSnZn合金から形成されることが好ましい。
【0033】
第1、第2のインターポーザ1、11を回路基板37上に取り付けるために、まず、第2のインターボーザ11の第4の電極パッド14表面に半田ペースト又はフラックスを塗布する。その後に、第4の電極パッド14と第4の半田バンプ39を位置合わせし、第4の半田バンプ39を溶融して第4の電極パッド14に接合させる。
【0034】
これにより、第1、第2の半導体素子21、23内の半導体集積回路は、 第1〜第5の電極パッド3、4、13、14及び第1〜第4の半田バンプ5、22、24、39等を介して回路基板37内の配線に接続される。
【0035】
以上のような第1、第2のインターポーザ1、11を有するパッケージ基板に第1、第2の半導体素子21、23を実装した半導体装置は、例えば図3Aに示すような平面構造
となる。また、第2のインターポーザ1の上面は図3Bに示すような平面構造となる。
なお、図3Aにおいて符号7、8は、第1、第2の半導体素子21、23以外の半導体素子を示し、符号9は、その他の電子部品を示している。
【0036】
以上のような半導体装置において、第1、第2のインターポーザ1、11を有する半導体パッケージ基板に実装された第1、第2の半導体素子21、23内の半導体集積回路に電圧を供給し、信号を送受信して半導体集積回路を作動させる。これにより、第1、第2の半導体素子21、23の温度は、半導体集積回路の動作状況に応じて変化する。
【0037】
図2において、第1、第2の半導体素子21、23の発熱量が高くなると、その熱は、第2、第3の半田バンプ22、24及び第1の電極パッド3を通して第1のインターポーザ1内に伝達される。
【0038】
さらに、第1のインターポーザ1に伝達された熱は、シリコン基板2内の配線、ビア等を通して第2の電極パッド4、第1の半田バンプ5及び第3の電極パッド13に伝わる。
【0039】
また、第2の電極パッド4、第1の半田バンプ5及び第3の電極パッド13が配置される第1、第2のインターボーザ1、11の隙間の底では、作動流体35が多数の細溝16における毛細管現象により導かれて第3の電極パッド14、第1の半田バンプ5及び第2の電極パッド4の周辺に供給される。
【0040】
従って、図4に示すように、第1のインターポーザ1から第3の電極パッド13、第1の半田バンプ5に伝達された熱は、第1の半田バンプ5、第3の電極パッド13及びその周囲の突起17によって作動流体35を加熱して蒸発させる。
【0041】
気化した作動流体35は、第1のインターポーザ1と第2のインターポーザ11の間の空間を伝達して温度の低い外周部の放熱体31の横溝32に移動する。移動した気体は、多数の放熱フィン34を有する放熱体31の中の横溝16内で熱交換により冷却されて液化する。
【0042】
液化した作動流体35は横溝32の底部に流下し、さらに多数の細溝16における毛細管現象により再び第3の電極パッド13、第1の半田バンプ5の表面に導かれる。
【0043】
このように、第1、第2のインターポーザ1、11の間の隙間とその周囲の横溝32により区画される空間内において、作動流体35は気化と液化を繰り返し、循環することにより、第2の電極パッド4、第1の半田バンプ5、第3の電極パッド13に伝達された熱は冷媒と放熱体31を介して外部に発散される。
【0044】
また、第1の半田バンプ5、第3の電極パッド13及び細溝16等の表面で作動流体35が蒸発潜熱を奪うので、第1の半田バンプ5、第3の電極パッド13及び細溝16の温度が低下する。これにより、第1、第2のインターボーザ1、11の隙間の温度が低下し、その隙間の温度分布を一様にする。また、第1の半田バンプ5、第3の電極パッド13が冷却されることにより、これらに熱的に繋がる第1、第2の半導体素子21、23の局所的な温度の上昇、即ちホットスポットの発生が抑制される。
【0045】
また、上記のパッケージ基板上にチップ状の第1、第2の半導体素子21、23等を搭載したシステムインパッケージにおいて、第1、第2の半導体素子21、23相互間の温度のバラツキを抑制して温度分布を平均化することができる。
さらに、第1、第2の半導体素子21、23の高さが相違しても、温度上昇を抑制することができ、部品実装の問題が生じない。
【0046】
また、第1、第2の半導体素子21、23を第1のインターポーザ1にフェイスアップで実装する構造を採用しても、放熱効果が高くなる。しかも、第1、第2のインターポーザ1、11内に熱伝達用の金属層を形成していないので、インターポーザ1、11内の配線の自由度が高くなり、半導体集積回路の高集積化に対応することができる。
【0047】
次に、図5A〜図5Gを参照し、細溝16及び突起17を有する金属膜18と第3の電極パッド13を形成する方法について説明する。
まず、図5Aに示すように、ビア15が形成された絶縁基板12の上面に、シード層として厚さ0.3μmのTi層18a、厚さ0.25μmの第1のCu層18bを無電解メッキ法により形成する。
【0048】
続いて、図5Bに示すように、第1のCu層18bの上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することによりレジストパターン19を形成する。レジストパターン19は、第3の電極パッド13を形成しようとする領域を露出する直径約200μm〜300μmの第1開口部19aと、突起17を形成しようとする領域を露出する幅約40μmのストライプ形状の第2開口部19bを有している。第1開口部19aの周囲はレジストパターン19により覆われている。また、第2開口部19bは、約40μmの間隔で複数形成されている。
なお、絶縁基板12のうち第1開口部19aの下方にはビア15が形成されている。
【0049】
次に、図5Cに示すように、Ti層18a及び第1のCu層18bをメッキ用電極に使用し、レジストパターン19の第1、第2開口部19a、19bから露出するCu層18b上にNi層18c、第2のCu層18dを電解メッキにより順に形成する。Ni層18cの厚さを例えば4μm、第2のCu層18dの厚さを例えば約40μmとする。
【0050】
このように絶縁基板12の上に形成されたTi層18a、第1のCu層18b、Ni層18c及び第2のCu層18dを金属膜18とする。
この後に、図5Dに示すように、レジストパターン19を除去する。
【0051】
次に、図5Eに示すように、フォトレジスト20を塗布し、これを露光、現像することにより、第3の電極パッド13を形成する領域の周囲に開口部20aを形成する。
続いて、図5Fに示すように、開口部20aを通して過酸化水素、硫酸を含む溶液によりCu層18bをエッチングした後に、開口部20aを通してフッ酸・硝酸含有溶液によりTi層18aをエッチングして第2のインターポーザ11の上面を露出する。
【0052】
その後に、図5Gに示すように、フォトレジスト20を除去する。これにより露出した金属膜18のうちビア15の上の領域に島状に残されたTi層18a、第1のCu層18b、Ni層18c及び第2のCu層18dの金属膜を第3の電極パッド13とする。また、その他の領域に凸状に残されたTi層18a、Cu層18b、Ni層18c及びCu層18dを突起17として使用し、さらに、突起17の間の凹部を細溝16として使用する。
【0053】
ところで、図5Fに示したフォトレジスト20を使用せずに、第1のCu層18b、Ti層18aをエッチングしてもよい。但し、第1のCu層18bをエッチングする際には、第2のCu層18dは、第1のCu層18bの厚さ程度に薄くなるが、特に問題はない。この場合、突起17は下側の金属膜18を介して繋がらないが、細溝17による毛細管現象は発生する。
【0054】
図6は、以上のような半導体装置の別の例を示す断面図であり、上記の細溝16、突起
17を有する金属膜18を第1のインターポーザ1の第2面(図中下側)に形成した構造を有している。
【0055】
これにより、放熱体31の横溝32のうち放熱フィン34に近い領域、即ち横溝32の上面で液化した作動流体35を細溝16により第1、第2のインターポーザ1,12の隙間に導くことが容易になる。この場合、液化した作動流体35は、細溝16から第2のインターポーザ11に落下して第2のインターポーザ11上を流れる。また、細溝16に導かれた作動流体35は、第2、第3の電極パッド4、13及び第1の半田バンプ5及びその周辺領域の熱により気化して放熱体31に移動する。
【0056】
図7は、上記の半導体装置のさらに別の例を示す断面図である。
図7において、第1のインターポーザ1の第1面上には高さ方向、即ち3次元に積層された第3〜第7の半導体素子41a〜41eが積層されている。それらのうち第3〜第6の半導体素子41a〜41dの上面と下面には電極パッドが形成され、それらのうち上下の電極パッドは、半田バンプ42b〜42dを介して互いに接続されている。半田バンプ42a〜42eは、上記の第2、第3の半田バンプ22、24と同じ材料から形成されている。
【0057】
最も下に配置される第3の半導体素子41aの下面の電極パッドに接合される半田バンプ42aは、第1の電極パッド3に接続されている。
最も上に配置される第7の半導体素子41eの上面は放熱面となり、その上には、放熱フィン43aを有するヒートシンク42が接着されている。また、第7の半導体素子41eの下面には電極パッドが形成され、その下の半田バンプ42eを介して第6の半導体素子41dの上面の電極パッドに接続されている。
【0058】
また、放熱体31の開口部31aの下部には外側に広がる段差31cが形成され、その段差31cには第2のインターボーザ12の外周面に形成されたフランジ12aが嵌め込まれている。また、放熱体31の段差31cの下部には、フランジ21aを下方から支持する支持枠31dが嵌め込まれている。これにより、放熱体31の開口部31a内での第2のインターポーザ12の位置決めが容易になる。
【0059】
そのような構造の半導体装置によれば、第3〜第7の半導体素子41a〜41eで発生した熱は、第1のインターポーザ1と第2のインターポーザ11の間の隙間に供給される作動流体35を介して放熱体31から発散されるだけでなく、ヒートシンク43を介して外部に放出すことができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、図8において、図2と同じ符号は同じ要素を示している。
【0061】
図8において、半導体集積回路を有する半導体素子51の下面には、第1の電極パッド52が複数形成されている。また、半導体素子51の下に対向して配置される回路配線基板53の上面には複数の第2の電極パッド54が形成されている。
回路配線基板53の平面形状は半導体素子51の平面形状と同じに形成されている。第2の電極パッド54は、回路配線基板53と半導体素子51のそれぞれの外周縁が上から見て一致する状態で、第1の電極パッド52に重なる位置に形成されている。
【0062】
また、配線回路基板53の上面のうち第2の電極パッド54とその周囲領域を除いた領域には、第1実施形態と同様に、複数の細溝16と突起17を有する金属膜18が形成されている。
【0063】
突起17は第2の電極パッド54から外部に向かって連続的又は断続的に伸びている。金属膜18に溝16及び突起17を形成する方法は、第1実施形態に示した方法と同様である。溝16の幅は例えば約40μmであり、突起17の幅は例えば約40μmであり、突起17の高さは例えば約40μmである。
【0064】
半導体素子51はその外周縁が回路配線基板53の外周縁と上下に重なる状態に配置され、そのような状態で、第1の電極パッド52と第2の電極パッド54は、半田バンプ55を介して互いに接合されている。半田バンプ55は、鉛フリー半田、例えば融点217℃のSnAgCu合金から形成されている。
【0065】
半田バンプ55により接続された半導体素子51と回路配線基板53は、放熱体56の中央寄りに形成された開口部56a内に密閉状態で嵌め込まれる。
放熱体56のうち開口部56aの内周面には、半導体素子51と回路配線基板53の間の隙間に通じる横溝57が形成されている。横溝57の下面は、回路配線基板53の下面とほぼ同一面になる位置かそれよりも上に形成される。なお、放熱体56は、例えば銅、アルミニウム等の金属から形成される。
【0066】
放熱体56内には、液体供給路58が横溝57の一部から放熱体56の外周面にかけて形成されている。また、放熱体56の外面、例えば上面には複数枚の放熱フィン59が形成されている。
【0067】
放熱体56と半導体素子51の境界、および放熱体56と回路配線基板53の境界は、それぞれ封止材60、例えば半田を用いて密封されている。その半田は、半田バンプ55よりも融点が低い材料、例えばSnInBi合金から形成することが好ましい。
【0068】
放熱体56の液体供給路58の側部開口端からは、冷媒となる作動流体35が横溝57を通して半導体素子51と回路配線基板53の間の隙間に供給されている。作動流体35の供給量は、常温において、半導体素子51と回路配線基板53の間に空間が存在し、かつ細溝16内を満たす量とする。
【0069】
作動流体35は、沸点が例えば100℃以下の流体、例えば第1実施形態に示したと同じ液体が用いられる。放熱体56側面の液体供給路58の開口端は栓61により密閉されている。
【0070】
以上のような半導体装置において、半導体素子51に電力を供給し、信号を送受信することにより半導体集積回路を作動させる。これにより、半導体素子51の温度は、半導体集積回路の動作状況に応じて変化する。
【0071】
半導体素子51の発熱量が高くなると、その熱は、半導体素子51と回路配線基板53の間の隙間に存在する半田バンプ55、第1、第2の電極パッド52、54に伝わる。
【0072】
その隙間の底には、作動流体35が多数の細溝16における毛細管現象により導かれて第2の電極パッド54、半田バンプ55の周辺に供給されるので、回路配線基板53から第2の電極パッド54、半田バンプ55に伝達された熱は作動流体35を加熱して蒸発させる。
【0073】
気化した作動流体35は、半導体素子51と回路配線基板53の間の空間を伝達して温度の低い外周部の放熱体56の横溝57に移動する。移動した作動流体35の気体は、多数の放熱フィン59を有する放熱体56の中の横溝57内で熱交換により冷却されて液化
する。
【0074】
液化した作動流体35は横溝57の底部に流下し、多数の細溝16における毛細管現象により再び第2の電極パッド54、半田バンプ55の表面に導かれる。
【0075】
このように、半導体素子51と回路配線基板53の間の隙間とその周囲の横溝57により区画される空間内において、作動流体35は気化と液化を繰り返し、循環するので、その空間内の熱は作動流体35及び放熱体56を介して外部に放出される。
【0076】
また、半田バンプ55、第2の電極パッド54及び細溝16及びその周辺領域で作動流体35が蒸発潜熱を奪うことにより、半導体素子51と回路配線基板53の隙間を冷却する。これにより、半導体素子51の内部温度が低下し、半導体素子51の温度分布を一様にし、ホットスポットの発生を抑制する。
【0077】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【符号の説明】
【0078】
1 インターポーザ
2 シリコン基板
3 第1の電極パッド
4 第2の電極パッド
5 半田バンプ
11 インターポーザ
12 絶縁基板
13 第3の電極パッド
14 第4の電極パッド
15 ビア
16 細溝
17 突起
18 金属膜
21、22 半導体素子
23、24 半田バンプ
31 放熱体
31a 開口部
32 横溝
33 液体供給路
34 放熱フィン
35 作動流体
36 栓
37 回路基板
38 第5の電極パッド
39 半田バンプ
41a〜41e 半導体素子
43 ヒートシンク
51 半導体素子
52、54 電極パッド
55 半田バンプ
56 放熱体
57 横溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極パッドが一面上に形成された第1の基板と、
第2の電極パッドが一面上に形成された第2の基板と、
前記第1の基板の前記一面と前記第2の基板の一面を対向させて前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドを接合する半田バンプと、
前記第1の基板と前記第2の基板の間の間隙を側方から密封して囲む開口部を有する放熱体と、
前記第1の基板の前記一面と前記第2の基板の前記一面のうち少なくとも一方に形成された溝及び突起と、
前記第1の基板と前記第2の基板と前記放熱体によって区画される空間に封入された冷媒と、
を有する半導体パッケージ。
【請求項2】
前記放熱体の前記開口部の内周面には、前記第1の基板と前記第2の基板の間の間隙に通じる横溝が形成されている請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第1の基板と前記第2の基板には、ビア、配線の少なくとも一方が形成されている請求項1又は請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1の基板の他面上には、半導体素子の電極パッドにバンプを介して接続される第3の電極パッドが形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のうちいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
第1の電極パッドが一面上に形成されたる半導体素子と、
第2の電極パッドが一面上に形成された回路配線基板と、
前記半導体素子の前記一面と回路配線基板の前記一面を対向させて前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドを接合する半田バンプと、
前記半導体素子と前記第回路配線基板の間の間隙を側方から密封して囲む開口部を有する放熱体と、
前記回路配線基板の前記一面の上に形成された溝及び突起と、
前記半導体素子と前記回路配線基板と前記放熱体によって区画される空間に封入された冷媒と、
を有する半導体装置。

【図1A】
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【図1D】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−205018(P2011−205018A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72984(P2010−72984)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】