半導体モジュール取付構造及び空気調和装置の制御装置
【課題】半導体モジュールから発生する熱と電磁ノイズの拡散を抑制することができる半導体モジュール取付構造及びその半導体モジュール取付構造を備えた空気調和装置の制御装置を得る。
【解決手段】半導体モジュール10の放熱面10aに放熱板30を密着固定すると共に、半導体モジュール10を、電磁ノイズ遮蔽効果を有する電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆う。半導体モジュール10は樹脂成形部11の両側面から複数のリードピン12が突出した構成を有し、樹脂成形部11には半導体モジュール10を放熱板30に取付けるための取付穴13が形成されている。
【解決手段】半導体モジュール10の放熱面10aに放熱板30を密着固定すると共に、半導体モジュール10を、電磁ノイズ遮蔽効果を有する電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆う。半導体モジュール10は樹脂成形部11の両側面から複数のリードピン12が突出した構成を有し、樹脂成形部11には半導体モジュール10を放熱板30に取付けるための取付穴13が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール取付構造及びこの取付構造を備えた空気調和装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パワー素子等の発熱素子が搭載された半導体モジュールの取付構造では、半導体モジュールに放熱板をネジ留めして固定し、半導体モジュールから発生する熱を放熱板から放熱するようにした構成が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−232527号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、半導体モジュールから発生する熱の放熱については考慮されているものの、半導体モジュールから発生する電磁ノイズについては考慮されておらず、電磁ノイズによる周辺電子部品の誤動作等が問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、半導体モジュールから発生する熱と電磁ノイズの拡散を抑制することができる半導体モジュール取付構造及びその半導体モジュール取付構造を備えた空気調和装置の制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体モジュール取付構造は、放熱面に放熱板が密着固定された半導体モジュールを電磁ノイズ遮蔽カバーで覆ったものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体モジュールから発生する熱と電磁ノイズの拡散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体モジュール取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の電磁ノイズ遮蔽カバーの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る半導体モジュール取付構造の断面図である。
【図5】図4の電磁ノイズ遮蔽カバーと金属プレート部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体モジュール取付構造を示す分解斜視図である。図2は図1の断面図である。図3は、図1の電磁ノイズ遮蔽カバーの斜視図である。図1、図2及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0010】
半導体モジュール取付構造は、半導体モジュール10の放熱面10aに放熱板30を密着固定すると共に、半導体モジュール10を、電磁ノイズ遮蔽効果を有する電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆った構造を有している。
【0011】
半導体モジュール10は、例えばIGBTやワイドバンドギャップ半導体により形成されたスイッチング素子等の発熱素子であるパワー素子を備えている。ワイドバンドギャップ半導体とは、シリコン(Si)素子と比較して、バンドギャップが大きい半導体素子の総称であり、炭化ケイ素(SiC)素子の他、例えば、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド素子等が挙げられる。ワイドバンドギャップ半導体は、耐熱温度が高く(約400℃)、高温動作や高速スイッチング動作が可能であるといった特徴がある。
【0012】
半導体モジュール10は、樹脂成形部11の両側面から複数のリードピン12が突出した構成を有し、樹脂成形部11には半導体モジュール10を放熱板30に取付けるための取付穴13が形成されている。
【0013】
電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10を内部に収容するための凹部21と凹部21の開口から外方に延びるフランジ21aとを有している。凹部21には半導体モジュール10のリードピン12を挿通するためのリードピン挿通穴22と、半導体モジュール10の取付穴13に対応して取付穴23とが形成されている。フランジ21aには放熱板30との取付に用いられる取付穴24が形成されている。
【0014】
電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10から発生する電磁ノイズの拡散を抑制するための電磁ノイズ遮蔽効果を有している。この電磁ノイズ遮蔽効果は、基材材質に電磁波吸収特性を有するフェライト系の磁性体粉末を混入又は塗布するようにすればよい。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内面に銅、ニッケル、クロム等の金属系材料によるメッキ処理を施す方法も有効である。
【0015】
また、電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10から発生する多量の熱がプリント基板40に伝わるのを抑制するため、耐熱性及び断熱性を有する材質で形成されることが好ましく、ここではフェノール系の樹脂により形成されている。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20は半導体モジュール10のリードピン12への接触が想定されるため、トラッキングを起こし難い、CTI(Comparative Tracking Index)値が大きい素材を用いて構成することが望ましい。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20はネジ留めされる際に破断したり変形したりすることの無いように十分な強度を確保する必要がある。
【0016】
放熱板30は、例えばアルミ等の熱伝導率が良好な金属製で形成され、半導体モジュール10の取付箇所には、半導体モジュール10の取付穴13に対応するネジ穴31と、電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24に対応するネジ穴32が形成されている。なお、放熱板30の形状は図1の形状に限定されるものではない。
【0017】
プリント基板40は、電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23及び取付穴24に対応して取付作業用開孔41及び取付作業用開孔42が形成されている。
【0018】
次に、半導体モジュール取付構造の取付手順について説明する。
まず、電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21に半導体モジュール10を収容する。この際、半導体モジュール10のリードピン12を電磁ノイズ遮蔽カバー20のリードピン挿通穴22に挿通して突出させる。そして、電磁ノイズ遮蔽カバー20から突出したリードピン12を、プリント基板40上に形成されている電極部(図示せず)に挿入してはんだ付けする。ついで、プリント基板40に設けた取付作業用開孔41を通じて電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23及び半導体モジュール10の取付穴13にネジ51を通し、放熱板30のネジ穴31に螺合することで3者を一体的に固定する。そして更に、プリント基板40に設けた取付作業用開孔42を通じて電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24にネジ52を通し、放熱板30のネジ穴32に螺合することで電磁ノイズ遮蔽カバー20と放熱板30とを更に一体に固定する。以上により半導体モジュール10が放熱板30に密着した状態で固定される。
【0019】
このように構成された半導体モジュール取付構造では、半導体モジュール10の樹脂成形部11が電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21によって覆われているため、半導体モジュール10から発生した電磁ノイズが電磁ノイズ遮蔽カバー20により遮蔽され、プリント基板40側に拡散することが抑制される。また、半導体モジュール10から発生した熱は、放熱板30に伝達されて放熱される。なお、半導体モジュール10の放熱板30側と反対側は電磁ノイズ遮蔽カバー20にて覆われており、電磁ノイズ遮蔽カバー20が断熱性を有することから、半導体モジュール10の熱はプリント基板40側へは伝達されず、電磁ノイズ遮蔽カバー20と放熱板30との間に封じ込められ、放熱板30側へ集中して熱が伝達されて放熱される。
【0020】
以上説明したように本実施の形態1によれば、電磁ノイズの発生源である半導体モジュール10を電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆うようにしたので、電磁ノイズの拡散を抑制でき、電磁ノイズによる周辺電子部品の動作不良を抑制できる。また、半導体モジュール10を電磁ノイズ遮蔽カバー20にて覆って半導体モジュール10からの発生熱を封じ込めるようにしたので、放熱板30からの放熱効果を高めることができる。なお、電磁ノイズ遮蔽カバー20は断熱性を有するため、熱の封じ込め効果が高く、放熱板30からの放熱効果を十分に高いものとすることができる。これにより、プリント基板40やその周囲部品における熱ストレスを軽減できる。これらの結果、部品寿命の延命を図ることができ、引いてはプリント基板40やこの半導体モジュール10の取付構造が組み込まれる機器の品質向上を図ることができる。
【0021】
また、半導体モジュール10を、ワイドバンドギャップ半導体を備えた構成とし、高温状態及び高速スイッチング動作にて使用する場合は、熱及び電磁ノイズの拡散抑制効果が特に大きく、他の部品への熱ストレスの軽減が可能で、設計制約の緩和に繋がる効果が期待できる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2は、図1に示した実施の形態1に更に放熱促進用の金属プレートを設けたものである。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体モジュール取付構造の断面図である。図4の矢印は、半導体モジュールから発生した熱の流れを示している。図5は、図4の電磁ノイズ遮蔽カバーと金属プレート部分の分解斜視図である。実施の形態2の半導体モジュール取付構造において、金属プレート60以外の構成は図1に示した実施の形態1と同様である。
金属プレート60は、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側に装着される形状となっており、電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21内に嵌る嵌合部61と嵌合部61の両端から外方に延びるフランジ61aとを有している。金属プレート60の形状はこの形状に限られず、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側全体に沿う形状としてもよい。嵌合部61には、電磁ノイズ遮蔽カバー20と同様に半導体モジュール10のリードピン12と対応する部分に、リードピン12が挿通するリードピン挿通用の切欠き62が設けられている。また、嵌合部61には電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23に対応して取付穴63が設けられ、フランジ61aには電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24に対応して取付穴64が設けられている。
【0024】
金属プレート60は、電磁ノイズ遮蔽カバー20よりも熱伝導性が高く形成され、材質としては熱伝導性の高い例えば銅を使用する。また、金属プレート60にも電磁ノイズ遮蔽効果を付与することが望ましく、この場合、ニッケル、クロム等のメッキ処理を施せばよい。
【0025】
金属プレート60は電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側に装着されて電磁ノイズ遮蔽カバー20と一体に扱われ、実施の形態1と同様にして固定される。この固定状態において金属プレート60の嵌合部61の底部は半導体モジュール10の放熱板30と反対側の面に密着し、フランジ61aが放熱板30に密着した状態となっている。
【0026】
このように構成された半導体モジュール取付構造において、半導体モジュール10から発生した熱は、半導体モジュール10の放熱面10aから直接放熱板30に伝わる他、金属プレート60の嵌合部61にも伝わる。嵌合部61に伝わった熱は、図4の矢印で示すようにフランジ61aへと伝達されて最終的に放熱板30に伝わり、空気中に放熱される。
【0027】
以上説明したように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、金属プレート60を設けて半導体モジュール10において放熱板30と接触していない面側の熱も放熱板30に導くようにしたので、放熱特性を向上させることができる。
【0028】
上記実施の形態1及び実施の形態2における半導体モジュール取付構造は、例えば空気調和装置の制御装置に適用され、送風機等のモータを駆動する3相インバータ回路が形成された半導体モジュール取付構造として用いられる。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体モジュール、10a 放熱面、11 樹脂成形部、12 リードピン、13 取付穴、20 電磁ノイズ遮蔽カバー、21 凹部、21a フランジ、22 リードピン挿通穴、23 取付穴、24 取付穴、30 放熱板、31 ネジ穴、32 ネジ穴、40 プリント基板、41 取付作業用開孔、42 取付作業用開孔、51 ネジ、52 ネジ、60 金属プレート、61 嵌合部、61a フランジ、62 切欠き、63 取付穴、64 取付穴。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール取付構造及びこの取付構造を備えた空気調和装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パワー素子等の発熱素子が搭載された半導体モジュールの取付構造では、半導体モジュールに放熱板をネジ留めして固定し、半導体モジュールから発生する熱を放熱板から放熱するようにした構成が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−232527号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、半導体モジュールから発生する熱の放熱については考慮されているものの、半導体モジュールから発生する電磁ノイズについては考慮されておらず、電磁ノイズによる周辺電子部品の誤動作等が問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、半導体モジュールから発生する熱と電磁ノイズの拡散を抑制することができる半導体モジュール取付構造及びその半導体モジュール取付構造を備えた空気調和装置の制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体モジュール取付構造は、放熱面に放熱板が密着固定された半導体モジュールを電磁ノイズ遮蔽カバーで覆ったものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体モジュールから発生する熱と電磁ノイズの拡散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体モジュール取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の電磁ノイズ遮蔽カバーの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る半導体モジュール取付構造の断面図である。
【図5】図4の電磁ノイズ遮蔽カバーと金属プレート部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体モジュール取付構造を示す分解斜視図である。図2は図1の断面図である。図3は、図1の電磁ノイズ遮蔽カバーの斜視図である。図1、図2及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0010】
半導体モジュール取付構造は、半導体モジュール10の放熱面10aに放熱板30を密着固定すると共に、半導体モジュール10を、電磁ノイズ遮蔽効果を有する電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆った構造を有している。
【0011】
半導体モジュール10は、例えばIGBTやワイドバンドギャップ半導体により形成されたスイッチング素子等の発熱素子であるパワー素子を備えている。ワイドバンドギャップ半導体とは、シリコン(Si)素子と比較して、バンドギャップが大きい半導体素子の総称であり、炭化ケイ素(SiC)素子の他、例えば、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド素子等が挙げられる。ワイドバンドギャップ半導体は、耐熱温度が高く(約400℃)、高温動作や高速スイッチング動作が可能であるといった特徴がある。
【0012】
半導体モジュール10は、樹脂成形部11の両側面から複数のリードピン12が突出した構成を有し、樹脂成形部11には半導体モジュール10を放熱板30に取付けるための取付穴13が形成されている。
【0013】
電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10を内部に収容するための凹部21と凹部21の開口から外方に延びるフランジ21aとを有している。凹部21には半導体モジュール10のリードピン12を挿通するためのリードピン挿通穴22と、半導体モジュール10の取付穴13に対応して取付穴23とが形成されている。フランジ21aには放熱板30との取付に用いられる取付穴24が形成されている。
【0014】
電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10から発生する電磁ノイズの拡散を抑制するための電磁ノイズ遮蔽効果を有している。この電磁ノイズ遮蔽効果は、基材材質に電磁波吸収特性を有するフェライト系の磁性体粉末を混入又は塗布するようにすればよい。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内面に銅、ニッケル、クロム等の金属系材料によるメッキ処理を施す方法も有効である。
【0015】
また、電磁ノイズ遮蔽カバー20は、半導体モジュール10から発生する多量の熱がプリント基板40に伝わるのを抑制するため、耐熱性及び断熱性を有する材質で形成されることが好ましく、ここではフェノール系の樹脂により形成されている。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20は半導体モジュール10のリードピン12への接触が想定されるため、トラッキングを起こし難い、CTI(Comparative Tracking Index)値が大きい素材を用いて構成することが望ましい。また、電磁ノイズ遮蔽カバー20はネジ留めされる際に破断したり変形したりすることの無いように十分な強度を確保する必要がある。
【0016】
放熱板30は、例えばアルミ等の熱伝導率が良好な金属製で形成され、半導体モジュール10の取付箇所には、半導体モジュール10の取付穴13に対応するネジ穴31と、電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24に対応するネジ穴32が形成されている。なお、放熱板30の形状は図1の形状に限定されるものではない。
【0017】
プリント基板40は、電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23及び取付穴24に対応して取付作業用開孔41及び取付作業用開孔42が形成されている。
【0018】
次に、半導体モジュール取付構造の取付手順について説明する。
まず、電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21に半導体モジュール10を収容する。この際、半導体モジュール10のリードピン12を電磁ノイズ遮蔽カバー20のリードピン挿通穴22に挿通して突出させる。そして、電磁ノイズ遮蔽カバー20から突出したリードピン12を、プリント基板40上に形成されている電極部(図示せず)に挿入してはんだ付けする。ついで、プリント基板40に設けた取付作業用開孔41を通じて電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23及び半導体モジュール10の取付穴13にネジ51を通し、放熱板30のネジ穴31に螺合することで3者を一体的に固定する。そして更に、プリント基板40に設けた取付作業用開孔42を通じて電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24にネジ52を通し、放熱板30のネジ穴32に螺合することで電磁ノイズ遮蔽カバー20と放熱板30とを更に一体に固定する。以上により半導体モジュール10が放熱板30に密着した状態で固定される。
【0019】
このように構成された半導体モジュール取付構造では、半導体モジュール10の樹脂成形部11が電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21によって覆われているため、半導体モジュール10から発生した電磁ノイズが電磁ノイズ遮蔽カバー20により遮蔽され、プリント基板40側に拡散することが抑制される。また、半導体モジュール10から発生した熱は、放熱板30に伝達されて放熱される。なお、半導体モジュール10の放熱板30側と反対側は電磁ノイズ遮蔽カバー20にて覆われており、電磁ノイズ遮蔽カバー20が断熱性を有することから、半導体モジュール10の熱はプリント基板40側へは伝達されず、電磁ノイズ遮蔽カバー20と放熱板30との間に封じ込められ、放熱板30側へ集中して熱が伝達されて放熱される。
【0020】
以上説明したように本実施の形態1によれば、電磁ノイズの発生源である半導体モジュール10を電磁ノイズ遮蔽カバー20で覆うようにしたので、電磁ノイズの拡散を抑制でき、電磁ノイズによる周辺電子部品の動作不良を抑制できる。また、半導体モジュール10を電磁ノイズ遮蔽カバー20にて覆って半導体モジュール10からの発生熱を封じ込めるようにしたので、放熱板30からの放熱効果を高めることができる。なお、電磁ノイズ遮蔽カバー20は断熱性を有するため、熱の封じ込め効果が高く、放熱板30からの放熱効果を十分に高いものとすることができる。これにより、プリント基板40やその周囲部品における熱ストレスを軽減できる。これらの結果、部品寿命の延命を図ることができ、引いてはプリント基板40やこの半導体モジュール10の取付構造が組み込まれる機器の品質向上を図ることができる。
【0021】
また、半導体モジュール10を、ワイドバンドギャップ半導体を備えた構成とし、高温状態及び高速スイッチング動作にて使用する場合は、熱及び電磁ノイズの拡散抑制効果が特に大きく、他の部品への熱ストレスの軽減が可能で、設計制約の緩和に繋がる効果が期待できる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2は、図1に示した実施の形態1に更に放熱促進用の金属プレートを設けたものである。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体モジュール取付構造の断面図である。図4の矢印は、半導体モジュールから発生した熱の流れを示している。図5は、図4の電磁ノイズ遮蔽カバーと金属プレート部分の分解斜視図である。実施の形態2の半導体モジュール取付構造において、金属プレート60以外の構成は図1に示した実施の形態1と同様である。
金属プレート60は、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側に装着される形状となっており、電磁ノイズ遮蔽カバー20の凹部21内に嵌る嵌合部61と嵌合部61の両端から外方に延びるフランジ61aとを有している。金属プレート60の形状はこの形状に限られず、電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側全体に沿う形状としてもよい。嵌合部61には、電磁ノイズ遮蔽カバー20と同様に半導体モジュール10のリードピン12と対応する部分に、リードピン12が挿通するリードピン挿通用の切欠き62が設けられている。また、嵌合部61には電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴23に対応して取付穴63が設けられ、フランジ61aには電磁ノイズ遮蔽カバー20の取付穴24に対応して取付穴64が設けられている。
【0024】
金属プレート60は、電磁ノイズ遮蔽カバー20よりも熱伝導性が高く形成され、材質としては熱伝導性の高い例えば銅を使用する。また、金属プレート60にも電磁ノイズ遮蔽効果を付与することが望ましく、この場合、ニッケル、クロム等のメッキ処理を施せばよい。
【0025】
金属プレート60は電磁ノイズ遮蔽カバー20の内側に装着されて電磁ノイズ遮蔽カバー20と一体に扱われ、実施の形態1と同様にして固定される。この固定状態において金属プレート60の嵌合部61の底部は半導体モジュール10の放熱板30と反対側の面に密着し、フランジ61aが放熱板30に密着した状態となっている。
【0026】
このように構成された半導体モジュール取付構造において、半導体モジュール10から発生した熱は、半導体モジュール10の放熱面10aから直接放熱板30に伝わる他、金属プレート60の嵌合部61にも伝わる。嵌合部61に伝わった熱は、図4の矢印で示すようにフランジ61aへと伝達されて最終的に放熱板30に伝わり、空気中に放熱される。
【0027】
以上説明したように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、金属プレート60を設けて半導体モジュール10において放熱板30と接触していない面側の熱も放熱板30に導くようにしたので、放熱特性を向上させることができる。
【0028】
上記実施の形態1及び実施の形態2における半導体モジュール取付構造は、例えば空気調和装置の制御装置に適用され、送風機等のモータを駆動する3相インバータ回路が形成された半導体モジュール取付構造として用いられる。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体モジュール、10a 放熱面、11 樹脂成形部、12 リードピン、13 取付穴、20 電磁ノイズ遮蔽カバー、21 凹部、21a フランジ、22 リードピン挿通穴、23 取付穴、24 取付穴、30 放熱板、31 ネジ穴、32 ネジ穴、40 プリント基板、41 取付作業用開孔、42 取付作業用開孔、51 ネジ、52 ネジ、60 金属プレート、61 嵌合部、61a フランジ、62 切欠き、63 取付穴、64 取付穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱面に放熱板が密着固定された半導体モジュールを電磁ノイズ遮蔽カバーで覆ったことを特徴とする半導体モジュール取付構造。
【請求項2】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーは、前記半導体モジュールの樹脂成形部を収容する凹部と、前記凹部の底面に形成され、前記半導体モジュールのリードピンを挿通する挿通孔とを有し、
前記挿通孔に前記半導体モジュールのリードピンを挿通して前記樹脂成形部を前記凹部内に収容した状態で前記電磁ノイズ遮蔽カバー、前記半導体モジュール及び前記放熱板が一体的に固定されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項3】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーは断熱性を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項4】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーと前記半導体モジュールとの間に、前記半導体モジュール及び前記放熱板の両方に密着するように前記電磁ノイズ遮蔽カバーよりも熱伝導性が高い金属プレートを配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項5】
前記半導体モジュールはワイドバンドギャップ半導体により形成されたパワー素子を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項6】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、SiC、GaN又はダイヤモンドの何れかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造を備えたことを特徴とする空気調和装置の制御装置。
【請求項1】
放熱面に放熱板が密着固定された半導体モジュールを電磁ノイズ遮蔽カバーで覆ったことを特徴とする半導体モジュール取付構造。
【請求項2】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーは、前記半導体モジュールの樹脂成形部を収容する凹部と、前記凹部の底面に形成され、前記半導体モジュールのリードピンを挿通する挿通孔とを有し、
前記挿通孔に前記半導体モジュールのリードピンを挿通して前記樹脂成形部を前記凹部内に収容した状態で前記電磁ノイズ遮蔽カバー、前記半導体モジュール及び前記放熱板が一体的に固定されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項3】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーは断熱性を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項4】
前記電磁ノイズ遮蔽カバーと前記半導体モジュールとの間に、前記半導体モジュール及び前記放熱板の両方に密着するように前記電磁ノイズ遮蔽カバーよりも熱伝導性が高い金属プレートを配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項5】
前記半導体モジュールはワイドバンドギャップ半導体により形成されたパワー素子を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項6】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、SiC、GaN又はダイヤモンドの何れかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の半導体モジュール取付構造を備えたことを特徴とする空気調和装置の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−8741(P2013−8741A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138690(P2011−138690)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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