説明

半導体レーザ構造

【課題】結晶性の低下や製造工程の煩雑さを生じさせることなく、低抵抗を実現できる半導体レーザ構造を提供すること。
【解決手段】(a)n型クラッド層2、(b)発光層17、及び(c)p型クラッド層6を積層して成るレーザ構造単位15を複数備えるとともに、前記レーザ構造単位15の間に設けられたトンネル接合層7を備え、前記トンネル接合層7は、Znをドーパントとして含むp型導電型層7a、及び6族元素をドーパントとして含むn型導電型層7bから構成されることを特徴とする半導体レーザ構造14。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザを、例えば、レーザレーダ等、パルス大電流によって高出力を発生させる装置に利用する場合、図7に示すように、複数のレーザ構造単位101、103を基板105の成長面に対して垂直方向に積層する構造が有効である。ここで、レーザ構造単位101は、n型クラッド層107、発光層109、及びp型クラッド層111を積層したものであり、レーザ構造単位103は、n型クラッド層113、発光層115、及びp型クラッド層117を積層したものである。
【0003】
上記の構造では、レーザ構造単位101におけるp型クラッド層111と、レーザ構造単位103におけるn型クラッド層113とが隣接するため、駆動時にレーザ構造単位101とレーザ構造単位103との界面において逆バイアスがかかり、高抵抗となる。
【0004】
そこで、図8に示すように、レーザ構造単位101とレーザ構造単位103との界面にトンネル接合層119を設け、低抵抗化を図る技術が開示されている。トンネル接合層119は、p型導電型層121とn型導電型層123とから構成され、各層の厚さは、それぞれ、数十nm程度である。
【0005】
トンネル接合層119による低抵抗化を効果的にするためには、
(1)p型導電型層121及びn型導電型層123に高濃度ドープする
(2)p型導電型層121及びn型導電型層123のドーパントが他の層へ拡散することを抑える
ということが要求される。
【0006】
GaAsやInPを基板とした半導体レーザで用いられるドーパントは、一般的に拡散が大きいため、前記(2)の項目の実現が困難である。前記(2)の項目が実現できないと、高抵抗化し、その結果として、駆動電圧の増大や、発熱による発光効率及び信頼性の低下を招く。そこで、例えば、GaAs系材料で半導体レーザを作製する場合、トンネル接合層におけるp型ドーパントとして、拡散の小さいC(炭素)を用いることが多数報告されている。
【0007】
また、これ以外にも、ドーパントの拡散を抑制する方法として、導電型の異なる基板にそれぞれ半導体レーザ構造を成長させ、それら2枚の基板をボンディングさせるという方法が報告されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−47627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、トンネル接合層におけるp型ドーパントとして、Cを用いると、半導体レーザ構造を構成する層の結晶性が低下してしまう。すなわち、半導体レーザ構造を構成する結晶を、広く用いられる有機金属気相成長法(MOCVD法)で成長させる場合、Cの原料として、CCl4やCBr4等のハロゲン化炭素が使用されるが、このハロゲン化炭素は、分解後にエッチング作用のある材料(ハロゲン化水素)を生じさせるため、結晶性の低下が生じてしまう。また、InP基板を用いた材料系の場合は、そもそも、トンネル接合層にCを高濃度にドープすることができない。さらに、特許文献1の方法では、半導体レーザ構造の製造工程が煩雑になってしまう。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、結晶性の低下や製造工程の煩雑さを生じさせることなく、低抵抗を実現できる半導体レーザ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体レーザ構造14は、図1に示すように、(a)n型クラッド層2、(b)発光層17、及び(c)p型クラッド層6を積層して成るレーザ構造単位15を複数備えるとともに、前記レーザ構造単位15の間に設けられたトンネル接合層7を備える。さらに、本発明の半導体レーザ構造において、前記トンネル接合層7は、Znをドーパントとして含むp型導電型層7a、及び6族元素をドーパントとして含むn型導電型層7bから構成される。
【0012】
本発明の半導体レーザ構造は、トンネル接合層を構成するp型導電型層のドーパントをZnとするとともに、トンネル接合層を構成するn型導電型層におけるドーパントを6族元素とすることにより、p型導電型層及びn型導電型層のドーパントが他の層に拡散することを防止できる。特に、Znは、ドープ効率や活性化率は高いが、従来、拡散しやすいと考えられていたが、本発明の構成をとることにより、Znのn型導電型層への拡散を防止することができる。
【0013】
本発明の半導体レーザ構造は、上記のように、p型導電型層及びn型導電型層のドーパントの拡散を防止できるので、p型導電型層及びn型導電型層が高濃度にドープされた状態を維持することができ、結果として、トンネル接合層による半導体レーザ構造の低抵抗化を実現できる。
【0014】
本発明の半導体レーザ構造は、上記のように、トンネル接合層により抵抗を小さくできるため、駆動電圧の増大及び発熱に伴う発光効率や信頼性の低下等を防止することができる。
【0015】
また、本発明の半導体レーザ構造では、p型ドーパントとしてCを用いる場合のように、分解後にエッチング作用のあるドーパント源を用いる必要がないので、結晶性の低下が生じない。
【0016】
また、本発明の半導体レーザ構造を構成する各層は、例えば、有機金属気相成長法のみを用いて成長させることができる。すなわち、本発明では、トンネル接合層におけるドーパント濃度を高くすることができ、且つ、拡散を抑制するために別の手段(他の結晶成長法やイオン注入等)を組み合わる必要がない。また、特許文献1のような煩雑な製造工程を要しない。
【0017】
前記6族元素としては、例えば、S、Se、Te等が挙げられる。特に、Seは、取り扱いが容易であり、ドープ効率や活性化率を大きくできるため、好ましい。
前記p型導電型層におけるキャリア濃度と、前記n型導電型層におけるキャリア濃度との積は、1×1036cm-6以上であることが好ましい。こうすることにより、トンネル接合層における抵抗を一層低減することができる。なお、ここでいうキャリア濃度とは、ホール測定、またはCV測定で評価した値である。
【0018】
前記n型導電型層におけるドーパント濃度は、2×1017cm-3以上1×1019cm-3未満であることが好ましい。n型導電型層におけるドーパント濃度が2×1017cm-3以上であることにより、p型導電型層のドーパント(Zn)がn型導電型層に拡散することを一層効果的に防止できる。また、n型導電型層におけるドーパント濃度が1×1019cm-3未満であることにより、n型導電型層及びそれよりも上層に成長される層の結晶性の低下を抑制することができる。なお、ここでいうドーパント濃度とは、SIMS(2次イオン質量分析計)分析で測定した値である。
【0019】
本発明の半導体レーザ構造では、前記トンネル接合層を構成する結晶として、インジウムを含むものが挙げられる。インジウムを含む結晶では、p型導電型層のドーパントとして、Cを用いることが困難であり、Znのような、従来は拡散しやすいと考えられてきたドーパントを使用する必要があるが、本発明によれば、Znの拡散を防止することができる。
【0020】
本発明の半導体レーザ構造では、例えば、InPから成る基板を備えることができる。この場合、格子定数の関係から、トンネル接合層は、InGaAs、InGaAsP、AlGaInAs等、Inを含む結晶が好ましい。
【0021】
前記n型導電型層及び前記p型導電型層の膜厚は、それぞれ、20nm以上であることが好ましい。発明者は、SIMS(2次イオン質量分析計)分析により、Zn、6族元素の拡散長が、20nm以下であることを発見した(特に、前記p型導電型層におけるキャリア濃度と、前記n型導電型層におけるキャリア濃度との積が、1×1036cm-6以上の場合)。よって、n型導電型層及びp型導電型層の膜厚を、それぞれ、20nm以上とすることにより、n型導電型層からp型導電型層への6族元素の拡散、及びp型導電型層からn型導電型層へZnの拡散を十分防止できるため、トンネル接合層による低抵抗化が一層効果的となる。
【0022】
本発明の半導体レーザ構造において積層されるレーザ構造単位の数は、2以上の任意の数(例えば、2、3、4、5、6・・・)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の半導体レーザ構造の構成を表す断面図である。
【図2】半導体レーザ構造14の構成を表す断面図である。
【図3】p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるZnの濃度プロファイルを表すグラフである。
【図4】p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるキャリア濃度と、抵抗との相関を表すグラフである。
【図5】n型導電型層7bにおけるSeドープ濃度と表面粗さとの相関を表すグラフである。
【図6】半導体レーザ構造14の構成を表す断面図である。
【図7】トンネル接合層を設けない半導体レーザ構造の構成を表す断面図である。
【図8】トンネル接合層を設けた半導体レーザ構造の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0025】
1.半導体レーザ構造14の製造方法
図2に示すように、n型InPから成る基板1上に、n型クラッド層2、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、p型光ガイド層5、p型クラッド層6、p型導電型層7a、n型導電型層7b、n型クラッド層8、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、p型光ガイド層11、p型クラッド層12、及びp型コンタクト層13を順に積層して、半導体レーザ構造14を製造した。各層の成長(結晶成長)には、公知のMOCVD法を用いた。また、成長時の基板温度は550〜800℃とした。
【0026】
各層の組成、膜厚、キャリア濃度、ドーパントの種類は表1に示すとおりとした。
【0027】
【表1】

【0028】
ここで、n型クラッド層2、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、p型光ガイド層5、及びp型クラッド層6は、レーザ構造単位15を構成する。また、n型クラッド層8、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、p型光ガイド層11、及びp型クラッド層12は、レーザ構造単位16を構成する。また、p型導電型層7a及びn型導電型層7bは、トンネル接合層7を構成する。また、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、及びp型光ガイド層5は、発光層17を構成する。また、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、及びp型光ガイド層11は、発光層18を構成する。半導体レーザ構造14は、2つのレーザ構造単位を、基板に直交する方向に積層した、スタック型半導体レーザ構造である。
【0029】
半導体レーザ構造14は、次のようにして、半導体レーザ素子とすることができる。まず、p型コンタクト層13上に、SiO2から成る酸化膜を所定のパターンで形成し、その上にCr/Pt/Auから成る電極を形成した。さらに、厚さが120μm程度となるように、基板1の裏面を研削し、研削面にAu−Ge/Ni/Auから成る電極を形成した。また、電極と半導体レーザ構造14とのコンタクトを安定化させるために360℃で1分間の熱処理を実施した。
【0030】
次に、共振器を形成するために壁開により幅500μmで短冊化し、Al23、a-Si等の材料を用い、一方の端面にレーザ光の波長に対して低反射率、もう一方に高反射率な反射層を形成し、所定の大きさに素子化することで半導体レーザ素子を完成した。
【0031】
なお、上記では、n型InPから成る基板1上にInP、AlGaInAs、InGaAsを成長層とする構成であるが、これらに限るものではなく、基板にn型GaAsを用いたり、また成長層をGaAs、AlGaAs、InGaP、InGaAsP、AlGaInPとしてもよい。また、本実施例では、レーザ構造単位を2層としているが、3層以上としてもよい(その場合は、レーザ構造単位16とp型コンタクト層13との間に、トンネル接合層7及びレーザ構造単位16と同様の層を必要な数だけ挿入すればよい。
【0032】
なお、結晶を構成する各元素の原料としては、例えばGaに対しては、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等が挙げられ、Alに対しては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等が挙げられ、Inに対しては、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム等が挙げられ、Znに対しては、ジメチルジンク、ジエチルジンク等が挙げられる。また、Asの原料としては、例えば、AsH3(アルシン)等が挙げられ、Pの原料としては、例えば、PH3(ホスフィン)等が挙げられ、Seの原料としては、例えば、H2Se(セレン化水素)等が挙げられる。
【0033】
2.半導体レーザ構造14が奏する効果
(1)p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるZn(p型導電型層7aのドーパント)の深さ方向での濃度プロファイルを、SIMSにより測定した。また、比較例として、基本的には、上述した半導体レーザ構造14と同様であるが、n型導電型層7bにおけるドーパントの種類を、Seではなく、Siとした場合についても、p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるZnの深さ方向での濃度プロファイルを測定した。なお、比較例におけるSiのドープ濃度は5×1017cm-3とした。測定結果を図3に示す。
【0034】
図3に示すように、本実施例の場合(n型導電型層7bはSeドープの場合)は、Znのn型導電型層7bへの拡散が顕著に抑えられていた。それに対し、比較例の場合(n型導電型層7bはSiドープの場合)は、Znのn型導電型層7bへの拡散が著しかった。
このことから、本実施例の半導体レーザ構造14は、p型導電型層7aのドーパントが他の層へ拡散することを防止し、結果として、低抵抗化を実現できることが確認できた。
【0035】
(2)基本的には、上述した半導体レーザ構造14と同様であるが、p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるキャリア濃度を種々に変化させて、半導体レーザ構造を製造した。p型導電型層7a及びn型導電型層7bにおけるキャリア濃度の組み合わせは、図4において、○又は×で表示されるものである。そして、それぞれの半導体レーザ構造について、抵抗を測定した。抵抗が、図4におけるAと同等のものを、○で表示し、抵抗がAの10倍以上であるものを×で表示した。図4から明らかなとおり、p型導電型層7aにおけるキャリア濃度と、n型導電型層7bにおけるキャリア濃度との積が、1×1036cm-6以上であれば、半導体レーザ構造の抵抗が一層低かった。
【0036】
(3)基本的には、上述した半導体レーザ構造14と同様であるが、n型導電型層7bにおけるSeドープ濃度を、図5に示すように、種々に変化させ、半導体レーザ構造を製造した。そして、n型導電型層7bまで成長した段階において、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて表面粗さを測定した。その結果を図5に示す。図5から明らかなとおり、n型導電型層7bにおけるSeドーパント濃度が1×1019cm-3未満であれば、表面粗さが特に小さかった。一般に、結晶性が良好であるほど、表面粗さは小さくなる。よって、図5に示す結果は、n型導電型層7bにおけるSeドーパント濃度が1×1019cm-3未満であれば、n型導電型層7b及びその上層に成長する層の結晶性が特に良好であることを示している。
【実施例2】
【0037】
1.半導体レーザ構造14の製造方法
図6に示すように、n型GaAsから成る基板1上に、n型クラッド層2、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、p型光ガイド層5、p型クラッド層6、p型導電型層7a、n型導電型層7b、n型クラッド層8、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、p型光ガイド層11、p型クラッド層12、及びp型コンタクト層13を順に積層して、半導体レーザ構造14を製造した。各層の成長(結晶成長)には、公知のMOCVD法を用いた。また、成長時の基板温度は550〜800℃とした。
【0038】
各層の組成、膜厚、キャリア濃度、ドーパントの種類は表2に示すとおりとした。
【0039】
【表2】

【0040】
ここで、n型クラッド層2、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、p型光ガイド層5、及びp型クラッド層6は、レーザ構造単位15を構成する。また、n型クラッド層8、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、p型光ガイド層11、及びp型クラッド層12は、レーザ構造単位16を構成する。また、p型導電型層7a及びn型導電型層7bは、トンネル接合層7を構成する。また、n型光ガイド層3、多重量子井戸活性層4、及びp型光ガイド層5は、発光層17を構成する。また、n型光ガイド層9、多重量子井戸活性層10、及びp型光ガイド層11は、発光層18を構成する。半導体レーザ構造14は、2つのレーザ構造単位を、基板に直交する方向に積層した、スタック型半導体レーザ構造である。
【0041】
半導体レーザ構造14は、次のようにして、半導体レーザ素子とすることができる。まず、p型コンタクト層13上に、SiO2から成る酸化膜を所定のパターンで形成し、その上にCr/Pt/Auから成る電極を形成した。さらに、厚さが120μm程度となるように、基板1の裏面を研削し、研削面にAu−Ge/Ni/Auから成る電極を形成した。また、電極と半導体レーザ構造14とのコンタクトを安定化させるために360℃で2分間の熱処理を実施した。
【0042】
次に、共振器を形成するために壁開により幅500μmで短冊化し、Al23、a-Si等の材料を用い、一方の端面にレーザ光の波長に対して低反射率、もう一方に高反射率な反射層を形成し、所定の大きさに素子化することで半導体レーザ素子を完成した。
【0043】
なお、上記では、n型GaAsから成る基板1上にGaAs、AlGaAsを成長層とする構成であるが、これらに限るものではなく、基板にInPを用いたり、また成長層をInP、InGaAs、InGaP、InGaAsP、AlGaInAs、AlGaInPとしてもよい。また、本実施例では、レーザ構造単位を2層としているが、3層以上としてもよい(その場合は、レーザ構造単位16とp型コンタクト層13との間に、トンネル接合層7及びレーザ構造単位16と同様の層を必要な数だけ挿入すればよい。
【0044】
なお、結晶を構成する各元素の原料としては、例えばGaに対しては、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等が挙げられ、Alに対しては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等が挙げられ、Znに対しては、ジメチルジンク、ジエチルジンク等が挙げられる。また、Asの原料としては、例えば、AsH3(アルシン)等が挙げられ、Seの原料としては、例えば、H2Se(セレン化水素)等が挙げられる。
【0045】
2.半導体レーザ素子が奏する効果
本実施例の半導体レーザ素子も、前記実施例1と略同様の効果を奏する。
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1・・・基板、2、8・・・n型クラッド層、3、9・・・n型光ガイド層、
4、10・・・多重量子井戸活性層、5、11・・・p型光ガイド層、
6、12・・・p型クラッド層、7・・・トンネル接合層、7a・・・p型導電型層、
7b・・・n型導電型層、13・・・p型コンタクト層、14・・・半導体レーザ構造、
15、16・・・レーザ構造単位、17、18・・・発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)n型クラッド層、(b)発光層、及び(c)p型クラッド層を積層して成るレーザ構造単位を複数備えるとともに、
前記レーザ構造単位の間に設けられたトンネル接合層を備え、
前記トンネル接合層は、Znをドーパントとして含むp型導電型層、及び6族元素をドーパントとして含むn型導電型層から構成されることを特徴とする半導体レーザ構造。
【請求項2】
前記6族元素がSeであることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ構造。
【請求項3】
前記p型導電型層におけるキャリア濃度と、前記n型導電型層におけるキャリア濃度との積が、1×1036cm-6以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ構造。
【請求項4】
前記n型導電型層におけるドーパント濃度が、2×1017cm-3以上1×1019cm-3未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ構造。
【請求項5】
前記トンネル接合層を構成する結晶にインジウムを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体レーザ構造。
【請求項6】
InPから成る基板を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体レーザ構造。
【請求項7】
前記n型導電型層及び前記p型導電型層の膜厚が、それぞれ、20nm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体レーザ構造。
【請求項8】
前記半導体レーザ構造を構成する各層は、有機金属気相成長法を用いて成長した層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体レーザ構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−225657(P2010−225657A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68510(P2009−68510)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】