説明

半導体回路および半導体装置

【課題】本発明では、上記のような問題を解消し、dV/dtによる誤動作を防止しつつも、外部要因に左右されることのない汎用的な誤動作防止機能を有する半導体回路および半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる半導体回路は、ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電するコンデンサ40と、OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電するコンデンサ41と、ON駆動信号に応答して第1トリガー信号を発生させる信号発生回路20と、OFF駆動信号に応答して第2トリガー信号を発生させる信号発生回路21と、第2トリガー信号に応答して、ON駆動電荷を放電する放電回路30と、第1トリガー信号に応答して、OFF駆動電荷を放電する放電回路31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体回路および半導体装置に関し、特に、電力半導体スイッチング素子を駆動する半導体回路および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力半導体スイッチング素子を駆動する半導体回路に備えられたレベルシフト回路は、例えば、自励dV/dt(P側の半導体スイッチングデバイスがターンオフした際に生ずる浮動電位VMの急激な電位変化)による誤動作防止と、他励dV/dt(他のアームのON/OFF動作によって生ずる浮動電位VMの急激な電位変化)による誤動作防止とを実現するものがある(特許文献1[0014]、および[課題を解決するための手段]を参照)。ここでのdV/dtは、後述する半導体スイッチングデバイスのON/OFF動作に伴って発生する、基準電位の急激な変動であり、誤動作の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−172366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この半導体回路においては、自励dV/dtが、ON側のワンショット信号が高圧Tr(トランジスタ。以下Trと記す)に入力されている期間内に発生することが期待されている。
【0005】
しかしながら、半導体回路が軽負荷駆動されているときや、P側の半導体スイッチングデバイスの応答遅れ、レベルシフト回路の伝達遅延等により、ON側のワンショット信号が終了してから初めてdV/dtが発生する場合がある。
【0006】
このとき、他方の系における抵抗値を下げる回路構造は無効化されており、さらに、OFF側の抵抗値の方がON側の抵抗値より大きいので、dV/dtが印加されるとOFF側パルスを伝達する系の方が先にSR−FF(Set−Reset Flip Flop)に伝達され、P側の半導体スイッチングデバイスがOFFされてしまう、という問題があった。
【0007】
上記問題が起こらないようにするには、ワンショット信号の幅をP側の半導体スイッチングデバイスがONしてdV/dtが印加されるまでの期間よりも十分長い期間まで伸ばす必要がある。
【0008】
しかしながら、ワンショット信号の幅を伸ばすと、高圧TrがONしている期間が長くなり、高圧Trで消費する電力が増大する、という問題があった。
【0009】
さらに、P側の半導体スイッチングデバイスがONして、dV/dtが印加されるまでの期間は、P側の半導体スイッチングデバイスの種類(電流容量)、インバータ回路などの負荷状況といった外部要因によって異なるため、ワンショット信号の幅を決める設計自由度が低下する、という問題があった。
【0010】
本発明では、上記のような問題を解消し、dV/dtによる誤動作を防止しつつも、外部要因に左右されることのない汎用的な誤動作防止機能を有する半導体回路および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる半導体回路は、ON駆動信号またはOFF駆動信号を出力する出力回路と、前記ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電する第1コンデンサと、前記OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電する第2コンデンサと、前記ON駆動信号に応答して第1トリガー信号を発生させる第1信号発生回路と、前記OFF駆動信号に応答して第2トリガー信号を発生させる第2信号発生回路と、前記第2トリガー信号に応答して、前記ON駆動電荷を放電するON駆動電荷放電回路と、前記第1トリガー信号に応答して、前記OFF駆動電荷を放電するOFF駆動電荷放電回路とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる半導体回路によれば、前記ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電する第1コンデンサと、前記OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電する第2コンデンサと、前記ON駆動信号に応答して第1トリガー信号を発生させる第1信号発生回路と、前記OFF駆動信号に応答して第2トリガー信号を発生させる第2信号発生回路と、前記第2トリガー信号に応答して、前記ON駆動電荷を放電するON駆動電荷放電回路と、前記第1トリガー信号に応答して、前記OFF駆動電荷を放電するOFF駆動電荷放電回路とを備えることにより、ワンショット信号が入力されている期間を超えて、dV/dtが印加された場合であっても、外部要因に左右されることなく、デバイスの誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる半導体回路の回路図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体回路の動作シーケンスを示した図である。
【図3】実施の形態2にかかる半導体回路の回路図である。
【図4】実施の形態2にかかる半導体回路の回路図である。
【図5】実施の形態3にかかる半導体回路の回路図である。
【図6】実施の形態3にかかる半導体回路の回路図である。
【図7】実施の形態3にかかる半導体回路の回路図である。
【図8】実施の形態4にかかる半導体回路の、半導体スイッチングデバイスの構成を示す図である。
【図9】実施の形態5にかかる半導体回路の回路図である。
【図10】前提技術にかかる半導体回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<A.実施の形態1>
図10は、特許文献1に記載された、本発明の前提技術である半導体回路(レベルシフト回路)を示す回路図である。
【0015】
このレベルシフト回路は、ON側/OFF側各々のワンショット信号で、高圧Tr109a、高圧Tr109bを駆動し、生じたドレイン電流と抵抗値とによって、電圧信号を発生させる回路である。
【0016】
また、ON側信号を伝達する系と、OFF側信号を伝達する系との間に、各々信号が伝達される瞬間に他方の系における抵抗値を下げる回路構造を介在させるとともに、dV/dtに起因して発生する抵抗Ra、抵抗Rbにおける電圧降下が、OFF側信号を伝達する系の方が大きくなるように設定されている。
【0017】
発生させた電圧信号が、次段のインバータ105のしきい値に達すると、SR−FF104のS信号、R信号を入力し、その出力によってP側の半導体スイッチングデバイスQT1、およびN側の半導体スイッチングデバイスQB1を駆動する構成となっている。
【0018】
また、P側の半導体スイッチングデバイスQT1、N側の半導体スイッチングデバイスQB1はトーテムポール接続(直列接続)されており、P側の半導体スイッチングデバイスQT1、N側の半導体スイッチングデバイスQB1それぞれを駆動する駆動回路を有している。
【0019】
上記構成により、前述したように、自励dV/dt(P側の半導体スイッチングデバイスQT1がターンオフした際に生ずる浮動電位VMの急激な電位変化)による誤動作防止と、他励dV/dt(他のアームのON/OFF動作によって生ずる浮動電位VMの急激な電位変化)による誤動作防止とを実現するものである。
【0020】
この半導体回路においては、先に述べた通り、自励dV/dtが、ON側のワンショット信号が高圧Tr109aに入力されている期間内に発生することが期待されている。
【0021】
しかしながら、半導体回路が軽負荷駆動されているときや、P側の半導体スイッチングデバイスQT1の応答遅れ、レベルシフト回路の伝達遅延等により、ON側のワンショット信号が終了してから初めてdV/dtが発生する場合がある。
【0022】
このとき、他方の系における抵抗値を下げる回路構造は無効化されており、さらに、OFF側の抵抗値の方がON側の抵抗値より大きいので、dV/dtが印加されるとOFF側パルスを伝達する系の方が先にSR−FF104に伝達され、P側の半導体スイッチングデバイスQT1がOFFされてしまう、という問題があった。
【0023】
上記問題が起こらないようにするには、ワンショット信号の幅をP側の半導体スイッチングデバイスQT1がONしてdV/dtが印加されるまでの期間よりも十分長い期間まで伸ばす必要がある。
【0024】
しかしながら、ワンショット信号の幅を伸ばすと、高圧Tr109a、高圧Tr109bがONしている期間が長くなり、高圧Tr109a、高圧Tr109bで消費する電力が増大する、という問題があった。
【0025】
さらに、P側の半導体スイッチングデバイスQT1がONして、dV/dtが印加されるまでの期間(後述の図3に示すT2の期間)は、P側の半導体スイッチングデバイスの種類(電流容量)、インバータ回路などの負荷状況といった外部要因によって異なるため、ワンショット信号の幅を決める設計自由度が低下する、という問題があった。
【0026】
以下に示す実施の形態では、上記の問題を解決しうる半導体回路について説明する。
【0027】
<A−1.構成>
図1に本発明にかかる半導体回路の基本構成を示す。本回路の構成は、レベルシフト回路を有するインバータ駆動回路にて問題であった、基準電位であるVS変動時の誤動作を防止するレベルシフト回路を有しており、P側の駆動回路、N側の駆動回路にて、P側の半導体スイッチングデバイス7、N側の半導体スイッチングデバイス8それぞれを駆動する構成となっている。
【0028】
具体的な構成としては、図1に示すように、ON駆動信号およびOFF駆動信号としてのワンショット信号を出力する出力回路としてのワンショット回路1と、ワンショット回路1から出力されるワンショット信号のうち、ON側のワンショット信号(ON駆動信号)が入力される高圧Tr3と、ワンショット回路1から出力されるワンショット信号のうち、OFF側のワンショット信号(OFF駆動信号)が入力される高圧Tr4と、高圧Tr3からのドレイン電流が流れ込むカレントミラー回路10と、高圧Tr4からのドレイン電流が流れ込むカレントミラー回路11と、ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電する、第1コンデンサとしてのコンデンサ40と、OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電する、第2コンデンサとしてのコンデンサ41と、カレントミラー回路10から出力される電流に応答して第1トリガー信号を出力する、第1信号発生回路としての信号発生回路20と、カレントミラー回路11から出力される電流に応答して第2トリガー信号を出力する、第2信号発生回路としての信号発生回路21と、第2トリガー信号に応答して、コンデンサ40におけるON駆動電荷を放電する、ON駆動電荷放電回路としての放電回路30と、第1トリガー信号に応答して、コンデンサ41におけるOFF駆動電荷を放電する、OFF駆動電荷放電回路としての放電回路31と、充電されたON駆動電荷、OFF駆動電荷に対応する電圧信号が入力されるSR−FF6と、SR−FF6の出力に応答してスイッチング動作を行う、ハイサイド側半導体スイッチングデバイスとしてのP側の半導体スイッチングデバイス7とを備える回路である。
【0029】
またN側の駆動回路は、GNDを基準電位とする電源5を電源として動作し、N側の駆動回路は、LINからの入力信号のフィルタ処理等を行う信号処理回路2を備えている。また、P側の駆動回路は、P側半導体スイッチングデバイスとN側スイッチングデバイスの接続点(VS)を基準電位とするフローティング電源56を電源として動作する。
【0030】
カレントミラー回路10、カレントミラー回路11に伝達された電流信号は一定の比で減衰され、ハイサイドロジックへ出力される。電流を減衰させることで、誤信号を防止できる。
【0031】
コンデンサ40、コンデンサ41において充電された電荷は、信号発生回路21、信号発生回路20において生じる第2トリガー信号、第1トリガー信号に決定されるタイミングで放電される。
【0032】
<A−2−1.VS変動が無い場合の動作>
図2に、本発明にかかる半導体回路の動作シーケンスを示す。動作説明の為、仮想的にVS電位が変動しない場合の動作波形を同図の一点鎖線で示した。
【0033】
HINから入力される入力信号によって、ON側/OFF側のワンショット信号(パルス信号)を発生させる。HINへの入力信号(パルス信号)の、立ち上がりがON側のワンショット信号(ON駆動信号)に対応し、立ち下がりがOFF側のワンショット信号(OFF駆動信号)に対応する。
【0034】
ワンショット信号によって、高圧Tr3、高圧Tr4を駆動し、ドレイン電流を発生させる。
【0035】
発生したそれぞれのドレイン電流は、カレントミラー回路10、カレントミラー回路11において一定の比で減衰され、ハイサイドロジックへ出力される。
【0036】
伝達された電流は、コンデンサ40、コンデンサ41それぞれにおいてON駆動電荷、OFF駆動電荷として充電され、電圧信号に変換される(X1、Y2参照)。
【0037】
この時、コンデンサ40、コンデンサ41それぞれにおけるフィルタ時間は、減衰した電流I、容量値C、次段バッファしきい値Vとすると、t=CV/Iで決定される。
【0038】
コンデンサ40、コンデンサ41において充電されたON駆動電荷、OFF駆動電荷は、信号発生回路21、信号発生回路20において発生させた第2トリガー信号、第1トリガー信号によって放電されるが、ON側のコンデンサ40に充電されたON駆動電荷を放電するタイミングはOFF側の信号発生回路21の第2トリガー信号にて、OFF側のコンデンサ41に充電されたOFF駆動電荷を放電するタイミングは、ON側の信号発生回路20の第1トリガー信号にてそれぞれ決定される(X2、Y1参照)。
【0039】
よって、ワンショット信号から、高圧Tr3、高圧Tr4を介し、カレントミラー回路10、カレントミラー回路11を介して伝達された電流信号が、コンデンサ40、コンデンサ41、及び、信号発生回路20、信号発生回路21によって、一定のパルス幅をもつS(セット)信号とR(リセット)信号に変換される。
【0040】
S信号、R信号は、さらにSR−FF6に入力され、P側の半導体スイッチングデバイス7を動作させる。
【0041】
<A−2−2.変動時の動作>
次に、本発明にかかる半導体回路が、VS変動時に発生する変位電流(ドレイン電流)に対して行う動作について説明する。
【0042】
VS変動のdV/dtが印加されると、その印加期間中、ON側の信号発生回路20、OFF側の信号発生回路21の両方が同時に信号を発する(図2参照)。
【0043】
OFF側の信号発生回路21が信号を発することによって、dV/dt印加中にはON側のコンデンサ40に充電されたON駆動電荷は放電され続けるので、ラッチのS信号、R信号は共にLOWを維持し、つまりdV/dt印加前の出力状態を保持し続けることになる。
【0044】
このとき、OFF側のコンデンサ41に充電するカレントミラー回路11も動作するが、コンデンサ41でフィルタを構成するので(図2中のT1の期間に対応)、次段バッファしきい値Vに達しSR−FF6にR信号が伝達するよりも、信号発生回路20からの第1トリガー信号によりOFF駆動電荷が放電されるタイミングの方が先である。よって、dV/dt印加によりOFF側のR信号がSR−FF6まで伝達されることはなく、誤動作を抑制することができる。
【0045】
<A−2−3.数値例>
通常時における高圧Tr3、高圧Tr4から出力されるドレイン電流を10mA、dV/dt起因の電流を2mA、C=2pF、V=10V、ミラー比=20:1とした場合、
通常時のフィルタ能力:t=CV/I=2p×10/500μA=40ns
となる。これは通常時の信号伝達遅延には影響ないレベルである。
【0046】
一方、dV/dt印加によるVS変動時では、
変動時のフィルタ能力:t=CV/I=2p×10/100μA=200ns
となり、SR−FF6にR信号が伝達するよりも200ns早く、例えば信号発生回路20からの第1トリガー信号によりコンデンサ41におけるOFF駆動電荷を放電し始めることができる。
【0047】
また、2つの高圧Tr3、高圧Tr4の寄生容量、ON側/OFF側のレベルシフト抵抗、ON側/OFF側のバッファしきい値、ON側/OFF側のカレントミラー比の相対バラツキなどによって、dV/dtが印加された際のON側の信号発生回路20、OFF側の信号発生回路21に信号が発生するタイミングにズレが生じた場合であっても、コンデンサ40、コンデンサ41で構成されるフィルタ効果によって、SR−FF6までS信号、R信号が伝達するには時間的余裕があるので、一定範囲のタイミングズレは許容できる。具体的には、ON側の信号発生回路20、OFF側の信号発生回路21にともに発生する信号のズレが上記の200nsまでであれば許容できる。
【0048】
カレントミラー回路10、カレントミラー回路11におけるミラー比を変更することで、フィルタ時間を所望の値に調整するとともに、小容量で比較的長いフィルタ時間を作ることができる。
【0049】
通常時のドレイン電流を、VS変動時に予測される変位電流より十分大きくすることで、通常時における伝達遅延時間への影響を極力小さくするとともに、dV/dt印加時のフィルタの効果、具体的には、SR−FF6へのS信号、R信号の伝達より先に、ON駆動電荷、OFF駆動電荷の放電を開始する効果、また、ON側/OFF側の伝達系の相対バラツキを許容する効果、を高めることができる。
【0050】
<A−3.効果>
本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体回路において、ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電する第1コンデンサとしてのコンデンサ40と、OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電する第2コンデンサとしてのコンデンサ41と、ON駆動信号に応答して第1トリガー信号を発生させる第1信号発生回路としての信号発生回路20と、OFF駆動信号に応答して第2トリガー信号を発生させる第2信号発生回路としての信号発生回路21と、第2トリガー信号に応答して、ON駆動電荷を放電するON駆動電荷放電回路としての放電回路30と、第1トリガー信号に応答して、OFF駆動電荷を放電するOFF駆動電荷放電回路としての放電回路31とを備えることで、ワンショット信号が高圧Tr3、高圧Tr4に入力されている期間を超えて、dV/dtが印加された場合であっても、外部要因に左右されることなく、P側の半導体スイッチングデバイス7の誤動作を防止することができる。
【0051】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体回路において、第1コンデンサとしてのコンデンサ40および第2コンデンサとしてのコンデンサ41は、電流値I、容量値C、次段バッファしきい値Vとすると、期間t=CV/Iで、ON駆動電荷またはOFF駆動電荷を充電することで、コンデンサ40、コンデンサ41においてフィルタを構成し、S信号、R信号がSR−FF6に伝達されるよりも早いタイミングで、信号発生回路21、信号発生回路20からの第1トリガー信号、第2トリガー信号によりON駆動電荷、OFF駆動電荷を放電でき、P側の半導体スイッチングデバイス7の誤動作を防止することができる。
【0052】
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
図3に、実施の形態1における信号発生回路20、信号発生回路21に代わり、第1信号発生回路、第2信号発生回路としての信号発生抵抗22、信号発生抵抗23を備え、さらに、放電回路30、放電回路31に代わり、ON駆動電荷放電回路、OFF駆動電荷放電回路としての放電用NMOS32(N−Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、放電用NMOS33を備えた半導体回路の基本構成を示す。
【0053】
本回路の構成は、信号発生抵抗22、信号発生抵抗23を用いて信号発生を行うため、カレントミラー回路10、カレントミラー回路11から伝達された電流と、信号発生抵抗22、信号発生抵抗23における抵抗値とによって、簡易的なパルス信号を発生させる事が可能である。
【0054】
また、放電素子にNMOSFETを用いることにより、放電のタイミングを簡易に設定でき、回路も簡素化できる。
【0055】
図4に、実施の形態1における信号発生回路20、信号発生回路21に代わり、第1信号発生回路、第2信号発生回路としてのツェナーDi24(ダイオード)、ツェナーDi25を備え、さらに、放電回路30、放電回路31に代わり、放電用NMOS32、放電用NMOS33を備えた半導体回路の基本構成を示す。
【0056】
本回路の構成は、ツェナーDi24、ツェナーDi25を用いて信号発生を行うため、カレントミラー回路10、カレントミラー回路11から伝達された電流によって一定の電圧信号を発生させる事ができる。また、回路を簡素化できる。
【0057】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
図5に、実施の形態2(図3)におけるP側の半導体スイッチングデバイス7、N側の半導体スイッチングデバイス8に代わり、SiC還流Diを備えたP側の半導体スイッチングデバイス50、N側の半導体スイッチングデバイス51を備えた半導体回路の基本構成を示す。
【0058】
このような構成とすることで、高耐熱・高放熱性により、半導体モジュールの小型化が可能となる。
【0059】
また図6に、実施の形態2(図3)におけるP側の半導体スイッチングデバイス7、N側の半導体スイッチングデバイス8に代わり、SiCMOSFETを備えたP側の半導体スイッチングデバイス52、N側の半導体スイッチングデバイス53を備えた半導体回路の基本構成を示す。
【0060】
このような構成とすることで、SiCMOSFETにより低損失が実現でき、高効率化による小型化が可能となる。
【0061】
さらに図7に、実施の形態2(図3)におけるP側の半導体スイッチングデバイス7、N側の半導体スイッチングデバイス8に代わり、SiC還流Di、SiCMOSFETをともに備えたP側の半導体スイッチングデバイス54、N側の半導体スイッチングデバイス55を備えた半導体回路の基本構成を示す。
【0062】
このような構成とすることで、高耐熱・高放熱性により、半導体モジュールの小型化が可能となる。また、SiCMOSFETにより低損失が実現でき、高効率化による小型化が可能となる。
【0063】
<D.実施の形態4>
<D−1.構成>
図8に、複数相の半導体スイッチングデバイスを駆動する構成を示す。図に示すようにこの半導体スイッチングデバイスは複数の相を有しており、P側の半導体スイッチングデバイス7u、P側の半導体スイッチングデバイス7v、P側の半導体スイッチングデバイス7wと、N側の半導体スイッチングデバイス8u、N側の半導体スイッチングデバイス8v、N側の半導体スイッチングデバイス8wとを備える。
【0064】
このように構成することで、IPM(Intelligent Power Module)などでの基板配線の簡素化・小型化が可能となる。
【0065】
<E.実施の形態5>
<E−1.構成>
図9に、実施の形態1(図1)に示す構成に加えて、D−FF9(Delay−type Flip Flop)を有する半導体回路を示す。
【0066】
本回路の構成は、ON側/OFF側の信号発生回路20、信号発生回路21のNORを取った信号の立ち上がりタイミングでP側の半導体スイッチングデバイス7、N側の半導体スイッチングデバイス8を動作させる。すなわち、D−FF9のclockタイミングを、ワンショット信号の立ち下がりタイミングに合わせる。
【0067】
VS変動が生じるタイミングとワンショット信号のタイミングとをずらすことで、高圧Tr3、高圧Tr4が確実に双方OFFしているタイミングで、dV/dtが印加されるようにする。
【0068】
これにより、dV/dt印加時、ON側/OFF側の高圧Tr3、高圧Tr4に流れるそれぞれの変位電流値を同一にできるので、dV/dtによるON、OFF同時発生信号のタイミングずれを防止し、確実に誤動作を防止する効果を持つ。
【0069】
本発明の実施の形態では、各構成要素の材質、材料、実施の条件等についても記載しているが、これらは例示であって記載したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 ワンショット回路、2 信号処理回路、3,4,109a,109b 高圧Tr、5 電源、6,104 SR−FF、7,7u〜7w,8,8u〜8w,50〜55,QT1,QB1 半導体スイッチングデバイス、9 D−FF、10,11 カレントミラー回路、20,21 信号発生回路、22,23 信号発生抵抗、24,25 ツェナーDi、30,31 放電回路、32,33 放電用NMOS、40,41 コンデンサ、56 フローティング電源、Ra,Rb 抵抗、105 インバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ON駆動信号またはOFF駆動信号を出力する出力回路と、
前記ON駆動信号に応答してON駆動電荷を充電する第1コンデンサと、
前記OFF駆動信号に応答してOFF駆動電荷を充電する第2コンデンサと、
前記ON駆動信号に応答して第1トリガー信号を発生させる第1信号発生回路と、
前記OFF駆動信号に応答して第2トリガー信号を発生させる第2信号発生回路と、
前記第2トリガー信号に応答して、前記ON駆動電荷を放電するON駆動電荷放電回路と、
前記第1トリガー信号に応答して、前記OFF駆動電荷を放電するOFF駆動電荷放電回路とを備える、
半導体回路。
【請求項2】
前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサは、電流値I、容量値C、次段バッファしきい値Vとすると、期間t=CV/Iで、前記ON駆動電荷または前記OFF駆動電荷を充電する、
請求項1に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記第1信号発生回路および第2信号発生回路は、信号発生抵抗である、
請求項1または2に記載の半導体回路。
【請求項4】
前記第1信号発生回路および第2信号発生回路は、ツェナーDiである、
請求項1または2に記載の半導体回路。
【請求項5】
前記ON駆動電荷放電回路およびOFF駆動電荷放電回路は、NMOSFETである、
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項6】
充電された前記ON駆動電荷および前記OFF駆動電荷に応答して動作する、SR−FFと、
前記SR−FFの出力と、前記第1トリガー信号および前記第2トリガー信号のNOR出力とが入力されるD−FFとをさらに備える、
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体回路と、
該半導体回路における充電された前記ON駆動電荷および前記OFF駆動電荷に応答して動作するハイサイド側半導体スイッチングデバイスとを備える、
半導体装置。
【請求項8】
前記ハイサイド側半導体スイッチングデバイスは、ワイドバンドギャップ半導体還流Diを備える、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ハイサイド側半導体スイッチングデバイスは、ワイドバンドギャップ半導体MOSFETを備える、
請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ハイサイド側半導体スイッチングデバイスは、複数の相を備える、
請求項7〜9のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−130209(P2012−130209A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281548(P2010−281548)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】