説明

半導体発光素子及びその製造方法

【課題】本発明は、光抽出効率が向上した半導体発光素子及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、第1の導電型半導体層と、当該第1の導電型半導体層の一面上に形成される活性層と、当該活性層の上に形成され複数のホールを含む第2の導電型半導体層と、当該第2の導電型半導体層の上に形成される透明電極と、を含む半導体発光素子;成長用基板上に第2の導電型半導体層、活性層及び第1の導電型半導体層を形成する段階と、当該第1の導電型半導体層の上に導電性基板を形成する段階と、上記成長用基板を上記第2の導電型半導体層から分離し当該第2の導電型半導体層に複数のホールを形成する段階と、上記第2の導電型半導体層の上に透明電極を形成する段階と、を含む半導体発光素子の製造方法;を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関し、特に、垂直構造の半導体発光素子において光抽出効率が改善された半導体発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子の一種である発光ダイオード(LED)は、電流が加わると、p型及びn型半導体の接合部分において電子と正孔との再結合によって色々な色の光を生じることができる半導体装置である。このような半導体発光素子は、フィラメントに基づく発光素子に比べて長い寿命、低い電源、優れた初期駆動特性、高い振動抵抗等の様々な長所を有するため、需要が増加し続けている。特に、近年では、青色系列の短波長領域の光を発光できるIII族窒化物半導体が脚光を浴びている。
【0003】
このようなIII族窒化物半導体を用いる発光素子を構成する窒化物単結晶は、サファイア基板又はSiC基板等の特定の成長用基板の上に形成される。しかしながら、サファイア基板等の絶縁性基板を用いる場合は、電極の配列に大きな制約を受けることになる。即ち、従来の窒化物半導体発光素子では、電極が水平方向に配列されることが一般的であるため、電流の流れが狭小になる。このような狭小な電流の流れによって、発光素子の動作電圧(Vf)が増加して電流の効率が低下すると共に静電気放電(Electrostatic discharge)に脆弱になる問題がある。
【0004】
上記のような問題を解決するために、垂直電極構造を有する半導体発光素子が研究されている。具体的には、サファイア成長用基板上に、有機金属気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)装置又は分子ビーム成長(Molecular Beam Epitaxy:MBE)装備を用いて発光ダイオード素子用発光構造体を形成させ、当該発光ダイオード素子用発光構造体の最上層部に存在する上部窒化物系半導体層の上部に第1の導電型オーミック接触電極構造体を形成させ、上記サファイア成長用基板と別途の導電性基板とをソルダリングウエハ結合(wafer solder bonding)によって結合させた後、上記サファイア成長用基板を除去することにより半導体構造の発光ダイオードを製造する。
【0005】
一般に、垂直電極構造の半導体発光素子は、n型半導体層、活性層及びp型半導体層からなる発光構造物の上面及び下面に相違する極性の電極を形成した構造で、水平電極構造に比べて静電気放電に強いという長所がある。しかしながら、垂直電極構造においても、十分な電流分散効果を得るためには、電極を大面積に形成する必要があり、電極の面積が大きくなるほど発光構造物から放出される光の抽出効率が低下するという問題がある。
【0006】
上記発光素子の光放出効率は、内部量子効率(internal quantum efficiedncy)と光抽出効率(light extraction efficiency、又は外部量子効率ともいう)によって決まる。特に、光抽出効率は、発光素子の光学的因子、即ち、発光構造物の各構成要素の屈折率及び/又は構成要素間の界面の平滑度(flatness)等によって決まり、発光素子の内部量子効率は殆ど100%に達するが、実際に発光素子の外部に出る外部量子効率は非常に低い。
【0007】
これは、発光素子の内部で生成された光が外部に出る時、当該発光素子と空気との界面で屈折率の差によって生じる全反射に起因する。即ち、発光素子を構成する半導体層は、外部の大気や基板に比べて大きな屈折率を有するため、光の放出可能な入射角の範囲を決める臨界角が小さくなり、その結果、活性層から発生した光の大部分は内部全反射されて実質的に側面方向に伝播され一部は内部で損失されるか又は望まない側面方向に放出される。このように、発光素子の内部で発生した光が当該発光素子の表面に到達した時に入射角が臨界角より大きいと、光が外部に抽出されずに反射されて再び当該発光素子の内部に進行することになる。
【0008】
さらに、活性層から出た光は、n型半導体層を等方性(isotropic)方向に通って外部に抽出され、図1に示されるように、活性層から垂直又は垂直に近いように出た光(a)は、短い光路を経るため抽出が可能となるが、活性層から斜めに出た光(b)は、長い光路を経るため半導体層内で多くの光吸収が生じる。これにより、発光素子の光抽出効率は、さらに低くなることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一目的は、光抽出効率に優れるように考案された構造を有する半導体発光素子を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、上記のような構造の半導体発光素子を効率的に製造する工程を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施形態は、第1の導電型半導体層と、当該第1の導電型半導体層の一面上に形成される活性層と、当該活性層の上に形成され複数のホールを含む第2の導電型半導体層と、当該第2の導電型半導体層の上に形成される透明電極と、を含む半導体発光素子を提供する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、成長用基板上に第2の導電型半導体層、活性層及び第1の導電型半導体層を形成する段階と、当該第1の導電型半導体層の上に導電性基板を形成する段階と、上記成長用基板を上記第2の導電型半導体層から分離し当該第2の導電型半導体層に複数のホールを形成する段階と、上記第2の導電型半導体層の上に透明電極を形成する段階と、を含む半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0013】
上記複数のホールは、上記第2の導電型半導体層の厚さ方向に形成されることができる。
【0014】
上記ホールは、上記第2の導電型半導体層の屈折率未満の屈折率を有する光透過性材料で充填されることができる。
【0015】
上記ホールには、空気が充填されることができる。
【0016】
上記透明電極は、上記ホールを充填しない範囲内で形成されることができる。
【0017】
上記透明電極は、光出面に凹凸が備えられることができる。
【0018】
この場合、上記凹凸は、上記第2の導電型半導体層に形成されたホールの上部に対応する位置に形成されることができる。
【0019】
また、上記凹凸は、均一な形状及び周期を有するように配列されることができる。
【0020】
また、上記凹凸は、レンチキュラー(lenticular)、半球、プリズム、円錐又は多角錐の形状であることができる。
【0021】
上記透明電極は、上記ホールを充填しないように形成され、好ましくは、傾斜蒸着(oblique deposition)によって形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、第2の導電型半導体層にホールを形成することにより屈折率の差によって出光される光の経路を短縮させて当該第2の導電型半導体層内で吸収される光の量を減少させることができ、光出面に凹凸が備えられた透明電極としてn型電極を形成することにより電極によって遮断される光の量を減らして光抽出効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】半導体発光素子内の活性層から発生した光の光路を概略的に示す図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態により複数のホールを含む第2の導電型半導体層の上に光出面に凹凸が備えられた透明電極が形成された半導体発光素子を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態により第2の導電型半導体層にホールが形成された半導体発光素子内における光路を概略的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための工程別の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための工程別の断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための工程別の断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための工程別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0025】
但し、本発明の実施形態は、多様な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当業界における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。なお、図面上において同一の符号で表示される要素は、同一の要素である。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態による半導体発光素子を概略的に示す断面図である。図2を参照すると、本実施形態による半導体発光素子は、導電性基板104上に発光構造物が形成される。上記発光構造物は、第1の導電型半導体層103と活性層102と第2の導電型半導体層101とを備える構造で形成され、当該第2の導電型半導体層101は、複数のホール105を含む。上記複数のホール105は、上記第2の導電型半導体層101内における光路が効果的に短縮されるように、当該第2の導電型半導体層101の厚さ方向に形成されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。これと関連し、より詳細な内容は、後述する。上記第2の導電型半導体層101の上面には、電極が形成され、好ましくは透明電極106が形成される。上記透明電極106は、ホールを充填しないように形成され、好ましくは凹凸を含むことができる。さらなる構成として、上記透明電極106の上に、ワイヤボンディング等に用いられるためのボンディングパッド(図示せず)が備えられることができる。
【0027】
本実施形態において、上記第1及び第2の導電型半導体層103、101は、それぞれp型及びn型半導体層となり、窒化物半導体からなることができる。したがって、本実施形態において、第1及び第2の導電型は、それぞれp型及びn型として理解されることができるが、これに限定されるものではない。上記第1及び第2の導電型半導体層103、101は、AlInGa(1−x−y)N組成式(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1である)を有し、例えば、GaN、AlGaN、InGaN等の物質がこれに該当される。上記第1及び第2の導電型半導体層103、101の間に形成される活性層102は、電子と正孔との再結合によって所定のエネルギーを有する光を放出し、量子井戸層と量子障壁層とが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造、例えば、InGaN/GaN構造を有することができる。
【0028】
本実施形態による半導体発光素子では、上記導電性基板104の上に反射金属層(図示せず)が形成されることができる。上記反射金属層は、上記活性層102から放出された光を半導体発光素子の上部、即ち、上記第2の導電型半導体層101の方向に反射する機能を行うことができ、さらには、上記第1の導電型半導体層103とのオーミックコンタクトを形成することが好ましい。このような機能を考慮すると、上記反射金属層は、Ag、Ni、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au等の物質を含むことができる。この場合、上記反射金属層は、2層以上の構造として採用されて反射効率を向上させることができ、具体例としては、Ni/Ag、Zn/Ag、Ni/Al、Zn/Al、Pd/Ag、Pd/Al、Ir/Ag、Ir/Au、Pt/Ag、Pt/Al、Ni/Ag/Pt等が挙げられる。
【0029】
上記反射金属層に接合される導電性基板は、後述するように、レーザーリフトオフ等の工程において上記発光構造物を支持する支持体の役割を行い、Au、Ni、Al、Cu、W、Si、Se、GaAsの少なくともいずれか一つを含む物質、例えば、Si基板にAlがドープされた物質からなることができる。この場合、選択される物質に応じて、上記導電性基板は、メッキ又はボンディング接合等の方法で形成されることができる。本実施形態では、上記導電性基板104は、上記第1の導電型半導体層103と電気的に連結され、これにより、当該導電性基板104を介して当該第1の導電型半導体層103に電気信号が印加されることができる。
【0030】
さらに、上記反射金属層と上記導電性基板との間には、接着層が含まれることができ、当該接着層は、当該導電性基板と当該反射金属層との接着力を向上させることにより当該導電性基板が当該反射金属層から分離されることを防止することができる。
【0031】
さらに、上記接着層と上記反射金属層との間には、拡散防止層が含まれることができ、当該拡散防止層は、当該接着層又は導電性基板から当該反射金属層へ金属元素が拡散されることを防止して当該反射金属層の反射度を向上させることができる。
【0032】
本発明において、上記第2の導電型半導体層101は、複数のホール105を含む。
【0033】
上記ホール105は、上記第2の導電型半導体層101と上記透明電極106との界面から一定の深さで形成される。上記ホール105の深さは、上記第2の導電型半導体層101と上記透明電極106との界面から当該第2の導電型半導体層101の厚さの50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは95%以上である。上記ホール105は、活性層に接触しない範囲内で当該活性層に近く形成されることが好ましい。
【0034】
上記ホール105の断面の形状は、円柱、多角柱であることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
上記第2の導電型半導体層101に上記のようなホール105が形成される場合、当該ホール105の屈折率は、空気に相応する1であり、例えば、約2.4の屈折率(GaNの場合)を有する当該第2の導電型半導体層101よりも低いため、図3に示されるように光路を効果的に短縮させ当該第2の導電型半導体層101による光吸収を最小化することができる。具体的には、上記活性層102から放出された光のうち上記ホール105へ臨界角より大きい入射角で入射された光は、当該ホール105によって光損失なしに全反射されて、上記第2の導電型半導体層101の上部に誘導される。したがって、上記ホール105を備えないことから上記光が上記第2の導電型半導体層101の側面に向かう場合と比較して、光路をさらに短縮させることができる。これは、上記第2の導電型半導体層101の側面に到達した光が反射されて再び当該第2の導電型半導体層101の内部に進行することがあるためである。なお、上記活性層102から放出された光のうち上記ホール105へ臨界角より小さい入射角で入射された光は、当該ホール105と当該第2の導電型半導体層101との界面で経路が変わって当該第2の導電型半導体層101の上部に誘導される。したがって、この場合もまた、上記ホール105を備えないことから上記光が上記第2の導電型半導体層101の側面に向かう場合と比較して、光路をさらに短縮させることができる。その結果、上記第2の導電型半導体層で吸収される光の量を減少させて光抽出効率を改善することができる。
【0036】
上記ホールは、SiOのように、上記第2の導電型半導体層の屈折率未満の屈折率を有する光透過性材料で充填されることもできる。即ち、上記ホールは、屈折率が1を超え且つ上記第2の導電型半導体層の屈折率より小さい屈折率を有する適切な光透過性材料で充填されることができ、当該第2の導電型半導体層と当該ホールとの屈折率差が大きいほど光路が短くなるため、光抽出が効果的に行われることができる。
【0037】
上記第2の導電型半導体層101の上面には、電流の供給のためのn型電極が形成される。これにより、導電性基板と電極を介して半導体発光素子に電流を供給して光を放出することができる。上記n型電極は、Ti、Cr、Al、Cu及びAuからなる群から選択される物質からなる単一層又は複数層で形成されることができる。
【0038】
また、本発明は、多様な実施形態において、上記第2の導電型半導体層101及び上記n型電極との間に形成されたバッファー層をさらに含むことができる。
【0039】
さらに、本発明では、上記第2の導電型半導体層101の上に透明電極106を形成することで、電極によって反射又は遮断される光の量を減少させることができる。上記透明電極106は、電流を容易に拡散させると共に光を容易に透過させる物質からなることができる。例えば、上記透明電極106は、インジウム−スズ系酸化物(ITO)、インジウム酸化物(IO)、スズ系酸化物(SnO)、亜鉛系酸化物(ZnO)及びインジウム−亜鉛系酸化物(IZO)からなる群から選択される酸化物からなる少なくとも一つの層で形成されることが好ましい。上記透明電極106は、ホールを充填しないように形成される。
【0040】
さらに、本発明では、上記透明電極106の光出面が凹凸を含み、当該凹凸の形状及び周期を均一にすることにより、均一な光放出性能が得られるため、当該凹凸は、当該透明電極106の光出面に規則的に配置されることが好ましい。
【0041】
上記凹凸は、レンチキュラー(lenticular)、半球、プリズム、円錐又は多角錐の形状であることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
上記凹凸は、図2に示されるように、第2の導電型半導体層に形成されたホールの上部に対応する位置に形成されることが光抽出効率上好ましい。即ち、図2に示されるように、ホール間の間隔が広くなる場合(図2(b))、これに合わせて透明電極の光出面上に形成される凹凸も広い間隔で形成されることが好ましい。
【0043】
以下では、上記のような構造を有する半導体発光素子を製造する工程について説明する。
【0044】
図4から図7は、本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための工程別の断面図である。
【0045】
まず、図4に示されるように、MOCVD、MBE、HVPE等の半導体層成長工程を用いて半導体成長用基板100上に第2の導電型半導体層101、活性層102及び第1の導電型半導体層103を順次成長させて発光構造物を形成する。上記半導体成長用基板100としては、サファイア、SiC、MgAl、MgO、LiAlO、LiGaO、GaN等の物質からなる基板を用いることができる。この場合、サファイアは、六角−ひし形(Hexa−Rhombo R3c)の対称性を有する結晶体であって、c軸及びa軸方向の格子定数がそれぞれ13.001Å及び4.758Åであり、C(0001)面、A(1120)面、R(1102)面等を有する。特に、上記C面は、窒化物薄膜の成長が比較的容易であり高温で安定するため、窒化物成長用基板として主に用いられる。
【0046】
その後、図5に示されるように、第1の導電型半導体層103上に導電性基板104を形成する。上記導電性基板104は、メッキ工程、スパッタリング工程、蒸着工程等で形成されるか又は予め製造された導電性基板104を導電性接合層(図示せず)によって接合させることで形成されることができる。
【0047】
上記第1の導電型半導体層103と上記導電性基板104との間には、反射金属層が形成されることができる。上記反射金属層は、光反射機能及び第1の導電型半導体層とのオーミックコンタクト機能を考慮してAg、Ni、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au等の物質を含むように形成され、当該技術分野における公知のスパッタリング工程や蒸着工程等が適宜用いられることができる。
【0048】
次に、上記第2の導電型半導体層101が露出されるように上記半導体成長用基板100を除去する。この場合、上記半導体成長用基板100は、レーザーリフトオフ工程や化学的リフトオフ工程等で除去されることができる。
【0049】
次いで、図6に示されるように、第2の導電性半導体層101の一部をエッチングしてホールを形成する。この場合、上記ホールが形成される領域以外の領域にマスクを形成することができる。上記ホールの形成のためのエッチング工程としては、湿式エッチング又は乾式エッチング等の当該技術分野における公知の多様な方法、例えば、ICP−RIE工程等を用いることができる。
【0050】
上記ホール105は、上記第2の導電型半導体層101と上記透明電極106との界面から上記活性層102に近く形成されることが好ましいが、当該活性層102には接触しないように形成する。
【0051】
また、上記ホール105は、SiOのように、第2の導電型半導体層の屈折率未満の屈折率を有する光透過性材料で充填されることができる。この際、上記第2の導電型半導体層と上記ホールとの屈折率差が大きいほど光路が短くなるため、光抽出が効果的に行われることができる。このような点を考慮して、上記ホールに別途に透明物質を充填することなく、上記ホールをエアギャップ(air gap)状態、即ち、空気で充填された状態に維持することもできる。
【0052】
次いで、上記第2の導電型半導体層101上に透明電極106を形成する。上記透明電極106としては、例えば、インジウム−スズ系酸化物(ITO)、インジウム酸化物(IO)、スズ系酸化物(SnO)、亜鉛系酸化物(ZnO)、インジウム−亜鉛系酸化物(IZO)等の物質を用い、これを蒸着する方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンビーム補助電子ビーム蒸着法等の当該技術分野における周知の方法を用いることができるが、上記第2の導電型半導体層に形成されたホールを維持しなければならない。このため、方向性のある蒸着法を用いて蒸着入射角を小さくする場合、上記ホールを効果的に維持すると共に上記ホールを透明電極で充填しないように形成することができ、好ましくは傾斜蒸着(oblique deposition)を用いることができる。
【0053】
さらに、上記本発明の透明電極106の光出面は、凹凸を含み、当該凹凸の形状及び配置を均一にすることにより、均一な性能が得られるため、当該凹凸は、当該透明電極106の光出面に規則的に配置されることが好ましい。
【0054】
上記凹凸は、レンチキュラー(lenticular)、半球、プリズム、円錐又は多角錐の形状に形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
上記凹凸は、上記第2の導電型半導体層に形成されたホールの上部に対応する位置に形成されることが光抽出効率上好ましい。即ち、ホール間の間隔が広くなる場合、これに合わせて透明電極の光出面上に形成される凹凸も広い間隔で形成されることが好ましい。
なお、図面には、凸部分がホールの上部に位置する形態のみが図示されているが、ホールと凹凸との位置関係はこれに限定されない。ホールの上部に凹部分が位置してもよく、ホールの周期と凹凸の周期とが一致していればよい。
【0056】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されることなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当該技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0057】
100 成長用基板
101 第2の導電型半導体層
102 活性層
103 第1の導電型半導体層
104 導電性基板
105 ホール
106 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型半導体層と、
前記第1の導電型半導体層の一面上に形成される活性層と、
前記活性層の上に形成され、複数のホールを含む第2の導電型半導体層と、
前記第2の導電型半導体層の上に形成される透明電極と
を含む、半導体発光素子。
【請求項2】
前記複数のホールは、前記第2の導電型半導体層の厚さ方向に形成される、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記複数のホールは、前記第2の導電型半導体層の屈折率未満の屈折率を有する光透過性材料で充填される、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記複数のホールには、空気が充填される、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記透明電極は、前記複数のホールを充填しないように形成される、請求項1から4の何れか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記透明電極は、光出面に凹凸が備えられる、請求項1から5の何れか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記凹凸は、凸部分が前記第2の導電型半導体層に形成されたホールと対応する位置に配置されるように形成される、請求項6に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記凹凸は、均一な形状及び周期を有するように配列される、請求項6または7に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記凹凸は、レンチキュラー(lenticular)、半球、プリズム、円錐又は多角錐の形状である、請求項6から8の何れか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
成長用基板上に第2の導電型半導体層、活性層及び第1の導電型半導体層を形成する段階と、
前記第1の導電型半導体層の上に導電性基板を形成する段階と、
前記成長用基板を前記第2の導電型半導体層から分離し当該第2の導電型半導体層に複数のホールを形成する段階と、
前記第2の導電型半導体層の上に透明電極を形成する段階と
を含む、半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記複数のホールは、前記第2の導電型半導体層の厚さ方向に形成される、請求項10に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記複数のホールは、前記第2の導電型半導体層の屈折率未満の屈折率を有する光透過性材料で充填される、請求項10または11に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記複数のホールには、空気が充填される、請求項10または11に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記透明電極は、前記複数のホールを充填しないように形成される、請求項10から13の何れか1項に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記透明電極は、傾斜蒸着(oblique deposition)によって形成される、請求項10から14の何れか1項に記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−80104(P2012−80104A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219092(P2011−219092)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(509156538)サムソン エルイーディー カンパニーリミテッド. (114)
【Fターム(参考)】