説明

半導体発光素子

【課題】高効率の半導体発光素子を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、積層体と、第1電極と、第2電極と、反射層と、第1金属ピラーと、第2金属ピラーと、封止部と、を含む半導体発光素子が提供される。積層体は、第1部分及び第2部分を有する第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、第2部分と第2半導体層との間に設けられた発光部と、を含む。積層体は、第1半導体層の側の第1主面と、2半導体層の側の第2主面と、を有する。第1、第2電極は、第2主面の側において、第1、第2半導体層のそれぞれの上に設けられる。反射層は、積層体の側面を覆い、絶縁性である。第1、第2金属ピラーは、第1、第2電極とそれぞれ接続され、第1半導体層から第2半導体層に向かう第1方向に延びる。封止部は、第1金属ピラー及び第2金属ピラーを封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、窒化物半導体を用いたLED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子が開発されている。また、例えば、青色の光を放出するLEDと、青色光を吸収して黄色系の光を放出する蛍光体と、を組み合わせることで、白色の光を放出する半導体発光素子も開発されている。
【0003】
このような半導体発光素子において、発光効率を高め、発光層から放出される光の取り出し効率を高めることが望まれている。また、得られる光の色のむらを低減することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−71272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、高効率の半導体発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、積層体と、第1電極と、第2電極と、反射層と、第1金属ピラーと、第2金属ピラーと、封止部と、を含む半導体発光素子が提供される。前記積層体は、第1半導体層と、第2半導体層と、発光部と、を含む。前記第1半導体層は、第1部分と、前記第1部分と並置された第2部分と、を有し、第1導電形である。前記第2半導体層は、第2導電形である。前記発光部は、前記第2部分と前記第2半導体層との間に設けられる。前記積層体は、前記第1半導体層の側の第1主面と、前記2半導体層の側の第2主面と、を有する。前記第1電極は、前記第1半導体層の前記第1部分の前記第2主面の側の面上に設けられる。前記第2電極は、前記第2半導体層の前記第2主面の側の面上に設けられる。前記反射層は、前記積層体の側面を覆い、絶縁性で、前記発光部から放出される発光光に対して反射性である。前記第1金属ピラーは、前記第1電極と電気的に接続され、前記第1半導体層から前記第2半導体層に向かう第1方向に延びる。前記第2金属ピラーは、前記第2電極と電気的に接続され、前記第1方向に延びる。前記封止部は、前記第1金属ピラーの端部及び前記第2金属ピラーの端部を露出させて前記第1金属ピラー及び前記第2金属ピラーを封止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の動作を例示する模式的断面図である。
【図10】図10(a)〜図10(c)は、第1参考例の半導体発光素子の構成及び動作を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、第2〜第4参考例の半導体発光素子の構成を示す模式的断面図である。
【図12】第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の動作を例示する模式的断面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図15】図15(a)及び図15(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図18】図18(a)〜図18(c)は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図19】図19(a)〜図19(c)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図20】図20(a)及び図20(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図21】図21(a)及び図21(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
すなわち、図1(a)は平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA1−A2線断面図である。
【0010】
図1(a)及び図1(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、積層体15と、第1電極40と、第2電極50と、第1金属ピラー45と、第2金属ピラー55と、封止部80と、を含む。
【0011】
積層体15は、第1半導体層10と、第2半導体層20と、発光部30と、を含む。
第1半導体層10は、第1部分11と、第2部分12と、を有する。第2部分12は、第1部分11と並置される。第1半導体層10は、第1導電形を有する。
【0012】
第2半導体層20は、第2導電形を有する。第2導電形は、第1導電形とは異なる導電形である。例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態はこれに限らず、第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合として説明する。
【0013】
発光部30は、第2部分12と第2半導体層20との間に設けられる。
【0014】
第1半導体層10、第2半導体層20及び発光部30は、例えば、窒化物半導体を含む。第1半導体層10は、例えばn形クラッド層を含む。第2半導体層20は、例えば、p形クラッド層を含む。発光部30の例については後述する。
【0015】
積層体15は、第1主面15aと、第2主面15bと、を有する。第2主面15bは、第1主面15aとは反対側の面である。第1主面15aは、積層体15の第1半導体層10の側の主面である。第2主面15bは、積層体15の第2半導体層20の側の主面である。
【0016】
ここで、第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向をZ軸方向(第1方向)とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸(第2軸)とする。Z軸とX軸とに対して垂直な軸をY軸(第3軸とする)。Z軸(第1軸)は、第1主面15aに対して垂直であり、第2主面15bに対して垂直である。
【0017】
例えば、基板上に、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20がこの順で結晶成長され、積層体15となる積層結晶膜が形成される。そして、この積層結晶膜の一部が、第2主面15bの側から、第1半導体層10に到達するまで除去される。これにより、第1半導体層10の一部(第1部分11)が露出する。そして、第2部分12の上の発光部30及び第2半導体層20が残る。これにより、積層体15が形成される。第2部分12は、第1部分11とX−Y平面内で並置されている。
【0018】
後述するように、例えば、基板上に積層体15の結晶が成長された後に、積層体15は、基板から分離される。
【0019】
第1電極40は、第1半導体層10の第1部分11の第2主面15bの側の面上に設けられる。すなわち、上記の露出したその一部の上に第1電極40が設けられる。
【0020】
第2電極50は、第2半導体層20の第2主面15bの側の面上に設けられる。この例では、第2電極50は、p側電極51と、p側導電層52と、を有する。p側導電層52は、第2半導体層20の第2主面15bの側の面上に設けられている。p側電極51と第2半導体層20との間に、p側導電層52の一部が設けられている。
【0021】
だたし、実施形態はこれに限らず、第2電極50には、p側導電層52が設けられていなくても良い。この場合には、p側電極51が、第2半導体層20に接触する。
【0022】
反射層60は、積層体15の側面を覆う。積層体15の側面は、外縁側面10s及び境界側面10tを含む。積層体15の側面に関しては、後述する。反射層60は、発光部30から放出される発光光に対して反射性である。
【0023】
第1金属ピラー45は、第1電極40と電気的に接続される。第1金属ピラー45は、Z軸方向に延びる。
【0024】
第2金属ピラー55は、第2電極50と電気的に接続される。第2金属ピラー55は、Z軸方向に延びる。この例では、第2金属ピラー55として、3つの第2金属ピラー(第2金属ピラー55a、55b及び55c)が設けられている。ただし、実施形態はこれに限らず、第2金属ピラー55の数は任意である。また、第1金属ピラー45の数も任意である。
【0025】
封止部80は、第1金属ピラー45の端部45e及び第2金属ピラー55の端部55eを露出させて、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55を封止する。第1金属ピラー45の端部45eは、第1金属ピラー45の第1電極40とは反対側の端である。第2金属ピラー55の端部55eは、第2金属ピラー55の第2電極50とは反対側の端である。すなわち、封止部80は、第1金属ピラー45の側面を覆い、第2金属ピラー55の側面を覆う。封止部80は、さらに、反射層60の少なくとも一部を覆う。
これにより、高い効率が得られる。
【0026】
例えば、反射層60の発光光に対する反射率は、封止部80の発光光に対する反射率以上である。後述するように、実施形態においては、発光部30から放出される発光光が、効率良く反射層60で反射し、第1主面15aから外部に効率良く出射する。これにより、高い効率が得られる。
【0027】
なお、発光部30から放出される発光光は反射層60で反射されるので、実施形態において、封止部80の反射特性は任意である。ただし、第1主面15aから出射した光が、半導体発光素子の周囲に設けられる構造体で反射して、半導体発光素子110に向かって戻る場合がある。このとき、封止部80が光吸収性の場合は、光が損失される。このため、封止部80は、発光光に対して反射性であることがより好ましい。例えば、半導体発光素子110に配置される構造体の構成によっては、封止部80(の特に表面)の発光光に対する反射率を、反射層60の発光光に対する反射率よりも高く設定しても良い。
【0028】
この例では、半導体発光素子110は、下地絶縁層70をさらに含む。下地絶縁層70の少なくとも一部は、積層体15の側面と、反射層60と、の間に設けられる。例えば、下地絶縁層70は、発光光に対して透過性である。下地絶縁層70の発光光に対する反射率は、例えば、反射層60の発光光に対する反射率よりも低い。下地絶縁層70は、絶縁性である。
【0029】
半導体発光素子110のX軸に沿った長さl3は、例えば、約600マイクロメートル(μm)である。半導体発光素子110のY軸に沿った長さは、例えば、長さl3と同じである。ただし、実施形態はこれに限らず、半導体発光素子110の寸法は、任意である。
【0030】
半導体発光素子110においては、第2主面15bの側に第1電極40及び第2電極50が設けられ、発光光は、第1主面15aから出射する。半導体発光素子110は、例えば、フリップチップ型の半導体発光素子である。
【0031】
図2(a)及び図2(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
これらの図は、構成が分かり易いように、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80を除去した状態の半導体発光素子110の構成を例示している。図2(a)は平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA3−A4線断面図である。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に表したように、この例では、第2電極50は、3つのp側電極51(p側電極51a、51b及び51c)と、1つのp側導電層52と、を含む。p側電極51a、51b及び51cは、p側導電層52と電気的に接続されている。p側電極51a、51b及び51cのそれぞれが、上記の第2金属ピラー55a、55b及び55cのそれぞれと電気的に接続されている。
【0033】
積層体15は、外縁側面10sと、境界側面10tと、を有する。外縁側面10sは、積層体15をZ軸方向に見たときの積層体15の外縁の側面である。境界側面10tは、積層体15のうちの、第1部分11と第2部分12との間に位置する側面である。
【0034】
この例では、Z軸方向に見たときの、積層体15の外縁は、長方形(例えば正方形)である。外縁側面10sは、この長方形の外縁の側面である。境界側面10tは、例えば、Z軸方向に見たときに、第1電極40と第2電極50との間に位置する側面である。
【0035】
反射層60は、外縁側面10sの少なくとも一部と、境界側面10tの少なくとも一部と、を覆っている。
【0036】
下地絶縁層70は、外縁側面10sの上記の少なくとも一部と、反射層60との間に設けられている。さらに、下地絶縁層70は、境界側面10tの上記の少なくとも一部と、反射層60と、の間に設けられている。
【0037】
この例では、下地絶縁層70は、境界側面10tの全てを覆っている。これにより、積層体15のうちで、電流密度が特に高い第1電極40と第2電極50との間の部分の絶縁性が向上し、例えば信頼性が特に向上できる。
【0038】
この例では、積層体15のX軸に沿った長さl2は、例えば約580μmである。積層体15のY軸に沿った長さは、例えば長さl2と同じである。
【0039】
第1電極40のX軸に沿った中心と、p側電極51aのX軸に沿った中心と、の間の距離l1は、例えば、約380μmである。第1電極40のY軸に沿った中心と、p側電極51cのY軸に沿った中心と、の間の距離は、例えば、距離l1と同じである。
【0040】
この例では、Z軸方向に見たときに、第1部分11は、積層体15の1つのコーナーに設けられている。このコーナーに繋がる辺において、第2半導体層20の外縁と、第1半導体層10の外縁と、の距離d1は、例えば、約25μmである。第1電極40のY軸に沿った中心と、第1半導体層10のY軸方向に沿った外縁と、の距離d2は、例えば、約100μmである。第1部分11のY軸方向に沿った長さd3は、例えば、約200μmである。第1部分11のX軸方向に沿った長さは、例えば、長さd3と同じである。
【0041】
この例では、Z軸方向に見たときの、p側電極51の形状は円形である。Z軸方向に見たときのp側電極51の径d4(X軸方向に沿った長さ及びY軸方向に沿った長さ)は、例えば、100μmである。また、p側電極51の上に設けられている下地絶縁層70の開口部の、Z軸方向に見たときの径d5(X軸方向に沿った長さ及びY軸方向に沿った長さ)は、例えば、90μmである。また、p側電極51の上に設けられている反射層60の開口部の、Z軸方向に見たときの径d6(X軸方向に沿った長さ及びY軸方向に沿った長さ)は、例えば、80μmである。
【0042】
なお、実施形態において、p側電極51のZ軸方向に見たときの形状、p側電極51上の下地絶縁層70の開口部のZ軸方向に見たときの形状、及び、p側電極51上の反射層60の開口部のZ軸方向に見たときの形状は、任意である。
【0043】
また、Z軸方向に見たときの、第1電極40の形状は円形である。Z軸方向に見たときの第1電極40の径は、径d4と同じである。また、第1電極40の上に設けられている下地絶縁層70の開口部の、Z軸方向に見たときの径は、径d5と同じである。また、第1電極40の上に設けられている反射層60の開口部の、Z軸方向に見たときの径は、径d6と同じである。
【0044】
なお、実施形態において、第1電極40のZ軸方向に見たときの形状、第1電極40上の下地絶縁層70の開口部のZ軸方向に見たときの形状、及び、第1電極40上の反射層60の開口部のZ軸方向に見たときの形状は、任意である。
【0045】
このように、下地絶縁層70は、第1電極40の一部と、第2電極50の一部と、を覆う。具体的には、下地絶縁層70は、第1電極40のうちの第1金属ピラー45と接続される部分を除く部分を覆う。下地絶縁層70は、第2電極50のうちの第2金属ピラー55と接続される部分を除く部分を覆う。
【0046】
そして、反射層60は、下地絶縁層70のうちの、第1電極40のその一部(第1電極40のうちの第1金属ピラー45と接続される部分を除く部分)を覆う部分を覆う。そして、反射層60は、下地絶縁層のうちの、第2電極50のその一部(第2電極50のうちの第2金属ピラー55と接続される部分を除く部分)を覆う部分を覆う。例えば、反射層60は、下地絶縁層70の側面を覆っている。
【0047】
そして、図1(b)に表したように、反射層60は、第1電極40と第1金属ピラー45との間の部分を有する。さらに、反射層60は、第2電極50と第2金属ピラー55との間の部分を有する。すなわち、第1金属ピラー45は、反射層60の一部を覆う。第2金属ピラー55は、反射層60の別の一部を覆う。
【0048】
なお、後述するように、下地絶縁層70は、必要に応じて設けられ、場合によっては、省略しても良い。
【0049】
このように、本具体例では、反射層60は、第1電極40の縁部及び側面を覆い、第2電極50の縁部及び側面を覆う。
【0050】
本実施形態に係る半導体発光素子110においては、発光部30から放出された発光光の一部は、直接、第1主面15aから外部に出射する。そして、発光光の別の一部は、例えば、第1電極40及び第2電極50で反射し、進行方向を変え、第1主面15aから出射する。さらに、発光光の別の一部は、積層体15の側面(外縁側面10s及び境界側面10t)に設けられた反射層60で反射し、進行方向を変え、第1主面15aから出射する。
【0051】
すなわち、半導体発光素子110においては、発光部30から放出される発光光は、第1主面15aから出射する。これより、他の面からの出射が抑制され、光の取り出し効率が高い。これにより、高い効率が得られる。
【0052】
例えば、反射層60は、第1主面15aを除き、電気的接続のための第1電極40上の開口部及び電気的接続のための第2電極50上の開口部を除いて、積層体15の全体を覆っている。具体的には、第2電極50のp側電極51、及び、第1電極40のそれぞれの外縁が、下地絶縁層70に覆われている。そして、その下地絶縁層70の上面及び側面が、さらに反射層60で覆われている。これにより、半導体発光素子110においては、第1主面15aからのみ、光が出射される。これにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0053】
なお、p側導電層52は、第1半導体層10と第2半導体層20との間を流れる電流を、p側電極51の面積よりも広げる機能を有する。これにより、積層体15の広い領域に電流を流すことができ、発光効率が向上できる。p側導電層52は、発光部30から放出される発光光に対して反射性または透過性を有することができる。
【0054】
p側導電層52として、光反射性の導電層を用いたとき、例えば、p側導電層52の反射率は、p側電極51の反射率よりも高い。このときは、発光光の一部は、p側導電層52で反射し、第1主面15aに向けて進行する。これにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0055】
また、p側導電層52として、光透過性の導電層を用いたとき、例えば、p側導電層52の透過率は、p側電極51の透過率よりも高い。また、p側導電層52の透過率は、反射層60の透過率よりも高い。このときは、発光光の一部は、p側導電層52を通過し、反射層60で反射し、第1主面15aに向けて進行する。これにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0056】
さらに、半導体発光素子110においては、発光部30で発生する熱は、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55を介して、外部に効率良く伝達される。これにより、高い放熱性が得られる。このため、発光部30の温度上昇を抑制でき、発光部30における光の放出の効率(内部量子効率)が高くできる。
【0057】
特に、図1(a)及び図2(a)に例示したように、本具体例では、Z軸方向に見たときの第1金属ピラー45の面積は、第1電極40の面積よりも大きい。そして、Z軸方向に見たときの第2金属ピラー55の面積は、第2電極50の面積よりも大きい。このように、X−Y平面で切断したときの、第1金属ピラー45の断面積、及び、第2金属ピラー55の断面積が大きく設定できる。このため、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55を介した放熱性は高い。
【0058】
本実施形態においては、例えば、絶縁性の反射層60は、第1電極40と第1金属ピラー45との間の部分を有している。これにより、例えば、Z軸方向に見たときに、第1金属ピラー45は、第2半導体層20の一部に重なることができる。その結果、第1金属ピラー45の断面積を大きくできる。これにより、高い放熱性が得られる。
【0059】
このように、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、発光部30から放出される光の取り出し効率が高く、そして、内部量子効率も高い。これにより、発光効率の高い半導体発光素子が得られる。
【0060】
なお、第1半導体層10の厚さは、例えば、1μm以上10μm以下である。本具体例では、第1半導体層10の厚さは、約5μmである。発光部30の厚さは、例えば、5ナノメートル(nm)以上100nm以下である。本具体例では、発光部30の厚さは、約10nmである。第2半導体層20の厚さは、例えば、5nm以上300nm以下である。本具体例では、第2半導体層20の厚さは、約100nmである。
【0061】
すなわち、積層体15の厚さは、約6μm以下であり、積層体15の機械的強度は低い。このとき、本実施形態においては、積層体15に設けられる第1電極40及び第2電極50に接続して、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55が設けられ、さらに、封止部80が設けられている。第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80により、積層体15が補強される。これにより、半導体発光素子110においては、実用的に十分な強度が得られる。
【0062】
なお、図2(b)に例示したように、本具体例では、第1半導体層10の外縁部分の厚さは、中心部分(例えば第2部分12)の厚さよりも薄い。すなわち、第1半導体層10は、第2部分12と並置された第3部分13をさらに有する。第2部分12は、第1部分11と第3部分13との間の部分を有する。第1部分11のZ軸方向に沿う厚さ、及び、第3部分13のZ軸方向に沿う厚さは、第2部分12のZ軸方向に沿う厚さよりも薄い。
【0063】
図3は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式図である。 すなわち、同図は、発光部30の構成の例を示している。
図3に表したように、発光部30は、複数の井戸層32と、複数の井戸層32どうしの間に設けられた障壁層31と、を含む。すなわち、複数の井戸層32と、複数の障壁層31と、がZ軸に沿って交互に積層される。
【0064】
井戸層32は、複数の障壁層31のバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する。例えば、井戸層32において、正孔および電子が再結合する。これにより、発光部30から光が放出される。
【0065】
井戸層32は、例えば、Inx1Ga1−x1N(0<x1<1)を含む。障壁層31は、例えば、GaNを含む。すなわち、障壁層31はInを実質的に含まない。また、障壁層31がInを含む場合は、障壁層31におけるIn組成比は、井戸層32におけるIn組成比よりも低い。
【0066】
発光部30は、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0067】
発光部30は、例えば、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、2以上の整数)。第1障壁層BL1から第(n+1)障壁層BL(n+1)までが、この順で、第1半導体層10から第2半導体層20に向けて並ぶ。第i井戸層WLi(iは、1以上n以下の整数)は、第i障壁層BLiと第(i+1)障壁層BL(i+1)との間に設けられる。
【0068】
発光部30から放出される光(発光光)のピーク波長は、例えば350nm以上700nm以下である。
【0069】
また、発光部30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、2つの障壁層31と、障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。
なお、実施形態において、発光部30の構成は任意である。
【0070】
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、これらの図は、反射層60の構成の2つの例を示している。
【0071】
図4(a)に表したように、反射層60として、多層誘電膜61(例えばDBR:Distributed Bragg Reflector)を用いることができる。すなわち、反射層60は、交互に積層され、互いに屈折率が異なる複数の第1誘電体層61aと複数の第2誘電体層61bと、を含むことができる。第1誘電体層61aの屈折率をn1とし、発光部30から放出される発光光の波長(例えばピーク波長)をλとしたとき、例えば、第1誘電体層61aの厚さt61aは、実質的にλ/(4n1)に設定される。また、第2誘電体層61bの屈折率をn2としたとき、例えば、第2誘電体層61bの厚さt61bは、実質的にλ/(4n2)に設定される。これにより、発光光を効率良く反射することができる。これにより、発光光が、第1主面15aから外部に効率良く出射できる。
【0072】
第1誘電体層61aには、例えば酸化シリコンが用いられ、第2誘電体層61bには、例えば窒化シリコンが用いられる。ただし、実施形態はこれに限らず、第1誘電体層61a及び第2誘電体層61bには、任意の絶縁性の材料を用いることができる。
【0073】
第1誘電体層61a及び第2誘電体層61bのそれぞれの数は、2以上であり、その数は任意である。第1誘電体層61a及び第2誘電体層61bの形成には、例えば、スパッタ、または、CVD(Chemical Vapor Deposition)などが用いられる。
【0074】
また、図4(b)に表したように、反射層60として、反射絶縁膜62を用いることができる。例えば、反射層60(反射絶縁膜62)は、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニア(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、硫酸バリウム(BaSO)、硫化亜鉛(ZnS)及び炭酸カルシウム(CaCO)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含むことができる。これらの材料は、発光光を反射させ、かつ、電気的に絶縁性である。反射層60には、実質的に白色である材料を用いることができる。反射層60には、発光光に対して高い反射率を有する任意の絶縁材料(例えば、金属酸化物、及び、金属を含む化合物など)を用いることができ、必ずしも白色でなくても良い。
【0075】
反射絶縁膜62の形成には、例えば、スパッタ、蒸着、または、CVDなどが用いられる。
【0076】
ただし、実施形態において、反射層60(第1誘電体層61a及び第2誘電体層61b、または、反射絶縁膜62)の形成方法は、任意である。
【0077】
反射層60の厚さは、例えば10nm以上10000nm以下とされる。反射層60の厚さは、光学特性(例えば反射率)と、電気的特性(例えば絶縁性)と、生産性と、の観点で、適切に設定される。
【0078】
反射層60として、TiO膜の反射絶縁膜62を用いる場合は、反射層60の厚さは、例えば、約1000nmに設定される。
【0079】
下地絶縁層70は、珪素酸化物及び珪素窒化物の少なくともいずれかを含むことができる。例えば、下地絶縁層70には、例えば、SiO、SiN、リン・シリケート・ガラス(PSG)、及び、ボロン・リン・シリケート・ガラス(BPSG)などの無機材料を用いることができる。下地絶縁層70は、例えば、CVDにより形成される。この場合の下地絶縁層70の厚さは、例えば、10nm以上10000nm以下とされる。具体的には、下地絶縁層70の厚さは、約400nmである。下地絶縁層70の形成には、CVDの他に、蒸着またはスパッタなどを用いても良い。
【0080】
さらに、下地絶縁層70として、有機SOG(Spin on Glass)または無機SOG等のガラス材料を用いても良い。有機SOG膜として、例えば、メチルシルセスキオキサン膜を用いることができる。無機SOG膜として、水素化シルセスキオキサン膜を用いることができる。無機SOG膜として、例えば、シラノールのアルコール溶液を塗布し、熱処理した膜を用いることができる。
【0081】
また、下地絶縁層70として、低誘電率層間絶縁膜(Low−k膜)などを用いることもできる。さらに、下地絶縁層70として、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、及び、シリコーン系材料等の樹脂系材料を用いても良い。この場合、下地絶縁層70の厚さは、例えば、1000nm以上20000nm以下に設定される。
【0082】
下地絶縁層70の発光光に対する反射率は、反射層60の発光光に対する反射率よりも低く、下地絶縁層70には、例えば、透光性の材料を用いることができる。
【0083】
p側導電層52には、任意の導電材料を用いることができる。p側導電層52は、第2半導体層20に対するコンタクト電極として機能することができる。
【0084】
p側導電層52として、例えば、Ni、Au、Ag、Al及びPdの少なくともいずれかを含む膜を用いることができる。p側導電層52として、Ni膜、Au膜、Ag膜、Al膜及びPd膜から選択された少なくとも2つ以上を含む積層膜を用いることができる。
【0085】
特に、p側導電層52として、Ag膜、Al膜及びPd膜のいずれか、または、Ag膜、Al膜及びPd膜の少なくとも2つ以上を含む積層膜のいずれかを用いることができる。これにより、特に、短波長の光(紫外光〜青色光)に対する高い反射率が得られる。これにより、高い光取りだし効率が得られる。
【0086】
また、p側導電層52として、透光性の金属酸化物を用いることができる。例えば、p側導電層52として、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、In及びZnOの少なくともいずれかを用いることができる。
【0087】
p側導電層52の形成には、例えば、スパッタ及び蒸着などを用いることができる。p側導電層52が単層である場合、p側導電層52の厚さは、例えば、0.2μmである。
【0088】
p側電極51及び第1電極40には、例えば、Ni膜とAu膜との積層膜を用いることができる。このとき、Ni膜の厚さは、例えば約100nmであり、Au膜の厚さは、例えば約100nmである。または、p側電極51及び第1電極40には、例えば、Ti膜とNi膜とAu膜との積層膜を用いることができる。このとき、Ti膜の厚さは、例えば50nmであり、Ni膜の厚さは、例えば約100nmであり、Au膜の厚さは、例えば約100nmである。
【0089】
p側電極51の材料、厚さ及び構成は、第1電極40の材料、厚さ及び構成と同じであることが好ましい。p側電極51及び第1電極40の形成には、例えば、スパッタ及び蒸着を用いることができる。
【0090】
封止部80には、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性の樹脂を用いることができる。封止部80は、例えば、石英フィラーやアルミナフィラーなどを含むことができる。これらのフィラーを含むことで、封止部80の熱伝導性が向上し、放熱性を向上することができる。
【0091】
また、封止部80は、例えば、ZnO、TiO、ZrO、Al、MgO、CaTiO、BaSO、ZnS及びCaCOよりなる群から選択された少なくともいずれかを含むフィラーを含んでも良い。これにより、封止部80における反射率が高まり、反射層60と共に反射膜として機能し、積層体15の第1主面15a以外の面からの漏れ光をさらに抑制することができる。そして、例えば、第1主面15aから出射した光が周囲の構造体で反射して戻ってくる光を効率良く反射し、光の利用効率を高めることができる。
【0092】
また、上記の熱伝導性と向上させるフィラーと、反射率を向上させるフィラーと、を混合して用いても良い。
ただし、実施形態はこれに限らず、封止部80には、任意の絶縁材料を用いることができる。また、フィラーは含まれなくても良い。
【0093】
図5は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図5に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110aは、波長変換層90をさらに含む。これ以外は、半導体発光素子110と同様なので説明を省略する。
【0094】
波長変換層90は、積層体15の第1主面15aの少なくとも一部の上に設けられる。波長変換層90は、発光光の一部を吸収し、発光光の波長とは異なる波長の光を放出する。例えば、波長変換層90には、例えば、蛍光体層を用いることができる。波長変換層90として、互いに異なる波長の光を放出する複数の蛍光体層の積層膜を用いても良い。例えば、発光部30から放出される光が、紫外線、紫光または青光であり、波長変換層90から放出される光は、黄光または赤光である。波長変換層90から放出される光(変換光)と、発光光と、の合成光は、例えば実質的に白色光である。
【0095】
この例では、波長変換層90は、第1主面15aの全体を覆っている。実施形態はこれに限らず、第1主面15aの一部は、波長変換層90で覆われていなくても良い。
【0096】
以下、本実施形態に係る半導体発光素子の製造方法の例として、半導体発光素子110aの製造方法の1つの例について説明する。この例では、基板上に複数の半導体発光素子110aが一括して形成される。
【0097】
図6(a)〜図6(d)、図7(a)〜図7(c)及び、図8(a)〜図8(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図6(a)に表したように、基板5の上に、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20の積層結晶膜が順次エピタキシャル成長される。積層結晶膜は、積層体15となる。
【0098】
基板5には、例えば、サファイア(Al)、炭化硅素(SiC)、スピネル(MgAl)及びシリコン(Si)などを用いることができる。なお、基板5には、例えば、積層体15と実質的に同じ材料を用いても良い。基板5には、例えば、格子定数および熱膨張係数が積層体15のそれらと近い材料を用いることが好ましい。ただし、実施形態において、基板5には、任意の材料を用いることができる。基板5の厚さは、例えば30μm以上5000μm以下である。
【0099】
基板5上への積層結晶膜のエピタキシャル成長には、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)、ハイドライド気相成長法(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)、及び、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などを用いることができる。なお、必要に応じて、基板5の上にバッファ層(図示しない)を形成し、このバッファ層の上に積層結晶膜をエピタキシャル成長させても良い。
【0100】
さらに、積層結晶膜の成長の後に、積層結晶膜の一部が、除去される。これにより、複数の積層体15が形成される。さらに、第2半導体層20の上に第2電極50(p側導電層52及びp側電極51)を形成し、第1半導体層10の上に第1電極40を形成する。
【0101】
さらに、積層体15の側面(外縁側面10s及び境界側面10t)上に下地絶縁層70を形成する。下地絶縁層70には、第1電極40の一部を露出する開口部、及び、第2電極50の一部を露出する開口部が設けられる。
【0102】
この後、図6(b)に表したように、第1半導体層10を分断して、複数の積層体15を得る。
【0103】
図6(c)に表したように、下地絶縁層70の上に反射層60を形成する。反射層60は、積層体15の側面(外縁側面10s及び境界側面10t)を覆う。既に説明したように、反射層60は、例えば、下地絶縁層70の側面を覆うように形成される。
【0104】
図6(d)に表したように、加工体の全面に、導電層CLを形成する。導電層CLは、例えば、蒸着法やスパッタ法などにより形成される。導電層CLは、例えば、後述する工程において、シード層として機能する。
【0105】
図7(a)に表したように、加工体の上にレジスト膜Rfを形成する。このレジスト膜Rfは、所定の形状の開口部80n及び80pを有している。開口部80nは、第1電極40に繋がり、第1金属ピラー45が形成される部分である。開口部80pは、第2電極50に繋がり、第2金属ピラー55が形成される部分である。
【0106】
図7(b)に表したように、開口部80n及び開口部80pに、例えば、メッキなどの方法により金属を埋め込み、必要に応じて表面を平坦化する。これにより、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55が形成される。開口部80nにおける導電層CLは、第1金属ピラー45に含まれるものとする。また、開口部80pにおける導電層CLは、第2金属ピラー55に含まれるものとする。
【0107】
図7(c)に表したように、レジスト膜Rfを除去し、露出した導電層CLを除去する。この後、加工体の全体を覆うように、封止部80となる封止絶縁膜80fを形成する。例えば、封止絶縁膜80fとして、エポキシ樹脂層を形成する。封止絶縁膜80fは、第1金属ピラー45の端部45eを埋め込み、第2金属ピラー55の端部55eを埋め込んでいる。
【0108】
図8(a)に表したように、基板5を介して、積層体15の第1主面15aに紫外線Luvを照射する。これにより、積層体15のうちの基板5の側の一部が分解する。その結果、積層体15と基板5とが互いに分離する。このように、本実施形態においては、積層体15は、基板5の上に積層体15となる積層膜(積層結晶膜)がエピタキシャル成長された後に、その積層膜が基板5から分離されて形成される。これにより、第1主面15aが露出する。
【0109】
なお、積層膜(積層結晶膜)は、封止絶縁膜80fによって支持されている。封止絶縁膜80fとして、樹脂材料を用いることで、封止絶縁膜80fは柔らかく変形し易い。これにより、積層膜(積層体15)と基板5とを互いに分離する際に、積層膜に応力が印加され難くなる。これにより、積層膜に発生する損傷を抑制しつつ、基板5を分離できる。
【0110】
図8(b)に表したように、第1主面15aの上に波長変換層90を形成する。 さらに、図8(c)に表したように、封止絶縁膜80fを削り、第1金属ピラー45及び第2金属ピラー55を露出させる。
【0111】
この後、複数の積層体15ごとに分断して、複数の半導体発光素子110aが一括して得られる。
なお、上記の工程で、波長変換層90を省略することで、半導体発光素子110が形成できる。
【0112】
図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の動作を例示する模式的断面図である。
図9(a)に表したように、半導体発光素子110aは、実装部品95の上に実装される。すなわち、発光装置510は、半導体発光素子110aと実装部品95とを含む。実装部品95は、基体96と、n側配線46eと、p側配線56eと、絶縁層97と、を含む。基体96の上にn側配線46e及びp側配線56eが設けられる。絶縁層97は、n側配線46eの一部を露出させ、n側配線46eの上に設けられる。絶縁層97は、p側配線56eの一部を露出させ、p側配線56eの上に設けられる。n側配線46eのうちの絶縁層97から露出した部分は、半導体発光素子110aの第1金属ピラー45と対向する。p側配線56eのうちの絶縁層97から露出した部分は、第2金属ピラー55と対向する。n側配線46eと第1金属ピラー45との間に、n側接続部材47bが設けられる。p側配線56eと第2金属ピラー55との間に、p側接続部材57bが設けられる。
【0113】
図9(b)に表したように、積層体15の発光部30(この図では、図示しない)から放出された発光光L1は、第1主面15aから出射する。発光光L1の一部は、波長が変換されて変換光L2となる。
【0114】
このとき、発光光L1と変換光L2との比率は、Z軸上(第1主面15aの法線上)と、Z軸から傾いた方向と、で実質的に同じである。すなわち、本実施形態に係る半導体発光素子110a及び発光装置510においては、出射角度にかかわらず、均一な色の光が得られる。
【0115】
なお、この例では、半導体発光素子110aにおいて、波長変換層90が設けられているが、実施形態はこれに限らない。半導体発光素子110を実装部品95上に実装した後に、波長変換層90を半導体発光素子110の第1主面15aの少なくとも一部の上に形成しても良い。
【0116】
図10(a)〜図10(c)は、第1参考例の半導体発光素子の構成及び動作を示す模式的断面図である。
図10(a)に表したように、第1参考例の半導体発光素子119aにおいては、積層体15と、第1電極40と、第2電極50と、基板5と、下地絶縁層70と、が設けられる。そして、反射層60が設けられない。この場合も、第2電極50は、p側電極51と、p側導電層52と、を含む。p側導電層52は、遮光性の細線電極、または、透光性電極である。
【0117】
下地絶縁層70は、積層体15の側面を覆っている。下地絶縁層70は、透光性である。
【0118】
半導体発光素子119aにおいては、主として、第2主面15bの側から光が出射する。ただし、積層体15の側面に、反射層が設けられていないため、積層体15の側面からも光が出射する。また、発光光の一部は、基板5に到達し、第1主面15aからも出射する。
【0119】
図10(b)に表したように、半導体発光素子119aは、実装部品95aの上に実装される。すなわち、参考例の発光装置519は、半導体発光素子119aと実装部品95aとを含む。実装部品95aは、n側フレーム519cとp側フレーム519dとを有する。半導体発光素子119aは、p側フレーム519d上に接合部材519f(例えば樹脂)などにより固定される。半導体発光素子119aの第1電極40が、n側ワイヤ519aにより、n側フレーム519cと接続される。第2電極50が、p側ワイヤ519bにより、p側フレーム519dと接続される。半導体発光素子119aは、反射容器519eの中に格納されている。半導体発光素子119aの上には、蛍光体を含有する蛍光体樹脂519gが設けられている。
【0120】
図10(c)に表したように、積層体15の発光部30(この図では、図示しない)から放出された発光光L1は、第2主面15bから出射すると共に、積層体15や基板5の側面及び下面からも出射する。側面や下面から出射した光は、例えば、上記のフレームや反射容器519eの壁面で反射し、上方向に向けて進行する。第2主面15b、側面、下面などの種々の表面から出射した光が、蛍光体樹脂519g内を通過する。そして、発光光L1の一部が、波長が変換されて変換光L2となる。
【0121】
このとき、Z軸に沿う方向と、Z軸に対して傾斜した方向と、で、発光光L1と変換光L2との比率が異なる。すなわち、Z軸に対して傾斜した方向における、蛍光体樹脂519g中を伝搬する発光光L1の光路長は、Z軸に沿う方向における、蛍光体樹脂519g中を伝搬する発光光L1の光路長よりも長い。このため、Z軸に対して傾斜した方向における変換光L2の比率は、Z軸に沿う方向における変換光L2の比率よりも高い。このため、Z軸に沿う方向と、Z軸に対して傾斜した方向と、で、出射光(発光光L1と変換光L2と合成光)の波長特性が異なる。
【0122】
例えば、発光光L1は青色であり、変換光L2は、黄色である。第1参考例においては、正面方向(Z軸に対して平行方向)と比べて、斜め方向に出射する光は、黄色の強度が高くなる。例えば、正面方向で白色光が得られる場合は、斜め方向では黄色を帯びた色となる。このため、全方向で同じ色の光が得られない。すなわち、第1参考例の半導体発光素子119a、及び、発光装置519においては、角度によって出射光の色が変化する。すなわち、出射する光の色のむらが大きい。
また、下面から出射する光は、例えば、フレームや反射容器519eで反射し、進行するうちに吸収され、少なくともその一部が失われる。
【0123】
さらに、半導体発光素子119a及び発光装置519においては、熱伝導率の低い基板5が設けられているため、放熱性が低い。また、第1電極40及び第2電極50が設けられる第2主面15bから光が出射する構成が用いられているため、第1電極40及び第2電極50によって光が遮られ、光取り出し効率が低い。
【0124】
これに対して、本実施形態に係る半導体発光素子110a及び発光装置510においては、実質的に第1主面15aからだけ、光が出射するので、発光光L1と変換光L2との比率は、Z軸上と、Z軸から傾いた方向と、で実質的に同じである。これにより、出射角度にかかわらず、均一な色の光が得られる。また、第1主面15aを除く面からは、実質的に光が出射しないため、光の損失が抑制される。さらに、基板5を用いず、第1金属ピラー45と第2金属ピラー55を用いているため、n側接続部材47b及びp側接続部材57bを介して、発生した熱が、外部(例えば、n側配線46e及びp側配線56eなど)に効率良く伝達される。これにより、高い放熱性が得られる。そして、光が出射する第1主面15aには、光を遮蔽する電極(第1電極40及び第2電極50など)が設けられていない。これにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0125】
図11(a)〜図11(c)は、第2〜第4参考例の半導体発光素子の構成を示す模式的断面図である。
図11(a)に表したように、第2参考例の半導体発光素子119bにおいては、半導体発光素子119aにおいて、積層体15の側面及び基板5の下面に反射層69がさらに設けられている。半導体発光素子119bにおいては、積層体15の側面及び基板5の下面から出射する光が、反射層69で第2主面15bに向けて反射される。これにより、光路長の変化による色の変化は抑制される。しかしながら、光が出射する第2主面15bに第1電極40及び第2電極50が設けられるため、一部の光が遮蔽される。このため、光取り出し効率が低い。また、基板5が設けられているため、放熱性が低く、高い発光効率は得られない。
【0126】
図11(b)に表したように、第3参考例の半導体発光素子119cにおいては、第1電極40は、積層体15の第1主面15aに設けられ、第2電極50は、積層体15の第2主面15bに設けられている。そして、結晶成長用の基板5は除去されている。そして、第2電極50に支持基板58(例えばシリコン基板などの導電性の基板)が接合されている。積層体15の側面に下地絶縁層70が設けられ、下地絶縁層70を覆うように、反射層69が設けられている。この例では、光は、第1主面15aから主に出射する。この場合も、光が出射する第1主面15aに第1電極40が設けられているため、一部の光が遮蔽され、光取り出し効率が低い。
【0127】
図11(c)に表したように、第4参考例の半導体発光素子119dにおいては、積層体15の側面に反射層60が設けられている。この例では、反射層60として、複数の誘電体膜(誘電体膜65a、65b及び65c)が設けられている。そして、第1電極40に接続される第1リード電極部49と、第2電極50に接続される第2リード電極59と、が設けられている。そして、封止部80が設けられていない。このため、半導体発光素子119dの強度が低く、実装時などに破壊され易く、実用的でない。なお、半導体発光素子119dにおいて、結晶成長用の基板5を残す場合は、この強度が低い問題は緩和されるが、放熱性は不十分である。
【0128】
これに対し、本実施形態に係る半導体発光素子110及び110aにおいては、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び積層体15を封止する封止部80が設けられるため、強度が高く、実用的であり、また、高い放熱性が得られ、高い発光効率が得られる。
【0129】
なお、積層体15の側面(外縁側面10s)上に導電性の反射層を設ける構成も考えられる。しかしながら、この構成において、第1金属ピラー45の断面積を大きくしようしたときには、第1金属ピラー45と第2半導体層20(及びp側導電層52)との間に層間絶縁膜を別途設けることになる。
【0130】
これに対して、本実施形態に係る半導体発光素子110及び110aにおいては、積層体15の側面に設ける反射層60が絶縁性であることから、反射層60を、第1金属ピラー45と第2半導体層20(及びp側導電層52)との間を電気的に遮断する絶縁層として利用することができる。すなわち、反射層60は、反射機能と、層間絶縁膜の絶縁機能と、の両方の機能を有する。これにより、構成が簡単になり、また、工程数も削減できる。また、反射層60が絶縁性であることから、素子の絶縁性をより高めることができ、より高い信頼性が得られる。
【0131】
図12は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【0132】
図12に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110pは、透光層91をさらに含む。透光層91は、積層体15の第1主面15aの少なくとも一部の上に設けられる。透光層91は、発光光に対して透過性である。また、発光装置511は、この半導体発光素子110eと実装部品95とを含む。
【0133】
透光層91は、例えば、積層体15の第1主面15aを保護する。また、透光層91として、屈折率が、第1半導体層10の屈折率よりも低い材料を用いることができる。これにより、発光部30から放出される光を効率よく、第1主面15aから出射させることができる。この場合も、高効率の半導体発光素子を提供することができる。
【0134】
図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子110bにおいては、下地絶縁層70は、第1半導体層10の外縁の部分の側面の全体を覆っている。これにより、さらに安定した特性が得られる。
【0135】
半導体発光素子110bにおいては、下地絶縁層70は、外縁側面10sの全体、及び、境界側面10tの全体を覆っている。これにより、さらに安定した特性が得られる。
なお、半導体発光素子110bにおいては、封止部80の側面において、反射層60が露出している。
【0136】
一方、図13(b)に表したように、半導体発光素子110cにおいては、下地絶縁層70は、外縁側面10sにおける第1半導体層10と発光部30との界面部分、外縁側面10sにおける第2半導体層20と発光部30との界面部分、境界側面10tにおける第1半導体層10と発光部30との界面部分、及び、境界側面10tにおける第2半導体層20と発光部30との界面部分を覆っている。これによっても、積層体15を保護することができる。
半導体発光素子110cにおいては、反射層60の側面は封止部80に覆われている。このように、種々の変形が可能である。
【0137】
図14(a)及び図14(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図14(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子110dにおいては、下地絶縁層70が設けられていない。本実施形態においては、反射層60は反射性であると同時に、絶縁性である。このため、反射層60は、下地絶縁層70の機能を果たすことができる。このように、下地絶縁層70は必要に応じて設けられ、省略しても良い。この例では、反射層60は、第1半導体層10の外縁の部分の側面には設けられていない。すなわち、反射層60は、外縁側面10sにおける第1半導体層10と発光部30との界面部分、外縁側面10sにおける第2半導体層20と発光部30との界面部分、境界側面10tにおける第1半導体層10と発光部30との界面部分、及び、境界側面10tにおける第2半導体層20と発光部30との界面部分を覆っている。これにより、積層体15を実用的に十分に保護することができる。
【0138】
図14(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子110eにおいては、反射層60は、第1半導体層10の外縁の部分の側面も覆っている。このように、反射層60は、外縁側面10sの全体、及び、境界側面10tの全体を覆うことができる。これにより、さらに安定した特性が得られる。
【0139】
なお、半導体発光素子110dにおいては、封止部80は、反射層60のうちの第1主面15aに接する部分の側面を露出している。また、半導体発光素子110eにおいては、封止部80は、反射層60のうちの第1主面15aに露出する部分を除いて反射層60を覆っている。このように、封止部80は、反射層60の少なくとも一部を覆う。
【0140】
図15(a)及び図15(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図15(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子110fにおいては、第1電極40は、n側電極41と、n側導電層42と、を有する。n側導電層42は、第1半導体層10の第2主面15bの側の面上に設けられている。n側電極41と第1半導体層10との間に、n側導電層42の一部が設けられている。
【0141】
n側導電層42には、任意の導電材料を用いることができる。n側導電層42は、第1半導体層10に対するコンタクト電極として機能することができる。
【0142】
特に、n側導電層42として、Ag膜、Al膜及びPd膜のいずれか、または、Ag膜、Al膜及びPd膜の少なくとも2つ以上を含む積層膜のいずれかを用いることができる。これにより、特に、短波長の光(紫外光〜青色光)に対する高い反射率が得られる。これにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0143】
n側電極41には、例えば、p側電極51に用いられる材料を用いることができる。
【0144】
図15(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子110gにおいては、第1電極40が、n側電極41とn側導電層42を含み、第2電極50が、p側電極51とp側導電層52を含んでいる。そして、この例では、n側導電層42及びp側導電層52には、反射性の導電層が用いられている。例えば、n側導電層42及びp側導電層52として、Ag膜、Al膜及びPd膜のいずれか、または、Ag膜、Al膜及びPd膜の少なくとも2つ以上を含む積層膜のいずれかが用いられている。
【0145】
そして、反射層60は、n側導電層42及びp側導電層52が設けられている部分には設けられていない。半導体発光素子110fにおいては、n側導電層42及びp側導電層52が反射性であるため、発光光L1は、n側導電層42及びp側導電層52で反射し、第1主面15aに向けて進行する。このため、反射層60がn側導電層42及びp側導電層52が設けられている部分に設けられていなくても、高い光取り出し効率が得られる。
【0146】
反射層60は、n側導電層42及びp側導電層52が設けられている部分を除いて、積層体15の側面の少なくとも一部に設けられれば良い。これにより高い光取り出し効率が得られる。
【0147】
このように、第1電極40及び第2電極50の少なくともいずれかは、発光光に対して反射性の反射性部分(例えば、n側導電層42及びp側導電層52など)を有することができる。反射性部分の反射率は、例えば、反射層60の反射率以上である。この場合には、反射層60は、反射性部分の上には設けられていなくても良い。
【0148】
図16(a)及び図16(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図においては、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80は省略されている。
【0149】
図16(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子111aにおいては、積層体15の側面がZ軸に対して傾斜している。すなわち、外縁側面10s及び境界側面10tは、例えばX軸方向(第1方向に対して垂直な第2方向)に沿った第2半導体層20の幅が、X軸方向に沿った発光部30の幅よりも短くなるように、Z軸方向に対して傾斜している。すなわち、積層体15の側面は、順テーパの形状の部分を有する。この例では、第1半導体層10の外縁の側面は、Z軸に対して実質的に平行である。
【0150】
図16(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子111bにおいても、積層体15の側面がZ軸に対して傾斜している。この例では、第1半導体層10の外縁の側面も、Z軸に対して傾斜している。すなわち、第1半導体層10の外縁の側面は、第1半導体層10の外縁の側面のうちの第1主面15aの側の部分のX軸方向に沿った幅が、第1半導体層10の外縁の側面のうちの第2主面15bの側の部分のX軸方向に沿った幅よりも大きくなるように、Z軸方向に対して傾斜している。
【0151】
このように、積層体15の側面を傾斜(順テーパで傾斜)させることで、下地絶縁層70及び反射層60の側面上での被覆性が向上する。これにより、下地絶縁層70の保護特性が向上し易くなり、また、反射層60の反射特性が向上し易くなる。
【0152】
半導体発光素子111a及び111bにおいて、積層体15の側面のテーパ角θ(側面と第1主面15aとの間の角度)は、例えば45度以上90度未満である。
【0153】
図17(a)及び図17(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図17(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子112aにおいては、図2(b)に例示した第3部分13が、第1半導体層10に設けられていない。
【0154】
図17(b)においては、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80は省略されている。図17(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子112bにおいても第3部分13が設けられていない。そして、積層体15の側面は、Z軸に対して傾斜している。
【0155】
本実施形態に係る半導体発光素子110b〜110g、110p、111a、111b、112a及び112bにおいて、波長変換層90をさらに設けても良い。また、既に説明したように、本実施形態に係る半導体発光素子及びその変形の半導体発光素子において、下地絶縁層70は必要に応じて設けられ、省略しても良い。
【0156】
(第2の実施形態)
図18(a)〜図18(c)は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図18(a)に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子120aは、被覆層75をさらに含む。すなわち、半導体発光素子120aは、半導体発光素子110において、被覆層75がさらに設けられた素子である。
【0157】
被覆層75は、反射層60を覆う。被覆層75は、例えば、反射層60を保護する。
被覆層75の光学特性は任意である。例えば、被覆層75は、発光光に対して透過性、反射性、または、吸収性である。被覆層75が透過性である場合、被覆層75には、下地絶縁層70に関して説明した材料を用いることができる。また、被覆層75が反射性である場合は、被覆層75には、反射層60に用いられる材料を用いることができる。また、被覆層75が吸収性である場合には、被覆層75には、封止部80に用いられる材料を用いることができる。
【0158】
被覆層75は、例えば、有機樹脂を含む。被覆層75には、例えば、ポリイミドなどを用いることができる。ただし、実施形態はこれに限らず、被覆層75には無機材料を用いても良い。被覆層75は、例えば絶縁性である。被覆層75を設けることで、例えば信頼性が向上する。
【0159】
図18(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子120bは、半導体発光素子110bにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。
【0160】
図18(c)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子120cは、半導体発光素子110eにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。半導体発光素子110f及び110gにおいて、被覆層75をさらに設けても良い。
【0161】
なお、半導体発光素子120a〜120cにおいては、封止部80の側面において、反射層60が露出している。
【0162】
図19(a)〜図19(c)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図19(a)〜図19(c)に表したように、半導体発光素子120d〜120fにおいても被覆層75が設けられている。これらの素子においては、反射層60の側面は、被覆層75により覆われている。このように、種々の変形が可能である。
【0163】
図20(a)及び図20(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図においては、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80は省略されている。
【0164】
図20(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121aは、半導体発光素子111aにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。
図20(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121bは、半導体発光素子111bにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。
【0165】
図21(a)及び図21(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図21(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子122aは、半導体発光素子112aにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。
図21(b)においては、第1金属ピラー45、第2金属ピラー55及び封止部80は省略されている。図21(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子122bは、半導体発光素子112bにおいて、被覆層75がさらに設けられた素子である。
【0166】
被覆層75が設けられる構成において、下地絶縁層70は必要に応じて設けられ、省略しても良い。
【0167】
本実施形態によれば、効率が高く、さらに信頼性の高い半導体発光素子が提供できる。 本実施形態に係る半導体発光素子120a〜120f、121a、121b、122a及び122bにおいて、波長変換層90をさらに設けても良い。
【0168】
実施形態に係る半導体発光素子は、例えば、照明装置や、表示装置などの光源として利用することができる。
実施形態によれば、高効率の半導体発光素子が提供される。
【0169】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0170】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0171】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれる半導体層、発光部、積層体、電極、金属ピラー、封止部、下地絶縁層、反射層、被覆層及び波長変換層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0172】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0173】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0175】
5…基板、 10…第1半導体層、 10s…外縁側面、 10t…境界側面、 11…第1部分、 12…第2部分、 13…第3部分、 15…積層体、 15a…第1主面、 15b…第2主面、 20…第2半導体層、 30…発光部、 31…障壁層、 32…井戸層、 40…第1電極、 41…n側電極、 42…n側導電層、 45…第1金属ピラー、 45e…端部、 46e…n側配線、 47b…n側接続部材、 49…第1リード電極部、 50…第2電極、 51、51a、51b、51c…p側電極、 52…p側導電層、 55、55a、55b、55c…第2金属ピラー、 55e…端部、 56e…p側配線、 57b…p側接続部材、 58…支持基板、 59…第2リード電極、 60…反射層、 61…多層誘電膜、 61a…第1誘電体層、 61b…第2誘電体層、 62…反射絶縁膜、 65a〜65c…誘電体膜、 69…反射層、 70…下地絶縁層、 75…被覆層、 80…封止部、 80f…封止絶縁膜、 80n…開口部、 80p…開口部、 90…波長変換層、 91…透光層、 95、95a…実装部品、 96…基体、 97…絶縁層、 θ…テーパ角、 110、110a〜110g、110p、111a、111b、112a、112b、119a〜119d、120a〜120f、121a、121b、122a、122b…半導体発光素子、 510、511、519…発光装置、 519a…n側ワイヤ、 519b…p側ワイヤ、 519c…n側フレーム、 519d…p側フレーム、 519e…反射容器、 519f…接続部材、 519g…蛍光体樹脂、 BL、BLi…障壁層、 CL…導電層、 L1…発光光、 L2…変換光、 Luv…紫外線、 Rf…レジスト膜、 WL、WLi…井戸層、 d1、d2…距離、 d3…長さ、 d4〜d6…径、 l1…距離、 l2、l3…長さ、 t61a、t61b…長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と、前記第1部分と並置された第2部分と、を有し、第1導電形の第1半導体層と、
第2導電形の第2半導体層と、
前記第2部分と前記第2半導体層との間に設けられた発光部と、
を含み、前記第1半導体層の側の第1主面と、前記2半導体層の側の第2主面と、を有する積層体と、
前記第1半導体層の前記第1部分の前記第2主面の側の面上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体層の前記第2主面の側の面上に設けられた第2電極と、
前記積層体の側面を覆い、絶縁性で、前記発光部から放出される発光光に対して反射性の反射層と、
前記第1電極と電気的に接続され、前記第1半導体層から前記第2半導体層に向かう第1方向に延びる第1金属ピラーと、
前記第2電極と電気的に接続され前記第1方向に延びる第2金属ピラーと、
前記第1金属ピラーの端部及び前記第2金属ピラーの端部を露出させて前記第1金属ピラー及び前記第2金属ピラーを封止する封止部と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記反射層の前記発光光に対する反射率は、前記封止部の前記発光光に対する反射率以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記積層体は、前記第1方向に見たときの外縁の外縁側面と、前記第1部分と前記第2部分と間に位置する境界側面と、を有し、
前記反射層は、前記外縁側面の少なくとも一部と、前記境界側面の少なくとも一部と、を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記反射層は、前記第1電極と前記第1金属ピラーとの間の部分を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記反射層は、前記第1電極の縁部及び側面を覆い、前記第2電極の縁部及び側面を覆い、
前記第1金属ピラーは前記反射層の一部を覆い、
前記第2金属ピラーは前記反射層の一部を覆うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つ記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記封止部は、前記反射層の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
下地絶縁層をさらに備え、
前記下地絶縁層の少なくとも一部は、前記外縁側面の前記少なくとも一部と前記反射層との間、及び、前記境界側面の前記少なくとも一部と前記反射層との間に設けられ、
前記下地絶縁層の前記発光光に対する反射率は、前記反射層の前記発光光に対する前記反射率よりも低いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記下地絶縁層は、前記第1電極の一部と、前記第2電極の一部と、を覆い、
前記反射層は、前記下地絶縁層のうちの前記第1電極の前記一部を覆う部分と、前記下地絶縁層のうちの前記第2電極の前記一部を覆う部分と、を覆うことを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記反射層は、前記下地絶縁層の側面を覆うことを特徴とする請求項7または8に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記反射層を覆う被覆層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−21175(P2013−21175A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153995(P2011−153995)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】