説明

半導体装置、デコーダ及びその製造方法

【課題】 製造が容易で安価な半導体装置を提供する。
【解決手段】 入力パッド16及び出力パッド17をそれぞれ別個に備えるスイッチ(SP3T10,13、SPPT11,12)を複数有し、複数の入力パッド16または出力パッド17の少なくとも一部は、外部で互いに電気的に共通接続されてなる構成を備えている。このように入力パッド16または出力パッド17の少なくとも一部を、外部で電気的に共通接続することで、その半導体装置が搭載される装置の仕様に応じたスイッチ構成とすることができる。従って、製造が容易で安価となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の通信装置において送信信号および受信信号を処理する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1台の携帯電話機内に2つ以上の送受信系を搭載するマルチバンド方式を採用した携帯電話機が提案されている。マルチバンド方式の携帯電話は、地域性や使用目的等に合った送受信系を選択して送受信することができるようにした利便性の高い機器として期待されている。例えば、欧州では、既に、GSM(Global System for Mobile Communications)方式とDCS(Digital Cellular System)方式とに対応可能な携帯電話が全域で普及している。
【0003】
このようなデュアルバンド方式の携帯電話では、高周波数帯域の信号と、低周波数帯域の信号とに分離するダイプレクサと、このダイプレクサに接続したスイッチとを備えている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図14を参照しながらスイッチの構成を説明する。スイッチ52は、ダイプレクサ51によって分離された周波数帯域ごとに設けられ、各周波数帯域での信号の送受信を切り替える。スイッチの一例として、2つのSP4T(Single Pole 4 Through)53、54を1チップにした構成を図9に示す。SP4Tスイッチ53、54は、1入力4出力のスイッチであって、信号を送信する時には、送信用の出力端子を入力端子に接続して、図9に示すダイプレクサ51側に出力する。また信号を受信する時には、受信用の出力端子を入力端子に接続して、ダイプレクサ51から入力した信号を選択した出力端子に接続する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−87150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スイッチ回路は、顧客からの要求に応じて出力端子数の振り分けを変更することがある。例えば、上述した(SP4T+SP4T)の構成だけでなく、(SP3T+SP5T)や(SP5T+SP3T)といった構成のスイッチが必要になる。このようなスイッチを半導体チップに形成する場合には、1種類ごとにチップパターン(マスクパターン)が必要となるので、3つのチップパターン(マスクパターン)が必要になる。このため、1種類につき1つのチップパターンを形成するため、チップ形成のプロセス工数や複数のチップパターン(マスクパターン)を形成することによる部材費が増大するという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、製造が容易で安価な半導体装置、デコーダ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために本発明の半導体装置は、入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備えるスイッチを複数有し、複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドの少なくとも一部は、外部で互いに電気的に共通接続されてなる構成を備えている。このように本発明は、入力パッドまたは出力パッドの少なくとも一部を、外部で電気的に共通接続することで、その半導体装置が搭載される装置の仕様に応じたスイッチ構成とすることができる。従って、製造が容易で安価となる。
【0009】
上記半導体装置において、前記共通接続は、共通接続されるべき前記パッドを相互に接続するワイヤによってなされてもよいし、実装基板の電極又はパッケージのリードに、前記共通接続されるべきパッドのそれぞれをワイヤ接続することでなされてもよいし、前記共通接続されるべき各パッドが接続される実装基板の配線を共通に接続することでなされてもよい。このようにして、スイッチの入力パッドまたは出力パッドを簡単に共通接続させることができる。
【0010】
本発明の半導体装置は、入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備えるスイッチを複数有し、前記複数のスイッチにおける前記入力パッド同士又は出力パッド同士の少なくとも一部は、内部配線で互いに電気的に共通接続されてなる構成を備えている。このように本発明は、入力パッドまたは出力パッドの少なくとも一部を、内部配線で電気的に共通接続することで、その半導体装置が搭載される装置の仕様に応じたスイッチ構成とすることができる。従って、製造が容易で安価となる。
【0011】
上記半導体装置において、前記共通接続された複数のスイッチの各パッドのうちいずれか一つが外部に接続されてなるとよい。また、前記外部に接続されるパッドは、実装基板の電極に直接、あるいは該実装基板の電極又はパッケージのリードにワイヤで接続されているとよい。このようにして外部との接続を簡単に取ることができる。
【0012】
また上記半導体装置において、前記外部に接続されるパッドが対応したリードと、前記外部に接続されないパッドに対応し、当該パッドとは電気的に接続されないリードとを備えているとよい。半導体装置のリードそれぞれに接続される構成において使用することができる。
【0013】
本発明のデコーダは、入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備える複数のスイッチを制御するデコーダにおいて、前記デコーダは、前記スイッチを同時に複数選択する機能を有する構成を備えている。従って、複数のスイッチを同時に選択することができる。
【0014】
上記構成のデコーダにおいて、前記デコーダと前記複数のスイッチは、1つのチップに集積化されているとよい。従って、製造プロセスを簡略化することができる。
【0015】
上記構成のデコーダにおいて、前記複数のスイッチにおける前記入力又は出力パッドの少なくとも一部を互いに共通接続する場合には、それらのスイッチを択一的に選択する機能をさらに有しているとよい。入力パッドまたは出力パッドの少なくとも一部が共通接続されたスイッチにおいて、スイッチを択一的に選択することができる。
【0016】
上記構成のデコーダにおいて、前記複数同時に選択する機能と前記択一的に選択する機能とは、別のロジックで形成されているとよい。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、入力および出力パッドをそれぞれ別個に有するスイッチを複数形成する第1ステップと、複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、該選択した前記入力パッド同士または前記出力パッド同士を電気的に共通に選択する複数のパターンと、前記入力パッドまたは前記出力パッドのすべてを共通に接続するパターンと、前記スイッチをすべて独立して外部に接続するパターンとから、少なくとも一つのパターンを品種の選択命令によって選択し、該選択したパターンでワイヤボンディングをなす第2ステップとを有している。このように本発明は、共通接続する入力パッドまたは出力パッドを選択して、外部で電気的に接続することができるので、その半導体装置が搭載される装置の仕様に応じたスイッチを簡単にしかも安価に製造することができる。
【0018】
上記半導体装置の製造方法において、前記共通に接続するワイヤボンディングは、前記複数のスイッチすべてのパッドを共通に接続するものであってもよいし、前記複数のスイッチのうち一部を共通に接続し、残部はこれら共通に接続されるスイッチとは別に、外部と接続するものであってもよい。
【0019】
上記半導体装置の製造方法において、前記第2ステップは、パッドを実装基板又はパッケージのリードに対して接続する、あるいは前記入力パッド同士又は前記出力パッド同士を接続するワイヤボンディング工程であるとよい。従って、二つの工程を同時に行なうことができるので、製造プロセスを簡略化することができる。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法は、入力および出力パッドがそれぞれ個別に接続されるべき複数のスイッチを形成する第1ステップと、複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、該選択した前記入力パッド同士または前記出力パッド同士を電気的に共通に選択する内部配線パターンを有する複数のマスクと、前記入力パッドまたは前記出力パッドのすべてを共通に接続する内部配線パターンを有するマスクと、前記スイッチをすべて独立して外部に接続する内部配線パターンのマスクとから、少なくとも一つのマスクを品種の選択命令によって選択し、該選択したマスクを用いて該当する内部配線パターンを形成する第2ステップと、前記入力及び前記出力パッドを前記複数のスイッチに対して形成する第3ステップとを有している。このように本発明は、共通接続する入力パッドまたは出力パッドを選択して、外部で電気的に接続することができるので、その半導体装置が搭載される装置の仕様に応じたスイッチを簡単にしかも安価に製造することができる。
【0021】
上記半導体装置の製造方法において、前記パターンが異なる複数種類のマスクは、それぞれで、前記複数のスイッチの入力パッド同士あるいは出力パッド同士を共通に接続する組み合わせが異なるとよい。
【0022】
上記半導体装置の製造方法において、前記第2ステップのマスクは、前記複数のスイッチを構成する半導体素子パターン上を接続する配線のマスクであるとよい。
【0023】
上記半導体装置の製造方法において、前記第2ステップのマスクは、前記第3ステップで形成される入力あるいは出力パッドの形成工程において使用されるマスクであり、前記第2ステップで形成される内部配線と前記入力あるいは出力パッドとは同時形成されるものであるとよい。従って、二つの工程を同時に行なうことができるので、製造プロセスを簡略化することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、製造が容易で安価な半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
添付図面を参照しながら本発明の最良の実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
まず、図1を参照しながら本実施例の構成を説明する。図1に示すように本実施例の半導体装置1は、入出力される信号を分波するダイプレクサ2と、信号の入出力先を切り替えるスイッチ回路3とを有している。ダイプレクサ2とスイッチ回路3とは1つの実装基板8内に搭載されている。ダイプレクサ2は図1に示すように実装基板8の実装基板端子7と、ボンディングワイヤ5によって接続を取り、外部装置に接続している。スイッチ回路3もボンディングワイヤ5によって実装基板8の実装基板端子7やコントロール端子6に接続され、外部装置に接続している。
【0027】
ダイプレクサ2は、図1に示すようにハイパスフィルタ21と、ローパスフィルタ22とを備えている。ハイパスフィルタ21は、例えば、1.5GHz以上の高周波信号を通過させる。ローパスフィルタ22は、例えば、1GHz以下の低周波信号を通過させる。ハイパスフィルタ21又はローパスフィルタ22を通過した信号は、スイッチ回路3に入力される。
【0028】
スイッチ回路3は、1つのチップ上に形成され、ダイプレクサ2や外部装置とボンディングワイヤによって電気的に接続している。チップ内の周辺部に配置したボンディング用パッド4と、実装基板8のコントロール端子6や実装基板端子7とはボンディングワイヤで接続している。コントロール端子6は、スイッチ回路3の動作を制御する信号を入力する端子である。また実装基板端子7は、半導体装置1の信号入出力となる端子である。なお、本実施例では、ダイプレクサ2とスイッチ回路3との接続はボンディングワイヤによって行なっているが、実装基板8上に配線した配線パターンによって接続することもできる。
【0029】
スイッチ回路3の詳細な構成を図2を参照しながら説明する。スイッチ回路3には、1つの入力パッド16と、n(nは正の整数)個の出力パッド17とを備えたスイッチが複数設けられている。図1に示す実施例では、出力パッド17を3つ備えたSP3Tスイッチ(Single−Pole Triple Throw)、10、13と、出力パッド17を1つ備えたSPSTスイッチ(Single Pole Single Through)11、12とがそれぞれ2つずつ設けられている。
【0030】
各スイッチ10、11、12、13の入力パッド16と、出力パッド17とは、トランジスタ18によってつながれている。トランジスタ18のゲートには抵抗19を介してデコード回路15が接続されている。デコード回路15は、図2に示すようにスイッチ回路と同じチップ内に作り込んでもよいし(1つのチップに集積化する)、スイッチ回路3の外部に設けてもよい。1つのチップに集積化することでプロセスを共通にすることができる。また、外部に設ける場合には、デコーダ回路15とスイッチを別々の材料で形成することもできる。例えば、デコーダをSiで形成し、スイッチはGaAsで形成する。
【0031】
SP3Tスイッチ10とSP3Tスイッチ13とは、高周波信号用のスイッチと、低周波信号用のスイッチとに分けられている。SP3Tスイッチ10は、ハイパスフィルタ21を通過した信号を入力して、所定の出力パッド17に信号を出力するようにスイッチングを行なう。SP3Tスイッチ13は、ローパスフィルタ22を通過した信号を入力して、所定の出力パッド17に信号を出力するようにスイッチングを行なう。
【0032】
SPSTスイッチ11、12は、システムの仕様に応じてハイパスフィルタ21を通過した高周波信号の処理用に設定することができ、またローパスフィルタ22を通過した低周波信号の処理用にも設定することができる。チップ上にSP3T10,13、SPST11,12のチップパターンを作成した後に、システム仕様に応じてSPST11,12を接続するダイプレクサ2の出力端子を決定してボンディングワイヤによって接続する。図1に示す出力端子23に接続することでハイパスフィルタ21を通過した高周波信号を処理するスイッチとすることができ、出力端子24に接続することでローパスフィルタ22を通過した低周波信号を処理するスイッチとすることができる。図1に示す配線設計では、SPSTスイッチ11は、ハイパスフィルタ21の出力端子23に接続し、SPSTスイッチ12は、ローパスフィルタ22の出力端子24に接続している。すなわち、高周波信号の処理用と、低周波信号の処理用とでスイッチの数を同数に設定している。
【0033】
また、図3に示す配線接続例では、SPSTスイッチ11、12を共にいずれか一方の信号処理用に設定している。図3(A)では、SP3T10と、SPSPT11と、SPST12とをハイパスフィルタ21の出力端子23に接続し、高周波信号の処理用に設定している。このとき低周波信号の処理用にはSP3T13だけが設定されている。また、図3(B)では、SP3T13と、SPSPT11と、SPST12とをローパスフィルタ22の出力端子24に接続し、低周波信号の処理用に設定している。このとき高周波信号の処理用にはSP3T11だけが設定されている。
【0034】
また上述した以外の構成として、例えば図4(A)に示すように入力パッド同士または出力パッド同士をワイヤ61で互いに共通接続する構成、図4(B)に示すように入力パッドまたは出力パッドと、実装基板8又はパッケージの1つのリード60とをワイヤで接続する構成、図4(C)に示すように実装基板8上に半導体装置を実装し、実装基板8のリード60を共通接続する構成などが挙げられる。
【0035】
さらに、別の構成では、図5に示すように入力パッド同士又は出力パッド同士の少なくとも一部を内部配線62で共通接続する。加えて、その入力パッド又は出力パッドのうちいずれか一つを外部で接続する。入力パッド又は出力パッドを外部接続する場合には、図6(A)に示すように入力パッドまたは出力パッドに接続したワイヤを、実装基板8の電極70に接続し、この電極70とリード60とを接続する構成、図6(B)に示すように入力パッドまたは出力パッドとリード60とをワイヤで接続する構成、図6(C)に示すように入力パッドまたは出力パッドとリード60とを実装基板8の電極70で接続する構成などが挙げられる。なお、この構成で用いる実装基板8のリード60には、図6(B)に示すように接続されないものもあるが、実装基板8は、例えば、リード60それぞれに接続される構成において使用できる。つまり、共通に実装基板8を使用できる。
【0036】
図7にデコード回路15の詳細な構成を示す。デコード回路15は、図7に示すように電圧信号V1,V2とセレクト信号とによってオンさせるスイッチを選択するものである。デコード回路15は、図7に示すようにインバータ81A,81Bと、NORゲート82A〜82Dと、ANDゲート83A〜83Gと、ORゲート84A〜84Cとを備えている。このような構成のデコード回路15で、図8(A)に示すSPSTスイッチ3つを選択する場合の電圧信号とセレクト信号との論理を図8(B)に示す。また、図9(A)に示すSPSTスイッチと、SP2Tスイッチとを選択する場合の、電圧信号とセレクト信号との論理を図9(B)に示す。なお、デコード回路15は、図7に示すものに限定されるものではなく、スイッチの構成に応じて変更することができる。
【0037】
このように本実施例は、複数のスイッチを形成し、選択的に、スイッチの入力パッドまたは出力パッドを共通に接続している。すなわち、同一パターンのスイッチを複数形成しておいて、入力パッド同士または出力パッド同士の少なくとも一部を電気的に接続する組み合わせの異なるパターンを複数設ける。または共通に接続するパターンとスイッチをすべて独立して外部に接続するパターンとを設ける。共通に接続するパターンとはスイッチの全てのパッドを共通に接続することである。また入力パッド同士または出力パッド同士の少なくとも一部を電気的に共通に接続する組み合わせの異なる複数のパターンとは、スイッチの一部は共通に接続し、残りは外部と接続するものである。このようにして、仕様に応じてスイッチの構成を変更することができる。このため同一パターンのスイッチを形成すればよいので、製造が容易で安価なスイッチを備えた半導体装置とすることができる。
【0038】
また、半導体チップ上に同一のマスクパターンでスイッチを形成し、入力パッドまたは出力パッドを共通に接続するスイッチの組み合わせを変更することで、仕様に応じたスイッチ構成とすることができる。従って、製造が容易で安価な高周波スイッチとすることができる。
【0039】
ここで、図10のフローチャートを参照しながら半導体装置の第1の製造手順を説明する。まず、実装基板8上に入力及び出力パッドをそれぞれ別個に有するスイッチを複数形成する(ステップS1)。次に、複数のスイッチの配線パターンを選択する(ステップS2)。配線パターンには、複数の入力パッドまたは出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、選択した入力パッド同士または出力パッド同士を電気的に共通に選択するパターンと、入力パッドまたは出力パッドのすべてを共通に接続するパターンと、スイッチをすべて独立して外部に接続するパターンとがある。なお、一部を選択して共通に接続するパターンは、選択する入力パッドまたは出力パッドに応じて複数備えられている。配線パターンを選択すると、選択したパターンでワイヤボンディングを行ない入力パッドまたは出力パッドをワイヤで接続する(ステップS3)。このとき、実装基板8のリードと入力パッド、出力パッドもワイヤで接続される。
【0040】
次に、図11のフローチャートを参照しながら半導体装置の第2の製造手順を説明する。まず、実装基板8上に複数のスイッチを形成する(ステップS10)。このスイッチは、図2に示すトランジスタと抵抗とを有している。次に、マスクパターンを選択する(ステップS11)。マスクパターンには、複数の入力パッドまたは出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、選択した入力パッド同士または出力パッド同士を電気的に共通に選択する内部配線パターンを有する複数のマスクと、入力パッドまたは出力パッドのすべてを共通に接続する内部配線パターンを有するマスクと、スイッチをすべて独立して外部に接続する内部配線パターンのマスクとがある。品種の選択命令に従ってマスクパターンを選択すると、選択したマスクを用いて該当する内部配線パターンを形成する(ステップS12)。なお、内部配線のマスクが複数設けられる場合、そのマスクは素子同士を接続する配線パターンのマスクでもよいし、パッドの形成工程でパッドのパターンを形成するマスクであってもよい。パッドのマスクに本発明の内部配線パターンが設けられる場合、パッドの形成とパッド間を接続する本発明の内部配線の形成は同時になる。
【0041】
なお、本実施例では、1つの実装基板8内にダイプレクサ2とスイッチ回路3とを設けているが、図12に示すようにスイッチ回路3を設けた実装基板8の外にダイプレクサ2を設けてもよい。このような構成の場合、スイッチ10、11、12、13の入力パッドと、ダイプレクサ2の出力端子23、24とは直接接続されるのではなく、実装基板8の実装基板端子7を介して接続している。実装基板端子7とダイプレクサ2のインターフェース端子とは配線14で接続される。
【0042】
また、スイッチ回路3のスイッチの構成は、図1に示す実施例の構成に限定されるものではない。例えば、図13(A)に示すスイッチ回路3は、8個のSPSTスイッチだけでスイッチ回路3を構成している。図13(A)では、両端3つずつのSPSTスイッチを高周波信号用と、低周波信号用とにそれぞれ固定し、真ん中の2つを高周波信号用と低周波信号用とで切り替え可能な構成としている。
【0043】
また、図13(B)に示すスイッチ回路3は、4個のSPDT((Single Pole Double Through)によって構成している。図13(B)では、両端のSPDTスイッチを高周波信号用と、低周波信号用とにそれぞれ固定し、真ん中の2つのSPDTスイッチを高周波信号用と低周波信号用とで切り替え可能な構成としている。
【0044】
さらに、上述した実施例では、SP8Tスイッチと同等となるなるように各スイッチの出力端子数の合計を8個としているが、出力端子数は8個に限定されるものでもはなく、例えば、6個や10個であってもよい。
【0045】
なお、上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】高周波スイッチの構成を示す図である。
【図2】スイッチ回路3の構成を示す図である。
【図3】ダイプレクサ2とスイッチ回路3との接続構成を示す図である。
【図4】入力パッド又は出力パッドの一部を共通接続した構成を示す図である。
【図5】入力パッド又は出力パッドの一部を共通接続した構成を示す図である。
【図6】入力パッド又は出力パッドの一部を共通接続した構成を示す図である。
【図7】デコード回路の構成の一例を示す図である。
【図8】(A)は、スイッチとして3つのSPSTスイッチを設けた構成を示す図であり、(B)は、各スイッチを選択するデコード回路の信号を示す図である。
【図9】(A)は、スイッチとしてSPSTスイッチとSPDTスイッチとを設けた構成を示す図であり、(B)は、各スイッチを選択するデコード回路の信号を示す図である。
【図10】製造工程を示すフローチャートである。
【図11】製造工程を示すフローチャートである。
【図12】スイッチ回路3を搭載した実装基板の外にダイプレクサを設けた構成を示す図である。
【図13】スイッチ回路3の他の構成を示す図である。
【図14】従来のスイッチの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 高周波スイッチ 2 ダイプレクサ
3 スイッチ回路 4 ボンディング用パッド
5 ボンディングワイヤ 6 コントロール端子
7 パッケージ端子 8 パッケージ
10,13 SP3T 11,12 SPST
15 デコード回路 16 入力端子
17 出力端子 18 トランジスタ
19 抵抗 21 ハイパスフィルタ
22 ローパスフィルタ 23、24 出力端子
30 アンテナ 31 RF部
32 IF部 33 ベースバンド部
34 入出力部 41 周波数混合器
42 帯域通過フィルタ 43 増幅器
44 電力増幅器 45 低雑音増幅器
46 帯域通過フィルタ 47 周波数混合器
48 中間周波数増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備えるスイッチを複数有し、
複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドの少なくとも一部は、外部で互いに電気的に共通接続されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記共通接続は、共通接続されるべき前記パッドを相互に接続するワイヤによってなされることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記共通接続は、実装基板の電極又はパッケージのリードに、前記共通接続されるべきパッドのそれぞれをワイヤ接続することでなされることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記共通接続は、前記共通接続されるべき各パッドが接続される実装基板の配線を共通に接続することでなされることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備えるスイッチを複数有し、
前記複数のスイッチにおける前記入力パッド同士又は出力パッド同士の少なくとも一部は、内部配線で互いに電気的に共通接続されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記共通接続された複数のスイッチの各パッドのうちいずれか一つが外部に接続されてなることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記外部に接続されるパッドは、実装基板の電極に直接、あるいは該実装基板の電極又はパッケージのリードにワイヤで接続されてなることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記外部に接続されるパッドが対応したリードと、
前記外部に接続されないパッドに対応し、当該パッドとは電気的に接続されないリードとを備えることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項9】
入力及び出力パッドをそれぞれ別個に備える複数のスイッチを制御するデコーダにおいて、
前記デコーダは、前記スイッチを同時に複数選択する機能を有することを特徴とするデコーダ。
【請求項10】
前記デコーダと前記複数のスイッチは、1つのチップに集積化されることを特徴とする請求項9記載のデコーダ。
【請求項11】
前記デコーダは、前記複数のスイッチにおける前記入力又は出力パッドの少なくとも一部を互いに共通接続する場合には、それらのスイッチを択一的に選択する機能をさらに有することを特徴とする請求項9記載のデコーダ。
【請求項12】
前記複数同時に選択する機能と前記択一的に選択する機能とは、別のロジックで形成されていることを特徴とする請求項11記載のデコーダ。
【請求項13】
半導体基板上に、入力および出力パッドをそれぞれ別個に有するスイッチを複数形成する第1ステップと、
複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、該選択した前記入力パッド同士または前記出力パッド同士を電気的に共通に選択する複数のパターンと、前記入力パッドまたは前記出力パッドのすべてを共通に接続するパターンと、前記スイッチをすべて独立して外部に接続するパターンとから、少なくとも一つのパターンを品種の選択命令によって選択し、該選択したパターンでワイヤボンディングをなす第2ステップとを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記共通に接続するワイヤボンディングは、前記複数のスイッチすべてのパッドを共通に接続するものであることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記共通に接続するワイヤボンディングは、前記複数のスイッチのうち一部を共通に接続し、残部はこれら共通に接続されるスイッチとは別に、外部と接続するものであることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2ステップは、パッドを実装基板又はパッケージのリードに対して接続する、あるいは前記入力パッド同士又は前記出力パッド同士を接続するワイヤボンディング工程であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
入力および出力パッドがそれぞれ個別に接続されるべき複数のスイッチを形成する第1ステップと、
複数の前記入力パッドまたは前記出力パッドのうちの少なくとも一部を選択し、該選択した前記入力パッド同士または前記出力パッド同士を電気的に共通に選択する内部配線パターンを有する複数のマスクと、前記入力パッドまたは前記出力パッドのすべてを共通に接続する内部配線パターンを有するマスクと、前記スイッチをすべて独立して外部に接続する内部配線パターンのマスクとから、少なくとも一つのマスクを品種の選択命令によって選択し、該選択したマスクを用いて該当する内部配線パターンを形成する第2ステップと、
前記入力及び前記出力パッドを前記複数のスイッチに対して形成する第3ステップとを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記パターンが異なる複数種類のマスクは、それぞれで、前記複数のスイッチの入力パッド同士あるいは出力パッド同士を共通に接続する組み合わせが異なることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第2ステップのマスクは、前記複数のスイッチを構成する半導体素子パターン上を接続する配線のマスクであることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2ステップのマスクは、前記第3ステップで形成される入力あるいは出力パッドの形成工程において使用されるマスクであり、前記第2ステップで形成される内部配線と前記入力あるいは出力パッドとは同時形成されるものであることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−229175(P2006−229175A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44820(P2005−44820)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000154325)ユーディナデバイス株式会社 (291)
【Fターム(参考)】