説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ショットキーメタルが1種類でありながらも、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリアダイオードを提供する。
【解決手段】第1導電型の半導体層2を表面に備えた半導体基板1と、半導体層2の表面から層内に延びる第2導電型の半導体領域からなるガードリング6と、ガードリング6で囲まれた半導体層表面に形成された金属層4とでショットキー接合領域を形成した半導体装置であって、ショットキー接合領域は金属層4と半導体層2との間に共晶層が形成された共晶領域7と、共晶領域7で囲まれ、金属層4と半導体層2との間に絶縁膜パターン5が介在し、共晶領域よりも共晶厚さが薄い共晶領域とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法にかかり、特に使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリア半導体装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ショットキー接合による整流特性を利用したショットキーバリア型の半導体装置として、2種類のショットキーメタルを用いて2種類のショットキーバリアダイオードを形成し、これら2種類のショットキーバリアダイオードの面積を適当に調整して並列に接続することで、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を有するショットキーバリア半導体装置を提供するものがあった(例えば、特許文献1参照)。図9(a)は、特許文献1に記載された従来のショットキーバリア半導体装置の平面図を示すものであり、図9(b)は断面図を示すものである。
【0003】
この半導体装置は、図9(a)および(b)に示すように、第1のショットキーバリアダイオードD1、第2のショットキーバリアダイオードD2を同一基板上に形成したものである。ここでは、N型半導体基板101の上に低濃度N型半導体層102が形成され、低濃度N型半導体層102の表面部には第1のショットキーバリアダイオードD1および第2のショットキーバリアダイオードD2を形成する部分をそれぞれ囲むP型半導体領域からなるガードリング106が形成され、これらガードリング106の表面部にはこれらガードリング106に沿って酸化膜103が形成され、これら酸化膜103に囲まれた2つの領域に第1のショットキーメタル104Sおよび第2のショットキーメタル104がそれぞれ積層されている。第1のショットキーバリアダイオードD1と第2のショットキーバリアダイオードD2の面積比率および第1のショットキーメタル104Sと第2のショットキーメタル104の種類を変化させることで使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリア半導体装置を提供している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−103853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記装置構成では2種類のショットキーメタルが必要となり別工程で形成しなければならないため、工程が複雑化するという課題を有する。
また、複数のショットキーバリアダイオードを搭載した半導体装置だけでなく、ディスクリート型のショットキーバリアダイオードにおいても、所望のバリアハイトを得るために、ショットキーメタルを選択しなければならないが、使用する金属材料を変えることなく所望の特性を得ることのできる半導体装置構造が望まれていた。
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、1種類のショットキーメタルを用いて、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリアダイオードを含む半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、使用するショットキーメタル材料を変更することなく、使用用途に応じて所望のバリアハイトを得ることが出来、所望の順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリアダイオードを含む半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明のショットキーバリア型の半導体装置は、第1導電型の半導体層を表面に備えた半導体基板と、前記半導体層の表面から層内に延びる第2導電型の半導体領域からなるガードリング層と、前記ガードリングで囲まれた前記半導体層表面と、前記半導体層表面に形成された金属層とでショットキー接合領域を形成した半導体装置であって、前記ショットキー接合領域は、前記金属層と前記半導体層との間に共晶層が形成された共晶領域と、前記共晶領域で囲まれ、前記金属層と前記半導体層との間に絶縁膜パターンが介在し、前記共晶領域よりも共晶厚さが薄い共晶間領域とを含むことを特徴とする。
共晶層の近傍に絶縁膜が存在すると共晶層の最外殻電子は絶縁膜に引き寄せられて安定する。よって、絶縁膜近傍のバリアハイトはその他の部分よりも高くなる。従って絶縁膜の面積が大きいとバリアハイトの高い特性が発現し、絶縁膜の面積が小さいとバリアハイトの低い特性が発現する。このように、第2の絶縁膜の近傍に存在する共晶層の最外殻電子のエネルギーは、第2の絶縁膜を構成する原子の影響を受けて変化するので、同箇所のバリアハイトは第2の絶縁膜から離れた場所の共晶層のバリアハイトとは異なる。そこで第2の絶縁膜を存在させるピッチ(面積)を変化させることで、バリアハイトを調整し、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現する半導体装置を得ることができる。ここで第2の絶縁膜を構成する原子としては、共晶層の最外殻電子を引き寄せるのに十分な大きさの電気陰性度を有する原子であれば、第2の絶縁膜が存在しない場合よりもバリアハイトを高くすることができるため、酸素、窒素の他、炭素、硫黄、ホウ素、リンなどが有効である。
【0008】
また本発明は、上記半導体装置において、前記共晶層は、前記絶縁膜パターン下でつながるように形成されたものを含む。
この構成により、ショットキー接合領域における電流路の面積を実質的に低減することなく、バリアハイトを調整することができる。
【0009】
また本発明は、上記半導体装置において、前記半導体層表面には、前記ガードリング層の一部を覆う、環状の第1の絶縁膜が形成されており、前記ショットキー接合領域の前記半導体層表面には,第2の絶縁膜からなる前記絶縁膜パターンが形成されたものを含む。
【0010】
また本発明は、上記半導体装置において、前記絶縁膜パターンは幅が数百nmよりも小さいものを含む。
絶縁膜パターンの幅が数百nm幅を超えると逆バイアス印加時に、絶縁膜パターン下の電界が強くなり、リーク電流が増大するという問題があることから、絶縁膜パターンの幅が数百nm幅を超えないようにするのが望ましい。
【0011】
また本発明は、上記半導体装置において、前記第2の絶縁膜は酸素原子を含むものを含む。
【0012】
また本発明は、上記半導体装置において、前記第2の絶縁膜は窒素原子を含むものを含む。
【0013】
また本発明は、上記半導体装置において、前記第2の絶縁膜は酸素原子及び窒素原子を含むものを含む。
【0014】
また本発明は、上記半導体装置において、前記ショットキー接合を備えたショットキーバリアダイオードを回路要素として含むものを含む。
【0015】
また本発明は、上記半導体装置において、前記半導体集積回路は、MOSFETを回路要素として含むものを含む。
【0016】
また本発明は、上記半導体装置において、第1のショットキーバリアダイオードと第2のショットキーバリアダイオードとを具備し、前記第1および第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面を構成する金属層は同一の金属層であり、前記第1のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面の第2の絶縁膜は、前記第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面の第2の絶縁膜とはパターンピッチが異なるものを含む。
【0017】
また本発明は、上記半導体装置において、前記金属層は、ニッケル、モリブデン、チタンのいずれかを含むショットキーメタル層と、アルミニウムを含む電極層とで構成されるものを含む。
【0018】
また本発明は、第1導電型の半導体層を表面に備えた半導体基板を用意する工程と、前記半導体層の表面から層内に延びる第2導電型の半導体領域からなるガードリング層を形成する工程と、前記ガードリングで囲まれた前記半導体層表面と、前記半導体層表面に形成された金属層とでショットキー接合を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であって、前記ショットキー接合を形成する工程が、前記半導体層表面に、数nmから数百nm幅の絶縁膜パターンを形成する工程と、金属層を形成する工程と、前記金属層と前記半導体層との共晶反応により、共晶層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記共晶層を形成する工程は、共晶層が前記絶縁膜パターン下でつながるように熱処理を行う工程であるものを含む。
【0020】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、第1導電型の半導体基板の上にエピタキシャル成長で前記半導体基板よりも低濃度の第1導電型の半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜にガードリング形成予定領域に対応する開口を形成し、前記半導体層を露出させる窓開け工程と、露出した前記半導体層表面に第2導電型の不純物を注入し、前記半導体層の表面から層内へ環状に延在するガードリング層を形成する工程と、前記半導体層の周縁から前記ガードリング層の一部までを覆う環状のパターンを構成するように前記第1の絶縁膜を残して、他の部分の前記第1の絶縁膜を選択的に除去する工程と、前記第1の絶縁膜を除去する工程によって露出させた前記半導体層の表面および、ガードリング層の表面に数nmから数百nmの幅の第2の絶縁膜を形成する工程と、前記半導体層の表面および前記ガードリング層の表面に金属層を形成する工程と、熱処理によって前記半導体層および前記ガードリング層と金属層との共晶層を形成する共晶層形成工程と、を含むものを含む。
【0021】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記第2の絶縁膜を形成する工程は、CVD法により絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィによりパターニングする工程であるものを含む。
【0022】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記第2の絶縁膜を形成する工程は、酸化シリコン膜を形成する工程であるものを含む。
【0023】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記第2の絶縁膜を形成する工程は、窒化シリコン膜を形成する工程であるものを含む。
【0024】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記第2の絶縁膜を形成する工程は、酸窒化シリコン膜を形成する工程であるものを含む。
【0025】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記ショットキー接合を備えたショットキーバリアダイオードを回路要素として半導体集積回路を構成するものであり、前記半導体集積回路内で用いられる金属層を用いて、前記ショットキーバリアダイオードにおけるショットキー接合の障壁高さ(バリアハイト)が所望の値となるように、前記絶縁膜パターンの大きさおよび密度を決定する工程と、前記金属層の形成に先立ち、前記半導体集積回路内で所望のバリアハイトをもつように、絶縁膜パターンを形成する工程とを含む。
【0026】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、複数のショットキーバリアダイオードを含み、前記ショットキーバリアダイオードにおけるショットキー接合の障壁高さ(バリアハイト)が所望の値となるように、ショットキーバリアダイオード毎に前記絶縁膜パターンの大きさおよび密度を決定する工程と、前記金属層の形成に先立ち、前記半導体集積回路内で所望のバリアハイトをもつように、前記絶縁膜パターンの大きさまたは密度の異なる絶縁膜パターンを形成する工程とを含む。
【0027】
また本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記金属層を形成する工程は、ニッケル、モリブデン、チタンのいずれかを含むショットキーメタル層を形成する工程と、アルミニウムを含む電極層を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、同一の金属層(ショットキーメタル)を用いながらも、バリアハイトを調整することができ、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現するショットキーバリア半導体装置およびその製造方法を提供することが可能となる。
【0029】
半導体集積回路においては、一度のメタル積層工程でMOS、および、半導体層とのオーミック接合部、および、半導体層とのショットキー接合部を同時に形成する場合がある。従来の技術では同時に形成されたショットキー接合のバリアハイトは等しくならざるを得なかったが、半導体層と金属層との間に介在させる絶縁膜のパターンを調整するのみで容易に所望のバリアハイトを得ることができる。
【0030】
本発明の半導体装置の技術を半導体集積回路に適用すれば、集積回路を構成する複数のショットキー接合をそれぞれ固有のバリアハイトとすることが可能となる。集積回路のなかでもCMOSとショットキーバリア半導体装置との複合素子において、ショットキー接合のバリアハイトをコントロールする要望が強く、本発明はこの要望に応えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における半導体装置としてのショットキーバリアダイオードは、図1(a)および(b)に示すように、ショットキー接合を形成する金属層と半導体層との間に、間欠的に数nmから数百nm幅の絶縁膜パターンが配されており、絶縁膜パターン以外の領域は共晶層が形成されるようにし、絶縁膜を存在させるピッチ(面積)を変化させることで、バリアハイトを調整したことを特徴とする。図1(a)は同ショットキーバリアダイオードの断面を示し、図1(b)はショットキーメタルを除去した状態を上面視する上面図である。
【0032】
このショットキーバリアダイオードは、図1に示すように、第1導電型の半導体層としてN−型のシリコン層2を表面に備えたN型のシリコン基板と、前記N−型のシリコン層2の表面から層内に延びるP型のシリコン領域からなるガードリング層6と、前記ガードリング層6で囲まれたN−型のシリコン層2と、N−型のシリコン層2表面に形成された金属層4であるモリブデン層とでショットキー接合を形成した半導体装置であって、前記金属層4とN−型のシリコン層2との間には、間欠的に数nmから数百nm幅の酸化シリコン膜からなる絶縁膜パターンが配されており、絶縁膜パターン5以外の領域は共晶層7としてのモリブデンシリサイド層が形成されたものである。ここで絶縁膜パターン5の幅を数nmから数百nmとしたのは、解像限界を考慮して形成しうる大きさが数nmからであり、数百nmを越えると、共晶層が形成されない領域が大きくなりすぎて、接合領域の抵抗が高くなってしまうという不都合がある。
【0033】
かかる構成によれば、この絶縁膜の近傍に存在する共晶層の最外殻電子のエネルギーは、この絶縁膜を構成する原子の影響を受けて変化するので、同箇所のバリアハイトはこの絶縁膜から離れた場所の共晶層のバリアハイトとは異なる。そこでこの絶縁膜を存在させる間隔および幅(大きさ)ひいては面積率を変化させることで、バリアハイトを調整し、使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現する半導体装置を得ることができるものである。
このようにして、絶縁膜パターン5を存在させる面積を増化させるに従い、より低リークのショットキーバリア半導体装置を得ることができる。
【0034】
次に、この様なショットキーバリアダイオードの製造方法について説明する。図2および図3を参照しつつ説明する。
図2および図3は本発明の実施の形態のショットキーバリアダイオードの製造過程の主な工程終了時点の断面を現すもので、1はN型シリコン基板、2は低濃度N型シリコン層、3はP型ガードリング層6上を含む周縁を覆う第1の絶縁膜、4はショットキー接合を形成するモリブデンなどの金属膜、5は第2の絶縁膜のパターン、7はN型シリコン層と金属膜4としてのショットキーメタルとの共晶層であるモリブデンシリサイド層を各々示している。
【0035】
まず、図2(a)に示すように、N型シリコン基板1上にエピタキシャル成長にて低濃度のN−型シリコン層2を形成し、該N−型シリコン層2の上に熱酸化法にて酸化シリコン膜を形成して第1の絶縁膜3を形成する(初期酸化工程)。
【0036】
次いで、図2(b)に示すように、初期酸化工程の後に、P型ガードリング層形成予定部の上部に位置する第1の絶縁膜3をエッチング除去して低濃度N−型シリコン層2の表面を露出させる(窓開け工程)。
【0037】
この後、図2(c)に示すように、窓開け工程の後に露出したN−型シリコン層2の表面に第1の絶縁膜3をマスクとしてP型ドーパントであるボロンを注入し、熱拡散法にてドライブ拡散を施してN−型シリコン層2の表面からN−型シリコン層2内へ環状に延在するP型ガードリング層6を形成し、N型シリコン基板1と低濃度N−型シリコン層2とP型ガードリング層6とから成る半導体基板Sを構成する(P型ガードリング層形成工程)。
【0038】
次いで、図3(a)に示すように、半導体基板Sの第一主面上に形成された該基板の周縁からP型ガードリング層6の一部までを覆う環状の第1の絶縁膜3を残して、他の部分の第1の絶縁膜3を選択的にエッチング除去してN−型シリコン層2の表面とP型ガードリング層6の表面とを露出させる(第1の絶縁膜除去工程)。
【0039】
次いで、図3(b)に示すように、熱処理あるいはCVD法によって第1の絶縁膜除去工程にて露出させたN−型シリコン層2の表面とP型ガードリング層6の表面に第2の絶縁膜5を形成し、数nmから数百nmの幅の複数の第2の絶縁膜5を残して、他の部分の第2の絶縁膜5をエッチング除去する(第2の絶縁膜形成工程)。
【0040】
そして、図3(c)に示すように、蒸着あるいはスパッタにて、第1の絶縁膜3で囲まれた複数の第2の絶縁膜5およびN−型シリコン層2の表面およびP型ガードリング層6の表面を覆い、さらに第1の絶縁膜3の周辺まで延在する金属層4としてモリブデン層を積層する(ショットキーメタル形成工程)。
【0041】
そして最後に、図3(d)に示すように、熱処理にて低濃度N−型シリコン層2およびP型ガードリング層6と金属層4との共晶層7を形成する(共晶層形成工程)。図4はその要部拡大図であり、第2の絶縁膜パターン5の間隔と大きさにより、図5にバンド図を示すようにバリアハイトが変化する。第2の絶縁膜パターン5の幅(大きさ)については共晶層形成工程における熱処理によって共晶層が前記絶縁膜パターン下でつながるように熱処理を行うようにすればよい。
【0042】
なお、本実施の形態において、N−型のシリコン層2と金属層4との間に介在させる絶縁膜として複数の第2の絶縁膜パターン5を平行に形成されたものとして説明したが、これに限定されるものでは無く、図6に変形例を示すように、点在する円状等とし、そのピッチを調整するようにしても良い。この第2の絶縁膜パターンの幅については熱処理によって共晶層が前記絶縁膜パターン下でつながるように熱処理を行うようにすればよい。
【0043】
尚、本実施の形態において、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型として説明したが、これにも限定されるものでは無く、双方を逆に反転させても良い。その場合、アノードとカソードも逆になる。
【0044】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、図7に示すように、第1および第2のショットキーバリアダイオードD1,D2を同一基板上に形成した半導体集積回路であり、同一の金属層4を用いつつも、第1のショットキーバリアダイオードD1の方が第2のショットキーバリアダイオードD2よりもバリアハイトが高くなるように形成されている。この第1および第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面を構成する金属層4は同一の金属層(モリブデン)であり、前記第1のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面の第2の絶縁膜は、前記第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合面の第2の絶縁膜とはパターンピッチが大きい。
この構成によれば、同一金属層で2種の高さのショットキー障壁を得ることができるため、金属層の形成およびパターニング工程が1回ですみ工数の低減を図ることができる。
【0045】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、図8に示すように、ショットキーバリアダイオードDと、トレンチMOSFET(MOS)とを同一基板上に形成した半導体集積回路であり、同一の金属層4を用いつつも、第1のショットキーバリアダイオードDのショットキー接合と、トレンチMOSFETのオーミック接合とを良好に形成している。このショットキーバリアダイオードのショットキー接合面を構成する金属層4と、トレンチMOSFETの電極とは同一の金属層(モリブデン)で構成されている。
【0046】
ショットキーバリアダイオードDについては、前記実施の形態1および2と同様であり説明を省略するが、MOSFETはこのN型シリコン基板1上に形成されたN型エピタキシャル成長層で構成されたドレイン領域11上にP型領域14と、P型領域14の表面上に形成されたN+ 型のソース領域13とを構成している。そして、ソース領域13及びP型領域14を貫通し且つドレイン領域11の上部に達するトレンチTが設けられ、該トレンチTの内部にはドープトポリシリコンからなる縦型のゲート電極20が埋め込まれている。この縦型のゲート電極20の最上面は、ソース領域13の存在するエピタキシャル層の表面よりも所定の深さだけ下に位置するように形成される。そして、前記トレンチTの内部における縦型のゲート電極20の上側に絶縁膜30が充填されている。また、ドレイン領域11及びP型領域14のそれぞれにおける前記トレンチの垂直な壁面となる面と、縦型のゲート電極20との間には、ゲート絶縁膜となる酸化シリコン膜40が介在している。また、エピタキシャル層Eの上には、ソース領域13に接続される金属層4からなる電極が設けられている。
この構成によれば、MOSFETのソース配線と同一金属層で所望の障壁高さのショットキー障壁を得ることができるため、金属層の形成およびパターニング工程が1回ですみ工数の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
ショットキーバリアダイオードおよびこれを用いた半導体集積回路として有用であり、特に使用用途に応じた順方向特性、逆方向特性を発現させるのに適していることからDCDC電源回路など種々のデバイスに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1におけるショットキーバリアダイオードの断面図および上面図
【図2】同ショットキーバリアダイオードの製造工程図
【図3】同ショットキーバリアダイオードの製造工程図
【図4】本発明の実施の形態1におけるショットキーバリアダイオードの要部説明図
【図5】本発明の実施の形態1におけるショットキーバリアダイオードの原理説明図
【図6】本発明の実施の形態の変形例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における半導体装置を示す断面図および上面図
【図8】本発明の実施の形態3における半導体装置を示す断面図および上面図
【図9】従来のショットキーバリア半導体装置の断面図
【符号の説明】
【0049】
1 N型半導体基板
2 低濃度N型半導体層
3 第1の絶縁膜
4 金属層
5 第2の絶縁膜
6 P型ガードリング層
7 共晶層
S 半導体基板
D1 第一のショットキーバリアダイオード
D2 第二のショットキーバリアダイオード
101 N型半導体基板
102 低濃度N型半導体層
103 酸化膜
104 第一のショットキーメタル
104s 第二のショットキーメタル
105 表面電極メタル
106 P型半導体領域
108 裏面電極メタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層を表面に備えた半導体基板と、
前記半導体層の表面から層内に延びる第2導電型の半導体領域からなるガードリング層と、
前記ガードリングで囲まれた前記半導体層表面と、前記半導体層表面に形成された金属層とでショットキー接合領域を形成した半導体装置であって、
前記ショットキー接合領域は
前記金属層と前記半導体層との間に共晶層が形成された共晶領域と、前記共晶領域で囲まれ、前記金属層と前記半導体層との間に絶縁膜パターンが介在し、前記共晶領域よりも共晶厚さが薄い共晶間領域とを含む半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記共晶層は、前記絶縁膜パターン下でつながるように形成された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記半導体層表面には、前記ガードリング層の一部を覆う、環状の第1の絶縁膜が形成されており、
前記ショットキー接合領域の前記半導体層表面には、第2の絶縁膜からなる前記絶縁膜パターンが形成された半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記絶縁膜パターンは幅が数百nmよりも小さい半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記第2の絶縁膜は酸素原子を含む半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記第2の絶縁膜は窒素原子を含む半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記第2の絶縁膜は酸素原子及び窒素原子を含む半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記ショットキー接合を備えたショットキーバリアダイオードを回路要素として含む半導体集積回路を備えた半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置であって、
前記半導体集積回路は、MOSFETを回路要素として含む半導体装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置であって、
第1のショットキーバリアダイオードと第2のショットキーバリアダイオードとを具備し、
前記第1および第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合領域を構成する金属層は同一の金属層であり、
前記第1のショットキーバリアダイオードのショットキー接合領域の第2の絶縁膜は、前記第2のショットキーバリアダイオードのショットキー接合領域の第2の絶縁膜とはパターンピッチが異なる半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記金属層は、ニッケル、モリブデン、チタンのいずれかを含むショットキーメタル層と、アルミニウムを含む電極層とで構成される半導体装置。
【請求項12】
第1導電型の半導体層を表面に備えた半導体基板を用意する工程と、
前記半導体層の表面から層内に延びる第2導電型の半導体領域からなるガードリング層を形成する工程と、
前記ガードリングで囲まれた前記半導体層表面と、前記半導体層表面に形成された金属層とでショットキー接合を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記ショットキー接合を形成する工程が、
前記半導体層表面に、絶縁膜パターンを形成する工程と、
金属層を形成する工程と、
前記金属層と前記半導体層との共晶反応により、共晶層を形成する工程とを含み、
前記金属層と前記半導体層との間に共晶層が形成された共晶領域と、前記共晶領域で囲まれ、前記金属層と前記半導体層との間に絶縁膜パターンが介在し、前記共晶領域よりも共晶厚さが薄い共晶間領域とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記共晶層を形成する工程は、共晶層が前記絶縁膜パターン下でつながるように熱処理を行う工程である半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の半導体基板の上にエピタキシャル成長で前記半導体基板よりも低濃度の第1導電型の半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜にガードリング形成予定領域に対応する開口を形成し、前記半導体層を露出させる窓開け工程と、
露出した前記半導体層表面に第2導電型の不純物を注入し、前記半導体層の表面から層内へ環状に延在するガードリング層を形成する工程と、
前記半導体層の周縁から前記ガードリング層の一部までを覆う環状のパターンを構成するように前記第1の絶縁膜を残して、他の部分の前記第1の絶縁膜を選択的に除去する工程と、
前記第1の絶縁膜を除去する工程によって露出させた前記半導体層の表面および、ガードリング層の表面に数nmから数百nmの幅の第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体層の表面および前記ガードリング層の表面に金属層を形成する工程と、
熱処理によって前記半導体層および前記ガードリング層と金属層との共晶層を形成する共晶層形成工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の絶縁膜を形成する工程は、CVD法により絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィによりパターニングする工程である半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の絶縁膜を形成する工程は、酸化シリコン膜を形成する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項12乃至15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の絶縁膜を形成する工程は、窒化シリコン膜を形成する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項12乃至15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の絶縁膜を形成する工程は、酸窒化シリコン膜を形成する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項12乃至18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ショットキー接合を備えたショットキーバリアダイオードを回路要素として半導体集積回路を構成するものであり、
前記半導体集積回路内で用いられる金属層を用いて、前記ショットキーバリアダイオードにおけるショットキー接合の障壁高さ(バリアハイト)が所望の値となるように、前記絶縁膜パターンの大きさおよび密度を決定する工程と、
前記金属層の形成に先立ち、前記半導体集積回路内で所望のバリアハイトをもつように、絶縁膜パターンを形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項12乃至19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
複数のショットキーバリアダイオードを含み、前記ショットキーバリアダイオードにおけるショットキー接合の障壁高さ(バリアハイト)が所望の値となるように、ショットキーバリアダイオード毎に前記絶縁膜パターンの大きさおよび密度を決定する工程と、
前記金属層の形成に先立ち、前記半導体集積回路内で所望のバリアハイトをもつように、前記絶縁膜パターンの大きさまたは密度の異なる絶縁膜パターンを形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項12乃至20のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記金属層を形成する工程は、ニッケル、モリブデン、チタンのいずれかを含むショットキーメタル層を形成する工程と、アルミニウムを含む電極層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−64969(P2009−64969A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231722(P2007−231722)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】