半導体装置の製造方法及び装置
【課題】原子層成長(ALD)法において、各ステップ毎にガスの流れを制御し高アスペクト構造での被覆性を向上させ、均質な成膜をウエハ全面及びシリンダー全体で得ることができる半導体製造装置を提供する。
【解決手段】半導体製造装置は、容量絶縁膜形成装置の反応室31に複数の排気管62〜65を接続し、反応室内の真空度をモニターする真空計60と、各排気管62〜65の真空度をモニターするための真空計61a〜61dと、各排気管毎に独立して排気量を調整するための圧力制御用回転式バルブ66〜69とを具備する。
【解決手段】半導体製造装置は、容量絶縁膜形成装置の反応室31に複数の排気管62〜65を接続し、反応室内の真空度をモニターする真空計60と、各排気管62〜65の真空度をモニターするための真空計61a〜61dと、各排気管毎に独立して排気量を調整するための圧力制御用回転式バルブ66〜69とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び装置に関し、更に詳しくは、原子層成長(以下、ALDと呼ぶ。ALD: Atomic Layer Deposition)法を利用して、半導体装置内に容量絶縁膜を成膜する技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
微細化技術の向上によりDRAMの高密度化が加速され、キャパシタに許容できる占有面積は減少している。一方、デバイス動作に必要な容量は維持する必要があり、世代が進むにつれて、シリンダ−を深くする等の構造(高アスペクト構造)が主流になっている。このような背景に対して従来のCVD(Chemical Vapor Deposition)法では、被覆性良く容量絶縁膜を形成することが困難になってきた。そこで近年、ALD法による成膜が行われている。ALD法は原子層毎に成膜する手法である。例えば非晶質酸化アルミニウム膜を成膜する場合には、図9に示す通り、アルミソースであるトリメチルアルミニウム(TMA)を導入するステップ(ステップB)と、酸化剤であるオゾン(O3)を導入するステップ(ステップE)とを交互に行う。また、それぞれのガス導入ステップの間には、気相中で反応しないように、真空引きステップ(ステップD及びG)と、不活性ガス(アルゴン(Ar)等)によるパージステップ(ステップA、C、F)とを行う。導入されたトリメチルアルミニウム(TMA)は、半導体基板の表面に吸着した材料のみが酸化されるため、基板表面の吸着量を最適化することで、高アスペクト構造でも緻密で良質な容量絶縁膜を形成することが可能となる。
【0003】
一方、半導体産業は価格変動が激しく、競合他社との競争に打ち勝つためには、製造コストの低減が不可欠である。このため、半導体基板の大口径化の流れが加速しているものの、半導体基板の大口径化に伴い、基板全面において一様に成膜することが困難になりつつある。特に、半導体基板全面のシリンダー底部にまで一様に成膜するために上記ALD法を用いた場合には、シリンダー底部での気相反応物の表面吸着量を同一にする必要があり、充分過ぎるほど気相反応物を供給することで表面吸着量を飽和させるか、或いは、ガス供給が全面均一になるように制御して表面吸着量を飽和領域に達しない一定量にすることが必要である。
【0004】
従来のALD装置の一例を図10に示す。図10では、形成する容量絶縁膜が非晶質酸化アルミニウム膜であり、非晶質酸化アルミニウムを形成するためのアルミソースとしてトリメチルアルミニウムを(TMA)、酸化剤としてオゾン(O3)をそれぞれ用いる。トリメチルアルミニウム(TMA)とオゾン(O3)は独立した導入管35及び36から、シャワーヘッド33を通って反応室(成膜室)31内に導入される。また各々の導入管35、36には、配管内部及び反応室31内を不活性ガスで置換できるように、アルゴン(Ar)の導入管が接続されている。また未反応ガスや反応生成物を排出するために排気管38が設けられ、この排気管38は図示しない真空排気設備に接続されている。
【0005】
排気管38の途中には圧力制御用回転式バルブ39が設置され、その開閉度を調節することで、反応室31内の圧力は0.133〜13.3Paの間で調整できる。更に、反応室31にはステージヒーター34が設けられており、処理中の半導体基板32はステージヒーター34上に設置されることで成膜温度まで加熱される。成膜温度は、形成する容量絶縁膜の種類及び半導体基板の構造に合わせて、250〜500℃の範囲で任意に選択できる。試料搬入口37を通って反応室31内に半導体基板32が搬入された後、非晶質酸化アルミニウム膜の形成を開始する。成膜後の膜厚均一性は、真空度や成膜温度、ガス流量等を調整することで対応している。
【特許文献1】特開昭63−56914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ALD処理の各ステップで供給されるガスの最適供給量が異なる場合には、ガスの流れる方向がステップ毎に異なるため、半導体基板全面で一様に成膜できない場合がある。また半導体基板表面の膜厚が均一であっても面内で膜質が異なる場合もある。更に、上述したように高アスペクト構造化が加速されている現状では、例えばシリンダー上部での膜厚、膜質は同等であっても、シリンダー底部まで充分にガスが供給されず被覆性が低下することなどが起こり得る。このような問題を解決するために、充分すぎるほどの供給飽和状態を用いる場合には、図9におけるステップB(又はE)の設定時間を数10〜数100秒、場合によってはそれ以上に設定する必要があり、装置処理能力を極端に低下させる。そのため、ガスの流れを全面均一になるよう制御し、供給飽和状態を用いずとも良質な膜が形成できる半導体製造装置が必要であるが、従来のALD装置ではガスの流れを制御することは難しい。
【0007】
一例として、従来のALD装置の上面図と側面図を図11に示す。図中矢印で示したのは、ステップB(又はE)での成膜中のガスの流れる方向であり、矢印の本数でガスの流量を示している。理想的には、反応室31中央に排気管38を設置し、反応室31内部を真円にすることで、ガスは全方位均一に流れる。しかし、実際には反応室31中央にはステージヒーター34等、重要なユニットが存在し、排気管38は反応室31の中心から外れた位置に設置されることが多い。また反応室31内部も真円とはならず様々な凹凸があるためにガスの流れに偏りが発生する。このような問題を改善するための一例として、図12に示すように、遮蔽板50を反応室31に設置している装置もある。
【0008】
遮蔽板50には、反応室31内でのガスの流れを調整するために孔径を変更した開口部が設けられ、ガスの流れを調整している。しかしながらこの構造はあくまで標準的な条件を用いた場合のみを想定しているため、標準条件から逸脱した条件を用いた場合には、やはりガスの流れに偏りが生じる。実際に遮蔽板50が設置された装置にて標準条件(条件A)で成膜した場合と、容量絶縁膜の膜質を最適にするため、標準条件から逸脱した条件(条件B)を用いた場合とについて、Al2O3膜における膜厚面内分布の傾向を測定した結果を図13(a)及び(b)に示す。標準条件(条件A)では同心円状に膜厚が変化しており、ガスが全方位均一に流れていることがわかる。しかし膜質を重視した条件(条件B)を用いた場合には、ガスの流れの偏りを反映し膜厚が変化している。このように容量絶縁膜の膜質を向上するために最適なガス供給量に設定した場合には、面内分布の均一性が崩れることがあり、それを許容できない場合には、膜質を低下させても面内均一性を向上させる条件を適用しなければならない。
【0009】
反応室内のガスの流れを均一化する技術としては、特許文献1に記載された半導体気相成長装置が知られている。該特許文献に記載の装置では、気相成長反応室に複数の排気管を設け、各排気管毎に排気量を調整するバルブを設けている。しかし、この特許文献に記載の半導体気相成長装置では、排気管に備える各バルブについての開閉度制御が成されていない。このため、この技術をALD装置に適用すると、容量絶縁膜の膜質を向上するために最適なガス供給量に設定した場合などのように、所定の標準条件を逸脱した場合には、再度バルブの開閉度調整が不可欠である。このため、成膜の処理能力が低下する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、成膜における処理能力を低下させることなく、ALD法を用いた成膜時に、各ステップ毎にガスの流れを制御し高アスペクト構造での被覆性を向上させ、均質な成膜をウエハ全面及びシリンダー全体で得ることができる半導体製造装置を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、また、ALD法において成膜時に、各ステップ毎にガスの流れを制御し、高アスペクト構造での被覆性を向上させ、均質な絶縁膜を形成できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の半導体製造装置は、気相反応物を交互に反応室に送り、半導体基板上に原子層レベルで成膜を行う枚葉式原子層成長(ALD)装置であって、
反応室内に配設され、前記半導体基板が設置されるステージと、
前記ステージの周辺に設けられ、排気量が個別に制御できる複数の排気管とを具備し、該排気管はそれぞれ、排気量を調整するためのバルブを備え、該バルブの開閉度が、該バルブの上流側に配置されて前記排気管内の真空度を計測する第1の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、気相反応物を交互に反応室に送り、原子層レベルで成膜を順次に行う原子層成長(ALD)を用いて、半導体基板上にキャパシタの容量絶縁膜を形成する、半導体装置の製造方法において、
上記本発明の半導体製造装置を用い、容量絶縁膜の形成時に気相反応物の流れる方向を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体製造装置及び方法によると、排気量が個別に制御できる複数の排気管によって反応室内のガスを排気することにより、標準条件を逸脱した場合にも、何れのステップにおいても、反応室内のガス流が制御できるので、半導体基板上に一様な厚みの容量絶縁膜の形成が可能になる。
【0015】
本発明の半導体製造装置では、前記バルブが、圧力制御用回転式バルブであり、その開度が0度から90度の範囲で任意の値に制御されてもよい。また、この前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が、前記反応室内の真空度を計測する第2の真空計の計測値に更に依存して制御されてもよい。
【0016】
前記第2の真空計の計測値が所定の設定値になるように制御され、且つ、各排気管に流れ込む排気量が同じになるように前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が個別に制御されてもよい。この場合、バルブの開閉度制御が簡素化できる。
【0017】
前記排気管はそれぞれ、排気量を調整するための圧力制御用回転式バルブと、前記圧力制御用回転式バルブをバイパスするバイパスラインとを具備してもよい。迅速な制御が可能になる。
【0018】
前記バイパスラインは、アイソレーションバルブを具備しており、該アイソレーションバルブの開閉が、前記第2の真空計の計測値に依存して制御されてもよい。この場合、制御が単純化できる。
【0019】
ALDの成膜に寄与するステップでは、前記アイソレーションバルブを閉じて圧力制御用回転式バルブにより気相反応物の流れを制御し、成膜に寄与しないステップでは、前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気してもよい。
【0020】
前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気している間に圧力制御用回転式バルブの開閉度を次のステップの最適値に変更するよう制御してもよい。制御のスピードが向上する。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法では、前記容量絶縁膜を形成するプロセス条件作成時に、ALDの各ステップで気相反応物の流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順を実施してもよい。
【0022】
また、前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物と同じであってもよい。正確な最適化が容易になる。
【0023】
或いは、上記に代えて、前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で供給するガスは、半導体製造装置に接続されている任意のガスを用いてもよい。開閉度最適化手順が簡素化される。
【0024】
また、前記容量絶縁膜形成時に圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を、各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を変更してもよい。
【0025】
或いは、上記に代えて、前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を各ステップの切り替わるタイミングに合わせて、反応室に設置された真空計の計測値と、各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御してもよい。
【0026】
更には、前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を最適値まで変更した後、反応室に設置された真空計の計測値と各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御してもよい。特に、正確な制御が可能になる。
【0027】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップで行ってもよい。或いは、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップの前後のステップで行ってもよい。この場合、前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を完全解放に設定してもよい。
【0028】
また、前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を、次のステップのバルブ開閉度最適値に設定してもよい。この場合、制御が迅速になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を以下に詳述する。なお、全図を通して、同様な要素には同様な符号を付して示している。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体製造装置におけるALD装置を示し、同図(a)はその上面図、同図(b)は図(a)のB−B線断面図である。本実施形態では、全ての成膜条件下においてガスの流れを全方位均一に制御できる容量絶縁膜形成が可能な半導体製造装置、特に枚様式原子層成長(ALD)装置の構造、及び、その容量絶縁膜形成方法について述べる。
【0031】
本実施形態におけるALD装置は、同じ径の排気管を最低2つ以上(図1の例では4本)具備し、全ての排気管62〜65は、その内部に、排気圧力調節用の真空計61a〜61dと、圧力制御用回転式バルブ66〜69とを備えている。排気管62〜65は、反応室31内又は反応室31外で、排気管38に集約されて、図示しない真空排気設備に接続されている。このとき集約される排気管は、図に示すように1本でも良いし、或いは、複数本でもよい。また、各排気管62〜65が集約されずに、それぞれ単独で真空排気設備に接続されてもよい。
【0032】
排気管62〜65の排気圧力は、各排気管に取り付けられている真空計61a〜61dの値が同一になるように、各圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を調節することで制御される。このとき、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度は、0〜90度の範囲で最適な値に設定される。例えば0度に設定されると、排気管は完全に閉塞した状態であり、90度に設定されると、排気管は完全に開放した状態になる。図2は、図1のALD装置の一部を模式的に示す系統図である。図2に示すように、反応室31内の真空度は真空計60でモニターされ、その計測値が制御装置70に送られる。更に排気管62の排気圧力をモニターする真空計61aの計測値も、同様に制御装置70に送られる。制御装置70は、真空計60の計測値が予め定められた設定圧力になるように制御すると共に、真空計61aの計測値が他の排気管をモニターする真空計61b〜61dの計測値と同じになるように、圧力制御用回転式バルブ66の開閉度を調節する。図2では、排気管62のみを図示しているが、他の排気管63〜65も、排気管62と同様に制御装置70を用いて制御している。
【0033】
通常、ALDプロセスは、図9に示すタイミングチャートに従って処理が進められる。ステップB及びEでは、ガスの流れが均一になるように制御することが重要である。一方、その他のステップでは、可能な限り速やかに反応室31内に残留する未反応ガス又は反応生成物を排出することが重要であり、このときには、ガスの流れを制御する必要はない。また、ステップB及びEでは、異なる材料を供給するため、最適なガスの流量が異なる。従って、複数の排気管を接続しても、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を、全てのステップで同一に固定すると、ガスの流れを全方位均一にすることができない。つまり、各ステップ毎に最適バルブ開閉度に制御することが必要である。以下、同装置を用いた容量絶縁膜形成方法について詳述する。
【0034】
第1の段階として、各ステップでのガスの流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度最適化を実施する。まず、容量絶縁膜の形成時に必要なパラメータ(成膜温度、反応室31の真空度等)を設定した後に、ステップB(又はE)で供給されるガス流量の総量と同量のガスを反応室31内に供給し、各配管の真空計61a〜61dの計測値が同じになるように、各排気管62〜65のバルブの開閉度を制御する。このとき、反応室31に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物(TMA又はO3)でもよく、或いは、アルゴンガス等の不活性ガスやO2等の、ALD装置に接続されている任意のガスで実施することも可能である。
【0035】
通常は、第1の段階ではアルゴンガス等の不活性ガスを用いる。また、反応室31内の真空度は、反応室31内をモニターする真空計60の値が、予め設定された値になるように制御される。反応室31内のガスの流れが均一になり、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値が同じになるバルブ開閉度を最適開閉度とする。図3にステップB及びEの最適開閉度の一例を示す。同図(a)は、回転式バルブの状態を示し、また、同図(b)はステップBにおける最適開閉度を、同図(c)はステップEにおける最適開閉度を示す。図3に示す最適開閉度を決定した後に、その最適開閉度を、ステップB及びステップEの圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度として、これらのステップに設定する。ガスの流れを制御しない他のステップでのバルブ開閉度は、可能な限り速やかに排気するために、完全開放に設定する。なお、完全開放の設定に代えて、次のステップの最適開閉度と同じにしても良い。
【0036】
図4(a)は、本実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャートの一例を示す。また、図4(b)は、各ステップにおける圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を示す。圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度変更には、約2秒程度の時間が必要であるが、開閉度変更は、成膜に影響を与えるステップB及びE以外のステップで実施するため、バルブ動作中のガスの流量が制御できない時間は、成膜特性に影響を与えない。図4(b)の表中に、矢印で表記した部分はバルブ開閉動作状態を意味する。ステップA及びDでは、そのステップ処理時間内の最後の2秒間でバルブ開閉度が変更される。また、ステップC及びFでは、ステップ処理時間内の最初の2秒間で開閉度が変更される。なお、開閉度変更のタイミングは、成膜特性に影響を与えないステップB及びE以外の各ステップ中であれば、どの段階で実施しても構わない。
【0037】
図5(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャートの別例、及び、その各ステップにおける圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を示す。この例では、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を変更することを目的としたステップ(ステップAA、BB、DD、EE)を、対象とするステップの前後に追加している。先の例のように、第1の段階で最適開閉度を決定した後に、作成した成膜条件を用いて第2段階に移行し、面内均一性確認のため、半導体基板への成膜を行う。半導体基板への成膜時には、第1の段階で決定した最適開閉度の値となるように、ステップの切り替わりに同期して圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度が変更される。
【0038】
なお、バルブ開閉度最適化の手順(第1の段階)を行わず、各ステップに切り替わる度に、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と、反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開閉度に制御することも可能である。この場合、例えば、特定の1つの圧力制御用回転式バルブの開度を固定し、他の圧力制御用回転式バルブを、各排気管の真空計の計測値に従って制御し、反応室の真空計の計測値が所望の圧力に制御できるか否かを調べる。所望の値に制御できれば、反応室の真空計の計測値が予め設定された値になるように前記特定の圧力制御用回転式バルブの開閉度を制御し、他の圧力制御用回転式バルブを、対応する真空計の計測値に従って制御する。
【0039】
第1の段階を実施して得られた最適開閉度の値を基本にしながら、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開閉度になるように微調整することも可能である。半導体基板への成膜後に膜厚や面内均一性を評価し、所望の結果が得られれば処理条件作成は完了する。また、得られた結果に問題があれば、真空度やガス流量等を変更した後に、第1の段階を再度実施し、変更後のパラメータに合わせた最適開閉度を設定する。
【0040】
各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開放度に制御する場合には、各パラメータを変更して第2段階のみを実施する。上記第1及び第2段階を、所望の結果が得られるまで繰り返すことで、最終的に最適処理条件が確定する。ここで作成された処理条件を用いることで全方位均一にガスの流れを制御することが可能となる。
【0041】
各ステップでのガスの流れを制御するために、具体的には枚葉式ALD装置の反応室31に複数の排気管を接続し、更に各排気管の排気量を調整するための真空計と圧力制御用回転式バルブ39とを排気管毎に取り付ける。この圧力制御用回転式バルブ39の開閉度は、各排気管に取り付けられた真空計の計測値が同じになるように、制御装置により制御され、その結果として反応室31内のガスの流れは全方位均一にできる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図6(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置のALD装置を示す上面図、及び、そのB−B線における断面を示す断面図である。複数の排気管62〜65が接続され、各排気管62〜65が排気量調節用の真空計61a〜61dと圧力制御用回転式バルブ66〜69とを具備している点は、第1の実施形態と同じである。本実施形態は、圧力制御用回転式バルブ66〜69をバイパスするバイパスライン90a〜90dを具備する点において、第1の実施形態と異なる。このバイパスライン90a〜90dには、アイソレーションバルブ91a〜91dが取り付けられており、このバルブを開閉することで圧力制御用回転式バルブ66〜69の完全開放と同等の効果が得られる。
【0043】
図6(b)の図面上では、排気管62にのみバイパスライン90aが付属する旨が示されているが、実際には接続されている全ての排気管62〜65にバイパスライン90a〜90dが付属している。また、アイソレーションバルブ91a〜91dは、図面上ではバイパスライン90a〜90dの上流部入口付近に図示されているが、バイパスライン90a〜90dのどの部分に存在してもよく、或いは、複数設置することも可能である。図7は、圧力制御用回転式バルブ66〜69及びバイパスライン90a〜90dに付属するアイソレーションバルブ91a〜91dの制御を示し、同図(a)はステップB(又はE)を、同図(b)はステップB及びE以外を示す。具体的には、バイパスライン90a〜90dに付属するアイソレーションバルブ91a〜91dは、圧力制御用回転式バルブ66〜69の制御装置70で制御され、ガスの流れを制御する必要がない各ステップ(ステップA、C、D、F、G)において、圧力制御用回転式バルブ66〜69を制御する代わりにアイソレーションバルブ91a〜91dの開閉を制御する。
【0044】
図8(a)及び(b)は、第2の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、及び、その各ステップにおけるバルブの開閉状態を示す表である。アイソレーションバルブ91a〜91dの開閉に必要な時間は1秒弱であり、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度調整時間と比べて速く、開放にした後はバイパスライン90a〜90d側の抵抗が小さいため、ガスはバイパスライン90a〜90dを通って排気される。バイパスライン90a〜90dのアイソレーションバルブ91a〜91dが開放されている間に、圧力制御用回転式バルブ66〜69は次のステップの最適開放度に調整され、アイソレーションバルブ91a〜91dを閉じることで、直ぐに次のステップの最適状態に移ることが可能となる。容量絶縁膜形成方法は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0045】
上記実施形態の半導体製造装置のALDプロセスでは、以下の効果が得られる。
(1) ALD法を用いた成膜において、各ステップ毎にガスの流れを制御できるため、半導体基板全面に気相反応物を一様に供給することが可能になる。
(2) 上記(1)の効果により、気相反応物を排気する場合の排気速度が向上するため、半導体製造装置の処理能力が向上する。
(3) 上記(1)の効果により、容量絶縁膜の膜質が最適になる条件を用いることが可能になり、半導体装置(DRAMなど)の性能が向上する。
(4) 上記(1)の効果により、容量絶縁膜の特性が面内で一様となり、半導体装置(DRAMなど)の生産性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、半導体装置を製造する際に使用する枚葉式ALD装置に適用され、これによってDRAMやDRAMを含む混載LSIが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るALD装置の上面図と断面図。
【図2】第1の実施形態における圧力制御用回転式バルブの制御を示す系統図。
【図3】(a)は、第1の実施形態におけるステップB(又はE)における圧力制御用回転式バルブの開閉度の設定を示す側面図、(b)及び(c)はそれぞれ、ステップB及びEの最適開閉度の設定を示す表。
【図4】(a)は第1の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、(b)はそのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図5】(a)は第1の実施形態の変形例におけるALD法のタイミングチャート、(b)そのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図6】第2の実施形態に係るALD装置の上面図及び断面図。
【図7】(a)及び(b)は、それぞれ第2の実施形態におけるステップB(又はE)、及び、ステップB・E以外における圧力制御用回転式バルブの開閉度の設定を示す側面図。
【図8】(a)は第2の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、(b)はそのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図9】第2の実施形態の変形例におけるALD法のタイミングチャート。
【図10】従来のALD装置の斜視図。
【図11】従来のALD装置の上面図及び断面図。
【図12】遮蔽板を有する従来のALD装置の上面図及び断面図。
【図13】Al2O3膜の膜厚の面内分布を示す線図。
【符号の説明】
【0048】
31:反応室
32:半導体基板
33:シャワーヘッド
34:ステージヒーター
35:トリメチルアルミニウム導入管
36:オゾン導入管
37:試料搬入口
38:排気管
39:圧力制御用回転式バルブ
50:遮蔽板
60:反応室用真空計
61a,61b,61c,61d:排気管モニター用真空計
62,63,64,65:排気管
66,67,68,69:圧力制御用回転式バルブ
70:制御装置
90a,90b,90c,90d:バイパスライン
91a,91b,91c,91d:アイソレーションバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び装置に関し、更に詳しくは、原子層成長(以下、ALDと呼ぶ。ALD: Atomic Layer Deposition)法を利用して、半導体装置内に容量絶縁膜を成膜する技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
微細化技術の向上によりDRAMの高密度化が加速され、キャパシタに許容できる占有面積は減少している。一方、デバイス動作に必要な容量は維持する必要があり、世代が進むにつれて、シリンダ−を深くする等の構造(高アスペクト構造)が主流になっている。このような背景に対して従来のCVD(Chemical Vapor Deposition)法では、被覆性良く容量絶縁膜を形成することが困難になってきた。そこで近年、ALD法による成膜が行われている。ALD法は原子層毎に成膜する手法である。例えば非晶質酸化アルミニウム膜を成膜する場合には、図9に示す通り、アルミソースであるトリメチルアルミニウム(TMA)を導入するステップ(ステップB)と、酸化剤であるオゾン(O3)を導入するステップ(ステップE)とを交互に行う。また、それぞれのガス導入ステップの間には、気相中で反応しないように、真空引きステップ(ステップD及びG)と、不活性ガス(アルゴン(Ar)等)によるパージステップ(ステップA、C、F)とを行う。導入されたトリメチルアルミニウム(TMA)は、半導体基板の表面に吸着した材料のみが酸化されるため、基板表面の吸着量を最適化することで、高アスペクト構造でも緻密で良質な容量絶縁膜を形成することが可能となる。
【0003】
一方、半導体産業は価格変動が激しく、競合他社との競争に打ち勝つためには、製造コストの低減が不可欠である。このため、半導体基板の大口径化の流れが加速しているものの、半導体基板の大口径化に伴い、基板全面において一様に成膜することが困難になりつつある。特に、半導体基板全面のシリンダー底部にまで一様に成膜するために上記ALD法を用いた場合には、シリンダー底部での気相反応物の表面吸着量を同一にする必要があり、充分過ぎるほど気相反応物を供給することで表面吸着量を飽和させるか、或いは、ガス供給が全面均一になるように制御して表面吸着量を飽和領域に達しない一定量にすることが必要である。
【0004】
従来のALD装置の一例を図10に示す。図10では、形成する容量絶縁膜が非晶質酸化アルミニウム膜であり、非晶質酸化アルミニウムを形成するためのアルミソースとしてトリメチルアルミニウムを(TMA)、酸化剤としてオゾン(O3)をそれぞれ用いる。トリメチルアルミニウム(TMA)とオゾン(O3)は独立した導入管35及び36から、シャワーヘッド33を通って反応室(成膜室)31内に導入される。また各々の導入管35、36には、配管内部及び反応室31内を不活性ガスで置換できるように、アルゴン(Ar)の導入管が接続されている。また未反応ガスや反応生成物を排出するために排気管38が設けられ、この排気管38は図示しない真空排気設備に接続されている。
【0005】
排気管38の途中には圧力制御用回転式バルブ39が設置され、その開閉度を調節することで、反応室31内の圧力は0.133〜13.3Paの間で調整できる。更に、反応室31にはステージヒーター34が設けられており、処理中の半導体基板32はステージヒーター34上に設置されることで成膜温度まで加熱される。成膜温度は、形成する容量絶縁膜の種類及び半導体基板の構造に合わせて、250〜500℃の範囲で任意に選択できる。試料搬入口37を通って反応室31内に半導体基板32が搬入された後、非晶質酸化アルミニウム膜の形成を開始する。成膜後の膜厚均一性は、真空度や成膜温度、ガス流量等を調整することで対応している。
【特許文献1】特開昭63−56914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ALD処理の各ステップで供給されるガスの最適供給量が異なる場合には、ガスの流れる方向がステップ毎に異なるため、半導体基板全面で一様に成膜できない場合がある。また半導体基板表面の膜厚が均一であっても面内で膜質が異なる場合もある。更に、上述したように高アスペクト構造化が加速されている現状では、例えばシリンダー上部での膜厚、膜質は同等であっても、シリンダー底部まで充分にガスが供給されず被覆性が低下することなどが起こり得る。このような問題を解決するために、充分すぎるほどの供給飽和状態を用いる場合には、図9におけるステップB(又はE)の設定時間を数10〜数100秒、場合によってはそれ以上に設定する必要があり、装置処理能力を極端に低下させる。そのため、ガスの流れを全面均一になるよう制御し、供給飽和状態を用いずとも良質な膜が形成できる半導体製造装置が必要であるが、従来のALD装置ではガスの流れを制御することは難しい。
【0007】
一例として、従来のALD装置の上面図と側面図を図11に示す。図中矢印で示したのは、ステップB(又はE)での成膜中のガスの流れる方向であり、矢印の本数でガスの流量を示している。理想的には、反応室31中央に排気管38を設置し、反応室31内部を真円にすることで、ガスは全方位均一に流れる。しかし、実際には反応室31中央にはステージヒーター34等、重要なユニットが存在し、排気管38は反応室31の中心から外れた位置に設置されることが多い。また反応室31内部も真円とはならず様々な凹凸があるためにガスの流れに偏りが発生する。このような問題を改善するための一例として、図12に示すように、遮蔽板50を反応室31に設置している装置もある。
【0008】
遮蔽板50には、反応室31内でのガスの流れを調整するために孔径を変更した開口部が設けられ、ガスの流れを調整している。しかしながらこの構造はあくまで標準的な条件を用いた場合のみを想定しているため、標準条件から逸脱した条件を用いた場合には、やはりガスの流れに偏りが生じる。実際に遮蔽板50が設置された装置にて標準条件(条件A)で成膜した場合と、容量絶縁膜の膜質を最適にするため、標準条件から逸脱した条件(条件B)を用いた場合とについて、Al2O3膜における膜厚面内分布の傾向を測定した結果を図13(a)及び(b)に示す。標準条件(条件A)では同心円状に膜厚が変化しており、ガスが全方位均一に流れていることがわかる。しかし膜質を重視した条件(条件B)を用いた場合には、ガスの流れの偏りを反映し膜厚が変化している。このように容量絶縁膜の膜質を向上するために最適なガス供給量に設定した場合には、面内分布の均一性が崩れることがあり、それを許容できない場合には、膜質を低下させても面内均一性を向上させる条件を適用しなければならない。
【0009】
反応室内のガスの流れを均一化する技術としては、特許文献1に記載された半導体気相成長装置が知られている。該特許文献に記載の装置では、気相成長反応室に複数の排気管を設け、各排気管毎に排気量を調整するバルブを設けている。しかし、この特許文献に記載の半導体気相成長装置では、排気管に備える各バルブについての開閉度制御が成されていない。このため、この技術をALD装置に適用すると、容量絶縁膜の膜質を向上するために最適なガス供給量に設定した場合などのように、所定の標準条件を逸脱した場合には、再度バルブの開閉度調整が不可欠である。このため、成膜の処理能力が低下する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、成膜における処理能力を低下させることなく、ALD法を用いた成膜時に、各ステップ毎にガスの流れを制御し高アスペクト構造での被覆性を向上させ、均質な成膜をウエハ全面及びシリンダー全体で得ることができる半導体製造装置を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、また、ALD法において成膜時に、各ステップ毎にガスの流れを制御し、高アスペクト構造での被覆性を向上させ、均質な絶縁膜を形成できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の半導体製造装置は、気相反応物を交互に反応室に送り、半導体基板上に原子層レベルで成膜を行う枚葉式原子層成長(ALD)装置であって、
反応室内に配設され、前記半導体基板が設置されるステージと、
前記ステージの周辺に設けられ、排気量が個別に制御できる複数の排気管とを具備し、該排気管はそれぞれ、排気量を調整するためのバルブを備え、該バルブの開閉度が、該バルブの上流側に配置されて前記排気管内の真空度を計測する第1の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、気相反応物を交互に反応室に送り、原子層レベルで成膜を順次に行う原子層成長(ALD)を用いて、半導体基板上にキャパシタの容量絶縁膜を形成する、半導体装置の製造方法において、
上記本発明の半導体製造装置を用い、容量絶縁膜の形成時に気相反応物の流れる方向を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体製造装置及び方法によると、排気量が個別に制御できる複数の排気管によって反応室内のガスを排気することにより、標準条件を逸脱した場合にも、何れのステップにおいても、反応室内のガス流が制御できるので、半導体基板上に一様な厚みの容量絶縁膜の形成が可能になる。
【0015】
本発明の半導体製造装置では、前記バルブが、圧力制御用回転式バルブであり、その開度が0度から90度の範囲で任意の値に制御されてもよい。また、この前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が、前記反応室内の真空度を計測する第2の真空計の計測値に更に依存して制御されてもよい。
【0016】
前記第2の真空計の計測値が所定の設定値になるように制御され、且つ、各排気管に流れ込む排気量が同じになるように前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が個別に制御されてもよい。この場合、バルブの開閉度制御が簡素化できる。
【0017】
前記排気管はそれぞれ、排気量を調整するための圧力制御用回転式バルブと、前記圧力制御用回転式バルブをバイパスするバイパスラインとを具備してもよい。迅速な制御が可能になる。
【0018】
前記バイパスラインは、アイソレーションバルブを具備しており、該アイソレーションバルブの開閉が、前記第2の真空計の計測値に依存して制御されてもよい。この場合、制御が単純化できる。
【0019】
ALDの成膜に寄与するステップでは、前記アイソレーションバルブを閉じて圧力制御用回転式バルブにより気相反応物の流れを制御し、成膜に寄与しないステップでは、前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気してもよい。
【0020】
前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気している間に圧力制御用回転式バルブの開閉度を次のステップの最適値に変更するよう制御してもよい。制御のスピードが向上する。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法では、前記容量絶縁膜を形成するプロセス条件作成時に、ALDの各ステップで気相反応物の流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順を実施してもよい。
【0022】
また、前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物と同じであってもよい。正確な最適化が容易になる。
【0023】
或いは、上記に代えて、前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で供給するガスは、半導体製造装置に接続されている任意のガスを用いてもよい。開閉度最適化手順が簡素化される。
【0024】
また、前記容量絶縁膜形成時に圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を、各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を変更してもよい。
【0025】
或いは、上記に代えて、前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を各ステップの切り替わるタイミングに合わせて、反応室に設置された真空計の計測値と、各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御してもよい。
【0026】
更には、前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を最適値まで変更した後、反応室に設置された真空計の計測値と各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御してもよい。特に、正確な制御が可能になる。
【0027】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップで行ってもよい。或いは、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップの前後のステップで行ってもよい。この場合、前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を完全解放に設定してもよい。
【0028】
また、前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を、次のステップのバルブ開閉度最適値に設定してもよい。この場合、制御が迅速になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を以下に詳述する。なお、全図を通して、同様な要素には同様な符号を付して示している。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体製造装置におけるALD装置を示し、同図(a)はその上面図、同図(b)は図(a)のB−B線断面図である。本実施形態では、全ての成膜条件下においてガスの流れを全方位均一に制御できる容量絶縁膜形成が可能な半導体製造装置、特に枚様式原子層成長(ALD)装置の構造、及び、その容量絶縁膜形成方法について述べる。
【0031】
本実施形態におけるALD装置は、同じ径の排気管を最低2つ以上(図1の例では4本)具備し、全ての排気管62〜65は、その内部に、排気圧力調節用の真空計61a〜61dと、圧力制御用回転式バルブ66〜69とを備えている。排気管62〜65は、反応室31内又は反応室31外で、排気管38に集約されて、図示しない真空排気設備に接続されている。このとき集約される排気管は、図に示すように1本でも良いし、或いは、複数本でもよい。また、各排気管62〜65が集約されずに、それぞれ単独で真空排気設備に接続されてもよい。
【0032】
排気管62〜65の排気圧力は、各排気管に取り付けられている真空計61a〜61dの値が同一になるように、各圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を調節することで制御される。このとき、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度は、0〜90度の範囲で最適な値に設定される。例えば0度に設定されると、排気管は完全に閉塞した状態であり、90度に設定されると、排気管は完全に開放した状態になる。図2は、図1のALD装置の一部を模式的に示す系統図である。図2に示すように、反応室31内の真空度は真空計60でモニターされ、その計測値が制御装置70に送られる。更に排気管62の排気圧力をモニターする真空計61aの計測値も、同様に制御装置70に送られる。制御装置70は、真空計60の計測値が予め定められた設定圧力になるように制御すると共に、真空計61aの計測値が他の排気管をモニターする真空計61b〜61dの計測値と同じになるように、圧力制御用回転式バルブ66の開閉度を調節する。図2では、排気管62のみを図示しているが、他の排気管63〜65も、排気管62と同様に制御装置70を用いて制御している。
【0033】
通常、ALDプロセスは、図9に示すタイミングチャートに従って処理が進められる。ステップB及びEでは、ガスの流れが均一になるように制御することが重要である。一方、その他のステップでは、可能な限り速やかに反応室31内に残留する未反応ガス又は反応生成物を排出することが重要であり、このときには、ガスの流れを制御する必要はない。また、ステップB及びEでは、異なる材料を供給するため、最適なガスの流量が異なる。従って、複数の排気管を接続しても、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を、全てのステップで同一に固定すると、ガスの流れを全方位均一にすることができない。つまり、各ステップ毎に最適バルブ開閉度に制御することが必要である。以下、同装置を用いた容量絶縁膜形成方法について詳述する。
【0034】
第1の段階として、各ステップでのガスの流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度最適化を実施する。まず、容量絶縁膜の形成時に必要なパラメータ(成膜温度、反応室31の真空度等)を設定した後に、ステップB(又はE)で供給されるガス流量の総量と同量のガスを反応室31内に供給し、各配管の真空計61a〜61dの計測値が同じになるように、各排気管62〜65のバルブの開閉度を制御する。このとき、反応室31に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物(TMA又はO3)でもよく、或いは、アルゴンガス等の不活性ガスやO2等の、ALD装置に接続されている任意のガスで実施することも可能である。
【0035】
通常は、第1の段階ではアルゴンガス等の不活性ガスを用いる。また、反応室31内の真空度は、反応室31内をモニターする真空計60の値が、予め設定された値になるように制御される。反応室31内のガスの流れが均一になり、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値が同じになるバルブ開閉度を最適開閉度とする。図3にステップB及びEの最適開閉度の一例を示す。同図(a)は、回転式バルブの状態を示し、また、同図(b)はステップBにおける最適開閉度を、同図(c)はステップEにおける最適開閉度を示す。図3に示す最適開閉度を決定した後に、その最適開閉度を、ステップB及びステップEの圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度として、これらのステップに設定する。ガスの流れを制御しない他のステップでのバルブ開閉度は、可能な限り速やかに排気するために、完全開放に設定する。なお、完全開放の設定に代えて、次のステップの最適開閉度と同じにしても良い。
【0036】
図4(a)は、本実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャートの一例を示す。また、図4(b)は、各ステップにおける圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を示す。圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度変更には、約2秒程度の時間が必要であるが、開閉度変更は、成膜に影響を与えるステップB及びE以外のステップで実施するため、バルブ動作中のガスの流量が制御できない時間は、成膜特性に影響を与えない。図4(b)の表中に、矢印で表記した部分はバルブ開閉動作状態を意味する。ステップA及びDでは、そのステップ処理時間内の最後の2秒間でバルブ開閉度が変更される。また、ステップC及びFでは、ステップ処理時間内の最初の2秒間で開閉度が変更される。なお、開閉度変更のタイミングは、成膜特性に影響を与えないステップB及びE以外の各ステップ中であれば、どの段階で実施しても構わない。
【0037】
図5(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャートの別例、及び、その各ステップにおける圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を示す。この例では、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度を変更することを目的としたステップ(ステップAA、BB、DD、EE)を、対象とするステップの前後に追加している。先の例のように、第1の段階で最適開閉度を決定した後に、作成した成膜条件を用いて第2段階に移行し、面内均一性確認のため、半導体基板への成膜を行う。半導体基板への成膜時には、第1の段階で決定した最適開閉度の値となるように、ステップの切り替わりに同期して圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度が変更される。
【0038】
なお、バルブ開閉度最適化の手順(第1の段階)を行わず、各ステップに切り替わる度に、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と、反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開閉度に制御することも可能である。この場合、例えば、特定の1つの圧力制御用回転式バルブの開度を固定し、他の圧力制御用回転式バルブを、各排気管の真空計の計測値に従って制御し、反応室の真空計の計測値が所望の圧力に制御できるか否かを調べる。所望の値に制御できれば、反応室の真空計の計測値が予め設定された値になるように前記特定の圧力制御用回転式バルブの開閉度を制御し、他の圧力制御用回転式バルブを、対応する真空計の計測値に従って制御する。
【0039】
第1の段階を実施して得られた最適開閉度の値を基本にしながら、各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開閉度になるように微調整することも可能である。半導体基板への成膜後に膜厚や面内均一性を評価し、所望の結果が得られれば処理条件作成は完了する。また、得られた結果に問題があれば、真空度やガス流量等を変更した後に、第1の段階を再度実施し、変更後のパラメータに合わせた最適開閉度を設定する。
【0040】
各排気管62〜65に取り付けられた真空計61a〜61dの計測値と反応室31内を制御する真空計60の計測値とを用いて、常時最適開放度に制御する場合には、各パラメータを変更して第2段階のみを実施する。上記第1及び第2段階を、所望の結果が得られるまで繰り返すことで、最終的に最適処理条件が確定する。ここで作成された処理条件を用いることで全方位均一にガスの流れを制御することが可能となる。
【0041】
各ステップでのガスの流れを制御するために、具体的には枚葉式ALD装置の反応室31に複数の排気管を接続し、更に各排気管の排気量を調整するための真空計と圧力制御用回転式バルブ39とを排気管毎に取り付ける。この圧力制御用回転式バルブ39の開閉度は、各排気管に取り付けられた真空計の計測値が同じになるように、制御装置により制御され、その結果として反応室31内のガスの流れは全方位均一にできる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図6(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置のALD装置を示す上面図、及び、そのB−B線における断面を示す断面図である。複数の排気管62〜65が接続され、各排気管62〜65が排気量調節用の真空計61a〜61dと圧力制御用回転式バルブ66〜69とを具備している点は、第1の実施形態と同じである。本実施形態は、圧力制御用回転式バルブ66〜69をバイパスするバイパスライン90a〜90dを具備する点において、第1の実施形態と異なる。このバイパスライン90a〜90dには、アイソレーションバルブ91a〜91dが取り付けられており、このバルブを開閉することで圧力制御用回転式バルブ66〜69の完全開放と同等の効果が得られる。
【0043】
図6(b)の図面上では、排気管62にのみバイパスライン90aが付属する旨が示されているが、実際には接続されている全ての排気管62〜65にバイパスライン90a〜90dが付属している。また、アイソレーションバルブ91a〜91dは、図面上ではバイパスライン90a〜90dの上流部入口付近に図示されているが、バイパスライン90a〜90dのどの部分に存在してもよく、或いは、複数設置することも可能である。図7は、圧力制御用回転式バルブ66〜69及びバイパスライン90a〜90dに付属するアイソレーションバルブ91a〜91dの制御を示し、同図(a)はステップB(又はE)を、同図(b)はステップB及びE以外を示す。具体的には、バイパスライン90a〜90dに付属するアイソレーションバルブ91a〜91dは、圧力制御用回転式バルブ66〜69の制御装置70で制御され、ガスの流れを制御する必要がない各ステップ(ステップA、C、D、F、G)において、圧力制御用回転式バルブ66〜69を制御する代わりにアイソレーションバルブ91a〜91dの開閉を制御する。
【0044】
図8(a)及び(b)は、第2の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、及び、その各ステップにおけるバルブの開閉状態を示す表である。アイソレーションバルブ91a〜91dの開閉に必要な時間は1秒弱であり、圧力制御用回転式バルブ66〜69の開閉度調整時間と比べて速く、開放にした後はバイパスライン90a〜90d側の抵抗が小さいため、ガスはバイパスライン90a〜90dを通って排気される。バイパスライン90a〜90dのアイソレーションバルブ91a〜91dが開放されている間に、圧力制御用回転式バルブ66〜69は次のステップの最適開放度に調整され、アイソレーションバルブ91a〜91dを閉じることで、直ぐに次のステップの最適状態に移ることが可能となる。容量絶縁膜形成方法は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0045】
上記実施形態の半導体製造装置のALDプロセスでは、以下の効果が得られる。
(1) ALD法を用いた成膜において、各ステップ毎にガスの流れを制御できるため、半導体基板全面に気相反応物を一様に供給することが可能になる。
(2) 上記(1)の効果により、気相反応物を排気する場合の排気速度が向上するため、半導体製造装置の処理能力が向上する。
(3) 上記(1)の効果により、容量絶縁膜の膜質が最適になる条件を用いることが可能になり、半導体装置(DRAMなど)の性能が向上する。
(4) 上記(1)の効果により、容量絶縁膜の特性が面内で一様となり、半導体装置(DRAMなど)の生産性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、半導体装置を製造する際に使用する枚葉式ALD装置に適用され、これによってDRAMやDRAMを含む混載LSIが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るALD装置の上面図と断面図。
【図2】第1の実施形態における圧力制御用回転式バルブの制御を示す系統図。
【図3】(a)は、第1の実施形態におけるステップB(又はE)における圧力制御用回転式バルブの開閉度の設定を示す側面図、(b)及び(c)はそれぞれ、ステップB及びEの最適開閉度の設定を示す表。
【図4】(a)は第1の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、(b)はそのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図5】(a)は第1の実施形態の変形例におけるALD法のタイミングチャート、(b)そのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図6】第2の実施形態に係るALD装置の上面図及び断面図。
【図7】(a)及び(b)は、それぞれ第2の実施形態におけるステップB(又はE)、及び、ステップB・E以外における圧力制御用回転式バルブの開閉度の設定を示す側面図。
【図8】(a)は第2の実施形態におけるALDプロセスのタイミングチャート、(b)はそのときの圧力制御用回転式バルブの開閉度を示す表。
【図9】第2の実施形態の変形例におけるALD法のタイミングチャート。
【図10】従来のALD装置の斜視図。
【図11】従来のALD装置の上面図及び断面図。
【図12】遮蔽板を有する従来のALD装置の上面図及び断面図。
【図13】Al2O3膜の膜厚の面内分布を示す線図。
【符号の説明】
【0048】
31:反応室
32:半導体基板
33:シャワーヘッド
34:ステージヒーター
35:トリメチルアルミニウム導入管
36:オゾン導入管
37:試料搬入口
38:排気管
39:圧力制御用回転式バルブ
50:遮蔽板
60:反応室用真空計
61a,61b,61c,61d:排気管モニター用真空計
62,63,64,65:排気管
66,67,68,69:圧力制御用回転式バルブ
70:制御装置
90a,90b,90c,90d:バイパスライン
91a,91b,91c,91d:アイソレーションバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相反応物を交互に反応室に送り、半導体基板上に原子層レベルで成膜を行う枚葉式原子層成長(ALD)装置であって、
反応室内に配設され、前記半導体基板が設置されるステージと、
前記ステージの周辺に設けられ、排気量が個別に制御できる複数の排気管とを具備し、該排気管はそれぞれ、排気量を調整するためのバルブを備え、該バルブの開閉度が、該バルブの上流側に配置されて前記排気管内の真空度を計測する第1の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記バルブが、圧力制御用回転式バルブであり、その開度が0度から90度の範囲で任意の値に制御されることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が、前記反応室内の真空度を計測する第2の真空計の計測値に更に依存して制御されることを特徴とする、請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第2の真空計の計測値が所定の設定値になるように制御され、且つ、各排気管に流れ込む排気量が同じになるように前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が個別に制御されることを特徴とする、請求項3に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記排気管にはそれぞれ、前記圧力制御用回転式バルブをバイパスするバイパスラインが付属することを特徴とする、請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記バイパスラインは、アイソレーションバルブを具備しており、該アイソレーションバルブの開閉が、前記第2の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする、請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
ALDの成膜に寄与するステップでは、前記アイソレーションバルブを閉じて圧力制御用回転式バルブにより気相反応物の流れを制御し、成膜に寄与しないステップでは、前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気することを特徴とする、請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気している間に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を次のステップの最適値に変更するよう制御することを特徴とする、請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
気相反応物を交互に反応室に送り、原子層レベルで成膜を順次に行う原子層成長(ALD)を用いて、半導体基板上にキャパシタの容量絶縁膜を形成する、半導体装置の製造方法において、
請求項2〜8の何れか一に記載の半導体製造装置を用い、容量絶縁膜の形成時に気相反応物の流れる方向を制御することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記容量絶縁膜を形成するプロセス条件作成時に、ALDの各ステップで気相反応物の流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順を実施することを特徴とする、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物と同じであることを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、半導体製造装置に接続されている任意のガスを用いることを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を、各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を変更することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を各ステップの切り替わるタイミングに合わせて、反応室に設置された真空計の計測値と、各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を最適値まで変更した後、反応室に設置された真空計の計測値と各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップで行うことを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップの前後のステップで行うことを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を完全解放に設定することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を、次のステップのバルブ開閉度最適値に設定することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
気相反応物を交互に反応室に送り、半導体基板上に原子層レベルで成膜を行う枚葉式原子層成長(ALD)装置であって、
反応室内に配設され、前記半導体基板が設置されるステージと、
前記ステージの周辺に設けられ、排気量が個別に制御できる複数の排気管とを具備し、該排気管はそれぞれ、排気量を調整するためのバルブを備え、該バルブの開閉度が、該バルブの上流側に配置されて前記排気管内の真空度を計測する第1の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記バルブが、圧力制御用回転式バルブであり、その開度が0度から90度の範囲で任意の値に制御されることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が、前記反応室内の真空度を計測する第2の真空計の計測値に更に依存して制御されることを特徴とする、請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第2の真空計の計測値が所定の設定値になるように制御され、且つ、各排気管に流れ込む排気量が同じになるように前記圧力制御用回転式バルブの開閉度が個別に制御されることを特徴とする、請求項3に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記排気管にはそれぞれ、前記圧力制御用回転式バルブをバイパスするバイパスラインが付属することを特徴とする、請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記バイパスラインは、アイソレーションバルブを具備しており、該アイソレーションバルブの開閉が、前記第2の真空計の計測値に依存して制御されることを特徴とする、請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
ALDの成膜に寄与するステップでは、前記アイソレーションバルブを閉じて圧力制御用回転式バルブにより気相反応物の流れを制御し、成膜に寄与しないステップでは、前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気することを特徴とする、請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記アイソレーションバルブを開放しバイパスラインを用いて排気している間に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を次のステップの最適値に変更するよう制御することを特徴とする、請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
気相反応物を交互に反応室に送り、原子層レベルで成膜を順次に行う原子層成長(ALD)を用いて、半導体基板上にキャパシタの容量絶縁膜を形成する、半導体装置の製造方法において、
請求項2〜8の何れか一に記載の半導体製造装置を用い、容量絶縁膜の形成時に気相反応物の流れる方向を制御することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記容量絶縁膜を形成するプロセス条件作成時に、ALDの各ステップで気相反応物の流れを均一にするため、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順を実施することを特徴とする、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、実際の成膜に用いる気相反応物と同じであることを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で反応室に供給するガスは、半導体製造装置に接続されている任意のガスを用いることを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を、各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を変更することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度を各ステップの切り替わるタイミングに合わせて、反応室に設置された真空計の計測値と、各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記容量絶縁膜形成時に、圧力制御用回転式バルブの開閉度最適化の手順で決定された開閉度最適値を各ステップの開閉度設定パラメータとして使用し、各ステップの切り替わるタイミングに合わせて圧力制御用回転式バルブの開閉度を最適値まで変更した後、反応室に設置された真空計の計測値と各排気管毎に設置された真空計の計測値とを用いて、開閉度を制御することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップで行うことを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記容量絶縁膜形成時の圧力制御用回転式バルブの開閉度の変更は、容量絶縁膜の成膜に寄与しないステップの前後のステップで行うことを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を完全解放に設定することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記容量絶縁膜形成時の成膜に寄与しないステップの圧力制御用回転式バルブの開閉度を、次のステップのバルブ開閉度最適値に設定することを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−177501(P2008−177501A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11784(P2007−11784)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
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