説明

半導体装置の製造方法

【課題】パターンの異なる複数のマスクの情報を考慮したプロセス制御が可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】次に処理を施す半導体ウェーハを選択し、処理装置の装置情報および選択された半導体ウェーハと同種の半導体ウェーハの処理結果に基づいて、半導体ウェーハを処理する第1処理条件を算出するステップと、第1処理条件に、半導体ウェーハにパターンを形成したマスクに対して予め定められた補正値を加算し、第2処理条件を算出するステップと、第2処理条件に従って、半導体ウェーハを処理するステップと、半導体ウェーハの処理結果を求め、処理結果を平均した第1平均値を求めるステップと、第1平均値と、第1平均値の履歴を平均した第2平均値との差を示すマスク誤差を求めるステップと、マスク誤差のマスク間バラツキが小さくなるように、処理時間と処理結果との関係から補正値を修正するステップとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置を製造する際に、APC(Advanced Process Control)システムを用い、処理装置の特性変動や外部環境の変動を打ち消すようにプロセス条件を制御し、プロセスの再現性を高めていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に開示された半導体装置の製造方法は、製造実行システムと製造設備がLAN接続したネットワークの経路にプロセス制御システムを挿入する工程と、プロセス制御システムでロットの前工程の処理結果を取得し処理レシピを書き換える工程と、プロセス制御システムから製造設備に書き換えた処理レシピを送信する工程とを具備している。
ロットの前工程の処理結果であるウェーハ情報を取得するステップが含まれているのでウェーハ状態を考慮したプロセス制御を行い、ウェーハ毎にレシピを変更するプロセス制御に対応している。
【0004】
然しながら、特許文献1に開示された半導体装置の製造方法は、同一パターンが形成されたウェーハを処理する場合を想定しているので、同一処理装置で互いに異なるパターンが形成されたウェーハを処理し、少量多品種の半導体装置を製造する場合には適用が難しいという問題がある。
【0005】
即ち、少量多品種の半導体装置を製造する場合、処理装置には多品種のウェーハを確実に処理できることが求められる。
例えば、処理装置がエッチング装置である場合、異なるマスクパターンが形成されたウェーハを処理しても、所望の仕上がり寸法が得られるようにプロセスを制御することが必要である。
【0006】
然しながら、過去のインラインQCの寸法データを利用する場合に、マスクパターンの差によりプロセスの制御精度が悪化し、所望の仕上がり寸法が得られないという問題がある。
【0007】
一方、複数種の半導体装置を効率的に生産する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に開示された半導体装置の製造方法は、加工済みの製品種「A」の半導体ウェーハのマスクデータおよび実測残膜厚値に基づき、基礎式に含まれるパラメータの値を、CMP装置の特性を再現するように決定し、次に加工対象となる製品種「B」の半導体ウェーハのマスクデータと、パラメータ値を定めた基礎式とを用いて、製品種「B」の半導体ウェーハの最適研磨時間を予測している。以降、加工対象となる製品種が切り替わるごとに同様な処理を実行し、最適研磨時間を予測している。
【0008】
然しながら、特許文献2に開示された半導体装置の製造方法は、異なる品種の処理結果を次の品種の処理に利用しているので、処理手順、および処理装置が大掛かりになるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−202821号公報
【特許文献2】特開2003−347258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、互いに異なるパターンを有する複数のマスクの情報を考慮して、効率的に複数種の半導体装置を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、互いに異なるパターンを有する複数のマスクを用いて、複数の半導体ウェーハに互いに異なるパターンを形成し、前記複数の半導体ウェーハに処理を施して、種類の異なる複数の半導体装置を製造する方法であって、前記複数の半導体ウェーハの内から次に処理を施す半導体ウェーハを選択し、処理装置の装置情報および選択された前記半導体ウェーハと同種の半導体ウェーハの処理結果に基づいて、選択された前記半導体ウェーハを処理する第1処理条件を算出するステップと、前記第1処理条件に、前記複数のマスクの内から選択された前記半導体ウェーハに前記パターンを形成したときに用いたマスクに対して予め定められた補正値を加算し、第2処理条件を算出するステップと、前記第2処理条件に従って、選択された前記半導体ウェーハを処理するステップと、選択された前記半導体ウェーハの処理結果を求め、前記処理結果を平均した第1平均値を求めるステップと、前記第1平均値と、前記第1平均値の履歴を平均した第2平均値との差を示すマスク誤差を求めるステップと、前記マスク誤差の前記複数のマスク間バラツキが小さくなるように、処理時間と処理結果との関係から、前記補正値を修正するステップと、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに異なるパターンを有する複数のマスクの情報を考慮して、効率的に複数種の半導体装置を製造する方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について、図1乃至図7を用いて説明する。図1は本実施例の半導体装置の製造システムを示すブロック図、図2は半導体装置の製造方法を示すフローチャート、図3は半導体ウェーハの処理結果を求める検査パターンを示す図、図4は処理時間と処理結果との関係を示す図、図5は半導体ウェーハの処理結果の平均値を処理順に示すチャート図、図6乃至図8は半導体ウェーハの処理結果の平均値をマスク別に示すチャートである。
本実施例は、処理がRIE(Reactive Ion Etching)装置による異方性エッチングであり、処理結果が半導体ウェーハに転写されたパターンの幅である場合の例である。
【0014】
図1に示すように、本実施例の半導体装置の製造システム10は、APC(Advanced Process Control)システム12から処理装置11に処理レシピを送信し、処理レシピに基づいて半導体ウェーハを処理して半導体装置を製造するシステムである。
【0015】
即ち、半導体装置の製造システム10は、処理装置11と、処理装置11に処理レシピを送信するAPCシステム12と、処理装置11の処理結果を計測する検査装置13と、処理結果を蓄積するデータベース14と、処理装置11、APCシステム12、検査装置13およびデータベース14と通信し、ロット管理を含めて全体を統轄管理する製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)15と、を具備している。
【0016】
APCシステム12は、処理装置11の処理レシピの変更指示を行い、処理装置から装置情報の実処理データや処理中の時系列データを取得することができる。
【0017】
検査装置13は処理装置11に取り付けていつどの製造装置で処理されたかが分かるようして、半導体ウェーハ毎に処理結果を計測することができる。
得られた計測値は、APCシステム12およびMES15を通じてデータベース14に保管される。
【0018】
従って、データベース14には、互いに異なるパターンを有する複数のマスクを用いて、互いに異なるパターンが形成された複数の半導体ウェーハに処理を施したときの処理結果が、マスク別に紐付けして保管されている。更に、そのときの処理装置11の装置情報が履歴として保管されている。
【0019】
次に、本実施例の半導体装置の製造方法を、フローチャートを用いて説明する。図2は半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、始めに互いに異なるパターンを有する複数のマスクを用いて、フォトリソグラフィ法により互いに異なるパターンが形成された複数の半導体ウェーハを準備する(ステップS01)。ここでのパターンとは、エッチングのマスク材のパターンのことである。
次に、複数の半導体ウェーハの内から次にエッチングを施す半導体ウェーハを選択する(ステップS02)。
【0020】
次に、処理装置11(以後、エッチング装置という)の装置情報、および選択された半導体ウェーハと同種の半導体ウェーハの処理結果(以後、過去のエッチング結果という)に基づいて、選択された半導体ウェーハをエッチングする第1処理条件を算出する(ステップS03)。
【0021】
エッチング装置11の装置情報とは、各種の半導体ウェーハをエッチングした時のプロセスパラメータの履歴で、エッチング中の半導体ウェーハの温度、反応容器内の圧力、ガス流量、電圧、電流、消費電力の少なくともいずれかの時系列データ、または温度、圧力、電力の処理中の平均値、最大値、最小値の少なくともいずれかの統計データである。
RIE装置では、同種の半導体ウェーハを連続してエッチングする場合に、装置情報を管理することにより、再現性のあるエッチングが可能である。
【0022】
過去のエッチング結果とは、選択された半導体ウェーハと同種の半導体ウェーハを過去にエッチングした結果の履歴で、1ラン前のエッチング結果である前回のエッチング結果、または過去の複数ランのエッチング結果の移動平均値などを意味している。
【0023】
第1エッチング条件とは、過去のエッチング結果と所望のエッチング結果とのズレ量を求め、装置情報からエッチング速度の変動量を予測し、所望の仕上がり幅が得られるように1ラン前のエッチング時間を修正することにより定めたエッチング時間を含む処理レシピのことである。
【0024】
図3は半導体ウェーハのエッチング結果を計測する検査パターンを示す図である。
図3に示すように、検査パターン20は、例えば幅Wが100nmの短冊状の検査マークである。エッチング装置11に取り付けられたスキャトロメトリなどの計測器により、検査マーク20の幅Wが計測される。
検査パターン20の両側には、パターン密度を調整するために検査パターン20と同じパターンを有するダミーパターン21、22が配置されている。
【0025】
図4はスリミングRIE工程におけるエッチング時間と、パターンの仕上がり幅との関係を示す図である。
図4に示すように、スリミングRIE工程においては、エッチング時間に応じて側面のエッチングが進むので、パターンの幅を狭めることができる。エッチング時間とパターンの仕上がり幅との関係は、2次関数で近似される。
【0026】
これにより、所望の仕上がり幅か得られるようにRIE工程の最適エッチング時間を予想して、第1エッチング条件を算出する。
【0027】
次に、第1エッチング条件に、複数のマスクの内から選択された半導体ウェーハにパターンを形成したときに用いたマスクに対して予め定められた補正値を加算し、第2処理条件を算出する(ステップS04)。
ここで、補正値とはマスクのパターンの違いに応じてマスク別に定められた処理時間の微調整量であり、詳細は後述する。
【0028】
次に、APCシステム12は、第2エッチング条件をエッチング装置11に送信する(ステップS05)。
次に、第2エッチング条件に従って、選択された半導体ウェーハをエッチングする(ステップS06)。
次に、選択された半導体ウェーハに転写されたパターンの幅を測定し、測定結果を統計処理、例えば平均して第1平均値を求め(ステップS07)、得られた寸法データをデータベース14に転送する(ステップS08)。
【0029】
次に、第1平均値と第1平均値の履歴を平均した第2平均値との差を求め、その差をマスク誤差とする(ステップS09)。
次に、第1平均値の複数のマスク間バラツキが小さくなるように、エッチング時間と仕上がり寸法との関係からエッチング時間を修正し、補正値を更新する(ステップS10)。
【0030】
具体的には、例えば互いに異なるパターン幅を有する3種類のマスク(マスクA、マスクB、マスクC)と、3種類のマスクを用いて、互いに異なるマスクパターンが形成された3種類の半導体ウェーハの場合を考える。
【0031】
図5は3種類の半導体ウェーハの第1平均値を処理順に示すチャートで、図中の白丸がマスクA、四角がマスクB、三角がマスクCの結果を示している。図6乃至図8は半導体ウェーハの第1平均値をマスク別に示すチャートで、図6がマスクAのチャート、図7がマスクBのチャート、図8がマスクCのチャートである。
【0032】
図5に示すように、エッチングはマスク順でABCABBCAACABCCABABCABのように行われている。全種類の半導体ウェーハの第1平均値は管理値(100±10nm)に収まっているが、周期的なうねりが見られる。
【0033】
図6に示すように、マスクAにおいては、第1平均値は、100nm、第2平均値は100nmであり、その差のマスク誤差Eaはゼロである。
図7に示すように、マスクBにおいては、第1平均値は、104nm、第2平均値は98nmであり、その差のマスク誤差Ebは+6nmである。
図8に示すように、マスクCにおいては、第1平均値は、96nm、第2平均値は102nmであり、その差のマスク誤差Ecは−6nmである。
【0034】
図9はマスクA、B、Cにおける半導体ウェーハの処理結果の第1平均値の分布を示す図で、実線がマスクAの第1平均値の分布、一転鎖線がマスクBの第1平均値の分布、破線がマスクCの第1平均値の分布を示している。
図9に示すように、マスクA、B、Cの分布のピーク値が第2平均値に相当し、分布のピーク値からのズレがマスク誤差に相当する。
【0035】
マスク誤差Ea、Eb、Ecの平均をEとすると、マスク誤差のマスク間バラツキ、例えば標準偏差σは、次式で表わされる。
σ=√(((Ea−E)+(Eb−E)+(Ec−E))/3)
本実施例では、σ=4.8nmであり、マスク誤差のマスク間バラツキσが小さくなるように、図4に示す処理時間と処理結果との関係に基づいてマスク毎に補正値に修正を施す。
【0036】
例えば、マスクAにおいては、マスク誤差Eaが平均値Eに等しいので、補正値を修正する必要はなく、処理時間は変更しない。
マスクBにおいては、マスク誤差Ebが平均値Eより大きいので、補正値を修正するに際し、パターン幅が6nmではなく、4.8nmだけ小さくなるように処理時間を短くする。
同様に、マスクCにおいては、マスク誤差Ecが平均値Eより小さいので、補正値を修正するに際し、パターン幅が6nmではなく、4.8nmだけ大きくなるように処理時間を長くする。
【0037】
上述したように修正された補正値を第1処理条件に加算して第2処理条件を算出し、半導体ウェーハの処理を繰り返すことにより、マスク誤差の複数のマスク間バラツキを小さくすることが可能であり、少量多品種ラインおいて、安定した寸法精度を確保することができる。
【0038】
エッチング装置11が複数台、例えば1号機と2号機がある場合は、マスクAのマスク誤差Eaを、エッチング装置毎に求めたマスク誤差の平均値とし、Ea=(Ea1+Ea2)/2としてもよい。
ここで、Ea1はマスクAの1号機におけるマスク誤差、Ea2はマスクAの2号機におけるマスク誤差である。
【0039】
これにより、各エッチング装置11の固有の癖などが平均化されるので、各エッチング装置11においてマスク誤差Eaを共用し、処理手順などが簡素化できる利点がある。マスクB、マスクCについても同様であり、その説明は省略する。
【0040】
以上説明したように、本実施例の半導体装置の製造方法は、処理装置の装置情報、および選択された半導体ウェーハの過去の処理結果に基づいて、第1処理条件を算出し、第1処理条件にマスク別に予め定められた補正値を加算して第2処理条件を算出し、第2処理条件に従って、選択された半導体ウェーハを処理し、処理結果を平均した第1平均値と第1平均値の履歴を平均した第2平均値との差のマスク誤差を求め、マスク誤差の複数のマスク間バラツキが小さくなるように、処理時間と処理結果との関係から、補正値を修正している。
【0041】
その結果、少量多品種ラインで、複数のマスクを使用して同じ処理レシピ毎に寸法制御の行なうAPCにおいて、その処理レシピでの平均寸法値と、個々のマスク毎の寸法平均値との差を、マスク差として実績寸法から自動算出が可能となる。このマスク差は、新しいマスクで処理した場合でも、次回処理分から補正値が自動算出されるため、メンテナンスフリーで、マスク毎の処理条件補正値を管理することができる。
【0042】
互いに異なるパターンを有するマスクを混用した場合でも、実績に応じてマスクごとの寸法誤差を自動計算し、次回処理時にその寸法誤差を考慮して処理条件を自動補正することで、少量多品種ラインでも安定した寸法精度を確保できる。
従って、互いに異なるパターンを有する複数のマスクの情報を考慮して、効率的に複数種の半導体装置を製造する方法が得られる。
【0043】
更に、本実施例において、次処理ウェーハの最適なエッチング条件を算出するステップを、ロット毎あるいは指定した時間毎に実施することができる。
これにより、枚葉処理工程において、ウェーハ毎あるいは、ロット毎に処理条件の補正が可能となる。
【0044】
マスク間差を算出する際に、装置別に同レシピの平均値を算出し、対象マスクとの差をマスク差として使用することができる。
これにより、装置間差を考慮して、マスク差を算出することが可能となる。
【0045】
同処理装置の特定処理レシピでの平均寸法を算出する際、指定した期間(処理日時)または処理回数を基準に寸法データを取得することができる。
これにより、処理レシピ毎の平均寸法を算出する際、期間や処理回数を可変させることで、最適なマスク毎の処理条件補正値を算出することが可能となる。
【0046】
現在のエッチング装置の状態を表す装置情報は、処理中に得られる温度、圧力、電力などの時系列データ、あるいは、それらの処理中の装置情報を平均値、最大値、最小値などの統計値に変換した値を使用することができる。
これにより、製造装置の状態を表す装置情報を、APCの制御パラメータに使用することで、装置状態の揺らぎとマスク差の切り分けが可能となる。
【0047】
次処理ウェーハの最適なエッチング条件を算出するステップにおいて、マスク別に寸法補正値あるいは、エッチング時間補正値としてデータベースで管理している。
これにより、マスク別の処理条件補正値をデータベース管理ですることで、マスク別の補正値の管理が可能となる。
【0048】
対象マスクの平均寸法を求めるステップにおいて、指定した期間(処理日時)または処理回数を基準に寸法データを取得することができる。
これにより、対象マスクの平均値を、期間または処理回数で可変させることで、生産規模に応じたマスク補正値の調整が可能となる。
【0049】
マスク間差を算出する際、処理号機毎に、同号機の同処理レシピでの寸法平均値との差を算出し、号機毎のマスク差を平均化して使用することができる。
これにより、処理号機毎のマスク補正値を平均化させることで、処理号機間差とマスク間差を分けて管理が可能となる。
【0050】
現在のエッチング装置の状態を表す装置情報は、APCシステムあるいは、専用のデータ取得ツールを使用して、処理装置/ロット/ウェーハ情報と紐付けをして、データベースに保管し、次回エッチング条件算出の際に使用することができる。
これにより、装置情報を処理装置、ロット、ウェーハ情報と紐付けしてデータベース管理することで、APCの制御状態と装置状態の変化を同時管理が可能となる。
【0051】
号機毎のマスク差を平均化するステップで、マスク差の算出を寸法測定データ後、自動計算させ、データベースで管理することができる。
これにより、マスク差を計算するタイミングを、寸法測定データ取得後に実施することで、次回処理時にすみやかに処理条件の転送が可能となる。
【0052】
マスク差を算出するステップにおいて、初期値はマスク検査データなどを固定値として設定することができる。
これにより、マスク差の補正値は、初期値をマスク毎に持たせることで、1回目処理時からマスク差を考慮した制御が可能となる。
【実施例2】
【0053】
本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法について、図10を用いて説明する。図10は処理時間と処理結果との関係を示す図である。
【0054】
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施例が実施例1と異なる点は、処理が化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)であり、処理結果を半導体ウェーハに転写されたパターンのポリッシュ膜厚としたことにある。
【0055】
即ち、本実施例の半導体装置の製造方法は、処理装置11をCMP装置とし、第1処理条件をポリッシュ時間とすることにより、実施例1と同様に実行することができる。
図10に示すように、CMPでは常時新しいスラリーが供給され、ポリッシュ時間に応じてポリッシュが進行する。ポリッシュ時間とポリッシュ量との関係は、1次関数で近似される。
【0056】
以上説明したように、本実施例の半導体装置の製造方法は、CMP工程において、互いに異なるパターンを有するマスクを混用した場合でも、実績に応じてマスクごとのポリッシュレートを自動計算し、次回処理時にそのポリッシュレートの誤差を考慮して処理条件を自動補正することで、少量多品種ラインでも安定した膜厚精度を確保できる利点がある。
【実施例3】
【0057】
本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法について、図11を用いて説明する。図11は処理時間と処理結果との関係を示す図である。
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施例が実施例1と異なる点は、処理がフォトリソグラフィであり、処理結果を半導体ウェーハ上のレジスト膜に転写されたパターンの幅としたことにある。
【0058】
即ち、本実施例の半導体装置の製造方法は、処理装置11を露光装置とし、第1処理条件を露光時間とすることにより、実施例1と同様に実行することができる。
図11に示すように、露光時間に応じてレジストの硬化が進むので、パターンの幅を狭めることができる。露光時間とパターンの幅との関係は、2次関数で近似される。
【0059】
以上説明したように、本実施例の半導体装置の製造方法は、フォトリソグラフィ工程において、互いに異なるパターンを有するマスクを混用した場合でも、実績に応じてマスクごとの寸法誤差を自動計算し、次回処理時にその寸法誤差を考慮して処理条件を自動補正することで、少量多品種ラインでも安定した寸法精度を確保できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造システムを示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例1に係る処理結果を求める検査パターンを示す図。
【図4】本発明の実施例1に係る処理時間と処理結果との関係を示す図。
【図5】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの処理結果の第1平均値を処理順に示すチャート。
【図6】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの処理結果の第1平均値をマスク別に示すチャート。
【図7】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの処理結果の第1平均値をマスク別に示すチャート。
【図8】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの処理結果の第1平均値をマスク別に示すチャート。
【図9】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの処理結果の第1平均値の分布を示す図。
【図10】本発明の実施例2に係る処理時間と処理結果との関係を示す図。
【図11】本発明の実施例3に係る処理時間と処理結果との関係を示す図。
【符号の説明】
【0061】
10 半導体装置の製造システム
11 処理装置
12 APCシステム
13 検査装置
14 データベース
15 製造実行システム(MES)
20 検査パターン
21、22 ダミーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるパターンを有する複数のマスクを用いて、複数の半導体ウェーハに互いに異なるパターンを形成し、前記複数の半導体ウェーハに処理を施して、種類の異なる複数の半導体装置を製造する方法であって、
前記複数の半導体ウェーハの内から次に処理を施す半導体ウェーハを選択し、処理装置の装置情報および選択された前記半導体ウェーハと同種の半導体ウェーハの処理結果に基づいて、選択された前記半導体ウェーハを処理する第1処理条件を算出するステップと、
前記第1処理条件に、前記複数のマスクの内から選択された前記半導体ウェーハに前記パターンを形成したときに用いたマスクに対して予め定められた補正値を加算し、第2処理条件を算出するステップと、
前記第2処理条件に従って、選択された前記半導体ウェーハを処理するステップと、
選択された前記半導体ウェーハの処理結果を求め、前記処理結果を平均した第1平均値を求めるステップと、
前記第1平均値と、前記第1平均値の履歴を平均した第2平均値との差を示すマスク誤差を求めるステップと、
前記マスク誤差の前記複数のマスク間バラツキが小さくなるように、処理時間と処理結果との関係から、前記補正値を修正するステップと、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記処理が異方性エッチング、化学的機械的研磨およびフォトリソブラフィのいずれかであり、前記処理結果が前記パターンの寸法および膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記パターン内に工程管理用パターンを有し、前記工程管理用パターンの寸法を求めることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記装置情報が、処理時の温度、圧力、電力の少なくともいずれかの時系列データ、または前記時系列データの平均値、最大値、最小値の少なくともいずれかの統計データであることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
複数の前記処理装置を有し、いずれかの前記処理装置において前記第1平均値を求めるごとに、複数の前記処理装置において前記マスクのマスク誤差を求め、求めた前記マスク誤差を平均化し、得られた平均値を前記マスクのマスク誤差とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−87296(P2010−87296A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255633(P2008−255633)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】