説明

半導体装置の製造方法

【課題】多層配線構造等を含む半導体装置の製造工程を簡略化する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板101上に絶縁膜102を形成する工程(a)と、絶縁膜102上にハードマスク膜103を形成する工程(b)と、ハードマスク膜103上に第1のモールド108を接触させて、陽極酸化により第1の酸化領域110を形成する工程(c)と、ハードマスク膜103上に第2のモールド111を接触させて、陽極酸化により第2の酸化領域112を形成する工程(d)と、第1の酸化領域110及び第2の酸化領域112を除去してハードマスク103aを形成する工程(e)と、ハードマスク103aをマスクとするエッチングにより、絶縁膜103中に接続孔104及び配線溝105を形成する工程(f)とを備える。第1の酸化領域110と第2の酸化領域112とは面積及び深さが異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、より詳しくは、層間絶縁膜として酸化シリコンよりも誘電率の低い材料を含む積層膜を用い、多層配線構造を形成するのに好適な半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置(LSI)の高集積化に伴い、LSIの高速動作を実現するために、配線プロセス技術が益々重要視されてきている。これは、半導体素子の微細化により、配線遅延時間がゲート遅延時間よりも大きくなり、支配的な要因となってきたためである。この配線遅延時間の増大を抑制するためには、配線抵抗及び配線間容量の低減が必要である。
【0003】
配線抵抗の低減のためには、従来用いられてきたアルミニウム合金配線から、これと比較して低抵抗である銅(Cu)への配線材料の置き換えが進んでいる。また、配線間容量の低減のためには、層間絶縁膜として従来用いられてきた酸化シリコンから、これと比較して誘電率の低い絶縁膜(低誘電率膜)への置き換えが進んでいる。更に、これらを組み合わせて、Cu配線及び低誘電率膜を用いた多層配線技術の導入が行なわれている。
【0004】
Cu配線及び低誘電率膜を用いた多層配線技術には、一般にCuのドライエッチングが容易でないことから、いわゆるデュアルダマシン法などの溝配線法が用いられている。つまり、層間絶縁膜に配線溝とこの配線溝に連通した接続孔とを形成し、配線溝と接続孔とをCu等の導電膜によって埋め込むことにより、配線とヴィアとを同一工程で形成する配線法である。
【0005】
上記のデュアルダマシン法は、先ヴィア方式と先トレンチ方式とに分別される。先ヴィア方式の場合、層間絶縁膜上に接続孔(ヴィアホール)形成のためのマスクパターン(接続孔パターン)を形成した後、配線溝(トレンチ)形成用のマスクパターン(配線溝パターン)を形成する。この逆に、先トレンチ方式の場合、配線溝パターンを形成した後、接続孔パターンを形成する。
【0006】
そして、層間絶縁膜に上述したような無機膜(無機材料膜)と有機膜(有機材料膜)との積層による低誘電率膜を用いる場合には、一般的に、有機膜の損傷を抑制できる先トレンチ方式のデュアルダマシン法により配線溝と接続孔とが形成されている。
【0007】
ここで、先トレンチ方式のデュアルダマシン法によりCu配線構造を製造する一例について、図2(a)〜(f)を参照して説明する。
【0008】
まず、図2(a)に示すように、基板11上に、低誘電率膜を含む積層膜からなる層間絶縁膜12を形成する。この層間絶縁膜12上にハードマスク膜13を形成し、更に、ハードマスク膜13上にレジストパターン(図示省略)を設ける。該レジストパターンをマスクに用いたエッチングによりハードマスク膜13をパターニングし、配線溝パターンを有するハードマスク膜13に配線溝パターンを形成する。その後、レジストパターンを除去する。
【0009】
次に、図2(b)に示すように、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13を覆うように層間絶縁膜12上にレジストを塗布した後、通常のリソグラフィ技術により、レジストパターン20を形成する。
【0010】
続いて、図2(c)に示す工程を行なう。まず、レジストパターン20(前記図2(b)参照)をエッチングマスクとして用いたエッチングにより、層間絶縁膜12に基板11に達する状態の接続孔14を形成する。続いて、レジストパターン20を除去する。
【0011】
その後、図2(d)に示す工程を行なう。まず、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13(前記図2(c)参照)をエッチングマスクとして用いた層間絶縁膜12のエッチングにより、層間絶縁膜12に接続孔14の上部に連通する配線溝15を形成する。その後、ハードマスク膜13を除去する。
【0012】
続いて、この配線溝15と接続孔14との内壁を覆うように、層間絶縁膜12上にバリア膜(図示省略)を形成する。その後、配線溝15と接続孔14を埋め込むように、バリア膜上にCuからなる導電性膜(図示省略)を形成する。その後、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing (CMP))法により、層間絶縁膜12の表面が露出するまで、上記導電性膜と上記バリア膜を除去する。これにより、接続孔14内にヴィア16を形成するとともに、配線溝15内に配線17を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−222860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、図2(a)〜(d)を用いて説明したような配線の形成方法には、配線溝パターンの形成及び接続孔の形成の2つの工程において、リソグラフィによるレジストパターンの形成とその除去の工程が必要であり、工程数が非常に多くなるという問題がある。よって、その解決が課題となっている。
【0015】
以上に鑑み、本発明は、半導体装置の製造において工程数を削減すること、特に多層配線工程における工数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するため、本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に絶縁膜を形成する工程(a)と、絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程(b)と、ハードマスク膜上に第1のモールドを接触させて、ハードマスク膜における第1のモールドとの接触部分及びその下方部分を陽極酸化することにより第1の酸化領域を形成する工程(c)と、ハードマスク膜上に第2のモールドを接触させて、ハードマスク膜における第2のモールドとの接触部分及びその下方部分を陽極酸化することにより第2の酸化領域を形成する工程(d)と、第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去してハードマスクを形成する工程(e)と、ハードマスクをマスクとして絶縁膜をエッチングすることにより、絶縁膜中に、第1のモールドが有するパターンに対応する接続孔と、第2のモールドが有するパターンに対応する配線溝とを形成する工程(f)とを備え、第1の酸化領域及び第2の酸化領域は、互いに異なる面積及び深さを有する。
【0017】
このような半導体装置の製造方法によると、2つのモールド(第1のモールド及び第2のモールド)を用いてハードマスク膜を陽極酸化し、酸化された部分を除去することにより、互いに深さ及び面積が異なる凹部を有するハードマスクを形成することができる。該ハードマスクをマスクとして用いるエッチングにより、絶縁膜に対し、配線溝と、該配線溝よりも深くエッチングされた接続孔とを設けることができる。このように、リソグラフィを用いることなく絶縁膜に配線溝及び接続孔を形成することができ、工程数を削減することができる。
【0018】
尚、絶縁膜上に第2のモールドを接触させる部分は、第1のモールドを接触させる部分を含むことが好ましい。
【0019】
このようにすると、2つのモールドによってそれぞれ形成される凹部は互いに連通し、絶縁膜に形成される配線溝及び接続孔も互いに連通することになる。よって、いわゆるデュアルダマシン法を実現することができる。
【0020】
尚、第1の酸化領域は、ハードマスク膜を貫通して形成されることが好ましい。
【0021】
このようにすると、工程(e)において第1の酸化領域を除去することにより、ハードマスクを貫通する開口部を設けることができる。該開口部は、接続孔を形成するためのパターンとして利用することができる。
【0022】
また、第2の酸化領域は、第1の酸化領域に比べて面積が大きく且つ深さが浅いことが好ましい。
【0023】
このようにすると、第2の酸化領域が除去された部分を、接続孔よりも浅く且つ面積の広い配線溝を形成するために用いることができる。
【0024】
また、ハードマスク膜は、アルミニウム、チタン、窒素チタン、タングステン、タンタル、窒素タンタル、シリコン、窒化シリコン及び炭化シリコンの少なくとも一つからなっていても良い。
【0025】
また、工程(c)における陽極酸化は、10V以上で且つ50V以下の印加電圧、1秒以上で且つ30秒以下の印加時間、60%以上で且つ80%以下の湿度にて行なわれることが好ましい。
【0026】
また、工程(d)における陽極酸化は、5V以上で且つ30V以下の印加電圧、1秒以上で且つ30秒以下の印加時間、60%以上で且つ80%以下の湿度にて行なわれることが好ましい。
【0027】
このようにすると、深さの異なる第1の酸化領域及び第2の酸化領域をより確実に形成することができ、その結果、接続孔及び配線溝をより確実に形成することができる。
【0028】
また、絶縁膜は、酸化シリコンよりも低誘電率の材料を含むことが好ましい。また、絶縁膜は、有機材料膜及び無機材料膜を含む積層膜であることが好ましい。絶縁膜の具体的な構成として、このようになっていても良い。
【0029】
また、接続孔及び配線溝に金属材料を埋め込む工程を更に備えることが好ましい。
【0030】
これにより、金属からなるヴィア及び配線を形成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の半導体装置の製造方法によると、リソグラフィを用いることなく、高精度な接続孔及び配線溝を同時形成可能なハードマスクを作成できるため、多層配線工程の工程数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1(a)〜(f)は、本発明の一実施形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は、背景技術における配線の形成方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について、その工程を示す模式的な断面図である図1(a)〜(f)を参照しながら説明する。以下に挙げる各構成要素の材料及び寸法、各工程における反応の条件等についてはいずれも例示であり、これらに限定されることはない。
【0034】
該製造方法によって製造する例示的半導体装置は、図1(f)に示されている。該半導体装置は、基板101上に積層された第1の層間絶縁膜102a及び第2の層間絶縁膜102bを備える。これら第1の層間絶縁膜102a及び第2の層間絶縁膜102bに対し、基板101に達する接続孔104及びその上部に連通する配線溝105が形成されている。接続孔104及び配線溝105には導電性膜が埋め込まれ、ヴィア106及び配線107が形成されている。
【0035】
図1(a)に示す工程では、トランジスタ等の半導体素子(図示省略)が形成された基板101上に、層間絶縁膜102とハードマスク膜103とを順次形成する。層間絶縁膜102は、例えば酸化シリコン(SiO2 )よりも誘電率の低い有機材料膜からなる低誘電率膜を含み、有機材料膜と無機材料膜と含む積層構造である。また、ハードマスク膜103は、例えば窒化チタン(TiN)からなり、パターニングしてハードマスクとするための膜である。
【0036】
より詳しくは、まず、基板101上に、例えばシリコンカーボンナイトライド(SiCN)からなる第1の層間絶縁膜102aを約20nmの膜厚に形成する。これには、例えば、反応ガスとしてヘキサメチルジシラザンガス、NH3 及びArを用いたプラズマ化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition (CVD))を用いることができる。また、第1の層間絶縁膜102aには、後の工程にて、基板101に達する接続孔が形成される。
【0037】
次に、第1の層間絶縁膜102a上に、酸化シリコンよりも低誘電率である膜、例えばシリコンオキシカーバイド(SiOC)等の膜からなる第2の層間絶縁膜102bを約100nmの膜厚に形成する。これには、例えば、有機メチルシラン源を用いたプラズマCVD法により、第1の層間絶縁膜102a上に蒸着する。その後、紫外光照射下にてキュアすることにより膜の改質を行なう。また、第2の層間絶縁膜102bには、後の工程にて、配線溝が形成される。
【0038】
次に、第2の層間絶縁膜102b上に、例えばSiO2 からなる第3の層間絶縁膜102cを約20nmの膜厚に形成する。これには、例えば、反応ガスとしてシラン(SiH4 )及びO2 を用いたプラズマCVD法を用いる。また、第3の層間絶縁膜102cには、後の工程にて配線溝が形成される。
【0039】
このようにして、基板101上に、第1の層間絶縁膜102a、第2の層間絶縁膜102b及び第3の層間絶縁膜102cが順次積層された構造の層間絶縁膜102を形成する。
【0040】
尚、後の工程にて、層間絶縁膜102に接続孔と該接続孔の上部に連通する配線溝とを形成し、これらを導電性膜により埋め込んだ後、CMP法により研磨する。この際に、CMP耐性の低い第2の層間絶縁膜102bの保護膜とするために、第3の層間絶縁膜102cを形成している。
【0041】
続いて、層間絶縁膜102(第3の層間絶縁膜102c)上に、例えば窒化チタン(TiN)からなるハードマスク膜103を形成する。これには、例えば、テトラジエチルアミノチタン(TDEAT)原子層堆積(ALD)により、約10nmの膜厚に形成する。ハードマスク膜103は、後の工程にて、陽極酸化によるパターニングを行ない且つ陽極酸化した領域を選択的に除去する。よって、陽極酸化が可能であり、酸化物との選択エッチングが可能な材料を用いて形成する必要がある。窒化チタンはこの一例である。
【0042】
次に、図1(b)の工程を説明する。ここでは、陽極酸化により、ハードマスク膜103に接続孔104に対応するパターニングを行なう。このために、シリコンにより構成され、幅が20〜200nm程度の接続孔104に対応する平面形状の凸型パターン108aを有し、10mm角程度の大きさである第1のモールド108を準備する。更に、第1のモールド108の凸型パターン108aをハードマスク膜103に接触させることにより、電圧印加部109によって電圧を印加できる状態とする。ここで、ハードマスク膜103側を陽極、第1のモールド108側を陰極とする。
【0043】
次に、ハードマスク膜103の表面に第1のモールド108(凸型パターン108a)を密着させた後、これらの間に電圧を印加する。あるいは、先に電圧を印加し、その状態のままハードマスク膜103に第1のモールド108を密着させても良い。
【0044】
このような電圧印加により、第1のモールド108が接触しているハードマスク膜103に、第3の層間絶縁膜102cに到達するまで、第1の酸化領域110が形成される。第1の酸化領域110は、凸型パターン108aが接触した箇所とその下方にのみ形成され、他の部分についてはハードマスク膜103は酸化されない。これは、第1の酸化領域110はいわゆる陽極酸化によって形成されるので、第1のモールド108の接触していない領域には電流が流れず、陽極酸化が生じないことによる。
【0045】
陽極酸化は、例えば第1のモールド108の表面に吸着した水分を介して第1のモールド108とハードマスク膜103との間に電流が流れ、吸着されていた水分が電気分解して水酸イオン(OH- )が生成され、該水酸イオンがハードマスク膜103の表面を酸化することにより行なわれる。よって、陽極酸化膜圧は印加電圧、電圧印加時間、湿度雰囲気等により変化する。第1の酸化領域110を陽極酸化により形成するための良好な条件の例としては、印加電圧を10V以上で且つ50V以下、印加時間を1秒以上で且つ30秒以下、湿度を60%以上で且つ80%以下、とする。
【0046】
第1の酸化領域110を形成した後、ハードマスク膜103と第1のモールド108とを離間させる。
【0047】
次に、図1(c)の工程を行なう。ここでは、ここでは、再度の陽極酸化により、ハードマスク膜103に配線溝105に対応する第2の酸化領域112を形成する。これには、例えば、20〜300nm程度の配線溝105に対応する平面形状の凸型パターン111aを石英支持台基板上に備える第2のモールド111を用いる。手順については、図1(b)において第1の酸化領域110を形成した際と同様である。
【0048】
ここで、ハードマスク膜103の上方から見た際に、第2のモールド111が有する凸型パターン111aに対応して形成される第2の酸化領域112の面積は、接続孔104に対応する第1の酸化領域110の面積よりも十分に広い。これを実現するために、第2のモールド111の凸型パターン111aは、第1のモールド108の凸型パターン108aに比べて十分に広い面積を有する。
【0049】
また、先に形成した第1の酸化領域110に対するアライメントの方法としては、例えば、モワレパターンを利用することができる。つまり、酸化領域110を形成する際に、基板101にモワレパターンを形成すると共に、第2のモールド111における支持台基板の石英にも同様のパターンを形成しておく。第1の酸化領域110を形成する際にこれらのモワレパターンを利用して、接続孔104のパターン(第1の酸化領域110)と、配線溝105のパターン(第2の酸化領域112)とについて、20nm以下のアライメントが可能である。
【0050】
ここで、第1の酸化領域110を形成する際とは条件を変える(例えば、印加電圧を小さくする)ことにより、第1の酸化領域110よりも薄い第2の酸化領域112を形成する。具体的な厚さの違いは、最終的に形成する接続孔104及び配線溝105の深さにより決定される。一例として本実施形態の場合、接続孔104については厚さ140nmの層間絶縁膜102を貫通させると共に、配線溝105については深さ100nmに形成する。この場合、層間絶縁膜102/ハードマスク膜103の選択比が10倍であるとすると、第1の酸化領域110は膜厚10nmのハードマスク膜103全体に形成し、且つ、第2の酸化領域112は4.0nm残して厚さ6.0nmに形成する。
【0051】
これを実現する陽極酸化の条件としては、印加電圧を5V以上で且つ30V以下(第1の酸化領域110を形成する際の印加電圧の6割程度)、印加時間を1秒以上で且つ30秒以下、湿度を60%以上で且つ80%以下、とする。この際、印加時間及び湿度について、例えば第1の酸化領域110を形成する際と同じにする。但し、このことは必須ではない。
【0052】
第2の酸化領域112を形成した後、ハードマスク膜103と第2のモールド111とを離間させる。
【0053】
以上により、ハードマスク膜103を貫通する第1の酸化領域110と、第1の酸化領域110に接続し、第1の酸化領域110よりも浅く且つ広い第2の酸化領域112が形成される。
【0054】
尚、本実施形態の場合、先に接続孔104に対応する酸化領域110を形成し、その後、配線溝105に相当する酸化領域111を形成している。しかし、これとは逆に、先に配線溝105に対応する酸化領域111を形成し、その後、接続孔104に対応する酸化領域110を形成してもよい。
【0055】
次に、図1(d)に示すように、ハードマスク膜103における陽極酸化された第1の酸化領域110及び第2の酸化領域112を選択的に除去し、開口110a及び開口112aを形成する。これには、例えば、フッ酸溶液を用いたエッチングを行なう。
【0056】
これにより、接続孔104及び配線溝105を同時に形成するためのパターンを有するハードマスク103aが得られる。
【0057】
次に、図1(e)の工程を行なう。このためには、図1(d)に示したハードマスク103aを用い、第3の層間絶縁膜102c、第2の層間絶縁膜102b及び第1の層間絶縁膜102aを順次選択的にエッチングする。これにより、ハードマスク103aを貫通しながら、層間絶縁膜102に対して基板101に達する接続孔104及び配線溝105を連続形成することができる。
【0058】
つまり、エッチングの初期においては、ハードマスク103aの開口110aに露出する部分がエッチングされて、接続孔104に対応する凹部が形成される。この際、ハードマスク103aについても同時に少しずつエッチングされ、やがて開口112aが第3の層間絶縁膜102cに達する。この後は、接続孔104がより深くなって基板101に到達すると共に、開口112aに対応して配線溝105が形成される。
【0059】
第3の層間絶縁膜102cをエッチングする条件の一例は、次の通りである。つまり、装置としては一般的な平行平板方式のドライエッチング装置を用いる。エッチングガスには、流量100sccm(標準状態における一分間あたりのml量)のテトラフルオロメタン(CF4 )、流量20sccmのオクタフルオロシクロブタン(C48)及び流量100sccmのアルゴン(Ar)の混合ガスを用いる。また、RFプラズマ電力を700W、圧力を104Pa程度に設定する。
【0060】
また、SiOCからなる第2の層間絶縁膜102bをエッチングする条件の一例は、次の通りである。つまり、前記のドライエッチング装置を用いると共に、エッチングガスとして、流量100sccmのC48、流量1050sccmのN2 、流量700sccmのAr及び流量20sccmのO2 の混合ガスを用いる。また、RFプラズマ電力を500W、圧力を5Pa程度に設定する。
【0061】
尚、本実施形態の場合、第3の層間絶縁膜102cとハードマスク103aとの選択比は5以上ある場合を想定している。このため、第3の層間絶縁膜102c(膜厚20nm程度)のエッチングが終了した時点では、開口110aを構成するハードマスク103a(膜厚10nm程度)の一部が第3の層間絶縁膜102c上に残っている(開口112aは第3の層間絶縁膜102cに達していない)と想定している。しかしながら、膜厚、選択比等の条件が異なり、第3の層間絶縁膜102cのエッチングが終了した時点において、前記部分のハードマスク103aが除去されていても良い。
【0062】
次に、図1(f)の工程を行なう。まず、例えばスパッタリング法により、接続孔104及び配線溝105の内壁を覆うように、第3の層間絶縁膜102c上にバリア膜(図示省略)を形成し、更に、該バリア膜上にシード層(図示省略)を形成する。その後、例えば電界メッキ法により、接続孔104及び配線溝105を埋め込むように、シード層上にCuからなる導電性膜を形成する。続いて、例えばCMP法により、第2の層間絶縁膜102bの中程まで導電性膜、バリア膜及び第3の層間絶縁膜102cを研磨して除去する。これにより、接続孔104及び配線溝105に対し、Cuからなるヴィア106及び配線107を形成することができる。
【0063】
以上のような半導体装置の製造方法によると、リソグラフィ技術を一切使用する必要が無く、大幅に加工の工数を削減することができる。
【0064】
尚、以上では、窒化チタンからなるハードマスク膜103を用いた。しかしながら、これには限定されない。ハードマスク膜103を陽極酸化することができ、且つ、酸化された部分のエッチングレートが(酸化される前に比べて)高くなる材料であれば良い。例えば、Al、Ti、W、Ta、TaN、Si、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)等からなるハードマスク膜103を用いても良い。
【0065】
また、陽極酸化される部分の深さについて、以上では印加電圧の違いによって制御した。しかし、この他に、電圧印加時間、湿度等の違いによって深さを制御しても良い。例えば、電圧を同一にして、印加時間が異なるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明の半導体装置の製造方法は、リソグラフィ技術を用いることなく大幅に工数を削減することができ、多層配線構造を形成する方法等にも有用である。
【符号の説明】
【0067】
101 基板
102 層間絶縁膜
102a 第1の層間絶縁膜
102b 第2の層間絶縁膜
102c 第3の層間絶縁膜
103 ハードマスク膜
103a ハードマスク
104 接続孔
105 配線溝
106 ヴィア
107 配線
108 第1のモールド
108a 凸型パターン
109 電圧印加部
110 第1の酸化領域
110a 開口
111 第2のモールド
111a 凸型パターン
112 第2の酸化領域
112a 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程(b)と、
前記ハードマスク膜上に第1のモールドを接触させて、前記ハードマスク膜における前記第1のモールドとの接触部分及びその下方部分を陽極酸化することにより第1の酸化領域を形成する工程(c)と、
前記ハードマスク膜上に第2のモールドを接触させて、前記ハードマスク膜における前記第2のモールドとの接触部分及びその下方部分を陽極酸化することにより第2の酸化領域を形成する工程(d)と、
前記第1の酸化領域及び前記第2の酸化領域を除去してハードマスクを形成する工程(e)と、
前記ハードマスクをマスクとして前記絶縁膜をエッチングすることにより、前記絶縁膜中に、前記第1のモールドが有するパターンに対応する接続孔と、前記第2のモールドが有するパターンに対応する配線溝とを形成する工程(f)とを備え、
前記第1の酸化領域及び前記第2の酸化領域は、互いに異なる面積及び深さを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁膜上に前記第2のモールドを接触させる部分は、前記第1のモールドを接触させる部分を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の酸化領域は、前記ハードマスク膜を貫通して形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つにおいて、
前記第2の酸化領域は、前記第1の酸化領域に比べて面積が大きく且つ深さが浅いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つにおいて、
前記ハードマスク膜は、アルミニウム、チタン、窒素チタン、タングステン、タンタル、窒素タンタル、シリコン、窒化シリコン及び炭化シリコンの少なくとも一つからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つにおいて、
前記工程(c)における陽極酸化は、10V以上で且つ50V以下の印加電圧、1秒以上で且つ30秒以下の印加時間、60%以上で且つ80%以下の湿度にて行なわれることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つにおいて、
前記工程(d)における陽極酸化は、5V以上で且つ30V以下の印加電圧、1秒以上で且つ30秒以下の印加時間、60%以上で且つ80%以下の湿度にて行なわれることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つにおいて、
前記絶縁膜は、酸化シリコンよりも低誘電率の材料を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つにおいて、
前記絶縁膜は、有機材料膜及び無機材料膜を含む積層膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つにおいて、
前記接続孔及び前記配線溝に金属材料を埋め込む工程を更に備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−23419(P2011−23419A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164991(P2009−164991)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】