説明

半導体装置の製造方法

【課題】めっき工程の埋設不良を抑制する。
【解決手段】半導体基板100上に設けられた層間絶縁膜320に開口部を形成する工程と、開口部上面にバリア層340を形成するバリア層形成工程と、バリア層340上に配線シード層を形成する配線シード層形成工程を有する。また、バリア層形成工程は、選択成膜工程と、スパッタエッチング工程を有する。バリア層340の選択成膜工程は、バリア層340を、開口部の平面部342のみに選択的に成膜する。次いで、バリア層340のスパッタエッチング工程は、平面部342のバリア層340をスパッタエッチングしながらバリア層340のスパッタ粒子を開口部の側壁部344に堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の配線技術として、デュアルダマシン法と呼ばれる銅配線と低誘電率の層間絶縁膜との組み合わせによる多層配線構造が採用されている。デュアルダマシン法における銅配線の課題として、めっき時の埋設不良の改善と、エレクトロマイグレーション耐性が求められている。
【0003】
エレクトロマイグレーション耐性の向上を目的とした先行技術としては、特許文献1などが挙げられる。特許文献1では、層間絶縁膜に形成された開口部内面にバリア層をスパッタリングで成膜する工程において、開口部底部に堆積されるバリア層材料をスパッタリングによりエッチングしながら、開口部側壁にバリア層材料を堆積させる方法が、開示されている。これによれば、開口部底面にバリア層が形成されないため、バリア層を介していた場合に上下銅配線間で発生していたエレクトロマイグレーションが抑制できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-284449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法では、バリア層成膜時に、開口部の平面部と側壁部とが接する端部は、オーバーハング部を生じている。この場合、めっき工程において開口部が全て埋まる前に、オーバーハング部が成長して閉口してしまうため、配線内部においてボイドが出来てしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
半導体基板上に設けられた層間絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部上面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、
前記バリア層上に配線シード層を形成する配線シード層形成工程を有し、
前記バリア層形成工程は、
前記バリア層を、前記開口部の平面部のみに選択的に成膜する選択成膜工程と、
前記平面部の前記バリア層をスパッタエッチングしながら前記バリア層のスパッタ粒子を前記開口部の側壁部に堆積させるスパッタエッチング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法、が提供される。
【0007】
本発明によれば、
半導体基板上に設けられた層間絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部上面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、
前記バリア層上に配線シード層を形成する配線シード層形成工程を有し、
前記配線シード層形成工程は、
前記配線シード層を、前記開口部の平面部のみに選択的に成膜する選択成膜工程と、
前記平面部の前記配線シード層をスパッタエッチングしながら前記配線シード層のスパッタ粒子を前記開口部の側壁部に堆積させるスパッタエッチング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法、が提供される。
【0008】
本発明によれば、バリア層または配線シード層を、選択成膜工程とスパッタエッチング工程により形成することで、開口部の平面部と側壁部とが接する端部は、オーバーハング形状とならない。したがって、その後のめっき工程において、開口部が全て埋設されるまで、ボイドが発生しない。以上により、めっき工程の埋設不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、めっき工程の埋設不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】本実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【図3】バリア層形成工程におけるバリア層の選択成膜工程の断面図である。
【図4】バリア層形成工程におけるバリア層のスパッタエッチング工程の断面図である。
【図5】バリア層形成工程後の断面図である。
【図6】配線シード層形成工程における配線シード層の選択成膜工程の断面図である。
【図7】配線シード層形成工程後の断面図である。
【図8】配線形成工程後の断面図である。
【図9】比較例のめっき工程中の断面図である。
【図10】比較例の配線形成工程後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第一の実施形態)
図1を用いて、本実施形態で用いられる半導体装置について説明する。図1は、本実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、半導体基板100と、半導体基板100に設けられた半導体素子と、半導体基板100上に設けられた層間絶縁膜320と、層間絶縁膜320に形成された開口部に形成されたバリア層340と、バリア層340上に形成された配線440と、を備える。また、バリア層340の平面部342と側壁部344との接する角度θが90度以上となっており、オーバーハング形状となっていない。
【0013】
後述するように、本実施形態の半導体装置の製造方法では、バリア層340を、または配線440のシードとなる配線シード層420(図6参照)を、選択成膜工程とスパッタエッチング工程により形成する。これによれば、開口部の平面部342と側壁部344とが接する端部は、オーバーハング形状とならない。したがって、その後のめっき工程において、開口部が全て埋設されるまで、ボイドが発生しない。よって、めっき工程の埋設不良を抑制することができる。
【0014】
ここでいう開口部とは、溝または接続孔のことである。以下、特に指定のない場合はどちらでも良い。
【0015】
次に、図1において、本実施形態で用いられる半導体装置について詳細を説明する。半導体基板100は、例えばシリコン基板である。半導体基板100には、例えば、ソース領域42、ドレイン領域44と、半導体基板100上に形成されたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22上に形成されたゲート電極20を含む電界効果トランジスタ(FET)が形成されている。また、ゲート電極20の両側面には、側壁絶縁膜24が形成されている。各FETは、半導体基板100中に形成された素子分離領域60によって他の素子と分離されている。なお、ソース領域42、ドレイン領域44は、エクステンション領域(非図示)を含んでいる。
【0016】
半導体基板100上には、下地絶縁膜220が形成されている。下地絶縁膜220中には、コンタクト210、下地バリア層240、下地配線260を有する下地層200が形成されている。コンタクト210は、例えば図1のように、ソース領域42及びドレイン領域44と、その上方に形成された下地配線260とをそれぞれ電気的に接続している。本実施形態における下地層200を構成する材料、厚さ等は、公知のものを用いることが出来る。
【0017】
下地絶縁膜220上に、層間絶縁膜320が備えられており、下地配線260まで開口部が設けられている。なお、図1中で示されるビア層300と配線層400との間に、エッチングストッパ膜(非表示)を設けていても良い。
【0018】
本実施形態における層間絶縁膜320の厚さは、例えば100〜300nmである。また、ビア層300の厚さは、例えば40〜100nmであり、開口部のビア径は、例えば20〜70nmである。
【0019】
また、層間絶縁膜320の開口部において、バリア層340、配線440を設けており、配線440と下地配線260とが、バリア層340を介して接続されている。
【0020】
バリア層340の材料としては、例えばTa、TaNであり、その他、Ti、TiN、Hf、HfN、ZrN、ZrN、Ru、RuN、Mnなどがある。バリア層340の厚さは、例えば3〜15nmである。また、バリア層340は二層構造でも良く、例えば、層間絶縁膜320側からTaNを形成し、Ta/TaNの二層構造としてもよい。
【0021】
ここで、バリア層340は、平面部342と側壁部344を有しており、これらが接する角度θは90度以上である。すなわち、開口部の平面部342と側壁部344とが接する端部は、オーバーハング形状となっておらず、配線440においてボイドが発生していない。
【0022】
次に、図2〜8を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の工程を有する。半導体基板100上に設けられた層間絶縁膜320に開口部を形成する工程と、開口部上面にバリア層340を形成するバリア層形成工程と、バリア層340上に配線シード層420を形成する配線シード層形成工程を有する。また、バリア層形成工程は、選択成膜工程と、スパッタエッチング工程を有する。バリア層340の選択成膜工程は、バリア層340を、開口部の平面部342のみに選択的に成膜する。次いで、バリア層340のスパッタエッチング工程は、平面部342のバリア層340をスパッタエッチングしながらバリア層340のスパッタ粒子を開口部の側壁部344に堆積させる。以下、詳細に説明する。
【0023】
図2は、本実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャートである。図2を用いて、半導体製造方法の概略を説明する。本実施形態の半導体装置の製造方法は、半導体素子形成工程(S100)、下地層形成工程(S200)、層間絶縁膜形成工程(S300)、開口部形成工程(S400)、バリア層形成工程(S500)、配線シード層形成工程(S600)、配線形成工程(S700)を有する。
【0024】
まず、例えば上述のFETを形成する半導体素子形成工程(S100)が行われる。半導体基板100に、素子分離領域60を形成した後、例えば熱酸化によりゲート絶縁膜22を形成する。次いで、例えば多結晶シリコンを成膜し、リソグラフィー技術およびRIE(Reactive Ion Etching)技術を用いてゲート電極20を形成する。そのゲート電極20をマスクとしてイオン注入を行い、ソース領域42、ドレイン領域44のエクステンション領域(非図示)を形成する。次いで、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜を順次堆積し、エッチバックすることによって、ゲート電極20の両側面に側壁絶縁膜24を形成する。次いで、ゲート電極20及び側壁絶縁膜24をマスクとしてイオン注入を行い、活性化アニールを経て、ソース領域42、ドレイン領域44を形成することにより、半導体素子を形成する(S100)。
【0025】
下地層形成工程(S200)において、下地絶縁膜220をCVD法などにより成膜する。下地絶縁膜220上にレジストパターンを形成し、RIEによりコンタクト210用の開口部を形成する。次いで、レジストパターンを除去した後、コンタクト210用の開口部に導電体を埋め込む。通常、導電体の埋め込みは、スパッタ法によりシード膜(非図示)を成膜後、電解めっき法により導電体をめっきすることで行われる。次いで、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化させる。同様にして、再度、下地絶縁膜220を成膜し、RIEにより下地配線260用の開口部を形成する。次いで、下地バリア層240を成膜し、めっき工程により、下地配線260を形成する。次いで、CMPにより平坦化させることにより、下地層200を形成する(S200)。
【0026】
次いで、下地絶縁膜220と同様の成膜方法により下地層220上に層間絶縁膜320を形成する(S300)。なお、層間絶縁膜320の中間に、エッチングストッパ膜(非表示)を形成しておいても良い。
【0027】
次いで、RIEにより層間絶縁膜320に開口部を形成する(S400)。
【0028】
次いで、バリア層340を形成する(S500)。次いで、配線シード層420を形成する(S600)。これらの工程の詳細は、図3〜7を用いて後述する。
【0029】
次いで、配線シード層420をシードとして、めっき工程を行う。次いで、CMPによる平坦化工程が行われ、配線440が形成される(S700)。
【0030】
次に、図3〜5を用いて、バリア層形成工程(S500)の詳細を説明する。以下、図3〜5、及び同様の図7〜10において、簡略化のために半導体素子は省略している。
【0031】
図3は、バリア層形成工程におけるバリア層の選択成膜工程の断面図を、図4は、バリア層形成工程におけるバリア層のスパッタエッチング工程の断面図を、図5は、バリア層形成工程後の断面図を示している。
【0032】
開口部形成工程(S400)により、層間絶縁膜320に開口部が形成されている。まず、図3に示すように、バリア層340の選択成膜が行われる。選択成膜とは、例えば、異方性スパッタ、塗布法、選択めっき法などが用いられる。
【0033】
異方性スパッタとは、スパッタ粒子が成膜基板の方向へ直線性を持つ成膜方法であり、例えばロングスロースパッタや、コリメータスパッタ、イオン化スパッタである。ロングスロースパッタとは、ターゲットと成膜基板との電極間の距離を伸ばし、圧力を下げることによって、反射角の影響、背景原子との衝突の影響を防ぐことが出来る方法である。コリメータスパッタとは、電極中間にスリットを置いて一定の角度以上の粒子を取り除くことが出来る方法である。イオン化スパッタとは、イオン化させたスパッタ粒子を基板バイアスで引きこみ、成膜基板方向の成分を増やす方法である。
【0034】
塗布法とは、例えば、液状の有機材料をスピンコートで塗布し、100〜400℃で加熱することにより、図3のように成膜する方法などである。
【0035】
選択めっき法とは、例えば、図3のようにバリア層340の平面部342となる部分に触媒を塗布し、選択的にバリア層340を成長させる方法などである。
【0036】
バリア層340の選択成膜工程において、側壁部344に成膜されることがオーバーハング形状の原因となるため、側壁部344には成膜されても薄い、または全く成膜されないことが好ましい。例えば、選択成膜工程におけるバリア層340の平面部342の厚さが3nm以上15nm以下で、側壁部344の厚さが1nm以下となるように形成する。または、平面部342の厚さが上記範囲で、側壁部344には成膜しないように形成する。なお、平面部342とは、層間絶縁膜320上部の平面部、層間絶縁膜320中の階層状の平面部、開口部底面の平面部(下地配線260上面)を含み、ビア層300および配線層400の底面となる部分を含む。
【0037】
また、例えば、バリア層340における平面部342の厚さを、後にスパッタエッチングで形成する側壁部344の目標厚さに対して、約2倍となるように成膜する。例えば初期のバリア層340における平面部342の厚さは3〜15nmである。また、バリア層をTa/TaNの二層構造とした場合は、TaNは例えば1〜10nm、Taは例えば2〜20nmである。
【0038】
次に、図4のように、バリア層340のスパッタエッチング工程が行われる。スパッタガスは、例えばArであり、飛散するバリア層340材料はTaである。電極間で発生したArイオンは、基板に向かって衝突し(図4中の破線矢印)、バリア層340をスパッタリングして、スパッタされたバリア層材料(図4中のTa粒子)を飛散させる(図4中の実線矢印)。それにより、側壁部344にバリア層340が形成されていく。
【0039】
スパッタエッチング工程では、バリア層340の平面部342の厚さは、スパッタエッチングにより減少していき、また側壁部344の厚さは、スパッタされたバリア層材料が堆積することにより増加していく。例えば、平面部342の初期の厚さを10nmとした場合、平面部342を5nmエッチングすることで厚さ5nmとし、側壁部344の厚さを5nmとなるように形成する。また、バリア層340をTa/TaN(5nm/5nm)の二層構造とした場合は、スパッタエッチングはTaのみに対して行われ、平面部342にはTaN(5nm)が残存し、側壁部344にはTa(5nm)が成膜される。
【0040】
図5のように、開口部の平面部342と側壁部344の接する角度θは90度以上となっている。すなわち、開口部の平面部342と側壁部344とが接する端部は、オーバーハング形状となっていない。
【0041】
次に、配線シード層形成工程(S600)の詳細を説明する。図2のバリア層形成工程(S500)により、バリア層340が形成されている。バリア層340上に、配線シード層420を成膜する。配線シード層420とは、めっき工程のシードとなる層であり、例えば配線材料が銅であるならば、銅のスパッタ薄膜である。
【0042】
配線シード層形成工程において、従来方法を用いる場合は、等法性スパッタにより形成することができる。配線シード層420の厚さは、例えば、10〜60nmである。
【0043】
また、配線シード層形成工程は、上述のバリア層形成工程と同様に、選択成膜工程とスパッタエッチング工程により形成しても良い。以下、配線シード層形成工程において、この工程を適用した場合を説明する。図6は配線シード層形成工程における配線シード層の選択成膜工程の断面図を、図7は配線シード層形成工程後の断面図を、示している。
【0044】
まず、図6に示すように、配線シード層420の選択成膜が行われる。上述のバリア層340における選択成膜の方法と同様の方法が用いられる。
【0045】
配線シード層420の選択成膜工程において、側壁部424に成膜されることがオーバーハング形状の原因となるため、側壁部424には成膜されても薄い、または全く成膜されないことが望ましい。例えば、選択成膜工程における配線シード層420の平面部422の厚さが10nm以上60nm以下で、側壁部424の厚さが1nm以下となるように形成する。または、平面部422の厚さが上記範囲で、側壁部424には成膜しないように形成する。
【0046】
また、例えば、配線シード層420は、平面部422の厚さを、後にスパッタエッチングで形成する側壁部424の目標厚さに対して、約2倍となるように成膜する。例えば初期の配線シード層420における平面部422の厚さは10〜60nmであり、本実施形態の場合は20nmである。
【0047】
次に、配線シード層420のスパッタエッチング工程が行われる。上述のバリア層340におけるスパッタエッチングの方法と同様の方法が用いられ、同じメカニズムで行われる。
【0048】
図7のように、本実施形態では、例えば、平面部422を10nmエッチングすることで、厚さ10nmとし、側壁部424の厚さが10nmとなるように形成する。
【0049】
また、図7のように、開口部の平面部422と側壁部424の接する角度θは90度以上である。すなわち、開口部の平面部422と側壁部424とが接する端部は、オーバーハング形状となっていない。
【0050】
図8は配線形成工程後の断面図を示している。図8のように、以上の(S100)から(S700)の工程により、ボイドが発生していない半導体装置を製造することが出来る。以上の説明では、バリア層340のみ、またはバリア層340と配線シード層420の両方において、選択成膜工程とスパッタエッチング工程を適用した例を説明したが、配線シード層420のみにおいて適用することも可能である。また、以上は、デュアルダマシン構造について説明したが、シングルダマシン構造にも適用することが出来る。
【0051】
次に、比較例と対比しながら、本実施形態の効果について説明する。図9は比較例のめっき工程中の断面図、図10は比較例の配線形成工程後の断面図である。比較例では、バリア層形成工程において、例えば等方性スパッタなどを用いてバリア層340を形成しているので、側壁部344にも成膜されてしまう。これにより、図9のように、開口部の平面部342と側壁部344とが接する端部は、オーバーハング部346を生じている。
【0052】
オーバーハング部346がある状態でめっき工程を行うと、図9のように、開口部が全て埋まる前に、オーバーハング部が成長して閉口する。それにより、その後にめっき工程を継続しても、配線内部において配線材料が成長しなくなり、図10のようにボイド442が発生してしまう。
【0053】
一方、本実施形態では、バリア層340の選択成膜工程において、図3のように、平面部342のみに選択的に成膜され、側壁部344には1nm以下しか成膜されない、または全く成膜されない。よって、図5のように、バリア層340のスパッタエッチング工程において、側壁部344が形成されても、開口部の平面部342と側壁部344とが接する端部は、オーバーハング形状とならない。また、配線シード層420の選択成膜工程(図6)と、スパッタエッチング工程(図7)の場合も同様である。
【0054】
したがって、図8のように、その後のめっき工程において、開口部が全て埋設されるまで、ボイドが発生しない。以上により、めっき工程の埋設不良を抑制することができる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0056】
20 ゲート電極
22 ゲート絶縁膜
24 側壁絶縁膜
42 ソース領域
44 ドレイン領域
60 素子分離領域
100 半導体基板
200 下地層
210 コンタクト
220 下地絶縁膜
240 下地バリア層
260 下地配線
300 ビア層
320 層間絶縁膜
340 バリア層
342 バリア層平面部
344 バリア層側壁部
346 バリア層オーバーハング部
400 配線層
420 配線シード層
422 配線シード層平面部
424 配線シード層側壁部
440 配線
442 ボイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に設けられた層間絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部上面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、
前記バリア層上に配線シード層を形成する配線シード層形成工程を有し、
前記バリア層形成工程は、
前記バリア層を、前記開口部の平面部のみに選択的に成膜する選択成膜工程と、
前記平面部の前記バリア層をスパッタエッチングしながら前記バリア層のスパッタ粒子を前記開口部の側壁部に堆積させるスパッタエッチング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板上に設けられた層間絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部上面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、
前記バリア層上に配線シード層を形成する配線シード層形成工程を有し、
前記配線シード層形成工程は、
前記配線シード層を、前記開口部の平面部のみに選択的に成膜する選択成膜工程と、
前記平面部の前記配線シード層をスパッタエッチングしながら前記配線シード層のスパッタ粒子を前記開口部の側壁部に堆積させるスパッタエッチング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記バリア層形成工程の後に、前記配線シード層形成工程を有し、
前記配線シード層形成工程は、
前記配線シード層を、前記開口部の平面部のみに選択的に成膜する第二選択成膜工程と、
前記平面部の前記配線シード層をスパッタエッチングしながら前記配線シード層のスパッタ粒子を前記開口部の側壁部に堆積させる第二スパッタエッチング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記選択成膜工程は、異方性スパッタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記選択成膜工程は、塗布法であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記選択成膜工程は、選択めっき法であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−69846(P2012−69846A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214951(P2010−214951)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】