半導体装置の評価方法
【課題】pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIをウエハ面内において漏れなく評価することにより、信頼性評価の充実を図り、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】劣化過程、回復過程、および再劣化過程をストレス試験の1サイクルとし、1つのpチャネル型電界効果トランジスタに対して上記1サイクルを複数回繰り返し行い、複数の劣化過程におけるしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行い、複数の回復過程におけるしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行う。
【解決手段】劣化過程、回復過程、および再劣化過程をストレス試験の1サイクルとし、1つのpチャネル型電界効果トランジスタに対して上記1サイクルを複数回繰り返し行い、複数の劣化過程におけるしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行い、複数の回復過程におけるしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の評価技術に関し、特に、pチャネル型電界効果トランジスタの信頼性評価に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細化の進むpチャネル型電界効果トランジスタにおいては、その信頼性についての課題の1つにNBTI(Negative Bias Temperature Instability;負バイアス温度不安定性)がある。NBTIは、ゲートに対して半導体基板の電位が正の状態で半導体チップの温度が高くなると、pチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電位の絶対値が次第に大きくなる現象である。この現象によって、pチャネル型電界効果トランジスタの動作速度が時間の経過と共に徐々に遅くなる等の問題が生じる。
【0003】
そこで、近年、NBTIを評価する種々の方法が提案されている。例えばM. Denais、他7名、「On-the-fly characterization of NBTI in ultra-thin gate oxide PMOSFET’s」、IEDM Technical Digest、2004年、p.109−112(非特許文献1)には、回復レス評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】M. Denais, A. Bravaix, V. Huard, C. Parthasarathy, G. Ribes, F. Perrier, Y. Rey-Tauriac, N.Revil、「On-the-fly characterization of NBTI in ultra-thin gate oxide PMOSFET’s」、International Electron Devices Meeting Technical Digest、2004年、p.109−112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NBTIの主な評価方法として、回復込み評価方法と回復レス評価方法とがある。回復込み評価方法は、断続的にストレス電圧を印加してしきい値電圧または動作電流の劣化量を評価する方法であり、回復レス評価方法は、継続的にストレス電圧を印加してしきい値電圧または動作電流の劣化量をする評価する方法である。
【0006】
ところで、NBTIのウエハ面内のばらつきは、例えばウエハ面内のゲート絶縁膜の膜厚分布などのマクロなばらつきとの相関では説明がつかないほど大きい。このことから、回復込み評価方法および回復レス評価方法では、ばらつきの影響を排除するために、ウエハ面内の複数点でしきい値電圧または動作電流を測定する必要があり、ウエハ面内の複数点で得られた複数の測定値のメジアン値を用いることによりNBTIが評価されている。
【0007】
このため、どちらの評価方法を採用しても、半導体ウエハに形成された多数(例えば80〜100個程度)のpチャネル型電界効果トランジスタが必要となる。そして、NBTIの評価を優先すると、他の信頼性評価に使用できるpチャネル型電界効果トランジスタの数が減少して、他の信頼性評価の実施が困難となる場合がある。逆に、他の信頼性評価を優先すると、NBTIの評価に使用できるpチャネル型電界効果トランジスタの数が減少して、NBTIの評価の実施が困難となる場合がある。
【0008】
さらに、回復込み評価方法と回復レス評価方法とでは得られる劣化過程の情報が異なることから、特に45nm世代以降の半導体製品においては両評価方法によってNBTIを保証する必要がある。しかし、回復込み評価方法による測定と回復レス評価方法による測定はそれぞれ独立して行われるため、両評価方法を採用すると、NBTIの評価に要するpチャネル型電界効果トランジスタの数が増加し、NBTIの評価に要する時間も増加する。また、回復込み評価方法では、しきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を1つのpチャネル型電界効果トランジスタで評価することができるが、回復レス評価方法では、しきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を異なる2つのpチャネル型電界効果トランジスタでそれぞれ評価しなければならない。従って、回復込み評価方法と回復レス評価方法とを併用し、かつそれぞれの評価方法でしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を評価する場合には、多大な数のpチャネル型電界効果トランジスタが必要となる。
【0009】
このため、測定数または測定時間に制約がある場合には、回復込み評価方法および回復レス評価方法によるpチャネル型電界効果トランジスタに対するNBTIの評価が不十分となる。その結果、NBTIに起因した動作特性変動の可能性のあるpチャネル型電界効果トランジスタが半導体製品のアナログ回路またはデジタル回路を構成することとなり、半導体製品は動作不良または故障などを引き起こしかねない危険性を有してしまう。
【0010】
本発明の目的は、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIをウエハ面内において漏れなく評価することにより、信頼性評価の充実を図り、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
この実施の形態は、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、劣化過程、回復過程、および再劣化過程をストレス試験の1サイクルとし、1つのpチャネル型電界効果トランジスタに対して上記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求め、複数の劣化過程におけるしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行い、複数の回復過程におけるしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を抽出して回復込み劣化評価を行う。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIをウエハ面内において漏れのなく評価することにより、信頼性評価の充実を図り、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明者らが検討した一般的な回復込み評価方法を説明する動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図2】本発明者らが検討した一般的な回復レス評価方法を説明する動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を説明するNBTI評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係から、回復込み劣化測定部分および回復レス劣化測定部分を解析する方法を説明する模式図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)の時間変化を示すグラフ図である。
【図7】図6の結果から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図8】図6の結果から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図10】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図11】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復レス劣化測定部分(Fast−Id法)のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図12】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復込み劣化測定部分のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0018】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明者らが検討した一般的なpチャネル型電界効果トランジスタの回復込み評価方法および回復レス評価方法をそれぞれ図1および図2を用いて説明する。図1は、回復込み評価方法を説明する回復込み評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図、図2は、回復レス評価方法を説明する回復レス評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【0021】
回復込み評価方法について図1を用いて説明する。
【0022】
まず、pチャネル型電界効果トランジスタの初期状態(未だ、ゲートにストレスを加えていない状態)において1回目の測定を行う。1回目の測定では、10〜20秒の測定時間において線形領域および飽和領域のドレイン電流をそれぞれ測定する。これにより、初期状態におけるしきい値電圧および動作電流を求める。
【0023】
続いて、ゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加えた後(1回目のストレス)、2回目の測定を行う。2回目の測定では、1回目の測定と同様に、10〜20秒の測定時間において線形領域および飽和領域のドレイン電流をそれぞれ測定する。これにより、1回目のストレスを加えた段階におけるしきい値電圧および動作電流を求める。回復込み評価方法では、1回の測定でしきい値電圧および動作電流を求めることができる。しかし、回復込み評価方法では、測定時間が10〜20秒と長いので、ドレイン電流を測定している間に劣化の回復が起きてしまう。
【0024】
以後、続いて、1回目のストレスおよび2回目の測定と同様に、ストレスおよび測定を所定の回数繰り返すことにより、それぞれの回数のストレスを加えた状態でのしきい値電圧および動作電流を求める。
【0025】
そして、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧の初期状態からの劣化量、およびそれぞれの回数のストレスを加えた段階での動作電流の初期状態からの劣化量を求めて、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価を行う。
【0026】
次に、回復レス評価方法について図2を用いて説明する。
【0027】
まず、pチャネル型電界効果トランジスタの初期状態(未だ、ゲートにストレスを加えていない状態)において1回目の測定を行う。1回目の測定では、線形領域または飽和領域のドレイン電流を測定する。これにより、初期状態のしきい値電圧または動作電流を求める。
【0028】
続いて、ゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加えた後(1回目のストレス)、2回目の測定を行う。2回目の測定では、1m秒以下の測定時間においてゲートに初期状態のしきい値電圧または電源電圧を印加してドレイン電流を測定する。ゲートに初期状態のしきい値電圧を印加してドレイン電流を測定する方法は、例えばFast−Id法と呼ばれ、ゲートに電源電圧を印加してドレイン電流を測定する方法は、例えばOTF(On The Fly)法と呼ばれている。これにより、1回目のストレスを加えた段階におけるしきい値電圧または動作電流を求める。回復レス評価方法では、測定時間が1m秒以下と短いので、ドレイン電流を測定している間の劣化の回復を抑えることができる。しかし、回復レス評価方法では、1回の測定でしきい値電圧または動作電流のどちらか一方のみしか求められず、また、得られる情報も限定される。
【0029】
以後、続いて、1回目のストレスおよび2回目の測定と同様に、ストレスおよび測定を所定の回数繰り返すことにより、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧または動作電流を求める。
【0030】
そして、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧の初期状態からの劣化量、またはそれぞれの回数のストレスを加えた段階での動作電流の初期状態からの劣化量を求めて、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価を行う。
【0031】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法(Stress-Relaxation法と言い、S−R法と略す場合もある)を図3〜図5を用いて説明する。図3は、本実施の形態によるNBTI評価方法を説明するNBTI評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図、図4は、本実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係を示す模式図、図5は、本実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係から、回復込み劣化測定部分および回復レス劣化測定部分を解析する方法を説明する模式図である。
【0032】
図3に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法では、「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程をストレス試験の1サイクルとし、この1サイクルを繰り返し行う。
【0033】
「劣化」過程では、例えば前述の図2を用いて説明したFast−Id法またはOTF法を用いてしきい値電圧または動作電流を測定し(spot測定)、初期状態からのしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を求めることにより、回復レス劣化評価を行う。また、「回復」過程では、ストレスは加えずに、ドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し(Id−VgSweep測定)、その測定結果から、初期状態からのしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を求めることにより、回復込み劣化評価を行う。また、「再劣化」過程では、「回復」過程において回復したしきい値電圧または動作電流の劣化量を直近の「劣化」過程の終了時の劣化量に戻す。
【0034】
このような「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程をストレス試験の1サイクルで行うことにより、1つのpチャネル型トランジスタで、回復込み劣化評価および回復レス劣化評価の両方の評価を行うことができる。
【0035】
図4に、前述の図3に示すNBTI評価方法により得られた評価結果の一例を示す。
【0036】
まず、1回目の「劣化」過程において、Fast−Id法を用いて測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)が求まる。またはOTF法を用いて測定された動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く1回目の「回復」過程において、ドレイン電流とゲート電圧との関係からしきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く1回目の「再劣化」過程において、1回目の「回復」過程において回復したしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が、1回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻る。1回目の「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程によりストレス試験の1サイクルが終了する。
【0037】
1回目の「再劣化」過程に続く2回目の「劣化」過程において、1回目の「劣化」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。2回目の「劣化」過程の開始時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)は、1回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻っているので、1回目の「再劣化」過程の後、引き続いて2回目の「劣化」過程における回復レス劣化評価を行うことができる。
【0038】
続く2回目の「回復」過程において、1回目の「回復」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く2回目の「再劣化」過程において、1回目の「再劣化」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が、2回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻る。2回目の「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程によりストレス試験の1サイクルが終了する。
【0039】
以降、同様にして繰り返されるストレス試験により、回復レス劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)、ならびに回復込み劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が測定される。
【0040】
図5に、前述の図4に示すNBTI評価方法により得られた評価結果を回復レス劣化測定部分または回復込み劣化測定部分に分けて、解析する方法の一例を示す。
【0041】
複数の「劣化」過程において測定された回復レス劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)を抽出して1つにまとめることにより、回復レス劣化評価のみの結果を得ることができる。また、複数の「回復」過程において測定された回復込み劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)を抽出して1つにまとめることにより、回復込み劣化評価のみの結果を得ることができる。
【0042】
前述の図3〜図5を用いて説明したpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法では、「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程からなるストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(Fast−Id法またはOTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」として、回復レス劣化評価(Fast−Id法またはOTF法)と回復込み劣化評価の2種類のNBTIを評価したが、これに限定されるものではない。例えばストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復レス劣化評価(Fast−Id法)」とすることができる。これにより、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法)の2種類のNBTI評価を行うことができる。また、例えばストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とすることもできる。これにより、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて3種類のNBTI評価を行うことができる。
【0043】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法を採用した測定結果の一例を図6〜図8に示す。
【0044】
図6は、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)の時間変化を示すグラフ図である。図6に示すように、動作電流の劣化量(ΔIds)には、回復レス劣化評価(OTF法)による劣化量(ΔIds)と回復込み劣化評価による劣化量(ΔIds)とがそれぞれ現れていることが分かる。
【0045】
図7は、前述の図6の結果から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、OTF法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図7に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)と一致している。
【0046】
図8は、前述の図6の結果から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図8に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)と一致している。
【0047】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法を採用した測定結果の他の例を図9〜図12に示す。
【0048】
本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)またはしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を求め、これらを回復レス劣化評価(OTF法)、回復レス劣化評価(Fast−Id法)、または回復込み評価に分けてそれぞれ解析した。
【0049】
図9は、本実施の形態によるNBTI評価から回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、OTF法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図9に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0050】
図10は、本実施の形態によるNBTI評価から回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図10に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0051】
図11は、本実施の形態によるNBTI評価から回復レス劣化測定部分(Fast−Id法)のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、Fast−Id法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を同図に示す。図11に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)とほぼ一致している。
【0052】
図12は、本実施の形態によるNBTI評価から回復込み劣化測定部分のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を同図に示す。図12に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0053】
このように、本実施の形態によれば、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて、2種類(例えば回復込み劣化評価と回復レス劣化評価(OTF法またはFast−Id法)、または回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法))、あるいは3種類(例えば回復込み劣化評価と回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法))のNBTIの評価結果を1度の測定により得ることができるので、個々(1種類)のNBTIの評価結果を1度の測定により得る場合と比較して、NBTIの評価に要する測定数および測定時間を1/2または1/3に減らすことができる。
【0054】
これにより、短時間で、ウエハ面内においてNBTIを漏れなく評価することができ、さらに、他の信頼性評価に要する測定数の確保が可能となることから、他の信頼性評価も実施することができるので、pチャネル型電界効果トランジスタの信頼性の評価を充実させることができる。その結果、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することができる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、半導体素子の信頼性評価、特に、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価に適用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の評価技術に関し、特に、pチャネル型電界効果トランジスタの信頼性評価に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細化の進むpチャネル型電界効果トランジスタにおいては、その信頼性についての課題の1つにNBTI(Negative Bias Temperature Instability;負バイアス温度不安定性)がある。NBTIは、ゲートに対して半導体基板の電位が正の状態で半導体チップの温度が高くなると、pチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電位の絶対値が次第に大きくなる現象である。この現象によって、pチャネル型電界効果トランジスタの動作速度が時間の経過と共に徐々に遅くなる等の問題が生じる。
【0003】
そこで、近年、NBTIを評価する種々の方法が提案されている。例えばM. Denais、他7名、「On-the-fly characterization of NBTI in ultra-thin gate oxide PMOSFET’s」、IEDM Technical Digest、2004年、p.109−112(非特許文献1)には、回復レス評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】M. Denais, A. Bravaix, V. Huard, C. Parthasarathy, G. Ribes, F. Perrier, Y. Rey-Tauriac, N.Revil、「On-the-fly characterization of NBTI in ultra-thin gate oxide PMOSFET’s」、International Electron Devices Meeting Technical Digest、2004年、p.109−112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NBTIの主な評価方法として、回復込み評価方法と回復レス評価方法とがある。回復込み評価方法は、断続的にストレス電圧を印加してしきい値電圧または動作電流の劣化量を評価する方法であり、回復レス評価方法は、継続的にストレス電圧を印加してしきい値電圧または動作電流の劣化量をする評価する方法である。
【0006】
ところで、NBTIのウエハ面内のばらつきは、例えばウエハ面内のゲート絶縁膜の膜厚分布などのマクロなばらつきとの相関では説明がつかないほど大きい。このことから、回復込み評価方法および回復レス評価方法では、ばらつきの影響を排除するために、ウエハ面内の複数点でしきい値電圧または動作電流を測定する必要があり、ウエハ面内の複数点で得られた複数の測定値のメジアン値を用いることによりNBTIが評価されている。
【0007】
このため、どちらの評価方法を採用しても、半導体ウエハに形成された多数(例えば80〜100個程度)のpチャネル型電界効果トランジスタが必要となる。そして、NBTIの評価を優先すると、他の信頼性評価に使用できるpチャネル型電界効果トランジスタの数が減少して、他の信頼性評価の実施が困難となる場合がある。逆に、他の信頼性評価を優先すると、NBTIの評価に使用できるpチャネル型電界効果トランジスタの数が減少して、NBTIの評価の実施が困難となる場合がある。
【0008】
さらに、回復込み評価方法と回復レス評価方法とでは得られる劣化過程の情報が異なることから、特に45nm世代以降の半導体製品においては両評価方法によってNBTIを保証する必要がある。しかし、回復込み評価方法による測定と回復レス評価方法による測定はそれぞれ独立して行われるため、両評価方法を採用すると、NBTIの評価に要するpチャネル型電界効果トランジスタの数が増加し、NBTIの評価に要する時間も増加する。また、回復込み評価方法では、しきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を1つのpチャネル型電界効果トランジスタで評価することができるが、回復レス評価方法では、しきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を異なる2つのpチャネル型電界効果トランジスタでそれぞれ評価しなければならない。従って、回復込み評価方法と回復レス評価方法とを併用し、かつそれぞれの評価方法でしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を評価する場合には、多大な数のpチャネル型電界効果トランジスタが必要となる。
【0009】
このため、測定数または測定時間に制約がある場合には、回復込み評価方法および回復レス評価方法によるpチャネル型電界効果トランジスタに対するNBTIの評価が不十分となる。その結果、NBTIに起因した動作特性変動の可能性のあるpチャネル型電界効果トランジスタが半導体製品のアナログ回路またはデジタル回路を構成することとなり、半導体製品は動作不良または故障などを引き起こしかねない危険性を有してしまう。
【0010】
本発明の目的は、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIをウエハ面内において漏れなく評価することにより、信頼性評価の充実を図り、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
この実施の形態は、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、劣化過程、回復過程、および再劣化過程をストレス試験の1サイクルとし、1つのpチャネル型電界効果トランジスタに対して上記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求め、複数の劣化過程におけるしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を抽出して回復レス劣化評価を行い、複数の回復過程におけるしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を抽出して回復込み劣化評価を行う。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIをウエハ面内において漏れのなく評価することにより、信頼性評価の充実を図り、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明者らが検討した一般的な回復込み評価方法を説明する動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図2】本発明者らが検討した一般的な回復レス評価方法を説明する動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を説明するNBTI評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係から、回復込み劣化測定部分および回復レス劣化測定部分を解析する方法を説明する模式図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)の時間変化を示すグラフ図である。
【図7】図6の結果から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図8】図6の結果から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図10】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図11】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復レス劣化測定部分(Fast−Id法)のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【図12】本発明の一実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価結果(ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合)から、回復込み劣化測定部分のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0018】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明者らが検討した一般的なpチャネル型電界効果トランジスタの回復込み評価方法および回復レス評価方法をそれぞれ図1および図2を用いて説明する。図1は、回復込み評価方法を説明する回復込み評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図、図2は、回復レス評価方法を説明する回復レス評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図である。
【0021】
回復込み評価方法について図1を用いて説明する。
【0022】
まず、pチャネル型電界効果トランジスタの初期状態(未だ、ゲートにストレスを加えていない状態)において1回目の測定を行う。1回目の測定では、10〜20秒の測定時間において線形領域および飽和領域のドレイン電流をそれぞれ測定する。これにより、初期状態におけるしきい値電圧および動作電流を求める。
【0023】
続いて、ゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加えた後(1回目のストレス)、2回目の測定を行う。2回目の測定では、1回目の測定と同様に、10〜20秒の測定時間において線形領域および飽和領域のドレイン電流をそれぞれ測定する。これにより、1回目のストレスを加えた段階におけるしきい値電圧および動作電流を求める。回復込み評価方法では、1回の測定でしきい値電圧および動作電流を求めることができる。しかし、回復込み評価方法では、測定時間が10〜20秒と長いので、ドレイン電流を測定している間に劣化の回復が起きてしまう。
【0024】
以後、続いて、1回目のストレスおよび2回目の測定と同様に、ストレスおよび測定を所定の回数繰り返すことにより、それぞれの回数のストレスを加えた状態でのしきい値電圧および動作電流を求める。
【0025】
そして、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧の初期状態からの劣化量、およびそれぞれの回数のストレスを加えた段階での動作電流の初期状態からの劣化量を求めて、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価を行う。
【0026】
次に、回復レス評価方法について図2を用いて説明する。
【0027】
まず、pチャネル型電界効果トランジスタの初期状態(未だ、ゲートにストレスを加えていない状態)において1回目の測定を行う。1回目の測定では、線形領域または飽和領域のドレイン電流を測定する。これにより、初期状態のしきい値電圧または動作電流を求める。
【0028】
続いて、ゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加えた後(1回目のストレス)、2回目の測定を行う。2回目の測定では、1m秒以下の測定時間においてゲートに初期状態のしきい値電圧または電源電圧を印加してドレイン電流を測定する。ゲートに初期状態のしきい値電圧を印加してドレイン電流を測定する方法は、例えばFast−Id法と呼ばれ、ゲートに電源電圧を印加してドレイン電流を測定する方法は、例えばOTF(On The Fly)法と呼ばれている。これにより、1回目のストレスを加えた段階におけるしきい値電圧または動作電流を求める。回復レス評価方法では、測定時間が1m秒以下と短いので、ドレイン電流を測定している間の劣化の回復を抑えることができる。しかし、回復レス評価方法では、1回の測定でしきい値電圧または動作電流のどちらか一方のみしか求められず、また、得られる情報も限定される。
【0029】
以後、続いて、1回目のストレスおよび2回目の測定と同様に、ストレスおよび測定を所定の回数繰り返すことにより、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧または動作電流を求める。
【0030】
そして、それぞれの回数のストレスを加えた段階でのしきい値電圧の初期状態からの劣化量、またはそれぞれの回数のストレスを加えた段階での動作電流の初期状態からの劣化量を求めて、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価を行う。
【0031】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法(Stress-Relaxation法と言い、S−R法と略す場合もある)を図3〜図5を用いて説明する。図3は、本実施の形態によるNBTI評価方法を説明するNBTI評価時の動作電圧(ゲート電圧(Vg)およびドレイン電圧(Vd))と測定時間(time)との関係を示す模式図、図4は、本実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係を示す模式図、図5は、本実施の形態によるNBTI評価方法を使用して測定されたpチャネル型電界効果トランジスタのしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)と測定時間(time)との関係から、回復込み劣化測定部分および回復レス劣化測定部分を解析する方法を説明する模式図である。
【0032】
図3に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法では、「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程をストレス試験の1サイクルとし、この1サイクルを繰り返し行う。
【0033】
「劣化」過程では、例えば前述の図2を用いて説明したFast−Id法またはOTF法を用いてしきい値電圧または動作電流を測定し(spot測定)、初期状態からのしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を求めることにより、回復レス劣化評価を行う。また、「回復」過程では、ストレスは加えずに、ドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し(Id−VgSweep測定)、その測定結果から、初期状態からのしきい値電圧の劣化量および動作電流の劣化量を求めることにより、回復込み劣化評価を行う。また、「再劣化」過程では、「回復」過程において回復したしきい値電圧または動作電流の劣化量を直近の「劣化」過程の終了時の劣化量に戻す。
【0034】
このような「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程をストレス試験の1サイクルで行うことにより、1つのpチャネル型トランジスタで、回復込み劣化評価および回復レス劣化評価の両方の評価を行うことができる。
【0035】
図4に、前述の図3に示すNBTI評価方法により得られた評価結果の一例を示す。
【0036】
まず、1回目の「劣化」過程において、Fast−Id法を用いて測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)が求まる。またはOTF法を用いて測定された動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く1回目の「回復」過程において、ドレイン電流とゲート電圧との関係からしきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く1回目の「再劣化」過程において、1回目の「回復」過程において回復したしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が、1回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻る。1回目の「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程によりストレス試験の1サイクルが終了する。
【0037】
1回目の「再劣化」過程に続く2回目の「劣化」過程において、1回目の「劣化」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。2回目の「劣化」過程の開始時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)は、1回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻っているので、1回目の「再劣化」過程の後、引き続いて2回目の「劣化」過程における回復レス劣化評価を行うことができる。
【0038】
続く2回目の「回復」過程において、1回目の「回復」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が求まる。続く2回目の「再劣化」過程において、1回目の「再劣化」過程と同様にして、しきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)が、2回目の「劣化」過程の終了時のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)に戻る。2回目の「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程によりストレス試験の1サイクルが終了する。
【0039】
以降、同様にして繰り返されるストレス試験により、回復レス劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)、ならびに回復込み劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)および動作電流の劣化量(ΔIds)が測定される。
【0040】
図5に、前述の図4に示すNBTI評価方法により得られた評価結果を回復レス劣化測定部分または回復込み劣化測定部分に分けて、解析する方法の一例を示す。
【0041】
複数の「劣化」過程において測定された回復レス劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)を抽出して1つにまとめることにより、回復レス劣化評価のみの結果を得ることができる。また、複数の「回復」過程において測定された回復込み劣化評価によるしきい値電圧の劣化量(ΔVth)または動作電流の劣化量(ΔIds)を抽出して1つにまとめることにより、回復込み劣化評価のみの結果を得ることができる。
【0042】
前述の図3〜図5を用いて説明したpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法では、「劣化」過程、「回復」過程、および「再劣化」過程からなるストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(Fast−Id法またはOTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」として、回復レス劣化評価(Fast−Id法またはOTF法)と回復込み劣化評価の2種類のNBTIを評価したが、これに限定されるものではない。例えばストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復レス劣化評価(Fast−Id法)」とすることができる。これにより、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法)の2種類のNBTI評価を行うことができる。また、例えばストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とすることもできる。これにより、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて3種類のNBTI評価を行うことができる。
【0043】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法を採用した測定結果の一例を図6〜図8に示す。
【0044】
図6は、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)の時間変化を示すグラフ図である。図6に示すように、動作電流の劣化量(ΔIds)には、回復レス劣化評価(OTF法)による劣化量(ΔIds)と回復込み劣化評価による劣化量(ΔIds)とがそれぞれ現れていることが分かる。
【0045】
図7は、前述の図6の結果から、回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、OTF法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図7に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)と一致している。
【0046】
図8は、前述の図6の結果から、回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図8に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)と一致している。
【0047】
次に、本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法を採用した測定結果の他の例を図9〜図12に示す。
【0048】
本実施の形態によるpチャネル型電界効果トランジスタのNBTI評価方法において、ストレス試験の1サイクルを「回復レス劣化評価(OTF法)→回復込み劣化評価→再劣化→回復レス劣化評価(Fast−Id法)→回復込み劣化評価→再劣化」とした場合の動作電流の劣化量(ΔIds)またはしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を求め、これらを回復レス劣化評価(OTF法)、回復レス劣化評価(Fast−Id法)、または回復込み評価に分けてそれぞれ解析した。
【0049】
図9は、本実施の形態によるNBTI評価から回復レス劣化測定部分(OTF法)の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、OTF法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図9に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0050】
図10は、本実施の形態によるNBTI評価から回復込み劣化測定部分の動作電流の劣化量(ΔIds)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定された動作電流の劣化量(ΔIds)を同図に示す。図10に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られた動作電流の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0051】
図11は、本実施の形態によるNBTI評価から回復レス劣化測定部分(Fast−Id法)のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、Fast−Id法を用いた従来の回復レス評価方法により独立測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を同図に示す。図11に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)は、従来の回復レス評価方法(独立測定)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)とほぼ一致している。
【0052】
図12は、本実施の形態によるNBTI評価から回復込み劣化測定部分のしきい値電圧の劣化量(ΔVth)のみを抽出してプロットしたグラフ図である。比較のために、従来の回復込み評価方法により独立測定されたしきい値電圧の劣化量(ΔVth)を同図に示す。図12に示すように、本実施の形態によるNBTI評価方法(S−R法)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔIds)は、従来の回復込み評価方法(独立測定)により得られたしきい値電圧の劣化量(ΔIds)とほぼ一致している。
【0053】
このように、本実施の形態によれば、1つのpチャネル型電界効果トランジスタにおいて、2種類(例えば回復込み劣化評価と回復レス劣化評価(OTF法またはFast−Id法)、または回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法))、あるいは3種類(例えば回復込み劣化評価と回復レス劣化評価(OTF法)と回復レス劣化評価(Fast−Id法))のNBTIの評価結果を1度の測定により得ることができるので、個々(1種類)のNBTIの評価結果を1度の測定により得る場合と比較して、NBTIの評価に要する測定数および測定時間を1/2または1/3に減らすことができる。
【0054】
これにより、短時間で、ウエハ面内においてNBTIを漏れなく評価することができ、さらに、他の信頼性評価に要する測定数の確保が可能となることから、他の信頼性評価も実施することができるので、pチャネル型電界効果トランジスタの信頼性の評価を充実させることができる。その結果、信頼性の高いpチャネル型電界効果トランジスタを提供することができる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、半導体素子の信頼性評価、特に、pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIの評価に適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)劣化過程、回復過程、および再劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量または前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記回復過程における前記しきい値電圧の劣化量および前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量または動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記回復過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記再劣化過程では、
(a4)前記回復過程において回復したしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を、前記劣化過程の終了時のしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量に戻す工程を有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧または初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項4】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)第1劣化過程および第2劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記第1劣化過程における前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記第2劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記第1劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第2劣化過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a4)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第2電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量を求める工程とを有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項7】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a4)工程において、前記ゲートに印加される前記第2電圧は、初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項8】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a4)工程において、前記ゲートに前記第2電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項9】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)第1劣化過程、第1回復過程、第1再劣化過程、第2劣化過程、第2回復過程、および第2再劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記第1劣化過程における前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記第1回復過程および前記第2回復過程におけるそれぞれの前記しきい値電圧の劣化量および前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(d)複数の前記第2劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記第1劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第1回復過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記第1再劣化過程では、
(a4)前記第1回復過程において回復した動作電流の劣化量を、前記第1劣化過程の終了時の動作電流の劣化量に戻す工程を有し、
前記(a)工程における前記第2劣化過程では、
(a5)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a6)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第2電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第2回復過程では、
(a7)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記第2再劣化過程では、
(a8)前記第2回復過程において回復したしきい値電圧の劣化量を、前記第2劣化過程の終了時のしきい値電圧の劣化量に戻す工程を有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項11】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項12】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a6)工程において、前記ゲートに印加される前記第2電圧は、初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項13】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a6)工程において、前記ゲートに前記第2電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項1】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)劣化過程、回復過程、および再劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量または前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記回復過程における前記しきい値電圧の劣化量および前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量または動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記回復過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記再劣化過程では、
(a4)前記回復過程において回復したしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を、前記劣化過程の終了時のしきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量に戻す工程を有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧または初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項4】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)第1劣化過程および第2劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量または動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記第1劣化過程における前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記第2劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記第1劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第2劣化過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a4)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第2電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量を求める工程とを有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項7】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a4)工程において、前記ゲートに印加される前記第2電圧は、初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項8】
請求項4記載の半導体装置の評価方法において、前記(a4)工程において、前記ゲートに前記第2電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項9】
pチャネル型電界効果トランジスタのNBTIを評価する半導体装置の評価方法であって、
(a)第1劣化過程、第1回復過程、第1再劣化過程、第2劣化過程、第2回復過程、および第2再劣化過程を1サイクルとし、1つの前記pチャネル型電界効果トランジスタに対して前記1サイクルを複数回繰り返しながら、しきい値電圧の劣化量、動作電流の劣化量、またはしきい値電圧および動作電流の劣化量を求める工程と、
(b)複数の前記第1劣化過程における前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(c)複数の前記第1回復過程および前記第2回復過程におけるそれぞれの前記しきい値電圧の劣化量および前記動作電流の劣化量を抽出する工程と、
(d)複数の前記第2劣化過程における前記しきい値電圧の劣化量を抽出する工程と、
を有し、
前記(a)工程における前記第1劣化過程では、
(a1)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a2)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第1電圧を印加して、動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第1回復過程では、
(a3)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記第1再劣化過程では、
(a4)前記第1回復過程において回復した動作電流の劣化量を、前記第1劣化過程の終了時の動作電流の劣化量に戻す工程を有し、
前記(a)工程における前記第2劣化過程では、
(a5)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに電源電圧よりも高いストレス電圧を所定時間加える工程と、
(a6)前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲートに第2電圧を印加して、しきい値電圧の初期状態からの劣化量を求める工程とを有し、
前記(a)工程における前記第2回復過程では、
(a7)前記pチャネル型電界効果トランジスタのドレイン電流とゲート電圧との関係を測定し、しきい値電圧の初期状態からの劣化量および動作電流の初期状態からの劣化量を求める工程を有し、
前記(a)工程における前記第2再劣化過程では、
(a8)前記第2回復過程において回復したしきい値電圧の劣化量を、前記第2劣化過程の終了時のしきい値電圧の劣化量に戻す工程を有することを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに印加される前記第1電圧は、電源電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項11】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a2)工程において、前記ゲートに前記第1電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項12】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a6)工程において、前記ゲートに印加される前記第2電圧は、初期状態で測定されたしきい値電圧であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【請求項13】
請求項9記載の半導体装置の評価方法において、前記(a6)工程において、前記ゲートに前記第2電圧が印加される時間は、1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−104743(P2012−104743A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253789(P2010−253789)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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