説明

半導体装置を封止するシステム及び方法

【課題】半導体ウェハの背面に沿って発生するフラッシュの蓄積を防止した半導体モールディングチャンバーを有する半導体装置の封止システム及び封止方法を提供する。
【解決手段】半導体モールディングチャンバーのシステムと方法が開示される。上モールディング部分105と下モールディング部分107とを含み、それらの間にモールディングキャビティ305を形成し、半導体ウェハ101が配置される。半導体モールディングチャンバーは、半導体ウェハの位置を保持、固定する第一組吸引チューブと、キャビティ外部周辺ガスを排出する第二組吸引チューブと、を有する。封止材301が、その後、半導体ウェハ上に配置されて、半導体ウェハを封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造システムと方法に関するものであって、特に、半導体ダイスを封止するシステムと方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体ウェハは、ラインの前工程と後工程を通して処理されて、半導体装置とそれらの対応する接続を形成すると、更に、半導体ウェハを物理的損傷、及び、環境損害から保護するために、半導体ウェハは、例えば、樹脂によりコートされる。樹脂を所望の形状にするため、半導体ウェハは、モールディングチャンバー(通常、ウェハがモールディングチャンバーに粘着しないようにする特別なリリースフィルムを有する)に入れられ、樹脂がモールディングチャンバーに注入され、これにより、モールディングチャンバーは、半導体ウェハ上を、樹脂で所望の形状にモールディングする。
【0003】
しかし、リリースフィルム上で、単に止まっている(又は、フローティングしている)半導体ウェハを有するチャンバーに樹脂が注入される時、フラッシュとして知られる蓄積された望まれない樹脂が、半導体ウェハの背面に沿って発生する。このフラッシュは、幾つかの有害な問題を引き起こし、半導体ウェハの操作に影響を及ぼす。例えば、誘電材料になるフラッシュは、導電コンタクトを被覆し、それらが、電力、及び/又は、信号が、半導体ウェハ内外で導電するのを妨げる。この他、フラッシュ蓄積は、複数の半導体ウェハ背面の平面性を破壊することにより干渉し、外部装置との接続を行なう際に、半導体ウェハの適切な配置と位置合わせを妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US-6,093,583(07-25-2000)
【特許文献2】US-6,383,846 B1(05-07-2002)
【特許文献3】US-6,459,159 B1(10-01-2002)
【特許文献4】US-6,511,620 B1(01-28-2003)
【特許文献5】US-6,530,764 B2(03-11-2003)
【特許文献6】US-2006/0055080 A1(03-16-2006)
【特許文献7】US-2007/0246853 A1(10-25-2007)
【特許文献8】US-7,407,608 B2(08-05-2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題を解決することのできる半導体装置の封止システム及び封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例による、半導体装置を封止するシステムはモールディングチャンバーを含む。モールディングチャンバーは、第一可変圧力領域と、第二可変圧力領域と、第一と第二可変圧力領域間に位置する半導体ウェハ受入領域と、を有する。少なくとも一つの第一吸引孔がモールディングチャンバーに延伸し、少なくとも一つの第一吸引孔は第一可変圧力領域への入り口へ開口し、少なくとも一つの第二吸引孔はモールディングチャンバーに延伸し、第二可変圧力領域と反対の半導体ウェハ受入領域に位置し、第二可変圧力領域に操作可能に接続される。
【0007】
別の実施例による半導体装置の封止システムは、上モールディング部分と下モールディング部分により定義されるモールドを含む。第一真空セパレーターと第二真空セパレーターは、下モールディング部分と上モールディング部分の一つ上に位置する。第一吸引孔はモールドに延伸し、操作可能に接続されて第一圧力ゾーンで、第一圧力を制御し、第一圧力ゾーンは第一真空セパレーターにより囲まれる。第二吸引孔はモールドに延伸し、操作可能に接続され、第二圧力ゾーンで、第二圧力を制御し、第二圧力ゾーンは、第二真空セパレーター中の開口を通して、第二吸引孔に接続される。
【0008】
更に別の実施例による半導体装置の封止方法は、上表面と下表面を有し、下表面が第一モールド部分に近接して位置決めされる半導体装置を提供するステップを含む。下表面に沿った圧力を減少させて、下表面を第一モールド部分に貼り付ける。第二モールド部分は、第一モールド部分と半導体装置上で位置決めされ、第二モールド部分と第一モールド部分は、半導体装置を囲むキャビティを定義する。半導体装置の上表面に近接するガスは、下表面に面する吸引孔により排出され、半導体装置の上表面に封止が施される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、半導体ウェハの適切な配置と位置合わせが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施例による、半導体ウェハの封止に用いられるモールディング装置を示す図である。
【図1B】本発明の実施例による、半導体ウェハの封止に用いられるモールディング装置を上方から見た図である。
【図2】本発明の実施例によるモールディング装置に配置されている半導体装置を示す図である。
【図3】本発明の実施例による半導体装置の封止を示す図である。
【図4】本発明の実施例による、封止された半導体装置の除去を示す図である。
【図5A】本発明の実施例による、モールディング装置として用いられるピストン配置を示す図である。
【図5B】本発明の実施例による、モールディング装置として用いられるピストン配置を示す図である。
【図6A】本発明の別の実施例による、モールディング装置として用いられるピストン配置を示す図である。
【図6B】本発明の別の実施例による、モールディング装置として用いられるピストン配置を示す図である。
【図6C】本発明の別の実施例による、モールディング装置として用いられるピストン配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例について以下に説明する。以下で説明する実施例はあくまでも一例であってこの例に限定されるものではなく、本発明は様々な形態で提供され得る。
【0012】
以下で説明する、半導体ウェハ及び半導体ダイスを封止するモールディングチャンバーは、一例であり、本発明は他のモールディングチャンバーにも適用できる。
【0013】
図1Aと図1Bを参照すると、一つ、又は、それ以上の半導体ダイス109に接着された半導体ウェハ101を封止するのに用いられるモールディング装置100が示され、図1Aは、図1BのA−A´に沿った断面図である。半導体ウェハ101は、通常、当技術分野で周知のように、電子装置(図示しない)を有する基板を含む。基板と電子装置は、一つ、又は、それ以上の誘電層と導電層で被覆される。導電層は接続性を提供し、電子装置底部でルーティングされる。半導体ウェハ101は、例えば、直径が約300mmである。
【0014】
半導体ダイス109は、通常、当技術分野で周知のように、別の電子装置(図示しない)を有し、半導体ウェハから分離されている別の基板を有する。図1Aの実施例中、半導体ダイス109は、ダイーウェハ接着工程で、半導体ウェハ101に接着される。このような工程で、半導体ダイス109と半導体ウェハ101は、例えば、半導体ダイス109と半導体ウェハ101間に位置するマイクロバンプ(図示しない)の使用により、物理的、及び、電気的に接着される。この工程は、例えば、半導体ダイス109、又は、半導体ウェハ101上で、マイクロバンプの配置、又は、形成、半導体ダイス109と半導体ウェハ101の位置合わせ、及び、マイクロバンプをリフローして、半導体ダイス109と半導体ウェハ101間に、適切な電気的、物理的接着を形成するリフロー工程を含む。別の適切な接着工程、例えば、ウェハーウェハ接着、ダイーダイ接着等が本発明の実施例に用いられてもよく、このような適切な工程は全て、本発明の範囲内に含まれる。
【0015】
モールディング装置100は、上モールディング部分105と、上モールディング部分105から分離された下モールディング部分107を含む。上モールディング部分105は、第一キャビティ111を有し、下モールディング部分107は第二キャビティ113を有する。上モールディング部分105が下がり、下モールディング部分107に近接する時、第一キャビティ111と第二キャビティ113はフィットして、半導体ウェハ101のモールディングキャビティ305を形成する(図1Aで示されないが、図3で示されている)。よって、第一キャビティ111と第二キャビティ113の形状は、半導体ウェハ101の大きさと形状により決定され、一例として、第一キャビティ111は、半導体ウェハ101を収容するのに十分な第一直径d1を有し、封止体の範囲を形成する。例えば、第一直径d1は、約300〜301.2mm、例えば、約300.3〜300.6mmの間で、第一高さh1は約2mmより低い。同様に、第二キャビティは、第二直径d2を有し、半導体ウェハ101を収容する大きさで、封止体の範囲を形成し、例えば、約300〜300.6mm、又は、約300.3〜300.4mmの間で、第二高さh2は約0.6〜2mmで、例えば、約0.6〜0.8mmである。
【0016】
下モールディング部分107は、第一組吸引孔115と第二組吸引孔117を有する。第一組吸引孔115は、第一真空ポンプ119に接続されて、圧力を減少させ、第一組吸引孔115中に、少なくとも不完全真空を生成する。半導体ウェハ101が第一組吸引孔115に近接して配置される時、この少なくとも不完全真空は、第一可変圧力ゾーン116中の圧力を低下させ、半導体ウェハ101を固定、保持し、これにより、一旦、半導体ウェハ101が第一キャビティ111内に正確に配置されると、半導体ウェハ101は、封止工程等の後続処理中に、移動しないことが保証される。
【0017】
第二組吸引孔117は、第二真空ポンプ121に接続されて、圧力を減少させ、第二組吸引孔117中に、少なくとも不完全真空を生成する。上モールディング部分105が下がって、下モールディング部分107に接続されると(図3で示される)、第二組吸引孔117中の少なくとも不完全真空が用いられて、第二可変圧力ゾーン118中の圧力を減少させ、モールディングキャビティ305から排気する。モールディングキャビティ305から周辺ガスを排出することにより、第二組吸引孔117は、半導体ウェハ101の背面に沿って、フラッシュ材料の蓄積を防止するのを助ける。
【0018】
しかし、当業者なら理解できるように、第一組吸引孔115、第二組吸引孔117、第一真空ポンプ119、及び、第二真空ポンプ121間の接続の上記の記述は、本実施例に限定するものではない。また、単一真空ポンプのみが、第一組吸引孔115、第二組吸引孔117の両方に接続されても良く、この場合、単一真空ポンプは、真空を提供して半導体ウェハ101を固定、保持すべく第一キャビティ111と第二キャビティ113から排気する。このような代替手段と接続のその他の適切な配置は、本実施例の範囲に含まれる。
【0019】
この他、図1Aと図1Bは、第一真空セパレーター123と第二真空セパレーター125を示す。第一真空セパレーター123(半導体ウェハ101と共に、図3で示される)は、第一組吸引孔115により排気される領域と、第二組吸引孔117により排気される領域を分離する。第一組吸引孔115により排気される領域と、第二組吸引孔117により排気される領域を分離することにより、第一組吸引孔115は、第二組吸引孔117から分離して操作され、半導体ウェハ101は、モールディングキャビティ305の排気とは別に、固定、保持される。この分離は、上モールディング部分105が、下モールディング部分107から分離される時(これにより、モールディングキャビティ305の残りで、不完全真空を破壊する)でも、半導体ウェハ101を固定、保持したい場合、特に有益である。
【0020】
第一真空セパレーター123は、約10〜50mmの間、例えば、約25mmの間隔を隔てた同心円状に配置されれば良い。第一真空セパレーター123は、約1〜10mm、例えば、約5mmの幅W1を有する。第一真空セパレーター123は単一の連続片で、第一真空ポンプ119が係合する時、半導体ウェハ101と第一真空セパレーター123間の気密シールを促進する。しかし、これらの特徴は説明のためのものであり、開口のその他の適切な配置でも、半導体ウェハ101の固定と接着が可能である。
【0021】
第二真空セパレーター125は、下モールディング部分107に位置し、開口128(図1Bを参照)は、モールディングキャビティ305から第二組吸引孔117にガスを通過させる。封止工程で、これらの開口128が用いられ、第二真空ポンプ121と共に、モールディングキャビティ305からガスを排出する。
【0022】
第二真空セパレーター125は、例えば、第二真空セパレーター125の同心円周辺で、一定間隔で配置される全部で6個の開口128を有する。このように、第二真空セパレーター125は、約1〜20mm、例えば、約5mmの開口を有し、5〜120°毎、例えば、60°毎に配置される。しかし、これらの特徴は、単なる説明のためのものであり、モールディングキャビティ305からガスを除去することができる開口のその他の適切な配置を用いることもできる。
【0023】
この他、第一真空セパレーター123と第二真空セパレーター125が同心円で配置され(図1Bで示される)、一緒に作動して、第一組吸引孔115と第二組吸引孔117から、半導体ウェハ101を分離する。第一組吸引孔115と第二組吸引孔117から、半導体ウェハ101を分離することにより、第一真空セパレーター123と第二真空セパレーター125は、半導体ウェハ101が、第二組吸引孔117を塞ぎ、モールディングキャビティ305からガス排出が停止されるのを防止する。
【0024】
第二キャビティ113、及び/又は、第二真空セパレーター125の側壁はリリース材料127によりコートされる。このリリース材料127は、封止材料(詳細は、図3を参照する)に、非接着表面を提供し、よって、半導体ウェハ101が封止されると、半導体ウェハ101は、第二キャビティ113の側壁に接着されずに、第二キャビティ113から容易に除去できる。リリース材料127は、例えば、金、テフロン(登録商標)、Cr-N、これらの混合物等であり、任意の適切なリリース材料127が用いられる。
【0025】
また、図3で示されるように、リリースフィルム129が上モールディング部分105と半導体ウェハ101間に設置される。リリースフィルム129は、半導体ウェハ101の封止工程を完了すると、封止体が、第一キャビティ111の表面から突き出ない、又は、リリースされる材料である。リリースフィルム129は、ポリイミド、塩化ビニル、PC、ETFE、PTFE、PET、FEP、ポリ塩化ビニリデン、フッ素コーティングガラス布、合成紙、金属箔、これらの混合物等を含む。リリースフィルム129は、約20〜50μm、例えば、約25μmの厚さを有する。
【0026】
下モールディング部分107は、突き出しピン131を含む。突き出しピン131は、封止後、下モールディング部分107から、半導体ウェハ101をリリースするのを助ける力を提供する。例えば、第三直径d3が約1.5mmの3個の突き出しピン131を有し、第二キャビティ113周囲に一定角度間隔、例えば、120°毎に配置されている。しかし、これらの尺寸は、単なる説明のためのものであり、突き出しピン131が、下モールディング部分107から、半導体ウェハ101をリリースすることができる適切な尺寸と間隔が用いられてもよい。
【0027】
図2は、半導体ウェハ101の第二キャビティ113への配置と第一組吸引孔115の係合を示す。実施例中、半導体ウェハ101は、第一組吸引孔115と第二組吸引孔117上に配置され、第一真空ポンプ119が係合されて、第一組吸引孔115内の圧力を減少させる。圧力が少なくとも不完全真空まで、例えば、1mtorrまで低下すると、半導体ウェハ101は、第一真空セパレーター123と第二真空セパレーター125に固定、保持され、且つ、突き出しピン131を後退した位置に押す。
【0028】
図3を参照すると、上モールディング部分105を下モールディング部分107に近接させて位置決めし、これにより、モールディングキャビティ305中で、半導体ウェハ101が包囲される。半導体ウェハ101が包囲されると、上モールディング部分105と下モールディング部分107は(それらの間に挟まれたリリースフィルム129と共に)、気密シールを形成して、モールディングキャビティ305からのガスの流入と流出を制御する。上モールディング部分105と下モールディング部分107は、例えば、圧縮ツール等で、約5〜200KN間の力、例えば、約50〜100KNで、押圧される。
【0029】
また、図3は、第一キャビティ111と第二キャビティ113中の封止材301の配置を示す。封止材301は、ポリイミド、PPS、PEEK、PES、耐熱結晶樹脂、これらの混合物等である。封止材301は、上下モールディング部分の位置合わせより前に、モールディングキャビティ305内に配置されるか、又は、注入ポート(図示しない)により、第一キャビティ111と第二キャビティ113に注入される。
【0030】
封止工程中、特に、封止材301がモールディングキャビティ305内に配置されると、第二真空ポンプ121が用いられて、第二組吸引孔117により、例えば、約1〜0.001torrで、不完全真空を形成する。不完全真空が作用して、モールディングキャビティ305内に位置する周辺ガスを開口128(図1Bを参照)から排出するので、周辺ガスは、封止工程で、互いに作用せず、干渉しない。この周辺ガスは、フラッシュが、半導体ウェハ101の背面に沿って蓄積するのを防止することを助ける。
【0031】
封止材301がモールディングキャビティ305に配置されると、封止材301は、半導体ウェハ101を封止し、封止材301が硬化して、固まり、最適な保護になる。正確な硬化工程は、封止材301に選択される特定材料に少なくとも部分的に依存し、実施例中、成形材料が封止材301として選択され、硬化は、封止材301を、約100〜130℃、例えば、125℃で、約60〜3000秒、例えば、約600秒、加熱する等の工程により発生する。この他、イニシエーター、及び/又は、触媒が封止材301に含まれても良く、硬化工程を好ましく制御する。
【0032】
しかし、当業者なら理解できるように、上述の硬化工程は、単なる例であり、実施例に限定するものではない。例えば、照射、又は、封止材301を周辺温度で硬化させることができる別の硬化工程が用いられてもよい。適切な硬化工程が用いられても良く、このような工程は全て、本実施例の範囲に含まれる。
【0033】
図4を参照すると、第二真空ポンプ121との接続が遮断された後、上モールディング部分105と下モールディング部分107が分離され、これにより、第一組吸引孔115と第二組吸引孔117中の圧力が周辺圧力に戻る。この分離は、分離の補助として、リリースフィルム129を用いて、上モールディング部分105を、半導体ウェハ101/封止材301の組み合わせから分離し、半導体ウェハ101/封止材301は、第一キャビティ111の表面から突き出ない。
【0034】
上モールディング部分105が、下モールディング部分107から分離されると、第一真空ポンプ119の接続が遮断され、これにより、半導体ウェハ101が分離され、半導体ウェハ101/封止材301組み合わせを下モールディング部分107から分離し、半導体ウェハ101/封止材301と下モールディング部分107の分離を進めるべく突き出しピン131が係合するようにされても良い。分離は、下モールディング部分107の側壁に沿って位置するリリース材料127により補助される。
【0035】
図5Aと図5Bは、トップダウンモールド設計を用いた別の実施例を示す図である。この実施例中、半導体ウェハ101の背面が、ピストン501に貼られる。半導体ウェハ101の背面は、ピストン501に延伸する第一組吸引孔115の使用により貼られ、第一真空ポンプ119が不完全真空を形成することができるようにし、これにより、半導体ウェハ101の背面がピストン501に押し付けられる。
【0036】
ピストン501に貼られると、半導体ウェハ101とピストン501がチャンバー503まで低下する。チャンバー503は、底部ユニット507に接続する側壁505を有し、例えば、側壁505と底部ユニット507間に位置するO型リング509により分離される。チャンバー503から露出する側壁505と底部ユニット507は、リリース材料127(例えば、金、テフロン等)によりコートされ、半導体ウェハ101、及び/又は、封止材301(図5Bを参照)が、側壁505に接着するのを防止するのに役立つ。
【0037】
図5Aの実施例中、第二組吸引孔117はチャンバー503の側壁505に延伸する。ピストン501が、チャンバー503の側壁505内に配置されると、第二組吸引孔117と第二真空ポンプ121(図5Aで、二個の真空ポンプ121で示される)が用いられて、チャンバー503から排気され、これにより、チャンバー503を封止する。例えば、ピストン501が最終位置(封止の準備)に移動する前、又は、ピストンが最終位置に移動中、第二真空ポンプ121が係合されて、チャンバー503から排気される。この他、第二組吸引孔117は、ピストン501がチャンバー503内で一定距離だけ移動すると、ピストン501が第二組吸引孔117に対し、バリアとして機能するように設置されても良い。例えば、第二組吸引孔117は、底部ユニット507から約1〜200mm、例えば、約10mmの距離d6で設置され、ピストン501がこの距離以下まで移動すると、ピストン501は、第二組吸引孔117を塞ぎ、更に、チャンバー503の排気を防止する。
【0038】
しかし、当業者なら理解できるように、この位置決めは、単なる説明に過ぎず、多少なりとも、本実施例を限定するものではない。図1A〜図1Bの実施例に類似した第二組吸引孔117の別の位置決め、例えば、第二組吸引孔117が底部ユニット507に延伸する、又は、ピストン501に延伸するものも、本実施例に用いることができる。適切な位置決め全てが、本実施例の範囲内に含まれる。
【0039】
封止材301に適当な尺寸に達するまで、ピストン501が、半導体ウェハ101と底部ユニット507間で、例えば、約900から1500μm、チャンバー503内に低下する。ピストン501が配置され、チャンバー503が排気されると、封止材301が、例えば、半導体ウェハ101とチャンバー503間の空間に注入される。封止材301が注入、又は、形成された後、封止材301が、図3の記述のように硬化する。硬化すると、ピストン501が、半導体ウェハ101/半導体ダイス109/封止材301の組み合わせと共に、チャンバー503から除去され、第一組吸引孔115に存在する不完全真空により、ピストン501に貼られるのが維持される。ピストン501と半導体ウェハ101/半導体ダイス109/封止体301の除去は、リリース材料127により助けられる。ピストン501がチャンバー503から除去されると、第一真空ポンプ119の接続が遮断され、これにより、第一組吸引孔115が周辺圧力に戻り、半導体ウェハ101/半導体ダイス109/封止材301が、ピストン501からリリースされる。
【0040】
第二組吸引孔117を用いて、チャンバー503内の周辺ガスを排出することにより、周辺ガスは、封止工程で、互いに作用せず、干渉しない。この周辺ガスは、フラッシュが、半導体ウェハ101の背面に沿って蓄積するのを防止するのを助ける。この他、チャンバー503内の周辺ガスがなく、封止材301は、更に容易に、半導体ウェハ101と半導体ダイス109の間の領域に充填でき、これにより、周辺状況及び更なる処理から好ましい保護を提供する。
【0041】
図6A〜図6Cは、トップダウン設計を用いた別の実施例を示す図である。本実施例中、図5A〜図5Bと同様に、半導体ウェハ101は、第一組吸引孔115を用いて、ピストン501に接着される。ピストン501と半導体ウェハ101は、チャンバー603に挿入され、第二組吸引孔117を用いて排気される。しかし、本実施例のチャンバー603は、取り外し可能な上部分601に取り付けられた側壁505を用いて形成される。この側壁505は、例えば、スクリュー、自動機械的圧縮ツール、又は、別の適切なもの、取り付けの非永久手段を用いて、取り外し可能な上部分601に取り付けられている。
【0042】
図6Bで示されるように、図5A〜図5Bと同様の工程で、封止材301を配置、及び、硬化する。例えば、第二真空ポンプ121が係合されて、ピストン501と半導体ウェハ101の最終位置決めの前か最中に、チャンバー603から排気し、封止材301は、半導体ウェハ101と半導体ダイス109と接触するように配置される。封止材301は、その後、硬化して、固まり、半導体ウェハ101と半導体ダイス109に保護を提供する。
【0043】
図6Cで示されるように、半導体ウェハ101と半導体ダイス109/封止材301の組み合わせをチャンバー603から除去する。本実施例中、取り外し可能な上部分601は、側壁505から除去されて、その後、取り外し可能な上部分601を、側壁505から物理的に分離する。取り外し可能な上部分601が側壁505から分離されると、半導体ウェハ101と半導体ダイス109/封止材301の組み合わせはチャンバー603から除去され、更に処理される。
【0044】
好ましい実施例と効果を説明してきたが、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変更や置換を加えることができる。例えば、第一組吸引孔内と第二組吸引孔内の真空の形成、解放の順序は変更されても良い。
【0045】
好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変更や置換を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0046】
100 モールディング装置
101 半導体ウェハ
105 上モールディング部分
107 下モールディング部分
109 半導体ダイス
111 第一キャビティ
113 第二キャビティ
115 第一組吸引孔
116 第一可変圧力ゾーン
117 第二組吸引孔
118 第二可変圧力ゾーン
119 第一真空ポンプ
123 第一真空セパレーター
125 第二真空セパレーター
127 リリース材料
128 開口
129 リリースフィルム
131 突き出しピン
301 封止材
305 モールディングキャビティ
501 ピストン
503 チャンバー
505 側壁
507 底部ユニット
509 O型リング
601 取り外し可能な上部分
603 チャンバー
d1 第一直径
h1 第一高さ
d2 第二直径
h2 第二高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を封止するシステムであって、
第一可変圧力領域と、第二可変圧力領域と、前記第一可変圧力領域と前記第二可変圧力領域間に位置する半導体ウェハ受入領域と、を有するモールディングチャンバーと、
前記モールディングチャンバーに延伸し、前記第一可変圧力領域への入り口である少なくとも一つの第一吸引孔と、
前記モールディングチャンバーに延伸し、前記第二可変圧力領域と反対の前記半導体ウェハ受入領域に位置し、前記第二可変圧力領域に操作可能に接続される少なくとも一つの第二吸引孔と、
からなることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記モールディングチャンバーは、更に、
第一キャビティを有する上モールディング部分と、
第二キャビティを有し、前記上モールディング部分から分離され、前記第一キャビティが前記第二キャビティに位置合わせされて、前記モールディングチャンバーを形成する下モールディング部分と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
更に、前記第二キャビティの側壁に沿って位置するリリース材料を有し、前記リリース材料は、金、Cr-N、又は、テフロンを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
更に、前記下モールディング部分上に位置する真空セパレーターを有し、前記の少なくとも一つの第一吸引孔と前記の少なくとも一つの第二吸引孔は、共に、前記下モールディング部分に延伸し、前記真空セパレーターは、前記の少なくとも一つの第一吸引孔と前記の少なくとも一つの第二吸引孔の間に位置することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記モールディングチャンバーは、更に、下モールディング部分と、前記下モールディング部分に延伸する突き出しピンを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記モールディングチャンバーは、更に、
側壁を有し、前記の少なくとも一つの第二吸引孔が前記の少なくとも一つの側壁に延伸する固定チャンバーと、
前記の少なくとも一つの第一吸引孔が延伸するピストンと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
半導体装置を封止するシステムであって、
上モールディング部分と下モールディング部分により定義されるモールドと、
前記下モールディング部分と前記上モールディング部分の一つ上に位置する第一真空セパレーターと第二真空セパレーターと、
前記モールドに延伸し、操作可能な方式で接続されて、第一圧力ゾーンで第一圧力を制御し、前記第一圧力ゾーンは前記第一真空セパレーターにより囲まれる第一吸引孔と、
前記モールドに延伸し、操作可能な方式で接続されて、第二圧力ゾーンで第二圧力を制御し、前記第二圧力ゾーンが、前記第二真空セパレーターにおける開口を通して接続される第二吸引孔と、
からなることを特徴とするシステム。
【請求項8】
更に、
前記下モールディング部分の側壁に沿って位置するリリース材料と、
前記下モールディング部分と前記上モールディング部分の一つに延伸する突き出しピンを有することを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
半導体装置を封止する方法であって、
上表面と下表面を有する半導体装置を提供するステップと、
前記下表面を第一モールド部分に近接させて位置決めするステップと、
前記下表面に沿って、圧力を減少させ、前記下表面を前記第一モールド部分に貼り付けるステップと、
前記第一モールド部分と前記半導体装置上に、第二モールド部分を位置決めし、前記第二モールド部分と前記第一モールド部分は、前記半導体装置を囲むキャビティを定義するステップと、
前記半導体装置の前記上表面に近接するガスを、前記下表面に面する吸引孔を通して排出するステップと、
前記半導体装置の前記上表面に封止を施すステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−44139(P2012−44139A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40341(P2011−40341)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(500262038)台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司 (198)
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】8,Li−Hsin Rd.6,Hsinchu Science Park,Hsinchu,Taiwan 300−77,R.O.C.
【Fターム(参考)】