説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1導電型の第1半導体領域10と、第1半導体領域10の表面に形成された第2導電型の第2半導体領域11と、第2半導体領域11の内部に形成された第1導電型の第3半導体領域14と、第2半導体領域11の下方に位置するように、第1半導体領域10の内部に形成された第2導電型の第4半導体領域12と、第2半導体領域11の側方に位置するように、第4半導体領域12に隣接して第1半導体領域10の表面に形成された第2導電型の第5半導体領域13とを備え、第4半導体領域12は、第5半導体領域13と同電位である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型半導体装置及びその製造方法に関し、特にトランジスタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の低消費電力化、及び信頼性の向上の観点から縦型半導体装置に対してオン抵抗の低減、及びアバランシェ耐量の向上のための取り組みが行われている。また、オン抵抗の低減、及びアバランシェ耐量の向上を実現する技術の一つとして電界緩和を行う技術が採用されている。
【0003】
図22は、従来の縦型半導体装置としてのプレーナゲート型NチャネルMOSトランジスタの構造を示す断面図である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このトランジスタは、半導体基板内に形成された、N+型半導体層2、N-型ドレイン層3、P型ボディ層4、P-型電界緩和フローティング層5、及びN+型ソース層6を備える。ドレイン層3は半導体層2上に形成され、ボディ層4及び電界緩和フローティング層5はドレイン層3内に形成されている。また、ソース層6はボディ層4内に形成されている。さらに、ソース層6、ボディ層4及び電界緩和フローティング層5上にはゲート酸化膜7を介してゲート電極8が形成され、半導体基板(半導体チップ)裏面にはドレイン電極1が形成されている。
【0005】
上記構造を有する従来のトランジスタでは、電界緩和フローティング層5の作用によりボディ層4とドレイン層3との間(PN接合部)の電界強度が緩和される。その結果、ブレークダウン電圧が向上し、またアバランシェ耐量が増大する。以下に、その原理を示す。
【0006】
図23及び図24は、上記構造を有する従来のトランジスタにおいてドレイン電極1にプラス電位を印加し、ゲート電極8及びソース電極9を0Vに設定した場合の空乏層の広がりかたと、電界強度が最大になる場所とを示したものである。
【0007】
図23から、空乏層がボディ層4とドレイン層3との間(PN接合部)からドレイン層3に向かって広がることがわかる。このとき、電界強度が最大となる場所は、空乏層における曲率が最大となる形状の部分に対応するPN接合部であり、ボディ層4の底面近傍コーナー部(図23のA部)になることがわかる。
【0008】
図23から、コレクタ電圧を上げてゆくと、ボディ層4とドレイン層3との間(PN接合部)から広がる空乏層は電界緩和フローティング層5に達することがわかる。空乏層は電界緩和フローティング層5に達した後、図24に示すように、その底部が平坦な形状になるため、ボディ層4の底面近傍コーナー部(図23のA部)の電界強度は緩和される。このとき、電界強度の最大部分はボディ層4の底面部(図24のB部)に移動する。
【0009】
ボディ層4の底面部の電界強度は、空乏層底部の形状が平坦であるため、空乏層形状の曲率では決まらず、ボディ層4及びドレイン層3の不純物濃度によって決まる。一般的に、PN接合部の平坦な部分で決まるブレークダウン電圧は、PN接合部のコーナー部で決まるブレークダウン電圧よりも大きな値である。従って、上記構造を有する従来のトランジスタは、フローティング層5により、ボディ層4とドレイン層3との間(PN接合部)の電界強度最大個所をPN接合部のコーナー部からPN接合部の平坦部に移動させ、ブレークダウン電圧を上昇させている。ここで、PN接合部の平坦な部分においてブレークダウン電流が流れる面積は、PN接合部のコーナー部においてブレークダウン電流が流れる面積よりも大きいためアバランシェ耐量が増大する。
【特許文献1】特開平7−78978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のトランジスタにおいて、ブレークダウン電圧は、ボディ層及びドレイン層の不純物濃度によって決まる。よって、ボディ層及びドレイン層の不純物濃度を低くしてオン抵抗を低減すると、ブレークダウン電圧が低下する。従って、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することができない。
【0011】
また、トランジスタにおいてオン抵抗の低減効果が高く、かつ製造方法が容易な電界緩和構造が必要とされている。
【0012】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、第1導電型の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の内部に形成された第1導電型の第3半導体領域と、前記第2半導体領域の下方に位置するように、前記第1半導体領域の内部に形成された第2導電型の第4半導体領域と、前記第2半導体領域の側方に位置するように、前記第4半導体領域に隣接して前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第5半導体領域とを備え、前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域と同電位であることを特徴とする。ここで、前記第4半導体領域の内部には、前記第2半導体領域の下方に向かって前記第4半導体領域を貫通するように前記第1半導体領域が位置し、前記第4半導体領域内部の第1半導体領域は、前記第4半導体領域の表面においてストライプ状に配置されてもよい。また、前記半導体装置は、さらに、前記第1半導体領域に隣接して前記第1半導体領域の下方に形成された第8半導体領域を備えてもよい。
【0014】
これによって、第5半導体領域による横方向(半導体基板の主表面に平行な方向)の空乏層形状の制御(横方向の電界緩和)に、第4半導体領域による縦方向の空乏層形状の制御が加わるので、アバランシェ耐量を向上させることができる。その結果、従来のトランジスタと同じアバランシェ耐量で設計する場合には、第1半導体領域の不純物濃度を従来のトランジスタのドレイン層の不純物濃度よりも濃くしてオン抵抗を低減することができる。すなわち、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減できる。
【0015】
ここで、前記第4半導体領域の内部には、前記第2半導体領域の下方に向かって前記第4半導体領域を貫通するように前記第1半導体領域が位置してもよい。
【0016】
これによって、第2半導体領域からの電流を第4半導体領域の下方に向けて流すことができる。
【0017】
また、前記第5半導体領域は、前記第2半導体領域を挟み込むように位置してもよい。
これによって、第5半導体領域による横方向の空乏層形状の制御を第2半導体領域の両側から行うことができ、アバランシェ耐量を更に向上させることができる。
【0018】
また、前記第5半導体領域は、前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第6半導体領域と、前記第6半導体領域と一部が重なるように前記第6半導体領域の下方に形成された第7半導体領域とを有してもよい。
【0019】
これによって、第5半導体領域をイオン注入により形成する場合、拡散熱処理による第5半導体領域の拡散横広がりを小さくすることができ、第5半導体領域の面積を減少させることができる。
【0020】
また、前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域が形成された後で形成されてもよい。
【0021】
これによって、第5半導体領域をイオン注入により形成する場合、第4半導体領域は第5半導体領域の拡散熱処理の影響を受けなくなる。その結果、第5半導体領域の濃度プロファイル設計の自由度が増し、所望の耐圧規格に応じたデバイス設計が可能となる。
【0022】
また、前記半導体装置は、トレンチゲート型MOSトランジスタであり、前記第3半導体領域は、ソース領域であり、前記第2半導体領域は、ボディ領域であり、前記第1半導体領域には、前記ボディ領域を貫通するトレンチゲートが形成されてもよい。
【0023】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なトレンチゲート型MOSトランジスタを実現できる。
【0024】
また、前記半導体装置は、プレーナゲート型MOSトランジスタであり、前記第3半導体領域は、ソース領域であり、前記第2半導体領域は、ボディ領域であり、前記半導体装置は、さらに、前記ソース領域及び前記ボディ領域上に形成されたプレーナ型ゲートを備えてもよい。
【0025】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なプレーナゲート型MOSトランジスタを実現できる。
【0026】
また、前記半導体装置は、バイポーラトランジスタであり、前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、前記第2半導体領域は、ベース領域であってもよい。
【0027】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なバイポーラトランジスタを実現できる。
【0028】
また、前記半導体装置は、トレンチゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、前記第2半導体領域は、ベース領域であり、前記第1半導体領域には、前記ベース領域を貫通するトレンチゲートが形成されてもよい。
【0029】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なトレンチゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタを実現できる。
【0030】
また、前記半導体装置は、プレーナゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、前記第2半導体領域は、ベース領域であり、前記半導体装置は、さらに、前記エミッタ領域及び前記ベース領域上に形成されたプレーナ型ゲートを備えてもよい。
【0031】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なプレーナゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタを実現できる。
【0032】
また、前記半導体装置は、サイリスタであり、前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、前記第2半導体領域は、ベース領域であってもよい。
【0033】
これによって、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減することが可能なサイリスタを実現できる。
【0034】
また、本発明は、第1導電型の第1半導体領域表面に、第2導電型の第5半導体領域を形成する第5半導体領域形成工程と、前記第1半導体領域内部に、前記第5半導体領域に隣接するように、前記第5半導体領域と同電位で第2導電型の第4半導体領域を形成する第4半導体領域形成工程と、前記第1半導体領域表面に、前記第4半導体領域上方に位置し、かつ前記第5半導体領域側方に位置するように第2導電型の第2半導体領域を形成する第2半導体領域形成工程と、前記第2半導体領域の内部に第1導電型の第3半導体領域を形成する第3半導体領域形成工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法とすることもできる。ここで、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第1半導体領域に対して行われるイオン注入及び熱処理により形成され、前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域形成のための前記熱処理が行われた後で形成されてもよい。
【0035】
これによって、第4半導体領域及び第5半導体領域は、イオン注入により形成されるので、第1半導体領域を、高価なエピタキシャル層を用いずに、安価なFZ法ウエハーのみで作製することができる。その結果、安価な半導体装置を作製することが可能となり、低コストの半導体装置を実現できる。また、第4半導体領域は第5半導体領域の拡散熱処理の影響を受けなくなる。その結果、第5半導体領域の濃度プロファイル設計の自由度が増し、所望の耐圧規格に応じたデバイス設計が可能となる。
【0036】
また、前記半導体装置の製造方法は、さらに、第1導電型の半導体基板上に第1導電型のエピタキシャル層を積層し、前記半導体基板及びエピタキシャル層から構成される前記第1半導体領域を形成する第1半導体領域形成工程を含み、前記第4半導体領域は、前記エピタキシャル層が形成される前に、前記半導体基板にイオン注入及び熱処理を行うことで形成され、前記第5半導体領域は、前記エピタキシャル層にイオン注入及び熱処理を行うことで形成されてもよい。
【0037】
これによって、エピタキシャル層の層厚を厚くすることにより、第4半導体領域を第1半導体領域の深い位置に形成することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る半導体装置によると、電界強度緩和を横方向(半導体基板の主面と平行な方向)と縦方向(半導体基板の主面に対して垂直な方向)との両方で行う。従って、電界緩和効果を大きくすることができ、アバランシェ耐量を向上させることができる。その結果、従来のトランジスタと同じアバランシェ耐量で設計する場合には、第1半導体領域の不純物濃度を従来のトランジスタのドレイン層の不純物濃度よりも濃くしてオン抵抗を低減することができる。すなわち、良好なアバランシェ耐量を維持しつつ、オン抵抗を低減できる。また、本発明に係る半導体装置では、電界強度緩和を半導体層主表面近傍で行うため低コストの半導体装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態における半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る縦型半導体装置の構成を示す平面図であり、図2は同縦型半導体装置の断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【0041】
この縦型半導体装置は、半導体基板を備え、この半導体基板内には、第1導電型の第1半導体領域10と、第1半導体領域10の表面に形成された第2導電型の第2半導体領域11と、第2半導体領域11の内部に形成された第1導電型の第3半導体領域14及び第2導電型の第10半導体領域17と、第2半導体領域11の下方に位置するように、第1半導体領域10の内部に形成された第2導電型の第4半導体領域12と、第4半導体領域12に隣接して第1半導体領域10の内部に形成された第2導電型の第5半導体領域13と、第5半導体領域13の内部に形成された第2導電型の第9半導体領域15とが形成されている。
【0042】
半導体基板裏面、つまり第1半導体領域10裏面には、第1電極19が形成されている。また、半導体基板表面、つまり第1半導体領域10表面には、第3半導体領域14及び第9半導体領域15と接触するように、第2電極18が形成されている。
【0043】
第5半導体領域13は、第2半導体領域11とチップ端との間の第1半導体領域10の表面に形成され、第2半導体領域11を挟み込むように第2半導体領域11の側方に位置する。また、第5半導体領域13は、図1に示されるように、半導体基板表面と平行な面内において第4半導体領域12を取り囲みむように位置する。
【0044】
第4半導体領域12は、少なくとも1つ以上の第5半導体領域13及び第2電極18を介して第3半導体領域14と電気的に接続されており、第4半導体領域12は、第5半導体領域13及び第3半導体領域14と同電位とされている。
【0045】
ここで、第4半導体領域12は、図2に示されるように、半導体基板表面と垂直な面内において離間して配置され、第4半導体領域12内部には、第2半導体領域11から第1電極19(下方)に向かって第4半導体領域12を貫通するように複数の第1半導体領域10(図2のC)が位置する。第4半導体領域12内部の第1半導体領域10は、図1に示されるように、第4半導体領域12の表面、つまり半導体基板表面と平行な面内においてストライプ状(柵状)に配置される。
【0046】
なお、本実施の形態の縦型半導体装置において、第5半導体領域13は、第2半導体領域11を挟み込むように位置するとした。しかし、第2半導体領域11は、2つ設けられ、第5半導体領域13は、2つの第2半導体領域11の間に位置しても良い。この場合、電界緩和効果は、上記構造を有する縦型半導体装置と比較して小さくなる。
【0047】
また、第5半導体領域13は、2つの半導体領域により構成されてもよい。例えば、第5半導体領域13は、第1半導体領域10表面に形成された第2導電型の第6半導体領域と、第6半導体領域と一部が重なるように第6半導体領域の下方に形成された第7半導体領域とから構成されてもよい。
【0048】
(実施例1)
次に、本実施の形態の縦型半導体装置の具体例を、実施例によって示す。
【0049】
以下、説明を分かりやすくするために、トレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタを用いて説明を行う。
【0050】
図3は、実施例1に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。図3の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0051】
このトランジスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、n型ドレイン層110と、ドレイン層110の表面に形成されたp型ボディ層111と、ボディ層111の内部に形成されたn+型ソース層114及びp+型コンタクト層117と、ボディ層111の下方に位置するように、ドレイン層110の内部に形成されたp-型電界緩和層112と、電界緩和層112に隣接してドレイン層110の内部に形成されたp-型接続層113と、接続層113の内部に形成されたp+型コンタクト層115とが形成されている。なお、ドレイン層110、ボディ層111、ソース層114、コンタクト層117、電界緩和層112、接続層113及びコンタクト層115は、それぞれ本実施の形態の第1半導体領域10、第2半導体領域11、第3半導体領域14、第10半導体領域17、第4半導体領域12、第5半導体領域13及び第9半導体領域15の一例である。
【0052】
半導体基板裏面、つまりドレイン層110裏面には、ドレイン電極119が形成されている。また、半導体基板表面、つまりドレイン層110表面には、コンタクト層117、ソース層114及びコンタクト層115と接触するように、ソース・ボディ・P-型接続層用電極118が形成されている。
【0053】
ボディ層111内には、ボディ層111を貫通するトレンチが形成されており、このトレンチ内部には、トレンチゲート電極116が形成されている。
【0054】
接続層113は、ソース層114とソース・ボディ・P-型接続層用電極118により電気的に接続されている。
【0055】
以下、上記構造を有するトランジスタの電界緩和効果の作用を説明する。図4、5、6は、同トランジスタにおける空乏層の広がり方を示す図である。
【0056】
図4から、ソース・ボディ・P-型接続層用電極118、ボディ層111、ソース層114及びトレンチゲート電極116を0Vに設定し、ドレイン電極119の電圧を上げてゆくと、ドレイン層110への空乏層の広がりは、ボディ層111、接続層113及び電界緩和層112から生じることがわかる。これは、ボディ層111、接続層113及び電界緩和層112が共に0V電位に接続されていることによる。
【0057】
このとき、既に図20に記載の従来のトランジスタで説明したように、電界緩和層112が無い場合の電界強度最大個所は空乏層の局率で決まり、ボディ層111の底面近傍コーナー部(図4のA部)となる。しかしながら、上記構造を有するトランジスタにおいては、ボディ層111の底面近傍コーナー部に関わる空乏層の形状は、接続層113からの横方向(図4のX方向)の空乏層と、電界緩和層112からの縦方向(図4のY方向)の空乏層により制御され、その曲率が緩和される。また、ボディ層111から延びる空乏層と接続層113から延びる空乏層とが繋がり、ボディ層111の底面近傍コーナー部の電界は緩和されるため、電界強度最大個所はボディ層111の底面部(図4のB部)に移動する。
【0058】
図5から、更にドレイン電圧を上げると、ボディ層111から伸びる空乏層と電界緩和層112から伸びる空乏層とが繋がるように、空乏層が移動することがわかる。
【0059】
例えば、上記構造を有するトランジスタのボディ層111及びドレイン層110の濃度分布を、図20に記載の従来のトランジスタのボディ層及びドレイン層と同じにした場合を考える。この場合、ボディ層111から伸びる空乏層の幅d2が、従来のトランジスタにおけるブレークダウン電圧での空乏層の幅d1よりも小さな値の時に、ボディ層111から伸びる空乏層と電界緩和層112から伸びる空乏層とが繋がるようにする。このようにすることでボディ層111の底面部がブレークダウンを生ずる電界強度に達する前に、ボディ層111と電界緩和層112との間が空乏化され、ボディ層111の底面部の電界が緩和される。これは、電界緩和層112が接続層113を介して、0V電位に設定されているため、ボディ層111と電界緩和層112との間の電位勾配はゆるやかになるためである。
【0060】
図6から、ドレイン電極119の電圧を更に上げると、ボディ層111と電界緩和層112との間が空乏化されることがわかる。このとき、ボディ層111、電界緩和層112及び接続層113に囲まれたドレイン層110内は空乏化され、ボディ層111及びドレイン層110のPN接合部の電界強度は、ボディ層111から伸びた空乏層の形状(曲率)に左右されないことになる。また、電界緩和層112が接続層113を介して、0V電位に設定されているため、ボディ層111と電界緩和層112との間の電位勾配はゆるやかになり、ボディ層111及びドレイン層110のPN接合部の電界強度は減少する。従って、例えばボディ層111及びドレイン層110の不純物濃度の分布が従来のトランジスタと同じ場合には、ブレークダウン耐圧を従来のトランジスタよりも高くすることができる。また、上記構造を有するトランジスタを、従来のトランジスタと同じブレークダウン耐圧で設計する場合には、ドレイン層110の不純物濃度を従来のトランジスタのドレイン層の不純物濃度よりも濃くすることができる。
【0061】
このとき、ドレイン層110の不純物濃度を濃くすることにより、ボディ層111の底面部の電界強度が大きくなるので、ボディ層111の底面部がブレークダウン電圧に達する前に、電界緩和層112とボディ層111との間のドレイン層110を空乏化する必要がある。つまり、図5のE1(ボディ層111と電界緩和層112との間のドレイン層110の幅)の値を小さくしてより低い電圧で、ボディ層111、電界緩和層112及び接続層113に囲まれたドレイン層110の空乏化を行うことが重要である。
【0062】
図7は、上記構造を有するトランジスタにおけるトランジスタ動作時の電流の流れを示す図である。
【0063】
図7から、ドレイン電流はドレイン層110の下部、電界緩和層112内部のドレイン層110、トレンチゲート電極116直下のチャネル部分、及びソース層114の経路で順次流れることがわかる。このとき、ドレイン層110の下部では、電界緩和層112が電流の流れる面積を減少させることになるが、ドレイン層110の不純物濃度を濃くしているためオン抵抗を下げることが可能となる。
【0064】
上記構造を有するトランジスタにおいて、電界緩和層112は半導体基板の表面と平行な面内においてストライプ状に配置され、長手方向の終端の全てが、電界緩和層112又は接続層113によってソース層114と接続される。このようなパターンにすることで、電界緩和層112、接続層113及びドレイン層110のPN接合から伸びる空乏層の平面パターン上の曲率が大きくなり、従来のトランジスタと比較して電界強度の緩和効果を向上させることができる。その結果、従来のトランジスタと比較してアバランシェ耐量を向上させることができる。
【0065】
また、上記構造を有するトランジスタにおいて、接続層113は、ボディ層111を挟み込むように配置される。よって、電界緩和層112から伸びる空乏層による電界強度の緩和効果に加えて接続層113から伸びる空乏層による電界強度の緩和効果が加わり、半導体基板の表面と垂直な方向及び平行な方向の両方から電界緩和を行うことができる。その結果、ドレイン領域等の不純物濃度を高くすることができ、オン抵抗を低減することができる。
【0066】
(実施例2)
図8は、実施例2に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図である。図8の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0067】
このトランジスタは、ボディー層が2つ設けられ、その2つのボディ層の間に接続層が形成されるという点で実施例1のトランジスタと異なる。同トランジスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、ドレイン層110と、ドレイン層110の表面に形成されたp型ボディ層211と、ソース層114及びコンタクト層117と、電界緩和層112と、電界緩和層112に隣接してドレイン層110の内部に形成された接続層213と、コンタクト層115とが形成されている。なお、ボディ層211及び接続層213は、それぞれ本実施の形態の第2半導体領域11及び第5半導体領域13の一例である。
【0068】
ドレイン層110裏面には、ドレイン電極119が形成され、ドレイン層110表面には、ソース・ボディ・P-型接続層用電極118が形成されている。ボディ層211内には、ボディ層211を貫通するトレンチが形成されており、このトレンチ内部には、トレンチゲート電極116が形成されている。
【0069】
ボディ層211は2つ設けられ、接続層213は、この2つのボディ層211の間に位置する。接続層213は、ソース・ボディ・P-型接続層用電極118によりソース層114と電気的に接続されている。
【0070】
以下、上記構造を有するトランジスタの電界緩和効果の作用を説明する。図9、10は、同トランジスタにおける空乏層の広がり方を示す図である。
【0071】
図4と図9とを比較すると明らかなように、上記構造を有するトランジスタにおいては、ボディ層211の底面近傍コーナー部(図9のA部)の電界緩和は電界緩和層112からの空乏層の伸びだけによるものである。一方、実施例1のトランジスタにおいては、ボディ層111の底面近傍コーナー部(図4のA部)の電界緩和は、電界緩和層112からの空乏層の伸び、及び接続層213からの空乏層の伸びの両者によるものである。従って、上記構造を有するトランジスタにおけるボディ層211の電界強度最大箇所は、図10に示されるように、電界緩和層112からの空乏層がボディ層211からの空乏層とつながるまで、ボディ層211の底面近傍コーナー部(図9のA部)から移動しないことになる。
【0072】
以上のように、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタによれば、実施例1のトランジスタと同様に、アバランシェ耐量を向上させることができる。
【0073】
(実施例3)
図11は、実施例3に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。図11の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0074】
このトランジスタは、接続層が2つの接続層から構成されるという点で実施例1のトランジスタと異なる。同トランジスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、ドレイン層110と、ボディ層111と、ソース層114及びコンタクト層117と、電界緩和層112と、電界緩和層112に隣接してドレイン層110の内部に形成されたp-型接続層320と、ドレイン層110の表面に形成されたp型接続層336と、コンタクト層115とが形成されている。なお、接続層320及び接続層336は、それぞれ本実施の形態の第7半導体領域及び第6半導体領域の一例である。
【0075】
ドレイン層110裏面には、ドレイン電極119が形成され、ドレイン層110表面には、ソース・ボディ・P-型接続層用電極118が形成されている。ボディ層111内には、ボディ層111を貫通するトレンチが形成されており、このトレンチ内部には、トレンチゲート電極116が形成されている。
【0076】
接続層336及び接続層320は、ソース層114とソース・ボディ・P-型接続層用電極118により電気的に接続されている。接続層320は、接続層336と一部が重なるように接続層336の下方に形成される。
【0077】
このとき、電界緩和層112の上下方向の拡散広がりは、接続層320の上下方向の広がりよりも小さくする必要がある。それはボディ層111と電界緩和層112との間のドレイン層110の幅をトランジスタの耐圧規格に応じた所望の値に保つ必要があるためである。従って、製造方法としては接続層320形成のための不純物注入及び拡散熱処理を電界緩和層112形成のための不純物注入及び拡散熱処理よりも先に行うことが有効である。このようにすることにより、電界緩和層112は、接続層320の拡散熱処理の影響を受けなくなる。以下に、上記構造を有するトランジスタの製造方法を図12(a)〜図12(c)に示す断面図に沿って説明する。
【0078】
まず、図12(a)に示されるように、フォトレジストにより接続層320形成のためのパターンを形成した後、イオン注入法でp型不純物を高エネルギー注入し、高温での熱処理を行ってドレイン層110内に接続層320を形成する。イオン注入は、例えば120keV以上の注入エネルギーでボロンを注入することにより行われる。
【0079】
次に、図12(b)に示されるように、フォトレジストにより電界緩和層112形成のためのパターンを形成した後、イオン注入法でp型不純物を高エネルギー注入し、熱処理を行ってドレイン層110内に電界緩和層112を形成する。イオン注入は、例えば120keV以上の注入エネルギーでボロンを注入することにより行われる。
【0080】
次に、図12(c)に示されるように、フォトレジストにより接続層336及びボディ層111形成のためのパターンを形成した後、イオン注入法でp型不純物を注入し、熱処理を行ってドレイン層110表面に接続層336及びボディ層111を同時に形成する。その後、ソース層114及びコンタクト層117をイオン注入によりボディ層111内に形成し、コンタクト層115をイオン注入により接続層336内に形成する。
【0081】
最後に、ドレイン電極119、トレンチゲート電極116及びソース・ボディ・P-型接続層用電極118を形成する。
【0082】
以上のように、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタによれば、電界緩和層112とソース・ボディ・P-型接続層用電極118とを接続している接続層を、接続層320と接続層336とから構成する。このような構成にすることにより、接続層の拡散横広がりを小さくすることができ、接続層の面積を減少させることができる。
【0083】
また、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタによれば、電界緩和層112は、接続層320が形成された後で形成される。従って、電界緩和層112が受ける熱量は、接続層320の拡散熱処理の影響を受けなくなる。その結果、電界緩和層112の濃度プロファイル設計の自由度が増し、所望の耐圧規格に応じたデバイス設計が可能となる。
【0084】
また、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタによれば、電界緩和層112及び接続層320は、高エネルギーイオン注入により形成される。よって、ドレイン層110を、高価なエピタキシャル層を用いずに、安価なFZ法ウエハーのみで作製することができる。その結果、安価な製造コストでトランジスタを作製することが可能となり、低コストのトランジスタを実現できる。
【0085】
なお、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタは、エピタキシャル層を用いて形成され、図13に示されるような構造を有してもよい。このような構造の形成方法は、電界緩和層112をドレイン層110の深い位置に形成する高耐圧デバイスに適用すると有効である。この形成方法では、最初に、図14(a)に示されるように、ドレイン層110となるN型ウエハーの主表面にp型不純物のイオン注入により電界緩和層112が形成される。次に、図14(b)に示されるように、N型ウエハーの主表面上にエピタキシャル層が形成された後、そのエピタキシャル層表面にp型不純物のイオン注入により接続層320が形成される。最後に、図14(c)に示されるように、接続層320が形成されたエピタキシャル層上にエピタキシャル層が形成された後、そのエピタキシャル層表面の接続層320と重なる位置にp型不純物のイオン注入により接続層336が形成され、接続層336の形成と同時にボディ層111が形成される。このトランジスタにおいては、電界緩和層112とボディ層111との間のドレイン層110の幅は、エピタキシャル層の厚みと電界緩和層112及び接続層320の拡散深さの差により決定される。電界緩和層112及び接続層320の拡散深さの差は、それぞれの拡散層の不純物濃度の差によって決定され、不純物濃度が濃い方が拡散深さは大きくなる。従って、このトランジスタにおいては、接続層320の不純物濃度は、電界緩和層112の不純物濃度よりも濃いことが必須である。
【0086】
また、本実施例のトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタは、図15に示されるような構造を有してもよい。このトランジスタにおいては、ボディ層211は2つ設けられ、この2つのボディ層211の間に接続層320及び接続層336が位置する。
【0087】
(第2の実施の形態)
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る縦型半導体装置の構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【0088】
この縦型半導体装置は、第8半導体領域20を備えるという点で第1の実施の形態の縦型半導体装置と異なる。同縦型半導体装置は、半導体基板を備え、この半導体基板内には、第1半導体領域10と、第2半導体領域11と、第3半導体領域14及び第10半導体領域17と、第4半導体領域12と、第5半導体領域13と、第9半導体領域15と、第1半導体領域10の下方に形成された第8半導体領域20とが形成されている。第8半導体領域20裏面には、第1電極19が形成され、第1半導体領域10表面には、第2電極18が形成されている。
【0089】
(実施例4)
次に、本実施の形態の縦型半導体装置の具体例を、実施例によって示す。
【0090】
図17は、実施例4に係るトレンチゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)の構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。図17の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0091】
このトランジスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、n型半導体層531と、半導体層531の表面に形成されたp型ベース層532と、ベース層532の内部に形成されたn+型エミッタ層533及びp+型ベースコンタクト層534と、ベース層532の下方に位置するように、半導体層531の内部に形成されたp-型電界緩和層112と、電界緩和層112に隣接して半導体層531の内部に形成されたp-型接続層113と、コンタクト層115と、半導体層531下方に形成されたp型コレクタ層530とが形成されている。コレクタ層530裏面には、コレクタ電極529が形成され、半導体層531表面には、エミッタ層533、ベースコンタクト層534及びコンタクト層115と接触するように、エミッタ・ベース・P-型接続層用電極535が形成されている。ベース層532内には、ベース層532を貫通するトレンチが形成されており、このトレンチ内部には、トレンチゲート電極116が形成されている。なお、半導体層531、ベース層532、エミッタ層533、ベースコンタクト層534及びコレクタ層530は、それぞれ本実施の形態の第1半導体領域10、第2半導体領域11、第3半導体領域14、第10半導体領域17及び第8半導体領域20の一例である。
【0092】
上記構造を有するIGBTの電界緩和構造及び作用、効果は既に説明したトレンチゲート型MOSトランジスタと同じである。すなわち、従来のトランジスタと比較してアバランシェ耐量を向上させることができる。また、コレクタ層530の不純物濃度を高くすることができるので、オン抵抗を低減することができる。
【0093】
IGBTの場合、トランジスタオフ時に半導体層531に残留するホールは、電界緩和層112及び接続層113から引き抜かれることになり、オフ時の応答を速くすることが出来るという利点がある。
【0094】
(実施例5)
図18は、実施例5に係るプレーナゲート型IGBTの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。図18の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0095】
このトランジスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、半導体層531と、半導体層531の表面に形成されたベース層532と、エミッタ層533及びベースコンタクト層534と、電界緩和層112と、接続層113と、コレクタ層530とが形成されている。コレクタ層530裏面には、コレクタ電極529が形成され、半導体層531表面には、プレーナ型ゲート電極622及びエミッタ・ベース・P-型接続層用電極535が形成されている。
【0096】
上記構造を有するトランジスタの電界緩和構造及び作用、効果は実施例4で既に説明したIGBTと同じである。
【0097】
(実施例6)
図19は、実施例6に係るサイリスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。図19の断面図は、半導体チップの中央部分における断面構造を示している。
【0098】
このサイリスタは、半導体基板を備え、半導体基板内には、半導体層531と、ベース層532と、エミッタ層533及びベースコンタクト層534と、電界緩和層112と、接続層113と、半導体層531下方に形成されたp型アノード層630とが形成されている。アノード層630裏面には、アノード電極623が形成され、半導体層531表面には、エミッタ層533及びコンタクト層115と接触するように、エミッタ・P-型接続層用電極935が形成されている。また、コンタクト層115は、カソード電極配線に接続されている。
【0099】
上記構造を有するトランジスタの電界緩和構造及び作用、効果は実施例4で既に説明したIGBTと同じである。
【0100】
以上、本発明の縦型半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態の限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0101】
例えば、縦型半導体装置は、NPNバイポーラトランジスタ、PNPバイポーラトランジスタ、プレーナゲート型PチャネルMOSトランジスタ、プレーナゲート型NチャネルMOSトランジスタ、トレンチゲート型PチャネルMOSトランジスタ等であってもよい。
【0102】
すなわち、縦型半導体装置は、図20に示されるようなプレーナゲート型NチャネルMOSトランジスタであってもよい。このトランジスタにおいては、ソース層114及びボディ層111上にプレーナ型ゲート電極700が形成される。このトランジスタの電界緩和構造及び作用、効果は既に説明したトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタと同じであるため説明を省略する。
【0103】
また、縦型半導体装置は、図21に示されるようなNPNバイポーラトランジスタであってもよい。このトランジスタにおいては、n型コレクタ層824と、コレクタ層824の表面に形成されたp型ベース層825と、ベース層825の内部に形成されたn+型エミッタ層826及びp+型ベースコンタクト層827と、電界緩和層112と、接続層113と、コンタクト層115とが半導体基板内に形成される。また、コレクタ層824裏面には、コレクタ電極823が形成され、コレクタ層824表面には、エミッタ層826及びコンタクト層115と接触するように、エミッタ・P-型接続層用電極928が形成される。また、コンタクト層115は、エミッタ電極配線に接続されている。なお、コレクタ層824、ベース層825、エミッタ層826及びベースコンタクト層827は、それぞれ本実施の形態の第1半導体領域10、第2半導体領域11、第3半導体領域14及び第10半導体領域17の一例である。このトランジスタの電界緩和構造及び作用、効果は既に説明したトレンチゲート型NチャネルMOSトランジスタと同じであるため説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、縦型半導体装置に利用でき、特にトランジスタ等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る縦型半導体装置の構成を示す平面図である。
【図2】同縦型半導体装置の構造図(図1のX−X’における断面図)である。
【図3】実施例1に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図4】同トランジスタの電界緩和効果を説明するための図である。
【図5】同トランジスタの電界緩和効果を説明するための図である。
【図6】同トランジスタの電界緩和効果を説明するための図である。
【図7】同トランジスタの電流の流れを説明するための図である。
【図8】実施例2に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図である。
【図9】同トランジスタの電界緩和効果を説明するための図である。
【図10】同トランジスタの電界緩和効果を説明するための図である。
【図11】実施例3に係るトレンチゲート型NチャネルMOS電界効果トランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図12】同トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】同トランジスタの変形例の構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図14】同トランジスタの変形例の製造方法を説明するための断面図である。
【図15】同トランジスタの変形例の構造を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る縦型半導体装置の構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図17】実施例4に係るトレンチゲート型IGBTの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図18】実施例5に係るプレーナゲート型IGBTの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図19】実施例6に係るサイリスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図20】本発明に係る縦型半導体装置としてのプレーナゲート型NチャネルMOSトランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図21】本発明に係る縦型半導体装置としてのNPNバイポーラトランジスタの構造を示す断面図(図1のX−X’における断面図)である。
【図22】従来の縦型半導体装置としてのプレーナゲート型NチャネルMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図23】同トランジスタにおける空乏層の広がりかたと、電界強度が最大になる場所とを説明するための図である。
【図24】同トランジスタにおける空乏層の広がりかたと、電界強度が最大になる場所とを説明するための図である。
【符号の説明】
【0106】
1、119 ドレイン電極
2、531 半導体層
3、110 ドレイン層
4、111、211 ボディ層
5 電界緩和フローティング層
6、114 ソース層
7 ゲート酸化膜
8 ゲート電極
9 ソース電極
10 第1半導体領域
11 第2半導体領域
12 第4半導体領域
13 第5半導体領域
14 第3半導体領域
15 第9半導体領域
17 第10半導体領域
18 第2電極
19 第1電極
20 第8半導体領域
112 電界緩和層
113、213、320、336 接続層
115、117 コンタクト層
116 トレンチゲート電極
118 ソース・ボディ・P-型接続層用電極
529、823 コレクタ電極
530、824 コレクタ層
532、825 ベース層
533、826 エミッタ層
534、827 ベースコンタクト層
535 エミッタ・ベース・P-型接続層用電極
622、700 プレーナ型ゲート電極
623 アノード電極
630 アノード層
928、935 エミッタ・P-型接続層用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の内部に形成された第1導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域の下方に位置するように、前記第1半導体領域の内部に形成された第2導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域の側方に位置するように、前記第4半導体領域に隣接して前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第5半導体領域とを備え、
前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域と同電位である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第4半導体領域の内部には、前記第2半導体領域の下方に向かって前記第4半導体領域を貫通するように前記第1半導体領域が位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4半導体領域の内部には、前記第2半導体領域の下方に向かって前記第4半導体領域を貫通するように前記第1半導体領域が位置し、
前記第4半導体領域内部の第1半導体領域は、前記第4半導体領域の表面においてストライプ状に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第5半導体領域は、前記第2半導体領域を挟み込むように位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第5半導体領域は、前記第1半導体領域の表面に形成された第2導電型の第6半導体領域と、前記第6半導体領域と一部が重なるように前記第6半導体領域の下方に形成された第7半導体領域とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域が形成された後で形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、トレンチゲート型MOSトランジスタであり、
前記第3半導体領域は、ソース領域であり、
前記第2半導体領域は、ボディ領域であり、
前記第1半導体領域には、前記ボディ領域を貫通するトレンチゲートが形成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、プレーナゲート型MOSトランジスタであり、
前記第3半導体領域は、ソース領域であり、
前記第2半導体領域は、ボディ領域であり、
前記半導体装置は、さらに、前記ソース領域及び前記ボディ領域上に形成されたプレーナ型ゲートを備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置は、バイポーラトランジスタであり、
前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、
前記第2半導体領域は、ベース領域である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、さらに、前記第1半導体領域に隣接して前記第1半導体領域の下方に形成された第8半導体領域を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置は、トレンチゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、
前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、
前記第2半導体領域は、ベース領域であり、
前記第1半導体領域には、前記ベース領域を貫通するトレンチゲートが形成される
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、プレーナゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、
前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、
前記第2半導体領域は、ベース領域であり、
前記半導体装置は、さらに、前記エミッタ領域及び前記ベース領域上に形成されたプレーナ型ゲートを備える
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体装置は、サイリスタであり、
前記第3半導体領域は、エミッタ領域であり、
前記第2半導体領域は、ベース領域である
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1導電型の第1半導体領域表面に、第2導電型の第5半導体領域を形成する第5半導体領域形成工程と、
前記第1半導体領域内部に、前記第5半導体領域に隣接するように、前記第5半導体領域と同電位で第2導電型の第4半導体領域を形成する第4半導体領域形成工程と、
前記第1半導体領域表面に、前記第4半導体領域上方に位置し、かつ前記第5半導体領域側方に位置するように第2導電型の第2半導体領域を形成する第2半導体領域形成工程と、
前記第2半導体領域の内部に第1導電型の第3半導体領域を形成する第3半導体領域形成工程とを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第1半導体領域に対して行われるイオン注入及び熱処理により形成され、
前記第4半導体領域は、前記第5半導体領域形成のための前記熱処理が行われた後で形成される
ことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体装置の製造方法は、さらに、第1導電型の半導体基板上に第1導電型のエピタキシャル層を積層し、前記半導体基板及びエピタキシャル層から構成される前記第1半導体領域を形成する第1半導体領域形成工程を含み、
前記第4半導体領域は、前記エピタキシャル層が形成される前に、前記半導体基板にイオン注入及び熱処理を行うことで形成され、
前記第5半導体領域は、前記エピタキシャル層にイオン注入及び熱処理を行うことで形成される
ことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−60152(P2008−60152A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232444(P2006−232444)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】