説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体装置のバンプが十分な反発力と十分な密着性とを兼ね備えるようにし、バンプの接続性を向上させる。
【解決手段】半導体装置100は、電極パッド2と、電極パッド2を露出させる開口3aが形成された保護絶縁膜3を有する。更に、保護絶縁膜3上に形成されたバンプコア(樹脂コア4)と、バンプコア上に形成された導電層5aと、を含むバンプ(樹脂コアバンプ6)を有する。更に、導電層5aと電極パッド2とを接続する配線5bを有する。バンプコアは、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層(例えば、第1及び第2樹脂層11、12)の積層構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のバンプとしては、樹脂により形成したバンプコアと、バンプコアの表面に形成した導電膜と、を有し、弾力性に優れた樹脂コアバンプがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、特許文献2には、絶縁基板の表面に導体パターンを設け、この導体パターン上に突起導体(バンプコア)を設け、この突起導体上に導体配線を選択エッチして形成する技術が記載されている。
特許文献2においては、突起導体を、互いに硬度が異なる2層の金属導体(第1突起部材及び第2突起部材)によりめっき法によって形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−272737号公報
【特許文献2】特開2003−037135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂コアバンプは、そのバンプコアの弾性を利用して実装基板の外部電極と安定に接続することができる。それ故に、樹脂コアバンプと外部電極との良好な接続性を得るためには、バンプコアとなる樹脂の弾性特性が非常に重要である。
しかしながら、特許文献1の技術では、バンプコア(樹脂コア)が単層の樹脂により構成されているため、樹脂コアバンプの弾性特性はその単層樹脂の固有の硬度に依存するものとなる。
樹脂コア、ひいては樹脂コアバンプには、ある程度の大きさの反発力が必要であるが、反発力を重視して樹脂コアの硬度を大きくすると、樹脂コア及び樹脂コアバンプの変形性が損なわれる。
このため、バンプと外部電極との接続性を十分に得ることができない場合がある。具体的には、例えば、外部電極又はバンプの頂面に、傾き、反り、凹凸、或いは、不純物により表面に形成された突起等が存在していると、バンプと外部電極との密着性が不十分となり、それらの接続性が不十分となることが考えられる。
【0006】
なお、特許文献2の技術では、バンプコアが金属導体により構成されている。このため、バンプコアは強度に優れていると思われる。ただし、金属の変形性は樹脂と比べると極めて小さいので、金属導体により形成されたバンプコアの変形量はバンプコアが積層構造であったとしても非常に小さい。このため、特許文献2の構成でも、バンプと外部電極との良好な密着性及び接続性が得られない場合がある。
【0007】
このように、バンプが十分な密着性と反発力を兼ね備えるようにし、バンプと外部電極との接続性を向上させることは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電極パッドと、
前記電極パッドを露出させる開口が形成された保護絶縁膜と、
前記保護絶縁膜上に形成されたバンプコアと、前記バンプコア上に形成された導電層と、を含むバンプと、
前記導電層と前記電極パッドとを接続する配線と、
を有し、
前記バンプコアは、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層の積層構造を有することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
本発明によれば、バンプのバンプコアは、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層の積層構造を有する。このため、主として以下の(1)又は(2)の何れかの原理により、バンプと外部電極との良好な密着性を得ることができる。
(1)弾性率が相対的に小さい(軟らかい)樹脂層が積層構造の最上層に位置する場合には、その表層の樹脂層が導電層を介して外部電極の形状にフィットするように変形する。これにより、バンプと外部電極との良好な密着性を得ることができる。このため、例えば、外部電極又はバンプの頂面に、傾き、反り、凹凸、或いは、不純物により表面に形成された突起等が存在していても、バンプと外部電極との良好な密着性が得られる。
(2)次に、弾性率が相対的に小さい(軟らかい)一の樹脂層が積層構造の下層又は中間層に位置し、積層構造の最上層には当該一の樹脂層よりも弾性率が大きい他の樹脂層が位置する場合を説明する。この場合には、当該一の樹脂層が変形するのに伴い、当該他の樹脂層及び導電層は外部電極に沿った状態となるように傾動する。このため、バンプと外部電極との良好な密着性が得られる。
また、弾性率が相対的に大きい樹脂層の存在によって、バンプコアは十分な反発力を持つものとして構成することができる。
従って、本発明により、バンプが十分な密着性と反発力を兼ね備えるようにし、バンプと外部電極との接続性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明は、本発明の半導体装置と、
電極を有する実装基板と、
を有し、
前記実装基板の前記電極に対して前記バンプが接続されていることを特徴とする電子装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、電極パッドが形成された基板上に、前記電極パッドを露出させる開口を有する保護絶縁膜を形成する第1工程と、
前記保護絶縁膜上に硬化後の弾性率が互いに異なる複数の感光性樹脂膜を積層形成する第2工程と、
前記複数の感光性樹脂膜を露光、現像及び硬化させることにより、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層の積層構造をバンプコアとして前記保護絶縁膜上に形成する第3工程と、
前記バンプコア上から前記電極パッド上に亘って導電層を形成する第4工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体装置のバンプが十分な密着性と反発力を兼ね備えるようにし、バンプと外部電極との接続性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図2】実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図3】実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す断面図である。
【図4】実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図5】実装時における樹脂コアバンプの挙動を示す断面図である。
【図6】実装基板の電極に反りがある場合の実装時における樹脂コアバンプの挙動を示す断面図である。
【図7】実装基板の電極が傾いている場合の実装時における樹脂コアバンプの挙動を示す断面図である。
【図8】複数の樹脂層、並びに樹脂コアの変形特性の例を示す図である。
【図9】複数の樹脂層、並びに樹脂コアの変形特性の他の例を示す図である。
【図10】変形例1に係る半導体装置の樹脂コアバンプの挙動を示す断面図である。
【図11】変形例2に係る半導体装置の平面図である。
【図12】変形例2に係る半導体装置の断面図である。
【図13】変形例3に係る半導体装置の平面図である。
【図14】変形例3に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0015】
先ず、本実施形態に係る半導体装置100を説明する。
図1は実施形態に係る半導体装置100の平面図、図2は図1のA−A矢視断面図である。
【0016】
本実施形態に係る半導体装置100は、電極パッド2と、電極パッド2を露出させる開口3aが形成された保護絶縁膜3と、を有する。半導体装置100は、更に、保護絶縁膜3上に形成されたバンプコア(樹脂コア4)と、バンプコア上に形成された導電層5aと、を含むバンプ(樹脂コアバンプ6)を有する。半導体装置100は、更に、導電層5aと電極パッド2とを接続する配線5bを有する。バンプコアは、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層(例えば、第1及び第2樹脂層11、12)の積層構造を有する。
以下、詳細に説明する。
【0017】
半導体装置100は、半導体基板1を有し、この半導体基板1には、電極パッド2の他に、回路を構成するトランジスタなどの素子(図示略)が形成されている。
半導体基板1上には保護絶縁膜3が形成され、この保護絶縁膜3上には樹脂コアバンプ6の樹脂コア4が形成されている。
半導体装置100は、例えば、樹脂コア4上から電極パッド2上に亘って形成された配線5を有している。この配線5における樹脂コア4上の部分が導電層5aを構成している。この導電層5aと樹脂コア4とにより樹脂コアバンプ6が構成されている。一方、配線5における導電層5a以外の部分が配線5bを構成している。
【0018】
樹脂コアバンプ6は、後述する実装基板151の電極152(図4)に接続される。この接続に際しては、樹脂コアバンプ6と電極152が互いに押し付けられるので、樹脂コアバンプ6の樹脂コア4は圧縮されて変形する。
【0019】
樹脂コアバンプ6の樹脂コア4は、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層11、12の積層構造を有する。
樹脂コア4を構成する樹脂層11、12の数は2以上の任意の数であるが、本実施形態では、例えば、2層の樹脂層11、12により樹脂コア4が構成されている。
また、下層に位置する第1樹脂層11と上層に位置する第2樹脂層12の何れの弾性率が相対的に小さくても(軟らかくても)良いが、本実施形態では、上層の第2樹脂層12の方が相対的に弾性率が小さく(軟らかく)、下層の樹脂層11の方が相対的に弾性率が大きい(硬い)。
【0020】
第1及び第2樹脂層11、12としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、又はアリル樹脂などの熱硬化性の樹脂を用いることができる。第1及び第2樹脂層11、12は、それぞれ絶縁性とすることができる。
【0021】
樹脂コア4における各樹脂層11、12の弾性率の大きさを決める主な因子は、材料であり、樹脂層11、12の材料を適宜に選択することにより、それぞれの弾性率を調節することができる。
樹脂層11、12の弾性率は、ポリイミド、エポキシ等のベース材料の選択以外に添加剤或いは溶剤等の種類と量の選択によっても調節することができる。また、ベース材料に無機粉末を混入することによっても樹脂層11、12の弾性率を調節することができる。
また、樹脂層11、12の弾性率は、樹脂層11、12が熱硬化性の場合において硬化(キュア)時の温度プロファイルを調節することによっても調節可能である。
【0022】
また、樹脂コア4における各樹脂層11、12の変形量を決める主な因子は、各樹脂層11、12の弾性率及び形状である。このうち形状に起因する変形量は、実装時に押圧される面積、つまり樹脂層11、12の各頂部の面積と、押圧により樹脂が変形し得る領域の面積、つまり樹脂層11、12の各側面の面積と、の比に依存する。すなわち、樹脂層11、12は、その頂部の面積が小さいほど変形量が大きくなる。また、樹脂層11、12は、その側面の傾斜角度が大きいほど変形量が大きくなる傾向がある。
また、樹脂層11、12は、厚いほど変形量が大きくなる。このため、樹脂コア4の変形量は、樹脂層11、12の厚さ比を調節することによっても調節することができる。
【0023】
なお、樹脂コア4は、例えば、裾広がりとなっている。すなわち、樹脂コア4はその頂部から底部に向けて徐々に断面積が拡大している。
また、例えば、上側の第2樹脂層12の底部面積が、下側の第1樹脂層11の頂部面積と略等しい。
各樹脂コアバンプ6は、例えば、直線状に並ぶように配置されている。
また、各樹脂コアバンプ6は互いに離間して配置されている。
【0024】
次に、実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
図3は実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す断面図である。
【0025】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の第1乃至第4工程を有する。第1工程では、電極パッド2が形成された基板(半導体基板1)上に、電極パッド2を露出させる開口3aを有する保護絶縁膜3を形成する。第2工程では、保護絶縁膜3上に硬化後の弾性率が互いに異なる複数の感光性樹脂膜(例えば、第1及び第2感光性樹脂膜21、22)を積層形成する。第3工程では、複数の感光性樹脂膜を露光、現像及び硬化させることにより、弾性率が互いに異なる複数の樹脂層(例えば、第1及び第2樹脂層11、12)の積層構造をバンプコア(樹脂コア4)として保護絶縁膜3上に形成する。第4工程では、バンプコア上から電極パッド2上に亘って導電層(配線5)を形成する。
以下、詳細に説明する。
【0026】
先ず、半導体基板1に、回路を構成するトランジスタなどの素子(図示略)を形成し、さらに半導体基板1上に多層配線層(図示略)を形成する。この多層配線層は、最上層に電極パッド2を有する。
次に、多層配線層上に保護絶縁膜3を形成する。保護絶縁膜3は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜、或いは、シリコン窒化膜により構成することができる。
次に、保護絶縁膜3を選択的に除去することにより、開口3aを形成する。開口3aは、電極パッド2上に位置しており、保護絶縁膜3から電極パッド2を露出させる(図3(a))。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、保護絶縁膜3上及び電極パッド2上に、第1感光性樹脂膜21をスピンコーティング法などにより形成する。続いて、第1感光性樹脂膜21とは硬化後の弾性率が異なる(本実施形態の場合、第1感光性樹脂膜21よりも弾性率が小さい)第2感光性樹脂膜22を第1感光性樹脂膜21上にスピンコーティング法などにより形成する。
【0028】
次に、図3(c)に示すように、フォトマスク(図示略)を介して第1及び第2感光性樹脂膜21、22を部分的に露光した後で現像することにより、第1及び第2感光性樹脂膜21、22を保護絶縁膜3上に選択的に残留させる。
【0029】
次に、図3(d)に示すように、熱処理により第1及び第2感光性樹脂膜21、22を硬化させる。
こうして、第1感光性樹脂膜21により構成される第1樹脂層11と、第2感光性樹脂膜22により構成される第2樹脂層12と、の積層構造の樹脂コア4を保護絶縁膜3上に形成することができる。
【0030】
次に、図3(e)に示すように、樹脂コア4上から電極パッド2上に亘って配線5を形成する。
すなわち、樹脂コア4上、保護絶縁膜3上及び電極パッド2上に導電膜(例えばAu膜:図示略)をスパッタリング法等により形成した後、この導電膜上にレジストパターン(図示略)を形成する。次に、このレジストパターンをマスクとして導電膜をエッチングすることにより、導電膜を選択的に除去し、該導電膜を配線5の形状に加工する。その後、レジストパターンを除去する。
なお、配線5における樹脂コア4上の部分は、樹脂コア4とともに樹脂コアバンプ6を構成する導電層5aである。また、配線5における導電層5a以外の部分は、この導電層5aと電極パッド2とを接続する配線5bを構成する。
こうして、半導体装置100を製造することができる。
【0031】
次に、実施形態に係る電子装置150を説明する。
図4は実施形態に係る電子装置150の断面図である。
本実施形態に係る電子装置150は、本実施形態に係る半導体装置100と、電極152を有する実装基板151と、を有し、実装基板151の電極152に対してバンプコアが接続されている。
【0032】
半導体装置100を図4に示すように実装基板151に実装することにより、電子装置150を製造することができる。
すなわち、半導体装置100の樹脂コアバンプ6を実装基板151の電極152に接続することにより、半導体装置100を実装基板151に対して実装し、半導体装置100と実装基板151とを相互に電気的に接続することができる。なお、電極152は、例えばランドであるが、ランドに限定されない。
半導体装置100を実装基板151に実装した後は、更に、実装基板151と半導体装置100との間隔に実装封止樹脂(図示略)を充填及び硬化させることができる。
ここで、半導体装置100が液晶表示装置用のドライバである場合、半導体装置100は、ガラス基板である実装基板151にCOG(Chip On Glass)実装する。
或いは、半導体装置100は、実装基板151としての配線基板に実装しても良いし、フィルム基板にCOF(Chip On Film)実装しても良い。
樹脂コアバンプ6は、実装により外部電極としての電極152と相互に押し付けられることによって、圧縮され変形する(潰れる)。
【0033】
ここで、図5乃至図7を参照して、実装時における樹脂コアバンプ6の挙動を説明する。
図5乃至図7は実装時における樹脂コアバンプ6の挙動を示す図であり、それぞれ図1のB−B矢視断面図である。このうち図5は実装基板151の電極152と樹脂コアバンプ6とが互いに平行である場合の挙動を、図6は実装基板151の電極152が反っている場合の挙動を、図7は実装基板151の電極152が傾いている場合の挙動をそれぞれ示す。
【0034】
先ず、図5(a)に示すように、電極152が樹脂コアバンプ6の頂面に対して平行である場合を説明する。この場合、例えば、図5(b)及び図5(c)に示すように、電極152の頂面と樹脂コアバンプ6の頂面とは互いに平行に接触し、相互に押し付けられる。なお、図5(b)及び図5(c)における矢印C、Dは、実装基板151の電極152に対する樹脂コアバンプ6の押し付け方向をそれぞれ示している。また、これら矢印C、Dの長さは、その押し付け力の大きさ(長い方が押し付け力が大きい)を示している。
本実施形態の場合、弾性率が相対的に小さい(軟らかい)第2樹脂層12が樹脂コア4の最上層に位置するため、第2樹脂層12は導電層5aを介して電極152の形状にフィットするように変形する。これにより、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性を得ることができる。
このため、例えば、電極152又は樹脂コアバンプ6の頂面に、反り、凹凸、或いは、不純物により表面に形成された突起等が存在していても、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性が得られる。すなわち、例えば、図6(a)に示すように、電極152が凹面状に反っている場合には、図6(b)に示すように、導電層5aは電極152の反りを反映した反りを呈し、第2樹脂層12は導電層5aを介して電極152に沿うように変形する。これにより、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性を得ることができる。
【0035】
次に、図7(a)に示すように、電極152が樹脂コアバンプ6の頂面に対して傾いている場合を説明する。この場合、例えば、図7(b)に示すように、傾いたままの電極152に対して樹脂コアバンプ6が押し付けられるので、導電層5aは電極152に沿うように傾き、第1樹脂層11は導電層5aの傾きを吸収するように変形する。これにより、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性を得ることができる。
なお、この場合も、電極152又は樹脂コアバンプ6の頂面に、反り、凹凸、或いは、不純物により表面に形成された突起等が存在していても、図6の場合と同様に、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性が得られる。
【0036】
このように、図5、図6及び図7の何れの場合にも、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性が得られることにより、樹脂コアバンプ6と電極152との接触面積を十分に確保でき、それらの良好な接続性が得られる。
【0037】
また、図5、図6及び図7の何れの場合にも、樹脂コア4の側面全体が一様に膨らむ訳ではない。このため、樹脂コア4が一層の樹脂からなる場合と比べて樹脂コア4を小さくしなくても、実装封止樹脂(NCF(Non Conductive Film)或いはNCP(Non Conductive Paste))の流路を十分に確保できる。よって、実装封止樹脂の充填時における流動性が良くなるので、実装封止樹脂中におけるボイドの発生を抑制できる。これにより、半導体装置100と実装基板151との密着性が向上する。しかも、樹脂コア4、ひいては樹脂コアバンプ6を極力大きく形成できるため、樹脂コアバンプ6と電極152との電気的接続面積を大きくできる。
【0038】
次に、図8及び図9を参照して、複数の樹脂層11、12、並びに樹脂コア4の変形特性の例について説明する。
【0039】
図8及び図9の横軸は実装基板151の電極152に対する樹脂コアバンプ6の押し付け力(向きは樹脂コアバンプ6の高さ方向)、縦軸は変形量である。
図8及び図9の曲線L1は第1樹脂層11の変形特性を、曲線L2は第2樹脂層12の変形特性を、曲線L3は樹脂コア4の変形特性を、それぞれ示す。
図8及び図9に示すように、第1及び第2樹脂層11、12は、例えば、一定の押し付け力が加わるまでは(変形量の飽和点P1、P2に達するまでは)線形的に変形量が増加するが、一定以上の押し付け力が加わる範囲では、変形量が飽和し、押し付け力が増大しても変形量は殆ど変化しなくなる。
【0040】
ここで、図8に示すように、第1樹脂層11は、第2樹脂層12が変形量の飽和点P2に達するよりも後で、変形量の飽和点P1に達することが好ましい。第1及び第2樹脂層11、12のそれぞれの厚さを適切に設定することにより、このように変形量の飽和点P1、P2を互いにずらすことができる。
このように、飽和点P2に達する押し付け力よりも飽和点P1に達する押し付け力を大きく設定することにより、図8に示すように、樹脂コア4は、変形量が飽和点P3に達する前に変曲点P4を持つ変形特性を持つようになる。
これにより、例えば、樹脂コア4が変曲点P4に達するまでの間(曲線L3における領域R1)において、樹脂コアバンプ6と電極152とが十分に密着するように第2樹脂層12を変形させることができる。また、樹脂コア4が変曲点P4に達してから飽和点P3に達するまでの間(曲線L3における領域R2)の押し付け力で樹脂コアバンプ6と電極152とを接続することにより、押し付け力に対する樹脂コア4の変形量を、樹脂層が1層の場合よりも狭い範囲に制限できる。よって、樹脂コアバンプ6が十分且つ適切な反発力で以て電極152と接続するようにできる。
すなわち、図8に示す変形特性の場合、電極152へ押し付けられた時の樹脂コアバンプ6の反発力は、実装の初期段階では第2樹脂層12の弾性特性と側面への樹脂の逃げ量で主に決まり(図5(b))、更に強く加圧されると第1樹脂層11の弾性特性と側面への樹脂の逃げ量で主に決まる(図5(c)、図6(b)、図7(b))。このため、初期段階では樹脂コアバンプ6は電極152と軟らかく密着し、その後の加圧段階では腰の強いバンプとなる。よって、素子内のバンプ潰れ量の均一化が図られバンプ高さばらつきが吸収されることにより、導電層5aへの応力を減らしつつ、安定に電気的接続を行うことができる。
【0041】
なお、図9に示すように、第1樹脂層11と第2樹脂層12とで各飽和点P1、P2に達する押し付け力が互いに等しくても良いが、この場合は、曲線L3が変曲点P4(図8)を持たないため、曲線L3の変形特性は樹脂層が1層の場合と同様になる。このため、押し付け力に対する樹脂コア4の変形量も、樹脂層が1層の場合と同様になる。
ただし、この場合も、図6(b)及び図7(b)と同様に、樹脂コアバンプ6と電極152とが十分に密着するように第2樹脂層12を変形させることができる。また、樹脂層が1層の場合と同様ではあるが、樹脂コアバンプ6が十分且つ適切な反発力で以て電極152と接続するようにできる。
【0042】
以上のような実施形態においては、樹脂コアバンプ6の樹脂コア4は、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層11、12の積層構造を有する。そして、上側の第2樹脂層12の弾性率が、下側の第1樹脂層11の弾性率よりも小さい。このため、第2樹脂層12が導電層5aを介して電極152の形状にフィットするように変形する。これにより、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性を得ることができる。このため、例えば、電極152又は樹脂コアバンプ6の頂面に、傾き、反り、凹凸、或いは、不純物により表面に形成された突起等が存在していても、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性が得られる。
また、弾性率が相対的に大きい第1樹脂層11の存在によって、樹脂コア4は十分な反発力を持つものとして構成することができる。
従って、樹脂コアバンプ6が十分な密着性と反発力を兼ね備えるようにし、樹脂コアバンプ6と電極152との接続性を向上させることができる。
【0043】
また、複数の樹脂層11、12の膜厚比、平面寸法比等を適宜に設定することにより、製品毎に異なる変形量の樹脂コアバンプ6を容易に実現することもできる。よって、樹脂層が1層の場合と比べて、製造ラインにおいて取り扱う樹脂の種類を削減しても、多種の変形量の樹脂コアバンプ6を実現可能となる。
【0044】
また、複数の樹脂層11、12のうち、弾性率が相対的に小さい第2樹脂層12の変形量が飽和点P2に達する押し付け力よりも、弾性率が相対的に大きい第1樹脂層11の変形量が飽和点P1に達する押し付け力を大きくすることにより、外圧に対して変曲点P4(図8)を持つ応答をする樹脂コア4を実現できる。また、実装で必要とされるような押し付け力に対する変形特性を持つ樹脂コア4を容易に実現できる。
よって、より接続性の良い樹脂コアバンプ6を実現できるとともに、実装で必要とされる圧接条件に適合した弾性特性の樹脂コアバンプ6を容易に実現できる。
【0045】
また、弾性率が互いに異なる複数の樹脂層11、12を積層構造にするだけで樹脂コア4を形成できるため、一般的なフォトリソグラフィなどの技術により樹脂コア4を容易に形成できる。また、例えば一度のフォトリソグラフィで樹脂コア4を形成できるため、工程数を削減できる。
【0046】
なお、本実施形態のように、複数の樹脂コアバンプ6を互いに離間させて形成することにより、以下の効果も得られる。
先ず、実装により樹脂コアバンプ6が押し潰された状態であっても、実装封止樹脂(NCF或いはNCP)の流路を十分に確保できる。よって、実装封止樹脂の充填時における流動性が良くなるので、実装封止樹脂中におけるボイドの発生を抑制できる。これにより、半導体装置100と実装基板151との密着性が向上する。
また、樹脂コアバンプ6の裾部の周りに樹脂が存在しないので、樹脂コアバンプ6が押しつぶされる際の変形量を十分に確保できる。よって、外部電極としての電極152と樹脂コアバンプ6との電気的接続を安定的に行うことができる。
【0047】
<変形例1>
図10は変形例1に係る半導体装置の樹脂コアバンプ6の挙動を示す断面図である。
上記の実施形態では、樹脂コア4における上側の樹脂層の弾性率が下側の樹脂層の弾性率よりも小さい例を説明したが、変形例1の場合、樹脂コア4における下側の樹脂層11の弾性率が、上側の樹脂層12の弾性率よりも小さい。
この場合において、図10(a)に示すように電極152が樹脂コアバンプ6の頂面に対して傾いている場合の挙動を説明する。
この場合、例えば、図10(b)に示すように、傾いたままの電極152に対して樹脂コアバンプ6が押し付けられるので、導電層5aは電極152に沿うように傾く。また、第2樹脂層12は第1樹脂層11よりも硬いので、例えば第2樹脂層12も導電層5aと同様に傾く。また、第1樹脂層11は、これら導電層5a及び第2樹脂層12の傾きを吸収するように変形する。これにより、樹脂コアバンプ6と電極152との良好な密着性を得ることができる。
なお、この場合に、上側の樹脂層12の面積が下側の樹脂層11の面積よりもある程度以上小さいと、押圧時に上側の樹脂層12が下側の樹脂層11に埋まりながら第1及び第2樹脂層11、12が変形する場合がある。
本変形例1のように、下側の樹脂層11の弾性率が、その上側に隣接する樹脂層12の弾性率よりも小さい場合には、樹脂コア4における上側の樹脂層12の底部面積が、下側の樹脂層11の頂部面積と略等しいか、又は、樹脂層11の頂部面積よりも大きいことが好ましい。これにより、上側の樹脂層12が下側の樹脂層11に埋まることを抑制できるので、樹脂コアバンプ6の高さバラツキの低減効果、並びに、導電層5aへ与える応力緩和効果を、上記の実施形態と同程度に得られる。
【0048】
<変形例2>
図11は変形例2に係る半導体装置200の平面図、図12は図11のA−A矢視断面図である。
上記の実施形態では、樹脂コア4を構成する樹脂層が2層の例を説明したが、樹脂コア4は、図11及び図12に示すように、3層以上の樹脂層(例えば、3層の樹脂層11、12、13)により構成しても良い。
この場合も、例えば、上側の樹脂層の弾性率が、下側の樹脂層の弾性率よりも小さいことが好ましい例である。すなわち、例えば、第1樹脂層11よりもその上側の第2樹脂層12の方が弾性率が小さく、第2樹脂層12よりもその上側の第3樹脂層13の方が弾性率が小さいことが好ましい例である。
ただし、樹脂コア4を構成する樹脂層の弾性率の大きさの順序は、この例に限らない。樹脂の弾性率には温度依存がある。このため、温度変化による弾性率の変化を抑制するために、弾性率の温度依存性が相対的に大きい樹脂層を中央に配置することも好ましい。この場合、例えば、弾性率が相対的に小さく且つ弾性率の温度依存性が相対的に大きい樹脂層を中央に配置し、その樹脂層を弾性率が相対的に大きく且つ弾性率の温度依存性が相対的に小さい樹脂層で表裏から挟み込むサンドイッチ構造とすることが挙げられる。これにより、弾性率の温度依存性が相対的に大きい樹脂層を温度変化から保護することができ、樹脂コア4全体での弾性率の温度依存を極力低減することができる。
【0049】
<変形例3>
図13は変形例3に係る半導体装置300の平面図、図14は図13のA−A矢視断面図である。
上記の実施形態では、上側の樹脂層12の底部面積が、下側の樹脂層11の頂部面積と略等しい例を説明したが、変形例3の場合、図13及び図14に示すように、少なくとも上側の第2樹脂層12は裾広がりに形成され、上側の第2樹脂層12の底部面積が、下側の第1樹脂層11の頂部面積よりも小さい。
上述のように、樹脂層11、12は、その頂部の面積が小さいほど変形量が大きくなる。このため、本変形例3の構成とすることにより、樹脂層12の所望の変形量を得やすくすることができる。
また、この構造により、第2樹脂層12が押し潰されて側方に膨らんだ際の第2樹脂層12の占有面積も小さくできるので、実装封止樹脂の充填時における流動性を一層確保しやすくなる。
なお、一度の露光及び現像で第2樹脂層12の頂部の面積のみを小さくする手法としては、例えば、フォトリソグラフィにおける現像レートが向上する様な添加剤を利用する手法が挙げられる。すなわち、この添加剤を第2感光性樹脂膜22の材料には混入し、第1感光性樹脂膜21の材料には混入しないか或いは第2感光性樹脂膜22への混入濃度よりも小さい濃度で混入する。
また、第2樹脂層12の頂部の面積を小さくする別の手法としては、第1及び第2感光性樹脂膜22の材料に混入する感光剤を調整することにより、第1樹脂層11よりも第2樹脂層12の側面の傾斜が緩くなるようにすることが挙げられる。なお、第1及び第2樹脂層11、12は、それぞれ裾広がりに形成する。この場合の図示は省略するが、第1及び第2樹脂層11、12の傾斜が等しい場合と比べて、第2樹脂層12の頂部面積が小さく、且つ側面の傾斜が緩くなる結果、第2樹脂層12の変形量が増大する。
【0050】
なお、上記の実施形態及び各変形例では、複数の樹脂コアバンプ6を互いに離間させて形成する例を説明したが、複数の樹脂コアバンプ6を互いに一体的に形成しても良い。すなわち、各樹脂コア4をそれらの裾部において相互に接続しても良い。
この場合の製造方法は、樹脂コア4の配置が密となるように第1及び第2感光性樹脂膜21、22を露光することにより実現できる。すなわち、例えば、図3(c)の段階で残留する第1及び第2感光性樹脂膜21、22の配置が密であると、現像時に第1及び第2感光性樹脂膜21、22の裾部に現像残りが生じる結果、複数の樹脂コア4、ひいては複数の樹脂コアバンプ6がそれらの裾部において相互に接続された構造を実現できる。
【0051】
また、各樹脂層の変形特性は、図8又は図9に示した例に限らず、例えば、弾性率が相対的に小さい樹脂層の方が、弾性率が相対的に大きい樹脂層よりも先に、変形量の飽和点に達するようにしても良い。この場合も、樹脂コア4を構成する樹脂層が1層の場合と比べて、樹脂コアバンプ6と電極152との密着性及び接続性を向上することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体基板
2 電極パッド
3 保護絶縁膜
3a 開口
4 樹脂コア
5 配線
5a 導電層
5b 配線
6 樹脂コアバンプ
11 第1樹脂層
12 第2樹脂層
13 第3樹脂層
21 第1感光性樹脂膜
22 第2感光性樹脂膜
100 半導体装置
150 電子装置
151 実装基板
152 電極
200 半導体装置
300 半導体装置
L1 曲線
L2 曲線
L3 曲線
P1 飽和点
P2 飽和点
P3 飽和点
P4 変曲点
R1 領域
R2 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パッドと、
前記電極パッドを露出させる開口が形成された保護絶縁膜と、
前記保護絶縁膜上に形成されたバンプコアと、前記バンプコア上に形成された導電層と、を含むバンプと、
前記導電層と前記電極パッドとを接続する配線と、
を有し、
前記バンプコアは、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層の積層構造を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記バンプコアは、第1樹脂層と、前記第1樹脂層よりも弾性率が小さく前記第1樹脂層よりも上層に位置する第2樹脂層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2樹脂層は裾広がりに形成され、前記第2樹脂層の底部面積が前記第1樹脂層の頂部面積よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1及び第2樹脂層はそれぞれ裾広がりに形成され、前記第2樹脂層の側面の傾斜が前記第1樹脂層の側面の傾斜よりも緩いことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バンプコアは、第1樹脂層と、前記第1樹脂層よりも弾性率が大きく前記第1樹脂層よりも上層に位置する第2樹脂層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2樹脂層は前記第1樹脂層の上層に隣接し、
前記第2樹脂層の底部面積は、前記第1樹脂層の頂部面積と略等しいか、又は、前記第1樹脂層の頂部面積よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の樹脂層のうち、弾性率が相対的に小さい前記樹脂層の変形量が飽和する押し付け力よりも、弾性率が相対的に大きい前記樹脂層の変形量が飽和する押し付け力の方が大きいことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体装置と、
電極を有する実装基板と、
を有し、
前記実装基板の前記電極に対して前記バンプが接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
電極パッドが形成された基板上に、前記電極パッドを露出させる開口を有する保護絶縁膜を形成する第1工程と、
前記保護絶縁膜上に硬化後の弾性率が互いに異なる複数の感光性樹脂膜を積層形成する第2工程と、
前記複数の感光性樹脂膜を露光、現像及び硬化させることにより、互いに弾性率が異なる複数の樹脂層の積層構造をバンプコアとして前記保護絶縁膜上に形成する第3工程と、
前記バンプコア上から前記電極パッド上に亘って導電層を形成する第4工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−129578(P2011−129578A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284100(P2009−284100)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】