説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】低リーク電流、高容量の誘電体膜上に形成する窒化チタン電極の薄膜化を抑制する。
【解決手段】下部電極表面に形成された結晶質酸化ジルコニウムを含む誘電体膜と、誘電体膜表面に形成された窒化チタンを含む上部電極とで構成されるキャパシタを含む半導体装置であって、誘電体膜は、前記上部電極を構成する窒化チタンとの界面に非晶質膜を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、詳しくは、キャパシタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューター及び他の電子機器において、高速動作が可能な半導体記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられている。DRAMは、メモリセルアレイと、それを駆動するための周辺回路とで主に構成される。メモリセルアレイは、マトリックス状に複数配列された、一つのスイッチングトランジスタと一つのキャパシタを単位構成要素として構成されている。
【0003】
他の半導体装置と同様に、DRAMにおいても高集積化の要求を満たすために、個々のセルの微細化が進められている。その結果、キャパシタを形成するために許容される平面面積が縮小され、記憶装置として必要な容量を確保することが困難となってきた。この問題の対策として、電極構造の立体化、上下部電極の金属材料化(MIM構造)、容量絶縁膜の高誘電率化などの検討が進められてきた。この結果、技術レベルの標準指標として用いられる最小加工寸法(F値)が70nm以下となる領域のDRAMでは、電極構造の立体化は必須構成となっており、また、上下部電極の金属材料化は既に実用化に至っている。したがって、これらの技術開発に基くキャパシタのさらなる特性向上は期待が薄くなっている。今後のさらなる微細化に対しては、最後に残された容量絶縁膜の高誘電率化によって、キャパシタの特性を向上させる検討が主流となっている。
【0004】
容量絶縁膜の高誘電率化のなかでも、酸化ジルコニウム膜(以下、ZrO膜と記載する)の比誘電率は結晶化すると立方晶構造では35、正方晶構造では45と比較的大きく、且つバンドギャップが5.8eV程度あるためにリーク電流の抑制効果がある。一方で、結晶化膜は結晶粒界を介したリーク電流が増大する問題がある。
【0005】
リーク電流を抑制するために、誘電体膜全体を非晶質膜とすることが提案されている。非晶質膜とすることで、結晶粒界に起因したリーク電流を抑制できるとしている。非晶質膜を形成するために、特許文献1では下地の電極層を非晶質膜として結晶性の膜が形成されないようにしている。しかしながら、非晶質の誘電体膜は、結晶質の誘電体膜と比較して比誘電率が低くなり、所望の容量を得るためには厚膜化しなければならない。特許文献2では、HfO膜やZrO膜中にYやLaなどのイオン半径の大きい元素の酸化物を添加することで、非晶質でも比誘電率が30以上の誘電体膜が得られるとしている。しかしながら、結晶質のZrO膜と比較して比誘電率は依然として低いままである。
【0006】
結晶質のZrO膜を用いて、そのリーク電流を解決する策として、図1及び図2に示すような結晶ZrO膜1と非晶質酸化アルミニウム膜(以下、AlO膜と記載する)2を組み合わせたZrO/AlO/ZrO(以下、ZAZ)構造やZrO/AlOスタック(以下、ZA)構造が用いられている(特許文献3)。非晶質であるAlO膜を用いることで、単層ZrO膜の結晶粒界を介したリーク電流を抑制することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−158222号公報
【特許文献2】特開2007−266474号公報
【特許文献3】特開2006−135339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ZAZ構造やZA構造では、キャパシタの上部電極として形成する窒化チタン電極の膜厚が薄くなるという問題が生じている。例えば、目標の膜厚10nmで窒化チタンを熱CVD法により成膜したところ、ZAZ構造上では6nm程度しか成膜されておらず、上部窒化チタン電極の薄膜化により、良品率が低下してしまう問題が生じている。ZA構造でも同様の傾向が見られる。
【0009】
スパッタ法などにより窒化チタン膜を物理的に堆積する方法では、厚い膜厚に形成することができるが、スパッタ法はカバレジ性が極めて低く、立体構造のキャパシタには適用困難である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明の一実施形態によれば、
下部電極と、
前記下部電極表面に形成された結晶質酸化ジルコニウムを含む誘電体膜と、
前記誘電体膜表面に形成された窒化チタンを含む上部電極と、
で構成されるキャパシタを含む半導体装置であって、
前記誘電体膜は、前記上部電極を構成する窒化チタンとの界面に非晶質膜を含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上部電極として窒化チタン膜を形成する誘電体膜界面が非晶質膜であることにより、上部窒化チタン電極の薄膜化による良品率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のZAZ構造の誘電体膜の模式図である。
【図2】従来のAZ構造の誘電体膜の模式図である。
【図3】下地に対する窒化チタン膜の膜厚依存性を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式的断面図である。
【図5】実施例1に係る誘電体膜の模式図である。
【図6】実施例1に係る誘電体膜のALDシーケンスを示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係る誘電体膜のALDタイミングチャートである。
【図8】結晶化アニールを施したZrO膜の比誘電率の膜厚依存性を示す図である。
【図9】実施例2に係る誘電体膜の模式図である。
【図10】実施例2に係る誘電体膜のALDシーケンスを示すフローチャートである。
【図11】実施例2に係る誘電体膜のALDタイミングチャートである。
【図12】実施例3に係る誘電体膜の模式図である。
【図13】実施例3に係る誘電体膜のALDシーケンスを示すフローチャートである。
【図14】実施例3に係る誘電体膜のALDタイミングチャートである。
【図15】アニールを施したZrAlO膜のAl濃度と比誘電率の関係を示す図である。
【図16】各実施例で作製したキャパシタのリーク電流特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0014】
[実施例1]
本発明の一実施形態に係るキャパシタ素子が適用されたメモリセルを有するDRAMの断面図を図4に示す。
【0015】
図4に示すDRAMでは、半導体基板200上にDRAMのメモリセルのスイッチング素子となるMOSトランジスタ201を構成するため、半導体基板中に素子分離領域203を形成してメモリセルを形成する活性領域204を区分している。素子分離領域203はSTI(Shallow Trench Isolation)法などの公知の方法で形成できる。活性領域204にはMOSトランジスタ201のソース/ドレイン電極となる拡散層領域205が形成されており、半導体基板200上には不図示のゲート絶縁膜を介してゲート電極206が形成されている。ゲート電極206は、複数の活性領域204を跨ってライン状に形成されており、ワード線を構成している。図4に示す例では、一つの拡散層領域(便宜的にソース領域とする)を共有する2つのMOSトランジスタで構成されるメモリセルを示しているが、これに限定されるものではない。各拡散層領域には第1層間絶縁膜210を貫通するセルコンタクトプラグ207,208,209が接続されており、ソース領域に接続されるセルコンタクトプラグ207には、ビアプラグ211を介してビット線212が接続されている。2つのMOSトランジスタの共有されていない2つの拡散層領域(部宜的にドレイン領域と称す)に接続されるセルコンタクトプラグ208及び209には、それぞれ第2層間絶縁膜213を貫通する容量コンタクトプラグ214,215が接続されて、容量コンタクトプラグ214,215には、それぞれキャパシタ素子217が接続されている。キャパシタ素子217は、第3層間絶縁膜216を型枠として立体構造(この例ではシリンダ構造)に形成された下部電極217aと、下部電極217aの内表面に形成された誘電体膜217bと、誘電体膜217b上に形成された上部電極217cで構成される。また、上部電極217cは誘電体膜217bと接するTiN膜を含み、TiN膜上に不純物ドープポリシリコン膜及びW等の金属プレート電極を含んでいても良い。キャパシタ素子217上には、第4層間絶縁膜218,上層側配線層220、上層側配線層220を覆う第5層間絶縁膜219などを形成してDRAMが構成される。
【0016】
図4に示す例では、最も単純な構成としてプレーナ型のMOSトランジスタを用い、立体構造のキャパシタとしてシリンダ型下部電極を用いる場合について説明したが、これに限定されず、MOSトランジスタとしてリセスゲート型MOSトランジスタ、キャパシタ素子として、下部電極の外壁を利用するペデスタル型、外壁及び内壁を利用するクラウン型などであっても良い。
【0017】
実施例1のキャパシタにおける誘電体膜は、図5の模式図に示すように、窒化チタン下部電極(不図示)上に第1ZrO膜101→第1AlO膜102→第2ZrO膜103→第2AlO膜104を積層に成膜したZAZA構造からなる。第1ZrO膜101及び第2ZrO膜103は結晶質であり、第1AlO膜102及び第2AlO膜104は非晶質である。これらの膜は被覆性に優れているALD(原子層成長:Atomic Layer Deposition)法により形成する。実施例1のALDシーケンスを図6に示す。図7は、実施例1に係る誘電体膜のALDタイミングチャートである。ZrO膜の材料となるジルコニウム材料ガス(Zrソースと称す)として、例えばTEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)が用いられる。また、AlO膜の材料となるアルミニウム材料ガス(Alソースと称す)として、例えばTMA(トリメチルアルミニウム)が用いられる。さらに、酸化反応に必要な酸化材料ガスとしてO(オゾン)が用いられる。
【0018】
まず、第1ZrO膜101を形成する。第1ZrO膜を形成する成膜シーケンス(ZrO成膜シーケンス)〔A〕は、反応室へZrソースを供給し、窒化チタン下部電極表面にZrソースを吸着させ、パージと真空引きにより吸着しなかったZrソースを反応室から排出する。次に、Oガスを反応室内へ供給し、下部電極(下地層)の表面に吸着しているZrソースと反応させ、酸化ジルコニウム(ZrO)とし、パージと真空引きにより未反応のOガス及び分解物を排出するサイクルを1サイクルとする。このサイクルを繰り返し行うことで、所望の膜厚のZrO膜が形成される。図8に結晶化アニールを施したZrO膜の比誘電率の膜厚依存性を示す。ZrO膜は薄くなると比誘電率が低下してしまうため、結晶ZrO膜厚は4〜10nm、好ましくは4〜6nmに設定することが望ましい。
【0019】
次に、第1AlO膜102を形成する。ZrO成膜シーケンス〔A〕と同様に、AlO成膜シーケンス〔B〕は、反応室へAlソースを供給し、第1ZrO膜101表面にAlソースを吸着させ、パージと真空引きにより吸着しなかったAlソースを反応室から排出する。次に、Oガスを反応室内へ供給し、下地層の表面に吸着しているAlソースと反応させ、AlOが形成される。AlO成膜サイクルを繰り返し所望の膜厚のAlO膜が形成される。第1AlO膜102は第1ZrO膜101と第2ZrO膜103を分断するため、0.3〜1.0nm、好ましくは0.3〜0.5nmの膜厚に設定することが望ましい。
【0020】
続けて、第2ZrO膜103、第2AlO膜104を上記と同様にして形成する(それぞれ、ZrO成膜シーケンス〔C〕、AlO成膜シーケンス〔D〕と称す)。第2ZrO膜103の膜厚は第1ZrO膜101と同じく、4〜10nm、好ましくは4〜6nmに設定することが望ましい。第2AlO膜104はZrO膜をキャップすることを目的としているため、0.1〜0.5nmに設定することが望ましい。
【0021】
立体構造内へ均一に成膜するためには、Zrソース(TEMAZ)及びAlソース(TMA)の供給時間はそれぞれ30秒と90秒とし、さらに十分に膜中の不純物を除去するためにはOガス供給時間は300秒とすることが望ましい。また、ALD法による成膜温度は、各原料ガスの分解温度より低い温度で成膜する必要があり、上記の原料ガスを用いる場合、300℃以下の温度で成膜する。このような温度で成膜されるZrO膜は明確な結晶粒界を有する多結晶状態ではなく微結晶状態で成膜されるが、上部電極として窒化チタンを成膜する熱CVD法による昇温段階で結晶化され、多結晶状態となる。AlO膜は、膜厚が薄いこと及びAlOの結晶化温度が高いことから、窒化チタン膜の成膜段階では結晶化されず、非晶質のままである。
【0022】
次いで、ZAZA構造の誘電体膜上に接する窒化チタン膜を含む上部電極を形成することでキャパシタが構成される。窒化チタン膜の成膜は、立体構造への適用を考慮して、四塩化チタン(TiCl)とアンモニア(NH)を反応ガスとするCVD法により形成した。堆積温度は450℃、設定膜厚は10nmとした。
【0023】
実施例1では、窒化チタン上部電極形成時の昇温でZrO膜を結晶化させているが、窒化チタン上部電極形成前にアニールを施してZrO膜を結晶化させても良い。
【0024】
また、実施例1では第1ZrO膜→第1AlO膜→第2ZrO膜を連続で成膜しているが、第1ZrO膜→結晶化アニール→第1AlO膜→第2ZrO膜→結晶化アニール→第2AlO膜というように、各ZrO膜成膜後に結晶化アニール工程を有していても良い。このような結晶化アニールは、350℃以上、好ましくは400℃以上の温度で実施される。また、結晶化アニールの雰囲気はどのような雰囲気でも良いが、下部電極のTiN膜の酸化を避けるため、非酸化性雰囲気、例えば、窒素ガス等の不活性ガス中で実施することが好ましく、あるいは窒化チタン上部電極形成時の昇温が結晶化アニール兼ねる場合はアンモニアガス雰囲気中でも良い。
【0025】
図3に示すように、実施例1のZAZA構造の誘電体膜を用いることにより、上部電極における窒化チタン膜厚は8nm程度まで回復しており、従来例のZAZ構造と比較して薄膜化に対する抑制効果があることが確認された。
【0026】
[実施例2]
実施例2のキャパシタにおける誘電体膜は、図9に示すように、窒化チタン下部電極(不図示)上に第1ZrO膜301→AlO膜302→第2ZrO膜303を積層に成膜し、第1ZrO膜301に対して第2ZrO膜303の膜厚を薄くした非対称ZAZ構造からなる。第1ZrO膜301は、実施例1と同様に結晶質の膜であり、第2ZrO膜は非結晶の膜である。実施例2における成膜シーケンスとタイミングチャートを図10、図11にそれぞれ示す。
【0027】
実施例2の非対称ZAZ構造は、実施例1と同じく、ALD法により形成する。第1ZrO膜は結晶質の膜として形成するため、4〜10nm、好ましくは4〜6nmに設定することが望ましい。また、AlO膜はZrO膜を分断するため、0.3〜1.0nm、好ましくは0.3〜0.5nmに設定することが望ましい。第2ZrO膜は非晶質膜として形成するため、2nm以下、好ましくは1.0〜2.0nmに設定することが望ましい。
【0028】
次いで、このように形成した非対称ZAZ構造の誘電体膜上に接する窒化チタン膜を含む上部電極を形成することでキャパシタが構成される。窒化チタン膜は実施例1と同様に熱CVD法で形成する。
【0029】
実施例2でも、上部電極としての窒化チタン膜形成時の昇温で第1ZrO膜を結晶化させているが、第1ZrO膜を、窒化チタン膜成膜前にアニールを施して結晶化させても良い。第2ZrO膜は膜厚が薄いために結晶化せず、非晶質のままである。
【0030】
また、第1ZrO膜→AlO→第2ZrO膜を連続で成膜しているが、第1ZrO膜成膜後に結晶化アニールを施してからAlO膜→第2ZrO膜を成膜しても良い。
【0031】
図3に示すように、実施例2の非対称ZAZ構造は、実施例1よりも上部電極としての窒化チタン膜の薄膜化に対する抑制効果が大きいことを見出した。
【0032】
[実施例3]
実施例3のキャパシタは、図12に示すように、窒化チタン下部電極(不図示)上にZrO膜401→AlO膜402→ZrAlO膜403を積層に成膜したZrAlO/AlO/ZrO構造からなる誘電体膜を有する。ZrO膜401は結晶質、AlO膜は非晶質である。ZrAlO膜403とはZrO膜とAlO膜をラミネート状に成膜した非晶質膜である。実施例3における成膜シーケンスとタイミングチャートを図13、図14にそれぞれ示す。同図に示すように、ZrO膜401、AlO膜402の成膜シーケンス〔A〕、〔B〕は実施例1,2と同様であり、ZrAlO膜403の成膜シーケンス〔E〕はZrO膜の成膜シーケンス〔C1〕、〔C2〕・・・と、AlO膜の成膜シーケンス〔D1〕、〔D2〕・・・とを交互に繰り返して行う。なお、この例では、AlO膜の成膜シーケンス〔D1〕、〔D2〕・・・はそれぞれ1サイクルのみ行う例を示しているが、これに限定されるものではない。
【0033】
実施例3のZrAlO/AlO/ZrO構造の誘電体膜は、実施例1や実施例2と同じく、ALD法により形成する。ZrO膜401は結晶質膜として形成するため、4〜10nm、好ましくは4〜6nmに設定することが望ましい。また、AlO膜402はZrO膜を分断するため、0.3〜1.0nm、好ましくは0.3〜0.5nmに設定することが望ましい。
【0034】
ZrAlO膜403は1.0〜5.0nm、好ましくは1.0〜2.0nmに設定することが望ましい。図15にアニールを施したZrAlO膜のAl濃度と比誘電率を示しているが、Al濃度が5at%未満では結晶化してしまい、10at%を超えると比誘電率の低下が大きいため、非晶質ZrAlO膜403のAl濃度は5〜10at%に設定することが望ましい。また、最上層はZrO膜とAlO層のいずれでも良いが、AlO層であることが望ましい。
【0035】
ZrAlO膜中のAl濃度は5〜10at%に制御するが、ZrAlO膜が非晶質である限り、膜中のAl分布は均一でも不均一でも良い。
【0036】
次いで、ZrAlO/AlO/ZrO構造の誘電体膜上に接する窒化チタン膜を含む上部電極を形成することでキャパシタが構成される。
【0037】
実施例3でも、上部電極としての窒化チタン膜の形成時の昇温でZrO膜401を結晶化させているが、窒化チタン膜形成前にアニールを施してZrO膜401を結晶化させても良い。
【0038】
また、ZrO→AlO→ZrAlO膜を連続で成膜しているが、ZrO膜401成膜後に結晶化アニールを施してからAlO膜402→ZrAlO膜403を成膜しても良い。
【0039】
図3に示すように、実施例3のZrAlO/AlO/ZrO構造は、実施例1及び実施例2よりも上部電極としての窒化チタン膜の薄膜化に対する抑制効果がさらに大きいことを見出した。
【0040】
図16に、各実施例で作製したキャパシタのリーク電流特性を示す。図16に示すとおり、実施例3は実施例2と比較してリーク電流特性が優れている。
【符号の説明】
【0041】
101 第1ZrO膜
102 第1AlO膜
103 第2ZrO膜
104 第2AlO膜
200 半導体基板
201 MOSトランジスタ
203 素子分離領域
204 活性領域
205 拡散層
206 ゲート電極
207〜209 セルコンタクトプラグ
210 第1層間絶縁膜
211 ビアプラグ
212 ビット線
213 第2層間絶縁膜
214,215 容量コンタクトプラグ
216 第3層間絶縁膜
217 キャパシタ素子
217a 下部電極
217b 誘電体膜
217c 上部電極
218 第4層間絶縁膜
219 第5層間絶縁膜
220 上層側配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と、
前記下部電極表面に形成された結晶質酸化ジルコニウムを含む誘電体膜と、
前記誘電体膜上に、前記誘電体膜と接する窒化チタンを含む上部電極と、
で構成されるキャパシタ素子を含む半導体装置であって、
前記誘電体膜は、前記上部電極を構成する窒化チタンとの界面に非晶質膜を含む半導体装置。
【請求項2】
前記誘電体膜が、結晶質酸化ジルコニウムと非晶質酸化アルミニウムを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記誘電体膜は、下部電極側から第1酸化ジルコニウム膜、第1酸化アルミニウム膜、第2酸化ジルコニウム膜、第2酸化アルミニウム膜の積層構造を有し、第1及び第2酸化ジルコニウム膜が結晶質であり、第1及び第2酸化アルミニウム膜が非晶質である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1及び第2酸化ジルコニウム膜の膜厚が4〜10nmの範囲であり、第1酸化アルミニウム膜の膜厚が0.3〜1.0nmの範囲であり、第2酸化アルミニウム膜の膜厚が0.1〜0.5nmの範囲である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記誘電体膜は、下部電極側から第1酸化ジルコニウム膜、第1酸化アルミニウム膜、第2酸化ジルコニウム膜の積層構造を有し、第1酸化ジルコニウム膜が結晶質であり、第1酸化アルミニウム膜、第2酸化ジルコニウム膜が非晶質である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1酸化ジルコニウム膜の膜厚が4〜10nmの範囲であり、第1酸化アルミニウム膜の膜厚が0.3〜1.0nmの範囲であり、第2酸化ジルコニウム膜の膜厚が2nm以下である請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記誘電体膜は、下部電極側から結晶質の第1酸化ジルコニウム膜、非晶質の第1酸化アルミニウム膜、第2酸化ジルコニウム膜と第2酸化アルミニウム膜とを交互に積層した非晶質のZrAlO膜の積層構造を有する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1酸化ジルコニウム膜の膜厚が4〜10nmの範囲であり、第1酸化アルミニウム膜の膜厚が0.3〜1.0nmの範囲であり、ZrAlO膜の膜厚が1〜5nmの範囲である請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
ZrAlO膜中のAl濃度が、Al/(Al+Zr)で表される金属原子比で5〜10原子%の範囲である請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項10】
ZrAlO膜中の各第2酸化ジルコニウム膜の膜厚が2nm以下であり、最上層の上部電極との界面が酸化アルミニウム膜である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記下部電極が立体構造である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体基板上に、キャパシタ下部電極を形成する工程、
前記下部電極上に結晶質酸化ジルコニウムを含む誘電体膜を形成する工程、
前記誘電体膜上に、前記誘電体膜と接する窒化チタンを含む上部電極を形成する工程、
とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記誘電体膜を形成する工程は、少なくとも誘電体膜の最表層に非晶質となる膜厚の誘電体膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記誘電体膜を形成する工程は、ALD法により実施され、酸化ジルコニウム膜上に酸化アルミニウム膜を形成する工程を含む請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記誘電体膜を形成する工程は、下部電極側から4〜10nm厚の第1酸化ジルコニウム膜、0.3〜1.0nm厚の第1酸化アルミニウム膜、4〜10nm厚の第2酸化ジルコニウム膜、0.1〜0.5nm厚の第2酸化アルミニウム膜を順次形成する工程であって、第1及び第2酸化ジルコニウム膜を結晶化する熱処理工程を含む請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記誘電体膜を形成する工程は、下部電極側から4〜10nm厚の第1酸化ジルコニウム膜、0.3〜1.0nm厚の第1酸化アルミニウム膜、2nm以下の第2酸化ジルコニウム膜を順次形成する工程であって、第1酸化ジルコニウム膜を結晶化する熱処理工程を含む請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記誘電体膜を形成する工程は、下部電極側から4〜10nm厚の第1酸化ジルコニウム膜、0.3〜1.0nm厚の第1酸化アルミニウム膜、第2酸化ジルコニウム膜と第2酸化アルミニウム膜の交互積層構造を有する合計膜厚が1〜5nmのZrAlO膜を形成する工程であって、第1酸化ジルコニウム膜を結晶化する熱処理工程を含む請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
ZrAlO膜中のAl濃度が、Al/(Al+Zr)で表される金属原子比で5〜10原子%の範囲である請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
ZrAlO膜中の各第2酸化ジルコニウム膜の膜厚が2nm以下であり、最上層の上部電極との界面が第2酸化アルミニウム膜である請求項16又は17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
上部電極となる窒化チタンがCVD法又はALD法で形成される請求項12乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記窒化チタンの成膜時の基板加熱が、前記結晶質酸化ジルコニウム膜を形成する結晶化ための熱処理を兼ねる請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記下部電極が立体構造に形成される請求項12乃至20のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−146915(P2012−146915A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5885(P2011−5885)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】