説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体装置の金属配線の平坦化を行う場合、金属配線を下地層に形成した溝に埋め込むと、金属配線の配置をするとき、その変更工程が困難になるという問題があった。また、金属配線に寄生容量がついてしまい、電気信号の遅延などが発生してしまうという問題があった。
【解決手段】本発明の半導体装置の構造は、金属配線下の下地層である絶縁膜を加工して突起部を設ける。この突起部と所定の距離だけ離間して金属配線を設ける。この突起部により、平坦化のための研磨工程でも、不測の余剰研磨が発生しない。また、突起部と金属配線とが離間することにより、金属配線の配置の変更を容易に行うことができると共に、金属配線の寄生容量を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の配線構造に関し、特に金属配線を容易に配置する構造及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化に伴い、半導体装置を形成する半導体素子に電圧を印加する、金属配線の多層化が進められている。金属配線の多層化に伴い、配線構造の平坦化技術が開発されてきているが、その中でも、CMP法(Chemical Mechanical Polishing法;機械化学研磨法)が知られている。
【0003】
代表的なCMP法は、シリカ粒を含む液状の研磨液(スラリと称することもある)を流しつつ、ウェハに研磨パッドを接触させて押圧しながら回転研磨する。これによりウェハ表面を平坦化する。
【0004】
CMP法にて用いられる研磨パッドは柔らかい材質で構成している。ウェハに研磨パッドを接触させて回転研磨するとき、研磨パッドの表面はにわかに変形し、ウェハ表面の研磨すべき材質の粗密により、余剰に研磨すべき材質を削ってしまうことがある。
例えば、金属膜を加工して金属配線を形成し、その上部に保護膜を形成する。この保護膜をCMP法により研磨すると、下部の金属配線の粗密により、金属配線がない部分の保護膜をより多く削って保護膜の表面に傾斜をつけてしまうことがある。
【0005】
このような問題を解決するための提案は多くを見るものである。例えば、金属配線の配置密度が粗い場所にダミー配線を設けて配線高さを同一とすることで粗密の関係を緩和する技術が知られている。また、金属配線の粗密に応じて上部の膜の膜厚を変更する技術が知られている。上述の例で言えば、保護膜の厚さを、金属配線の配置密度が荒いところは厚くし、細かいところは薄くするのである。これについては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0006】
ところで、CMP法は、ダマシン(Damascene)法と呼ばれる配線形成技術と共に用いられることで、より有効な金属配線の平坦化ができる場合が多く、広く用いられている。
ダマシン法とは、象眼細工に似た加工方法である。微細化した半導体装置の製造方法に欠くことができない技術として広く知られており、下地層に形成した溝に金属配線を埋め込む技術である。
【0007】
CMP法との組み合わせ加工では、ダマシン法による配線形成のあと、下地層の溝よりはみ出た余剰な金属膜をCMP法で研磨することで、溝の内部だけに金属配線が残り、埋め込まれた金属配線と下地層とは同一の平面になる。
図16を用いて説明する。図16は、ダマシン法とCMP法とを用いて金属配線を形成する様子を示した断面図である。この図は、バリア層や他の構成は省略した模式図である。
【0008】
図16(a)は、ダマシン法により下地の絶縁膜に溝を設け、この溝に金属膜を埋め込むように成膜した図、図16(b)はCMP法での処理後で、不要な金属膜を研磨し溝に配線としての金属膜を完成させた図である。図16において、11は絶縁膜、11bは溝、11cは絶縁膜表面、12は金属膜、12aは配線としての金属膜である。
【0009】
図16(a)に示すように、ダマシン法により絶縁膜11に溝11bを形成し、溝11bを埋め込むように金属膜12を成膜する。その後、CMP法により金属膜12を絶縁膜表面11cまで研磨し、配線としての金属膜12aを形成し平坦化を行う。
【0010】
半導体装置には、何層もの金属配線を積層して用いる場合がある。そのような場合であっても、CMP法を用いれば半導体装置を平坦化することができる。
【0011】
このような技術を用いた配線構造の平坦化技術は、多くの提案を見るものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0012】
CMP法は、すでに説明したように、研磨パッドの変形により、ウェハ表面の研磨すべき材質の粗密の影響で、ウェハ表面の研磨すべき材質を余剰に研磨してしまい、その表面を傾斜させてしまうことがある。ところが、ダマシン法を用いた金属配線形成後であれば、それは発生しない。金属配線間には下地層があるからである。この下地層が柱のような役割を果たすため、余剰な研磨を防ぐことができる。
【0013】
そもそもダマシン法は、主にエッチング加工しにくい銅を主成分とする金属を配線材料に用いる場合に多く用いられている技術として広く用いられている。銅を主成分とする金属は、知られているように、ドライエッチングによる配線加工がしにくい。このため、下地層に金属配線の形状通りの溝を設け、その溝に銅を主成分とする金属を埋め込み、配線パターンとするのである。このようにすれば、加工しにくい銅を主成分とする金属をパターニングする必要がない。
もちろん、このようなダマシン法を、アルミニウムなどを主成分とする他の金属の配線形成に用いてもよいことは無論であるから、CMP法により生じる問題解決の1つとして、ダマシン法を用いるという考えもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−163205号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開平7−94455号公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、ダマシン法は、形成すべき金属配線パターンと同一の溝を下地層に形成し、この溝に金属配線材料を埋め込んで形成するために、溝の内部は全て金属配線材料で埋まっている。つまり、下地層の溝の側面部及び底面部と、埋め込まれた金属配線材料の側面部及び底面部とは必ず接している。この場合、金属配線を形成した後、回路変更などにより金属配線の配置を変更する場合や別の金属配線を新たに配設する場合は、下地層の溝そのものから加工し直す必要がある。
【0016】
通常、半導体装置の製造においては、数十枚のウェハを1ロットとして製造工程を流すのであるが、途中の要所の製造工程ごとに所定枚数のウェハを抜き取り待機させる。MOS型トランジスタの例では、例えば、拡散層を形成する前、ゲート電極を形成する前、金属配線を形成する前などにウェハを抜き取り待機させる。このようにすれば、急な仕様変更や回路変更の際に、要所ごとに待機しているウェハを復帰させて仕様や回路の変更にあわせた工程を流せばよく、まったく最初の製造工程からスタートさせるよりも遥かに製造工程が短縮できる。
【0017】
しかしながら、上述の例では、金属配線を変更することで対応可能な仕様変更や回路変更が起きても、金属配線形成工程だけでは済まず、遥か上流の製造工程である下地層の溝
形成工程から変更しなければならず、製造時間が増大するばかりか、コストアップにもなるという問題がある。
【0018】
また、隣り合う配線としての金属膜同士の間で寄生容量が発生するという問題もある。金属配線に寄生容量が生じると、金属配線を用いて流れる電気信号に遅延を生じるなどの不具合がある。
【0019】
以上の説明で明らかなように、CMP法を用いて平坦化を行なおうとすると、上層の膜の膜厚を変更するなどの金属配線の粗密による余剰な研磨を防ぐための技術が必要になり、ダマシン法を用いて金属配線を形成すると、回路変更などに対応できないことや金属配線に寄生容量が生じてしまうことなどの問題がある。
【0020】
本発明は、このような問題を解決するためになされるものであり、ダマシン法を用いずとも、半導体装置の表面研磨時に配線材料の余剰な研磨がない、平坦化した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記した目的を達するため、本発明の半導体装置の構造は、以下に記した構成を採用するものである。
【0022】
半導体素子を有する半導体基板の上部に絶縁膜を設け、絶縁膜上に金属配線を設け、金属配線の上部に保護膜を備える半導体装置において、絶縁膜は、その表面に突起部を有し、突起部の少なくとも1つの側面と金属配線の少なくとも1つの側面とは互いに離間し、金属配線と突起部とが離間する前記距離は、保護膜の研磨時に保護膜の表面が傾斜しない距離であることを特徴とする。
【0023】
このような構成にすることで、金属配線の配置を容易にでき、寄生容量を低減することができ、保護膜の表面の傾斜を抑制し平坦な表面を得ることができる。
【0024】
複数の金属配線を有し、金属配線間に突起部を複数設けるとき、突起部間の距離と、金属配線と突起部との間の距離と、は同一にしてもよい。
【0025】
このような構成にすれば、複数の金属配線を有する場合でも、金属配線の配置を容易にでき、保護膜の表面の傾斜を抑制し、平坦な表面を得ることができる。
【0026】
上記した目的を達するため、本発明の半導体装置は、以下に記した製造方法を採用するものである。
【0027】
半導体基板に半導体素子を形成する素子形成工程と、半導体基板の上部に絶縁膜を設ける絶縁膜形成工程と、絶縁膜の表面に突起部を形成する突起部形成工程と、突起部の少なくとも1つの側面と、形成する金属配線の少なくとも1つの側面とが離間するように、マスクパターニングにより金属配線を形成する配線形成工程と、金属配線の上部に保護膜を形成する保護膜形成工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
このような製造方法にすることで、絶縁膜と突起部が一体となし、製造工程を複雑にすることなく、金属配線の配置を容易にでき、保護膜の表面の傾斜を抑制し、平坦な表面を得ることができる。
【0029】
絶縁膜形成工程は、絶縁性を有する複数の膜を積層して絶縁膜を形成するようにしてもよい。
【0030】
このようにすれば、膜質や材質が異なる膜で絶縁膜を形成できるから、加工のしやすさなどを考慮に入れて、膜を選択することができて便利である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の半導体装置は、回路変更があっても金属配線の配置を容易にでき、かつ寄生容量が少ない、平坦化した半導体装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の半導体装置の第1の実施形態を説明する断面図であって、金属配線間に突起部を1つ設ける例を説明する図である。
【図2】本発明の半導体装置の第2の実施形態を説明する断面図であって、金属配線間に突起部をバランスよく複数設ける例を説明する図である。
【図3】本発明の半導体装置の第3の実施形態を説明する断面図であって、金属配線間に突起部を均等に複数設ける例を説明する図である。
【図4】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、半導体基板を表す図である。
【図5】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、半導体基板上にフィールド絶縁膜及びゲート絶縁膜を形成する工程を説明する図である。
【図6】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、ポリシリコン層の形成を説明する図である。
【図7】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、ゲート電極の形成を説明する図である。
【図8】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、絶縁膜の形成を説明する図である。
【図9】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、絶縁膜を加工して突起部を形成する工程を説明する図である。
【図10】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、2つの絶縁膜を積層する製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、積層した別の絶縁膜を加工して突起部を形成する工程を説明する図である。
【図12】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、金属配線の配線材料である金属層の形成を説明する図である。
【図13】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、金属配線の形成を説明する図である。
【図14】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、保護膜の形成を説明する図である。
【図15】本発明の半導体装置の第2の実施形態の製造方法を説明する断面図であって、保護膜の平坦化を説明する図である。
【図16】金属配線を溝に埋め込むように形成しCMP法により金属配線の形成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、半導体基板の上部に設ける絶縁膜に、その絶縁膜を加工して突起部を設ける。そして、この突起部の側面同士を離間させて金属配線を設ける。以下、本発明の半導体装置の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、説明に際しては、半導体装置の半導体基板は、シリコン半導体基板を用い、そこに形成する半導体素子は、MOS型トランジスタとする例で説明する。
【実施例1】
【0034】
[第1の実施形態の構成の説明:図1]
以下、第1の実施形態を図1を参照して説明する。図1は第1の実施形態を説明する断面図である。
第1の実施形態の特徴は、半導体基板の上部の絶縁膜の上部に設ける金属配線の間に、この絶縁膜を加工して設ける突起部を1つ設けるという点である。金属配線の側面部と突起部の側面部とを所定の距離だけ離間させるが、それ以外はすべて突起部で埋めてしまう例である。
【0035】
まず、図1を用いて半導体装置の構成を説明する。
図1において、100は半導体基板、110はフィールド絶縁膜、120はゲート電極、130はゲート絶縁膜、140は拡散層、150は絶縁膜、160は絶縁膜150に形成した突起部、1601は突起部160の側面部、170は金属配線、1701は金属配線170の側面部、180は保護膜、180aは保護膜180の表面、200は金属配線間領域である。180bはこの金属配線間領域200における保護膜180の表面である。
【0036】
ゲート電極120とゲート絶縁膜130と2つの拡散層140とを含み半導体素子190を構成する。半導体素子190は、すでに説明したとおりMOS型トランジスタである。このMOS型トランジスタ以外の素子は図示を省略している。金属配線170は、それら半導体素子と接続し、電源電圧の供給や電気信号の送受を行なうものである。半導体素子と金属配線を接続するコンタクトホールなどの構成についても図面を見やすくするために省略している。
【0037】
また、図1において、L1及びL2は突起部160の側面部1601と金属配線170の側面部1701との距離である。W1は金属配線幅、W2は突起部160の幅である。
なお、171は回路変更などにより新たに設ける金属配線である。これについては後述する。
【0038】
図1に示すように、半導体素子190の上部には、半導体素子190と金属配線170とを絶縁分離するための絶縁膜150を設けてある。この絶縁膜150が金属配線170の下地層になっている。
絶縁膜150の表面を後述する製造方法によって、エッチング加工して掘り下げ、突起部160を設けている。図1に示す例では、金属配線170の配線高さと突起部160の高さとは同一としているが、もちろん厳密に同一でなくても構わない。突起部160は、CMP法による研磨の際に柱の役割を担う。この役割を達成できれば、突起部160をエッチング加工して形成する際の加工精度によるばらつき程度を含んでいてもよい。また、若干であれば金属配線170よりも高くても低くてもよい。
【0039】
金属配線170は、突起部160と距離L1及びL2をもって離間している。図1に示す例では、距離L1と距離L2とは次のような関係になっている。
L1<=L2
【0040】
隣り合う金属配線170間の領域は、金属配線間領域200となっている。金属配線170と突起部160とを距離L1及びL2をもって離間すると、金属配線間領域200は突起部160で埋まることになる。そのときの突起部160の幅がW2となっている。
【0041】
金属配線170の上部には保護膜180を設ける。製造工程は後述するが、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。そして、CMP法を用いて保護膜180を研磨して、フラットな保護膜180の表面180aを
得る。
このとき、突起部160を設けているため、CMP法の研磨パッドが変形しても、突起部160により金属配線間領域200の保護膜180の表面180bは余剰に研磨されることはない。
【0042】
金属配線170と突起部160との距離L1及びL2は、CMP法による研磨でも保護膜180の表面180bが傾斜しない距離Lxとなっている。つまり、距離Lxを越えると傾斜してしまうから、距離L1及びL2の取る最大値が距離Lxということである。次の関係である。
L1(L2)<=Lx
【0043】
研磨パッドの材質及びスラリの材質、あるいは回転数や押圧力、又は保護膜180の材質や金属配線170配置状況などにより、研磨パッドが変形する量は違う。このため、この距離Lxは一概に数値で表すことはできない。しかしながら、距離L1及びL2の数値を複数変えた半導体装置を試作して実験するなどすれば、この距離Lxを知ることができる。
そうして、距離Lxと距離L1及びL2との関係を上述のようにすれば、金属配線間領域200の保護膜180の表面180bが余剰に研磨され、傾斜してしまうことはない。
【0044】
図1に示す例では、距離L1よりも距離L2が大きい例を示した。例えば、距離L2が、金属配線170を配置する場合のデザインルールに則り、金属配線間最小距離LMを確保してなお金属配線幅W1を確保できるとき、この距離L2を設けた部分に回路変更などにより設ける必要が生じた新たな金属配線171を配置することができる。このとき、もちろん、新たな金属配線171と突起部160との間に距離L1を確保しなければならないことはいうまでもない。
【0045】
上述の通り、距離L1及びL2が距離Lxよりも小さければ、突起部160は柱の役割を果たし、回路変更などによる新たな金属配線171も設けることができる。要するに、空きスペースに金属配線を設けるだけであるから、ダマシン法のように下地層ごと変更する必要がない。つまり、製造工程が増加せず、製造時間を短縮できるという利点がある。
【0046】
以上の説明では、距離L1と距離L2とは異なる距離で説明したが、距離Lxよりも小さくするという条件を満たせば、もちろん同一としてもよいことは無論である。
【0047】
本発明の半導体装置の効果をまとめると、絶縁膜を加工して形成した突起部と金属配線とを離間して配設するため、CMP法を用いた平坦化工程があっても余剰な研磨がなく、また、金属配線の配置に変更があっても対応可能である。そして、金属配線の側面部にスペースがあるから、寄生容量の影響を小さくできる。
【0048】
[各構成の説明]
製造方法については後述するが、次に図1に示す構成について、具体的な材質や数値、簡単な製造方法を説明する。なお、次に挙げる材質や数値はもちろん一例である。
【0049】
フィールド絶縁膜110は知られているLOCOS(Local Oxidation
of Silicon)法で形成する。材質は、絶縁物として例えばシリコン酸化膜を用い、膜厚は例えば5500Å程度である。
フィールド絶縁膜110以外の半導体基板100上にはゲート絶縁膜130が形成されているが、このゲート絶縁膜130の材質は、例えばシリコン酸化膜を用い、膜厚は例えば100Å程度である。
【0050】
ゲート絶縁膜130上に設けるゲート電極120は、導電物として例えばポリシリコンを用いることができる。ポリシリコンは、CVD法により形成し、膜厚は例えば3500Å程度である。
【0051】
半導体基板100に設ける、半導体素子190を構成するソース領域又はドレイン領域となる拡散層140は、半導体基板100と逆の極性を有し、例えば半導体基板100がp型半導体の場合は、拡散層140はn型半導体となるように形成する。
【0052】
絶縁膜150は、例えばCVD法により形成し、その材質は、BPSG(Boron Phoshprous Silicate Glass)膜を用いることができる。そしてその膜厚は、例えば10000Å程度形成する。
【0053】
突起部160は、絶縁膜150をエッチング加工して掘り下げて形成する。 絶縁膜150の表面にマスクパターンを形成し、ドライエッチングにて加工する。
【0054】
金属配線170は、絶縁膜150上に突起部160から距離L1及びL2を離間して形成する。この形成も、金属配線材料を絶縁膜150上に形成し、その表面にマスクパターンを形成してエッチング処理して形成する。
【0055】
保護膜180の材質は、例えばTEOS(Tetra−Ethoxy−Silane)膜を用いることができる。
保護膜180形成後は、その上面をCMP法で研磨を行い、平坦化した表面180aを得る。
【実施例2】
【0056】
[第2の実施形態の構成の説明:図2]
次に、第2の実施形態を図面を参照しつつ説明する。説明にあっては、すでに説明した構成と同じ構成には同じ番号を付与している。特に指示がなくてもすでに説明した図面も適宜参照していただきたい。
【0057】
第2の実施形態の特徴は、半導体基板の上部の絶縁膜の上部に設ける金属配線の間に、この絶縁膜を加工して設ける突起部を複数設けるという点である。金属配線の側面部と突起部の側面部とを所定の距離だけ離間させるが、隣り合う突起部同士は、加工の最小寸法で離間させることができる。また、金属配線間にバランスよく突起部を設けるようにしてもよい。
【0058】
図2において、161は突起部である。L3は突起部161の側面部1611と金属配線170の側面部1701との距離である。L4は隣り合う突起部161間の距離である。W3は突起部161の幅である。
【0059】
金属配線170は、突起部161と距離L3をもって離間している。図2に示す例でも、もちろん次のような関係になっている。
L3<=Lx
【0060】
距離L4が大きいと、CMP法による研磨により、その部分の保護膜180が研磨され、傾斜が生じてしまうため、隣り合う突起部161間の領域L4と距離Lxとの関係は、もちろん次のようになっている必要がある。
L4<=Lx
【0061】
隣り合う金属配線170間の領域である金属配線間領域200(図2には図示はしない
)には、複数の突起部161を設けているが、このとき、距離L4は、絶縁膜150の加工の最小寸法で設けてもよい。
また、金属配線170との距離L3を確保すれば、突起部161を金属配線間領域200にバランスよく配置するような距離L4を選ぶこともできる。そうすれば、CMP法による研磨パッドからの応力をバランスよく受けることができる。
【0062】
なお、図2に示す第2の実施形態にあっては、金属配線幅W1と突起部161の幅W3とが同一であってもよいことは無論である。
いずれにしても、距離L4や幅W3などは、金属配線170の配置状況に応じて自由に選択することができる。
【実施例3】
【0063】
[第3の実施形態の構成の説明:図3]
次に、第3の実施形態を図面を参照しつつ説明する。説明にあっては、すでに説明した構成と同じ構成には同じ番号を付与している。特に指示がなくてもすでに説明した図面も適宜参照していただきたい。
【0064】
第3の実施形態の特徴は、半導体基板の上部の絶縁膜の上部に設ける金属配線の間に、この絶縁膜を加工して設ける突起部を複数設けるという点では第2の実施形態と同様であるが、金属配線の側面部と突起部の側面部とを離間させた距離と、隣り合う突起部同士の距離とを同一にしている。つまり、金属配線間に突起部を均等に配設している。
【0065】
図3において、162は突起部である。L5は突起部162の側面部1621と金属配線170の側面部1701との距離である。L6は隣り合う突起部162間の距離である。W4は突起部162の幅である。
【0066】
金属配線170は、突起部162と距離L5をもって離間している。図3に示す例でも、もちろん次のような関係になっている。
L5<=Lx
【0067】
距離L6が大きいと、CMP法による研磨により、その部分の保護膜180が研磨され、傾斜が生じてしまうため、隣り合う突起部162間の領域L6は距離Lxよりも小さい必要がある。そして、距離L5と距離L6とは同一とすることもでき、次のような関係になっている。
L6(L5)<=Lx
【0068】
隣り合う金属配線170間の領域である金属配線間領域200(図3には図示はしない)には、均等に突起部162を設けている。もちろん、金属配線170間の距離によってはそのように配置できない場合もあるが、このようにできれば、CMP法による研磨パッドからの応力を均等に受けることができる。
【0069】
なお、図3に示す第3の実施形態にあっては、金属配線幅W1と突起部162の幅W4とが同一であってもよいことは無論である。
いずれにしても、距離L5及びL6や幅W4などは、金属配線170の配置状況に応じて自由に選択することができる。
【0070】
[製造方法の説明:図4〜図15]
次に、第2の実施形態を例にして、半導体装置の製造方法を説明する。説明にあっては、すでに説明した図面も適宜参照していただきたい。
図4から図15は、図2に示す第2の実施形態の半導体装置の製造方法を模式的に示す
断面図であって、製造方法を順に記載したものである。なお、すでに説明した構成と同じ構成には同じ番号を付与している。
【0071】
図4に示すように、シリコンからなる半導体基板100を準備する。
次に、図5に示すように、半導体基板100上に選択的に所定の厚さのフィールド絶縁膜110と、所定の厚さのゲート絶縁膜130を形成する。フィールド絶縁膜110により分離された領域がMOS型トランジスタ領域となる。
【0072】
フィールド絶縁膜110の形成方法は、選択酸化法で行なう。この方法は、MOS型トランジスタ領域に酸化されにくいシリコン窒化膜を選択的に形成し、その後、例えば、1000℃の水蒸気雰囲気中で酸化することにより、シリコン窒化膜が形成されていない部分の半導体基板100の表面に厚いシリコン酸化膜を形成する。これにより、MOS型トランジスタ領域を除く領域にフィールド絶縁膜110が形成できる。
【0073】
ゲート絶縁膜130の形成方法は、フィールド酸化膜110を形成した後に、所定の洗浄液にて半導体基板100の表面を洗浄した後、例えば、温度が約900℃の酸素と水素との分圧雰囲気で酸化を行い、膜厚が約100Å程度のシリコン酸化膜を全面に形成する。この製造工程によってフィールド絶縁膜110の上部にもシリコン酸化膜が形成されるが、その膜厚は約100Åと薄いため、図示は省略する。そして、MOS型トランジスタ領域の所定の部分にシリコン酸化膜を残すようにエッチング加工することで、残ったシリコン酸化膜がゲート絶縁膜130となる。
なお、このゲート絶縁膜130の膜厚は、本発明の半導体装置の電気特性に応じて自由に選択することができる。
【0074】
次に、図6に示すように、半導体基板100の全領域にポリシリコン層310を堆積する。ポリシリコン層310は、例えば、反応ガスにモノシランを用いて、温度が約650℃の減圧CVD法により、約3500Å程度の膜厚で堆積する。このポリシリコン層310は、所定形状に加工することでMOS型トランジスタのゲート電極となるのである。
【0075】
ポリシリコン層310形成後、このポリシリコン層310に不純物を添加する。例えば、N型のゲート電極とする場合、燐をイオン注入エネルギー60keV、ドーズ量1×1016atoms/cmの条件でイオン注入する。添加した不純物の図示は省略する。
【0076】
図7に示すように、知られているホトリソ技術及びエッチング技術を用いて、ポリシリコン層310を所定の形状に加工し、ゲート電極120を形成する。その後、半導体素子190に知られているイオン注入技術などを用いて、拡散層140を形成する。この拡散層140がMOS型トランジスタのソース領域やドレイン領域となる。
【0077】
次に、図8に示すように、半導体基板100の上部に絶縁膜150を、例えばCVD法により形成する。絶縁膜の材質は特に限定しないが、BPSG膜を用い、膜厚は例えば10000Å程度形成する。その後、絶縁膜150をリフローし平坦化する。リフローの条件は、例えばN2ガス雰囲気中で900℃で30分程度行う。
【0078】
半導体素子を完成するためには、各半導体素子に配線用のコンタクトホールを設けるのであるが、その製造工程については説明を省略する。
【0079】
次に、図9に示すように、知られているホトリソ技術によるマスクパターニング及びエッチング技術で、突起部161を形成する。
突起部161は、絶縁膜150の所定領域をエッチング技術を用いて掘り下げて形成する。このときのエッチング深さは、例えば、後の工程で形成する金属配線の膜厚と同一と
することができる。このときのエッチングガスは、例えば4弗化炭素、3弗化水素炭素、及びヘリウムの混合ガスを用いる。エッチング条件は、500W程度のRFパワーを印加する。エッチング時間はエッチング深さにより変わるので説明は省略する。
【0080】
上述の突起部161の製造方法の説明では、金属配線170の下地層である絶縁膜150を単層で形成する例を示したが、絶縁性を有する複数の膜を積層してもよい。図10及び図11を用いて説明する。
【0081】
図10に示すように、半導体基板100の上部に絶縁膜150を形成するのは同じであるが、その上部にそれと材質が異なる他の絶縁膜151を積層する。この他の絶縁膜151の材質は特に限定しないが、PSG(Phoshprous Silicate Glass)膜を用い、膜厚は例えば3000Å程度形成する。
【0082】
なお、この絶縁膜150と他の絶縁膜151との膜厚の合計は、単層の場合と同一としてもよい。そのとき、例えば、下側の絶縁膜150の膜厚を7000Å程、上側の他の絶縁膜151の膜厚を3000Å程としてもよい。もちろん、他の絶縁膜151の膜厚が突起部161の高さになるから、後の製造工程で形成する金属配線の配線高さと合わせておいてもよい。絶縁膜150と他の絶縁膜151とのリフローによる平坦化は、積層した幕ごとにリフローを実施する。
【0083】
このようにすれば、絶縁膜を構成する膜の膜質や材質を自由に組み合わせて絶縁膜を形成できるから、加工がしやすくなるなどの効果がある。図10及び図11を用いて説明した例は、2層の膜を積層する例であるが、もちろんこれに限定せず、3層以上であってもよい。
【0084】
次に、図11に示すように、知られているホトリソ技術によるマスクパターニング及びエッチング技術で、突起部161を形成する部分を残して他の絶縁膜151を除去する。これにより、絶縁膜150の上部に他の絶縁膜151で形成した突起部161が残る。
【0085】
製造工程順の説明に戻る。
図12に示すように、知られているスパッタ技術で金属膜320を絶縁膜150の上部全面に堆積する。金属膜320の材質は特に限定しないが、アルミとシリコンとの合金などを用いることができる。また窒化チタン及びアルミとシリコンとの合金の複合膜を用いることもできる。金属膜の膜厚は8000Å程度であるが、半導体装置の電気特性に応じて変更することができ、特に限定されるものではない。
【0086】
図13に示すように、知られているホトリソ技術及びエッチング技術を用いて金属膜320を加工して、金属配線170を形成する。エッチングガスは、例えば塩素と3塩化硼素の混合ガスを用い、60W程度のRFパワーを印加してエッチングを行う。
このとき、もちろん金属配線170と突起部161とが距離L3で離間するように形成する。
【0087】
図14に示すように、保護膜180を例えばCVD法により形成する。保護膜180の材質は特に限定しないが、例えばTEOS膜を用いることができる。保護膜の膜厚は、CMP法で研磨を行った場合、金属配線170の上面が露出しないような膜厚である必要がある。例えば、15000Å程度であるが、金属配線170の膜厚に依存するため、特に限定されるものではない。
【0088】
図15に示すように、保護膜180の上面をCMP法で研磨を行う。研磨条件は、例えば、ウェハ圧力が4.0psi、リテーナ圧力が3.0psi、ドレス圧力が3.5kg
、スラリ流量が150ml/minで研磨を行い、平坦化する。これにより、フラットな表面180aを得ることができる。
CMP法を用いても、突起部161を設けているため、この部分が余剰に研磨され、保護膜180の表面(図1で言うところの表面180b)が傾斜してしまうことがないのである。
【0089】
以上、説明した製造方法は一例である。大切なことは、金属配線の下部の下地層に突起部を設けること、そしてこの突起部と離間して金属配線を設けることである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の半導体装置は、平坦化した微細な半導体装置に適用でき、金属配線の配線変更にも柔軟に対応可能であるから、客先都合などによる仕様変更が多い用途の半導体装置に好適である。
【符号の説明】
【0091】
100 半導体基板
110 フィールド酸化膜
120 ゲート電極
130 ゲート絶縁膜
140 拡散層
150 絶縁膜
160、161、162 突起部
170 金属配線
180 保護膜
190 半導体素子
L1、L2 突起部160の側面部1601と金属配線170の側面部1701との距離
L3 突起部161の側面部1611と金属配線170の側面部1701との距離
L4 隣り合う突起部161間の距離
L5 突起部162の側面部1621と金属配線170の側面部1701との距離
L6 隣り合う突起部162間の距離
LM デザインルールにより決まる金属配線間最小距離
Lx CMP法による研磨でも保護膜の表面が傾斜しない距離
W1 金属配線幅
W2 突起部160の幅
W3 突起部161の幅
W4 突起部162の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を有する半導体基板の上部に絶縁膜を設け、該絶縁膜上に金属配線を設け、該金属配線の上部に保護膜を備える半導体装置において、
前記絶縁膜は、その表面に突起部を有し、
前記突起部の少なくとも1つの側面と前記金属配線の少なくとも1つの側面とは互いに離間し、
前記金属配線と前記突起部とが離間する前記距離は、前記保護膜の研磨時に前記保護膜の表面が傾斜しない距離であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
複数の前記金属配線を有し、
前記金属配線間に前記突起部を複数設けるとき、
前記突起部間の距離と、前記金属配線と前記突起部との間の距離と、は同一であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板に半導体素子を形成する素子形成工程と、
前記半導体基板の上部に絶縁膜を設ける絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜の表面に突起部を形成する突起部形成工程と、
前記突起部の少なくとも1つの側面と、形成する金属配線の少なくとも1つの側面とが離間するように、マスクパターニングにより金属配線を形成する配線形成工程と、
前記金属配線の上部に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁膜形成工程は、絶縁性を有する複数の膜を積層して前記絶縁膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−69755(P2012−69755A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213557(P2010−213557)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】