半導体装置及び半導体装置の製造方法
【課題】大量のチップに放熱部を設けるに際してその生産性の向上を図るとともに、放熱効果の向上を図る半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1が、半導体基板11と、絶縁膜14の表面14bに積層された封止層26と、半導体基板11の外周面11cに設けられた第1の放熱部40と、半導体基板11の裏側の主面11bに設けられた第2の放熱部30と、を備える。第1の放熱部及び第2の放熱部は半導体ウエハのレベルで設け、それらをダイシングする。
【解決手段】半導体装置1が、半導体基板11と、絶縁膜14の表面14bに積層された封止層26と、半導体基板11の外周面11cに設けられた第1の放熱部40と、半導体基板11の裏側の主面11bに設けられた第2の放熱部30と、を備える。第1の放熱部及び第2の放熱部は半導体ウエハのレベルで設け、それらをダイシングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップのパッケージ方法として、いわゆるWLP(Wafer Level Package)法が
ある。WLP法は、半導体ウエハの集積回路が形成された面に樹脂封止と配線形成を行った後に、その半導体ウエハを封止樹脂とともにチップサイズに切り出す方法である(例えば、特許文献1)。また、半導体ウエハ及び封止樹脂をチップサイズに切り出す前に、半導体ウエハの裏面から半導体ウエハをハーフダイシングし、その切り込みに封止樹脂を埋めるとともに、その半導体ウエハの裏面に封止樹脂を形成することによって、チップの側面及び裏面にも封止樹脂を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、封止樹脂は一般に熱伝導率が低く、個片化されたチップ内部の集積回路から発した熱が封止樹脂内に閉じ込められてしまい、集積回路の誤作動やパッケージの信頼性低下を招く虞がある。そこで、個片化されたチップの搭載前後に、そのチップにヒートシンクを貼り付けることによって、チップの熱をヒートシンクで放熱することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−261299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大量のチップ個々にヒートシンクを貼り付けているのでは、作業効率が悪くなって、生産性が低くなる。また、チップの表面のうち、半田バンプ等が形成された面の反対面にしかヒートシンクが貼り付けられないので、放熱効果も限られてくる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量のチップにヒートシンク等の放熱部を設けるに際してその生産性の向上を図るとともに、放熱効果の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置が、
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備える。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の放熱部及び第2の放熱部によって放熱効果が高くなる。
また、複数の半導体装置に対して別々にヒートシンクを設けるのではなく、半導体ウエハのレベルで第1の放熱部及び第2の放熱部を設け、それらをダイシングしているから、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置の斜視図。
【図2】同実施形態における半導体装置の断面図。
【図3】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図及び断面図。
【図4】図3に続く工程における斜視図及び断面図。
【図5】図4に続く工程における斜視図及び断面図。
【図6】図5に続く工程における斜視図及び断面図。
【図7】図6に続く工程における斜視図及び断面図。
【図8】図6に続く工程における断面図。
【図9】図6に続く工程における断面図。
【図10】図7に続く工程における斜視図及び断面図。
【図11】図10に続く工程における斜視図及び断面図。
【図12】図11に続く工程における斜視図及び断面図。
【図13】図12に続く工程における斜視図及び断面図。
【図14】図13に続く工程における斜視図及び断面図。
【図15】本発明の第2実施形態における半導体装置の斜視図。
【図16】同実施形態における半導体装置の断面図。
【図17】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図及び断面図。
【図18】図17に続く工程における斜視図及び断面図。
【図19】図18に続く工程における斜視図及び断面図。
【図20】本発明の第3実施形態における半導体装置の断面図。
【図21】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図。
【図22】図21に続く工程における斜視図。
【図23】図22に続く工程における斜視図。
【図24】図23に続く工程における斜視図。
【図25】図24に続く工程における斜視図。
【図26】図25に続く工程における斜視図。
【図27】図26に続く工程における斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、半導体装置1を示した斜視図である。図2は、この半導体装置1を示した断面図である。図1〜図2に示すように、この半導体装置1は、チップサイズにパッケージしたものであって、いわゆるCSP(Chip Size Package)である。特に、この半導体装置1は、半導体ウエハを樹脂封止した後に、それをチップサイズに個片化したものである。つまり、半導体装置1は、CSPの中でも特にWLP(Wafer Level Package)である。この半導体装置1は半導体基板11及び封止構造20等を備え、その封止構造20は配線28、外部接続用端子25、封止層26、半田バンプ27、第1の放熱部(第1の放熱材)40及び第2の放熱部(第2の放熱材)30等を備える。配線28は、下地金属層21及び上部金属層23を含む。
【0012】
半導体基板11は半導体ウエハを個片化したものである。半導体基板11は基層11d及び集積回路層11eからなり、一対の主面11a,11bの間に厚みを有する形状を持つ。基層11dが例えばシリコンからなり、基層11bの表面に集積回路層11eが形成されている。集積回路層11eは半導体基板11の一対の主面11a,11bのうちの一方の主面11a側の表層部分に形成され、集積回路層11eの表面が半導体基板11の一方の主面11aである。集積回路層11eには、図示しない集積回路が設けられている。集積回路層11eの表面には、複数の接続パッド15が形成され、接続パッド15が集積回路層11eの集積回路に接続されている。半導体基板11の一対の主面11a,11bのうちの一方の主面11aを表面または表側の主面と称し、他方の主面11bを裏面または裏側の主面と称する。接続パッド15は、集積回路層11eに含まれる集積回路の配線の一部であったり、その集積回路の構成要素である各種電気素子(例えば、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等)の電極であったりする。
半導体基板11の表側の主面11aの上には、パッシベーション膜13及び絶縁膜13が積層されている。パッシベーション膜13は、酸化シリコン又は窒化シリコンからなる。絶縁膜14は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂その他の樹脂からなる。例えば、絶縁膜14には、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)等の高機能プラスチック材料、エポキシ系、フェノール系、シリコン系等のプラスチック材料、又はこれらの複合材料等を用いることができる。また、パッシベーション膜13のうち接続パッド15に重なる位置には、開口13aが形成されている。絶縁膜14のうち接続パッド15に重なる位置には、開口14aが形成されている。接続パッド15が開口13a,14a内に位置している。
【0013】
絶縁膜14の表面14b上には、下地金属層21が形成されている。下地金属層21は、シード層をパターニングしたものである。下地金属層21は、銅(Cu)の薄膜、チタン(Ti)の薄膜、チタンに銅を積層した薄膜その他の金属薄膜である。下地金属層21は、所定の形状に形成されている。下地金属層21の一部が接続パッド15上に積層され、下地金属層21が開口13a,14aを介して接続パッド15に接続されている。なお、絶縁膜14が形成されておらず、下地金属層21がパッシベーション膜13上に形成されていてもよい。
【0014】
下地金属層21上には、上部金属層23が積層されている。上部金属層23は、銅メッキその他の金属メッキからなる。平面視して、上部金属層23が所定の形状にパターニングされており、上部金属層23の平面形状と下地金属層21の平面形状がほぼ同じである。上部金属層23は、下地金属層21よりも厚い。
【0015】
外部接続用端子25が上部金属層23の一端部上に形成されている。外部接続用端子25は、銅その他の金属からなる。外部接続用端子25は、突起状に設けられた柱状電極である。外部接続用端子25の高さ(厚さ)は、上部金属層23の厚さよりも大きい。配線28のうち外部接続用端子25の台座となる部分24は、ランドである。
【0016】
絶縁膜14上には、封止層26が積層されている。封止層26が配線28を覆って、上部金属層23が絶縁膜14と封止層26の間に敷設されている。封止層26は、上部金属層23をそれらの上部から保護する。外部接続用端子25が封止層26を貫通するように封止層26に埋設されている。外部接続用端子25の頭頂面は封止層26によって覆われていないが、外部接続用端子25の周側面は封止層26によって覆われ、封止層26が外部接続用端子25の周側面を保護する。封止層26の表面26aは、外部接続用端子25の頭頂面と面一に設けられ、又は、外部接続用端子25の頭頂面よりも僅かに高い位置にある。封止層26は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂その他の絶縁性樹脂からなり、好ましくは、フィラー(例えば、ガラスフィラー)を含有した熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)からなる。また、封止層26は遮光性を有する。
【0017】
半田バンプ27が外部接続用端子25の頭頂面に形成されている。半田バンプ27が外部接続用端子25の頭頂面に結合することによって、半田バンプ27と外部接続用端子25が相互に電気的に接続している。なお、半導体装置1をプリント配線板に内蔵して用いる場合には、半田バンプ27を形成せずに、外部接続用端子25の頭頂面と接続するようにプリント配線板内部の配線を形成するようにしてもよい。この場合、プリント配線板の内部に設けられた配線とは、プリント配線板の絶縁層間に形成された導体パターンや、プリント配線板の絶縁層を貫通したビアに埋め込まれた埋込導体といったものを含む。
【0018】
半導体基板11の外周面11cには、第1の放熱部40が設けられている。第1の放熱部40は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。第1の放熱部40が枠状に設けられ、半導体基板11が第1の放熱部40によって囲繞されている。第1の放熱部40が半導体基板11の外周面11cに直接接合している。第1の放熱部40の下面41が半導体基板11の裏側の主面11bと面一になっている。第1の放熱部40の上面42が絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)に揃っておらず、第1の放熱部40が半導体基板11の表側の主面11a及び絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)から上に突き出ており、第1の放熱部40の上部43が封止層26を囲繞している。第1の放熱部40のうち封止層26を囲んだ部分43が封止層26に直接接合している。
【0019】
また、第1の放熱部40の外周面44が、封止層26のうち第1の放熱部40に囲われていない部分26bの周面26cと面一になっている。なお、封止層26のうち第1の放熱部40に囲われていない部分26bの周面26cと、第1の放熱部40の外周面44との間に段差があってもよい。
第1の放熱部40は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば銅、銀その他の金属からなる(熱伝導率150W/m・K以上)。
【0020】
半導体基板11の裏側の主面11b及び第1の放熱部40の下面41には、第2の放熱部30が粘着層39によって貼着されている。粘着層39は、熱伝導率の高い材料からなり、例えばシリコングリース、シリコンゴムからなる。第2の放熱部30は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。第2の放熱部30は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば金属(銅、銀等)又はファインセラミックからなる(熱伝導率150W/m・K以上)。
【0021】
第2の放熱部30の表面30a、つまり、第2の放熱部30の下面30aが、凸凹に設けられている。これにより、第2の放熱部30の放熱性能が向上する。
【0022】
具体的には、第2の放熱部30の下面30aに、格子状の溝31が形成されていることによって、複数の突起32がマトリクス状に配列されている。なお、第2の放熱部30の下面30aが平坦な面であってもよい。また、溝31の形状は格子状である必要はなく、例えば、溝31がストライプ状であってもよい。溝31がストライプ状であれば、互いに平行な複数の突条が第2の放熱部30の下面30aに形成されている。
【0023】
半導体装置1の製造方法について図3〜図12を参照して説明する。図3〜図12は半導体装置1の製造工程を示すものであり、図3〜図12の(a)は半導体ウエハ50の斜視図であり、(b)はその半導体ウエハ50の部分断面図である。
【0024】
半導体装置1を製造するに際しては、個片化する前の半導体ウエハ50(図3に図示)を用いる。図3に示すように、半導体ウエハ50の表側の主面50aは、分割予定線としての格子状のダイシングストリート(境界線)52によって複数のチップ領域51に区画されている。これらチップ領域51がマトリクス状に配列されている。半導体ウエハ50の表側の表層の集積回路層11eには、チップ領域51ごとに図示しない集積回路が形成されている。半導体ウエハ50の主面50aの上にパッシベーション膜13が成膜され、集積回路がパッシベーション膜13によって覆われている。また、半導体ウエハ50の表側には、パッシベーション膜13を覆う絶縁膜14が成膜されている。また、半導体ウエハ50の裏側の主面50bでは、半導体(シリコン)が露出している。なお、絶縁膜14が成膜されていなくてもよい。
【0025】
図4に示すように、無電解メッキ法若しくは気相成長法(例えば、スパッタ法)又はこれらの組合せによって、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上の全体にシード層61を積層する。つまり、絶縁膜14及び接続パッド15の上の一面にシード層61を成長させる。シード層61は、銅(Cu)の薄膜、チタン(Ti)の薄膜、チタンに銅を積層した薄膜その他の金属薄膜である。
【0026】
次に、図5に示すように、上部金属層23をパターニングする。具体的には、レジスト等のマスクをシード層61の上に設置し、シード層61をそのマスクによって部分的に覆った状態で、シード層61を電極として電解メッキを行う。マスクには、形成しようとする上部金属層23の形状に合った開口が形成されており、電解メッキによって上部金属層23がシード層61の上であってマスクの開口内に成長する。ここで、上部金属層23をシード層61よりも厚く成長させる。
上部金属層23の形成後、マスクを除去する。
【0027】
次に、図5に示すように、外部接続用端子25を形成する。具体的には、上部金属層23よりも厚いドライフィルムレジスト等のマスクをシード層61及び上部金属層23の上に設置し、シード層61及び上部金属層23をマスクで覆った状態で、シード層61及び上部金属層23を電極として電解メッキを行う。マスクには、形成しようとする外部接続用端子25の形状に合った開口が形成されており、それら開口は、上部金属層23の端部に設けられたランド24に重なっている。そのため、電解メッキによって外部接続用端子25がランド24の上であってマスクの開口内に成長する。ここで、外部接続用端子25の高さ(厚さ)が上部金属層23の厚さよりも充分に厚くなるよう、外部接続用端子25を成長させる。
外部接続用端子25の形成後、マスクを除去する。
【0028】
マスクの除去後、シード層61のうち上部金属層23及び外部接続用端子25に重なっていない部分をエッチングにより除去することにより、シード層61を下地金属層21(図6等に図示)に形状加工する。このとき、上部金属層23及び外部接続用端子25の表面が一部エッチングされるが、上部金属層23及び外部接続用端子25がシード層61と比較して充分に厚いため、上部金属層23及び外部接続用端子25は残留する。
【0029】
次に、図6に示すように、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上に封止層26を積層する。具体的には、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上に封止樹脂を塗布し、その封止樹脂によって上部金属層23を覆うとともに封止樹脂に外部接続用端子25を埋め込み、その封止樹脂を硬化させる。この状態では、外部接続用端子25が封止層26に埋め込まれているので、封止層26の表面26aを研削する。封止層26の表面26aの研削によって外部接続用端子25の頭頂面が露出し、封止層26の表面26aが外部接続用端子25の頭頂面と略面一となる。この時、外部接続用端子25の頭頂面も研削され、外部接続用端子25の頭頂面が平坦になる。なお、プリプレグを絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)に貼り付けて、そのプリプレグを硬化させて封止層26としてもよい。
【0030】
次に、半導体ウエハ50の裏側の主面50bを研削することで、半導体ウエハ50を薄くする。なお、この研削処理は省略してもよい。
次に、外部接続用端子25の頭頂面を軽くエッチングする。
【0031】
次に、図7に示すように、封止層26をダイシングテープ80に向けて、半導体ウエハ50をダイシングテープ80に貼り付け、半導体ウエハ50の周囲にダイシングフレーム81を設置する。次に、半導体ウエハ50の裏側の主面50bから半導体ウエハ50をダイシングストリート52に沿ってハーフダイシングすることによって、半導体ウエハ50の裏側の主面50bに格子状の溝65を形成する。ダイシングに際しては、半導体ウエハ50の裏側の主面50bから封止層26の途中まで切り込むが、封止層26の表面26aまでは切り込まない。そのため、ダイシングの切り込み深さ(溝65の深さ)は半導体ウエハ50の裏側の主面50bから絶縁膜14の表面14bまでの厚みよりも大きいが、半導体ウエハ50の裏面の主面50bから封止層26の表面26aまでの厚みよりも小さい。
【0032】
なお、溝65を形成するハーフダイシング処理には、ステップカット処理(図8参照)又はベベルカット処理(図9参照)を採用してもよい。ステップカット処理とは、図8に示すように、溝65を段状に形成することである。つまり、半導体ウエハ50の裏側の主面50bを第一ダイシングブレードによってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、半導体ウエハ50の厚さよりも浅い格子状の溝65aを形成した後、溝65aの底を第二ダイシングブレード(第一ダイシングブレードよりも薄い)によってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、溝65aよりも幅の狭い溝65bを封止層26の途中まで切り込む。ベベルカット処理とは、図9に示すように、溝65の浅い領域をV字状に開口させることである。つまり、刃先がV字状の第一ダイシングブレードによって半導体ウエハ50の裏側の主面50bをダイシングストリート52に沿って切り込むことで、半導体ウエハ50の厚さよりも浅い格子状の断面V字状溝65cを形成した後、溝65cの底を第二ダイシングブレード(第一ダイシングブレードよりも薄い)によってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、溝65cよりも幅の狭い溝65dを封止層26の途中まで切り込む。
【0033】
溝65の形成後、図10に示すように、シリコンよりも放熱性の高い放熱材(例えば、銅、銀その他の金属)66を溝65に埋め込む。例えば、金属ペーストを溝65に流し込み、それを硬化させることによって、放熱材(第1の放熱部)66を溝65に埋設する。また、溝65内に対して選択的に金属メッキ層を成長させることによって、放熱材66を溝65に埋設する。
【0034】
次に、図11に示すように、半導体ウエハ50の裏側の主面50bに粘着層39を形成し、薄平板状の第2の放熱部30を粘着層39によって半導体ウエハ50の裏側の主面50bに貼り付ける。第2の放熱部30が粘着層39を介して放熱材66にも貼着される。
【0035】
次に、図12に示すように、第2の放熱部30の表面30aを凸凹に形成する。具体的には、第2の放熱部30の表面30aに対してハーフエッチング処理又はハーフダイシング処理を施すことによって、第2の放熱部30の表面30aに格子状の溝31及び突起32を形成する。ハーフエッチングによって溝31を形成するに際しては、レジスト等のマスクで第2の放熱部30を部分的に覆うことで、溝31をパターニングする。なお、溝31の形状は格子状である必要はなく、例えばストライプ状であってもよい。
【0036】
次に、図13に示すように、半田バンプ27を外部接続用端子25の頭頂面に形成する。なお、半田バンプ27を形成しなくてもよい。
次に、図14に示すように、ダイシングストリート52及び溝36に沿って封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングし、複数の半導体装置1に分割する。この際の切り込み67の幅(ストリート幅)は溝65の幅よりも狭く、溝65の中心線に沿って切り込み67を形成するから、放熱材66が第1の放熱部40に分割される。なお、個片化処理は、金属用のダイシングブレードを用いて放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングする工程と、樹脂用のダイシングブレードを用いて封止層26をダイシングする工程とに分けて行う。又は、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30の何れにも兼用できるダイシングブレードを用いて、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30を同時に切断する。
【0037】
以上のように本実施形態によれば、第2の放熱部30が半導体装置1の裏面に設けられ、第1の放熱部40が半導体装置1の側面に設けられているから、放熱性が向上し、半導体装置1をより効率よく冷却することができる。
【0038】
また、半導体ウエハ50、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングすることによって、一括して複数の半導体装置1に放熱部30,40を設けることができるから、生産性が向上する。
【0039】
また、半導体装置1の裏面に第2の放熱部30が設けられているだけでなく、半導体装置1の側面にも第1の放熱部40が設けられているから、広い方角からの電磁波を遮断することができる。
【0040】
また、放熱部30,40によって半導体基板11を補強することができる。半導体基板11が露出していないので、半導体基板11を保護することができる。
【0041】
また、溝65の形成の際に、溝65の底を封止層26の途中まで至らせれば、切断された第1の放熱部40が絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)から突き出て封止層26を囲繞する。第1の放熱部40が封止層26の周面に密着しているから、封止層26を第1の放熱部40によって保護することができる。封止層26と半導体基板11の間の境界面の周囲が第1の放熱部40によって囲われているから、シール性も向上する。
【0042】
また、半導体装置1がパッケージされたものであるから、この半導体装置1を封止缶や封止層によってパッケージする必要がない。従って、放熱部30,40が露出するから、放熱効果が非常によい。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
図15は、半導体装置1Aを示した斜視図である。図16は、この半導体装置1Aを示した断面図である。図1及び図2に示された半導体装置1と図15及び図16に示された半導体装置1Aとの間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0044】
図15及び図16に示された半導体装置1Aは、半導体装置1と同様に、半導体基板11、下地金属層21、上部金属層23、外部接続用端子25、封止層26、半田バンプ27、第1の放熱部40及び第2の放熱部30等を備える。
【0045】
半導体基板11、パッシベーション膜13、絶縁膜14、接続パッド15、下地金属層21、上部金属層23、外部接続用端子25、封止層26及び半田バンプ27は、第1の実施の形態の場合と同様である。そのため、これらの詳細な説明は省略する。
【0046】
第1の実施の形態では、第1の放熱部40と第2の放熱部30が別に成形されたものであり、第1の放熱部40と第2の放熱部30が粘着層39によって接合されている。それに対して、第2の実施の形態では、第1の放熱部40と第2の放熱部30が一体成形されている。第1の放熱部40の組成物と第2の放熱部30の組成物は同じである。例えば、第1の放熱部40及び第2の放熱部30は、銅、銀その他の金属からなる。また、粘着層39がなく、第1の放熱部40が半導体基板11の裏側の主面11bに直接接合されている。
【0047】
図15及び図16に示すように、第2の放熱部30の下面30aが平坦である。なお、第1の実施の形態の場合と同様に、第2の放熱部30の下面30aが凸凹に設けられていてもよい。
【0048】
以上に説明したことを除いて、図1及び図2に示された半導体装置1と図15及び図16に示された半導体装置1Aとの間で互いに対応する部分は、同様に設けられている。
【0049】
半導体装置1Aの製造方法について説明する。
シード層61を形成する工程から溝65を形成する工程までは、第1の実施の形態の場合と同様である(図4〜図7参照)。なお、溝65の形成する工程は、図8に示すようにステップカット処理でもよいし、図9に示すようにベベルカット処理でもよい。
【0050】
溝65の形成後、図17に示すように、シリコンよりも放熱性の高い放熱材(例えば、銅、銀その他の金属)70を半導体ウエハ50の裏側の主面50bに形成するとともに、放熱材70の一部71を半導体ウエハ50の裏側の主面50bからはみ出させて溝65に埋設する。放熱材70のうち溝65に埋め込まれた部分71が第1の放熱部に相当し、その他の部分72が第2の放熱部に相当する。
【0051】
以下、放熱材70の形成工程についていくつかの例を挙げる。
(1) 金属ペーストを半導体ウエハ50の裏側の主面50bに塗り付けるとともに、その金属ペーストの一部を溝65に埋め込む。その後、金属ペーストを硬化させる。硬化した金属ペーストが放熱材70である。
(2) 無電解メッキ法又は気相成長法によってシード層を半導体ウエハ50の裏側の主面50b及び溝65の底や側面に成長させる。その後、そのシード層を電極として電解メッキを行って、そのシード層の上にメッキ層を成長させる。メッキ層は、半導体ウエハ50の裏側の主面50bの上のみならず、溝65内でも成長する。シード層とメッキ層の積層体が放熱材70である。なお、ステップカット処理又はベベルカット処理によって溝65を形成した場合、溝65の側面にシード層が成長しやすい。
(3) 無電解メッキ法によって無電解メッキ層を半導体ウエハ50の裏側の主面50bに成長させるとともに、溝65内にも成長させる。
【0052】
放熱材70の形成後、放熱材70の表面73を研削し、放熱材70の表面73を平坦化する。
その後、ハーフエッチング処理又はハーフダイシング処理によって放熱材70の表面73を凸凹に形成する。なお、放熱材70の表面73を凸凹にせずに、平坦なままとしてもよい。
【0053】
次に、図18に示すように、半田バンプ27を外部接続用端子25の頭頂面に形成する。なお、半田バンプ27の形成は後述の個片化処理の後に行ってもよいし、半田バンプ27を形成しなくてもよい。
【0054】
次に、図19に示すように、ダイシングストリート52に沿って封止層26及び放熱材70をダイシングし、複数の半導体装置1Aに分割する。この際の切り込み67の幅(ストリート幅)を溝65の幅よりも狭くする。また、溝65の中心線に沿って切り込み67を形成する。なお、個片化処理は、放熱材70のダイシング工程と、封止層26のダイシング工程を分けても行ってもよいし、封止層26及び放熱材70を同時に切断してもよい。
【0055】
第2の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 放熱部30,40が半導体基板11の裏側の主面11b・外周面11cにそれぞれ設けられているから、半導体基板11を効率よく放熱することができる。特に、第2の放熱部30が半導体基板11の裏側の主面11bに接しているから、第1実施形態の場合と比較しても、放熱効率が高い。
(2) 半導体ウエハ50を個片化する前に、全てのチップ領域51に一括して放熱材70を形成し、その後、放熱材70とともに半導体ウエハ50を切断したから、生産性が向上する。特に、放熱部30,40の作成を別々に行うのではなく、放熱部30,40をほぼ同時に一体成形するから、第1の実施の形態の場合と比較しても、製造に係る工程数が少ない。そのため、コストの削減と製造時間の短縮が図られている。
(3) 放熱部30,40によって半導体基板11が補強される。特に、放熱部30,40が一体成形されているから、これらの強度も相互に補完し合う。
(4) 放熱部30,40によって半導体基板11を電磁波から保護することができる。
(5) 放熱材70が金属材料であるから、放熱材70をオートクレーブ等によって脱泡する必要がない。
(6) 第一の放熱部40によって封止層26の周囲が保護される。封止層26と半導体基板11の間の境界面が封止層26によって密閉される。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
図20は、半導体装置101を示した断面図である。
この半導体装置101は、半導体チップ10と、封止構造120とを有する。
【0057】
この半導体チップ10は、ウエハレベルで樹脂封止した後に、それを個片化したものである。この半導体チップ10と第1実施形態の半導体装置1とは、一部一致する。そのため、半導体チップ10と、第1実施形態における半導体装置1との間で互いに対応する部分には同一の符号を付し、互いに対応する部分が同一に設けられている場合には、その説明を省略する。
【0058】
一方、この半導体チップ10と第1実施形態の半導体装置1とは、以下の点で相違する。つまり、第1実施形態の半導体装置1には、半田バンプ27、粘着層39、第2の放熱部30及び第1の放熱部40が設けられているが、この半導体チップ10には、半田バンプ27、粘着層39、第2の放熱部30及び第1の放熱部40に相当するものが設けられていない。また、この半導体チップ10では、第1の放熱部40に相当するものが設けられていないので、半導体基板11の外周面と封止層26の外周面が揃っている。
【0059】
この半導体チップ10は、封止構造120によって封止されている。封止構造120は、ベース板121、配線123、コンタクトプラグ125、封止層126、半田バンプ127、オーバーコート層128及び放熱部(放熱材)130等を備える。なお、この実施形態では、端子25は、外部と接続するものではなく、配線28と配線123の中継をとるためのものである。
【0060】
半導体チップ10は、その半導体基板11の裏側の主面11bをベース板121の表側の主面121aに向けた状態でベース板121上に搭載されている。半導体基板11は、接着剤層122によってベース板121の表側の主面121aに接着されている。
【0061】
ベース板121は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂(ガラス布エポキシ樹脂を含む。)、カーボン繊維強化エポキシ樹脂(カーボン布エポキシ樹脂を含む。)、ガラス繊維強化ポリイミド樹脂(ガラス布ポリイミド樹脂を含む。)、カーボン繊維強化ポリイミド樹脂(カーボン布ポリイミド樹脂を含む。)その他の繊維強化樹脂からなる。
【0062】
ベース板121上には、封止層126が積層されている。また、この封止層126によって半導体チップ10が覆われ、封止層26上に封止層126が積層されている。
【0063】
封止層126は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂(ガラス布エポキシ樹脂を含む。)、カーボン繊維強化エポキシ樹脂(カーボン布エポキシ樹脂を含む。)、ガラス繊維強化ポリイミド樹脂(ガラス布ポリイミド樹脂を含む。)、カーボン繊維強化ポリイミド樹脂(カーボン布ポリイミド樹脂を含む。)その他の繊維強化樹脂からなる。
【0064】
封止層126には、ビア126aが形成されている。ビア126aの位置は端子25の上であり、ビア126aが端子25に重なっている。ビア126a内には、コンタクトプラグ125が埋め込まれており、コンタクトプラグ125が端子25に接触している。
【0065】
封止層126上には、配線123が形成されている。配線123は、銅(Cu)の膜、チタン(Ti)の膜、チタンに銅を積層した膜その他の導電膜である。平面視して、配線123が所定の形状にパターニングされている。配線123の一部がコンタクトプラグ125の表面(頂面)に積層され、配線123がコンタクトプラグ125に接触している。
【0066】
封止層126上には、オーバーコート層128が積層され、配線123がオーバーコート層128によって覆われている。オーバーコート層128は、樹脂材料からなる。また、オーバーコート層128は、ソルダーレジストである。つまり、オーバーコート層128には、開口部128aが形成されており、その開口部128a内に配線123の一部が露出し、その上に半田バンプ127が形成されている。
【0067】
ベース板121の裏側の主面121bには、放熱部130が粘着層139によって貼着されている。粘着層139は、熱伝導率の高い材料からなり、例えばシリコングリース、シリコンゴムからなる。放熱部130は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば金属(銅、銀等)又はファインセラミックからなる(熱伝導率150W/m・K以上)。放熱部130は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。
【0068】
放熱部130の表面130a、つまり、放熱部130の下面130aが、凸凹に設けられている。具体的には、放熱部130の下面130aに格子状の溝131が形成されていることによって、複数の突起132がマトリクス状に配列されている。なお、放熱部130の下面130aが平坦な面であってもよい。また、溝131の形状は格子状である必要はなく、例えば、溝131がストライプ状であってもよい。溝131がストライプ状であれば、互いに平行な複数の突条が放熱部130の下面130aに形成されている。
【0069】
半導体装置101の製造方法について説明する。
まず、半導体チップ10を製造する。半導体チップ10の製造方法と、第1実施形態の半導体装置1の製造方法とは、一部一致する。半導体チップ10の製造方法と、第1実施形態の半導体装置1の製造方法とは、以下の点で相違する。
【0070】
つまり、第1実施形態の半導体装置1の製造方法では、封止層26を形成する工程(図6参照)後、幾つかの工程(図7〜図13参照)を経て、半導体ウエハ50をダイシングしていた。それに対し、半導体チップ10の製造方法では、封止層26を形成した後、図7〜図13に示すような工程を経ずに、半導体ウエハ50及び封止層26をダイシングストリート52に沿って切断する。これにより、複数の半導体チップ10が得られる。
【0071】
半導体チップ10の製造後、図21に示すように、マザーベース板151を準備し、そのマザーベース板151の主面151aに接着剤層122を塗布又は貼着により形成する。そして、複数の半導体チップ10をマザーベース板151上にマトリクス状に配列し、半導体チップ10を接着剤層122によってマザーベース板151に接着する。
【0072】
次に、図22に示すように、マザーベース板151の上に封止層126を積層し、その封止層126によって半導体チップ10を被覆する。
次に、図23に示すように、封止層126に向けてレーザー光を照射する。そうすることによって、封止層126にビア126aを形成し、ビア126aを端子25まで通じさせる。なお、図23では、図面を見やすくするために、1つの半導体チップ10につき1つのビア126aが図示されているが、実際には、端子25ごとにビア126aを形成するので、1つの半導体チップ10につき複数のビア126aを形成する。
【0073】
次に、図24に示すように、ビア126a内にコンタクトプラグ125を形成する。
次に、封止層126の表面に配線123を形成する。配線123の形成法は、フルアディティブ法、セミアディティブ法又はサブトラクト法である。
【0074】
次に、図25に示すように、マザーベース板151の裏面151bに粘着層139を形成し、薄平板状の放熱部130を粘着層139によってマザーベース板151の裏面151bに貼り付ける。
【0075】
次に、図26に示すように、放熱部130の表面130aを凸凹に形成する。放熱部130の表面130aを凸凹に形成する方法は、第1実施形態における第1放熱部30の表面30aを凸凹に形成する方法と同様である。
【0076】
次に、オーバーコート層128をパターニングすることで、配線123及び封止層126をオーバーコート層128で覆うとともに、配線123の一部をオーバーコート層128の開口部128aから露出させる。
次に、各開口部128a内において、配線123上に半田バンプ127を形成する。なお、半田バンプ127の形成を省略してもよいし、後述のダイシング処理後に半田バンプ127の形成を行ってもよい。
【0077】
次に、図27に示すように、マザーベース板151、封止層126及び放熱部130を格子状にダイシングし、半導体チップ10ごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130を分割する。これにより、複数の半導体装置101に分割する。なお、1つの半導体装置101につき複数の半導体チップ10が含まれる場合には、半導体チップ10ごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130をダイシングするのではなく、複数の半導体チップ10からなる組みごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130をダイシングする。
【0078】
以上のように、第2実施形態によれば、マザーベース板151、封止層126、放熱部130をダイシングすることによって、一括して複数の半導体装置101に放熱部30を設けることができるから、生産性が向上する。
【0079】
以上の第3実施形態には、次のような半導体装置の製造方法に係る発明が含まれる。
【0080】
複数の半導体チップをマザーベース板の主面上に搭載する工程と、その後、マザーベース板の主面上に封止層を積層し、前記封止層によって前記複数の半導体チップを覆う工程と、その後、前記マザーベース板の裏面に放熱部を設ける工程と、その後、前記マザーベース板、前記封止層及び前記放熱部をダイシングする工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【0081】
好ましくは、前記放熱部の表面を凸凹に形成し、更に好ましくは、前記放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記放熱部の表面を凸凹に形成する。
【0082】
また、次のような半導体装置に係る発明が、第2実施形態に含まれる。
【0083】
ベース板と、前記ベース板の主面に搭載された半導体チップと、前記ベース板の主面に積層され、前記半導体チップを覆った封止層と、前記ベース板の裏面に設けられた放熱部と、を備える半導体装置。
【0084】
好ましくは、前記放熱部の表面が凸凹に形成されている。
【0085】
〔付記〕
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
<請求項1>
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
<請求項2>
前記第1の放熱部が前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
<請求項3>
前記第1の放熱部が前記半導体基板の前記一方の主面から突き出て前記封止層を囲繞することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
<請求項4>
前記第2の放熱部の表面が凸凹に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置。
<請求項5>
前記第1の放熱部と前記第2の放熱部が一体成形されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の半導体装置。
<請求項6>
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
<請求項7>
前記第三工程において、前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなる前記第1の放熱部を前記溝に埋め込むことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項8>
前記半導体ウエハの前記一方の主面は複数のチップ領域に区画されており、
前記第二工程は、前記チップ領域の境界線に沿った格子状の溝を形成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項9>
前記第五工程では、前記溝の中心線に沿ってダイシングすることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項10>
前記第四工程は、前記第2の放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記第2の放熱部の表面を凸凹に形成する工程を含むことを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項11>
前記第三工程と前記第四工程を同時に行って、前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を一体成形することを特徴とする請求項6から10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0086】
1、1A、101 半導体装置
10 半導体チップ
11 半導体基板
11a 表側の主面
11b 裏側の主面
11c 外周面
20、120 封止構造
26 封止層
30 第2の放熱部
30a 表面
31 溝
32 突起
40 第1の放熱部
50 半導体ウエハ
50b 裏側の主面
51 チップ領域
52 ダイシングストリート(境界線)
65 溝
66 放熱材(第1の放熱部)
70 放熱材
101 半導体装置
121 ベース板
121a 表側の主面
121b 裏側の主面
126 封止層
130 放熱部
130a 表面
131 溝
132 突起
151 マザーベース板
151b 裏面
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップのパッケージ方法として、いわゆるWLP(Wafer Level Package)法が
ある。WLP法は、半導体ウエハの集積回路が形成された面に樹脂封止と配線形成を行った後に、その半導体ウエハを封止樹脂とともにチップサイズに切り出す方法である(例えば、特許文献1)。また、半導体ウエハ及び封止樹脂をチップサイズに切り出す前に、半導体ウエハの裏面から半導体ウエハをハーフダイシングし、その切り込みに封止樹脂を埋めるとともに、その半導体ウエハの裏面に封止樹脂を形成することによって、チップの側面及び裏面にも封止樹脂を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、封止樹脂は一般に熱伝導率が低く、個片化されたチップ内部の集積回路から発した熱が封止樹脂内に閉じ込められてしまい、集積回路の誤作動やパッケージの信頼性低下を招く虞がある。そこで、個片化されたチップの搭載前後に、そのチップにヒートシンクを貼り付けることによって、チップの熱をヒートシンクで放熱することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−261299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大量のチップ個々にヒートシンクを貼り付けているのでは、作業効率が悪くなって、生産性が低くなる。また、チップの表面のうち、半田バンプ等が形成された面の反対面にしかヒートシンクが貼り付けられないので、放熱効果も限られてくる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量のチップにヒートシンク等の放熱部を設けるに際してその生産性の向上を図るとともに、放熱効果の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置が、
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備える。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の放熱部及び第2の放熱部によって放熱効果が高くなる。
また、複数の半導体装置に対して別々にヒートシンクを設けるのではなく、半導体ウエハのレベルで第1の放熱部及び第2の放熱部を設け、それらをダイシングしているから、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置の斜視図。
【図2】同実施形態における半導体装置の断面図。
【図3】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図及び断面図。
【図4】図3に続く工程における斜視図及び断面図。
【図5】図4に続く工程における斜視図及び断面図。
【図6】図5に続く工程における斜視図及び断面図。
【図7】図6に続く工程における斜視図及び断面図。
【図8】図6に続く工程における断面図。
【図9】図6に続く工程における断面図。
【図10】図7に続く工程における斜視図及び断面図。
【図11】図10に続く工程における斜視図及び断面図。
【図12】図11に続く工程における斜視図及び断面図。
【図13】図12に続く工程における斜視図及び断面図。
【図14】図13に続く工程における斜視図及び断面図。
【図15】本発明の第2実施形態における半導体装置の斜視図。
【図16】同実施形態における半導体装置の断面図。
【図17】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図及び断面図。
【図18】図17に続く工程における斜視図及び断面図。
【図19】図18に続く工程における斜視図及び断面図。
【図20】本発明の第3実施形態における半導体装置の断面図。
【図21】同実施形態における半導体装置を製造する方法の一工程における斜視図。
【図22】図21に続く工程における斜視図。
【図23】図22に続く工程における斜視図。
【図24】図23に続く工程における斜視図。
【図25】図24に続く工程における斜視図。
【図26】図25に続く工程における斜視図。
【図27】図26に続く工程における斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、半導体装置1を示した斜視図である。図2は、この半導体装置1を示した断面図である。図1〜図2に示すように、この半導体装置1は、チップサイズにパッケージしたものであって、いわゆるCSP(Chip Size Package)である。特に、この半導体装置1は、半導体ウエハを樹脂封止した後に、それをチップサイズに個片化したものである。つまり、半導体装置1は、CSPの中でも特にWLP(Wafer Level Package)である。この半導体装置1は半導体基板11及び封止構造20等を備え、その封止構造20は配線28、外部接続用端子25、封止層26、半田バンプ27、第1の放熱部(第1の放熱材)40及び第2の放熱部(第2の放熱材)30等を備える。配線28は、下地金属層21及び上部金属層23を含む。
【0012】
半導体基板11は半導体ウエハを個片化したものである。半導体基板11は基層11d及び集積回路層11eからなり、一対の主面11a,11bの間に厚みを有する形状を持つ。基層11dが例えばシリコンからなり、基層11bの表面に集積回路層11eが形成されている。集積回路層11eは半導体基板11の一対の主面11a,11bのうちの一方の主面11a側の表層部分に形成され、集積回路層11eの表面が半導体基板11の一方の主面11aである。集積回路層11eには、図示しない集積回路が設けられている。集積回路層11eの表面には、複数の接続パッド15が形成され、接続パッド15が集積回路層11eの集積回路に接続されている。半導体基板11の一対の主面11a,11bのうちの一方の主面11aを表面または表側の主面と称し、他方の主面11bを裏面または裏側の主面と称する。接続パッド15は、集積回路層11eに含まれる集積回路の配線の一部であったり、その集積回路の構成要素である各種電気素子(例えば、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等)の電極であったりする。
半導体基板11の表側の主面11aの上には、パッシベーション膜13及び絶縁膜13が積層されている。パッシベーション膜13は、酸化シリコン又は窒化シリコンからなる。絶縁膜14は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂その他の樹脂からなる。例えば、絶縁膜14には、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)等の高機能プラスチック材料、エポキシ系、フェノール系、シリコン系等のプラスチック材料、又はこれらの複合材料等を用いることができる。また、パッシベーション膜13のうち接続パッド15に重なる位置には、開口13aが形成されている。絶縁膜14のうち接続パッド15に重なる位置には、開口14aが形成されている。接続パッド15が開口13a,14a内に位置している。
【0013】
絶縁膜14の表面14b上には、下地金属層21が形成されている。下地金属層21は、シード層をパターニングしたものである。下地金属層21は、銅(Cu)の薄膜、チタン(Ti)の薄膜、チタンに銅を積層した薄膜その他の金属薄膜である。下地金属層21は、所定の形状に形成されている。下地金属層21の一部が接続パッド15上に積層され、下地金属層21が開口13a,14aを介して接続パッド15に接続されている。なお、絶縁膜14が形成されておらず、下地金属層21がパッシベーション膜13上に形成されていてもよい。
【0014】
下地金属層21上には、上部金属層23が積層されている。上部金属層23は、銅メッキその他の金属メッキからなる。平面視して、上部金属層23が所定の形状にパターニングされており、上部金属層23の平面形状と下地金属層21の平面形状がほぼ同じである。上部金属層23は、下地金属層21よりも厚い。
【0015】
外部接続用端子25が上部金属層23の一端部上に形成されている。外部接続用端子25は、銅その他の金属からなる。外部接続用端子25は、突起状に設けられた柱状電極である。外部接続用端子25の高さ(厚さ)は、上部金属層23の厚さよりも大きい。配線28のうち外部接続用端子25の台座となる部分24は、ランドである。
【0016】
絶縁膜14上には、封止層26が積層されている。封止層26が配線28を覆って、上部金属層23が絶縁膜14と封止層26の間に敷設されている。封止層26は、上部金属層23をそれらの上部から保護する。外部接続用端子25が封止層26を貫通するように封止層26に埋設されている。外部接続用端子25の頭頂面は封止層26によって覆われていないが、外部接続用端子25の周側面は封止層26によって覆われ、封止層26が外部接続用端子25の周側面を保護する。封止層26の表面26aは、外部接続用端子25の頭頂面と面一に設けられ、又は、外部接続用端子25の頭頂面よりも僅かに高い位置にある。封止層26は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂その他の絶縁性樹脂からなり、好ましくは、フィラー(例えば、ガラスフィラー)を含有した熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)からなる。また、封止層26は遮光性を有する。
【0017】
半田バンプ27が外部接続用端子25の頭頂面に形成されている。半田バンプ27が外部接続用端子25の頭頂面に結合することによって、半田バンプ27と外部接続用端子25が相互に電気的に接続している。なお、半導体装置1をプリント配線板に内蔵して用いる場合には、半田バンプ27を形成せずに、外部接続用端子25の頭頂面と接続するようにプリント配線板内部の配線を形成するようにしてもよい。この場合、プリント配線板の内部に設けられた配線とは、プリント配線板の絶縁層間に形成された導体パターンや、プリント配線板の絶縁層を貫通したビアに埋め込まれた埋込導体といったものを含む。
【0018】
半導体基板11の外周面11cには、第1の放熱部40が設けられている。第1の放熱部40は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。第1の放熱部40が枠状に設けられ、半導体基板11が第1の放熱部40によって囲繞されている。第1の放熱部40が半導体基板11の外周面11cに直接接合している。第1の放熱部40の下面41が半導体基板11の裏側の主面11bと面一になっている。第1の放熱部40の上面42が絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)に揃っておらず、第1の放熱部40が半導体基板11の表側の主面11a及び絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)から上に突き出ており、第1の放熱部40の上部43が封止層26を囲繞している。第1の放熱部40のうち封止層26を囲んだ部分43が封止層26に直接接合している。
【0019】
また、第1の放熱部40の外周面44が、封止層26のうち第1の放熱部40に囲われていない部分26bの周面26cと面一になっている。なお、封止層26のうち第1の放熱部40に囲われていない部分26bの周面26cと、第1の放熱部40の外周面44との間に段差があってもよい。
第1の放熱部40は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば銅、銀その他の金属からなる(熱伝導率150W/m・K以上)。
【0020】
半導体基板11の裏側の主面11b及び第1の放熱部40の下面41には、第2の放熱部30が粘着層39によって貼着されている。粘着層39は、熱伝導率の高い材料からなり、例えばシリコングリース、シリコンゴムからなる。第2の放熱部30は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。第2の放熱部30は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば金属(銅、銀等)又はファインセラミックからなる(熱伝導率150W/m・K以上)。
【0021】
第2の放熱部30の表面30a、つまり、第2の放熱部30の下面30aが、凸凹に設けられている。これにより、第2の放熱部30の放熱性能が向上する。
【0022】
具体的には、第2の放熱部30の下面30aに、格子状の溝31が形成されていることによって、複数の突起32がマトリクス状に配列されている。なお、第2の放熱部30の下面30aが平坦な面であってもよい。また、溝31の形状は格子状である必要はなく、例えば、溝31がストライプ状であってもよい。溝31がストライプ状であれば、互いに平行な複数の突条が第2の放熱部30の下面30aに形成されている。
【0023】
半導体装置1の製造方法について図3〜図12を参照して説明する。図3〜図12は半導体装置1の製造工程を示すものであり、図3〜図12の(a)は半導体ウエハ50の斜視図であり、(b)はその半導体ウエハ50の部分断面図である。
【0024】
半導体装置1を製造するに際しては、個片化する前の半導体ウエハ50(図3に図示)を用いる。図3に示すように、半導体ウエハ50の表側の主面50aは、分割予定線としての格子状のダイシングストリート(境界線)52によって複数のチップ領域51に区画されている。これらチップ領域51がマトリクス状に配列されている。半導体ウエハ50の表側の表層の集積回路層11eには、チップ領域51ごとに図示しない集積回路が形成されている。半導体ウエハ50の主面50aの上にパッシベーション膜13が成膜され、集積回路がパッシベーション膜13によって覆われている。また、半導体ウエハ50の表側には、パッシベーション膜13を覆う絶縁膜14が成膜されている。また、半導体ウエハ50の裏側の主面50bでは、半導体(シリコン)が露出している。なお、絶縁膜14が成膜されていなくてもよい。
【0025】
図4に示すように、無電解メッキ法若しくは気相成長法(例えば、スパッタ法)又はこれらの組合せによって、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上の全体にシード層61を積層する。つまり、絶縁膜14及び接続パッド15の上の一面にシード層61を成長させる。シード層61は、銅(Cu)の薄膜、チタン(Ti)の薄膜、チタンに銅を積層した薄膜その他の金属薄膜である。
【0026】
次に、図5に示すように、上部金属層23をパターニングする。具体的には、レジスト等のマスクをシード層61の上に設置し、シード層61をそのマスクによって部分的に覆った状態で、シード層61を電極として電解メッキを行う。マスクには、形成しようとする上部金属層23の形状に合った開口が形成されており、電解メッキによって上部金属層23がシード層61の上であってマスクの開口内に成長する。ここで、上部金属層23をシード層61よりも厚く成長させる。
上部金属層23の形成後、マスクを除去する。
【0027】
次に、図5に示すように、外部接続用端子25を形成する。具体的には、上部金属層23よりも厚いドライフィルムレジスト等のマスクをシード層61及び上部金属層23の上に設置し、シード層61及び上部金属層23をマスクで覆った状態で、シード層61及び上部金属層23を電極として電解メッキを行う。マスクには、形成しようとする外部接続用端子25の形状に合った開口が形成されており、それら開口は、上部金属層23の端部に設けられたランド24に重なっている。そのため、電解メッキによって外部接続用端子25がランド24の上であってマスクの開口内に成長する。ここで、外部接続用端子25の高さ(厚さ)が上部金属層23の厚さよりも充分に厚くなるよう、外部接続用端子25を成長させる。
外部接続用端子25の形成後、マスクを除去する。
【0028】
マスクの除去後、シード層61のうち上部金属層23及び外部接続用端子25に重なっていない部分をエッチングにより除去することにより、シード層61を下地金属層21(図6等に図示)に形状加工する。このとき、上部金属層23及び外部接続用端子25の表面が一部エッチングされるが、上部金属層23及び外部接続用端子25がシード層61と比較して充分に厚いため、上部金属層23及び外部接続用端子25は残留する。
【0029】
次に、図6に示すように、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上に封止層26を積層する。具体的には、絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)上に封止樹脂を塗布し、その封止樹脂によって上部金属層23を覆うとともに封止樹脂に外部接続用端子25を埋め込み、その封止樹脂を硬化させる。この状態では、外部接続用端子25が封止層26に埋め込まれているので、封止層26の表面26aを研削する。封止層26の表面26aの研削によって外部接続用端子25の頭頂面が露出し、封止層26の表面26aが外部接続用端子25の頭頂面と略面一となる。この時、外部接続用端子25の頭頂面も研削され、外部接続用端子25の頭頂面が平坦になる。なお、プリプレグを絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)に貼り付けて、そのプリプレグを硬化させて封止層26としてもよい。
【0030】
次に、半導体ウエハ50の裏側の主面50bを研削することで、半導体ウエハ50を薄くする。なお、この研削処理は省略してもよい。
次に、外部接続用端子25の頭頂面を軽くエッチングする。
【0031】
次に、図7に示すように、封止層26をダイシングテープ80に向けて、半導体ウエハ50をダイシングテープ80に貼り付け、半導体ウエハ50の周囲にダイシングフレーム81を設置する。次に、半導体ウエハ50の裏側の主面50bから半導体ウエハ50をダイシングストリート52に沿ってハーフダイシングすることによって、半導体ウエハ50の裏側の主面50bに格子状の溝65を形成する。ダイシングに際しては、半導体ウエハ50の裏側の主面50bから封止層26の途中まで切り込むが、封止層26の表面26aまでは切り込まない。そのため、ダイシングの切り込み深さ(溝65の深さ)は半導体ウエハ50の裏側の主面50bから絶縁膜14の表面14bまでの厚みよりも大きいが、半導体ウエハ50の裏面の主面50bから封止層26の表面26aまでの厚みよりも小さい。
【0032】
なお、溝65を形成するハーフダイシング処理には、ステップカット処理(図8参照)又はベベルカット処理(図9参照)を採用してもよい。ステップカット処理とは、図8に示すように、溝65を段状に形成することである。つまり、半導体ウエハ50の裏側の主面50bを第一ダイシングブレードによってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、半導体ウエハ50の厚さよりも浅い格子状の溝65aを形成した後、溝65aの底を第二ダイシングブレード(第一ダイシングブレードよりも薄い)によってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、溝65aよりも幅の狭い溝65bを封止層26の途中まで切り込む。ベベルカット処理とは、図9に示すように、溝65の浅い領域をV字状に開口させることである。つまり、刃先がV字状の第一ダイシングブレードによって半導体ウエハ50の裏側の主面50bをダイシングストリート52に沿って切り込むことで、半導体ウエハ50の厚さよりも浅い格子状の断面V字状溝65cを形成した後、溝65cの底を第二ダイシングブレード(第一ダイシングブレードよりも薄い)によってダイシングストリート52に沿って切り込むことで、溝65cよりも幅の狭い溝65dを封止層26の途中まで切り込む。
【0033】
溝65の形成後、図10に示すように、シリコンよりも放熱性の高い放熱材(例えば、銅、銀その他の金属)66を溝65に埋め込む。例えば、金属ペーストを溝65に流し込み、それを硬化させることによって、放熱材(第1の放熱部)66を溝65に埋設する。また、溝65内に対して選択的に金属メッキ層を成長させることによって、放熱材66を溝65に埋設する。
【0034】
次に、図11に示すように、半導体ウエハ50の裏側の主面50bに粘着層39を形成し、薄平板状の第2の放熱部30を粘着層39によって半導体ウエハ50の裏側の主面50bに貼り付ける。第2の放熱部30が粘着層39を介して放熱材66にも貼着される。
【0035】
次に、図12に示すように、第2の放熱部30の表面30aを凸凹に形成する。具体的には、第2の放熱部30の表面30aに対してハーフエッチング処理又はハーフダイシング処理を施すことによって、第2の放熱部30の表面30aに格子状の溝31及び突起32を形成する。ハーフエッチングによって溝31を形成するに際しては、レジスト等のマスクで第2の放熱部30を部分的に覆うことで、溝31をパターニングする。なお、溝31の形状は格子状である必要はなく、例えばストライプ状であってもよい。
【0036】
次に、図13に示すように、半田バンプ27を外部接続用端子25の頭頂面に形成する。なお、半田バンプ27を形成しなくてもよい。
次に、図14に示すように、ダイシングストリート52及び溝36に沿って封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングし、複数の半導体装置1に分割する。この際の切り込み67の幅(ストリート幅)は溝65の幅よりも狭く、溝65の中心線に沿って切り込み67を形成するから、放熱材66が第1の放熱部40に分割される。なお、個片化処理は、金属用のダイシングブレードを用いて放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングする工程と、樹脂用のダイシングブレードを用いて封止層26をダイシングする工程とに分けて行う。又は、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30の何れにも兼用できるダイシングブレードを用いて、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30を同時に切断する。
【0037】
以上のように本実施形態によれば、第2の放熱部30が半導体装置1の裏面に設けられ、第1の放熱部40が半導体装置1の側面に設けられているから、放熱性が向上し、半導体装置1をより効率よく冷却することができる。
【0038】
また、半導体ウエハ50、封止層26、放熱材66及び第2の放熱部30をダイシングすることによって、一括して複数の半導体装置1に放熱部30,40を設けることができるから、生産性が向上する。
【0039】
また、半導体装置1の裏面に第2の放熱部30が設けられているだけでなく、半導体装置1の側面にも第1の放熱部40が設けられているから、広い方角からの電磁波を遮断することができる。
【0040】
また、放熱部30,40によって半導体基板11を補強することができる。半導体基板11が露出していないので、半導体基板11を保護することができる。
【0041】
また、溝65の形成の際に、溝65の底を封止層26の途中まで至らせれば、切断された第1の放熱部40が絶縁膜14の表面14b(絶縁膜14が無い場合には、パッシベーション膜13の表面13b)から突き出て封止層26を囲繞する。第1の放熱部40が封止層26の周面に密着しているから、封止層26を第1の放熱部40によって保護することができる。封止層26と半導体基板11の間の境界面の周囲が第1の放熱部40によって囲われているから、シール性も向上する。
【0042】
また、半導体装置1がパッケージされたものであるから、この半導体装置1を封止缶や封止層によってパッケージする必要がない。従って、放熱部30,40が露出するから、放熱効果が非常によい。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
図15は、半導体装置1Aを示した斜視図である。図16は、この半導体装置1Aを示した断面図である。図1及び図2に示された半導体装置1と図15及び図16に示された半導体装置1Aとの間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0044】
図15及び図16に示された半導体装置1Aは、半導体装置1と同様に、半導体基板11、下地金属層21、上部金属層23、外部接続用端子25、封止層26、半田バンプ27、第1の放熱部40及び第2の放熱部30等を備える。
【0045】
半導体基板11、パッシベーション膜13、絶縁膜14、接続パッド15、下地金属層21、上部金属層23、外部接続用端子25、封止層26及び半田バンプ27は、第1の実施の形態の場合と同様である。そのため、これらの詳細な説明は省略する。
【0046】
第1の実施の形態では、第1の放熱部40と第2の放熱部30が別に成形されたものであり、第1の放熱部40と第2の放熱部30が粘着層39によって接合されている。それに対して、第2の実施の形態では、第1の放熱部40と第2の放熱部30が一体成形されている。第1の放熱部40の組成物と第2の放熱部30の組成物は同じである。例えば、第1の放熱部40及び第2の放熱部30は、銅、銀その他の金属からなる。また、粘着層39がなく、第1の放熱部40が半導体基板11の裏側の主面11bに直接接合されている。
【0047】
図15及び図16に示すように、第2の放熱部30の下面30aが平坦である。なお、第1の実施の形態の場合と同様に、第2の放熱部30の下面30aが凸凹に設けられていてもよい。
【0048】
以上に説明したことを除いて、図1及び図2に示された半導体装置1と図15及び図16に示された半導体装置1Aとの間で互いに対応する部分は、同様に設けられている。
【0049】
半導体装置1Aの製造方法について説明する。
シード層61を形成する工程から溝65を形成する工程までは、第1の実施の形態の場合と同様である(図4〜図7参照)。なお、溝65の形成する工程は、図8に示すようにステップカット処理でもよいし、図9に示すようにベベルカット処理でもよい。
【0050】
溝65の形成後、図17に示すように、シリコンよりも放熱性の高い放熱材(例えば、銅、銀その他の金属)70を半導体ウエハ50の裏側の主面50bに形成するとともに、放熱材70の一部71を半導体ウエハ50の裏側の主面50bからはみ出させて溝65に埋設する。放熱材70のうち溝65に埋め込まれた部分71が第1の放熱部に相当し、その他の部分72が第2の放熱部に相当する。
【0051】
以下、放熱材70の形成工程についていくつかの例を挙げる。
(1) 金属ペーストを半導体ウエハ50の裏側の主面50bに塗り付けるとともに、その金属ペーストの一部を溝65に埋め込む。その後、金属ペーストを硬化させる。硬化した金属ペーストが放熱材70である。
(2) 無電解メッキ法又は気相成長法によってシード層を半導体ウエハ50の裏側の主面50b及び溝65の底や側面に成長させる。その後、そのシード層を電極として電解メッキを行って、そのシード層の上にメッキ層を成長させる。メッキ層は、半導体ウエハ50の裏側の主面50bの上のみならず、溝65内でも成長する。シード層とメッキ層の積層体が放熱材70である。なお、ステップカット処理又はベベルカット処理によって溝65を形成した場合、溝65の側面にシード層が成長しやすい。
(3) 無電解メッキ法によって無電解メッキ層を半導体ウエハ50の裏側の主面50bに成長させるとともに、溝65内にも成長させる。
【0052】
放熱材70の形成後、放熱材70の表面73を研削し、放熱材70の表面73を平坦化する。
その後、ハーフエッチング処理又はハーフダイシング処理によって放熱材70の表面73を凸凹に形成する。なお、放熱材70の表面73を凸凹にせずに、平坦なままとしてもよい。
【0053】
次に、図18に示すように、半田バンプ27を外部接続用端子25の頭頂面に形成する。なお、半田バンプ27の形成は後述の個片化処理の後に行ってもよいし、半田バンプ27を形成しなくてもよい。
【0054】
次に、図19に示すように、ダイシングストリート52に沿って封止層26及び放熱材70をダイシングし、複数の半導体装置1Aに分割する。この際の切り込み67の幅(ストリート幅)を溝65の幅よりも狭くする。また、溝65の中心線に沿って切り込み67を形成する。なお、個片化処理は、放熱材70のダイシング工程と、封止層26のダイシング工程を分けても行ってもよいし、封止層26及び放熱材70を同時に切断してもよい。
【0055】
第2の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 放熱部30,40が半導体基板11の裏側の主面11b・外周面11cにそれぞれ設けられているから、半導体基板11を効率よく放熱することができる。特に、第2の放熱部30が半導体基板11の裏側の主面11bに接しているから、第1実施形態の場合と比較しても、放熱効率が高い。
(2) 半導体ウエハ50を個片化する前に、全てのチップ領域51に一括して放熱材70を形成し、その後、放熱材70とともに半導体ウエハ50を切断したから、生産性が向上する。特に、放熱部30,40の作成を別々に行うのではなく、放熱部30,40をほぼ同時に一体成形するから、第1の実施の形態の場合と比較しても、製造に係る工程数が少ない。そのため、コストの削減と製造時間の短縮が図られている。
(3) 放熱部30,40によって半導体基板11が補強される。特に、放熱部30,40が一体成形されているから、これらの強度も相互に補完し合う。
(4) 放熱部30,40によって半導体基板11を電磁波から保護することができる。
(5) 放熱材70が金属材料であるから、放熱材70をオートクレーブ等によって脱泡する必要がない。
(6) 第一の放熱部40によって封止層26の周囲が保護される。封止層26と半導体基板11の間の境界面が封止層26によって密閉される。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
図20は、半導体装置101を示した断面図である。
この半導体装置101は、半導体チップ10と、封止構造120とを有する。
【0057】
この半導体チップ10は、ウエハレベルで樹脂封止した後に、それを個片化したものである。この半導体チップ10と第1実施形態の半導体装置1とは、一部一致する。そのため、半導体チップ10と、第1実施形態における半導体装置1との間で互いに対応する部分には同一の符号を付し、互いに対応する部分が同一に設けられている場合には、その説明を省略する。
【0058】
一方、この半導体チップ10と第1実施形態の半導体装置1とは、以下の点で相違する。つまり、第1実施形態の半導体装置1には、半田バンプ27、粘着層39、第2の放熱部30及び第1の放熱部40が設けられているが、この半導体チップ10には、半田バンプ27、粘着層39、第2の放熱部30及び第1の放熱部40に相当するものが設けられていない。また、この半導体チップ10では、第1の放熱部40に相当するものが設けられていないので、半導体基板11の外周面と封止層26の外周面が揃っている。
【0059】
この半導体チップ10は、封止構造120によって封止されている。封止構造120は、ベース板121、配線123、コンタクトプラグ125、封止層126、半田バンプ127、オーバーコート層128及び放熱部(放熱材)130等を備える。なお、この実施形態では、端子25は、外部と接続するものではなく、配線28と配線123の中継をとるためのものである。
【0060】
半導体チップ10は、その半導体基板11の裏側の主面11bをベース板121の表側の主面121aに向けた状態でベース板121上に搭載されている。半導体基板11は、接着剤層122によってベース板121の表側の主面121aに接着されている。
【0061】
ベース板121は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂(ガラス布エポキシ樹脂を含む。)、カーボン繊維強化エポキシ樹脂(カーボン布エポキシ樹脂を含む。)、ガラス繊維強化ポリイミド樹脂(ガラス布ポリイミド樹脂を含む。)、カーボン繊維強化ポリイミド樹脂(カーボン布ポリイミド樹脂を含む。)その他の繊維強化樹脂からなる。
【0062】
ベース板121上には、封止層126が積層されている。また、この封止層126によって半導体チップ10が覆われ、封止層26上に封止層126が積層されている。
【0063】
封止層126は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂(ガラス布エポキシ樹脂を含む。)、カーボン繊維強化エポキシ樹脂(カーボン布エポキシ樹脂を含む。)、ガラス繊維強化ポリイミド樹脂(ガラス布ポリイミド樹脂を含む。)、カーボン繊維強化ポリイミド樹脂(カーボン布ポリイミド樹脂を含む。)その他の繊維強化樹脂からなる。
【0064】
封止層126には、ビア126aが形成されている。ビア126aの位置は端子25の上であり、ビア126aが端子25に重なっている。ビア126a内には、コンタクトプラグ125が埋め込まれており、コンタクトプラグ125が端子25に接触している。
【0065】
封止層126上には、配線123が形成されている。配線123は、銅(Cu)の膜、チタン(Ti)の膜、チタンに銅を積層した膜その他の導電膜である。平面視して、配線123が所定の形状にパターニングされている。配線123の一部がコンタクトプラグ125の表面(頂面)に積層され、配線123がコンタクトプラグ125に接触している。
【0066】
封止層126上には、オーバーコート層128が積層され、配線123がオーバーコート層128によって覆われている。オーバーコート層128は、樹脂材料からなる。また、オーバーコート層128は、ソルダーレジストである。つまり、オーバーコート層128には、開口部128aが形成されており、その開口部128a内に配線123の一部が露出し、その上に半田バンプ127が形成されている。
【0067】
ベース板121の裏側の主面121bには、放熱部130が粘着層139によって貼着されている。粘着層139は、熱伝導率の高い材料からなり、例えばシリコングリース、シリコンゴムからなる。放熱部130は、半導体基板11の材料(シリコン:熱伝導率148W/m・K)及び封止層26の材料(エポキシ樹脂:熱伝導率0.17〜0.21W/m・K、フィラー混合エポキシ樹脂:熱伝導率0.9〜1.3W/m・K)よりも放熱性の高い材料からなり、例えば金属(銅、銀等)又はファインセラミックからなる(熱伝導率150W/m・K以上)。放熱部130は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクである。
【0068】
放熱部130の表面130a、つまり、放熱部130の下面130aが、凸凹に設けられている。具体的には、放熱部130の下面130aに格子状の溝131が形成されていることによって、複数の突起132がマトリクス状に配列されている。なお、放熱部130の下面130aが平坦な面であってもよい。また、溝131の形状は格子状である必要はなく、例えば、溝131がストライプ状であってもよい。溝131がストライプ状であれば、互いに平行な複数の突条が放熱部130の下面130aに形成されている。
【0069】
半導体装置101の製造方法について説明する。
まず、半導体チップ10を製造する。半導体チップ10の製造方法と、第1実施形態の半導体装置1の製造方法とは、一部一致する。半導体チップ10の製造方法と、第1実施形態の半導体装置1の製造方法とは、以下の点で相違する。
【0070】
つまり、第1実施形態の半導体装置1の製造方法では、封止層26を形成する工程(図6参照)後、幾つかの工程(図7〜図13参照)を経て、半導体ウエハ50をダイシングしていた。それに対し、半導体チップ10の製造方法では、封止層26を形成した後、図7〜図13に示すような工程を経ずに、半導体ウエハ50及び封止層26をダイシングストリート52に沿って切断する。これにより、複数の半導体チップ10が得られる。
【0071】
半導体チップ10の製造後、図21に示すように、マザーベース板151を準備し、そのマザーベース板151の主面151aに接着剤層122を塗布又は貼着により形成する。そして、複数の半導体チップ10をマザーベース板151上にマトリクス状に配列し、半導体チップ10を接着剤層122によってマザーベース板151に接着する。
【0072】
次に、図22に示すように、マザーベース板151の上に封止層126を積層し、その封止層126によって半導体チップ10を被覆する。
次に、図23に示すように、封止層126に向けてレーザー光を照射する。そうすることによって、封止層126にビア126aを形成し、ビア126aを端子25まで通じさせる。なお、図23では、図面を見やすくするために、1つの半導体チップ10につき1つのビア126aが図示されているが、実際には、端子25ごとにビア126aを形成するので、1つの半導体チップ10につき複数のビア126aを形成する。
【0073】
次に、図24に示すように、ビア126a内にコンタクトプラグ125を形成する。
次に、封止層126の表面に配線123を形成する。配線123の形成法は、フルアディティブ法、セミアディティブ法又はサブトラクト法である。
【0074】
次に、図25に示すように、マザーベース板151の裏面151bに粘着層139を形成し、薄平板状の放熱部130を粘着層139によってマザーベース板151の裏面151bに貼り付ける。
【0075】
次に、図26に示すように、放熱部130の表面130aを凸凹に形成する。放熱部130の表面130aを凸凹に形成する方法は、第1実施形態における第1放熱部30の表面30aを凸凹に形成する方法と同様である。
【0076】
次に、オーバーコート層128をパターニングすることで、配線123及び封止層126をオーバーコート層128で覆うとともに、配線123の一部をオーバーコート層128の開口部128aから露出させる。
次に、各開口部128a内において、配線123上に半田バンプ127を形成する。なお、半田バンプ127の形成を省略してもよいし、後述のダイシング処理後に半田バンプ127の形成を行ってもよい。
【0077】
次に、図27に示すように、マザーベース板151、封止層126及び放熱部130を格子状にダイシングし、半導体チップ10ごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130を分割する。これにより、複数の半導体装置101に分割する。なお、1つの半導体装置101につき複数の半導体チップ10が含まれる場合には、半導体チップ10ごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130をダイシングするのではなく、複数の半導体チップ10からなる組みごとにマザーベース板151、封止層126及び放熱部130をダイシングする。
【0078】
以上のように、第2実施形態によれば、マザーベース板151、封止層126、放熱部130をダイシングすることによって、一括して複数の半導体装置101に放熱部30を設けることができるから、生産性が向上する。
【0079】
以上の第3実施形態には、次のような半導体装置の製造方法に係る発明が含まれる。
【0080】
複数の半導体チップをマザーベース板の主面上に搭載する工程と、その後、マザーベース板の主面上に封止層を積層し、前記封止層によって前記複数の半導体チップを覆う工程と、その後、前記マザーベース板の裏面に放熱部を設ける工程と、その後、前記マザーベース板、前記封止層及び前記放熱部をダイシングする工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【0081】
好ましくは、前記放熱部の表面を凸凹に形成し、更に好ましくは、前記放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記放熱部の表面を凸凹に形成する。
【0082】
また、次のような半導体装置に係る発明が、第2実施形態に含まれる。
【0083】
ベース板と、前記ベース板の主面に搭載された半導体チップと、前記ベース板の主面に積層され、前記半導体チップを覆った封止層と、前記ベース板の裏面に設けられた放熱部と、を備える半導体装置。
【0084】
好ましくは、前記放熱部の表面が凸凹に形成されている。
【0085】
〔付記〕
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
<請求項1>
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
<請求項2>
前記第1の放熱部が前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
<請求項3>
前記第1の放熱部が前記半導体基板の前記一方の主面から突き出て前記封止層を囲繞することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
<請求項4>
前記第2の放熱部の表面が凸凹に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置。
<請求項5>
前記第1の放熱部と前記第2の放熱部が一体成形されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の半導体装置。
<請求項6>
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
<請求項7>
前記第三工程において、前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなる前記第1の放熱部を前記溝に埋め込むことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項8>
前記半導体ウエハの前記一方の主面は複数のチップ領域に区画されており、
前記第二工程は、前記チップ領域の境界線に沿った格子状の溝を形成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項9>
前記第五工程では、前記溝の中心線に沿ってダイシングすることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項10>
前記第四工程は、前記第2の放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記第2の放熱部の表面を凸凹に形成する工程を含むことを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
<請求項11>
前記第三工程と前記第四工程を同時に行って、前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を一体成形することを特徴とする請求項6から10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0086】
1、1A、101 半導体装置
10 半導体チップ
11 半導体基板
11a 表側の主面
11b 裏側の主面
11c 外周面
20、120 封止構造
26 封止層
30 第2の放熱部
30a 表面
31 溝
32 突起
40 第1の放熱部
50 半導体ウエハ
50b 裏側の主面
51 チップ領域
52 ダイシングストリート(境界線)
65 溝
66 放熱材(第1の放熱部)
70 放熱材
101 半導体装置
121 ベース板
121a 表側の主面
121b 裏側の主面
126 封止層
130 放熱部
130a 表面
131 溝
132 突起
151 マザーベース板
151b 裏面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の放熱部が前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の放熱部が前記半導体基板の前記一方の主面から突き出て前記封止層を囲繞することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の放熱部の表面が凸凹に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の放熱部と前記第2の放熱部が一体成形されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第三工程において、前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなる前記第1の放熱部を前記溝に埋め込むことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハの前記一方の主面は複数のチップ領域に区画されており、
前記第二工程は、前記チップ領域の境界線に沿った格子状の溝を形成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第五工程では、前記溝の中心線に沿ってダイシングすることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第四工程は、前記第2の放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記第2の放熱部の表面を凸凹に形成する工程を含むことを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第三工程と前記第四工程を同時に行って、前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を一体成形することを特徴とする請求項6から10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一対の主面のうち一方の主面側に積層された封止層と、
前記半導体基板の外周面及び前記封止層の外周面に設けられた第1の放熱部と、
前記半導体基板の前記一対の主面のうち他方の主面側に設けられた第2の放熱部と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の放熱部が前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の放熱部が前記半導体基板の前記一方の主面から突き出て前記封止層を囲繞することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の放熱部の表面が凸凹に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の放熱部と前記第2の放熱部が一体成形されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体ウエハの一対の主面のうち一方の主面側に封止層を形成する第一工程と、
前記半導体ウエハの前記一対の主面のうち他方の主面から前記封止層の途中まで切り込んで溝を形成する第二工程と、
前記溝に第1の放熱部を埋め込む第三工程と、
前記半導体ウエハの前記他方の主面に第2の放熱部を設ける第四工程と、
前記溝よりも幅の狭い切り込み幅で前記溝に沿って前記封止層、前記第1の放熱部及び前記第2の放熱部をダイシングする第五工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第三工程において、前記半導体基板の材料及び前記封止層の材料よりも熱伝導率の高い材料からなる前記第1の放熱部を前記溝に埋め込むことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハの前記一方の主面は複数のチップ領域に区画されており、
前記第二工程は、前記チップ領域の境界線に沿った格子状の溝を形成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第五工程では、前記溝の中心線に沿ってダイシングすることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第四工程は、前記第2の放熱部の表面に対してハーフエッチング又はハーフダイシングを施すことによって、前記第2の放熱部の表面を凸凹に形成する工程を含むことを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第三工程と前記第四工程を同時に行って、前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を一体成形することを特徴とする請求項6から10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−89813(P2012−89813A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−490(P2011−490)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(311014314)株式会社テラミクロス (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(311014314)株式会社テラミクロス (42)
【Fターム(参考)】
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