説明

半導体装置用テープキャリア

【課題】半導体装置用テープキャリアのアウターリードの累積寸法が変動しても、アウターリードが接続される被接合材の配線との接合面積を安定的に確保できる半導体装置用テープキャリアを提供する。
【解決手段】絶縁フィルムと、絶縁フィルム上にインナーリード及びアウターリードを含む配線とを有する半導体装置用テープキャリアであって、隣り合って設けられた複数のアウターリード51のうちの少なくとも一部は、アウターリード51が接続される被接合材に隣り合って設けられた複数の配線52に対して、平行である平行配置から傾けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置用テープキャリアに関し、更に詳しくは微細なアウターリードを備えたCOF(Chip On Film)テープなどに好適な半導体装置用テープキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップなどの半導体装置を実装する半導体装置用テープキャリアは、ポリイミド等からなる絶縁フィルム上に、インナーリード、アウターリードなどの配線が形成されている。例えば、半導体装置用テープキャリアの一つであるCOFテープの場合には、絶縁フィルム上のインナーリードに、フリップチップ接合によってICチップのバンプが接続され、また、アウターリードに、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)などを介して、配線板やディスプレイパネルなどの被接合材の配線(端子部)が接
続される。
【0003】
近年、ディスプレイパネルなどの電子機器の小型・軽量・高精度化に伴って、インナーリード、アウターリードなどの配線の微細化・多線化が進んでおり、アウターリードなどの端子群の累積ピッチの管理が重要となっている。
【0004】
なお、累積ピッチ変動の対策技術として、フィルムキャリアに搭載されるICチップに対して放射状にアウターリードを延在させ、これらアウターリードに対応する位置にプリント配線板のパッドを設けて、アウターリードとプリント配線板のパッドとを接続する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この接続構造では、アウターリードとプリント配線板のパッドとをボンディングツールで加熱圧着して接続する際に、アウターリードを支持するフィルムキャリア(サポートリング)が一様に熱膨張しても、アウターリードは放射方向に移動(位置ずれ)するだけなので、アウターリードとプリント配線板のパッドとの接合は保たれると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−211742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フレキシブル性を持たせるために使用しているポリイミド等からなる絶縁フィルムは、保管中などに環境の温度・湿度の変化によって伸縮しやすい。また、製造工程中の加熱・吸湿などの原因によって絶縁フィルムが所望の寸法よりも伸縮する。絶縁フィルムが伸縮すると、特にアウターリードの累積寸法公差が小さい場合に、絶縁フィルム上のアウターリードの位置がずれて所定のピッチを確保できずに、被接合材(ディスプレイパネルや配線板など)の配線との位置に不整合が生じる虞がある。
【0007】
上記した絶縁フィルムの伸縮による、アウターリードと被接合材の配線との位置の不整合について、図4を用いて説明する。
【0008】
図4に示すように、アウターリード41とアウターリード41が接続される被接合材の配線(端子部)42とは、ともに長方形状であり、長方形状のアウターリード41の幅は配線42の幅より狭くなっている。長方形状のアウターリード41の長辺は、長方形状の配線42の長辺に対して平行であり、アウターリード41は配線42に対して平行な平行配置となっている。アウターリード41と配線42とは、長方形状の幅方向(図4の左右
方向)に同一のピッチで設けられており、図4(a)に示す設計通りの所望の状態では、対応するアウターリード41と配線42とは全て重なり、正常な接合が得られる。なお、図4においては、配線42上にアウターリード41が設けられ、また、視覚的に分かりやすいように、配線42とアウターリード41とが重なって接合される接合部分には、グレーの塗りを施している。
【0009】
図4(b)は、半導体装置用テープキャリアの絶縁フィルムの伸縮により、絶縁フィルム上のアウターリード41が所望の配線位置(図4(a)の状態)からずれた状態を示している。図4(b)では、絶縁フィルムが加熱・吸湿などによって伸びた状態にある。
絶縁フィルムが伸びると、図4(b)に示すように、配列方向の中央部に位置するアウターリード41(図4(b)では、左から3つ目のアウターリード41で、配線42に正常に接合されている)を基準にすると、中央部のアウターリード41の両側にあるアウターリード41は、左右両側にそれぞれ拡がって、アウターリード41の位置がずれ、累積ピッチ寸法が変化する。このように、アウターリード41の累積ピッチ寸法が変化すると、アウターリード41と配線42との接合面積(図4のグレー部分の面積)も各アウターリード41毎に変化し、累積ピッチ寸法の変化が大きなアウターリード41(図4では、左右両端のアウターリード41)では、配線42との接合面積が小さくなる。配線42とアウターリード41との接合面積が著しく減少すると、信号や電力の授受に影響を及ぼしてしまう。
【0010】
このような問題を解決すべく、絶縁フィルムの伸縮を予測して配線を形成することも考えられるが、配線の配置や形状などによって累積寸法の伸縮の大きさが異なるため、一律にルール化することは困難である。
【0011】
本発明の目的は、半導体装置用テープキャリアのアウターリードの累積寸法が変動しても、アウターリードが接続される被接合材の配線との接合面積を安定的に確保できる半導体装置用テープキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、絶縁フィルムと、前記絶縁フィルム上にインナーリード及びアウターリードを含む配線とを有する半導体装置用テープキャリアであって、隣り合って設けられた複数の前記アウターリードのうちの少なくとも一部は、前記アウターリードが接続される被接合材に隣り合って設けられた複数の配線に対して、平行である平行配置から傾けて配置されている半導体装置用テープキャリアである。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様の半導体装置用テープキャリアにおいて、傾けて配置された前記アウターリードは、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から最大10°の角度で傾けて配置されている。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の半導体装置用テープキャリアにおいて、傾けて配置された複数の前記アウターリードは、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から最大10°までの、複数の異なる角度で傾けて配置されている。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかの半導体装置用テープキャリアおいて、傾けて配置された複数の前記アウターリードの、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から傾いた角度の分布が、隣り合って設けられた前記アウターリードの配列方向の中央部を対称の中心として、前記中央部の両側の前記アウターリードが対称的な角度分布となっている。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかの半導体装置用テープキャリアに
おいて、傾けて配置された複数の前記アウターリードの少なくとも一部は、互いに平行に配置されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、半導体装置用テープキャリアのアウターリードの累積寸法が変動しても、アウターリードが接続される被接合材の配線との接合面積を安定的に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る半導体装置用テープキャリアの一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアをディスプレイパネル接続に用いた一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る半導体装置用テープキャリアを製造する製造工程の一例を示す工程図である。
【図4】従来の半導体装置用テープキャリアのアウターリードと被接合材の配線との接合状態を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアのアウターリードと被接合材の配線との接合状態を説明する概略図である。
【図6】比較例の半導体装置用テープキャリアのアウターリードと被接合材の配線との、アウターリードの累積寸法変動による接合面積の変化を説明する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置用テープキャリアのアウターリードと被接合材の配線との、アウターリードの累積寸法変動による接合面積の変化を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る半導体装置用テープキャリアの実施形態を図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る半導体装置用テープキャリアであるCOFテープの断面図を示す。
COFテープ10は、図1に示すように、ポリイミド等からなる絶縁フィルム1上に配線2が形成されている。配線2の表面部は錫などのめっき3が施されている。配線2の表面は、インナーリード4及びアウターリード5の部分を除いて、ソルダーレジスト6で被覆され保護されている。
【0021】
図2は、図1のCOFテープ10を使用した一例を示す。
COFテープ10の中央部にはICドライバチップ20が実装され、COFテープ10の端部にはディスプレイパネル22、配線板23がそれぞれ接続されている。ICドライバチップ20は、ICドライバチップ20に形成された金などからなるバンプ21を介して、COFテープ10のインナーリード4に接合されている。ディスプレイパネル22の配線(端子部)24及び配線板23の配線(端子部)25は、異方性導電フィルム(ACF)26を介して、COFテープ10のアウターリード5にそれぞれ接続されている。
配線板23の配線25からの電気信号は、入力側のアウターリード5に入力され、COFテープ10の配線2を通じてICドライバチップ20等に伝達され、ICドライバチップ20からの出力信号や配線板23から入力された電気信号などは、出力側のアウターリード5に接続された配線24を介してディスプレイパネル22に供給される。
【0022】
上記COFテープ10の製造工程の一例を図3を用いて説明する。
まず、絶縁フィルム1上に銅箔等の導体層31が形成されたテープ基材を準備し(図3(a))、導体層31上に感光性レジスト32を塗布した後(図3(b))、感光性レジ
スト32を所望のパターンで露光して焼付け、感光性レジスト32を現像して、レジストパターン33を形成する(図3(c))。続いて、レジストパターン33でマスクされずに露出した導体層31をエッチングした後(図3(d))、導体層31上のレジスト32を除去することにより、所定パターンの配線2を形成する(図3(e))。更に、配線2の表面に錫などのめっき3を施した後(図3(f))、配線2上の所望のエリア(インナーリード及びアウターリードの部分を除く領域)をソルダーレジスト6でコートして作製される。
【0023】
上記COFテープ10の特徴は、アウターリード5が接続される被接合材、例えばディスプレイパネル22や配線板23に設けられた配線24,25に対する、アウターリード5の配置にある。即ち、従来のCOFテープなどのアウターリード41は、図4に示すように、被接合材の配線42に対して平行である平行配置であったが、本実施形態のアウターリード5は、被接合材上の配線24,25に対して平行な平行配置から傾けた配置となっている。
【0024】
図5に、アウターリード5の配置の一例を示す。
アウターリード51と被接合材の配線(端子部)52とは、図5に示すように、ともに長方形状であり、長方形状のアウターリード51の幅は、被接合材の配線52の幅より狭くなっている(なお、アウターリード51の幅は、配線52の幅と同じでも、広くてもよい)。アウターリード51と配線52とは、配線52の幅方向(図5の左右方向)に同一のピッチで設けられている。長方形状のアウターリード51の長辺は、長方形状の配線52の長辺に対して平行な平行配置の状態から傾いた傾斜配置となっている。図5の例では、6つのアウターリード51の全てが、対応する各配線52に対して傾けて設けられている。具体的には、長方形状のアウターリード51の長辺と、長方形状の配線52の長辺とのなす角は、図5の左端から右端までのアウターリード51において、それぞれθ1、θ2、…、θ6>0となっている。配線52に対するアウターリード51の平行配置から傾いた角度の分布は、アウターリード51の配列方向の中央部(図5では、左端から数えて3つ目のアウターリード51と4つ目のアウターリード51との間)を対称の中心として、この中央部の両側のアウターリード51が対称的な角度分布となっている。即ち、中央部の左側の3つのアウターリード51の傾き角度θ1〜θ3は、中央側から左端に向かって次第に大きくなり(θ1>θ2>θ3)、また、中央部の右側の3つのアウターリード51の傾き角度θ4〜θ6は、中央側から右端に向かって次第に大きくなっており(θ6>θ5>θ4)、θ1とθ6、θ2とθ5、θ3とθ4がそれぞれほぼ同一の角度となっている。
なお、図5では、左側の3つのアウターリード51は、配線52に対して平行な平行配置から時計方向にそれぞれの角度で回転させた状態に傾けられ、右側の3つのアウターリード51は、配線52に対して平行な平行配置から反時計方向にそれぞれの角度で回転させた状態に傾けられているが、全てのアウターリード51を同一方向に回転させた傾斜配置としてもよい。
【0025】
図5(a)は、全てのアウターリード51が設計通りに配設された所望の状態を示すもので、アウターリード51は、対応する各配線52の中央部に位置し、アウターリード51のほぼ全面が配線52に重なっていて、正常な接合状態にある。なお、図5においては、アウターリード51と配線52との上下関係は、配線52上にアウターリード51があり、また、視覚的に分かりやすいように、配線52とアウターリード51とが重なって接合される接合部分には、グレーの塗りを施している。
【0026】
図5(b)は、絶縁フィルムの加熱・吸湿などによって、絶縁フィルムが、図5(a)の所望の状態から、アウターリード51の配列方向の中央部を中心に左右両側に拡大して伸びたときの状態を示すものである。この絶縁フィルムの伸びに伴って、アウターリード
51の位置が、その配列方向の中央部を中心に左右両側にずれ、アウターリード51の累積ピッチ寸法が変化している。このように、アウターリード51の累積ピッチ寸法が変化すると、アウターリード51と配線52との接合面積(図5のグレー部分の面積)が減少する。
【0027】
累積ピッチ寸法の変化が大きくなると、配線52とアウターリード51との接合不良が発生する虞があるが、本実施形態では、図5に示すように、アウターリード51を被接合材の配線52に対して平行な平行配置から傾斜させ角度を持たせているため、アウターリード51の累積ピッチ寸法が変化しても、配線52との接合面積の減少を抑制することができる。従って、本実施形態のCOFテープでは、アウターリードの累積寸法公差が小さくても、被接合材の配線との接合面積が安定して得られる。また、被接合材である配線基板やディスプレイパネルと接合するアウターリードの累積寸法公差の許容度を広げることができる。
【0028】
上述したように、アウターリードは、被接合材の配線に対する平行配置から傾けて角度を持たせているが、この角度を大きく付け過ぎると、アウターリードが、対応する配線に隣接する配線とも導通してしまう虞があるので、絶縁フィルムの収縮率や製造プロセスを考慮した角度とする必要がある。具体的には、アウターリードを平行配置から傾ける角度は、最大で10°までとするのが好ましい。
複数のアウターリードを、図5に示すように、複数の異なる角度で傾けて配置する場合には、絶縁フィルムの伸縮によるアウターリードの位置ずれが大きな箇所ほど、アウターリードを傾ける角度を大きくするのが効果的である。一方、アウターリードの位置ずれが小さな箇所では、アウターリードを被接合材の配線に平行に設けてもよい。
また、アウターリードが被接合材の配線に対して角度を持っていれば、図5に示すように複数のアウターリードを複数の異なる角度で傾けずに、複数の全てのアウターリード(或いは一部のアウターリード)が互いに平行に配置されていてもよい。
更に、アウターリードや被接合材の配線の形状は、上記図5に示すような長方形状のものに限らず、また、アウターリード、被接合材の配線の幅やピッチなども、一定でなく変化させてもよい。
【0029】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、半導体装置用テープキャリアとして、COFテープについて説明したが、本発明の半導体装置用テープキャリアはCOFテープに限らず、デバイスホールに露出したインナーリードに半導体チップが接続されるTCP(Tape Carrier Package)用テープキャリアなどにも適用できる。
また、上記実施形態では、被接合材の配線を全て互いに平行に配置し、これら被接合材の配線に対してCOFテープ(半導体装置用テープキャリア)のアウターリードを傾けて配置したが、アウターリードを傾けるのではなく、被接合材の配線をアウターリードに対して傾けて配置してもよい。あるいは、アウターリードと対応する被接合材の配線とが平行配置から傾いていれば、アウターリードと対応する被接合材の配線とのいずれか一方または双方を傾けて角度をつけてもよい。また、COFテープのアウターリードの傾き角は、アウターリードや被接合材の配線の形状によって、アウターリードそれぞれの角度を変えてもよい。
【実施例】
【0030】
次に、本発明の実施例及びこれと比較するための比較例を説明する。
【0031】
(比較例)
図6に、比較例における半導体装置用テープキャリアのアウターリード61と被接合材の配線62との配置関係を示す。
図6に示すように、アウターリード61と配線62とは、同一の幅W、長さLを有する長方形状であり、アウターリード61は配線62に対して平行に配置されている。また、アウターリード61と配線62とは、同一のピッチP、全累積ピッチ寸法Aで設けられている。図6(a)は、全てのアウターリード61と配線62とが一致して重なった初期の状態であり、図6(b)は、アウターリード61の配列方向の中心Cを中心として、その両側の絶縁フィルムが収縮し、この絶縁フィルムの収縮によって、絶縁フィルム上のアウターリー61が中心Cに向かって位置ずれした状態である。なお、図6においては、アウターリード61と配線62との上下関係は、配線62上にアウターリード61があり、また、視覚的に分かりやすいように、配線62とアウターリード61とが重なって接合される接合部分には、グレーの塗りを施している(図7の実施例においても同様であり、アウターリード71と配線72とが重なって接合される接合部分には、グレーの塗りを施している) 。
例えば、W=0.01mm、長さL=0.1mm、ピッチP=0.03mm、全累積ピッ
チ寸法A=40mmの場合、アウターリード61と配線62との接合面積(図中のグレー部分の面積)が、図6(a)の初期の状態から50%まで減少するのは、アウターリード61の全累積ピッチ寸法Aが0.025%縮み(長さでは10μm縮み)、中心Cの片側
で0.005mm=5μm縮む時である。
【0032】
(実施例)
図7に、実施例における半導体装置用テープキャリアのアウターリード71と被接合材の配線72との配置関係を示す。
図7に示すように、配線72は、幅W、長さLの長方形状であり、幅Wの方向にピッチP、全累積ピッチ寸法Aで設けられている。アウターリード71は、長方形状である配線72の対向する2つの短辺を幅方向に互いに反対方向にそれぞれ元の位置からずれ寸法Dだけスライドさせた平行四辺形状であり、配線72の長辺に対してアウターリード71の長辺は角度θ傾いている。アウターリード71も、配線72と同一のピッチP、全累積ピッチ寸法Aで設けられている。
図7(a)は、全てのアウターリード71がそれぞれ対応する配線72の中央部に位置した初期の状態であり、図7(b)は、アウターリード71の配列方向の中心Cを中心として、その両側の絶縁フィルムが収縮し、この絶縁フィルムの収縮によって、絶縁フィルム上のアウターリー71が中心Cに向かって位置ずれした状態である。
例えば、W=0.01mm、長さL=0.1mm、ピッチP=0.03mm、全累積ピッ
チ寸法A=40mm、D=0.005mmの場合、アウターリード71と配線72との接
合面積が、図7(a)の初期の状態から50%まで減少するのは、アウターリード71の全累積ピッチ寸法Aが中心Cの片側で0.0063mm=6.3μm縮む時である。つまり、アウターリード71が形成された絶縁フィルムが、約0.032%の寸法変化をした時
である。
以上の実施例と比較例との比較から、同じ累積ピッチ寸法の変化がある時に、平行配置の比較例よりも傾斜配置の実施例の方が接合面積の低減率が小さくなることが分かる。
【符号の説明】
【0033】
1 絶縁フィルム
2 配線
3 めっき
4 インナーリード
5 アウターリード
6 ソルダーレジスト
10 COFテープ(半導体装置用テープキャリア)
20 ICドライバチップ
21 バンプ
22 ディスプレイパネル(被接合材)
23 配線板(被接合材)
24,25 配線
26 異方性導電フィルム
41,51,61,71 アウターリード
42,52,62,72 配線(被接合材側)
A 全累積ピッチ寸法
P ピッチ
W 幅
L 長さ
D ずれ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルムと、前記絶縁フィルム上にインナーリード及びアウターリードを含む配線とを有する半導体装置用テープキャリアであって、
隣り合って設けられた複数の前記アウターリードのうちの少なくとも一部は、前記アウターリードが接続される被接合材に隣り合って設けられた複数の配線に対して、平行である平行配置から傾けて配置されていることを特徴とする半導体装置用テープキャリア。
【請求項2】
傾けて配置された前記アウターリードは、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から最大10°の角度で傾けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項3】
傾けて配置された複数の前記アウターリードは、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から最大10°までの、複数の異なる角度で傾けて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項4】
傾けて配置された複数の前記アウターリードの、前記被接合材の前記配線に対する平行配置から傾いた角度の分布が、隣り合って設けられた前記アウターリードの配列方向の中央部を対称の中心として、前記中央部の両側の前記アウターリードが対称的な角度分布となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項5】
傾けて配置された複数の前記アウターリードの少なくとも一部は、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−15469(P2012−15469A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153454(P2010−153454)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】