説明

半導体装置

【課題】ゲート抵抗の増大を抑制しつつ、外部ウェルがトレンチゲート電極によってセル領域のウェルから分断されてしまうことを抑制する。
【解決手段】埋込ゲート電極140のうち平面視でゲートコンタクト領域102と重なる方向に延伸している埋込ゲート電極142は、ゲート電極310と重ならないように、ゲート電極310の手前までしか延伸していない。また埋込ゲート電極142の相互間に位置するソースコンタクトは、図中上下方向において、埋込ゲート電極142よりも短く形成されている。そして埋込ゲート電極142のうちゲート電極310側の端部は、ゲート電極310の手前に設けられた接続用埋込電極141によって互いに接続されている。接続用埋込電極141は、半導体装置の長辺と平行な方向に延伸している。接続用埋込電極141は、埋込ゲート電極142の隣に位置する埋込ゲート電極144には接続していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチゲート電極を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高耐圧の半導体装置の一つに、トレンチゲート電極を有する半導体装置、例えば縦型のMOSFETやIGBTがある。このよう半導体装置に求められる特性の一つに、オン抵抗が低いことがある。オン抵抗を低くする方法の一つに、半導体装置の微細化を進めることがある。しかし近年は、微細化に伴ってゲート電極の相互間隔が小さくなり、ゲート電極の寄生容量が増加することが問題になっている。このため、近年は、FOM(Figure of Merit)すなわち(オン抵抗)×(ゲート電極の寄生容量)が、トレンチゲート電極を有する半導体装置の性能を示す指標の一つとして用いられるようになっている。
【0003】
FOMを改善する技術の一つに、半導体装置の耐圧を確保する構造を導入することにより、エピタキシャル層の不純物濃度を上げて低抵抗化することで、オン抵抗を下げる方法がある。例えば非特許文献1には、トレンチを深くして、このトレンチの内部に厚い酸化膜を形成することにより、半導体装置の耐圧を確保する方法が開示されている。また非特許文献2には、pn接合を用いることにより半導体装置の耐圧を確保する方法が開示されている。特許文献1には、セル領域に隣接する周辺領域までウェルを伸ばすことにより、半導体装置の耐圧の低下を防止することができる、と記載されている。
【0004】
なお、特許文献2には、トレンチの平面レイアウトの角部を略円弧状にすることにより、ゲート絶縁膜にかかる電界強度が局地的に大きくなることを防止することができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−32951号公報
【特許文献2】特開2001−217419号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】P. Goarinら, Proceedings of the 19th International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs, 2007, pp. 61-64.
【非特許文献2】Y. Kawashimaら, Proceedings of the 22nd International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs, 2010, pp. 329-332.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セル領域を取り囲む外周部にエピタキシャル層と逆導電型の不純物層(すなわちセル領域のウェルと同様の構造の不純物層)を設けると、この不純物領域とエピタキシャル層のpn接合が形成されるため、外周部における耐圧を確保することができる。しかし、トレンチゲート電極は上記した不純物領域(外部ウェル)よりも深く形成されるため、外部ウェルがトレンチゲート電極によってセル領域のウェルから分断されてフローティングになってしまう。これを防止するためには、トレンチゲート電極の平面レイアウトを工夫する必要がある。一方、トレンチゲート電極は長く引き回されるため、平面レイアウトによってはゲート抵抗が増大してしまう。
【0008】
従って、ゲート抵抗の増大を抑制しつつ、外部ウェルがトレンチゲート電極によってセル領域のウェルから分断されてしまうことを抑制するように、トレンチゲート電極の平面レイアウトを工夫する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表層に形成された第2導電型不純物層と、
前記第2導電型不純物層の表層のうち縁を除いた領域に形成された第1導電型不純物層と、
平面視で前記第1導電型不純物層が内側に凹むことにより形成されたゲートコンタクト領域と、
前記第2導電型不純物層のうち前記第1導電型不純物層が形成されていない領域上に、絶縁層を介して少なくとも一部が形成され、前記第1導電型不純物層を囲んでおり、平面視で前記ゲートコンタクト領域と重なる部分が内側に突出している上部ゲート電極と、
前記半導体層のうち前記第1導電型不純物層が形成されている領域に形成され、前記第2導電型不純物層より深く前記半導体層に埋め込まれており、第1の方向に沿って互いに平行に延伸しており、両端がそれぞれ前記第1導電型不純物層からはみ出すことにより前記上部ゲート電極に接続している複数の第1埋込ゲート電極と、
前記上部ゲート電極と重なる位置で、前記半導体層に、前記第1埋込ゲート電極と同じ深さに埋め込まれており、前記複数の第1埋込ゲート電極の端部を互いに接続する接続用埋込電極と、
前記第1導電型不純物層より深く、かつ前記第2導電型不純物層の底部より浅く前記半導体層に埋め込まれており、前記複数の第1埋込ゲート電極の相互間に位置しているソースコンタクトと、
を備え、
平面視で、
前記ゲートコンタクト領域に位置する前記上部ゲート電極と重なる方向に延伸している前記複数の第1埋込ゲート電極の少なくとも一部は、端部が前記ゲートコンタクト領域の縁上に位置しており、当該端部が第1の前記接続用埋込電極によって互いに接続されており、
前記第1の接続用埋込電極は、端部が前記第1の接続用埋込電極によって互いに接続されている前記複数の第1埋込ゲート電極の隣に位置する前記第1埋込ゲート電極であるコンタクト側第1埋込ゲート電極には、接続していない半導体装置が提供される。
【0010】
本発明において、ゲートコンタクト領域に位置する第2導電型不純物層と半導体層の間でpn接合が形成されるため、第1導電型不純物層の外周部において縦方向の耐圧を確保することができる。またゲートコンタクト領域の近傍において第1埋込ゲート電極の端部は第1の接続用埋込電極によって互いに接続されているが、第1の接続用埋込電極はコンタクト側第1埋込ゲート電極には、接続していない。このため、ゲートコンタクト領域に位置する第2導電型不純物層は、コンタクト側第1埋込ゲート電極とその隣に位置する第1埋込ゲート電極の間の部分で、第1導電型不純物層が形成されている領域に位置する第2導電型不純物層に接続することができる。第1導電型不純物層が形成されている領域に位置する第2導電型不純物層は、ソースコンタクトによって所定の電位が与えられている。このため、ゲートコンタクト領域に位置する第2導電型不純物層がフローティングになることを防止できる。
【0011】
また、端部がゲートコンタクト領域の縁上に位置している第1埋込ゲート電極は、第1の接続用埋込電極によって互いに接続されているため、ゲート抵抗が増大することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゲート抵抗の増大を抑制しつつ、外部ウェルがトレンチゲート電極によってセル領域のウェルから分断されてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図2】第2導電型不純物層及び外周不純物層のレイアウトを示す平面図である。
【図3】図1の領域αにおける埋込ゲート電極のレイアウトを示す平面拡大図である。
【図4】図3のA−A´断面図である。
【図5】図1〜図4に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図1〜図4に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図1〜図4に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】比較例に係る半導体装置の平面拡大図である。
【図9】第2の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す平面拡大図である。
【図10】図9のA−A´断面図である。
【図11】第3の実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【図12】第4の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す平面拡大図である。
【図13】第5の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図14】図13に示した半導体装置の平面拡大図である。
【図15】第6の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図2は、図1に示した半導体装置が有する第2導電型不純物層120及び外周不純物層122のレイアウトを示す平面図である。図3は図1及び図2において点線で示した領域αにおける埋込ゲート電極140のレイアウトを示す平面拡大図である。図4は、図3のA−A´断面図である。
【0016】
本実施形態にかかる半導体装置は、半導体基板100、半導体層110、第2導電型不純物層120、第1導電型不純物層150、ゲートコンタクト領域102、上部ゲート電極160、複数の埋込ゲート電極140、接続用埋込電極141,143、及びソースコンタクト220を備えている。半導体層110は、図4に示すように半導体基板100上に形成されており、第1導電型(例えばn型)を有している。第2導電型不純物層120は、図4に示すように半導体層110の表層に形成されており、例えばp型を有している。第1導電型不純物層150は、図2及び図4に示すように、第2導電型不純物層120の表層のうち縁を除いた領域に形成されている。ゲートコンタクト領域102は、図4に示すように、平面視で第1導電型不純物層150が内側に凹むことにより形成されている。上部ゲート電極160は、図1及び図4に示すように、少なくとも一部が、第2導電型不純物層120のうち第1導電型不純物層150が形成されていない領域上に、絶縁層162を介して形成されている。上部ゲート電極160は、第1導電型不純物層150を囲んでおり、平面視でゲートコンタクト領域102と重なる部分が内側に突出している。埋込ゲート電極140は、図4に示すように半導体層110のうち第1導電型不純物層150が形成されている領域に形成されており、第2導電型不純物層120より深く半導体層110に埋め込まれている。埋込ゲート電極140は、図1,2,3に示すように、第1の方向(図中上下方向)に沿って互いに平行に延伸しており、両端がそれぞれ第1導電型不純物層150からはみ出すことにより上部ゲート電極160に接続している。接続用埋込電極141,143は、上部ゲート電極160と重なる位置で、半導体層110に、埋込ゲート電極140と同じ深さに埋め込まれており、複数の埋込ゲート電極140の端部を互いに接続している。ソースコンタクト220は、半導体層110に、第1導電型不純物層150より深く、かつ第2導電型不純物層120の底部より浅く埋め込まれており、複数の埋込ゲート電極140の相互間に位置している。そして平面視で、ゲートコンタクト領域102に位置する上部ゲート電極160と重なる方向に延伸している複数の埋込ゲート電極142の少なくとも一部は、端部がゲートコンタクト領域102の縁上に位置しており、当該端部が第1の接続用埋込電極141によって互いに接続されている。また接続用埋込電極141は、端部が接続用埋込電極141によって互いに接続されている複数の埋込ゲート電極142の隣に位置する埋込ゲート電極140である埋込ゲート電極144には、接続していない。以下、詳細に説明する。
【0017】
本実施形態において、半導体装置は縦型のMOSトランジスタを有している。半導体基板100は第1導電型(例えばn型)である。そして半導体層110は、半導体基板100上にエピタキシャル成長することにより形成されており、MOSトランジスタのドレインとして機能する。半導体基板100のうち半導体層110が形成されていない面には、ドレイン電極330が全面に設けられている。第2導電型不純物層120は、外周不純物層122となる領域を除いて、MOSトランジスタのウェルとして機能する。第1導電型不純物層150は、MOSトランジスタのソースとして機能する。第1導電型不純物層150及び第2導電型不純物層120は、ソースコンタクト220によって定電位、例えばグラウンド電位が与えられている。なおソースコンタクト220は、上端が図1及び図4に示すソース電極320に接続している。
【0018】
埋込ゲート電極140は、図4に示すように、半導体層110に形成されたトレンチに埋め込まれている。このトレンチの内周面及び底面には、ゲート絶縁膜130が形成されている。埋込ゲート電極140は、半導体層110に、第2導電型不純物層120より深く埋め込まれている。このため、第2導電型不純物層120は、半導体層110により分断される。そして第2導電型不純物層120のうち最も外側の埋込ゲート電極140よりも外側に位置する領域の一部は、外周不純物層122となっている。図1及び図2に示す例では、半導体装置の平面形状は矩形である。そして外周不純物層122は、半導体装置の縁に沿って、第1導電型不純物層150を囲むように形成されている。
【0019】
平面視において第1導電型不純物層150の外周部は、一部が内側に凹んでいる。そしてこの凹んでいる部分が、ゲートコンタクト領域102となっている。図1及び図2に示す例において、ゲートコンタクト領域102は、平面視で半導体装置の短辺の略中央部に形成されている。ゲートコンタクト領域102には、上部ゲート電極160の一部及びゲート電極310が設けられている。ゲート電極310は、上部ゲート電極160のうちゲートコンタクト領域102に位置する部分に接している。また上部ゲート電極160は、半導体装置の4辺に沿って設けられている。上部ゲート電極160のうち半導体装置の長辺に沿って延伸している部分は、埋込ゲート電極140に接続している。このため、ゲート電極310は、上部ゲート電極160を介して埋込ゲート電極140に接続している。
【0020】
図1,2,3に示すように、埋込ゲート電極140は、平面視で、半導体装置の短辺と平行な方向に、半導体装置の一方の長辺の近傍から他方の長辺の近傍まで延伸している。そして埋込ゲート電極140の端部は、半導体装置の長辺の近傍で上部ゲート電極160に接続している。また、半導体装置の長辺の近傍には、接続用埋込電極143が上部ゲート電極160と重なるように、半導体装置の長辺と平行に延伸している。そして埋込ゲート電極140の端部は接続用埋込電極143によって互いに接続している。
【0021】
埋込ゲート電極140は一定の間隔で複数互いに平行に設けられているが、埋込ゲート電極140のうち平面視でゲートコンタクト領域102と重なる方向に延伸している埋込ゲート電極142は、ゲート電極310と重ならないように、ゲート電極310の手前までしか延伸していない。また埋込ゲート電極142の相互間に位置するソースコンタクト222は、図中上下方向において、埋込ゲート電極142よりも短く形成されている。そして埋込ゲート電極142のうちゲート電極310側の端部は、ゲート電極310の手前に設けられた接続用埋込電極141によって互いに接続されている。接続用埋込電極141は、半導体装置の長辺と平行な方向に延伸している。なお接続用埋込電極141及び埋込ゲート電極142の端部は、上部ゲート電極160と重なっている。
【0022】
そして、接続用埋込電極141は、埋込ゲート電極142の隣に位置する埋込ゲート電極144には接続していない。このため、図3に示すように、外周不純物層122は、埋込ゲート電極142と埋込ゲート電極144の間の部分で第2導電型不純物層120に接続している。なお、埋込ゲート電極142と埋込ゲート電極144の間にもソースコンタクト222が設けられている。このため、外周不純物層122は、埋込ゲート電極142と埋込ゲート電極144の間に位置する第2導電型不純物層120を介してソースコンタクト222に接続する。
【0023】
図5、図6、及び図7は、図1〜図4に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず、図5に示すように、半導体基板100に半導体層110をエピタキシャル成長させる。次いで、マスクパターン(図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして半導体層110に第2導電型の不純物を注入する。これにより、外周不純物層122が形成される。次いで、半導体層110に埋込ゲート電極140を形成するためのトレンチを形成する。次いで、半導体層110の表面を熱酸化する。これにより、ゲート絶縁膜130及び絶縁層162が形成される。次いで、絶縁層162上及びトレンチ内に、導電膜170、例えばポリシリコン膜を形成する。
【0024】
次いで図6に示すように、導電膜170を選択的に除去する。これにより、上部ゲート電極160及び埋込ゲート電極140(埋込ゲート電極142,144等を含む)が形成される。次いで、上部ゲート電極160をマスクとして半導体層110に第2導電型の不純物を注入する。これにより、第2導電型不純物層120が形成される。また、第2導電型不純物層120上にマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとして、第1導電型の不純物を第2導電型不純物層120に注入する。これにより、第1導電型不純物層150が形成される。そしていずれかのタイミングで、注入した不純物を活性化させるための熱処理を行う。なお、第2導電型不純物層120及び外周不純物層122の不純物は、熱処理時に拡散するため、第2導電型不純物層120と外周不純物層122は互いにつながる。ここで外周不純物層122を形成するときに、平面視で外周不純物層122が上部ゲート電極160から第2導電型不純物層120側に向けて食み出すように形成しておくと、第2導電型不純物層120と外周不純物層122が確実につながる。
【0025】
次いで図7に示すように、上部ゲート電極160上及び半導体層110上に層間絶縁膜200を形成する。次いで層間絶縁膜200を選択的に除去することにより孔を形成し、この孔内に導電体を埋め込む。これにより、ゲートコンタクト210及びソースコンタクト220が形成される。その後、層間絶縁膜200上にゲート電極310及びソース電極320を形成する。
【0026】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。上記したように、接続用埋込電極141は、埋込ゲート電極142の隣に位置する埋込ゲート電極144には接続していない。このため、外周不純物層122は、埋込ゲート電極142と埋込ゲート電極144の間に位置する第2導電型不純物層120を介してソースコンタクト222に接続する。また、ソースコンタクト222はソース電極320を介して、ソースコンタクト220に接続されているため、外周不純物層122がフローティング状態になることを防止できる。
【0027】
また、接続用埋込電極141が埋込ゲート電極142を互いに接続しているため、埋込ゲート電極140が埋込ゲート電極142の部分でゲート抵抗が高くなることを抑制できる。
【0028】
この効果を、図8に示す比較例を用いて説明する。図8に示す比較例では、接続用埋込電極141は、途中で分断されており、一部の埋込ゲート電極142同士を接続していない。その代わりに、接続用埋込電極141は埋込ゲート電極144に接続している。このような場合、外周不純物層122は、接続用埋込電極141が分断されている部分で第2導電型不純物層120に接続するため、フローティング状態にはならない。しかし、接続用埋込電極141が途中で分断されているため、埋込ゲート電極142のゲート抵抗は高くなってしまう。これに対して本実施形態では、接続用埋込電極141が埋込ゲート電極142の全てを互いに接続しているため、埋込ゲート電極142のゲート抵抗が高くなることを抑制できる。
【0029】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す平面拡大図であり、第1の実施形態における図3に対応している。図10は図9のA−A´断面図である。本実施形態にかかる半導体装置は、以下の点を除いて第1の実施形態にかかる半導体装置と同様の構成である。
【0030】
まず、埋込ゲート電極142の隣に位置している埋込ゲート電極144は、埋込ゲート電極142と同じ長さを有しており、端部の位置が、図中上下方向において埋込ゲート電極142と同じである。そして埋込ゲート電極144の端部は、接続用埋込電極141に接続している。
【0031】
また、ソースコンタクト220のうち、埋込ゲート電極144とその隣に位置する埋込ゲート電極145の間を延伸しているソースコンタクト222は、上部ゲート電極160のうちゲートコンタクト領域102に位置する部分と、埋込ゲート電極145の間も延伸している。
【0032】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ソースコンタクト222は、上部ゲート電極160のうちゲートコンタクト領域102に位置する部分と、埋込ゲート電極145の間も延伸しているが、ソースコンタクト222と外周不純物層122の間には、埋込ゲート電極144が形成されていない。従って、ソースコンタクト220のうち外周不純物層122に接続する部分(すなわちソースコンタクト222)から、外周不純物層122までの距離が短くなるため、ソースコンタクト222と外周不純物層122の間で電圧がロスすることを抑制できる。
【0033】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、第1の実施形態における図1に対応している。本実施形態にかかる半導体装置は、ゲートコンタクト領域102が半導体装置の角部に位置している点を除いて、第1又は第2の実施形態にかかる半導体装置と同様の構成である。なお図11では、第1の実施形態と同様の場合を示している。
本実施形態によっても、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、最終製品へのパッケージングに際して、リードフレーム(図のチップ上方に位置)からゲートパッドへの接続に要するワイヤ長も短くなる。
【0034】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す平面拡大図であり、第1の実施形態における図3に対応している。本実施形態に係る半導体装置は、以下の点を除いて、第1〜第3の実施形態のいずれかと同様である。なお図12では、第1の実施形態と同様の場合を示している。
【0035】
まず、埋込ゲート電極140は、格子を構成するように網目状に形成されている。すなわち埋込ゲート電極140は、図中上下方向のみではなく、図中横方向にも形成されている。このため、隣り合う埋込ゲート電極140が互いに接続している。
【0036】
そしてソースコンタクト220は、埋込ゲート電極140が形成している各格子の中に配置されている。なお、ソースコンタクト220のうちゲートコンタクト領域102に隣接していてかつ埋込ゲート電極144に最も近いソースコンタクト224と、外周不純物層122の間には、埋込ゲート電極140は形成されていない。
【0037】
本実施形態によっても、ソースコンタクト224が第2導電型不純物層120を介して外周不純物層122に接続しているため、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また埋込ゲート電極140を格子状に形成したため、埋込ゲート電極140のゲート抵抗を低くすることができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態にかかる半導体装置の断面図であり、第1の実施形態における図4に相当している。図14は、図13に示した半導体装置の平面拡大図である。本実施形態にかかる半導体装置は、複数の第2導電型埋込層124を備えている点を除いて、第1〜第4の実施形態のいずれかと同様である。
【0039】
複数の第2導電型埋込層124は、半導体層110に形成されている。第2導電型埋込層124は、上端が第2導電型不純物層120又は外周不純物層122に接続しており、また互いに離間して配置されている。本図に示す例では、第2導電型埋込層124は格子の各頂点に位置するように配置されている。また一部の第2導電型埋込層124は、平面視でソースコンタクト220と重なっており、他の第2導電型埋込層124は、平面視で外周不純物層122と重なっている。本実施形態において、第2導電型埋込層124の配置間隔は、いずれの領域においても互いに同じであるが、このようにしなくてもよい。
【0040】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、半導体層110のうち第2導電型不純物層120よりも深い位置に、第2導電型埋込層124を形成している。第2導電型埋込層124は半導体層110との間でpn接合を形成しているが、このpn接合により、ドレイン電極330とソース電極320の間の耐圧が向上する。従って、半導体層110の不純物濃度を上げて、半導体装置のオン抵抗を低抵抗化することができる。
【0041】
(第6の実施形態)
図15は、第6の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図であり、第1の実施形態における図4に相当している。本実施形態にかかる半導体装置は、第1導電型の半導体基板100の代わりに第2導電型の半導体基板101が用いられている点を除いて、第1〜第5の実施形態のいずれかと同様の構成である。すなわち本実施形態にかかる半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)として機能する。
本実施形態によっても、第1〜第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
100 半導体基板
101 半導体基板
102 ゲートコンタクト領域
110 半導体層
120 第2導電型不純物層
122 外周不純物層
124 第2導電型埋込層
130 ゲート絶縁膜
140 埋込ゲート電極
141 接続用埋込電極
142 埋込ゲート電極
143 接続用埋込電極
144 埋込ゲート電極
145 埋込ゲート電極
150 第1導電型不純物層
160 上部ゲート電極
162 絶縁層
170 導電膜
200 層間絶縁膜
220 ソースコンタクト
222 ソースコンタクト
224 ソースコンタクト
310 ゲート電極
320 ソース電極
330 ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表層に形成された第2導電型不純物層と、
前記第2導電型不純物層の表層のうち縁を除いた領域に形成された第1導電型不純物層、
平面視で前記第1導電型不純物層が内側に凹むことにより形成されたゲートコンタクト領域と、
前記第2導電型不純物層のうち前記第1導電型不純物層が形成されていない領域上に、絶縁層を介して少なくとも一部が形成され、前記第1導電型不純物層を囲んでおり、平面視で前記ゲートコンタクト領域と重なる部分が内側に突出している上部ゲート電極と、
前記半導体層のうち前記第1導電型不純物層が形成されている領域に形成され、前記第2導電型不純物層より深く前記半導体層に埋め込まれており、第1の方向に沿って互いに平行に延伸しており、両端がそれぞれ前記第1導電型不純物層からはみ出すことにより前記上部ゲート電極に接続している複数の第1埋込ゲート電極と、
前記上部ゲート電極と重なる位置で、前記半導体層に、前記第1埋込ゲート電極と同じ深さに埋め込まれており、前記複数の第1埋込ゲート電極の端部を互いに接続する接続用埋込電極と、
前記第1導電型不純物層より深く、かつ前記第2導電型不純物層の底部より浅く前記半導体層に埋め込まれており、前記複数の第1埋込ゲート電極の相互間に位置しているソースコンタクトと、
を備え、
平面視で、
前記ゲートコンタクト領域に位置する前記上部ゲート電極と重なる方向に延伸している前記複数の第1埋込ゲート電極の少なくとも一部は、端部が前記ゲートコンタクト領域の縁上に位置しており、当該端部が第1の前記接続用埋込電極によって互いに接続されており、
前記第1の接続用埋込電極は、端部が前記第1の接続用埋込電極によって互いに接続されている前記複数の第1埋込ゲート電極の隣に位置する前記第1埋込ゲート電極であるコンタクト側第1埋込ゲート電極には、接続していない半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視で、前記上部ゲート電極のうち前記ゲートコンタクト領域に位置する部分の横を通る方向に延伸する前記第1埋込ゲート電極であるコンタクト側第1埋込ゲート電極は、端部が、第1の方向において第1の前記接続用埋込電極と同じ位置に位置しており、かつ前記第1の接続用埋込電極に接続されている半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記コンタクト側第1埋込ゲート電極は、前記上部ゲート電極のうち前記ゲートコンタクト領域に位置する部分の隣を延伸しており、
前記上部ゲート電極のうち前記ゲートコンタクト領域に位置する部分と、前記コンタクト側第1埋込ゲート電極の間には、前記ソースコンタクトが形成されている半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記第1の方向に直交する方向に延伸しており、前記複数の第1埋込ゲート電極をそれぞれ隣の前記第1埋込ゲート電極に接続する第2埋込ゲート電極を備える半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記半導体層に形成され、上端が前記第2導電型不純物層に接続し、互いに離間して配置された複数の第2導電型埋込層を備える半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記半導体基板は第1導電型である半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記半導体基板は第2導電型である半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−89701(P2012−89701A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235632(P2010−235632)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】