説明

半導体装置

【課題】半導体素子の最高温部の温度を測定可能な半導体装置を提供すること。
【解決手段】本半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子と接するように設けられ、前記半導体素子の温度を検出する温度検出素子と、前記半導体素子の一方の面に第1の接合部を介して接合される放熱板と、前記半導体素子の他方の面に第2の接合部を介して接合される金属板と、を有し、前記金属板から前記放熱板に至る何れかの位置であって、前記温度検出素子と平面視において重複する位置に、前記金属板及び前記放熱板よりも熱伝導率の低い低熱伝導部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の温度を検出する温度検出素子を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の温度を検出する温度検出素子を備えた半導体装置が知られている。例えば、パワー半導体素子であるIGBTの表面中央部及び表面周辺部の2箇所にダイオードを取り付けてそれらの温度を検出し、温度勾配監視手段が表面中央部の温度と表面周辺部の温度との温度勾配(温度差)を監視する半導体装置が知られている。
【0003】
この半導体装置では、動作状態検出手段がIGBTの動作状態、すなわち、オン状態かオフ状態かを検出し、素子電流検出手段がIGBTの大電流動作を検出する。そして、寿命推定手段は、動作状態検出手段がIGBTのオン状態を検出し、素子電流検出手段がIGBTの大電流動作を検出しているときだけ、温度勾配監視手段の監視結果に基づいた寿命の推定を行う。これにより、寿命推定時に、他のパワー半導体素子からの熱の影響による誤認識を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−023569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記半導体装置では、2つのダイオードを用いて温度検出しているが、半導体素子の温度は場所により異なるため、半導体素子の最高温部の温度を正しく測定できるとは限らない。半導体素子の最高温部の温度を正しく測定できないと、寿命推定の精度が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、半導体素子の最高温部の温度を測定可能な半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子と接するように設けられ、前記半導体素子の温度を検出する温度検出素子と、前記半導体素子の一方の面に第1の接合部を介して接合される放熱板と、前記半導体素子の他方の面に第2の接合部を介して接合される金属板と、を有し、前記金属板から前記放熱板に至る何れかの位置であって、前記温度検出素子と平面視において重複する位置に、前記金属板及び前記放熱板よりも熱伝導率の低い低熱伝導部を設けたことを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、半導体素子の最高温部の温度を測定可能な半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図2】比較例に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置において、半導体素子の動作時の温度の一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図1を参照するに、半導体装置10は、大略すると、半導体素子11と、接合部12と、放熱板13と、接合部14と、ブロック電極15と、低熱伝導部16と、接合部17と、放熱板18と、封止樹脂19とを有する。
【0012】
半導体装置10において、半導体素子11は、例えば、車両に搭載されるインバータ回路や昇降圧コンバータ回路の一部を構成する部品である。より詳しくは、半導体素子11は、例えば、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)やMOSFET(Metal oxide semiconductor field‐effect transistor)のようなスイッチング素子である。又、半導体素子11は、例えば、IGBTと、IGBTのエミッタとコレクタとの間に接続される還流用のダイオードを含んだ素子等であってもよい。
【0013】
以降、半導体素子11がIGBTである場合を例に説明を行う。又、搭載状態に応じて上下方向が異なるが、便宜上、放熱板13側を下方として説明を行う。従って、半導体装置10を図1のように視た場合の各構成部品の上側の面を上面、下側の面を下面という(他の実施の形態についても同様)。
【0014】
半導体素子11は、例えば、平面形状が矩形の薄板状とすることができる。半導体素子11の下面(放熱板13側の面)には、例えばコレクタ電極(図示せず)が露出している。半導体素子11の下面に露出するコレクタ電極(図示せず)は、接合部12を介して、放熱板13の上面に接合されている。なお、接合部12は、本発明に係る第1の接合部の代表的な一例である。
【0015】
半導体素子11の上面(放熱板18側の面)には、例えばエミッタ電極(図示せず)が露出している。半導体素子11の上面に露出するエミッタ電極(図示せず)は、接合部14を介して、ブロック電極15の下面に接合されている。なお、接合部14は、本発明に係る第2の接合部の代表的な一例である。
【0016】
又、半導体素子11の上面に露出するゲート電極(図示せず)は、金や銅等からなる導電性の細線であるボンディングワイヤ(図示せず)を介して、配線部材(図示せず)に接合されている。配線部材(図示せず)は、例えば、放熱板13と共に1つのリードフレームから形成されており、一端が封止樹脂19から露出している。封止樹脂19から露出している配線部材の一端(図示せず)は、外部接続端子として機能する。
【0017】
平面視において、半導体素子11の上面側の中央部には、半導体素子11と接するように温度検出素子11aが設けられている。温度検出素子11aは、例えば、ダイオードであり、半導体素子11の温度を検出する機能を有する。但し、温度検出素子11aは、半導体素子11に内蔵されてもよいし、半導体素子11の上面又は下面に設けられてもよい。
【0018】
放熱板13及び18は、半導体素子11等を介して、互いに対向するように配置されている。放熱板13及び18は、半導体素子11が動作時に発する熱を、半導体装置10の外部に放出する機能を有する。放熱板13及び18の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、アルミニウム(Al)等の熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属を用いることができる。放熱板13及び18のそれぞれの厚さは、例えば、2mm程度とすることができる。
【0019】
放熱板18の下面側には、凹部18xが形成されている。凹部18xは、ブロック電極15と放熱板18とを接合部17を介して接合する際に、溶融した接合部17が放熱板18の下面に必要以上に濡れ広がらないように形成されている。つまり、溶融した接合部17のうち余剰な部分は、凹部18xに収容される。
【0020】
接合部12、14、及び17としては、例えば、Sn−Ag等のはんだ材料を用いることができる。接合部12、14、及び17として、例えば、銀(Ag)ペースト等を用いても構わない。
【0021】
なお、接合部12、14、及び17は、必ずしも同一材料を用いなくてもよい。例えば、半導体装置10の製造工程上、最初に溶融する接合部よりも後に溶融する接合部に、より低融点のはんだ材料を用いてもよい。例えば、半導体装置10の製造工程上、最初に溶融する接合部にはSn−Ag(融点220℃程度)を用い、後に溶融する接合部にはSn−Agよりも低融点であるSn−Bi(融点139℃程度)を用いることができる。
【0022】
なお、接合部12、14、及び17のそれぞれの厚さは、例えば、0.2mm程度であるため、これらのみによりボンディングワイヤ(図示せず)等を配置する高さを確保することは困難である。そのため、ボンディングワイヤ(図示せず)等を配置する高さを確保するためのスペーサとしての機能を有するブロック電極15が配置されている。
【0023】
ブロック電極15の上面は、接合部17を介して、放熱板18の下面に接合されている。ブロック電極15の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、アルミニウム(Al)等の熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属を用いることができる。ブロック電極15の厚さは、例えば、1mm程度とすることができる。なお、ブロック電極15は、本発明に係る金属板の代表的な一例である。
【0024】
ブロック電極15の下面側には、低熱伝導部16が設けられている。低熱伝導部16は、ブロック電極15の下面に設けられた凹部に接合部14を構成する材料が充填された構造である。低熱伝導部16に充填される材料(接合部14を構成する材料)は、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い。
【0025】
凹部の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は、例えば1mm程度とすることができる。凹部の深さは、例えば、0.5mm程度とすることができる。但し、凹部の平面形状は、円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。低熱伝導部16は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に形成されている。低熱伝導部16は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に、複数個形成してもよい。低熱伝導部16の有する特有の効果については、後述する。
【0026】
半導体素子11、接合部12、放熱板13、接合部14、ブロック電極15、低熱伝導部16、接合部17、及び放熱板18は、封止樹脂19により封止されている。封止樹脂19としては、例えば、エポキシ系絶縁樹脂等を用いることができる。封止樹脂19は、フィラーを含有しても構わない。
【0027】
但し、放熱板13の下面(放熱面)及び放熱板18の上面(放熱面)は、半導体素子11が動作時に発する熱を、半導体装置10の外部に放出するため、封止樹脂19から露出している。又、放熱板13の側面の一部及び放熱板18の側面の一部は突出しており、封止樹脂19から露出している(図示せず)。封止樹脂19から露出している放熱板13及び18の側面の突出部(図示せず)は、外部接続端子として機能する。
【0028】
ここで、比較例を示しながら、低熱伝導部16の有する特有の効果について説明する。図2は、比較例に係る半導体装置を例示する断面図である。図2(a)は断面図であり、図2(b)は半導体素子の動作時の温度の一例を示す図である。
【0029】
図2を参照するに、比較例に係る半導体装置10xは、低熱伝導部16が形成されていない点を除いて、第1の実施の形態に係る半導体装置10と同様の構造である。半導体装置10xにおいて、ブロック電極15の平面形状は半導体素子11のサイズよりも小さいので、半導体素子11の外縁部(ブロック電極15と接していない部分)では放熱性能が低い。
【0030】
このため、図2(b)に示すように、温度検出素子11aが配置されている半導体素子11の中央部の温度よりも半導体素子11の外縁部の温度が高くなる場合がある。この場合、温度検出素子11aの検出した半導体素子11の中央部の温度を補正して、半導体素子11の外縁部の温度を推定する必要があり、温度検出の精度が低下する虞がある。
【0031】
なお、ブロック電極15の平面形状が半導体素子11のサイズよりも小さい理由は、ブロック電極15は半導体素子11の上面に露出するエミッタ電極に接合されるが、エミッタ電極は半導体素子11の上面外縁部には形成されていないためである。
【0032】
このように、ブロック電極15の平面形状が半導体素子11のサイズよりも小さいため、半導体素子11の外縁部の放熱性能が低下するが、これ以外にも、以下の要因により、半導体素子11の放熱性能が部分的に低下する虞がある。
【0033】
すなわち、第1に、接合部12や14にボイドが存在すると、ボイドが存在する領域の放熱性能が低下するため、ボイドが存在する領域に対応する部分の半導体素子11の温度が上昇する虞がある。
【0034】
第2に、ブロック電極15が半導体素子11の上面のエミッタ電極(図示せず)に対してずれて実装されると、接合部14を介してブロック電極15と接していない部分のエミッタ電極(図示せず)での放熱性能が低下し、半導体素子11の外縁部の温度が上昇する虞がある。
【0035】
第3に、半導体装置10xが半導体素子11に加えて他の半導体素子を有する場合、半導体装置10xのサイズを小さくするために、半導体素子11と他の半導体素子との間隔が狭く設定される場合が多い。このような場合に、半導体素子11及び他の半導体素子がそれぞれ発熱し、両者の熱干渉により、半導体素子11及び他の半導体素子のそれぞれの外縁部の温度が上昇する虞がある。
【0036】
一方、第1の実施の形態に係る半導体装置10では、ブロック電極15の下面側に低熱伝導部16が設けられている。低熱伝導部16を構成する材料(接合部14の材料)には、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料が選定される。このため、低熱伝導部16の部分の放熱性能は、その周辺のブロック電極15の放熱性能よりも低下する。
【0037】
その結果、図3に示すように、低熱伝導部16の部分の温度を、意図的に周辺部の温度よりも高くすることができる。つまり、前述のような要因により、半導体素子11の温度が部分的に高くなる領域が存在しても、低熱伝導部16の部分の温度を更に高くすることが可能となり、低熱伝導部16の部分を半導体素子11の最高温部とすることができる。
【0038】
ところで、前述のように、低熱伝導部16は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に形成されているため、温度検出素子11aは半導体素子11の最高温部の温度を直接測定可能となる。
【0039】
つまり、比較例に係る半導体素子10xのように、温度検出素子11aの検出した温度を補正して半導体素子11の最高温部の温度(例えば、半導体素子11の外縁部の温度)を推定する必要がないため、半導体素子11の温度検出の精度を向上できる。又、半導体素子11の温度検出の精度を向上できる結果、温度検出素子11aの検出結果に基づいて、半導体素子11の電流制御の精度も向上できる。
【0040】
なお、低熱伝導部16の部分は、常に半導体素子11の最高温部となるため、低熱伝導部16を構成するはんだ材料にストレスがかかるが、低熱伝導部16の部分のはんだ材料は厚いため、さほど大きな歪は発生せず、はんだ材料の寿命が低下する虞は少ない。
【0041】
なお、半導体装置10では、ブロック電極15の下面側に低熱伝導部16が設けられているが、ブロック電極15の上面側に低熱伝導部16を設けた場合にも、同様の効果を奏する。又、ブロック電極15の上面側及び下面側に、それぞれ低熱伝導部16を設けた場合にも、同様の効果を奏する。
【0042】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、下側の放熱板に低熱伝導部を設ける例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0043】
図4は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図4を参照するに、半導体装置20は、低熱伝導部16が低熱伝導部26に置換された点が半導体装置10(図1参照)と相違する。つまり、半導体装置10では、ブロック電極15の下面に低熱伝導部16が設けられていたが、半導体装置20では、放熱板13の上面に低熱伝導部26が設けられている。
【0044】
低熱伝導部26は、放熱板13の上面に設けられた凹部に接合部12を構成する材料が充填された構造である。低熱伝導部26に充填される材料(接合部12を構成する材料)は、放熱板13を構成する材料よりも熱伝導率が低い。
【0045】
凹部の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は、例えば1mm程度とすることができる。凹部の深さは、例えば、0.5mm程度とすることができる。但し、凹部の平面形状は、円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。低熱伝導部26は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に形成されている。低熱伝導部26は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に、複数個形成してもよい。
【0046】
低熱伝導部26を構成する材料(接合部12の材料)には、放熱板13を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料が選定される。このため、低熱伝導部26の部分の放熱性能は、その周辺の放熱板13の放熱性能よりも低下する。その結果、図3と同様に、低熱伝導部26の部分の温度を、意図的に周辺部の温度よりも高くすることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、ブロック電極を貫通する低熱伝導部を設ける例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0047】
図5は、第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図5を参照するに、半導体装置30は、低熱伝導部16が低熱伝導部36に置換された点が半導体装置10(図1参照)と相違する。つまり、半導体装置10では、ブロック電極15の下面に低熱伝導部16が設けられていたが、半導体装置30では、ブロック電極15を貫通する低熱伝導部36が設けられている。
【0048】
低熱伝導部36は、ブロック電極15を厚さ方向に貫通する貫通孔に接合部14を構成する材料が充填された構造である。但し、接合部14を構成する材料に代えて、接合部17を構成する材料を充填してもよい。低熱伝導部36に充填される材料(接合部14又は17を構成する材料)は、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い。
【0049】
貫通孔の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は、例えば1mm程度とすることができる。貫通孔の深さ(ブロック電極の厚さ)は、例えば、1mm程度とすることができる。但し、貫通孔の平面形状は、円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。低熱伝導部36は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に形成されている。低熱伝導部36は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に、複数個形成してもよい。
【0050】
低熱伝導部36を構成する材料(接合部14又は17の材料)には、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料が選定される。このため、低熱伝導部36の部分の放熱性能は、その周辺のブロック電極15の放熱性能よりも低下する。その結果、図3と同様に、低熱伝導部36の部分の温度を、意図的に周辺部の温度よりも高くすることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0051】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、半導体素子とブロック電極との間に低熱伝導部を挟み込む例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0052】
図6は、第4の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図6を参照するに、半導体装置40は、低熱伝導部16が低熱伝導部46に置換された点が半導体装置10(図1参照)と相違する。つまり、半導体装置10では、ブロック電極15の下面に低熱伝導部16が設けられていたが、半導体装置40では、半導体素子11とブロック電極15との間に低熱伝導部46が挟み込まれている。
【0053】
低熱伝導部46は、半導体素子11やブロック電極15とは別の部材であり、低熱伝導部46の側面は接合部14と接している。低熱伝導部46は、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い。なお、半導体素子11と低熱伝導部46との間、ブロック電極15と低熱伝導部46との間の何れか一方又は双方に接合部14が入り込んでもよい。
【0054】
低熱伝導部46の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は、例えば1mm程度とすることができる。低熱伝導部46の厚さは、例えば、0.2mm程度とすることができる。但し、低熱伝導部46の平面形状は、円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。低熱伝導部46は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に形成されている。低熱伝導部46は、平面視において、温度検出素子11aと重複する位置に、複数個形成してもよい。
【0055】
低熱伝導部46を構成する材料には、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料が選定される。低熱伝導部46を構成する材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等を用いることができる。但し、低熱伝導部46を構成する材料としては、接合部14を溶融させる温度(例えば、260~280℃程度)に耐え得る材料を選定する必要がある。
【0056】
低熱伝導部46を構成する材料には、ブロック電極15を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料が選定されているため、低熱伝導部46の部分の放熱性能は、その周辺のブロック電極15の放熱性能よりも低下する。その結果、図3と同様に、低熱伝導部46の部分の温度を、意図的に周辺部の温度よりも高くすることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
なお、半導体装置40では、低熱伝導部46が半導体素子11とブロック電極15との間に挟み込まれ、低熱伝導部46の側面が接合部14と接する構造であるが、低熱伝導部46が半導体素子11と放熱板13との間に挟み込まれ、低熱伝導部46の側面が接合部12と接する構造としても同様の効果を奏する。又、半導体素子11とブロック電極15との間及び半導体素子11と放熱板13との間に、それぞれ低熱伝導部46を設けた場合にも、同様の効果を奏する。
【0058】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0059】
例えば、各実施の形態では、半導体素子を1個備えた半導体装置を例示したが、半導体装置に含まれる半導体素子は2個以上でもよい。
【符号の説明】
【0060】
10、20、30、40 半導体装置
11 半導体素子
11a 温度検出素子
12、14、17 接合部
13、18 放熱板
15 ブロック電極
16、26、36、46 低熱伝導部
18x 凹部
19 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子と接するように設けられ、前記半導体素子の温度を検出する温度検出素子と、
前記半導体素子の一方の面に第1の接合部を介して接合される放熱板と、
前記半導体素子の他方の面に第2の接合部を介して接合される金属板と、を有し、
前記金属板から前記放熱板に至る何れかの位置であって、前記温度検出素子と平面視において重複する位置に、前記金属板及び前記放熱板よりも熱伝導率の低い低熱伝導部を設けた半導体装置。
【請求項2】
前記低熱伝導部は、前記金属板の前記第2の接合部側の面に設けられた凹部に前記第2の接合部を構成する材料が充填された構造である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記低熱伝導部は、前記放熱板の前記第1の接合部側の面に設けられた凹部に前記第1の接合部を構成する材料が充填された構造である請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記低熱伝導部は、前記金属板を厚さ方向に貫通する貫通孔に前記第2の接合部を構成する材料が充填された構造である請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記低熱伝導部は、前記半導体素子と前記金属板との間に挟み込まれ、側面が前記第2の接合部と接する構造である請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記低熱伝導部は、前記半導体素子と前記放熱板との間に挟み込まれ、側面が前記第1の接合部と接する構造である請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記温度検出素子は、平面視において、前記半導体素子の中央部に設けられている請求項1乃至6の何れか一項記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−113638(P2013−113638A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258172(P2011−258172)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】