説明

半導体装置

【課題】半導体素子の発する熱の熱伝導率の低下を抑制しつつ、熱応力を緩和すること。
【解決手段】半導体モジュールは、回路基板と、回路基板上に半田付けにより接合された半導体素子と、回路基板に接合されたフィンユニット13とから構成されている。回路基板は、セラミックス基板14の表裏両面に表金属板と裏金属板16を接合して構成されている。裏金属板16には、側面視凹凸形状をなすフィンユニット13が接合されている。裏金属板16においてフィンユニット13とフィンユニット13の間には、半導体素子の発する熱により生じる熱応力を緩和するフィン間溝23が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材層の表面に配線層を形成するとともに裏面に熱媒体により熱交換されるフィンを接合した回路基板と、配線層に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の半導体装置としては、例えば、特許文献1に記載の半導体装置が挙げられる。特許文献1では、絶縁基板(セラミックス基板)の表面に配線層となる金属板を接合するとともに裏面に接合層となる金属板を接合し、表面側の金属板には半導体素子を接合する一方で、裏面側の金属板には半導体素子の発する熱を放熱する放熱装置(ヒートシンク)を接合して半導体装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−82844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置においては、半導体素子の発する熱をヒートシンクに適切に伝導させることが望まれている。また、使用条件によっては絶縁基板とヒートシンクとの線膨張係数の相違に起因して発生する熱応力によってセラミックス基板と裏面側の金属板との接合部にクラックが生じたり、クラックの伸展による剥離が生じ、放熱性能が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、半導体素子の発する熱の熱伝導率の低下を抑制しつつ、熱応力を緩和することができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基材層の表面に配線層を形成するとともに裏面に熱媒体と熱交換を行うフィンを接合した回路基板と、前記配線層に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、前記フィンは、前記熱媒体の流通方向に複数設けられ、前記基材層には、前記複数のフィンにおいてフィンとフィンの間に、フィン間溝が形成されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、フィン間溝により半導体素子の発する熱により生じる熱応力が緩和される。また、基材層においてフィンとフィンの間は、フィンとの接触面積が少ない。このため、基材層においてフィンとフィンの間にフィン間溝を形成しても、熱伝導率の低下は少ない。したがって、熱伝導率の低下を抑えつつ、熱応力を緩和することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置において、前記フィン間溝は基材層の裏面側に向かって拡幅していることを要旨とする。
これによれば、基材層からフィンに熱が伝導される際には、半導体素子の発した熱がフィンに誘導される。したがって、半導体素子の発した熱は適切にフィンに誘導され、熱伝導率が向上される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置において、前記基材層は、絶縁層と、前記絶縁層にフィンを接合する接合層からなるとともに、前記接合層に前記フィン間溝が形成されていることを要旨とする。
【0010】
これによれば、フィンは、接合層により、適切に絶縁層に接合される。したがって、フィンは絶縁層から剥離しにくい。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の半導体装置において、前記フィン間溝は、前記接合層において前記フィンが接合される面に形成されることを要旨とする。
【0011】
これによれば、フィン間溝は、接合層においてフィンが接合される面に形成されるため、絶縁層と接合層の接触面積が減ることがない。このため、半導体素子の発する熱のフィンへの熱伝導を阻害しにくく、熱伝導率が向上される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体素子の発する熱の熱伝導率の低下を抑制しつつ、熱応力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】半導体装置を具体化した半導体モジュールの斜視図。
【図2】裏金属板とフィンの関係を示す分解斜視図。
【図3】裏金属板を裏面から見た平面図。
【図4】図3のA1−A1線断面図。
【図5】図3のA2−A2線断面図。
【図6】別例の半導体モジュールの裏金属板を裏面から見た平面図。
【図7】別例の半導体モジュールに用いられるフィンと裏金属板の関係を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の半導体装置を具体化した一実施形態について図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、半導体装置としての半導体モジュール10は、回路基板11と、回路基板11上に半田付けにより接合された半導体素子12と、回路基板11に接合された複数のフィンユニット13とから構成されている。回路基板11は、絶縁層として機能するセラミックス基板14の表裏両面に表金属板15と裏金属板16を接合して構成されている。セラミックス基板14は、図1において上側が半導体素子12の搭載面となる表面側とされており、半導体素子12の搭載面には配線層として機能する表金属板15が接合されている。そして、半導体素子12は、半田層H1を介して表金属板15に接合されている。半導体素子12としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やダイオードが用いられている。
【0015】
一方、セラミックス基板14には、図1において下側となる裏面側にセラミックス基板14とフィンユニット13とを接合する接合層として機能する裏金属板16が接合されている。本実施形態では、セラミックス基板14及び裏金属板16が、基材層として機能している。
【0016】
そして、裏金属板16には、裏金属板16との対向面が開口されたケース18がフィンユニット13を囲むように接合される。これにより、ケース18と裏金属板16は熱媒体が流通する流通領域S1を形成する。したがって、裏金属板16は、接合層として機能することに加え、ケース18の開口部を閉じる蓋としても機能している。また、裏金属板16とケース18との接合部には、図示しないシール部材が設けられている。
【0017】
図2に示すように、フィンユニット13は、平板状の部材に一定間隔ごとに凸部13aを形成してなる。したがって、フィンユニット13には、複数の凸部13aが一定間隔毎に並設されている。本実施形態では、複数の凸部13aが並設される方向(裏金属板16の左右辺に沿う方向)がフィンユニット13の延設方向となる。そして、各凸部13aがフィンとして機能している。一定間隔毎に形成された凸部13aは、平板状の接続部13bによって接続されている。これにより複数のフィン(凸部13a)を接続してなる一つのフィンユニット13が構成されている。隣接する凸部13aの間には、凹部が形成されており、これにより、フィンユニット13は、側面視凹凸形状をなしているフィンとして機能している。本実施形態では、接続部13bが裏金属板16に接合されている。そして、裏金属板16に接合される側の端部(接続部13b)が基端となり、基端と逆側の端部となる凸部13aの端部が先端側となる。
【0018】
図3に示すように、フィンユニット13は、延設方向の長さが裏金属板16における対向する2辺(図3の上下辺)間の距離よりも短く形成されている。以下の説明において、図3において上側に位置する辺を上辺、下側に位置する辺を下辺、左側に位置する辺を左辺、右側に位置する辺を右辺として説明を行う。
【0019】
裏金属板16には、半導体素子12の発する熱による熱応力を緩和するための第1の溝22及びフィン間溝23が交互に延設されている。第1の溝22及びフィン間溝23は、裏金属板16の左右辺と平行に延設されている。第1の溝22及びフィン間溝23は、一直線状をなすように延設されており、その長さはフィンユニット13の延設方向の長さと同一とされている(図4参照)。すなわち、第1の溝22及びフィン間溝23の長さは、裏金属板16における対向する2辺(上下辺)間の距離よりも短めに形成されている。図5に示すように、第1の溝22及びフィン間溝23の断面形状は、台形状をなしており、短辺がセラミックス基板14側に位置するとともに、長辺がフィンユニット13側に位置している。また、第1の溝22及びフィン間溝23は、フィンユニット13の接合される面(裏金属板16の裏面)に形成されている。第1の溝22及びフィン間溝23は、このように形成されることにより、裏金属板16の裏面側(フィンユニット13の接合される面)に向かって拡幅している。
【0020】
図3に示すように、フィンユニット13の凸部13aにおいてフィンユニット13の延設方向と直交する方向の略中央には、半導体素子12の発する熱による熱応力を緩和する第2の溝21が形成されている。第2の溝21は、フィンユニット13の延設方向に延びるように形成されている。また、第2の溝21は、フィンユニット13の先端側となる凸部13aの端部に開口するように形成されている。第2の溝21は、スリット状に形成されている。一方、接続部13bには第2の溝21が形成されていない。すなわち、第2の溝21は、延設方向に沿って連続的に形成されておらず、凸部13a間の接続部13bにより断続的に形成されている。
【0021】
上記のように構成されたフィンユニット13は、裏金属板16の対向する2辺(裏金属板16の左右辺)と平行をなすように配設されている。隣接するフィンユニット13同士は、所定の間隔を空けて配設されている。また、隣接するフィンユニット13は互い違いに、すなわち、隣接するフィンユニット13同士の凸部13aと接続部13bが隣り合うように配設されている。流通領域S1を流通する熱媒体は、フィンユニット13の配設方向に流通する。したがって、フィンユニット13は、熱媒体の流通方向に複数配設されていると捉えることもできる。
【0022】
図4に示すように、裏金属板16にフィンユニット13が接合された状態で、第1の溝22は、フィンユニット13が接合される部分(接続部13bと対向する部分)に加え、接合されない部分(凸部13aと対向する部分)にも形成されている。また、第2の溝21は、第1の溝22と対応するように形成されている。詳細にいえば、フィンユニット13の凸部13aには、第1の溝22と対向する部分に第2の溝21が形成され、これにより第1の溝22と第2の溝21は対応している。第2の溝21の延設方向に沿う線を仮想線L1とし、第1の溝22の延設方向に沿う線を仮想線L2とすると、フィンユニット13は、仮想線L1と仮想線L2が対向するように裏金属板16に接合されている。
【0023】
また、図3に示すように、裏金属板16にフィンユニット13が接合された状態で、フィン間溝23は、隣接するフィンユニット13の間に位置するように形成されている。すなわち、裏金属板16には、複数のフィンユニット13において隣接するフィンユニット13とフィンユニット13の間に、フィン間溝23が形成されている。
【0024】
フィンユニット13は、延設方向の長さが裏金属板16に上辺から下辺までの長さよりも短く形成されている。また、第1の溝22及びフィン間溝23の長さは、フィンユニット13の延設方向へ長さと同一とされていることから、裏金属板16における外周部には、第1の溝22及びフィン間溝23が形成されない非形成領域Aが形成されている。非形成領域Aには、ケース18と裏金属板16をシールする図示しないシール部材が設けられている。
【0025】
次に、本実施形態の半導体モジュール10の作用について説明する。
このように、構成した半導体モジュール10は、例えば電動モータを駆動源の一部とするハイブリッドカーなどの車両に適用されることにより、車両の運転状況に応じて電動モータに供給する電力を制御する。そして、半導体モジュール10が駆動されると、半導体素子12が熱を発する。半導体素子12が発した熱は、表金属板15、セラミックス基板14、裏金属板16に伝導し、裏金属板16とフィンユニット13との接合部(接続部13b)を介してフィンユニット13の凸部13aに伝導する。裏金属板16からフィンユニット13に熱が伝導する際には、第1の溝22がフィンユニット13に向かって拡幅していることから、熱がフィンユニット13に誘導される。そして、フィンユニット13は、流通領域S1を流通する熱媒体と熱交換を行うことにより冷却される。第1の溝22及びフィン間溝23は、裏金属板16に形成されているため、熱媒体とセラミックス基板14との接触が防止されている。
【0026】
半導体素子12から発せられた熱がフィンユニット13に伝わった際には、回路基板11及びフィンユニット13は高温となり、熱膨張する。一方、半導体素子12からの発熱が停止すると、回路基板11及びフィンユニット13の温度は、常温まで低下し、熱収縮する。そして熱膨張及び熱収縮の際には、各部材の線膨張係数の相違に起因し、熱応力が発生する。
【0027】
本実施形態では、フィンユニット13に第2の溝21を形成していることから、半導体素子12の発する熱による熱応力が緩和される。さらに、裏金属板16には、第1の溝22及びフィン間溝23が形成されているため、半導体素子12の発する熱による熱応力は更に緩和される。
【0028】
また、フィンユニット13において、第2の溝21が形成されている部分には、熱が伝導されない。このため、裏金属板16のフィンユニット13が接合される面において第2の溝21と対向する部分に第1の溝22を形成しても、熱伝導率の低下が少ない。同様に、裏金属板16において、各フィンユニット13が接合されない部分である隣接するフィンユニット13の間にフィン間溝23を形成しても、熱伝導率の低下が少ない。
【0029】
したがって、上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)裏金属板16に第1の溝22を延設するとともに、フィンユニット13において第1の溝22と対向する部分に第2の溝21を形成している。フィンユニット13において第1の溝22と対向する部分に第2の溝21を形成しても、裏金属板16からフィンユニット13への熱伝導率の低下は少ない。このため、半導体素子12の発する熱は適切に放熱される。また、半導体素子12の発熱により生じる熱応力は、第2の溝21により緩和され、第1の溝22により更に緩和される。したがって、半導体素子12の発熱により生じる熱応力を緩和することができる。このため、半導体モジュール10の駆動時などにおける反りやクラックの発生が防止される。
【0030】
(2)第2の溝21は、裏金属板16においてフィンユニット13の先端側(凸部13aの端部)に開口するように形成されているため、フィンユニット13の剛性が低下する。このため、フィンユニット13は変形しやすく、熱応力を適切に緩和することができる。
【0031】
(3)基材層は、裏金属板16とセラミックス基板14とから構成されている。裏金属板16は、セラミックス基板14とフィンユニット13を接合するための接合層として機能するため、フィンユニット13は、適切にセラミックス基板14に接合される。このため、フィンユニット13がセラミックス基板14から剥離しにくく、接合信頼性が向上される。また、セラミックス基板14と熱媒体が直接接触しないため、セラミックス基板14が耐性を有さない熱媒体を利用してフィンユニット13を冷却することができる。
【0032】
(4)裏金属板16に第1の溝22を形成している。このため、セラミックス基板14に直接第1の溝22を形成する必要がなく、セラミックス基板14の脆性が増すことがない。
【0033】
(5)裏金属板16において隣接するフィンユニット13の間には、フィン間溝23が形成されている。このため、フィン間溝23により半導体素子12の発熱により生じる熱応力が緩和される。また、裏金属板16のフィンユニット13が接合される面において、各フィンユニット13が接合されない部分である隣接するフィンユニット13の間にフィン間溝23を形成しても、熱伝導率の低下が少ない。このため、裏金属板16からフィンユニット13への熱伝導率の低下が抑制される。すなわち、熱伝導率の低下を抑えつつ、熱応力を緩和することができる。したがって、半導体素子12の発熱による反りやクラックの発生が防止される。
【0034】
(6)第1の溝22及びフィン間溝23は裏金属板16の裏面側(フィンユニット13の接合される面)に向かって拡幅している。このため、熱源となる半導体素子12が発する熱は、適切にフィンユニット13に誘導され、熱伝導率が向上される。
【0035】
(7)第1の溝22及びフィン間溝23は、裏金属板16の裏面側(フィンユニット13の接合される面)に形成されている。このため、セラミックス基板14と裏金属板16の接触面積が減ることがなく、半導体素子12が発する熱の伝導が阻害されにくく、熱伝導率が向上される。
【0036】
(8)裏金属板16には非形成領域Aが形成されている。非形成領域Aには、ケース18と裏金属板16とのシール性を維持するためのシール部材が設けられる。このため、第1の溝22及びフィン間溝23が形成されない非形成領域Aは、平坦な面となり、平坦な面にシール部材を設けることにより、裏金属板16とケース18を適切にシールすることができる。したがって、流通領域S1から熱媒体が漏れるのが防止される。
【0037】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、第1の溝22は、裏金属板16においてフィンユニット13が接合される部分(接続部13bと対向する部分)にのみ形成されていてもよい。この場合、フィンユニット13の凸部13aには、第1の溝22と対向する部分から第1の溝22の延設方向に沿う部分に形成されることになり、これにより第1の溝22と第2の溝21は対応している。また、この場合であっても、フィンユニット13は、第1の溝22の延設方向に沿う仮想線L2と、第2の溝21の延設方向に沿う仮想線L1が対向するように裏金属板16に接合される。
【0038】
○ 実施形態においてセラミックス基板14のみを基材層としてもよい。この場合、第1の溝22及びフィン間溝23は、セラミックス基板14に形成される。
○ 実施形態において、裏金属板16には、フィン間溝23のみが形成されていてもよい。すなわち、第1の溝22が形成されていなくてもよい。なお、この場合、半導体モジュール10の製造時(フィンユニット13を裏金属板16に接合する時)に、フィン間溝23をフィンユニット13の配置位置を決定するための目印としてもよい。すなわち、各フィンユニット13は、フィン間溝23を挟むように配置されたあと、半田付けなどにより、裏金属板16に接合される。フィン間溝23が目印として機能することにより、別途フィンユニット13を接合する際の目印を設ける必要がない。
【0039】
○ 実施形態において、フィンユニット13に形成される第2の溝21は、フィンユニット13の凸部13aの端部に開口するように形成されていなくてもよい。例えば、凸部13aの側面にのみ第2の溝21が形成されていてもよいし、裏金属板16と接合される部分(接続部13b)に第2の溝21が形成されていてもよい。この場合であっても、フィンユニット13は、第1の溝22の延設方向に沿う仮想線L2と、第2の溝21の延設方向に沿う仮想線L1が対向するように裏金属板16に接合される。
【0040】
○ 実施形態において、第1の溝22及びフィン間溝23の断面形状は、台形状以外であってもよい。例えば、三角形状であってもよい。この場合、フィンユニット13側を底辺とし、セラミックス基板14側を頂点とする三角形状とすることにより、第1の溝22及びフィン間溝23は、セラミックス基板14側からフィンユニット13側に向かって拡幅する。
【0041】
○ 実施形態において、ケース18を接合しなくてもよい。
○ 実施形態において、第1の溝22及びフィン間溝23は、裏金属板16における半導体素子12の対応する部分、すなわち半導体素子12の直下領域に形成されていなくてもよい。換言すれば、第1の溝22及びフィン間溝23は裏金属板16における半導体素子12に対応する部分以外の領域に形成されていてもよい。裏金属板16における半導体素子12に対応する部分には、半導体素子12の発する熱が最も伝導される。このため、裏金属板16における半導体素子12に対応する部分に第1の溝22及びフィン間溝23を形成しないことにより、半導体素子12の発する熱が適切にフィンユニット13に伝導され、熱伝導率が向上される。また、凸部13aにおいて半導体素子12の対応する部分には、第2の溝21を形成しなくてもよい。これにより、熱伝導率が更に向上される。
【0042】
○ 実施形態において、第1の溝22及びフィン間溝23の長さを長くしてもよい。なお、この場合、第1の溝22及びフィン間溝23の長さは、シール部材を設けるための非形成領域Aを確保するために、裏金属板16の対向する2辺間の距離よりも短くすることが望ましい。
【0043】
○ 図6に示すように、各フィンユニット13の一部が隣接するフィンユニット13と接合されていてもよい。この場合、裏金属板16にフィンユニット13を接合する際にフィンユニット13が配置しやすくなる。図6に示すフィンユニット13においては、隣接するフィンユニット13における凸部13a同士が接合部30によって接合されている。
【0044】
○ 実施形態において、フィンユニット13は他の形状をなしていてもよい。例えば、図7に示すように、裏金属板16に複数の板状のフィン41を接合してもよい。裏金属板16には、一直線状をなす第1の溝22が形成されている。フィン41には、先端部42から基端部43に向かって第2の溝44が形成されている。第2の溝44は、第1の溝22と対向するように形成されることにより、第1の溝22と第2の溝44は対応している。また、左右辺に沿って並設されたフィン41の第2の溝44の延設方向に沿う仮想線L3は、第1の溝22の延設方向に沿う仮想線L2と対向する。なお、第1の溝22は、図に示すように左右辺に沿って並設されたフィン41よりも外側まで延設されていてもよい。また、第1の溝22は、フィン41が接合される部分にのみ形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…半導体モジュール、12…半導体素子、13…フィンユニット、13a…凸部、14…セラミックス基板、15…表金属板、16…裏金属板、22…第1の溝、21,44…第2の溝、23…フィン間溝、41…フィン、42…先端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の表面に配線層を形成するとともに裏面に熱媒体と熱交換を行うフィンを接合した回路基板と、前記配線層に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
前記フィンは、前記熱媒体の流通方向に複数設けられ、
前記基材層には、前記複数のフィンにおいてフィンとフィンの間に、フィン間溝が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記フィン間溝は基材層の裏面側に向かって拡幅していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基材層は、絶縁層と、前記絶縁層にフィンを接合する接合層からなるとともに、前記接合層に前記フィン間溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フィン間溝は、前記接合層において前記フィンが接合される面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115202(P2013−115202A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259352(P2011−259352)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】