説明

半導体集積回路装置

【課題】 電源回路のレイアウト面積を縮小するとともに、書き込み/読み出し/消去動作に用いられる昇圧電圧、および降圧電圧を安定して供給する。
【解決手段】 フラッシュメモリの読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5には、内部電源電圧VDDから昇圧電圧VP1を生成する昇圧回路20、該昇圧電圧VP1から昇圧電圧VPPを生成する昇圧回路21、および昇圧電圧VP1から、降圧電圧VDLを生成する降圧回路22が設けられている。また、昇圧回路21には昇圧電圧VPPを安定化させる安定化回路21aが設けられ、降圧回路22には降圧電圧VDLを安定化させる安定化回路22aが設けられている。そして、昇圧回路20の安定化回路を省略することにより、出力負荷変動に対するレスポンスを良好にし、半導体チップのレイアウト面積を小さくしながら低消費電力化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置における電源電圧の供給技術に関し、特に、不揮発性半導体メモリにおける昇圧電圧、および降圧電圧の安定供給化に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリには、データの書き込み/消去などに用いられる電源電圧よりも高い電圧レベルの昇圧電圧を生成する昇圧回路、およびデータの読み出しなどに用いられる電源電圧よりも低い電圧レベルの降圧電圧を生成する降圧回路などが備えられている。
【0003】
たとえば、2種類の電源電圧に対応して動作する、デュアルボルテージ対応のフラッシュメモリにおいて、昇圧回路は、2以上の昇圧部が直列接続された構成からなり、これら昇圧部によって電源電圧を段階的に昇圧し、所望の昇圧電圧を生成する。
【0004】
この昇圧部は、チャージポンプ回路、および該チャージポンプ回路の動作制御を行い、昇圧電圧を安定化させる安定化回路から構成されている。
【0005】
チャージポンプ回路は、並列型チャージポンプ回路、あるいは直列型チャージポンプ回路などが知られている。
【0006】
並列型チャージポンプ回路は、複数のデプレション形MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタからなる昇圧容量が並列接続された構成からからなる。
【0007】
また、直列型チャージポンプ回路は、複数の昇圧容量に電源電圧をチャージした後、すべての静電容量を直列に接続する構成からなる。
【0008】
なお、この種の昇圧回路について詳しく述べてある技術として、たとえば、高電圧の発生下におけるバックバイアス依存性によるチャージトランス効率を低下させることなく、効率よく高電圧を生成するものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−187586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記のような半導体集積回路装置における昇圧回路では、次のような問題点があることが本発明者により見い出された。
【0010】
すなわち、昇圧回路を構成する昇圧部毎に安定化回路が設けられているので、半導体チップのレイアウト面積が大きくなり、かつ該消費電力も大きくなってしまうという問題がある。
【0011】
また、昇圧部毎に安定化回路が設けられることによって、該安定化回路毎に制御フィードバックのタイムラグなどが発生してしまい出力負荷変動に対してレスポンスが悪化し、精度の高い昇圧電圧が得られない恐れがある。
【0012】
本発明の目的は、電源回路のレイアウト面積を縮小するとともに、書き込み/読み出し/消去動作に用いられる昇圧電圧、および降圧電圧を安定して高精度に供給する技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本発明は、複数の不揮発性メモリセルを有するメモリアレイと、外部から供給される外部電源電圧から、昇圧電圧、および降圧電圧を生成する昇降圧電源部とを備えた半導体集積回路装置であって、該昇降圧電源部は、直列接続された少なくとも2つの昇圧回路と、少なくとも2つの昇圧回路のうち、最終段の昇圧回路に接続され、最終段の昇圧回路の動作制御を行う第1の安定化回路と、少なくとも2つの昇圧回路のうち、最終段の昇圧回路に接続された前段の昇圧回路よって昇圧された昇圧電圧を降圧して降圧電圧を生成する降圧回路と、該降圧回路に接続され、その降圧回路の動作制御を行う第2の安定化回路とよりなるものである。
【0016】
また、本願のその他の発明の概要を簡単に示す。
【0017】
本発明の半導体集積回路装置は、初段の昇圧回路が並列型チャージポンプ回路よりなり、該並列型チャージポンプ回路を構成する初段のスイッチ用トランジスタのしきい値電圧が最も高いものである。
【0018】
また、本発明の半導体集積回路装置は、前記第1の安定化回路が接続された最終段の昇圧回路、および前記第2の安定化回路が接続された降圧回路が2以上それぞれ設けられ、それら2以上の昇圧回路は、異なる電圧レベルの昇圧電圧をそれぞれ生成し、2以上の降圧回路は、異なる電圧レベルの降圧電圧をそれぞれ生成するものである。
【0019】
さらに、本発明の半導体集積回路装置は、前記昇降圧電源部が生成する昇圧電圧、および降圧電圧は、不揮発性メモリセルに供給され、該不揮発性メモリセルに情報を格納する書き込み動作、不揮発性メモリセルに格納した情報を読み出す読み出し動作、不揮発性メモリセルに格納した情報を消去する消去動作の各動作に用いられるものである。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0021】
(1)出力変動に対してのレスポンスが良好となるので、半導体集積回路装置の信頼性を向上させることができる。
【0022】
(2)昇降圧電源部に供給される電源電圧が低電圧であっても、高精度で、かつ安定した昇圧電圧を少ない消費電力で生成することができるので、半導体集積回路装置の性能を向上させることができる。
【0023】
(3)昇降圧電源部の回路構成が簡単になるので、半導体集積回路装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるフラッシュメモリのブロック図、図2は、図1のフラッシュメモリに設けられた読み出し/書き込み/消去電圧生成回路の一例を示すブロック図、図3は、図2の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路に設けられた昇圧回路の一例を示す回路図、図4は、図2の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路における他の構成例を示すブロック図である。
【0026】
本実施の形態1において、フラッシュメモリ(半導体集積回路装置)1は、たとえば、1.8V程度と3.3V程度との2つの動作電圧に対応したデュアルボルテージ対応の不揮発性半導体メモリである。
【0027】
フラッシュメモリ1は、図1に示すように、入出力回路2、ロジック回路3、メモリ回路4、および読み出し/書き込み/消去電圧生成回路(昇降圧電源部)5から構成されている。
【0028】
入出力回路2は、マルチプレクサ6、データ入力バッファ7、制御信号バッファ8、ならびに電源回路9から構成されている。ロジック回路3は、ページアドレスバッファ10、入力データコントローラ11、カラムアドレスカウンタ12、および読み出し/書き込み/消去コントローラ13から構成されている。メモリ回路4は、データ出力バッファ14、Xデコーダ15、Yデコーダ16、Yゲート17、データレジスタ18、およびメモリアレイ19から構成されている。
【0029】
入出力回路2において、マルチプレクサ6には、各データ入出力端子I/O1〜I/O8を通じてデータが入出力され、このマルチプレクサ6で入力または出力が切り替えられる。データ入力バッファ7は、マルチプレクサ6を介した入力データを一時的に格納し、ロジック回路3の入力データコントローラ11に出力する。
【0030】
制御信号バッファ8には、各制御信号入力端子CE(チップイネーブル),RE(リードイネーブル),WE(ライトイネーブル),WP(ライトプロテクト),CLE(コマンドラッチイネーブル),ALE(アドレスラッチイネーブル),PRE(パワーオンオートリードイネーブル),DSE(ディープスタンバイイネーブル)を通じて各制御信号が入力され、該制御信号バッファ8に一時的に格納され、ロジック回路3の読み出し/書き込み/消去コントローラ13に出力される。
【0031】
また、読み出し/書き込み/消去コントローラ13から直接、制御信号出力端子R/B(レディ/ビジー)を通じて制御信号が出力される。なお、これらの各制御信号において、CE,RE,WE,WP,DSE,Bは、図において各記号にバーを付している通り反転信号である。
【0032】
電源回路9は、外部供給される電源電圧VCCから内部電源電圧VDDを生成し、ロジック回路3、および読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5に供給する。
【0033】
ロジック回路3において、ページアドレスバッファ10には、マルチプレクサ6、読み出し/書き込み/消去コントローラ13から制御信号が入力され、ページアドレスの制御信号がメモリ回路4のXデコーダ15に出力される。
【0034】
入力データコントローラ11には、データ入力バッファ7からのデータと、読み出し/書き込み/消去コントローラ13からの制御信号が入力され、入力データの制御信号がメモリ回路4のYゲート17に出力される。
【0035】
カラムアドレスカウンタ12には、読み出し/書き込み/消去コントローラ13から制御信号が入力され、カラムアドレスがYデコーダ16に出力される。読み出し/書き込み/消去コントローラ13には、マルチプレクサ6、制御信号バッファ8から制御信号が入力され、各制御信号がロジック回路3内の各回路や、制御信号バッファ8、メモリ回路4内のデータ出力バッファ14、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5に出力される。
【0036】
メモリ回路4において、メモリアレイ19には、1メモリセルに1ビットのデータを格納するメモリセルが、ワード線とビット線との交点にアレイ状に配置されている。このメモリアレイ19内の各メモリセルは、Xデコーダ15、Yデコーダ16、Yゲート17により任意に選択される。
【0037】
選択されたメモリセルに対するデータの読み出し、データの書き込み、データの消去が行われる。これらの読み出し、書き込み、消去のデータは、データレジスタ18に一時的に格納され、また読み出しデータはデータ出力バッファ14に一時的に格納されて出力される。
【0038】
図2は、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5の一例を示すブロック図である。
【0039】
読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5は、昇圧回路20,21、降圧回路22、および安定化回路21a,22aから構成されている。
【0040】
昇圧回路20の入力部には、内部電源電圧VDDが入力されるように接続されており、該昇圧回路20の出力部には、昇圧回路21の入力部、および降圧回路22の入力部がそれぞれ接続されている。
【0041】
そして、昇圧回路21の出力部から昇圧電圧VPPが出力され、降圧回路22から降圧電圧VDLが出力される。昇圧回路21の出力部には、安定化回路(第1の安定化回路)21aが接続されており、降圧回路22の出力部には、安定化回路(第2の安定化回路)22aが接続されている。
【0042】
昇圧回路20は、内部電源電圧VDDを昇圧して昇圧電圧VP1を生成する。昇圧回路21は、入力された昇圧電圧VP1から、昇圧電圧VPPを生成し、データの書き込み/消去電圧としてメモリ回路4に供給する。
【0043】
降圧回路22は、入力された昇圧電圧VP1を任意の電圧レベルまで降圧して降圧電圧VDLを生成し、データの読み出し電圧としてメモリ回路4に供給する。
【0044】
安定化回路21aは、昇圧回路21から出力される昇圧電圧VPPの電圧レベルをモニタし、昇圧電圧VPPがほぼ一定レベルとなるように昇圧回路21の動作制御を行う。安定化回路22aは、降圧回路22から出力される降圧電圧VDLの電圧レベルをモニタし、降圧電圧VDLがほぼ一定レベルとなるように該降圧回路22の動作制御を行う。
【0045】
次に、本実施の形態1における読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5の作用について説明する。
【0046】
フラッシュメモリ1がデータの書き込み/消去動作を行う場合、読み出し/書き込み/消去コントローラ13から、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5に対して制御信号が出力される。
【0047】
これを受けて、昇圧回路20,21が起動し、昇圧動作を開始する。初段の昇圧回路20は、安定化回路が設けられていないので、動作制御されることなく昇圧動作を行い、昇圧電圧VP1を生成する。
【0048】
昇圧回路21は、入力された昇圧電圧VP1から、昇圧電圧VPPを生成するが、この場合、安定化回路21aによって該昇圧電圧VPPがほぼ一定レベルに保たれるように昇圧回路21の動作制御が行われる。
【0049】
このように、初段の昇圧回路20に安定化回路を省略したことにより、半導体チップのレイアウト面積を小さくすることができ、消費電力も小さくすることができる。
【0050】
また、昇圧回路20をフリーで動作させることによって、出力負荷変動に対するレスポンスを良好にすることができる。
【0051】
図3は、昇圧回路20の一例を示す回路図である。
【0052】
昇圧回路20は、たとえば、直列型チャージポンプ回路からなり、図示するように、スイッチ(スイッチ用トランジスタ)SW1〜SW11、および静電容量C1〜C4から構成されている。スイッチSW1〜SW11は、たとえば、NチャネルMOSトランジスタなどからなる。
【0053】
スイッチSW1,SW3,SW6,SW9の一方の接続部には、内部電源電圧VDDが供給されるようにそれぞれ接続されている。また、スイッチSW4,SW7,SW10の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0054】
スイッチSW1,SW3,SW4,SW6,SW7,SW9,SW10の制御端子(ゲート)には、クロック信号/φが入力されるようにそれぞれ接続されている。スイッチSW2,SW5,SW8,SW11の制御端子、および静電容量C1の他方の接続部には、クロック信号φが入力されるようにそれぞれ接続されている。
【0055】
このクロック信号φ,/φは、たとえば、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5に設けられたクロック信号生成部から出力されるクロック信号であり、これらクロック信号φ,/φは、図3の左側に示すような信号タイミングで生成されている。
【0056】
スイッチSW1の他方の接続部には、スイッチSW2の一方の接続部、および静電容量C1の一方の接続部がそれぞれ接続されている。スイッチSW2の他方の接続部には、静電容量C2の他方の接続部、ならびにスイッチSW4の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0057】
スイッチSW3の他方の接続部には、スイッチSW5の一方の接続部、および静電容量C2の一方の接続部がそれぞれ接続されており、該スイッチSW5の他方の接続部には、静電容量C3の他方の接続部、ならびにスイッチSW7の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0058】
スイッチSW6の他方の接続部には、スイッチSW8の一方の接続部、および静電容量C3の一方の接続部がそれぞれ接続されており、スイッチSW8の他方の接続部には、静電容量C4の他方の接続部、およびスイッチSW10の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0059】
スイッチSW9の他方の接続部には、スイッチSW11の一方の接続部、ならびに静電容量C4の一方の接続部がそれぞれ接続されている。そして、スイッチSW11の他方の接続部が昇圧回路20の出力部となり、昇圧電圧VP1が出力される。
【0060】
これらスイッチSW1〜SW11は、クロック信号φ,/φが、Hi信号の際にONとなり、Lo信号の場合にはOFFとなる。
【0061】
昇圧回路20において、クロック信号/φがHi信号となってスイッチSW1,SW3,SW6,SW9がONとなると、静電容量C1〜C4に電荷が蓄積される。その後、クロック信号φがHi信号となり、これら静電容量C1〜C4が直列接続される。
【0062】
このように、電荷がチャージされた静電容量C1〜C4を直列に接続することによって、内部電源電圧VDDよりも高い電圧の昇圧電圧VP1が発生することになる。
【0063】
ここで、図3では、昇圧回路20の構成について示したが、昇圧回路21についても同様の回路構成からなり、異なる点は、スイッチSW1,SW3,SW6,SW9の一方の接続部に昇圧回路20によって生成された昇圧電圧VP1が供給されるように接続されているところのみである。
【0064】
図4は、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5における他の構成例を示すブロック図である。
【0065】
この場合、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5は、安定化回路が設けられていない昇圧回路23を、昇圧回路20と昇圧回路21との間に新たに接続した構成からなり、その他の昇圧回路20,21、降圧回路22、および安定化回路21a,22aの接続構成は、図2と同様となっている。
【0066】
そして、昇圧回路23は、昇圧回路20が生成した昇圧電圧VP1を昇圧し、昇圧電圧VP2を生成する。昇圧回路21は、昇圧回路23が生成した昇圧電圧VP2を昇圧して昇圧電圧VPPを生成し、降圧回路22は、該昇圧電圧VP2を降圧して降圧電圧VDLを生成する。
【0067】
このように、安定化回路がない昇圧回路23を新たに設けたことによって、たとえば、内部電源電圧VDDがより低い電圧レベルであっても、安定した昇圧電圧VPPを生成することができる。
【0068】
それにより、本実施の形態1によれば、フラッシュメモリ1のレイアウト面積を小さくしながら、高精度で安定した昇圧電圧VPPをメモリ回路4に供給することができる。
【0069】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2によるフラッシュメモリに設けられた読み出し/書き込み/消去電圧生成回路のブロック図、図6は、図5の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路に設けられた昇圧回路の構成例を示す回路図、図7は、図6に示す昇圧回路における昇圧効率の低下を回避する構成の一例を示した回路図、図8は、図7の昇圧回路に設けられたP−WELLのインプラがあるスイッチの説明図、図9は、図7の昇圧回路に設けられたP−WELLのインプラがないスイッチの説明図である。
【0070】
本実施の形態2において、フラッシュメモリ1(図1)は、実施の形態1と同様に、入出力回路2、ロジック回路3、メモリ回路4、および読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5から構成されている。
【0071】
また、これら入出力回路2、ロジック回路3、およびメモリ回路4における回路構成も前記実施の形態1と同様であるので説明は省略する。読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5は、図5に示すように、昇圧回路21,24、降圧回路22、および安定化回路21a,22aから構成されている。
【0072】
初段の昇圧回路24の入力部には、内部電源電圧VDDが入力されるように接続されており、該昇圧回路24の出力部には、昇圧回路21の入力部、および降圧回路22の入力部がそれぞれ接続されている。
【0073】
そして、昇圧回路21の出力部から昇圧電圧VPPが出力され、降圧回路22から降圧電圧VDLが出力される。昇圧回路21の出力部には、安定化回路21aが接続されており、降圧回路22の出力部には、安定化回路22aが接続されている。
【0074】
昇圧回路24は、内部電源電圧VDDを昇圧して昇圧電圧VP1を生成する。昇圧回路21は、昇圧電圧VP1から、昇圧電圧VPPを生成する。降圧回路22は、入力された昇圧電圧VP1を任意の電圧レベルまで降圧して降圧電圧VDLを生成する。
【0075】
安定化回路21aは、昇圧回路21から出力される昇圧電圧VPPの電圧レベルをモニタし、昇圧電圧VPPがほぼ一定レベルとなるように昇圧回路21の動作制御を行う。安定化回路22aは、降圧回路22から出力される降圧電圧VDLの電圧レベルをモニタし、降圧電圧VDLがほぼ一定レベルとなるように該降圧回路22の動作制御を行う。
【0076】
また、昇圧回路21の回路構成は、前記実施の形態1(図3)に示したように、直列型チャージポンプ回路から構成されている。
【0077】
図6は、昇圧回路24の回路構成例を示す回路図である。
【0078】
昇圧回路24は、たとえば並列型チャージポンプ回路からなり、スイッチ(スイッチ用トランジスタ)SW12〜SW16、および静電容量C5〜C8から構成されている。スイッチSW12〜SW16は、たとえば、NチャネルMOSトランジスタなどからなる。
【0079】
スイッチSW12の一方の接続部には、内部電源電圧VDDが供給されるように接続されている。
【0080】
また、スイッチSW12,SW14,SW16の制御端子(ゲート)、および静電容量C6,C8の他方の接続部には、クロック信号/φが入力されるようにそれぞれ接続されている。スイッチSW13,SW15の制御端子、および静電容量C5,C7の他方の接続部には、クロック信号φが入力されるようにそれぞれ接続されている。
【0081】
このクロック信号φ,/φは、前記実施の形態1と同様に、たとえば、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5(図1)に設けられたクロック信号生成部から出力されるクロック信号であり、これらクロック信号φ,/φは、図6の左側に示すような信号タイミングで生成されている。
【0082】
スイッチSW12の他方の接続部には、スイッチSW13の一方の接続部、および静電容量C5の一方の接続部がそれぞれ接続されている。スイッチSW13の他方の接続部には、静電容量C6の一方の接続部、ならびにスイッチSW14の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0083】
スイッチSW14の他方の接続部には、スイッチSW15の一方の接続部、および静電容量C7の一方の接続部がそれぞれ接続されている。スイッチSW15の他方の接続部には、静電容量C8の一方の接続部、ならびにスイッチSW16の一方の接続部がそれぞれ接続されている。そして、スイッチSW16の他方の接続部が昇圧回路24の出力部となり、昇圧電圧VP1が出力される。
【0084】
これらスイッチSW12〜SW16は、前記実施の形態1と同様に、クロック信号φ,/φがHi信号の際にONとなり、Lo信号の場合にはOFFとなる。
【0085】
並列型チャージポンプ回路からなる昇圧回路24は、位相の異なるクロック信号φ,/φによって、静電容量C5〜C8における電荷の蓄積と次段の静電容量への電荷の転送とを繰り返して内部電源電圧VDDよりも高い電圧である昇圧電圧VP1を生成する。
【0086】
ここで、図6に示した並列型チャージポンプ回路からなる昇圧回路24は、基板効果によって1段目より2段目、3段目と後段に進むに従ってスイッチとなっているNチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高くなり電荷の転送効率が下がってしまい、昇圧効率が低下してしまう恐れがある。
【0087】
図7は、図6に示す並列型チャージポンプ回路における昇圧効率の低下を回避する構成の一例を示した昇圧回路24の回路図である。
【0088】
この場合、図示するように、1段目のスイッチSW12には、P−WELLのインプラがあり、2段目以降のスイッチSW13〜SW16には、P−WELLのインプラが入らない構成となっている。
【0089】
これにより、1段目のスイッチSW12のしきい値電圧Vthが2段目以降のスイッチSW13〜SW16のしきい値電圧Vthに比べて高くなるので、1段目のスイッチSW12でのリーク電流による電荷の逆流を抑えることができるとともに、2段目以降のスイッチSW13〜SW16のしきい値電圧Vthを下げることによって電荷の転送効率を上げることができる。
【0090】
図8は、P−WELLのインプラがあるスイッチSW12の説明図である。
【0091】
スイッチSW12は、前述したようにNチャネルMOSからなり、P形半導体基板25上にP−WELL26が形成されており、このP−WELL26内に、ソース/ドレインからなる拡散層27,28が形成されている。
【0092】
P形半導体基板25上の拡散層27,28に挟まれた所定の位置には、チャネルが形成されており、該チャネルの上方には、絶縁膜29を介してゲート30が形成されている。
【0093】
図9は、P−WELLのインプラがないスイッチSW13(〜SW16)の説明図である。
【0094】
スイッチSW13(〜SW16)においても、前述したようにNチャネルMOSからなり、P形半導体基板31上にソース/ドレインからなる拡散層32,33が形成されている。
【0095】
そして、P形半導体基板31上の拡散層32,33に挟まれた所定の位置には、チャネルが形成されており、該チャネルの上方には、絶縁膜34を介してゲート35が形成されている。
【0096】
この場合、NチャネルMOSトランジスタの形成時において、P−WELLインプラに対してインプラマスク36をすることによってP−WELLインプラが入らないようにする。これにより、1枚のインプラマスク36だけでインプラありとインプラなしのMOSトランジスタを容易に形成することができる。
【0097】
それにより、本実施の形態2においても、フラッシュメモリ1のレイアウト面積を小さくしながら、高精度で安定した昇圧電圧VPPをメモリ回路4に供給することができる。
【0098】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0099】
また、前記実施の形態1,2では、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5(図1)が、昇圧電圧VPP、および降圧電圧VDLをそれぞれ生成する構成としたが、たとえば、複数の電圧レベルの昇圧電圧、および複数の電圧レベルの降圧電圧をそれぞれ生成する構成とすることもできる。
【0100】
これにより、1つのメモリセルにある電圧レベルのしきい値を複数設定し、2ビット以上のデータを記憶させる多値記憶技術を用いた多値フラッシュメモリに用いることができる。
【0101】
この場合、フラッシュメモリには、読み出し/書き込み/消去電圧として複数の異なる電圧レベルの昇圧電圧VPP1〜VPPn、および複数の異なる電圧レベルの降圧電圧VDL1〜VDLnが必要となる。
【0102】
図10は、多値フラッシュメモリに用いられる読み出し/書き込み/消去電圧生成回路(昇降圧電源部)5aの一例を示すブロック図である。
【0103】
図示するように、読み出し/書き込み/消去電圧生成回路5aは、昇圧回路20,昇圧回路211 〜21n 、降圧回路221 〜22n 、および安定化回路21a1 〜21an ,22a1 〜22an から構成されている。
【0104】
昇圧回路20は、実施の形態1と同様に、内部電源電圧VDDから昇圧電圧VP1を生成する。そして、昇圧回路211 〜21n は、昇圧電圧VP1を昇圧し、それぞれ電圧レベルの異なる昇圧電圧VPP1〜VPPnをそれぞれ生成する。降圧回路221 〜22n は、昇圧電圧VP1を降圧してそれぞれ電圧レベルの異なる降圧電圧VDL1〜VDLnをそれぞれ生成する。
【0105】
また、安定化回路(第1の安定化回路)21a1 〜21an は、昇圧回路211 〜21n からそれぞれ出力される昇圧電圧VPP1〜VPPnの電圧レベルをモニタし、これら昇圧電圧VPP1〜VPPnがほぼ一定レベルとなるように昇圧回路211 〜21n の動作制御をそれぞれ行う。
【0106】
安定化回路(第2の安定化回路)22a1 〜22an は、降圧回路221 〜22n からそれぞれ出力される降圧電圧VDL1〜VDLnの電圧レベルをモニタし、これら降圧電圧VDL1〜VDLnがほぼ一定レベルとなるように降圧回路221 〜22n の動作制御をそれぞれ行う。
【0107】
それによっても、多値フラッシュメモリのレイアウト面積を小さくしながら、高精度で安定した複数の電圧レベルの昇圧電圧VPP1〜VPPnを供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、2種類以上の電源電圧に対応する不揮発性半導体メモリにおける昇圧電圧、および降圧電圧の供給技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1によるフラッシュメモリのブロック図である。
【図2】図1のフラッシュメモリに設けられた読み出し/書き込み/消去電圧生成回路の一例を示すブロック図である。
【図3】図2の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路に設けられた昇圧回路の一例を示す回路図である。
【図4】図2の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路における他の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2によるフラッシュメモリに設けられた読み出し/書き込み/消去電圧生成回路のブロック図である。
【図6】図5の読み出し/書き込み/消去電圧生成回路に設けられた昇圧回路の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示す昇圧回路における昇圧効率の低下を回避する構成の一例を示した回路図である。
【図8】図7の昇圧回路に設けられたP−WELLのインプラがあるスイッチの説明図である。
【図9】図7の昇圧回路に設けられたP−WELLのインプラがないスイッチの説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態によるフラッシュメモリに設けられた読み出し/書き込み/消去電圧生成回路の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
1 フラッシュメモリ(半導体集積回路装置)
2 入出力回路
3 ロジック回路
4 メモリ回路
5,5a 読み出し/書き込み/消去電圧生成回路(昇降圧電源部)
6 マルチプレクサ
7 データ入力バッファ
8 制御信号バッファ
9 電源回路
10 ページアドレスバッファ
11 入力データコントローラ
12 カラムアドレスカウンタ
13 読み出し/書き込み/消去コントローラ
14 データ出力バッファ
15 Xデコーダ
16 Yデコーダ
17 Yゲート
18 データレジスタ
19 メモリアレイ
20,21 昇圧回路
211 〜21n 昇圧回路
21a,21a1 〜21an 安定化回路(第1の安定化回路)
22 降圧回路
221 〜22n 降圧回路
22a,22a1 〜22an 安定化回路(第2の安定化回路)
23 昇圧回路
24 昇圧回路
25 P形半導体基板
26 P−WELL
27,28 拡散層
29 絶縁膜
30 ゲート
31 P形半導体基板
32,33 拡散層
34 絶縁膜
35 ゲート
36 インプラマスク
SW1〜SW16 スイッチ(スイッチ用トランジスタ)
C1〜C8 静電容量
VDD 内部電源電圧
VPP,VPP1〜VPPn 昇圧電圧
VDL,VDL1〜VDLn 降圧電圧
VP1,VP2 昇圧電圧
φ,/φ クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不揮発性メモリセルを有するメモリアレイと、外部から供給される外部電源電圧から、昇圧電圧、および降圧電圧を生成する昇降圧電源部とを備えた半導体集積回路装置であって、
前記昇降圧電源部は、
直列接続された少なくとも2つの昇圧回路と、
前記少なくとも2つの昇圧回路のうち、最終段の昇圧回路に接続され、前記最終段の昇圧回路の動作制御を行う第1の安定化回路と、
前記少なくとも2つの昇圧回路のうち、前記最終段の昇圧回路に並列接続され、前記最終段の昇圧回路に接続された前段の昇圧回路によって昇圧された昇圧電圧を降圧して降圧電圧を生成する降圧回路と、
前記降圧回路に接続され、前記降圧回路の動作制御を行う第2の安定化回路とよりなることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記少なくとも2つの昇圧回路のうち、初段の昇圧回路は、並列型チャージポンプ回路よりなることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記少なくとも2つの昇圧回路のうち、初段の昇圧回路は、直列型チャージポンプ回路よりなることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記第1の安定化回路が接続された前記最終段の昇圧回路が2以上設けられ、
前記2以上の昇圧回路は、異なる電圧レベルの昇圧電圧をそれぞれ生成することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記第2の安定化回路が接続された前記降圧回路が2以上設けられ、
前記2以上の降圧回路は、異なる電圧レベルの降圧電圧をそれぞれ生成することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記昇降圧電源部が生成する昇圧電圧、および降圧電圧は、前記メモリアレイに供給され、前記不揮発性メモリセルに情報を格納する書き込み動作、前記不揮発性メモリセルに格納した情報を読み出す読み出し動作、前記不揮発性メモリセルに格納した情報を消去する消去動作の各動作に用いられることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項2記載の半導体集積回路装置において、
前記初段の昇圧回路は、
前記並列型チャージポンプ回路を構成する複数のスイッチ用トランジスタのうち、初段のスイッチ用トランジスタのしきい値電圧が最も高いことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記初段のスイッチ用トランジスタは、WELL不純物濃度を高めることにより、しきい値電圧を上げたことを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−4506(P2006−4506A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178845(P2004−178845)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】