説明

半径方向内向きに延びるブレードを備えた航空機用ガスタービンエンジン繊維複合材強化ドラム

【課題】軽量で堅牢な内向きブレードを備えた回転ドラムを提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジン組立体2は、回転ドラム46から半径方向内向きに延びるブレード17を備えたのブレード列48、50、52と、回転ドラム46の周りに円周方向に配置された複合繊維材料製リング72とを有し、複合繊維材料製リングは、円周方向に延びる高強度繊維73又はフィラメントを含む。リングは、ブレード列と軸方向に整列することができる。リングのリング幅は、ドラム46の半径方向内表面におけるブレードのブレード基部でのブレード幅よりも小さい幅とすることができる。リングは、一体形マトリックス内に配置された複数の円周方向に延びる補強構造繊維又はフィラメントを含む材料で製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より具体的には、そのようなエンジンのための半径方向内向きに延びるブレードを有する回転ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボファン型のガスタービンエンジンは一般的に、前方のファン及びブースタ圧縮機、中間のコアエンジン、並びに後方の低圧出力タービンを含む。コアエンジンは、直列の流れ関係で、高圧圧縮機、燃焼器及び高圧タービンを含む。コアエンジンの高圧圧縮機及び高圧タービンは、高圧シャフトによって相互連結される。高圧圧縮機、タービン及びシャフトは、本質的に高圧ロータを形成する。高圧圧縮機は、回転駆動されて、コアエンジンに流入する空気を比較的高圧に加圧する。この高圧空気は次に、燃焼器内で燃料と混合されかつ点火されて、高エネルギーガスストリームを形成する。ガスストリームは、後方に流れかつ高圧タービンを通過して、該高圧タービン及び高圧シャフトを回転駆動し、高圧シャフトが次に、圧縮機を回転駆動する。
【0003】
高圧タービンから流出するガスストリームは、第2のタービンつまり低圧タービンを通って膨張する。低圧タービンは、低圧シャフトを介してファン及びブースタ圧縮機を回転駆動し、これらの全てが、低圧ロータを形成する。低圧シャフトは、高圧ロータを貫通して延びる。幾つかのファンジェットエンジンは、二重反転タービンを有し、この二重反転タービンが二重反転ファン及びブースタつまり低圧圧縮機に動力を供給するように設計されてきた。米国特許第4,790,133号、第4,860,537号、第5,307,622号及び第6,732,502号は、二重反転ファン及びブースタつまり低圧圧縮機に動力を供給する二重反転低圧タービン(LPT)を開示している。生み出される推力の大部分は、ファンによって発生する。また、ギヤボックスを使用してファン及びブースタの二重反転を生じさせる二重反転ファンエンジンのような様々な設計も存在している。
【0004】
二重反転ブースタは一般的に、第1の組のブースタブレードが第2の組のブースタブレードに対して逆方向回転するような状態で交差指状に相互配置された二重反転ブレードを有しており、その場合、ブレードの組の一方は、回転外側シェル、ドラム又はダクトに取付けられかつ該回転外側シェル、ドラム又はダクトから半径方向内向きに延びている。本出願人であるGeneral Electric Companyに譲渡され、「半径方向内向きに延びる回転ブースタブレード及び半径方向外向きに延びる非回転ブースタベーンを有する航空機用ガスタービンエンジンブースタ」の名称でありかつ現在Docket No.228194で指定されている米国特許出願番号第 号に開示されたような、回転ドラムから半径方向内向きに延びるブースタブレードを備えた1つ又はそれ以上の回転ブースタ段と非回転環状構造体から半径方向外向きに延びるブースタベーンを有する1つ又はそれ以上の非回転ベーン段とを有するガスタービンエンジンブースタもまた、開発されている。それから半径方向内向きに延びかつ互いに軸方向に間隔を置いて配置された第1のタービンブレード列を備えた第1の環状低圧ドラムを含む二重反転低圧タービンが、開発された。第1の低圧タービンブレード列は、第2の環状低圧ドラムから半径方向外向きに延びる第2の低圧タービンブレード列と交差指状に相互配置される。
【0005】
半径方向内向きに延びるブレード列を備えたドラムは、ドラムの重量が阻害要因となる構造要件を有する。ブレードを取付けるのに必要なドラム構造体の付加重量もまた、エンジンの燃料消費率を増大させる傾向になる。ブレードの回転による遠心力は、分厚くすることによりドラムの強度を増すことによって、それ故ドラムに更なる重量を付加することによって対処しなくてはならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,790,133号公報
【特許文献2】米国特許第4,860,537号公報
【特許文献3】米国特許第5,307,622号公報
【特許文献4】米国特許第6,732,502号公報
【特許文献5】米国特許第3,554,667号公報
【特許文献6】米国特許第3,625,634号公報
【特許文献7】米国特許第3,765,796号公報
【特許文献8】米国特許第5,632,600号公報
【特許文献9】米国特許第6,213,720号公報
【特許文献10】米国特許第3,519,368号公報
【特許文献11】米国特許第3,610,777号公報
【特許文献12】米国特許第3,787,141号公報
【特許文献13】米国特許第4,976,102号公報
【特許文献14】米国特許第5,261,227号公報
【特許文献15】米国特許第5,660,526号公報
【特許文献16】米国特許第6,145,300号公報
【特許文献17】米国特許第6,247,638号公報
【特許文献18】米国特許第6,619,030号公報
【特許文献19】米国特許第6,666,017号公報
【特許文献20】米国特許第6,739,120号公報
【特許文献21】米国特許第6,763,652号公報
【特許文献22】米国特許第6,763,654号公報
【特許文献23】米国特許第6,883,303号公報
【特許文献24】米国特許出願公開第2003/0163983号公報
【特許文献25】米国特許出願公開第2003/0200741号公報
【特許文献26】米国特許出願公開第2004/0055276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ドラムの重量を最小にするためには、それらに代わる一層堅牢なドラム設計又は構成が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ガスタービンエンジン組立体は、回転ドラムから半径方向内向きに延びるブレードを有する1つ又はそれ以上のブレード列を含む。1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リングは、回転ドラムの半径方向外表面の周りに円周方向に配置されかつ1つ又はそれ以上のブレード列のブレードの半径方向外側に設置される。複合繊維材料製リングは、ドラムの周りで円周方向に延びる高強度繊維又はフィラメントを含む。フィラメントは、ドラムの周りに引張り状態で巻付けられかつ乾式又は湿式とすることができる。湿式フィラメントは、マトリックス材料で覆われるか又はその他の方法でマトリックス材料を含有するフィラメントである。湿式フィラメントは、巻付けた後に硬化させて、硬質の複合繊維材料製リングを形成する。
【0009】
1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リングは、それぞれ1つ又はそれ以上のブレード列とほぼ軸方向に整列させることができる。リングは、ドラムの半径方向内表面におけるブレードのブレード基部でのブレード幅よりも小さい幅であるリング幅を有することができる。リングは、一体形マトリックス内に配置された複数の円周方向に延びる補強構造繊維又はフィラメントを含む材料で製作することができる。
【0010】
ガスタービンエンジンブースタは、回転ドラムから半径方向内向きに延びるブースタブレードを有する1つ又はそれ以上の回転ブースタ段と、回転ドラムの半径方向外表面の周りに円周方向に配置されかつ1つ又はそれ以上の回転ブースタ段のブレードの半径方向外側に設置された1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リングとを含む。複合繊維材料製リングは、ドラムの周りで円周方向に延びる高強度繊維又はフィラメントを含む。
【0011】
ガスタービンエンジンブースタはさらに、非回転環状構造体から半径方向外向きに延びるブースタベーンを有する1つ又はそれ以上の非回転ベーン段と、それぞれ1つ又はそれ以上の回転ブースタ段のブースタブレードの1つ又はそれ以上のブースタブレード列と、それぞれ1つ又はそれ以上の非回転ベーン段のブースタベーンの1つ又はそれ以上のベーン列と含むことができる。ブースタブレード列は、ベーン列と交差指状に相互配置される。
【0012】
ガスタービンエンジンブースタは、二重反転ブースタブレードを有する二重反転ブースタとすることができ、またドラムは、第1の回転ブースタドラムである。二重反転ブースタブレードの第1の組は、第1の回転ブースタドラムから半径方向内向きに延び、二重反転ブースタブレードの第2の組は、第2の回転ブースタドラムから半径方向外向きに延び、また第1の二重反転ブレード列の1つ又はそれ以上は、第2の二重反転ブレード列の1つ又はそれ以上と交差指状に相互配置される。
【0013】
二重反転低圧タービンは、回転外側ドラムから半径方向内向きに延びる低圧タービンブレードを有する複数の第1の軸方向に間隔を置いて配置された低圧タービンブレード列と、回転外側ドラムの半径方向外表面の周りに円周方向に配置された1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リングとを含み、1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リングは、第1の低圧タービンブレード列の低圧タービンブレードの半径方向外側に配置され、また複合繊維材料製リングは、外側ドラムの周りで円周方向に延びる高強度繊維又はフィラメントを含む。二重反転低圧タービンはさらに、内側ドラムから半径方向外向きに延びる低圧タービンブレードを有する1つ又はそれ以上の第2の低圧タービンブレード列を含むことができ、第2の低圧タービンブレード列は、1つ又はそれ以上の第1の低圧タービンブレード列と交差指状に相互配置される。
【0014】
本発明の上記の態様及びその他の特徴は、添付図面に関連させて行なう以下の記述において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エンジンのブースタ及び二重反転タービン内の回転ドラムから半径方向内向きに延びる回転ブレードとドラムの半径方向外表面の周りの複合繊維材料製リングとを備えた航空機用ターボファンガスタービンエンジンの例示的な実施形態の長手方向断面図。
【図2】図1に示すブースタドラムと複合繊維材料製リングとの拡大長手方向断面図。
【図3】図1に示すタービンドラムと複合繊維材料製リングとの拡大長手方向断面図。
【図4】二重反転ブースタと、ブースタドラムから半径方向内向きに延びるブースタブレードと、ブースタドラムの半径方向外表面の周りの複合繊維材料製リングとを備えた航空機用ターボファンガスタービンエンジンの例示的な実施形態の長手方向断面図。
【図5】図4示すブースタドラムと複合繊維材料製リングとの拡大長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2に示すのは、エンジン中心線8を囲む例示的なターボファンガスタービンエンジン10であり、ターボファンガスタービンエンジン10は、周囲空気5の吸入空気流を受けるファンセクション12を有する。ファンセクション12は、それぞれ第1及び第2のファンブレード列13、15を備えた第1及び第2の二重反転ファン段4、6を有する。ガスタービンエンジンのロータ組立体の代表的なものであるブースタ16は、ほぼ第1及び第2のファン段4、6の軸方向間に設置される。ブースタ16をほぼ第1及び第2のファン段4、6間に設置することは、これら2つのファン段間の空気力学的相互作用による騒音を低減するのを助ける。
【0017】
ブースタ16は、それぞれ第1、第2及び第3のブースタブレード列48、50、52を備えた第1、第2及び第3の回転ブースタ段38、40、42を有する。第1、第2及び第3のブースタブレード列48、50、52のブースタブレード17は、第2のファン段6に連結された回転ドラム46から半径方向内向きに延びる。ブースタ16は、それぞれ第1及び第2のベーン列66、68を備えた第1及び第2の非回転ベーン段62、64を有する。複合繊維材料製リング72が、回転ドラム46の半径方向外表面の周りにかつ第1、第2及び第3のブースタブレード列48、50、52のブースタブレード17の半径方向外側に配置される。複合繊維材料製リング72は、第1、第2及び第3のブースタブレード列48、50、52とほぼ軸方向に整列しており、またドラム46の半径方向内表面84におけるブースタブレード17のブレード基部78でのブレード幅BWよりも小さい幅であるリング幅RWを有する。リング幅RWは、必ずしもドラム46の半径方向内表面84におけるブレード幅BWよりも小さい幅である必要はない。
【0018】
複合繊維材料製リング72は、ドラム46の質量を最小にするのを助け、また、たとえリング72の一部の繊維73又はフィラメントが破損した場合であっても、残りの繊維73又はフィラメントが、回転ブレード14をドラム上の所定の位置に保持するその構造的機能を果たすのにより十分な強度をリングに依然として与えることになるので、レダンダント構造となる。複合繊維材料製リング72は、ドラム46の周りで円周方向に延びる高強度繊維73又はフィラメントを含む。これらの繊維73又はフィラメントの強度は、それらがドラム上で置き換わる金属材料と等価なものとすることができるが、その重量は、約1/3である。繊維73又はフィラメントは、円周方向のフープ歪みを支持し、それにより、レダンダント構成が得られる。繊維又はフィラメントが破断した場合でも、割れが伝播することはない。商業飛行では、回転部品には寿命限界が設けられており、このことは、複合繊維材料の回転部品についても同様になっている。寿命限界値に達した場合には、使用済み複合繊維製リングは、取外し、ドラムの周りに新しいリングを巻付けるか又はその他の方法で配置することができる。
【0019】
当技術分野では、使用可能である多くの繊維又はフィラメントが存在しておりかつ良く知られている。幾つかの例示的な複合繊維材料が、米国特許第3,554,667号、第3,625,634号、第3,765,796号、第5,632,600号及び第6,213,720号に開示されている。複合繊維材料製リング72は、適当な一体形マトリックス内に配置された複数の円周方向に延びる補強構造繊維73又はフィラメントを含む軽量かつ高強度複合材料とすることができる。複合繊維材料製リング72は、マトリックス材料内に埋込まれた1つ又はそれ以上の円周方向に巻付けられたフィラメントを含むことができ、またフィラメント及びマトリックスは、カーボンで製造することができる。その他の実施可能なフィラメント及びマトリックス材料の実施例には、サファイア−ニッケル、ホウ素−チタニウム、及び黒鉛−黒鉛がある。フィラメントは、ドラムの周りに引張り状態で巻付けられ、かつ乾式又は湿式とすることができる。湿式フィラメントは、マトリックス材料で覆われるか又はその他の方法でマトリックス材料を含有するフィラメントである。湿式フィラメントは、巻付けた後に硬化させて、硬質の複合繊維材料製リング72を形成する。
【0020】
第1及び第2のベーン段62、64のブースタベーン65は、前方フレームつまりファンフレーム34に固定連結された非回転シェル69又はその他の環状構造体から半径方向外向きに延びる。第1、第2及び第3のブースタブレード列48、50、52は、第1及び第2のベーン列66、68と交差指状に配置される。従って、エンジンが加速した時、ブースタブレード17は、半径方向外向きに付勢されるが、非回転シェル69は半径方向において所定の位置に留まり、従ってシェルに対するブレードの摩擦を減少又は回避させる。このことは次に、ブースタ16の堅牢かつ軽量な設計を可能にする。第2のファン段6の第2のファンブレード列15のファンブレード14は、ブースタ16の半径方向外側に取付けられ、かつ回転ドラム46に連結される。
【0021】
図1を参照すると、ファンセクション12に後続して、高圧圧縮機(HPC)18、燃焼器20及び二重反転低圧タービン(LPT)26が配置され、燃焼器20は、燃料をHPC18によって加圧された空気5と混合して燃焼ガスを発生させ、燃焼ガスは、高圧タービン(HPT)24及びLPT26を通って下流方向に流れ、LPT26から出てエンジン10から放出される。高圧シャフト27は、HPT24をHPC18に接合して第1のロータつまり高圧ロータ33を実質的に形成する。高圧圧縮機18、燃焼器20及び高圧タービン24は、まとめてコアエンジン25と呼ばれるが、コアエンジン25には、本特許では高圧シャフト27が含まれる。
【0022】
ファンケーシング11及び回転環状半径方向内側バイパスダクト壁9が半径方向の境界となったバイパスダクト21が、ブースタ16とコアエンジン25の高圧圧縮機18へのコアエンジン吸入ダクト19とを囲む。バイパスダクト21は、ファンケーシング11及び環状半径方向内側バイパスダクト壁9がその半径方向の境界になっている。半径方向内側バイパスダクト壁9は、第2のファンブレード列15に固定取付けされた回転ドラム46を有する回転壁セクション22を含む。第2のファンブレード列15は、バイパスダクト21の内部で半径方向に配置され、またファンブレード14は、回転壁セクション22から半径方向外向きに延び、かつ回転ドラム46の半径方向外側に設置される。
【0023】
吸入ダクト19は、第1のファン段4及び第1のファンブレード列13の軸方向後方及び下流に設置された入口235を有しており、この入口235は、第1のファン段4から流出しかつ吸入ダクト19に流入しさらに高圧圧縮機18及びコアエンジン25内に流れるファン空気流126のコア部分124から、滑走路からのデブリ(FOD)、塵埃、粒子及び氷が遠心分離されるのを可能にする。ブースタブレード17及びベーン65は、吸入ダクト19を横切って配置される。
【0024】
図1及び図3を参照すると、ガスタービンエンジンロータ組立体の別の例示的かつ代表的なものである二重反転低圧タービン26は、後方低圧内側円錐形シャフト延長部132によって低圧内側シャフト130に対して回転可能に取付けられた環状外側ドラム136を含む。外側ドラム136は、該外側ドラム136から半径方向内向きに延びる第1の低圧タービンブレード160を有する複数の第1の軸方向に間隔を置いて配置された低圧タービンブレード列138を含む。外側ドラム136は、後方低圧内側円錐形シャフト延長部132にボルト止めされた第1の低圧タービンブレード列138の最終段139から片持ち支持されている。
【0025】
図3を参照すると、複合繊維材料製リング72は、回転外側ドラム136の半径方向外表面74の周りにかつ第1の軸方向に間隔を置いて配置された低圧タービンブレード列138の第1の低圧タービンブレード160の半径方向外側に配置される。複合繊維材料製リング72は、第1の低圧タービンブレード列138とほぼ軸方向に整列しており、かつ外側ドラム136の半径方向内表面84における第1の低圧タービンブレード160のブレード基部78でのブレード幅BWよりも小さい幅であるリング幅RWを有する。リング幅RWは、必ずしもドラム136の半径方向内表面84におけるブレード幅BWよりも小さい幅である必要はない。
【0026】
図1を参照すると、二重反転低圧タービン26はまた、後方低圧外側円錐形シャフト延長部142によって低圧外側シャフト140に対して回転可能に取付けられた環状低圧内側ドラム146を含む。内側ドラム146は、該内側ドラム146から半径方向外向きに延びかつ互いに軸方向に間隔を置いて配置された第2の低圧タービンブレード162を有する複数の第2の低圧タービンブレード列148を含む。第1の低圧タービンブレード列138は、第2の低圧タービンブレード列148と交差指状に配置される。
【0027】
低圧外側シャフト140は、内側ドラム146をブースタ16に駆動連結し、このブースタ16に対して第2のファンブレード列15が連結される。ブースタ16及び第2のファンブレード列15は、前方円錐形外側シャフト延長部143によって低圧外側シャフト140に連結される。低圧外側シャフト140、内側ドラム146、第2のファンブレード列15及びブースタ16は、低圧外側ロータ202の主要構成要素である。低圧内側シャフト130は、外側ドラム136を第1のファンブレード列13に駆動連結する。第1のファンブレード列13は、前方円錐形内側シャフト延長部133によって低圧内側シャフト130に連結される。低圧内側シャフト130、外側ドラム136及び第1のファンブレード列13は、低圧内側ロータ200の主要構成要素である。それぞれ低圧内側及び外側シャフト130、140は、少なくとも部分的に高圧ロータ33と同軸にかつ該高圧ロータ33の半径方向内側に回転可能に配置される。
【0028】
低圧外側ロータ202は、前方円錐形外側シャフト延長部143を介して、第1の軸受支持構造体44内に取付けられた後方スラスト軸受43及び第2の軸受支持構造体47内に取付けられたローラ軸受である第2の軸受36によってファンフレーム34により軸方向及び半径方向に回転可能に支持される。低圧内側ロータ200は、前方円錐形内側シャフト延長部133を介して、前方円錐形外側シャフト延長部143の前方に延びる延長部56と該前方円錐形内側シャフト延長部133との間に取付けられた前方差動スラスト軸受55によってファンフレーム34により軸方向及び半径方向に回転可能に支持される。低圧内側ロータ200はさらに、低圧内側シャフト130と低圧外側シャフト140との間のローラ軸受である前方差動軸受208によってファンフレーム34により半径方向に回転可能に支持される。第1及び第2の軸受支持構造体44、47は、ファンフレーム34に固定取付けされる。ファンケーシング11は、ファンフレーム支柱35によってファンフレーム34に対して固定連結される。
【0029】
低圧外側ロータ202は、低圧外側シャフト140に連結された後方低圧外側円錐形シャフト延長部142を介して、タービン間フレーム60内の第3の軸受76によって半径方向に回転可能に支持される。第3の軸受76は、タービン間フレーム60の後方部分110に取付けられた後方軸受支持構造体97と後方低圧外側円錐形シャフト延長部142の前方内側延長部190との間に配置される。低圧外側ロータ202は、第3の軸受76によって最後方で回転可能に支持される。HPT24及びLPT26の軸方向間に設置されたタービン間フレーム60は、低圧タービン26全体を実質的に支持する。
【0030】
低圧内側ロータ200は、低圧内側シャフト130に連結された後方低圧内側円錐形シャフト延長部132を介して、低圧外側ロータ202の後方低圧外側円錐形シャフト延長部142によって半径方向に回転可能に支持される。差動軸受144(シャフト間軸受とも呼ばれる)が、後方低圧外側円錐形シャフト延長部142の後方内側延長部192と後方低圧内側円錐形シャフト延長部132の外側延長部194との間に配置される。これにより、低圧内側及び外側ロータ200、202が互いに逆方向に回転する(二重反転する)ことが可能になる。
【0031】
高圧ロータ33の高圧圧縮機18の前方高圧端部70は、ファンフレーム34に取付けられた軸受組立体支持構造体82内に取付けられた軸受組立体80によって半径方向に回転可能に支持される。高圧ロータ33の後方端部92は、タービン間フレーム60の前方部分108に取付けられた前方軸受支持構造体96内に取付けられた第5の軸受94によって後方で半径方向に回転可能に支持される。前方及び後方軸受支持構造体96、97は、タービン間フレーム60のそれぞれ前方及び後方部分108、110に固定接合されるか又は取付けられかつ軸方向に間隔を置いて配置される。タービン間フレーム60のそれぞれ前方及び後方部分108、110は、構造リング88によって分離される。
【0032】
LPT26の後方には、出口案内ベーン組立体150が設置され、この出口案内ベーン組立体150は、低圧タービンケーシング54と環状ボックス構造体154との間で半径方向内向きに延びる固定出口案内ベーン152の列を支持する。出口案内ベーン組立体150は、LPT26から流出するガス流の渦流を取除く。連結された低圧タービンケーシング54は、HPT24及びLPT26間のタービン間移行ダクト114の端部においてエンジンケーシング45にボルト止めされる。ドーム状カバープレート156が、環状ボックス構造体154にボルト止めされる。
【0033】
図4及び図5に概略的に示すのは、二重反転ブースタ216を備えた航空機用ターボファンガスタービンエンジン10の例示的な実施形態であり、この二重反転ブースタ216は、第1及び第2の二重反転ブレード列229、231内に二重反転ブースタブレード217の第1及び第2の二重反転の組218、221を備えている。二重反転ブースタブレード217の第1の組218は、第1の回転ブースタドラム246から半径方向内向きに延び、また二重反転ブースタブレード217の第2の組221は、第2の回転ブースタドラム248から半径方向外向きに延びる。第1の二重反転ブレード列229の1つ又はそれ以上は、第2の二重反転ブレード列231の1つ又はそれ以上と交差指状に配置される。第1及び第2の回転ブースタドラム246、248は、図4に示すように、それぞれ第1及び第2の二重反転ファン段4、6に連結されかつ該第1及び第2の二重反転ファン段4、6と共に回転可能である。
【0034】
図5をより具体的に参照すると、複合繊維材料製リング72は、第1のドラム246の半径方向外表面74の周りにまた第1の回転ブースタドラム246から半径方向内向きに延びるブースタブレード217の半径方向外側に配置される。複合繊維材料製リング72は、第1の回転ブースタドラム246から半径方向内向きに延びるブースタブレード217とほぼ軸方向に整列している。複合繊維材料製リング72は、第1のドラム246の半径方向内表面84におけるブースタブレード17のブレード基部78でのブレード幅BWよりも小さい幅であるリング幅RWを有する。リング幅RWは、必ずしもドラム246の半径方向内表面84におけるブレード幅BWよりも小さい幅である必要はない。
【0035】
本発明を例示的な方法で説明してきた。使用した用語は、限定のためではなく説明のための用語の性質のものであることを意図していることを理解されたい。本明細書では、本発明の好ましくかつ例示的な実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本明細書の教示から本発明のその他の変更形態も当業者には明らかになる筈であり、従って全てのそのような変更形態は、本発明の技術思想及び技術的範囲内に属するものとして特許請求の範囲で保護されることを切望する。
【0036】
従って、本特許によって保護されるのが望ましいものは、提出した特許請求の範囲において特定しかつ差別化した発明である。
【符号の説明】
【0037】
2 ガスタービンエンジンロータ組立体
4 第1のファン段
5 周囲空気
6 第2のファン段
8 エンジン中心線
9 バイパスダクト壁
10 ガスタービンエンジン
11 ファンケーシング
12 ファンセクション
13 第1のファンブレード列
14 ファンブレード
15 第2のファンブレード列
16 ブースタ
17 ブースタブレード
18 高圧圧縮機(HPC)
19 吸入ダクト
20 燃焼器
21 バイパスダクト
22 回転壁セクション
24 高圧タービン(HPT)
25 コアエンジン
26 低圧タービン(LPT)
27 高圧シャフト
33 高圧ロータ
34 ファンフレーム
35 フレーム支柱
36 第2の軸受
38 第1のブースタ段
40 第2のブースタ段
42 第3のブースタ段
43 後方スラスト軸受
44 第1の軸受支持構造体
45 エンジンケーシング
46 回転ドラム
47 第2の軸受支持構造体
48 第1のブースタブレード列
50 第2のブースタブレード列
52 第3のブースタブレード列
54 低圧タービンケーシング
55 前方差動スラスト軸受
56 前方に延びる延長部
60 タービン間フレーム
62 第1のベーン段
64 第2のベーン段
65 ブースタベーン
66 第1のベーン列
68 第2のベーン列
69 非回転シェル
70 前方高圧端部
72 複合繊維材料製リング
73 繊維
74 外表面
76 第3の軸受
78 ブレード基部
80 軸受組立体
82 軸受組立体支持構造体
84 内表面
88 構造リング
92 後方端部
94 第5の軸受
96 前方軸受支持構造体
97 後方軸受支持構造体
108 前方部分
110 後方部分
114 タービン間移行ダクト
124 コア部分
126 ファン空気流
130 低圧内側シャフト
132 後方低圧内側円錐形シャフト延長部
133 前方円錐形内側シャフト延長部
136 外側ドラム
138 第1の低圧タービンブレード列
139 最終段
140 低圧外側シャフト
142 後方低圧外側円錐形シャフト延長部
143 前方円錐形外側シャフト延長部
144 差動軸受
146 内側ドラム
148 第2の低圧タービンブレード列
150 出口案内ベーン組立体
152 出口案内ベーン
154 環状ボックス構造体
156 ドーム状カバープレート
160 第1の低圧タービンブレード
162 第2の低圧タービンブレード
190 前方内側延長部
192 後方内側延長部
194 外側延長部
200 低圧内側ロータ
202 低圧外側ロータ
208 前方差動軸受
216 二重反転ブースタ
217 二重反転ブースタブレード
218 第1の組
221 第2の組
229 第1のブレード列
231 第2のブレード列
235 入口
246 第1のドラム
248 第2のドラム
RW リング幅
BW ブレード幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン組立体(2)であって、
回転ドラム(46)から半径方向内向きに延びるブレード(17)を有する1つ又はそれ以上のブレード列(48、50、52)と、
前記回転ドラム(46)の半径方向外表面(74)の周りに円周方向に配置されかつ前記1つ又はそれ以上のブレード列(48、50、52)のブレード(17)の半径方向外側に設置された1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)と、を含み、
前記複合繊維材料製リング(72)が、前記ドラム(46)の周りで円周方向に延びる高強度繊維(73)又はフィラメントを含む、
組立体(2)。
【請求項2】
前記1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)が、それぞれ前記1つ又はそれ以上のブレード列(48、50、52)とほぼ軸方向に整列している、請求項1記載の組立体(2)。
【請求項3】
前記複合繊維材料製リング(72)が、前記ドラム(46)の半径方向内表面(84)における前記ブレード(17)のブレード基部(78)でのブレード幅(BW)よりも小さい幅のリング幅(RW)を有する、請求項2記載の組立体(2)。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)が、一体形マトリックス内に配置された複数の円周方向に延びる補強構造繊維(73)又はフィラメントを含む材料で製作される、請求項1または2に記載の組立体(2)。
【請求項5】
ガスタービンエンジンブースタ(16)であって、
回転ドラム(46)から半径方向内向きに延びるブースタブレード(17)を有する1つ又はそれ以上の回転ブースタ段(30、40、42)と、
前記回転ドラム(46)の半径方向外表面(74)の周りに円周方向に配置されかつ前記1つ又はそれ以上の回転ブースタ段(30、40、42)のブレード(17)の半径方向外側に設置された1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)と、を含み、
前記複合繊維材料製リング(72)が、前記ドラム(46)の周りで円周方向に延びる高強度繊維(73)又はフィラメントを含む、
ガスタービンエンジンブースタ(16)。
【請求項6】
非回転環状構造体(69)から半径方向外向きに延びるブースタベーン(65)を有する1つ又はそれ以上の非回転ベーン段(62、64)と、
それぞれ前記1つ又はそれ以上の回転ブースタ段(30、40、42)のブースタブレード(17)の1つ又はそれ以上のブースタブレード列(48、50、52)と、
それぞれ前記1つ又はそれ以上の非回転ベーン段(62、64)のブースタベーン(65)の1つ又はそれ以上のベーン列(66、68)と、をさらに含み、
前記ブースタブレード列(48、50、52)が、前記ベーン列(66、68)と交差指状に相互配置される、
請求項5記載のガスタービンエンジンブースタ(16)。
【請求項7】
該ガスタービンエンジンブースタ(16)が、二重反転ブースタ(216)であり、
前記ブースタブレード(17)が、二重反転ブースタブレード(217)であり、
前記ドラム(46)が、第1の回転ブースタドラム(246)であり、
前記二重反転ブースタブレード(217)の第1の組(218)が、前記第1の回転ブースタドラム(246)から半径方向内向きに延び、
前記二重反転ブースタブレード(217)の第2の組(221)が、第2の回転ブースタドラム(248)から半径方向外向きに延び、また
前記第1の二重反転ブレード列(229)の1つ又はそれ以上が、前記第2の二重反転ブレード列(231)の1つ又はそれ以上と交差指状に相互配置される、
請求項5記載のガスタービンエンジンブースタ(16)。
【請求項8】
二重反転低圧タービン(26)であって、
回転外側ドラム(136)から半径方向内向きに延びる第1の低圧タービンブレード(160)を有する複数の第1の軸方向に間隔を置いて配置された低圧タービンブレード列(138)と、
前記回転外側ドラム(136)の半径方向外表面(74)の周りに円周方向に配置された1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)と、を含み、
前記1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)が、前記第1の低圧タービンブレード列(138)の第1の低圧タービンブレード(160)の半径方向外側に配置され、
前記複合繊維材料製リング(72)が、前記外側ドラム(136)の周りで円周方向に延びる高強度繊維(73)又はフィラメントを含む、
二重反転低圧タービン(26)。
【請求項9】
内側ドラム(146)から半径方向外向きに延びる第2の低圧タービンブレード(162)を有する1つ又はそれ以上の第2の低圧タービンブレード列(148)をさらに含み、
前記第2の低圧タービンブレード列(148)が、前記1つ又はそれ以上の第1の低圧タービンブレード列(138)と交差指状に相互配置される、
請求項8記載の二重反転低圧タービン(26)。
【請求項10】
前記1つ又はそれ以上の複合繊維材料製リング(72)が、それぞれ前記1つ又はそれ以上の第1の低圧タービンブレード列(138)とほぼ軸方向に整列し、
前記複合繊維材料製リング(72)が、前記外側ドラム(136)の半径方向内表面(84)における前記低圧タービンブレード(160)のブレード基部(78)でのブレード幅(BW)よりも小さい幅のリング幅(RW)を有する、
請求項9記載の二重反転低圧タービン(26)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−121624(P2010−121624A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263441(P2009−263441)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】