印刷制御装置、および、記録媒体
【課題】 不正な複写を牽制する地紋付きの帳票を作成する際に、デザインの自由度を向上させるとともに、低コスト化を図る。
【解決手段】 複写機によるコピー時に消失する基本セキュリティ地紋と、複写機によるコピー時に明瞭に複写される隠しセキュリティ地紋とによってなるセキュリティ地紋を生成し、このセキュリティ地紋と印刷データとを印刷装置6によって印刷して帳票を作成する帳票出力装置1であり、隠しセキュリティ地紋として、各帳票に付された連番、各帳票の配布先の名称、或いは印刷日時等、帳票毎に異なる情報を示す文字列を印刷する。
【解決手段】 複写機によるコピー時に消失する基本セキュリティ地紋と、複写機によるコピー時に明瞭に複写される隠しセキュリティ地紋とによってなるセキュリティ地紋を生成し、このセキュリティ地紋と印刷データとを印刷装置6によって印刷して帳票を作成する帳票出力装置1であり、隠しセキュリティ地紋として、各帳票に付された連番、各帳票の配布先の名称、或いは印刷日時等、帳票毎に異なる情報を示す文字列を印刷する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正な目的での複写を牽制する複写牽制地紋付きの帳票を印刷させる印刷制御装置、および、その制御プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金券や印鑑証明書等の重要書類には、コピー牽制地紋が印刷された紙が使用されてきた。コピー牽制地紋とは、複写機でコピーする際に一部が消失し、一部のみ再現される紋様であり、例えば、一見して微細な幾何学模様に見えて、コピーすると「複写」という文字が浮かび上がるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコピー牽制地紋付きの帳票をコピーすると、明らかに複製と分かるコピーしか得られないので、不正な目的でのコピーを牽制する効果がある。従来、このようなコピー牽制地紋付きの帳票を作成する際には、コピー牽制地紋が既に印刷された用紙を購入し、プリンタにセットしていた。
【特許文献1】特開平11−151854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コピー牽制地紋付きの帳票を作成する場合は、常に専用の用紙を購入しなければならず、安価な用紙で代替することができないため、用紙の低コスト化が難しいという問題があった。
【0005】
また、コピー牽制地紋付きの用紙に対して専用のプリンタが用意できない場合は、普通紙と、コピー牽制地紋付きの用紙とを入れ替える手間がかかり、作業効率の低下を招くという問題があった。例えば、複数ページの書類のうち特定のページにのみコピー牽制地紋を入れる場合等、文書の一部にのみコピー牽制地紋を入れる場合は、その都度、間違いなく用紙を交換しなければならず、作業効率が著しく低下するという問題があった。コピー牽制地紋が必要な箇所が複数存在する場合や、複数部の帳票を印刷する場合には、作業性が極端に低下するという問題があった。
【0006】
さらに、コピー牽制地紋付きの紙に印刷された文書や帳票は正式な原本と見なされるので、印刷前のコピー牽制地紋付き用紙は悪用される恐れがあった。このため、印刷前の用紙についても盗難や紛失の対策を講じる必要があり、管理コストの上昇を招いていた。
【0007】
また、予めコピー牽制地紋のみを印刷した用紙が必要なため、用紙の種類を多くすると管理コストや印刷コスト等のコスト増が著しい。しかしながら、用紙の種類を少なくすると、似通った帳票しか作成できず、デザインが制約を受けるという問題があった。
【0008】
さらに、コストを抑えるために用紙の種類を少なくすると、コピー時に浮き上がる文字を「複写」、「コピー」、「無効」等、汎用的な文字列にせざるを得ず、用途に応じて異なる文字列を用いることは困難であった。
【0009】
本発明の課題は、不正な複写を牽制する地紋付きの帳票を作成する際に、デザインの自由度を向上させるとともに、低コスト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するために、次のような特徴を備えている。なお、次に示す手段の説明中、括弧書きにより実施の形態に対応する構成を一例として示す。符号等は、後述する図面参照符号等である。
【0011】
請求項1記載の発明は、
印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段(例えば、図8に示す処理を行うCPU2)と、
印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより前記印刷物を作成させる制御手段(例えば、図9に示す処理を行うCPU2)と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、複写時消失紋様とは、例えば、複写機の原稿読み取り時の解像度よりも小さいサイズのドットにより構成され、複写機によって完全な再現が不可能、或いは困難な紋様である。また、複写時消失紋様、および複写時残存紋様としては、例えば幾何学的な紋様や、ロゴマークが挙げられるが、文字列であっても良い。さらに、印刷媒体としては、例えば、紙、合成樹脂製のフィルムが挙げられるが、布を用いても良いし、その他、印刷装置によって像を定着させることが可能であれば特に限定されない。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、地紋生成手段によって、複写機による複写が困難な複写時消失紋様と複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成し、生成された複写牽制地紋を、制御手段により、印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより印刷物を作成させるので、作成された印刷物を複写機でコピーして得られる複製物は、複写時消失紋様が消失し、複写時残存紋様のみが印刷されたものとなる。従って、複写機により得られた複製物は、原本の印刷物とは外見上異なるものとなり、複写したことが明らかになるので、不正な目的での複写が意味をなさない。これにより、不正な目的での複製を牽制し、印刷内容を保護できる。
また、印刷対象の印刷データが複写牽制対象であれば、複写牽制地紋が自動的に印刷されるため、各印刷データの重要性に応じて複写牽制地紋を印刷し、印刷物を管理することができる。
また、専用の用紙等の特殊な印刷媒体を事前に用意する必要がなく、一般的な印刷媒体を使用できるので、重要な印刷物を作成させる場合であっても、印刷前の印刷媒体については厳重に管理する必要が無い。これにより、印刷媒体の低コスト化を図ることができ、さらに、管理コストの低減も図ることができる。また、複写牽制地紋が不要な印刷物と共通の印刷媒体を利用できるので、印刷媒体の交換等の手間を省くことができる。そして、地紋生成手段によって生成した複写牽制地紋を印刷するため、複写牽制地紋の種類を多くしてもコスト増の心配が無いので、状況に応じて所望の複写牽制地紋を利用でき、デザイン上の制約を受けることなく、所望の印刷物を作成できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明の印刷制御装置、および、請求項8記載の記録媒体によれば、複写機により得られた複製物は、原本の印刷物とは外見上異なるものとなり、複写したことが明らかになるので、不正な目的での複写が意味をなさない。これにより、不正な目的での複製を牽制し、印刷内容を保護できる。
また、印刷対象の印刷データが複写牽制対象であれば、複写牽制地紋が自動的に印刷されるため、各印刷データの重要性に応じて複写牽制地紋を印刷し、印刷物を管理することができる。
また、専用の用紙等の特殊な印刷媒体を事前に用意する必要がなく、一般的な印刷媒体を使用できるので、重要な印刷物を作成させる場合であっても、印刷前の印刷媒体については厳重に管理する必要が無い。これにより、印刷媒体の低コスト化を図ることができ、さらに、管理コストの低減も図ることができる。また、複写牽制地紋が不要な印刷物と共通の印刷媒体を利用できるので、印刷媒体の交換等の手間を省くことができる。そして、地紋生成手段によって生成した複写牽制地紋を印刷するため、複写牽制地紋の種類を多くしてもコスト増の心配が無いので、状況に応じて所望の複写牽制地紋を利用でき、デザイン上の制約を受けることなく、所望の印刷物を作成できる。
【0015】
請求項4記載の発明の印刷制御装置によれば、地紋生成手段は、複数の印刷物に共通する共通紋様と、印刷物毎に固有の情報を示す可変紋様とからなる複写時残存紋様を含む複写牽制地紋を生成するので、例えば、配布先の名称や、印刷日時、印刷物に順次付される連番など、印刷物毎に異なる複写時残存紋様を印刷させることができる。すなわち、印刷物を複写機で複写して得られた複製物には、原本の印刷物毎に異なる複写時残存紋様が印刷されることから、原本となった印刷物を特定でき、不正な目的での複写を強く牽制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明の印刷制御装置によれば、印刷装置により作成された印刷物に係る管理情報、例えば印刷物の文書名や、印刷担当者、印刷日時、印刷後の保管場所等の情報を記憶手段に記憶するので、複写牽制地紋付きの印刷物を容易に管理できる。また、印刷制御装置において管理情報を記憶するので、印刷後に人手で管理を行う場合に比べて、記録のミスや意図的な改変を強固に防止でき、より確実に印刷物を管理できる。
【0017】
請求項6記載の発明の印刷制御装置によれば、原本印刷制御手段によって、複写機による複写が困難な原本証明紋様を、複写牽制地紋および前記印刷データとともに印刷媒体上に印刷させ、原本印刷制限手段によって、一の前記印刷データについて原本証明紋様を印刷する回数を1回のみに制限するので、原本であることを示す原本証明紋様が印刷された印刷物は一部しか作成されない。これにより、複写牽制地紋と原本証明紋様が印刷された原本そのものの複製が行われない。このため、複写牽制地紋および原本証明紋様によって複写機による複製を牽制する一方で、原本としての印刷物の複製を防止することにより、より一層確実に印刷内容を保護し、信頼性を高めることができる。
【0018】
請求項7記載の発明の印刷制御装置によれば、正規複写印刷制御手段によって、複写機による複写が困難な正規複写証明紋様を、複写牽制地紋および印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させ、配布先数取得手段により、正規複写証明紋様が印刷される印刷物に対応する配布先の数を取得し、正規複写印刷制御手段によって一の印刷データについて正規複写証明紋様を印刷する回数を、原本印刷制限手段によって、配布先数取得手段により取得された配布先の数以下に制限するので、正規の複写であることを証明する正規複写証明紋様が印刷された印刷物は、その配布先に対応する部数しか印刷されない。これにより、複写牽制地紋と正規複写証明紋様が印刷された印刷物そのものが必要数以上複製されない。このため、複写牽制地紋および正規複写証明紋様によって複写機による複製を牽制する一方で、原本としての印刷物の余分な印刷を防止することにより、より一層確実に印刷内容を保護し、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
まず、構成を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における帳票出力装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、帳票出力装置1は、CPU(Central Processing Unit )2、RAM(Random Access Memory)3、記憶装置4、記憶装置4が有する記憶媒体5、印刷装置6、表示部7、入力部8および伝送制御部9を備えて構成され、各部はバス10により接続されている。
【0021】
CPU2は、記憶装置4に記憶されたシステムプログラム、例えばプログラムファイル4b等を読み出して、RAM3内のワークエリアに展開して実行し、帳票出力装置1の各部を駆動制御する。また、CPU2は、入力部8からの入力指示に従って、記憶装置4内の業務アプリケーションファイル4aを読み出して実行し、受注・納品管理、請求書や見積書の作成等、入力指示に対応する各種業務処理を実行する。
【0022】
そして、CPU2は、上記業務処理で作成された帳票や、入力部8における入力内容等を表示するための表示情報を生成して表示部7へ出力し、表示部7によって各種画面を表示させる。
【0023】
また、CPU2は、セキュリティ地紋生成処理(図8)を実行してセキュリティ地紋を生成し、生成されたセキュリティ地紋のデータを、セキュリティ地紋データファイル4dとして記憶装置4に記憶する。
なお、ここで生成されるセキュリティ地紋とは、帳票出力装置1によって帳票に印刷される地紋であって、基本セキュリティ地紋と、隠しセキュリティ地紋とによって構成される。
【0024】
このうち、基本セキュリティ地紋は、帳票上の模様として視認でき、かつ、複写機でコピーすると、再現されずに消失する。基本セキュリティ地紋は、例えば取引内容が印字された領域等、帳票の中で指定された領域に印刷される。
一方、隠しセキュリティ地紋は、基本セキュリティ地紋に重ねて所定位置に印刷され、帳票上では基本セキュリティ地紋に紛れて視認が困難であるが、複写機でコピーすると明瞭に複写される。
【0025】
従って、帳票出力装置1によって印刷されたセキュリティ地紋付きの帳票は、一見して、表面に基本セキュリティ地紋と隠しセキュリティ地紋とによる一様な模様が視認できる。さらに、このセキュリティ地紋付きの帳票を複写機でコピーして得られる複製物には、基本セキュリティ地紋は再現されず、隠しセキュリティ地紋のみが明瞭に複写される。このため、帳票出力装置1により印刷された帳票と、この帳票を複写機でコピーして得られた複製物とは、簡単に見分けられる。
【0026】
また、CPU2は、後述する印刷制御処理を実行し、アプリケーションによって生成された印刷データを印刷データメモリ3aに格納し、帳票のフォームに関するデータをフォームデータメモリ3bに格納する。さらに、帳票毎に個別に設定される個別セキュリティ地紋を生成して、セキュリティ地紋データファイル4dのデータと合成して地紋データメモリ3cに格納する。そして、印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3bおよび地紋データメモリ3c内のデータをプリンタドライバへ出力し、印刷装置6によって、セキュリティ地紋付きの帳票を印刷させる。
【0027】
RAM3は、CPU2によって実行されるシステムプログラム、各種アプリケーションプログラム、および、これらのプログラムに係るデータを一時的に保持するワークエリアを形成する。また、RAM3は、帳票を印刷するためのデータを格納する印刷メモリ31を備えている。
【0028】
図2は、印刷メモリ31の構成を示す図である。図2に示すように、印刷メモリ31には、印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3b、地紋データメモリ3cの各メモリエリアが形成される。
【0029】
印刷データメモリ3aは、帳票出力装置1により作成される帳票に印刷される取引先名や商品名、金額等の印刷データが格納されるメモリエリアである。
【0030】
フォームデータメモリ3bは、帳票出力装置1により作成される帳票のタイトル、日付記入欄や罫線の印刷位置等、帳票のフォームに関するデータが格納されるメモリエリアである。
【0031】
地紋データメモリ3cは、帳票出力装置1により作成される帳票上のセキュリティ地紋に関するデータが格納されるメモリエリアである。
【0032】
記憶装置4は、プログラムやデータ等が予め記憶されている記憶媒体5を本発明における記録媒体として有しており、この記憶媒体5は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体は記憶装置に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体には上記システムプログラムおよび当該システムに対応する各種アプリケーションプログラム、印刷制御処理プログラム、および各処理プログラムで処理されたデータ、文書データ等を記憶する。
【0033】
また、この記憶媒体5に記憶するプログラム、データ等は、その一部若しくは全部をサーバやクライアント等の他の機器からネットワーク回線等の伝送媒体を介して伝送制御部9から受信して記憶する構成にしてもよく、さらに、記憶媒体5はネットワーク上に構築されたサーバの記憶媒体であってもよい。さらに、前記プログラムをネットワーク回線等の伝送媒体を介してサーバやクライアントへ伝送してこれらの機器にインストールするように構成してもよい。
【0034】
図3は、記憶装置4内のファイル構成を示す図であり、同図に示すように、記憶装置4内には、業務アプリケーションファイル4a、プログラムファイル4b、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4d、印刷データファイル4e、セキュリティパターンAファイル4f、セキュリティパターンBファイル4g、セキュリティ帳票定義ファイル4h、配布先テーブルファイル4i、連番管理テーブルファイル4j、文書管理ファイル4kの各ファイルが記憶されている。
【0035】
このうち、業務アプリケーションファイル4aは、帳票出力装置1において、CPU2により実行される各種アプリケーションプログラムのファイルであり、例えば、見積書や納品書の作成等の各種業務処理を行うためのアプリケーションプログラム等のファイルである。
また、プログラムファイル4bは、CPU2によって帳票出力装置1の各部を制御するためのシステムプログラム等のファイルである。
【0036】
帳票フォームデータファイル4cには、帳票出力装置1の印刷装置6によって印刷出力される帳票のフォーム、すなわち、帳票の書式・形式に関するデータが含まれる。例えば、見積書、納品書、請求書等の各帳票について、罫線や、客先名、商品名、金額等の各種情報の印字位置を定めるデータが含まれる。
【0037】
また、セキュリティ地紋データファイル4dには、セキュリティ地紋生成処理(図8)で生成されるセキュリティ地紋に関するデータが含まれる。
さらに、印刷データファイル4eは、CPU2によって業務アプリケーションファイル4aが実行された際に生成された帳票印刷用のデータであり、例えば、見積書、納品書、請求書等の各帳票に記載される商品名、金額、取引先名等が含まれる。
【0038】
セキュリティパターンAファイル4fには、図4(a)に示すように、基本セキュリティ地紋として帳票に印刷可能な、複数の模様のデータが含まれる。
図4(a)に示す例では、「標準1」、「標準2」の2つの模様のデータが記憶されており、セキュリティ地紋生成処理(図8)では、これら2つの模様のうちいずれかの模様を用いて、基本セキュリティ地紋が生成される。
【0039】
セキュリティパターンBファイル4gには、図4(b)に示すように、隠しセキュリティ地紋として帳票に印刷される複数の文字列に関するデータが含まれる。図4(b)に示す例では、「標準1」として「複写無効」という文字列が含まれており、この他、「標準2」として「COPY」という文字列が、「標準3」として「複写禁止」という文字列が含まれる。
【0040】
セキュリティ地紋生成処理(図8)では、セキュリティパターンBファイル4g内の、いずれかの文字列をもとに、隠しセキュリティ地紋が生成される。
【0041】
なお、隠しセキュリティ地紋の模様については、特に限定されるものではなく、所望の模様を用いることが可能であるが、本実施の形態においては一例として、図4(c)に示す模様が使用されるものとする。
【0042】
図5は、セキュリティ帳票定義ファイル4hの構成例を示す図である。この図5に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hは、印刷装置6によって帳票にセキュリティ地紋を印刷するための各種データで構成される。
図5に示す例では、項目「DEV 」には使用するプリンタ名が設定され、項目「NAME」には帳票名が設定されている。また、項目「FORM」には帳票のフォーム名が設定され、項目「SEQ-FORM」には、セキュリティ地紋データが設定されたセキュリティ地紋データファイル4dのファイル名が設定されている。
【0043】
さらに、図5に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、印刷制御処理(図9〜図12)で設定される個別セキュリティ地紋に関するデータが含まれる。
【0044】
図5に示す例では、セキュリティ帳票定義ファイル4hの項目「SEQ-DT」には、個別セキュリティ地紋のタイプが設定される。
本第1の実施の形態においては、個別セキュリティ地紋のタイプとして、図5の欄外に示すように、配布先名に基づいて生成する場合を示す「$HAIHU」、システムの日付に基づいて生成する場合を示す「$SYS#DATE 」、帳票の通し番号に基づいて生成する場合を示す「$NUMBER 」の3タイプが設定可能である。
【0045】
その他、セキュリティ帳票定義ファイル4hに含まれるデータとして、項目「SEQ-PATb」には個別セキュリティ地紋の形態や色が設定され、項目「DT-START」には個別セキュリティ地紋の印刷開始位置が設定され、項目「DT-SIZE 」には個別セキュリティ地紋の印刷サイズが設定される。なお、本実施の形態では、項目「SEQ-PATb」に設定される個別セキュリティ地紋の形態としては、図4(c)に示す模様の1種類のみが用いられるものとして説明する。
【0046】
さらに、図5の欄外に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hのファイル名は、帳票名に所定の拡張子を付して「帳票名.Seqdef」となる。すなわち、セキュリティ帳票定義ファイル4hは、各帳票の名称に対応する名称で、帳票毎に生成され、記憶装置4に記憶される。
【0047】
配布先テーブルファイル4iには、図6(a)に示すように、帳票名と、配布先と、配布数とが対応づけられたデータが含まれる。図6(a)に示す例では、「mitumori1 」という帳票に対応する配布先は「▲▲▲工業」であり、配布数は1部のみである。また、「kikaku1 」という帳票の配布先は「○○部長,××課長,△△係長,□□氏」であって、配布数は4部である。さらに、「kikaku2 」という帳票の配布先は「○×部長,△○課長,□○係長」であって、配布数は3部と設定されている。
【0048】
また、図6(b)に示すように、連番管理テーブルファイル4jには、帳票名と、最終の連番とが対応づけられたデータが含まれる。ここで、連番とは、各帳票を印刷する際に、帳票毎に付される通し番号であり、連番管理テーブルファイル4jには、連番の最後の番号が設定される。
図6(b)に示す例では、「c-list1 」という帳票の最終の連番は「02103 」である。つまり、「1 」から「02103 」までの通し番号が既に付与されているので、既に印刷された枚数は2103枚である。同様に、帳票名「c-list2 」の帳票は、既に192枚印刷されていることがわかる。なお、連番管理テーブルファイル4jにおける最終連番は、帳票が印刷され、新たな番号が付与される毎に更新される。
【0049】
図1に示す印刷装置6は、レーザプリンタ、インクジェット式プリンタ、昇華型プリンタ等のプリンタを備え、CPU2の制御に従って上記プリンタを駆動制御し、各種帳票を印刷出力させる。なお、上記プリンタの印刷方式については限定されないが、セキュリティ地紋程度の解像度で印刷可能なものが望ましい。また、本実施の形態ではカラー印刷が可能なプリンタを備えるものとして説明するが、単色の印刷のみ可能なものであっても良い。
【0050】
表示部7は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(液晶表示画面)等の表示画面を備え、CPU2から入力される表示情報に従って上記表示画面を駆動制御し、各種画面を表示させる。
【0051】
入力部8は、数字キー、文字キーや各種機能キーを有するキーボードを備え、操作されたキーに対応する操作信号を生成してCPU2へ出力する。また、入力部8は、マウスやタブレット、タッチパッド等のポインティングデバイスを備える構成としても良く、この場合、入力部8は、上記ポインティングデバイスの操作に対応する操作信号とともに、その操作により指定された相対位置座標を示す信号を生成し、CPU2へ出力する。
【0052】
伝送制御部9は、モデム(MODEM:MOdulator/DEModulator )またはターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)等によって構成され、電話回線、ISDN回線等の通信回線を介して外部機器との通信を行うための制御を行う。モデムは、電話回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、CPUによって処理されたデジタルデータを電話回線の周波数帯域に適合するアナログ信号に変調し、また、電話回線を介して入力されたアナログ信号をデジタル信号に復調する装置であり、ターミナルアダプタは、ISDN回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、既存のインタフェースをISDNに対応するインタフェースに変換する装置である。
【0053】
図7は、帳票出力装置1の動作と記憶装置4内の各ファイルとの関連を示す図である。なお、同図において、符号Aで示す業務アプリケーション、符号Bで示す印刷制御プログラム、符号Cで示すフォーム定義プログラム、符号Dで示す個別セキュリティ地紋生成プログラム、および、符号Eで示すプリンタドライバは、それぞれ、各段階でCPU2により実行されるプログラムを示す。
【0054】
まず、CPU2によって、符号Aで示す業務アプリケーションが実行され、業務アプリケーションの処理データをもとに印刷ジョブが発生すると、CPU2は、符号Bで示す印刷制御プログラムを実行する。
【0055】
印刷制御プログラムの実行により、入力部8における入力指示に従って、符号Cで示すフォーム定義プログラムが実行され、セキュリティパターンAファイル4fおよびセキュリティパターンBファイル4gをもとに、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4dが生成される。
【0056】
また、印刷制御プログラムの実行時には、配布先テーブルファイル4i、連番管理テーブルファイル4jおよびセキュリティパターンBファイル4gをもとに、符号Dで示す個別セキュリティ地紋生成プログラムが実行される。
【0057】
そして、印刷制御プログラムにおいて、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4d、印刷データファイル4e、セキュリティ帳票定義ファイル4h、および、個別セキュリティ地紋生成プログラムの処理で得られたデータをもとに、印刷用のデータが生成され、符号Eで示すプリンタドライバへ出力される。その後、符号Eで示すプリンタドライバの処理により、印刷制御プログラムで生成されたデータに基づいて印刷装置6が駆動制御され、帳票が印刷出力される。
【0058】
次に、CPU2により実行されるセキュリティ地紋生成処理、および、印刷制御処理について、図8〜図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能を実現するためのプログラムは、読み取り可能なプログラムコードの形態で記録媒体に格納されており、CPU2はこのプログラムコードに従った動作を逐次実行する。また、CPU2は伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードにしたがった動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0059】
図8は、CPU2によって実行されるセキュリティ地紋生成処理を示すフローチャートである。
まず、入力部8における入力操作により、基本セキュリティ地紋の模様パターン、色、印刷開始位置、印刷サイズ(X方向のサイズ、Y方向のサイズ)が入力されると、CPU2は、入力されたデータを、それぞれSEQ-PATa,IRO ,START ,XSIZE ,YSIZE として、RAM3に一時的に格納する(ステップS11)。
【0060】
続いて、CPU2は、RAM3内のSEQ-PATaのデータをキーとして、セキュリティパターンAファイル4fから対応する地紋のパターンを読み出し、PATaとして記憶する(ステップS12)。
【0061】
CPU2は、更に、RAM3内のIRO のデータに合わせて印刷色を設定し、印刷開始の始点をSTART の位置に設定し、X方向およびY方向の印刷サイズを、それぞれXSIZE ,YSIZE の入力値に設定して、これらの設定値をもとに基本セキュリティ地紋のデータを生成し、印刷メモリ31の地紋データメモリ3cに格納する(ステップS13)。
【0062】
その後、CPU2は、基本セキュリティ地紋に関する入力が完了したか否かをオペレータに確認し(ステップS14)、終了した旨の入力指示があった場合はステップS15へ移行し、終了していない旨の入力指示があった場合は、ステップS11へ戻る。
【0063】
ステップS15においては、入力部8における入力操作により、隠しセキュリティ地紋の模様パターン、色、印刷開始位置、印刷サイズ(X方向のサイズ、Y方向のサイズ)が入力され、CPU2は、入力されたデータを、それぞれSEQ-PATb,IRO ,START ,XSIZE ,YSIZE として、RAM3に一時的に格納する。
なお、ここで、印刷色、すなわちIRO については、ステップS11における基本セキュリティ地紋に関する入力値と同じものとしても良い。
【0064】
続いて、CPU2は、RAM3内のSEQ-PATbのデータをキーとして、セキュリティパターンBファイル4gから対応する地紋のパターンを読み出し、PATbとして記憶する(ステップS16)。
【0065】
CPU2は、更に、RAM3内のIRO のデータに合わせて印刷色を設定し、印刷開始の始点をSTART の位置に設定し、X方向およびY方向のサイズを、それぞれXSIZE ,YSIZE の入力値に設定し、これらの設定値をもとに、基本セキュリティ地紋のデータを生成する。そして、生成したデータを地紋データメモリ3cに格納する(ステップS17)。
【0066】
その後、CPU2は、隠しセキュリティ地紋に関する入力が完了したか否かをオペレータに確認し(ステップS18)、終了した旨の入力指示があった場合はステップS19へ移行し、終了していない旨の入力指示があった場合は、ステップS15へ戻る。
【0067】
そして、CPU2は、地紋データメモリ3cに格納されたデータを、セキュリティ地紋データファイル4d、すなわち、帳票名(CYO-ID).Sjimon ファイルに出力し(ステップS19)、本処理を終了する。
【0068】
図9は、CPU2により実行される印刷制御処理を示すフローチャートである。図9において、まず、CPU2は、印刷する帳票名を、CYO-IDとして取得する(ステップS21)。
【0069】
続いて、CPU2は、ステップS21で取得したCYO-IDをもとに、CYO-ID.Seqdef ファイル、すなわち、取得した帳票名に対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hの読み込みを行う(ステップS22)。
【0070】
ここで、対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hが存在しない場合は(ステップS23;No)、CPU2は、セキュリティ地紋を付けない通常の印刷処理を実行し(ステップS24)、本処理を終了する。
【0071】
また、対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hが存在する場合は(ステップS23;Yes)、セキュリティ帳票定義ファイル4hからDEV ,NAME,FORM,SEQ-FORM,SEQ-DT,SEQ-PATb,DT-START,DT-SIZE 等の各設定項目のデータを取得する(ステップS25)。
【0072】
続いて、CPU2は、印刷部数を取得して、変数PR#CNTとして設定する(ステップS26)。ここで、印刷部数は、帳票名をもとに記憶装置4内の配布先テーブルファイル4iを検索し、配布数を印刷部数として取得しても良いし、或いは、入力部8において指示入力された数を印刷部数としても良い。
【0073】
続いて、CPU2は、ステップS25で取得したSEQ-FORMの設定値に基づいてセキュリティ地紋データを取得し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS27)。
【0074】
例えば、セキュリティ帳票定義ファイル4hが、図5に示すように構成される場合、CPU2は、ステップS25で、SEQ-FORMに設定された「mitumori.Sjimon 」というファイル名を取得する。そして、ステップS27では、「mitumori.Sjimon 」というファイル名のファイルを検索し、検索したファイルのデータを地紋データメモリ3cに格納させる。
【0075】
さらに、CPU2は、ステップS25で取得したFORMの設定値に基づいてフォームデータを取得して、フォームデータメモリ3bに格納する(ステップS28)。例えば、セキュリティ帳票定義ファイル4hが図5に示す構成の場合、CPU2は、ステップS25でファイル名「mitumori1.Form」を取得する。そして、ステップS28では、ファイル名「mitumori1.Form」のファイルを検索し、検索したファイルのデータをフォームデータメモリ3bに格納させる。
【0076】
その後、CPU2は、印刷ジョブを生成した業務アプリケーションによって生成されたデータを取得して、印刷データメモリ3aに格納させる(ステップS29)。
【0077】
CPU2は、ステップS25で取得したSEQ-DTの設定値に従って個別セキュリティ地紋生成処理(図10〜12)を実行して、生成された個別セキュリティ地紋を地紋データメモリ3cに格納する(ステップS30)。
【0078】
その後、CPU2は、PR#CNTの値をデクリメント(−1)し(ステップS31)、続いて、印刷メモリ31の印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3b、および地紋データメモリ3c内のデータを合成して帳票印刷用のデータを生成し、プリンタドライバへ出力する(ステップS32)。
【0079】
そして、CPU2は、印刷メモリ31を初期化し(ステップS33)、PR#CNTの値が0(零)になったか否かを判別する(ステップS34)。ここで、PR#CNTが0になっていなければステップS27に戻って処理を続行する。また、PR#CNTの値が0になっていれば、印刷すべき全ての帳票について処理が行われたので、本処理を終了する。従って、図9に示す印刷制御処理は、PR#CNTの値、すなわち印刷部数が0になるまで実行された後、終了する。
【0080】
続いて、図10〜図12を参照して、図9のステップS30で実行される個別セキュリティ地紋生成処理について、詳細に説明する。
図10は、連番を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。この図10に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$NUMBER 」であった場合に実行される。
【0081】
図10において、CPU2は、まず、連番管理テーブルファイル4jの内容を取得して、NUMBERとして、一時的に記憶する(ステップS41)。
そして、ステップS16(図8)で記憶された地紋パターンのPATbを用いて、NUMBERとして記憶された数字列の地紋を生成し、生成された地紋をPATb#NO として記憶する(ステップS42)。
【0082】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、START として記憶する(ステップS43)。
【0083】
その後、CPU2は、ステップS43で取得したSTART の位置に、PATb#NOとして記憶した地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS44)。
【0084】
以上のように、図10に示す処理により、図9の印刷制御処理では、各帳票に固有の連番が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0085】
図11は、配布先の名称を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。この図11に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$HAIHU」であった場合に実行される。
【0086】
図11において、CPU2は、まず、セキュリティ帳票定義ファイル4hのNAMEの設定値を取得し、一時的に記憶する(ステップS51)。次いでCPU2は、取得したNAMEをキーとして配布先テーブルファイル4iを検索し、対応する配布先名称の文字列を取得し、HAIHU#STR として記憶する(ステップS52)。なお、HAIHU#STR は、全ての配布先の名称を含む文字列である。
【0087】
そして、CPU2は、HAIHU#STR の中から、PR#CNT番目の文字列を切り出し、HAIHU として記憶する(ステップS53)。これにより、現在処理中の帳票に対応する配布先名称のみが抽出される。
【0088】
CPU2は、ステップS16(図8)で記憶された地紋パターンのPATbを用いて、NAMEとして記憶された文字列の地紋を生成して、PATb#HAIHUとして記憶する(ステップS54)。
【0089】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、START として記憶する(ステップS55)。
【0090】
CPU2は、ステップS55で取得したSTART の位置にPATb#HAIHUの地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS56)。
【0091】
以上のように、図11に示す処理によって、図9の印刷制御処理で、各帳票に対応する配布先の名称が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0092】
図12は、システム日付を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$SYS#DATE 」であった場合に実行される。
【0093】
図12において、CPU2は、まず、帳票出力装置1のシステム日付を取得して、SYS#DATEとして、一時的に記憶する(ステップS61)。
また、CPU2は、帳票出力装置1のシステム時刻を取得して、SYS#TIMEとして記憶する(ステップS62)。
【0094】
そして、CPU2は、ステップS16(図8)の地紋パターンのPATbを用いて、SYS#DATE、および、SYS#TIMEの文字列の地紋を生成し、生成された地紋をPATb#DATETIME として記憶する(ステップS63)。
【0095】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、STARTとして記憶する(ステップS64)。
【0096】
CPU2は、ステップS64で取得したSTART の位置に、PATb#DATETIME として記憶した地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS65)。
【0097】
以上のように、図12に示す処理によって、図9の印刷制御処理では、各帳票に処理時の日付および時刻が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0098】
図13は、本実施の形態におけるセキュリティ地紋の例を示す図であり、(a)は印刷されたセキュリティ地紋の例を示し、(b)は複写機によってコピーされた状態を示す。
【0099】
図13(a)に示す例では、枠内全体に基本セキュリティ地紋101が印刷されており、その中に、さらに「無効」という文字列の隠しセキュリティ地紋102が印刷されている。
なお、この図13(a)に示す例では、説明の便宜のために基本セキュリティ地紋101と隠しセキュリティ地紋102とが目視で識別できるように図示しているが、実際に印刷出力される帳票では目視による判別は困難であり、「無効」という文字列があると認識することも難しくなる。
【0100】
図13(a)に示す基本セキュリティ地紋101、および、隠しセキュリティ地紋102は、複写機によるコピーの後に図13(b)に示すように変化する。
すなわち、複写機によるコピーで基本セキュリティ地紋101が消失する一方、隠しセキュリティ地紋102は、同図(a)に示す原本よりも明瞭に印刷される。
【0101】
図14は、図13(a)に示すセキュリティ地紋を一部拡大した図である。この図14に示すように、基本セキュリティ地紋101は、微細なドットと空白とで構成される。一方、隠しセキュリティ地紋102は、基本セキュリティ地紋101を構成するドットに比べて大きいドットと、空白とによって構成される。
【0102】
基本セキュリティ地紋101を構成するドットは、一般的な複写機の解像度よりも小さなサイズであり、複写機による読み取りが不可能か、又は非常に困難なため、複写機によるコピーでは再現されない。
しかしながら、基本セキュリティ地紋101は数多くのドットで構成されるため、原本となる帳票上には、何らかの模様や色が視認できる。
【0103】
一方、隠しセキュリティ地紋102を構成するドットは複写機の解像度に適合し、複写機によって容易に読み取り・再現できる。このため、コピー時には明瞭に印刷される。しかしながら、コピー前の状態では、基本セキュリティ地紋101と重なっているため、目視で認識することは難しい。
【0104】
また、隠しセキュリティ地紋を構成する空白が微細であり、複写機の解像度よりも小さなサイズであった場合、隠しセキュリティ地紋の空白を複写機で読み取って再現することが困難になる。この場合、隠しセキュリティ地紋は、ドットが再現される一方で空白が再現されないため、原本よりも濃く印刷される。
【0105】
従って、セキュリティ地紋付きの帳票をコピーすると、基本セキュリティ地紋101が消失し、隠しセキュリティ地紋102がコピー元の原本よりも濃く印刷され、結果として全く異なる帳票が作成される。この帳票はコピーによる複製物であることが明らかなので、不正目的のコピーを牽制できる。
【0106】
続いて、帳票出力装置1により印刷出力される帳票として、見積書を例に挙げて図示する。
図15は、見積書の作成時に、印刷メモリ31のフォームデータメモリ3bに格納されるフォームデータの例を示す図である。図15に示すように、フォームデータには、帳票の罫線位置や日付の印刷位置等、見積書の形式に関するデータが含まれている。
【0107】
図16には、見積書作成時に印刷メモリ31の地紋データメモリ3cに格納されるセキュリティ地紋の例を示す。
図16に示すセキュリティ地紋は、図中、符号Fで示す基本セキュリティ地紋と、符号GおよびHで示す隠しセキュリティ地紋とによって構成される。
隠しセキュリティ地紋は、符号Gで示す「複写無効」と、符号Hで示す「▲▲▲工業」との2つの文字列である。このうち、「複写無効」の文字列は、セキュリティパターンBファイル4g(図4(b))から選択されたものである。また、「▲▲▲工業」の文字列は、配布先テーブルファイル4i(図6(a))に、帳票名「mitumori1 」に対応づけて設定された配布先名である。
【0108】
つまり、符号Gで示す隠しセキュリティ地紋は、指示入力により選択されれば全ての帳票に使用可能であり、一方、符号Hで示すセキュリティ地紋は、「mitumori1 」という名称の見積書に固有の、個別セキュリティ地紋である。
【0109】
そして、図15に示すフォームデータと、図16に示すセキュリティ地紋とを合成すると、図17に示すような合成フォームが得られる。
図17に示す合成フォームは、見積書において、商品名や価格等が記載される領域にのみセキュリティ地紋が配された帳票のフォームである。このため、図17に示す合成フォームによれば、商品名や価格等のデータが記載された部分について、コピーを牽制することができる。
【0110】
次に、印刷メモリ31の印刷データメモリ3aに格納される印刷データを図18に示す。図18に示すように、印刷データメモリ3aには、商品名や価格等、業務アプリケーションにより生成され、帳票に印刷されるべきデータが含まれている。
【0111】
図19は、図17に示す合成フォームと、図18に示す印刷データとに基づいて得られる帳票の例を示す図である。見積書の形式をとっているが、金額や商品名が記載された部分には、セキュリティ地紋が印刷されている。
【0112】
図19に示す帳票を複写機によってコピーすると、図20に示すように、隠しセキュリティ地紋として印刷されていた「複写無効」および「▲▲▲工業」の文字列が明瞭に現れる。
従って、複写機によるコピーでは、帳票出力装置1により作成された帳票の原本とは全く異なるコピーしか得られないため、不正なコピーを牽制できる。
【0113】
図21には、帳票出力装置1により印刷される帳票として、顧客リストを例示する。図21(a)および(b)に示す顧客リストには、隠しセキュリティ地紋として「複写禁止」と印刷されており、さらに、個別セキュリティ地紋生成処理(図11)で生成された配布先の名称の地紋が、それぞれ「鈴木B」、「山田K」と印刷されている。
【0114】
図21(a)に示す顧客リストをコピーすると、図22に示すように、「鈴木B」という隠しセキュリティ地紋が現れる。この隠しセキュリティ地紋は、各帳票の配布先の名称であり、このコピーは「鈴木B」宛に配布された資料がコピーされたものであることが明らかである。
【0115】
すなわち、帳票毎に異なる配布先名称を隠しセキュリティ地紋として印刷すれば、帳票がコピーされた場合に、コピー元の原本として使用された帳票の配布先を特定できる。従って、不正なコピーを、より強く牽制することができる。
また、上記個別セキュリティ地紋生成処理(図10〜図12)において、システム日付や帳票の連番が隠しセキュリティ地紋として印刷された場合は、同様に、コピーの原本となった帳票の印刷年月日や、連番を特定できる。
【0116】
以上のように、本発明の第1の実施の形態における帳票出力装置1によれば、CPU2によって、セキュリティ地紋生成処理(図8)を実行することにより、記憶装置4内に記憶されたセキュリティパターンAファイル4f、セキュリティパターンBファイル4gおよびセキュリティ帳票定義ファイル4hにおける設定内容をもとに、コピー時に消失する基本セキュリティ地紋と、コピー時に明瞭に複写される隠しセキュリティ地紋とを含むセキュリティ地紋を生成して地紋データメモリ3cに格納し、印刷制御処理(図9)によって、印刷データメモリ3a内の印刷データと、フォームデータメモリ3bのフォームデータと、地紋データメモリ3c内のセキュリティ地紋とを印刷装置6によって印刷させ、帳票を作成させる。
【0117】
これにより、印刷データと、セキュリティ地紋とが印刷された帳票を容易に作成することができる。作成された帳票を複写機でコピーすると、得られる複製物には、基本セキュリティ地紋が複写されず、隠しセキュリティ地紋が明瞭に複写されており、一見して原本の帳票とは異なるものとなる。このため、不正な目的で複写を図っても意味を為さないので、不正な複写を牽制することができる。
【0118】
また、セキュリティ地紋を印刷装置6によって印刷するので、セキュリティ地紋が付かない通常の帳票を印刷する場合と、セキュリティ地紋付きの帳票を印刷する場合とで共通の印刷用紙を使用できる。このため、印刷用紙のコスト減を図ることができ、また、多様なデザインの印刷用紙を用いることで、セキュリティ地紋が付いていながら、デザイン性に富む帳票を容易に作成できる。また、通常の帳票とセキュリティ地紋付きの帳票とを交互に印刷するような場合であっても、印刷用紙の交換等の手間を省き、作業効率の向上を図ることができる。
【0119】
さらに、隠しセキュリティ地紋として、汎用的な「複写」、「無効」等の文字列の他に、配布先の名称、連番管理テーブルファイル4jに設定された各帳票毎の連番、印刷日時等、各帳票に固有の情報を印刷することができる。すなわち、帳票出力装置1によって作成された帳票を複写機でコピーして得られた複製物には、原本となった帳票毎に異なる隠しセキュリティ地紋が印刷されるため、原本となった帳票を特定でき、不正な目的でのコピーを強く牽制することができる。
【0120】
なお、上記第1の実施の形態においては、隠しセキュリティ地紋および個別セキュリティ地紋に用いる模様は、図4(c)に示す1種類のみとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4(b)に示すセキュリティパターンBファイル4gに複数の模様が設定され、これら複数の模様の中から所望の模様が指定できる構成としても良い。
【0121】
また、図9に示す印刷制御処理においては、各帳票を1枚毎に印刷処理する構成としたが、複数ページで構成される帳票について処理を行うことも可能である。この場合、1ページ毎にセキュリティ地紋を生成する構成とすれば、各ページ毎に異なる多彩なセキュリティ地紋を設定できる他、セキュリティ地紋付きのページと、セキュリティ地紋が無いページとが混在した帳票であっても、速やかに印刷が行える。
【0122】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本第2の実施の形態では、帳票出力装置1により、原本して利用される帳票と、正規の複写として利用される帳票との2種類の帳票が印刷出力される。
【0123】
なお、本第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態における帳票出力装置1と同様の構成によってなる部分については、同符号を付して図示および説明を省略する。
【0124】
図23は、本発明の第2の実施の形態における文書管理ファイル4kの構成を示す図である。図23に示すように、文書管理ファイル4kには、帳票名と、各帳票が更新された最終更新日時とが対応づけて設定されている。さらに、文書管理ファイル4kには、帳票が印刷出力された日時、出力を行った担当者名、出力区分、出力された帳票の保管場所、保管担当者名、出力目的、印刷カウントが、それぞれ設定される。
【0125】
なお、印刷区分としては「1」又は「2」の数値が設定される。印刷区分「1」は原本の印刷を示し、印刷区分「2」は、正規の複本の印刷を示す。
また、印刷カウントは、印刷した部数を示し、例えば、2部まとめて印刷した場合は「2」と設定される。
【0126】
例えば、図23中、上から3番目のレコードは、出力担当者「山田太郎」が、「2000年3月30日 午後1時34分」に、「正規の複写」を「2部」印刷したことを示している。
【0127】
図24は、本第2の実施の形態におけるセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、プリンタ名、帳票名、フォームの名称、セキュリティ地紋データ名等が設定されている。
【0128】
また、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、帳票出力装置1により、原本の帳票、および、正規の複写としての帳票を印刷するためのデータが、それぞれ含まれている。
【0129】
例えば、図24に示すセキュリティ帳票定義ファイル4hにおいては、プリンタ名が設定される項目「DEV 」、帳票名が設定される項目「NAME」、フォームの名称が設定される「FORM」、および印刷制御プログラム、セキュリティ地紋データファイルのファイル名が設定される「SEQ-FORM」の各項目のデータが含まれる。
【0130】
更に、原本印刷に係るデータとして、項目「GEN-PR」には、原本の証明として帳票に印刷される原本証明の文字列が設定され、項目「GEN-PR-MEN」には、原本証明を印刷する印刷面が設定され、項目「GEN-PR-COLOR」には、原本証明の印刷色が設定され、項目「GEN-PR-FONT 」には原本証明のフォントが設定され、さらに、項目「GEN-PR-START」には原本証明の印刷開始位置が設定されている。
【0131】
また、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、正規の複写印刷に係るデータとして、項目「COP-PR」には、正規複写の証明として帳票に印刷される正規複写証明の文字列が設定され、項目「COP-PR-MEN」には、正規複写証明を印刷する印刷面が設定され、項目「COP-PR-COLOR」には、正規複写証明の印刷色が設定され、項目「COP-PR-FONT 」には正規複写証明のフォントが設定され、さらに、項目「COP-PR-START」には正規複写証明の印刷開始位置が設定されている。
【0132】
従って、セキュリティ帳票定義ファイル4hに設定された各項目のデータに基づいて、原本としての帳票には原本証明の文字列を印刷し、正規の複写としての帳票には、正規複写証明の文字列を印刷することができる。
【0133】
続いて、本第2の実施の形態の動作について、説明する。
図24は、印刷制御処理を示すフローチャートである。図24においては、まず、入力部8の操作によって印刷対象となる帳票名が入力されるので、CPU2は、帳票名をCYOUHYO としてRAM3に記憶する(ステップS101)。
【0134】
続いて、原本を印刷するか、或いは正規複写を印刷するかを示す印刷種別が入力されるので、CPU2は、入力された種別をSYUBETSUとしてRAM3に記憶する(ステップS102)。
【0135】
次に、出力担当者名が入力されると、CPU2は、入力内容をP-TANTOUとしてRAM3に記憶する(ステップS103)。
【0136】
その後、同様に、CPU2は、保管場所が入力されると入力内容をHOKAN としてRAM3に記憶し(ステップS104)、保管担当者が入力されると入力内容をH-TANTOUとしてRAM3に記憶し(ステップS105)、さらに、出力目的が入力されると入力内容をMOKUTEKIとしてRAM3に記憶する(ステップS106)。
【0137】
そして、CPU2は、ステップS101で指定された帳票、すなわち、帳票名がCYOUHYO としてRAM3に記憶された帳票を開き(ステップS107)、この帳票に対応する文書管理ファイル4kを参照し、最終更新日時を取得してMODY-DATE としてRAM3に記憶し、ステップS109に移行する(ステップS108)。
【0138】
ステップS109で、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DEV ,NAME,FORM,SEQ#FORM,GEN-PR,GEN-PR-MEN,GEN-PR-COLOR,GEN-PR-FONT ,GEN-PR-START,COP-PR,COP-PR-MEN,COP-PR-COLOR,COP-PR-FONT ,COP-PR-START等、各項目における設定値を取得する。
【0139】
その後、CPU2は、ステップS110に移行して、取得したRAM3内のSEQ#FORMの設定値に基づいてセキュリティ地紋データを取得し、SEQ-FORMとして再度RAM3に記憶し、ステップS111へ移行する。
【0140】
ステップS111で、CPU2は、取得したRAM3内のFORMに設定されたフォームデータを取得し、CYO-FORMとして記憶し、ステップS112へ移行する。ステップS112では、SEQ-FORMとCYO-FORMとを合成して、印刷メモリ31に記憶する。
【0141】
続いて、ステップS113で、CPU2は文書管理ファイル4kを読み込み、ステップS114に移行して、SYUBETSUの設定値が「1」であるか否か、すなわち、原本の印刷を示しているか否かを判別する。
そして、原本の印刷を行う場合は(ステップS114;Yes)、ステップS115へ移行し、正規の複写を印刷する場合は(ステップS114;No)、ステップS117へ移行する。
【0142】
ステップS115で、CPU2は、印刷する文字列をGEN-PRの設定値に設定し、印刷面をGEN-PR-MENに設定し、印刷色をGEN-PR-COLORに設定し、フォントをGEN-PR-FONT に設定し、印刷開始位置をGEN-PR-STARTに設定して、設定値を印刷メモリ31に格納する。
【0143】
そして、CPU2は、印刷に係る各種情報をもとに、文書管理ファイル4kの更新処理、および印刷処理を行い(ステップS116)、本処理を終了する。
【0144】
また、正規の複写を印刷する場合、CPU2は、印刷する文字列をCOP-PRの設定値に設定し、印刷面をCOP-PR-MENに設定し、印刷色をCOP-PR-COLORに設定し、フォントをCOP-PR-FONT に設定し、印刷開始位置をCOP-PR-STARTに設定して、設定値を印刷メモリ31に格納する(ステップS117)。
【0145】
その後、CPU2は、印刷に係る各種情報をもとに文書管理ファイル4kの更新処理、および印刷処理を行い(ステップS118)、本処理を終了する。
【0146】
ここで、ステップS116における文書管理ファイル4k更新・印刷処理について、図27のフローチャートに基づいて説明する。
【0147】
図27に示すフローチャートは、原本を印刷する場合の文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を示している。
まず、CPU2は、ステップS101で取得した帳票名CYOUHYO の設定値、および、ステップS108で取得した最終更新日時MODY-DATE の設定値をもとに、文書管理ファイル4kを索引する(ステップS121)。
【0148】
そして、該当するレコードの有無を判別し(ステップS122)、該当するレコードがあった場合は、そのまま本処理を終了する。また、該当するレコードが無い場合には、印刷カウントP-CNT に1を設定し(ステップS123)、続いて、区分KBN に1を設定する(ステップS124)。
【0149】
そして、CPU2は、ステップS124で設定されたKBN ,P-CNT の設定値、および、印刷制御処理(図25)で取得したH-TANTOU,MOKUTEKIの設定値を元に、文書管理ファイル4kに新たなレコードを記録して文書管理ファイル4kを更新し(ステップS125)、ステップS126へ移行する。
【0150】
ステップS126では、印刷メモリ31内のデータをプリンタドライバへ出力して印刷を実行させ、本処理を終了する。
以上の処理により、必要な原本が印刷される毎に文書管理ファイル4kが更新され、また、既に印刷された原本が再び印刷されることがないので、不正な原本の印刷を抑止でき、帳票を容易に、かつ確実に管理できる。
【0151】
次に、ステップS119(図26)における文書管理ファイル4kの更新処理について、図28のフローチャートに基づいて説明する。
【0152】
図28に示すフローチャートは、正規の複本を印刷する場合の文書管理ファイル4kの更新処理を示している。
まず、CPU2は、ステップS101で取得した帳票名CYOUHYO の設定値、および、ステップS108で取得した最終更新日時MODY-DATE の設定値をもとに、文書管理ファイル4kを索引する(ステップS131)。
【0153】
そして、該当するレコードの有無を判別し(ステップS132)、該当するレコードがなければ、印刷カウントP-CNT に1を設定し(ステップS133)、後述するステップS135へ移行する。
また、該当するレコードがあった場合は、該レコードの印刷カウントP-CNT の値をインクリメント(+1)し(ステップS134)、ステップS135へ移行する。
【0154】
ステップS135では、CYOUHYO の設定値をもとに、配布先テーブルファイル4iから配布先名の設定値を取得する。
【0155】
そして、CPU2は、ステップS136へ移行し、取得した配布先名に含まれる「,」を区切りとして、配布先名の数を取得し、HAIHU-CNT に設定する。例えば、配布先テーブルファイル4iに、CYOUHYO の設定値に対応づけて「○○部長,××課長,△△係長,□□氏」のように設定されていた場合、CPU2は、「,」を区切りと認識して、配布先の要素数を「4」と判別する。
【0156】
続いて、CPU2は、P-CNT の値が、HAIHU-CNT の値を上回ったか否かを判別し(ステップS137)、P-CNT の値がHAIHU-CNT の値よりも大きい場合は、そのまま本処理を終了する。
【0157】
また、P-CNT の値が、HAIHU-CNT 以下であった場合(ステップS137;No)、CPU2は、区分KBN に「2」を設定する(ステップS138)。
【0158】
そして、CPU2は、ステップS137〜138で設定されたKBN ,P-CNT の設定値、および、印刷制御処理(図25)で取得したH-TANTOU,MOKUTEKIの設定値を元に、文書管理ファイル4kに新たなレコードを記録して文書管理ファイル4kを更新する(ステップS139)。
【0159】
その後、CPU2は、印刷メモリ31内のデータをプリンタドライバへ出力して印刷を実行させ(ステップS140)、本処理を終了する。
【0160】
以上の処理によって、正規の複写は、配布先の数のみ印刷されるので、帳票の正規の複写についても、その印刷数を容易に、かつ確実に管理できる。
【0161】
図29は、印刷制御処理(図25)における入力画面の一例を示す図である。図29に示す入力画面は、印刷制御処理に先だって、出力する帳票名、区分、出力担当者名、保管場所、保管担当者、出力目的等の各項目を入力する際に、表示部7により表示される画面である。オペレータは、この画面における指示に従って各項目を入力することにより、所望の帳票を出力させることができる。
【0162】
続いて、帳票出力装置1により印刷される帳票の例を図示して説明する。
図30は、帳票出力装置1によって原本として印刷される帳票の例を示す図である。図30中、符号Lで示すように、原本として印刷された帳票には、原本であることを証明する原本証明の文字列が印刷されている。図30に示す例では「原本」となっている。
【0163】
前述のように、符号Lで示す原本証明の印刷色は、セキュリティ帳票定義ファイル4h(図24)に、GEN-PR-COLORとして設定された色であるが、例えば、透明や黄色等、複写機による読み取りが困難で、コピー時に消失しやすい色である。
【0164】
また、図30に示す帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、および、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋が印刷されている。前述のように、基本セキュリティ地紋は、複写機によるコピーの際に消失し、隠しセキュリティ地紋は、複写機によるコピーの際に、明瞭に複写される。
【0165】
図31は、帳票出力装置1によって正規の複写として印刷される帳票の例を示す図である。図31中、符号Mで示すように、正規の複写として印刷された帳票には、正規の複写であることを証明する正規複写証明の文字列が印刷されており、図31に示す例では「COPY」となっている。
【0166】
また、前述のように、符号Mで示す正規複写証明の印刷色は、セキュリティ帳票定義ファイル4h(図24)に、COP-PR-COLORとして設定された色であるが、例えば、透明や黄色等、原本証明の印刷色と同様に、複写機による読み取りが困難でコピー時に消失しやすい色である。
【0167】
図30および図31に示す帳票を複写機によってコピーした例を、図32に示す。図32に示すように、原本、或いは正規の複写の帳票が複写機でコピーされた場合は、図30に符号Lで示した原本証明、および、図31に符号Mで示した正規複写証明のいずれも消失し、再現されない。
【0168】
そして、符号Jで示す基本セキュリティ地紋についても、コピー時に消失し、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋のみが明瞭にコピーされる。このため、複写機によるコピーでは、正規でない複写物であることが明瞭なコピーのみが得られる。
【0169】
図33には、正規の複写として印刷した帳票に、隠しセキュリティ地紋としてシステム日付を印刷した例を示す。
図33の帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋の他、符号Nで示すシステム日付の隠しセキュリティ地紋が印刷されている。さらに、符号Mで示すように、正規複写証明の文字列が印刷されている。
【0170】
図33に示す帳票を複写機でコピーした場合を、図34に示す。
同図に示すように、図33中、符号Jで示した基本セキュリティ地紋、および、符号Mで示した正規複写証明はコピー時に消失し、再現されていない。
【0171】
一方、図33中に符号Kで示した隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷されており、さらに、符号Nで示すシステム日付の隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷される。
【0172】
従って、コピーにより得られた帳票は、複写機による不正な複写であることが明瞭であり、さらに、コピー元の原本となった帳票の印刷日時が明らかなので、より強く不正なコピーを牽制することができるとともに、不正なコピーの際に原本となった帳票を特定できる。
【0173】
図35に、正規の複写として印刷した帳票に、隠しセキュリティ地紋として連番を印刷した例を示す。
図35に示す帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋の他、符号Oで示す連番の隠しセキュリティ地紋が印刷されている。さらに、符号Mで示すように、正規複写証明の文字列が印刷されている。
【0174】
図35に示す帳票を複写機でコピーした場合を、図36に示す。
同図に示すように、図35中、符号Jで示した基本セキュリティ地紋、および、符号Mで示した正規複写証明はコピー時に消失し、再現されていない。
【0175】
一方、図35中に符号Kで示した隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷されており、さらに、符号Oで示す連番の隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷される。
【0176】
従って、コピーにより得られた帳票は、複写機による不正な複写であることが明瞭であり、さらに、コピー元の原本となった帳票の連番が明らかなので、より強く不正なコピーを牽制することができる。さらに、不正なコピーの際には、原本となった帳票と、その保管場所や管理担当者等の情報を、連番から容易に特定できる。
【0177】
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、原本として印刷される帳票には、原本であることを示す原本証明の文字列を印刷し、正規の複写として印刷される帳票には、正規の複写であることを示す正規複写証明の文字列を印刷する。そして、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列は、複写機によるコピー時に消失するように印刷される。また、帳票出力装置1により作成される帳票について、帳票名、最終更新日時、原本と正規複写の区分、出力担当者、保管場所等の管理情報を文書管理ファイル4kとして記憶し、この文書管理ファイル4kにおける内容に従って、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列付きの帳票の印刷を制御することにより、原本としての帳票の印刷部数を1部に制限し、正規の複写としての帳票の印刷部数は、配布先の数に制限する。
【0178】
従って、文書管理ファイル4kを記憶することにより、セキュリティ地紋付きの帳票を容易に管理することができ、特に、帳票出力装置1において文書管理ファイル4kを記憶することで、人手により管理を行う場合に比べて、記録のミスや意図的な情報の改変を強固に防止でき、確実に帳票を保護できる。
また、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列を印刷することで、原本および正規の複写であることを証明する一方、原本と正規の複写の印刷部数を制限するので、複写機によるコピーを牽制し、かつ、帳票出力装置1による余分な印刷を防止して、確実に印刷データを保護し、信頼性を高めることができる。
【0179】
特に、原本および正規の複写の印刷時には文書管理ファイル4kの内容を更新し、印刷部数を、文書管理ファイル4kにおける内容をもとに制限するので、時間の経過や処理の分散等の作為に影響されることなく、確実に制限を行える。
【0180】
なお、以上の第2の実施の形態においては、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列を、セキュリティ帳票定義ファイル4hに設定された印刷色で印刷するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、隠しセキュリティ地紋の一部として印刷するようにしてもよいし、或いは、セキュリティ地紋とは離れた印刷位置において、基本セキュリティ地紋や隠しセキュリティ地紋と同様の印刷色、模様で印刷するようにしても良い。さらに、印刷対象の帳票名や種別、担当者名等を入力部8により入力する構成としたが、特定の入力手段或いは入力方法に基づく入力のみ受け付ける構成としても良い。
【0181】
また、文書管理ファイル4kにおける設定項目もあくまで一例を示すもので、その構成は任意であり、その他、具体的な細部構成についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態における帳票出力装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す印刷メモリ31内の構成を詳細に示す図である。
【図3】図1に示す記憶装置4内のファイル構成を詳細に示す図である。
【図4】図3に示す各ファイルの構成を模式的に示す図であり、(a)はセキュリティパターンAファイル4fを示し、(b)はセキュリティパターンBファイル4gを示し、(c)は隠しセキュリティ地紋に用いられる模様の一例を示す。
【図5】図3に示すセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を模式的に示す図である。
【図6】図3に示す各ファイルの構成を模式的に示す図であり、(a)は配布先テーブルファイル4iを示し、(b)は連番管理テーブルファイル4jを示す。
【図7】図1に示す帳票出力装置1の動作と図3に示す記憶装置4内の各ファイルとの関連を示す図である。
【図8】図1の帳票出力装置1により実行されるセキュリティ地紋生成処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の帳票出力装置1により実行される印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、連番を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図11】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、配布先の名称を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図12】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、システム日付を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図13】本第1の実施の形態におけるセキュリティ地紋の例を示す図であり、(a)は帳票出力装置1により帳票上に印刷されるセキュリティ地紋を示し、(b)は、(a)に示すセキュリティ地紋を複写機によりコピーした場合を示す。
【図14】図13(a)に示すセキュリティ地紋の要部拡大図である。
【図15】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票のフォームデータの例を示す図である。
【図16】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票のセキュリティ地紋の例を示す図である。
【図17】図15に示すフォームデータと図16に示すセキュリティ地紋とを合成して得られる合成フォームの例を示す図である。
【図18】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票の印刷データの例を示す図である。
【図19】図17に示す合成フォームと図18に示す印刷データとを印刷して得られる帳票の例を示す図である。
【図20】図19に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図21】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票の例を示す図であり、(a)および(b)は配布先の名称をもとに個別セキュリティ地紋が印刷された帳票の例を示す。
【図22】図21(a)および(b)に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における文書管理ファイル4kの構成を模式的に示す図である。
【図24】本第2の実施の形態におけるセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を模式的に示す図である。
【図25】本第2の実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図26】本第2の実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図27】図26のステップS116で実行される文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を詳細に示すフローチャートである。
【図28】図26のステップS118で実行される文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を詳細に示すフローチャートである。
【図29】図25に示す印刷制御処理において表示部7により表示される入力画面の一例を示す図である。
【図30】本第2の実施の形態において原本として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図31】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図32】図30および図31に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図33】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図34】図33に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図35】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図36】図35に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【符号の説明】
【0183】
1 帳票出力装置
2 CPU
3 RAM
31 印刷メモリ
3a 印刷データメモリ
3b フォームデータメモリ
3c 地紋データメモリ
4 記憶装置
4a 業務アプリケーションファイル
4b プログラムファイル
4c 帳票フォームデータファイル
4d セキュリティ地紋データファイル
4e 印刷データファイル
4f セキュリティパターンAファイル
4g セキュリティパターンBファイル
4h セキュリティ帳票定義ファイル
4i 配布先テーブルファイル
4j 連番管理テーブルファイル
4k 文書管理ファイル
5 記憶媒体
6 印刷装置
7 表示部
8 入力部
9 伝送制御部
10 バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正な目的での複写を牽制する複写牽制地紋付きの帳票を印刷させる印刷制御装置、および、その制御プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金券や印鑑証明書等の重要書類には、コピー牽制地紋が印刷された紙が使用されてきた。コピー牽制地紋とは、複写機でコピーする際に一部が消失し、一部のみ再現される紋様であり、例えば、一見して微細な幾何学模様に見えて、コピーすると「複写」という文字が浮かび上がるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコピー牽制地紋付きの帳票をコピーすると、明らかに複製と分かるコピーしか得られないので、不正な目的でのコピーを牽制する効果がある。従来、このようなコピー牽制地紋付きの帳票を作成する際には、コピー牽制地紋が既に印刷された用紙を購入し、プリンタにセットしていた。
【特許文献1】特開平11−151854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コピー牽制地紋付きの帳票を作成する場合は、常に専用の用紙を購入しなければならず、安価な用紙で代替することができないため、用紙の低コスト化が難しいという問題があった。
【0005】
また、コピー牽制地紋付きの用紙に対して専用のプリンタが用意できない場合は、普通紙と、コピー牽制地紋付きの用紙とを入れ替える手間がかかり、作業効率の低下を招くという問題があった。例えば、複数ページの書類のうち特定のページにのみコピー牽制地紋を入れる場合等、文書の一部にのみコピー牽制地紋を入れる場合は、その都度、間違いなく用紙を交換しなければならず、作業効率が著しく低下するという問題があった。コピー牽制地紋が必要な箇所が複数存在する場合や、複数部の帳票を印刷する場合には、作業性が極端に低下するという問題があった。
【0006】
さらに、コピー牽制地紋付きの紙に印刷された文書や帳票は正式な原本と見なされるので、印刷前のコピー牽制地紋付き用紙は悪用される恐れがあった。このため、印刷前の用紙についても盗難や紛失の対策を講じる必要があり、管理コストの上昇を招いていた。
【0007】
また、予めコピー牽制地紋のみを印刷した用紙が必要なため、用紙の種類を多くすると管理コストや印刷コスト等のコスト増が著しい。しかしながら、用紙の種類を少なくすると、似通った帳票しか作成できず、デザインが制約を受けるという問題があった。
【0008】
さらに、コストを抑えるために用紙の種類を少なくすると、コピー時に浮き上がる文字を「複写」、「コピー」、「無効」等、汎用的な文字列にせざるを得ず、用途に応じて異なる文字列を用いることは困難であった。
【0009】
本発明の課題は、不正な複写を牽制する地紋付きの帳票を作成する際に、デザインの自由度を向上させるとともに、低コスト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するために、次のような特徴を備えている。なお、次に示す手段の説明中、括弧書きにより実施の形態に対応する構成を一例として示す。符号等は、後述する図面参照符号等である。
【0011】
請求項1記載の発明は、
印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段(例えば、図8に示す処理を行うCPU2)と、
印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより前記印刷物を作成させる制御手段(例えば、図9に示す処理を行うCPU2)と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、複写時消失紋様とは、例えば、複写機の原稿読み取り時の解像度よりも小さいサイズのドットにより構成され、複写機によって完全な再現が不可能、或いは困難な紋様である。また、複写時消失紋様、および複写時残存紋様としては、例えば幾何学的な紋様や、ロゴマークが挙げられるが、文字列であっても良い。さらに、印刷媒体としては、例えば、紙、合成樹脂製のフィルムが挙げられるが、布を用いても良いし、その他、印刷装置によって像を定着させることが可能であれば特に限定されない。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、地紋生成手段によって、複写機による複写が困難な複写時消失紋様と複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成し、生成された複写牽制地紋を、制御手段により、印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより印刷物を作成させるので、作成された印刷物を複写機でコピーして得られる複製物は、複写時消失紋様が消失し、複写時残存紋様のみが印刷されたものとなる。従って、複写機により得られた複製物は、原本の印刷物とは外見上異なるものとなり、複写したことが明らかになるので、不正な目的での複写が意味をなさない。これにより、不正な目的での複製を牽制し、印刷内容を保護できる。
また、印刷対象の印刷データが複写牽制対象であれば、複写牽制地紋が自動的に印刷されるため、各印刷データの重要性に応じて複写牽制地紋を印刷し、印刷物を管理することができる。
また、専用の用紙等の特殊な印刷媒体を事前に用意する必要がなく、一般的な印刷媒体を使用できるので、重要な印刷物を作成させる場合であっても、印刷前の印刷媒体については厳重に管理する必要が無い。これにより、印刷媒体の低コスト化を図ることができ、さらに、管理コストの低減も図ることができる。また、複写牽制地紋が不要な印刷物と共通の印刷媒体を利用できるので、印刷媒体の交換等の手間を省くことができる。そして、地紋生成手段によって生成した複写牽制地紋を印刷するため、複写牽制地紋の種類を多くしてもコスト増の心配が無いので、状況に応じて所望の複写牽制地紋を利用でき、デザイン上の制約を受けることなく、所望の印刷物を作成できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明の印刷制御装置、および、請求項8記載の記録媒体によれば、複写機により得られた複製物は、原本の印刷物とは外見上異なるものとなり、複写したことが明らかになるので、不正な目的での複写が意味をなさない。これにより、不正な目的での複製を牽制し、印刷内容を保護できる。
また、印刷対象の印刷データが複写牽制対象であれば、複写牽制地紋が自動的に印刷されるため、各印刷データの重要性に応じて複写牽制地紋を印刷し、印刷物を管理することができる。
また、専用の用紙等の特殊な印刷媒体を事前に用意する必要がなく、一般的な印刷媒体を使用できるので、重要な印刷物を作成させる場合であっても、印刷前の印刷媒体については厳重に管理する必要が無い。これにより、印刷媒体の低コスト化を図ることができ、さらに、管理コストの低減も図ることができる。また、複写牽制地紋が不要な印刷物と共通の印刷媒体を利用できるので、印刷媒体の交換等の手間を省くことができる。そして、地紋生成手段によって生成した複写牽制地紋を印刷するため、複写牽制地紋の種類を多くしてもコスト増の心配が無いので、状況に応じて所望の複写牽制地紋を利用でき、デザイン上の制約を受けることなく、所望の印刷物を作成できる。
【0015】
請求項4記載の発明の印刷制御装置によれば、地紋生成手段は、複数の印刷物に共通する共通紋様と、印刷物毎に固有の情報を示す可変紋様とからなる複写時残存紋様を含む複写牽制地紋を生成するので、例えば、配布先の名称や、印刷日時、印刷物に順次付される連番など、印刷物毎に異なる複写時残存紋様を印刷させることができる。すなわち、印刷物を複写機で複写して得られた複製物には、原本の印刷物毎に異なる複写時残存紋様が印刷されることから、原本となった印刷物を特定でき、不正な目的での複写を強く牽制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明の印刷制御装置によれば、印刷装置により作成された印刷物に係る管理情報、例えば印刷物の文書名や、印刷担当者、印刷日時、印刷後の保管場所等の情報を記憶手段に記憶するので、複写牽制地紋付きの印刷物を容易に管理できる。また、印刷制御装置において管理情報を記憶するので、印刷後に人手で管理を行う場合に比べて、記録のミスや意図的な改変を強固に防止でき、より確実に印刷物を管理できる。
【0017】
請求項6記載の発明の印刷制御装置によれば、原本印刷制御手段によって、複写機による複写が困難な原本証明紋様を、複写牽制地紋および前記印刷データとともに印刷媒体上に印刷させ、原本印刷制限手段によって、一の前記印刷データについて原本証明紋様を印刷する回数を1回のみに制限するので、原本であることを示す原本証明紋様が印刷された印刷物は一部しか作成されない。これにより、複写牽制地紋と原本証明紋様が印刷された原本そのものの複製が行われない。このため、複写牽制地紋および原本証明紋様によって複写機による複製を牽制する一方で、原本としての印刷物の複製を防止することにより、より一層確実に印刷内容を保護し、信頼性を高めることができる。
【0018】
請求項7記載の発明の印刷制御装置によれば、正規複写印刷制御手段によって、複写機による複写が困難な正規複写証明紋様を、複写牽制地紋および印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させ、配布先数取得手段により、正規複写証明紋様が印刷される印刷物に対応する配布先の数を取得し、正規複写印刷制御手段によって一の印刷データについて正規複写証明紋様を印刷する回数を、原本印刷制限手段によって、配布先数取得手段により取得された配布先の数以下に制限するので、正規の複写であることを証明する正規複写証明紋様が印刷された印刷物は、その配布先に対応する部数しか印刷されない。これにより、複写牽制地紋と正規複写証明紋様が印刷された印刷物そのものが必要数以上複製されない。このため、複写牽制地紋および正規複写証明紋様によって複写機による複製を牽制する一方で、原本としての印刷物の余分な印刷を防止することにより、より一層確実に印刷内容を保護し、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
まず、構成を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における帳票出力装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、帳票出力装置1は、CPU(Central Processing Unit )2、RAM(Random Access Memory)3、記憶装置4、記憶装置4が有する記憶媒体5、印刷装置6、表示部7、入力部8および伝送制御部9を備えて構成され、各部はバス10により接続されている。
【0021】
CPU2は、記憶装置4に記憶されたシステムプログラム、例えばプログラムファイル4b等を読み出して、RAM3内のワークエリアに展開して実行し、帳票出力装置1の各部を駆動制御する。また、CPU2は、入力部8からの入力指示に従って、記憶装置4内の業務アプリケーションファイル4aを読み出して実行し、受注・納品管理、請求書や見積書の作成等、入力指示に対応する各種業務処理を実行する。
【0022】
そして、CPU2は、上記業務処理で作成された帳票や、入力部8における入力内容等を表示するための表示情報を生成して表示部7へ出力し、表示部7によって各種画面を表示させる。
【0023】
また、CPU2は、セキュリティ地紋生成処理(図8)を実行してセキュリティ地紋を生成し、生成されたセキュリティ地紋のデータを、セキュリティ地紋データファイル4dとして記憶装置4に記憶する。
なお、ここで生成されるセキュリティ地紋とは、帳票出力装置1によって帳票に印刷される地紋であって、基本セキュリティ地紋と、隠しセキュリティ地紋とによって構成される。
【0024】
このうち、基本セキュリティ地紋は、帳票上の模様として視認でき、かつ、複写機でコピーすると、再現されずに消失する。基本セキュリティ地紋は、例えば取引内容が印字された領域等、帳票の中で指定された領域に印刷される。
一方、隠しセキュリティ地紋は、基本セキュリティ地紋に重ねて所定位置に印刷され、帳票上では基本セキュリティ地紋に紛れて視認が困難であるが、複写機でコピーすると明瞭に複写される。
【0025】
従って、帳票出力装置1によって印刷されたセキュリティ地紋付きの帳票は、一見して、表面に基本セキュリティ地紋と隠しセキュリティ地紋とによる一様な模様が視認できる。さらに、このセキュリティ地紋付きの帳票を複写機でコピーして得られる複製物には、基本セキュリティ地紋は再現されず、隠しセキュリティ地紋のみが明瞭に複写される。このため、帳票出力装置1により印刷された帳票と、この帳票を複写機でコピーして得られた複製物とは、簡単に見分けられる。
【0026】
また、CPU2は、後述する印刷制御処理を実行し、アプリケーションによって生成された印刷データを印刷データメモリ3aに格納し、帳票のフォームに関するデータをフォームデータメモリ3bに格納する。さらに、帳票毎に個別に設定される個別セキュリティ地紋を生成して、セキュリティ地紋データファイル4dのデータと合成して地紋データメモリ3cに格納する。そして、印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3bおよび地紋データメモリ3c内のデータをプリンタドライバへ出力し、印刷装置6によって、セキュリティ地紋付きの帳票を印刷させる。
【0027】
RAM3は、CPU2によって実行されるシステムプログラム、各種アプリケーションプログラム、および、これらのプログラムに係るデータを一時的に保持するワークエリアを形成する。また、RAM3は、帳票を印刷するためのデータを格納する印刷メモリ31を備えている。
【0028】
図2は、印刷メモリ31の構成を示す図である。図2に示すように、印刷メモリ31には、印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3b、地紋データメモリ3cの各メモリエリアが形成される。
【0029】
印刷データメモリ3aは、帳票出力装置1により作成される帳票に印刷される取引先名や商品名、金額等の印刷データが格納されるメモリエリアである。
【0030】
フォームデータメモリ3bは、帳票出力装置1により作成される帳票のタイトル、日付記入欄や罫線の印刷位置等、帳票のフォームに関するデータが格納されるメモリエリアである。
【0031】
地紋データメモリ3cは、帳票出力装置1により作成される帳票上のセキュリティ地紋に関するデータが格納されるメモリエリアである。
【0032】
記憶装置4は、プログラムやデータ等が予め記憶されている記憶媒体5を本発明における記録媒体として有しており、この記憶媒体5は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体は記憶装置に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体には上記システムプログラムおよび当該システムに対応する各種アプリケーションプログラム、印刷制御処理プログラム、および各処理プログラムで処理されたデータ、文書データ等を記憶する。
【0033】
また、この記憶媒体5に記憶するプログラム、データ等は、その一部若しくは全部をサーバやクライアント等の他の機器からネットワーク回線等の伝送媒体を介して伝送制御部9から受信して記憶する構成にしてもよく、さらに、記憶媒体5はネットワーク上に構築されたサーバの記憶媒体であってもよい。さらに、前記プログラムをネットワーク回線等の伝送媒体を介してサーバやクライアントへ伝送してこれらの機器にインストールするように構成してもよい。
【0034】
図3は、記憶装置4内のファイル構成を示す図であり、同図に示すように、記憶装置4内には、業務アプリケーションファイル4a、プログラムファイル4b、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4d、印刷データファイル4e、セキュリティパターンAファイル4f、セキュリティパターンBファイル4g、セキュリティ帳票定義ファイル4h、配布先テーブルファイル4i、連番管理テーブルファイル4j、文書管理ファイル4kの各ファイルが記憶されている。
【0035】
このうち、業務アプリケーションファイル4aは、帳票出力装置1において、CPU2により実行される各種アプリケーションプログラムのファイルであり、例えば、見積書や納品書の作成等の各種業務処理を行うためのアプリケーションプログラム等のファイルである。
また、プログラムファイル4bは、CPU2によって帳票出力装置1の各部を制御するためのシステムプログラム等のファイルである。
【0036】
帳票フォームデータファイル4cには、帳票出力装置1の印刷装置6によって印刷出力される帳票のフォーム、すなわち、帳票の書式・形式に関するデータが含まれる。例えば、見積書、納品書、請求書等の各帳票について、罫線や、客先名、商品名、金額等の各種情報の印字位置を定めるデータが含まれる。
【0037】
また、セキュリティ地紋データファイル4dには、セキュリティ地紋生成処理(図8)で生成されるセキュリティ地紋に関するデータが含まれる。
さらに、印刷データファイル4eは、CPU2によって業務アプリケーションファイル4aが実行された際に生成された帳票印刷用のデータであり、例えば、見積書、納品書、請求書等の各帳票に記載される商品名、金額、取引先名等が含まれる。
【0038】
セキュリティパターンAファイル4fには、図4(a)に示すように、基本セキュリティ地紋として帳票に印刷可能な、複数の模様のデータが含まれる。
図4(a)に示す例では、「標準1」、「標準2」の2つの模様のデータが記憶されており、セキュリティ地紋生成処理(図8)では、これら2つの模様のうちいずれかの模様を用いて、基本セキュリティ地紋が生成される。
【0039】
セキュリティパターンBファイル4gには、図4(b)に示すように、隠しセキュリティ地紋として帳票に印刷される複数の文字列に関するデータが含まれる。図4(b)に示す例では、「標準1」として「複写無効」という文字列が含まれており、この他、「標準2」として「COPY」という文字列が、「標準3」として「複写禁止」という文字列が含まれる。
【0040】
セキュリティ地紋生成処理(図8)では、セキュリティパターンBファイル4g内の、いずれかの文字列をもとに、隠しセキュリティ地紋が生成される。
【0041】
なお、隠しセキュリティ地紋の模様については、特に限定されるものではなく、所望の模様を用いることが可能であるが、本実施の形態においては一例として、図4(c)に示す模様が使用されるものとする。
【0042】
図5は、セキュリティ帳票定義ファイル4hの構成例を示す図である。この図5に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hは、印刷装置6によって帳票にセキュリティ地紋を印刷するための各種データで構成される。
図5に示す例では、項目「DEV 」には使用するプリンタ名が設定され、項目「NAME」には帳票名が設定されている。また、項目「FORM」には帳票のフォーム名が設定され、項目「SEQ-FORM」には、セキュリティ地紋データが設定されたセキュリティ地紋データファイル4dのファイル名が設定されている。
【0043】
さらに、図5に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、印刷制御処理(図9〜図12)で設定される個別セキュリティ地紋に関するデータが含まれる。
【0044】
図5に示す例では、セキュリティ帳票定義ファイル4hの項目「SEQ-DT」には、個別セキュリティ地紋のタイプが設定される。
本第1の実施の形態においては、個別セキュリティ地紋のタイプとして、図5の欄外に示すように、配布先名に基づいて生成する場合を示す「$HAIHU」、システムの日付に基づいて生成する場合を示す「$SYS#DATE 」、帳票の通し番号に基づいて生成する場合を示す「$NUMBER 」の3タイプが設定可能である。
【0045】
その他、セキュリティ帳票定義ファイル4hに含まれるデータとして、項目「SEQ-PATb」には個別セキュリティ地紋の形態や色が設定され、項目「DT-START」には個別セキュリティ地紋の印刷開始位置が設定され、項目「DT-SIZE 」には個別セキュリティ地紋の印刷サイズが設定される。なお、本実施の形態では、項目「SEQ-PATb」に設定される個別セキュリティ地紋の形態としては、図4(c)に示す模様の1種類のみが用いられるものとして説明する。
【0046】
さらに、図5の欄外に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hのファイル名は、帳票名に所定の拡張子を付して「帳票名.Seqdef」となる。すなわち、セキュリティ帳票定義ファイル4hは、各帳票の名称に対応する名称で、帳票毎に生成され、記憶装置4に記憶される。
【0047】
配布先テーブルファイル4iには、図6(a)に示すように、帳票名と、配布先と、配布数とが対応づけられたデータが含まれる。図6(a)に示す例では、「mitumori1 」という帳票に対応する配布先は「▲▲▲工業」であり、配布数は1部のみである。また、「kikaku1 」という帳票の配布先は「○○部長,××課長,△△係長,□□氏」であって、配布数は4部である。さらに、「kikaku2 」という帳票の配布先は「○×部長,△○課長,□○係長」であって、配布数は3部と設定されている。
【0048】
また、図6(b)に示すように、連番管理テーブルファイル4jには、帳票名と、最終の連番とが対応づけられたデータが含まれる。ここで、連番とは、各帳票を印刷する際に、帳票毎に付される通し番号であり、連番管理テーブルファイル4jには、連番の最後の番号が設定される。
図6(b)に示す例では、「c-list1 」という帳票の最終の連番は「02103 」である。つまり、「1 」から「02103 」までの通し番号が既に付与されているので、既に印刷された枚数は2103枚である。同様に、帳票名「c-list2 」の帳票は、既に192枚印刷されていることがわかる。なお、連番管理テーブルファイル4jにおける最終連番は、帳票が印刷され、新たな番号が付与される毎に更新される。
【0049】
図1に示す印刷装置6は、レーザプリンタ、インクジェット式プリンタ、昇華型プリンタ等のプリンタを備え、CPU2の制御に従って上記プリンタを駆動制御し、各種帳票を印刷出力させる。なお、上記プリンタの印刷方式については限定されないが、セキュリティ地紋程度の解像度で印刷可能なものが望ましい。また、本実施の形態ではカラー印刷が可能なプリンタを備えるものとして説明するが、単色の印刷のみ可能なものであっても良い。
【0050】
表示部7は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(液晶表示画面)等の表示画面を備え、CPU2から入力される表示情報に従って上記表示画面を駆動制御し、各種画面を表示させる。
【0051】
入力部8は、数字キー、文字キーや各種機能キーを有するキーボードを備え、操作されたキーに対応する操作信号を生成してCPU2へ出力する。また、入力部8は、マウスやタブレット、タッチパッド等のポインティングデバイスを備える構成としても良く、この場合、入力部8は、上記ポインティングデバイスの操作に対応する操作信号とともに、その操作により指定された相対位置座標を示す信号を生成し、CPU2へ出力する。
【0052】
伝送制御部9は、モデム(MODEM:MOdulator/DEModulator )またはターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)等によって構成され、電話回線、ISDN回線等の通信回線を介して外部機器との通信を行うための制御を行う。モデムは、電話回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、CPUによって処理されたデジタルデータを電話回線の周波数帯域に適合するアナログ信号に変調し、また、電話回線を介して入力されたアナログ信号をデジタル信号に復調する装置であり、ターミナルアダプタは、ISDN回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、既存のインタフェースをISDNに対応するインタフェースに変換する装置である。
【0053】
図7は、帳票出力装置1の動作と記憶装置4内の各ファイルとの関連を示す図である。なお、同図において、符号Aで示す業務アプリケーション、符号Bで示す印刷制御プログラム、符号Cで示すフォーム定義プログラム、符号Dで示す個別セキュリティ地紋生成プログラム、および、符号Eで示すプリンタドライバは、それぞれ、各段階でCPU2により実行されるプログラムを示す。
【0054】
まず、CPU2によって、符号Aで示す業務アプリケーションが実行され、業務アプリケーションの処理データをもとに印刷ジョブが発生すると、CPU2は、符号Bで示す印刷制御プログラムを実行する。
【0055】
印刷制御プログラムの実行により、入力部8における入力指示に従って、符号Cで示すフォーム定義プログラムが実行され、セキュリティパターンAファイル4fおよびセキュリティパターンBファイル4gをもとに、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4dが生成される。
【0056】
また、印刷制御プログラムの実行時には、配布先テーブルファイル4i、連番管理テーブルファイル4jおよびセキュリティパターンBファイル4gをもとに、符号Dで示す個別セキュリティ地紋生成プログラムが実行される。
【0057】
そして、印刷制御プログラムにおいて、帳票フォームデータファイル4c、セキュリティ地紋データファイル4d、印刷データファイル4e、セキュリティ帳票定義ファイル4h、および、個別セキュリティ地紋生成プログラムの処理で得られたデータをもとに、印刷用のデータが生成され、符号Eで示すプリンタドライバへ出力される。その後、符号Eで示すプリンタドライバの処理により、印刷制御プログラムで生成されたデータに基づいて印刷装置6が駆動制御され、帳票が印刷出力される。
【0058】
次に、CPU2により実行されるセキュリティ地紋生成処理、および、印刷制御処理について、図8〜図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能を実現するためのプログラムは、読み取り可能なプログラムコードの形態で記録媒体に格納されており、CPU2はこのプログラムコードに従った動作を逐次実行する。また、CPU2は伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードにしたがった動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0059】
図8は、CPU2によって実行されるセキュリティ地紋生成処理を示すフローチャートである。
まず、入力部8における入力操作により、基本セキュリティ地紋の模様パターン、色、印刷開始位置、印刷サイズ(X方向のサイズ、Y方向のサイズ)が入力されると、CPU2は、入力されたデータを、それぞれSEQ-PATa,IRO ,START ,XSIZE ,YSIZE として、RAM3に一時的に格納する(ステップS11)。
【0060】
続いて、CPU2は、RAM3内のSEQ-PATaのデータをキーとして、セキュリティパターンAファイル4fから対応する地紋のパターンを読み出し、PATaとして記憶する(ステップS12)。
【0061】
CPU2は、更に、RAM3内のIRO のデータに合わせて印刷色を設定し、印刷開始の始点をSTART の位置に設定し、X方向およびY方向の印刷サイズを、それぞれXSIZE ,YSIZE の入力値に設定して、これらの設定値をもとに基本セキュリティ地紋のデータを生成し、印刷メモリ31の地紋データメモリ3cに格納する(ステップS13)。
【0062】
その後、CPU2は、基本セキュリティ地紋に関する入力が完了したか否かをオペレータに確認し(ステップS14)、終了した旨の入力指示があった場合はステップS15へ移行し、終了していない旨の入力指示があった場合は、ステップS11へ戻る。
【0063】
ステップS15においては、入力部8における入力操作により、隠しセキュリティ地紋の模様パターン、色、印刷開始位置、印刷サイズ(X方向のサイズ、Y方向のサイズ)が入力され、CPU2は、入力されたデータを、それぞれSEQ-PATb,IRO ,START ,XSIZE ,YSIZE として、RAM3に一時的に格納する。
なお、ここで、印刷色、すなわちIRO については、ステップS11における基本セキュリティ地紋に関する入力値と同じものとしても良い。
【0064】
続いて、CPU2は、RAM3内のSEQ-PATbのデータをキーとして、セキュリティパターンBファイル4gから対応する地紋のパターンを読み出し、PATbとして記憶する(ステップS16)。
【0065】
CPU2は、更に、RAM3内のIRO のデータに合わせて印刷色を設定し、印刷開始の始点をSTART の位置に設定し、X方向およびY方向のサイズを、それぞれXSIZE ,YSIZE の入力値に設定し、これらの設定値をもとに、基本セキュリティ地紋のデータを生成する。そして、生成したデータを地紋データメモリ3cに格納する(ステップS17)。
【0066】
その後、CPU2は、隠しセキュリティ地紋に関する入力が完了したか否かをオペレータに確認し(ステップS18)、終了した旨の入力指示があった場合はステップS19へ移行し、終了していない旨の入力指示があった場合は、ステップS15へ戻る。
【0067】
そして、CPU2は、地紋データメモリ3cに格納されたデータを、セキュリティ地紋データファイル4d、すなわち、帳票名(CYO-ID).Sjimon ファイルに出力し(ステップS19)、本処理を終了する。
【0068】
図9は、CPU2により実行される印刷制御処理を示すフローチャートである。図9において、まず、CPU2は、印刷する帳票名を、CYO-IDとして取得する(ステップS21)。
【0069】
続いて、CPU2は、ステップS21で取得したCYO-IDをもとに、CYO-ID.Seqdef ファイル、すなわち、取得した帳票名に対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hの読み込みを行う(ステップS22)。
【0070】
ここで、対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hが存在しない場合は(ステップS23;No)、CPU2は、セキュリティ地紋を付けない通常の印刷処理を実行し(ステップS24)、本処理を終了する。
【0071】
また、対応するセキュリティ帳票定義ファイル4hが存在する場合は(ステップS23;Yes)、セキュリティ帳票定義ファイル4hからDEV ,NAME,FORM,SEQ-FORM,SEQ-DT,SEQ-PATb,DT-START,DT-SIZE 等の各設定項目のデータを取得する(ステップS25)。
【0072】
続いて、CPU2は、印刷部数を取得して、変数PR#CNTとして設定する(ステップS26)。ここで、印刷部数は、帳票名をもとに記憶装置4内の配布先テーブルファイル4iを検索し、配布数を印刷部数として取得しても良いし、或いは、入力部8において指示入力された数を印刷部数としても良い。
【0073】
続いて、CPU2は、ステップS25で取得したSEQ-FORMの設定値に基づいてセキュリティ地紋データを取得し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS27)。
【0074】
例えば、セキュリティ帳票定義ファイル4hが、図5に示すように構成される場合、CPU2は、ステップS25で、SEQ-FORMに設定された「mitumori.Sjimon 」というファイル名を取得する。そして、ステップS27では、「mitumori.Sjimon 」というファイル名のファイルを検索し、検索したファイルのデータを地紋データメモリ3cに格納させる。
【0075】
さらに、CPU2は、ステップS25で取得したFORMの設定値に基づいてフォームデータを取得して、フォームデータメモリ3bに格納する(ステップS28)。例えば、セキュリティ帳票定義ファイル4hが図5に示す構成の場合、CPU2は、ステップS25でファイル名「mitumori1.Form」を取得する。そして、ステップS28では、ファイル名「mitumori1.Form」のファイルを検索し、検索したファイルのデータをフォームデータメモリ3bに格納させる。
【0076】
その後、CPU2は、印刷ジョブを生成した業務アプリケーションによって生成されたデータを取得して、印刷データメモリ3aに格納させる(ステップS29)。
【0077】
CPU2は、ステップS25で取得したSEQ-DTの設定値に従って個別セキュリティ地紋生成処理(図10〜12)を実行して、生成された個別セキュリティ地紋を地紋データメモリ3cに格納する(ステップS30)。
【0078】
その後、CPU2は、PR#CNTの値をデクリメント(−1)し(ステップS31)、続いて、印刷メモリ31の印刷データメモリ3a、フォームデータメモリ3b、および地紋データメモリ3c内のデータを合成して帳票印刷用のデータを生成し、プリンタドライバへ出力する(ステップS32)。
【0079】
そして、CPU2は、印刷メモリ31を初期化し(ステップS33)、PR#CNTの値が0(零)になったか否かを判別する(ステップS34)。ここで、PR#CNTが0になっていなければステップS27に戻って処理を続行する。また、PR#CNTの値が0になっていれば、印刷すべき全ての帳票について処理が行われたので、本処理を終了する。従って、図9に示す印刷制御処理は、PR#CNTの値、すなわち印刷部数が0になるまで実行された後、終了する。
【0080】
続いて、図10〜図12を参照して、図9のステップS30で実行される個別セキュリティ地紋生成処理について、詳細に説明する。
図10は、連番を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。この図10に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$NUMBER 」であった場合に実行される。
【0081】
図10において、CPU2は、まず、連番管理テーブルファイル4jの内容を取得して、NUMBERとして、一時的に記憶する(ステップS41)。
そして、ステップS16(図8)で記憶された地紋パターンのPATbを用いて、NUMBERとして記憶された数字列の地紋を生成し、生成された地紋をPATb#NO として記憶する(ステップS42)。
【0082】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、START として記憶する(ステップS43)。
【0083】
その後、CPU2は、ステップS43で取得したSTART の位置に、PATb#NOとして記憶した地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS44)。
【0084】
以上のように、図10に示す処理により、図9の印刷制御処理では、各帳票に固有の連番が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0085】
図11は、配布先の名称を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。この図11に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$HAIHU」であった場合に実行される。
【0086】
図11において、CPU2は、まず、セキュリティ帳票定義ファイル4hのNAMEの設定値を取得し、一時的に記憶する(ステップS51)。次いでCPU2は、取得したNAMEをキーとして配布先テーブルファイル4iを検索し、対応する配布先名称の文字列を取得し、HAIHU#STR として記憶する(ステップS52)。なお、HAIHU#STR は、全ての配布先の名称を含む文字列である。
【0087】
そして、CPU2は、HAIHU#STR の中から、PR#CNT番目の文字列を切り出し、HAIHU として記憶する(ステップS53)。これにより、現在処理中の帳票に対応する配布先名称のみが抽出される。
【0088】
CPU2は、ステップS16(図8)で記憶された地紋パターンのPATbを用いて、NAMEとして記憶された文字列の地紋を生成して、PATb#HAIHUとして記憶する(ステップS54)。
【0089】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、START として記憶する(ステップS55)。
【0090】
CPU2は、ステップS55で取得したSTART の位置にPATb#HAIHUの地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS56)。
【0091】
以上のように、図11に示す処理によって、図9の印刷制御処理で、各帳票に対応する配布先の名称が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0092】
図12は、システム日付を利用して個別セキュリティ地紋を生成する場合の処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、セキュリティ帳票定義ファイル4hのSEQ-DTの設定値が「$SYS#DATE 」であった場合に実行される。
【0093】
図12において、CPU2は、まず、帳票出力装置1のシステム日付を取得して、SYS#DATEとして、一時的に記憶する(ステップS61)。
また、CPU2は、帳票出力装置1のシステム時刻を取得して、SYS#TIMEとして記憶する(ステップS62)。
【0094】
そして、CPU2は、ステップS16(図8)の地紋パターンのPATbを用いて、SYS#DATE、および、SYS#TIMEの文字列の地紋を生成し、生成された地紋をPATb#DATETIME として記憶する(ステップS63)。
【0095】
続いて、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DT#STARTの設定値を取得し、STARTとして記憶する(ステップS64)。
【0096】
CPU2は、ステップS64で取得したSTART の位置に、PATb#DATETIME として記憶した地紋を印刷出力するためのデータを生成し、地紋データメモリ3cに格納する(ステップS65)。
【0097】
以上のように、図12に示す処理によって、図9の印刷制御処理では、各帳票に処理時の日付および時刻が隠しセキュリティ地紋の一部として印刷される。
【0098】
図13は、本実施の形態におけるセキュリティ地紋の例を示す図であり、(a)は印刷されたセキュリティ地紋の例を示し、(b)は複写機によってコピーされた状態を示す。
【0099】
図13(a)に示す例では、枠内全体に基本セキュリティ地紋101が印刷されており、その中に、さらに「無効」という文字列の隠しセキュリティ地紋102が印刷されている。
なお、この図13(a)に示す例では、説明の便宜のために基本セキュリティ地紋101と隠しセキュリティ地紋102とが目視で識別できるように図示しているが、実際に印刷出力される帳票では目視による判別は困難であり、「無効」という文字列があると認識することも難しくなる。
【0100】
図13(a)に示す基本セキュリティ地紋101、および、隠しセキュリティ地紋102は、複写機によるコピーの後に図13(b)に示すように変化する。
すなわち、複写機によるコピーで基本セキュリティ地紋101が消失する一方、隠しセキュリティ地紋102は、同図(a)に示す原本よりも明瞭に印刷される。
【0101】
図14は、図13(a)に示すセキュリティ地紋を一部拡大した図である。この図14に示すように、基本セキュリティ地紋101は、微細なドットと空白とで構成される。一方、隠しセキュリティ地紋102は、基本セキュリティ地紋101を構成するドットに比べて大きいドットと、空白とによって構成される。
【0102】
基本セキュリティ地紋101を構成するドットは、一般的な複写機の解像度よりも小さなサイズであり、複写機による読み取りが不可能か、又は非常に困難なため、複写機によるコピーでは再現されない。
しかしながら、基本セキュリティ地紋101は数多くのドットで構成されるため、原本となる帳票上には、何らかの模様や色が視認できる。
【0103】
一方、隠しセキュリティ地紋102を構成するドットは複写機の解像度に適合し、複写機によって容易に読み取り・再現できる。このため、コピー時には明瞭に印刷される。しかしながら、コピー前の状態では、基本セキュリティ地紋101と重なっているため、目視で認識することは難しい。
【0104】
また、隠しセキュリティ地紋を構成する空白が微細であり、複写機の解像度よりも小さなサイズであった場合、隠しセキュリティ地紋の空白を複写機で読み取って再現することが困難になる。この場合、隠しセキュリティ地紋は、ドットが再現される一方で空白が再現されないため、原本よりも濃く印刷される。
【0105】
従って、セキュリティ地紋付きの帳票をコピーすると、基本セキュリティ地紋101が消失し、隠しセキュリティ地紋102がコピー元の原本よりも濃く印刷され、結果として全く異なる帳票が作成される。この帳票はコピーによる複製物であることが明らかなので、不正目的のコピーを牽制できる。
【0106】
続いて、帳票出力装置1により印刷出力される帳票として、見積書を例に挙げて図示する。
図15は、見積書の作成時に、印刷メモリ31のフォームデータメモリ3bに格納されるフォームデータの例を示す図である。図15に示すように、フォームデータには、帳票の罫線位置や日付の印刷位置等、見積書の形式に関するデータが含まれている。
【0107】
図16には、見積書作成時に印刷メモリ31の地紋データメモリ3cに格納されるセキュリティ地紋の例を示す。
図16に示すセキュリティ地紋は、図中、符号Fで示す基本セキュリティ地紋と、符号GおよびHで示す隠しセキュリティ地紋とによって構成される。
隠しセキュリティ地紋は、符号Gで示す「複写無効」と、符号Hで示す「▲▲▲工業」との2つの文字列である。このうち、「複写無効」の文字列は、セキュリティパターンBファイル4g(図4(b))から選択されたものである。また、「▲▲▲工業」の文字列は、配布先テーブルファイル4i(図6(a))に、帳票名「mitumori1 」に対応づけて設定された配布先名である。
【0108】
つまり、符号Gで示す隠しセキュリティ地紋は、指示入力により選択されれば全ての帳票に使用可能であり、一方、符号Hで示すセキュリティ地紋は、「mitumori1 」という名称の見積書に固有の、個別セキュリティ地紋である。
【0109】
そして、図15に示すフォームデータと、図16に示すセキュリティ地紋とを合成すると、図17に示すような合成フォームが得られる。
図17に示す合成フォームは、見積書において、商品名や価格等が記載される領域にのみセキュリティ地紋が配された帳票のフォームである。このため、図17に示す合成フォームによれば、商品名や価格等のデータが記載された部分について、コピーを牽制することができる。
【0110】
次に、印刷メモリ31の印刷データメモリ3aに格納される印刷データを図18に示す。図18に示すように、印刷データメモリ3aには、商品名や価格等、業務アプリケーションにより生成され、帳票に印刷されるべきデータが含まれている。
【0111】
図19は、図17に示す合成フォームと、図18に示す印刷データとに基づいて得られる帳票の例を示す図である。見積書の形式をとっているが、金額や商品名が記載された部分には、セキュリティ地紋が印刷されている。
【0112】
図19に示す帳票を複写機によってコピーすると、図20に示すように、隠しセキュリティ地紋として印刷されていた「複写無効」および「▲▲▲工業」の文字列が明瞭に現れる。
従って、複写機によるコピーでは、帳票出力装置1により作成された帳票の原本とは全く異なるコピーしか得られないため、不正なコピーを牽制できる。
【0113】
図21には、帳票出力装置1により印刷される帳票として、顧客リストを例示する。図21(a)および(b)に示す顧客リストには、隠しセキュリティ地紋として「複写禁止」と印刷されており、さらに、個別セキュリティ地紋生成処理(図11)で生成された配布先の名称の地紋が、それぞれ「鈴木B」、「山田K」と印刷されている。
【0114】
図21(a)に示す顧客リストをコピーすると、図22に示すように、「鈴木B」という隠しセキュリティ地紋が現れる。この隠しセキュリティ地紋は、各帳票の配布先の名称であり、このコピーは「鈴木B」宛に配布された資料がコピーされたものであることが明らかである。
【0115】
すなわち、帳票毎に異なる配布先名称を隠しセキュリティ地紋として印刷すれば、帳票がコピーされた場合に、コピー元の原本として使用された帳票の配布先を特定できる。従って、不正なコピーを、より強く牽制することができる。
また、上記個別セキュリティ地紋生成処理(図10〜図12)において、システム日付や帳票の連番が隠しセキュリティ地紋として印刷された場合は、同様に、コピーの原本となった帳票の印刷年月日や、連番を特定できる。
【0116】
以上のように、本発明の第1の実施の形態における帳票出力装置1によれば、CPU2によって、セキュリティ地紋生成処理(図8)を実行することにより、記憶装置4内に記憶されたセキュリティパターンAファイル4f、セキュリティパターンBファイル4gおよびセキュリティ帳票定義ファイル4hにおける設定内容をもとに、コピー時に消失する基本セキュリティ地紋と、コピー時に明瞭に複写される隠しセキュリティ地紋とを含むセキュリティ地紋を生成して地紋データメモリ3cに格納し、印刷制御処理(図9)によって、印刷データメモリ3a内の印刷データと、フォームデータメモリ3bのフォームデータと、地紋データメモリ3c内のセキュリティ地紋とを印刷装置6によって印刷させ、帳票を作成させる。
【0117】
これにより、印刷データと、セキュリティ地紋とが印刷された帳票を容易に作成することができる。作成された帳票を複写機でコピーすると、得られる複製物には、基本セキュリティ地紋が複写されず、隠しセキュリティ地紋が明瞭に複写されており、一見して原本の帳票とは異なるものとなる。このため、不正な目的で複写を図っても意味を為さないので、不正な複写を牽制することができる。
【0118】
また、セキュリティ地紋を印刷装置6によって印刷するので、セキュリティ地紋が付かない通常の帳票を印刷する場合と、セキュリティ地紋付きの帳票を印刷する場合とで共通の印刷用紙を使用できる。このため、印刷用紙のコスト減を図ることができ、また、多様なデザインの印刷用紙を用いることで、セキュリティ地紋が付いていながら、デザイン性に富む帳票を容易に作成できる。また、通常の帳票とセキュリティ地紋付きの帳票とを交互に印刷するような場合であっても、印刷用紙の交換等の手間を省き、作業効率の向上を図ることができる。
【0119】
さらに、隠しセキュリティ地紋として、汎用的な「複写」、「無効」等の文字列の他に、配布先の名称、連番管理テーブルファイル4jに設定された各帳票毎の連番、印刷日時等、各帳票に固有の情報を印刷することができる。すなわち、帳票出力装置1によって作成された帳票を複写機でコピーして得られた複製物には、原本となった帳票毎に異なる隠しセキュリティ地紋が印刷されるため、原本となった帳票を特定でき、不正な目的でのコピーを強く牽制することができる。
【0120】
なお、上記第1の実施の形態においては、隠しセキュリティ地紋および個別セキュリティ地紋に用いる模様は、図4(c)に示す1種類のみとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4(b)に示すセキュリティパターンBファイル4gに複数の模様が設定され、これら複数の模様の中から所望の模様が指定できる構成としても良い。
【0121】
また、図9に示す印刷制御処理においては、各帳票を1枚毎に印刷処理する構成としたが、複数ページで構成される帳票について処理を行うことも可能である。この場合、1ページ毎にセキュリティ地紋を生成する構成とすれば、各ページ毎に異なる多彩なセキュリティ地紋を設定できる他、セキュリティ地紋付きのページと、セキュリティ地紋が無いページとが混在した帳票であっても、速やかに印刷が行える。
【0122】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本第2の実施の形態では、帳票出力装置1により、原本して利用される帳票と、正規の複写として利用される帳票との2種類の帳票が印刷出力される。
【0123】
なお、本第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態における帳票出力装置1と同様の構成によってなる部分については、同符号を付して図示および説明を省略する。
【0124】
図23は、本発明の第2の実施の形態における文書管理ファイル4kの構成を示す図である。図23に示すように、文書管理ファイル4kには、帳票名と、各帳票が更新された最終更新日時とが対応づけて設定されている。さらに、文書管理ファイル4kには、帳票が印刷出力された日時、出力を行った担当者名、出力区分、出力された帳票の保管場所、保管担当者名、出力目的、印刷カウントが、それぞれ設定される。
【0125】
なお、印刷区分としては「1」又は「2」の数値が設定される。印刷区分「1」は原本の印刷を示し、印刷区分「2」は、正規の複本の印刷を示す。
また、印刷カウントは、印刷した部数を示し、例えば、2部まとめて印刷した場合は「2」と設定される。
【0126】
例えば、図23中、上から3番目のレコードは、出力担当者「山田太郎」が、「2000年3月30日 午後1時34分」に、「正規の複写」を「2部」印刷したことを示している。
【0127】
図24は、本第2の実施の形態におけるセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を示す図である。
同図に示すように、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、プリンタ名、帳票名、フォームの名称、セキュリティ地紋データ名等が設定されている。
【0128】
また、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、帳票出力装置1により、原本の帳票、および、正規の複写としての帳票を印刷するためのデータが、それぞれ含まれている。
【0129】
例えば、図24に示すセキュリティ帳票定義ファイル4hにおいては、プリンタ名が設定される項目「DEV 」、帳票名が設定される項目「NAME」、フォームの名称が設定される「FORM」、および印刷制御プログラム、セキュリティ地紋データファイルのファイル名が設定される「SEQ-FORM」の各項目のデータが含まれる。
【0130】
更に、原本印刷に係るデータとして、項目「GEN-PR」には、原本の証明として帳票に印刷される原本証明の文字列が設定され、項目「GEN-PR-MEN」には、原本証明を印刷する印刷面が設定され、項目「GEN-PR-COLOR」には、原本証明の印刷色が設定され、項目「GEN-PR-FONT 」には原本証明のフォントが設定され、さらに、項目「GEN-PR-START」には原本証明の印刷開始位置が設定されている。
【0131】
また、セキュリティ帳票定義ファイル4hには、正規の複写印刷に係るデータとして、項目「COP-PR」には、正規複写の証明として帳票に印刷される正規複写証明の文字列が設定され、項目「COP-PR-MEN」には、正規複写証明を印刷する印刷面が設定され、項目「COP-PR-COLOR」には、正規複写証明の印刷色が設定され、項目「COP-PR-FONT 」には正規複写証明のフォントが設定され、さらに、項目「COP-PR-START」には正規複写証明の印刷開始位置が設定されている。
【0132】
従って、セキュリティ帳票定義ファイル4hに設定された各項目のデータに基づいて、原本としての帳票には原本証明の文字列を印刷し、正規の複写としての帳票には、正規複写証明の文字列を印刷することができる。
【0133】
続いて、本第2の実施の形態の動作について、説明する。
図24は、印刷制御処理を示すフローチャートである。図24においては、まず、入力部8の操作によって印刷対象となる帳票名が入力されるので、CPU2は、帳票名をCYOUHYO としてRAM3に記憶する(ステップS101)。
【0134】
続いて、原本を印刷するか、或いは正規複写を印刷するかを示す印刷種別が入力されるので、CPU2は、入力された種別をSYUBETSUとしてRAM3に記憶する(ステップS102)。
【0135】
次に、出力担当者名が入力されると、CPU2は、入力内容をP-TANTOUとしてRAM3に記憶する(ステップS103)。
【0136】
その後、同様に、CPU2は、保管場所が入力されると入力内容をHOKAN としてRAM3に記憶し(ステップS104)、保管担当者が入力されると入力内容をH-TANTOUとしてRAM3に記憶し(ステップS105)、さらに、出力目的が入力されると入力内容をMOKUTEKIとしてRAM3に記憶する(ステップS106)。
【0137】
そして、CPU2は、ステップS101で指定された帳票、すなわち、帳票名がCYOUHYO としてRAM3に記憶された帳票を開き(ステップS107)、この帳票に対応する文書管理ファイル4kを参照し、最終更新日時を取得してMODY-DATE としてRAM3に記憶し、ステップS109に移行する(ステップS108)。
【0138】
ステップS109で、CPU2は、セキュリティ帳票定義ファイル4hを参照して、DEV ,NAME,FORM,SEQ#FORM,GEN-PR,GEN-PR-MEN,GEN-PR-COLOR,GEN-PR-FONT ,GEN-PR-START,COP-PR,COP-PR-MEN,COP-PR-COLOR,COP-PR-FONT ,COP-PR-START等、各項目における設定値を取得する。
【0139】
その後、CPU2は、ステップS110に移行して、取得したRAM3内のSEQ#FORMの設定値に基づいてセキュリティ地紋データを取得し、SEQ-FORMとして再度RAM3に記憶し、ステップS111へ移行する。
【0140】
ステップS111で、CPU2は、取得したRAM3内のFORMに設定されたフォームデータを取得し、CYO-FORMとして記憶し、ステップS112へ移行する。ステップS112では、SEQ-FORMとCYO-FORMとを合成して、印刷メモリ31に記憶する。
【0141】
続いて、ステップS113で、CPU2は文書管理ファイル4kを読み込み、ステップS114に移行して、SYUBETSUの設定値が「1」であるか否か、すなわち、原本の印刷を示しているか否かを判別する。
そして、原本の印刷を行う場合は(ステップS114;Yes)、ステップS115へ移行し、正規の複写を印刷する場合は(ステップS114;No)、ステップS117へ移行する。
【0142】
ステップS115で、CPU2は、印刷する文字列をGEN-PRの設定値に設定し、印刷面をGEN-PR-MENに設定し、印刷色をGEN-PR-COLORに設定し、フォントをGEN-PR-FONT に設定し、印刷開始位置をGEN-PR-STARTに設定して、設定値を印刷メモリ31に格納する。
【0143】
そして、CPU2は、印刷に係る各種情報をもとに、文書管理ファイル4kの更新処理、および印刷処理を行い(ステップS116)、本処理を終了する。
【0144】
また、正規の複写を印刷する場合、CPU2は、印刷する文字列をCOP-PRの設定値に設定し、印刷面をCOP-PR-MENに設定し、印刷色をCOP-PR-COLORに設定し、フォントをCOP-PR-FONT に設定し、印刷開始位置をCOP-PR-STARTに設定して、設定値を印刷メモリ31に格納する(ステップS117)。
【0145】
その後、CPU2は、印刷に係る各種情報をもとに文書管理ファイル4kの更新処理、および印刷処理を行い(ステップS118)、本処理を終了する。
【0146】
ここで、ステップS116における文書管理ファイル4k更新・印刷処理について、図27のフローチャートに基づいて説明する。
【0147】
図27に示すフローチャートは、原本を印刷する場合の文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を示している。
まず、CPU2は、ステップS101で取得した帳票名CYOUHYO の設定値、および、ステップS108で取得した最終更新日時MODY-DATE の設定値をもとに、文書管理ファイル4kを索引する(ステップS121)。
【0148】
そして、該当するレコードの有無を判別し(ステップS122)、該当するレコードがあった場合は、そのまま本処理を終了する。また、該当するレコードが無い場合には、印刷カウントP-CNT に1を設定し(ステップS123)、続いて、区分KBN に1を設定する(ステップS124)。
【0149】
そして、CPU2は、ステップS124で設定されたKBN ,P-CNT の設定値、および、印刷制御処理(図25)で取得したH-TANTOU,MOKUTEKIの設定値を元に、文書管理ファイル4kに新たなレコードを記録して文書管理ファイル4kを更新し(ステップS125)、ステップS126へ移行する。
【0150】
ステップS126では、印刷メモリ31内のデータをプリンタドライバへ出力して印刷を実行させ、本処理を終了する。
以上の処理により、必要な原本が印刷される毎に文書管理ファイル4kが更新され、また、既に印刷された原本が再び印刷されることがないので、不正な原本の印刷を抑止でき、帳票を容易に、かつ確実に管理できる。
【0151】
次に、ステップS119(図26)における文書管理ファイル4kの更新処理について、図28のフローチャートに基づいて説明する。
【0152】
図28に示すフローチャートは、正規の複本を印刷する場合の文書管理ファイル4kの更新処理を示している。
まず、CPU2は、ステップS101で取得した帳票名CYOUHYO の設定値、および、ステップS108で取得した最終更新日時MODY-DATE の設定値をもとに、文書管理ファイル4kを索引する(ステップS131)。
【0153】
そして、該当するレコードの有無を判別し(ステップS132)、該当するレコードがなければ、印刷カウントP-CNT に1を設定し(ステップS133)、後述するステップS135へ移行する。
また、該当するレコードがあった場合は、該レコードの印刷カウントP-CNT の値をインクリメント(+1)し(ステップS134)、ステップS135へ移行する。
【0154】
ステップS135では、CYOUHYO の設定値をもとに、配布先テーブルファイル4iから配布先名の設定値を取得する。
【0155】
そして、CPU2は、ステップS136へ移行し、取得した配布先名に含まれる「,」を区切りとして、配布先名の数を取得し、HAIHU-CNT に設定する。例えば、配布先テーブルファイル4iに、CYOUHYO の設定値に対応づけて「○○部長,××課長,△△係長,□□氏」のように設定されていた場合、CPU2は、「,」を区切りと認識して、配布先の要素数を「4」と判別する。
【0156】
続いて、CPU2は、P-CNT の値が、HAIHU-CNT の値を上回ったか否かを判別し(ステップS137)、P-CNT の値がHAIHU-CNT の値よりも大きい場合は、そのまま本処理を終了する。
【0157】
また、P-CNT の値が、HAIHU-CNT 以下であった場合(ステップS137;No)、CPU2は、区分KBN に「2」を設定する(ステップS138)。
【0158】
そして、CPU2は、ステップS137〜138で設定されたKBN ,P-CNT の設定値、および、印刷制御処理(図25)で取得したH-TANTOU,MOKUTEKIの設定値を元に、文書管理ファイル4kに新たなレコードを記録して文書管理ファイル4kを更新する(ステップS139)。
【0159】
その後、CPU2は、印刷メモリ31内のデータをプリンタドライバへ出力して印刷を実行させ(ステップS140)、本処理を終了する。
【0160】
以上の処理によって、正規の複写は、配布先の数のみ印刷されるので、帳票の正規の複写についても、その印刷数を容易に、かつ確実に管理できる。
【0161】
図29は、印刷制御処理(図25)における入力画面の一例を示す図である。図29に示す入力画面は、印刷制御処理に先だって、出力する帳票名、区分、出力担当者名、保管場所、保管担当者、出力目的等の各項目を入力する際に、表示部7により表示される画面である。オペレータは、この画面における指示に従って各項目を入力することにより、所望の帳票を出力させることができる。
【0162】
続いて、帳票出力装置1により印刷される帳票の例を図示して説明する。
図30は、帳票出力装置1によって原本として印刷される帳票の例を示す図である。図30中、符号Lで示すように、原本として印刷された帳票には、原本であることを証明する原本証明の文字列が印刷されている。図30に示す例では「原本」となっている。
【0163】
前述のように、符号Lで示す原本証明の印刷色は、セキュリティ帳票定義ファイル4h(図24)に、GEN-PR-COLORとして設定された色であるが、例えば、透明や黄色等、複写機による読み取りが困難で、コピー時に消失しやすい色である。
【0164】
また、図30に示す帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、および、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋が印刷されている。前述のように、基本セキュリティ地紋は、複写機によるコピーの際に消失し、隠しセキュリティ地紋は、複写機によるコピーの際に、明瞭に複写される。
【0165】
図31は、帳票出力装置1によって正規の複写として印刷される帳票の例を示す図である。図31中、符号Mで示すように、正規の複写として印刷された帳票には、正規の複写であることを証明する正規複写証明の文字列が印刷されており、図31に示す例では「COPY」となっている。
【0166】
また、前述のように、符号Mで示す正規複写証明の印刷色は、セキュリティ帳票定義ファイル4h(図24)に、COP-PR-COLORとして設定された色であるが、例えば、透明や黄色等、原本証明の印刷色と同様に、複写機による読み取りが困難でコピー時に消失しやすい色である。
【0167】
図30および図31に示す帳票を複写機によってコピーした例を、図32に示す。図32に示すように、原本、或いは正規の複写の帳票が複写機でコピーされた場合は、図30に符号Lで示した原本証明、および、図31に符号Mで示した正規複写証明のいずれも消失し、再現されない。
【0168】
そして、符号Jで示す基本セキュリティ地紋についても、コピー時に消失し、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋のみが明瞭にコピーされる。このため、複写機によるコピーでは、正規でない複写物であることが明瞭なコピーのみが得られる。
【0169】
図33には、正規の複写として印刷した帳票に、隠しセキュリティ地紋としてシステム日付を印刷した例を示す。
図33の帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋の他、符号Nで示すシステム日付の隠しセキュリティ地紋が印刷されている。さらに、符号Mで示すように、正規複写証明の文字列が印刷されている。
【0170】
図33に示す帳票を複写機でコピーした場合を、図34に示す。
同図に示すように、図33中、符号Jで示した基本セキュリティ地紋、および、符号Mで示した正規複写証明はコピー時に消失し、再現されていない。
【0171】
一方、図33中に符号Kで示した隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷されており、さらに、符号Nで示すシステム日付の隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷される。
【0172】
従って、コピーにより得られた帳票は、複写機による不正な複写であることが明瞭であり、さらに、コピー元の原本となった帳票の印刷日時が明らかなので、より強く不正なコピーを牽制することができるとともに、不正なコピーの際に原本となった帳票を特定できる。
【0173】
図35に、正規の複写として印刷した帳票に、隠しセキュリティ地紋として連番を印刷した例を示す。
図35に示す帳票には、符号Jで示す基本セキュリティ地紋、符号Kで示す隠しセキュリティ地紋の他、符号Oで示す連番の隠しセキュリティ地紋が印刷されている。さらに、符号Mで示すように、正規複写証明の文字列が印刷されている。
【0174】
図35に示す帳票を複写機でコピーした場合を、図36に示す。
同図に示すように、図35中、符号Jで示した基本セキュリティ地紋、および、符号Mで示した正規複写証明はコピー時に消失し、再現されていない。
【0175】
一方、図35中に符号Kで示した隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷されており、さらに、符号Oで示す連番の隠しセキュリティ地紋が明瞭に印刷される。
【0176】
従って、コピーにより得られた帳票は、複写機による不正な複写であることが明瞭であり、さらに、コピー元の原本となった帳票の連番が明らかなので、より強く不正なコピーを牽制することができる。さらに、不正なコピーの際には、原本となった帳票と、その保管場所や管理担当者等の情報を、連番から容易に特定できる。
【0177】
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、原本として印刷される帳票には、原本であることを示す原本証明の文字列を印刷し、正規の複写として印刷される帳票には、正規の複写であることを示す正規複写証明の文字列を印刷する。そして、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列は、複写機によるコピー時に消失するように印刷される。また、帳票出力装置1により作成される帳票について、帳票名、最終更新日時、原本と正規複写の区分、出力担当者、保管場所等の管理情報を文書管理ファイル4kとして記憶し、この文書管理ファイル4kにおける内容に従って、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列付きの帳票の印刷を制御することにより、原本としての帳票の印刷部数を1部に制限し、正規の複写としての帳票の印刷部数は、配布先の数に制限する。
【0178】
従って、文書管理ファイル4kを記憶することにより、セキュリティ地紋付きの帳票を容易に管理することができ、特に、帳票出力装置1において文書管理ファイル4kを記憶することで、人手により管理を行う場合に比べて、記録のミスや意図的な情報の改変を強固に防止でき、確実に帳票を保護できる。
また、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列を印刷することで、原本および正規の複写であることを証明する一方、原本と正規の複写の印刷部数を制限するので、複写機によるコピーを牽制し、かつ、帳票出力装置1による余分な印刷を防止して、確実に印刷データを保護し、信頼性を高めることができる。
【0179】
特に、原本および正規の複写の印刷時には文書管理ファイル4kの内容を更新し、印刷部数を、文書管理ファイル4kにおける内容をもとに制限するので、時間の経過や処理の分散等の作為に影響されることなく、確実に制限を行える。
【0180】
なお、以上の第2の実施の形態においては、原本証明の文字列および正規複写証明の文字列を、セキュリティ帳票定義ファイル4hに設定された印刷色で印刷するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、隠しセキュリティ地紋の一部として印刷するようにしてもよいし、或いは、セキュリティ地紋とは離れた印刷位置において、基本セキュリティ地紋や隠しセキュリティ地紋と同様の印刷色、模様で印刷するようにしても良い。さらに、印刷対象の帳票名や種別、担当者名等を入力部8により入力する構成としたが、特定の入力手段或いは入力方法に基づく入力のみ受け付ける構成としても良い。
【0181】
また、文書管理ファイル4kにおける設定項目もあくまで一例を示すもので、その構成は任意であり、その他、具体的な細部構成についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態における帳票出力装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す印刷メモリ31内の構成を詳細に示す図である。
【図3】図1に示す記憶装置4内のファイル構成を詳細に示す図である。
【図4】図3に示す各ファイルの構成を模式的に示す図であり、(a)はセキュリティパターンAファイル4fを示し、(b)はセキュリティパターンBファイル4gを示し、(c)は隠しセキュリティ地紋に用いられる模様の一例を示す。
【図5】図3に示すセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を模式的に示す図である。
【図6】図3に示す各ファイルの構成を模式的に示す図であり、(a)は配布先テーブルファイル4iを示し、(b)は連番管理テーブルファイル4jを示す。
【図7】図1に示す帳票出力装置1の動作と図3に示す記憶装置4内の各ファイルとの関連を示す図である。
【図8】図1の帳票出力装置1により実行されるセキュリティ地紋生成処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の帳票出力装置1により実行される印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、連番を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図11】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、配布先の名称を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図12】図9のステップS30における個別セキュリティ地紋生成処理を、システム日付を利用して行う例を示すフローチャートである。
【図13】本第1の実施の形態におけるセキュリティ地紋の例を示す図であり、(a)は帳票出力装置1により帳票上に印刷されるセキュリティ地紋を示し、(b)は、(a)に示すセキュリティ地紋を複写機によりコピーした場合を示す。
【図14】図13(a)に示すセキュリティ地紋の要部拡大図である。
【図15】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票のフォームデータの例を示す図である。
【図16】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票のセキュリティ地紋の例を示す図である。
【図17】図15に示すフォームデータと図16に示すセキュリティ地紋とを合成して得られる合成フォームの例を示す図である。
【図18】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票の印刷データの例を示す図である。
【図19】図17に示す合成フォームと図18に示す印刷データとを印刷して得られる帳票の例を示す図である。
【図20】図19に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図21】本第1の実施の形態において印刷出力される帳票の例を示す図であり、(a)および(b)は配布先の名称をもとに個別セキュリティ地紋が印刷された帳票の例を示す。
【図22】図21(a)および(b)に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における文書管理ファイル4kの構成を模式的に示す図である。
【図24】本第2の実施の形態におけるセキュリティ帳票定義ファイル4hの構成を模式的に示す図である。
【図25】本第2の実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図26】本第2の実施の形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図27】図26のステップS116で実行される文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を詳細に示すフローチャートである。
【図28】図26のステップS118で実行される文書管理ファイル4kの更新・印刷処理を詳細に示すフローチャートである。
【図29】図25に示す印刷制御処理において表示部7により表示される入力画面の一例を示す図である。
【図30】本第2の実施の形態において原本として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図31】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図32】図30および図31に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図33】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図34】図33に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【図35】本第2の実施の形態において正規の複写として印刷出力される帳票の例を示す図である。
【図36】図35に示す帳票を複写機でコピーした場合を示す図である。
【符号の説明】
【0183】
1 帳票出力装置
2 CPU
3 RAM
31 印刷メモリ
3a 印刷データメモリ
3b フォームデータメモリ
3c 地紋データメモリ
4 記憶装置
4a 業務アプリケーションファイル
4b プログラムファイル
4c 帳票フォームデータファイル
4d セキュリティ地紋データファイル
4e 印刷データファイル
4f セキュリティパターンAファイル
4g セキュリティパターンBファイル
4h セキュリティ帳票定義ファイル
4i 配布先テーブルファイル
4j 連番管理テーブルファイル
4k 文書管理ファイル
5 記憶媒体
6 印刷装置
7 表示部
8 入力部
9 伝送制御部
10 バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段と、
印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより前記印刷物を作成させる制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
複写牽制対象とする印刷データを定義した定義情報を記憶する第1の記憶手段と、
印刷データを印刷する場合に、当該印刷データが前記定義情報で定義された印刷データに該当するか否かを判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段により前記印刷データが複写牽制対象であると判別された場合に、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
前記地紋生成手段は、前記複写牽制地紋の形態、色、印刷開始位置及び印刷サイズの少なくとも1つを変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記地紋生成手段は、複数の前記印刷物に共通する共通紋様と、印刷物毎に固有の情報を示す可変紋様とからなる複写時残存紋様を含む複写牽制地紋を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記印刷装置により作成された印刷物に係る管理情報を記憶する第2の記憶手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項6】
複写機による複写が困難な原本証明紋様を、前記複写牽制地紋および前記印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させる原本印刷制御手段と、
この原本印刷制御手段によって、一の前記印刷データについて前記原本証明紋様を印刷する回数を、1回のみに制限する原本印刷制限手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項7】
複写機による複写が困難な正規複写証明紋様を、前記複写牽制地紋および前記印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させる正規複写印刷制御手段と、
この正規複写印刷制御手段により正規複写証明紋様が印刷される前記印刷物に対応する配布先の数を取得する配布先数取得手段と、
前記正規複写印刷制御手段によって、一の前記印刷データについて正規複写証明紋様を印刷する回数を、前記配布先数取得手段により取得された配布先の数以下に制限する印刷制限手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項8】
印刷装置により印刷物を作成させるコンピュータを、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段と、
前記印刷装置によって、印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させる制御手段と、
として機能させるためのプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
印刷装置により印刷物を作成させる印刷制御装置において、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段と、
印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることにより前記印刷物を作成させる制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
複写牽制対象とする印刷データを定義した定義情報を記憶する第1の記憶手段と、
印刷データを印刷する場合に、当該印刷データが前記定義情報で定義された印刷データに該当するか否かを判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段により前記印刷データが複写牽制対象であると判別された場合に、前記地紋生成手段により生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
前記地紋生成手段は、前記複写牽制地紋の形態、色、印刷開始位置及び印刷サイズの少なくとも1つを変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記地紋生成手段は、複数の前記印刷物に共通する共通紋様と、印刷物毎に固有の情報を示す可変紋様とからなる複写時残存紋様を含む複写牽制地紋を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記印刷装置により作成された印刷物に係る管理情報を記憶する第2の記憶手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項6】
複写機による複写が困難な原本証明紋様を、前記複写牽制地紋および前記印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させる原本印刷制御手段と、
この原本印刷制御手段によって、一の前記印刷データについて前記原本証明紋様を印刷する回数を、1回のみに制限する原本印刷制限手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項7】
複写機による複写が困難な正規複写証明紋様を、前記複写牽制地紋および前記印刷データとともに前記印刷媒体上に印刷させる正規複写印刷制御手段と、
この正規複写印刷制御手段により正規複写証明紋様が印刷される前記印刷物に対応する配布先の数を取得する配布先数取得手段と、
前記正規複写印刷制御手段によって、一の前記印刷データについて正規複写証明紋様を印刷する回数を、前記配布先数取得手段により取得された配布先の数以下に制限する印刷制限手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項8】
印刷装置により印刷物を作成させるコンピュータを、
複写機による複写が困難な複写時消失紋様と、複写機により複写可能な複写時残存紋様とによってなる複写牽制地紋を生成する地紋生成手段と、
前記印刷装置によって、印刷データが複写牽制対象である場合にのみ、生成された複写牽制地紋を当該印刷データとともに印刷媒体上に印刷させる制御手段と、
として機能させるためのプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図16】
【図17】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図16】
【図17】
【図19】
【公開番号】特開2006−319994(P2006−319994A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154626(P2006−154626)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【分割の表示】特願2000−141990(P2000−141990)の分割
【原出願日】平成12年5月15日(2000.5.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【分割の表示】特願2000−141990(P2000−141990)の分割
【原出願日】平成12年5月15日(2000.5.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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