説明

印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法及びプログラム

【課題】少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、その印刷ジョブが完了するまでのプロセス及び終了タイミングを的確に把握可能な情報をユーザに提供する。
【解決手段】印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する印刷装置において、1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定し(ステップS110)、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定し(ステップS120)、少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力するようにする。こうすることで、最高順位の印刷ジョブの実行プロセス及び終了タイミングをユーザに的確に把握させることができる。また、ユーザは印刷ジョブをガイドにして付随する調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法及びプログラムに関し、詳しくは、印刷装置における印刷ジョブの実行スケジュールを、印刷装置において印刷ジョブを待機又は中断させる各種の調整動作に要する情報も含めたジョブ関連情報をユーザに提供できる印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタなどの印刷装置においては、実行中の印刷ジョブや実行済みの印刷ジョブについて表示部に表示可能となっているものが知られている(特許文献1等)。待機中の印刷ジョブについてそのジョブの指示者やデータ量などを表示するものも知られている(特許文献2等)。これらは、いずれも、印刷ジョブを作成してプリンタに印刷要求を行ったユーザが自分の出した印刷ジョブの実行結果や実行の順位を容易に把握させることを目的としている。
【特許文献1】特開昭60−3117号公報
【特許文献2】特開平5−333655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、プリンタにおいては、時間や印刷枚数などに基づいて所定間隔で調整動作が行われる場合がある。例えば、カラーレーザプリンタにおいては、良好な画像形成濃度やグラデーション等を確保するために、印刷途中であっても強制的にジョブを中断して、パッチパターン等を作成し分析して得られる情報に基づいて、露光や現像等の各種プロセスにおける設定を補正するいわゆるプロセスコントロールが行われることがある。また、良好な印刷物を提供するために、定着ユニットのクールダウンや転写ユニットのクリーニングが行われることもある。
【0004】
こういった調整動作が発生すれば、印刷ジョブは待機あるいは中断されるため、印刷ジョブに要する実際の所要時間や終了タイミングを、印刷枚数のみに基づいて判断するのは困難になってきている。また、ユーザには、よりリアルに印刷ジョブの実行状況を把握したいという要請がある。一方、印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作が実行されるタイミングや回数などを把握することもできなかった。
【0005】
そこで、本発明の印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法及びプログラムは、印刷に際して、少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、その印刷ジョブが完了するまでのプロセス及び終了タイミングを的確に把握可能な情報をユーザに提供することを目的の一つとする。また、本発明の印刷装置、印刷装置の制御システム、印刷方法及びプログラムは、少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、その印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作についての情報をユーザに提供することを他の目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記した課題の少なくとも一つを解決するものとして、以下の手段が提供される。
【0007】
本発明の印刷装置は、
印刷ジョブを実行する印刷ジョブ実行手段と、
印刷装置の印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する調整動作実行手段と、
1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定する印刷ジョブスケジュール手段と、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力する印刷ジョブ関連情報制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の印刷装置では、1又は複数の印刷ジョブについて実行順位が設定されるとともに、その属性に基づいて実行すべき調整動作が設定され、少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについては、その印刷ジョブの属性とその印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報が出力される。このため、ユーザに、最高順位の印刷ジョブの完了までに要するプロセスについての調整動作を含めた情報が提供されることになる。この結果、最高順位の印刷ジョブの実行プロセス及び終了タイミングをユーザに的確に把握させることができる。また、本発明の装置によれば、印刷ジョブとその印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作とに基づくジョブ関連情報が出力されるため、ユーザは印刷ジョブをガイドにして該印刷ジョブに付随する調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができる。
【0009】
この印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記最も高い実行順位の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の実行状況を出力する手段とすることができる。こうすることで、最高順位の印刷ジョブが待機又は中断されているとき、調整動作の実行状況がユーザに提供されることになる。この結果、ユーザは、より具体的に最高順位の印刷ジョブの現状を把握できる。特に、調整動作についての実行状況を、印刷ジョブのジョブ関連情報と独立して出力することで、調整動作のみならず印刷ジョブの現状を容易に把握させることができる。
【0010】
また、この態様の印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行状況として前記印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の残余の回数および/または残余の所要時間とに基づく情報を所定タイミングで更新して出力する手段としてもよい。こうすることで、調整動作の実行状況を容易にユーザに提供できる。
【0011】
また、本発明の印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記最も高い実行順位の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、該印刷ジョブの実行状況を出力する手段とすることができる。こうすることで、最高順位の印刷ジョブが現に進行しつつあるとき、印刷ジョブの実行状況がユーザに提供されることになる。この結果、ユーザは、より具体的に最高順位の印刷ジョブの現状を把握できる。
【0012】
この態様の印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行状況として、印刷済み印刷枚数、残余の印刷枚数および残余の所要時間のいずれかあるいは2種以上に基づく情報を所定タイミングで更新して出力する手段とすることができる。こうすれば、印刷ジョブの実行状況を容易にユーザに提供できる。
【0013】
さらに、本発明の印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、実行順位が第2位以降の印刷ジョブについて、これらの各印刷ジョブの属性と該各印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を印刷ジョブ毎に出力する手段とすることができる。こうすることで、待機中の印刷ジョブについては、その印刷ジョブの属性とその印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報が出力される。このため、待機中の印刷ジョブの終了タイミングを的確にユーザに把握させることができる。また、印刷ジョブ毎にジョブ関連情報が提供されるため、ユーザは印刷ジョブをガイドにしつつ調整動作を含めた情報を把握することができる。
【0014】
この態様の印刷装置においては、前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行順位が第2位以降の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、これらの各印刷ジョブの所要時間と該各印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の所要時間とに基づく情報を印刷ジョブ毎に出力する手段とすることができる。こうすることで、容易にユーザに待機中の印刷ジョブの終了タイミングをより具体的に把握させることができる。
【0015】
この態様の印刷装置においては、前記ジョブ関連情報は、前記印刷ジョブの所要時間と前記調整動作の所要時間の合計時間とすることができる。こうすることで、容易にユーザに待機中の印刷ジョブの終了タイミングを把握させることができる。
【0016】
前記印刷ジョブ関連情報出力手段は、前記印刷装置の表示部及び/又は前記印刷装置に接続された印刷ジョブ送信装置の表示部に前記印刷ジョブ関連情報を印刷ジョブ毎に出力する手段とすることができる。こうすることで、簡易な構成でユーザにジョブ関連情報を提供できる。
【0017】
本発明の印刷システムは、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と、該印刷ジョブ送信装置から送信された印刷ジョブを実行する印刷装置とを備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、印刷ジョブを実行する印刷ジョブ実行手段と、印刷装置の印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する調整動作実行手段と、1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定する印刷ジョブスケジュール手段と、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力する印刷ジョブ関連情報制御手段と、を備え、
前記印刷装置により出力したジョブ関連情報を、前記印刷ジョブ送信装置の表示部及び/又は前記印刷装置の表示部に、表示する、
ことを要旨とする。
【0018】
本発明の印刷システムによれば、1又は複数の印刷ジョブについて実行順位が設定されるとともに、その属性に基づいて実行すべき調整動作が設定され、少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについては、その印刷ジョブの属性とその印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報が出力され、このジョブ関連情報が印刷装置の表示部及び/又は印刷装置に接続された印刷ジョブ送信装置の表示部に表示される。このため、ユーザに、最高順位の印刷ジョブの完了までに要するプロセスについての調整動作を含めた情報が提供されることになる。この結果、最高順位の印刷ジョブの実行プロセス及び終了タイミングをユーザに的確に把握させることができる。また、本発明の印刷システムによれば、ユーザは印刷ジョブをガイドにして調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができる。
【0019】
本発明の印刷装置の制御方法は、印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置において実行する1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定するステップと、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力するステップと、
を備えることを要旨とする。
【0020】
本発明の印刷装置の制御方法によれば、ユーザに、最高順位の印刷ジョブの完了までに要するプロセスについての調整動作を含めた情報が提供されることになる。この結果、最高順位の印刷ジョブの実行プロセス及び終了タイミングをユーザに的確に把握させることができる。また、本発明の制御方法によれば、ユーザは印刷ジョブをガイドにして調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができる。
【0021】
本発明のプログラムは、
印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する印刷装置が印刷ジョブを実行するとき、前記印刷装置の制御方法に記載の各ステップを一または複数のコンピュータに実行させる、
ことを要旨とする。
【0022】
本発明のプログラムを一つのコンピュータに実行させるかまたは複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、ユーザに、最高順位の印刷ジョブの完了までに要するプロセスについて調整動作を含めた情報が提供されるため、印刷ジョブの実行プロセス及び終了タイミングをユーザに的確に把握させることができる。また、本発明のプログラムによれば、ユーザは印刷ジョブをガイドにして調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができる。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク、ROM、FD、CD、DVD)などに記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから他のコンピュータに配信されたものであってもよいし、その他どのような形態で授受されたものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明を適用可能な印刷システムの構成の概略を示す図であり、図2は、印刷装置としてのレーザプリンタ20の構成の概略を示す図であり、図3はカラーレーザプリンタ20のコントローラ60における制御信号の入出力を示すブロック図である。実施例の印刷システム10は、図1に示すように、LAN(Local Area Network)12に接続され、印刷装置として機能するカラーレーザプリンタ20、カラーレーザプリンタ20に印刷ジョブの実行指令を出力する印刷指令出力装置としてのクライアントコンピュータ(以下、単にクライアントという)80a、80bとを備えている。
【0025】
カラーレーザプリンタ20は、単一感光体方式と中間転写方式とを採用したフルカラーの電子写真方式の印刷装置として構成されており、図2に例示するように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に色分解された各色毎の画像を帯電された感光体21上にレーザを照射して静電潜像として形成する露光器22と、装着された各色のトナーカートリッジ32C、32M、32Y、32Kから供給される各色のトナーを用いて感光体21上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器23と、感光体21上に現像された各色のトナー像を転写ベルト24に重ねて転写してカラートナー像を形成する一次転写ユニット25と、用紙カセット26から用紙を搬送する搬送ユニット27と、搬送された用紙に転写ベルト24に形成されたカラートナー像を転写する二次転写ユニット28と、転写されたカラートナー像を用紙に融着定着させて排紙する定着ユニット29と、表示部31と、現像器23の回転に伴ってトナーカートリッジ32C,32M,32Y,32Kに取り付けられた記憶素子33C,33M,33Y,33Kに接続してカートリッジのトナーの色に関する情報などを読み込む可動接続部30と、カラーレーザプリンタ20全体の動作を制御するコントローラ60とを備えている。カラーレーザプリンタ20は、ネットワークプリンタとして機能するように図示しないLANボードを備えている。さらに、カラーレーザプリンタ20は、図示しないが、定着ベルトのヒーターユニットやクーラーユニット、転写ベルト上等に形成したパッチパターンを分析するためのセンサ、温度センサ、湿度センサなどの各種のセンサを備えている。なお、実施例では、単一感光体方式と中間転写方式を採用した印刷装置について説明したが、色毎に感光体,現像器を持つタンデム方式等の他の構成であってもよい。
【0026】
コントローラ60は、図3に示すように、CPU61やRAM62,ROM63、EEPROM74等を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、補助記憶装置としてのハードディスク75を備えるともに、各種センサ(例えば、定着ユニット29の定着ローラー温度やその近傍の雰囲気温度を検出する各種温度センサや定着ユニット近傍の湿度を検出する湿度センサなど)による検出値やその他の入力信号(例えば、ユーザによる印刷指令信号など)が信号ラインを介して入力され、これらの入力信号に基づいて露光器駆動制御部64や現像器駆動制御部65、一次転写ユニット駆動制御部66,二次転写ユニット駆動制御部67,定着ユニット駆動制御部68,搬送ユニット駆動制御部69,可動接続部駆動制御部70,ディスプレイ表示制御部71などを介して露光器22や現像器23,一次転写ユニット25,二次転写ユニット28,定着ユニット29,搬送ユニット27,可動接続部30、表示部31などのカラーレーザプリンタ20の各部動作を制御する。
【0027】
ハードディスク75には、クライアント80a、80b等から取得した印刷ジョブを、スプールする領域を備えており、CPU61は、スプールした印刷ジョブをその優先順位に応じてRAM62に読み込んで該印刷ジョブを実行するようになっている。
【0028】
CPU61は、プリンタ20の印刷ジョブの実行を待機あるいは中断させる各種の調整動作を検知することができるようになっている。これらの各種調整動作の検出は、CPU61がプリンタ20の各部の温度や雰囲気温度、印刷枚数、トナー残量、トナー濃度等の各種の検出手段からの出力信号に基づいて行うものである。本明細書において、調整動作とは、特に限定するものではなく、印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作を全て包含している。例えば、印刷ジョブ実行前、印刷ジョブ実行中あるいは印刷ジョブの終了後において行われ、印刷ジョブの実行を待機または中断させる動作であって、CPU61の指示により実行される動作の全ても含まれる。調整動作としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0029】
(1)電源投入後あるいは省電力消費状態にあるスリープモードから、定着ユニットの定着ローラーなどがトナーの定着に十分な温度に到達するまでウォームアップ動作を含む各種のウォームアップ動作
(2)記録媒体に形成される画像の画質制御(例えば、階調濃度制御、トナー濃度制御など)のために適宜(印刷ジョブ実行前、実行中及び終了後)行われる各種のプロセスコントロール動作(テストパッチの形成及び分析、トナー濃度制御、雰囲気温度及び/又は湿度制御、露光制御、現像制御などがある)
(3)トナーなどの記録材並びに印刷用紙などの記録媒体などの各種印刷材料の状態管理、プリンタ20内における、露光、現像、定着、搬送など印刷に伴うプリンタ20各部の管理、プリンタ20内の雰囲気(温度や湿度等)の管理のために行われる調整動作(例えば、各部の温度及び/又は湿度制御、定着ローラーの温度制御(クールダウン及びウォームアップの双方を含む)、転写ローラーのクリーニングなどがある)
【0030】
これらの各種調整動作のなかでも、プリンタ20による印刷プロセスにおける印刷画像の調整のための動作である各種プロセスコントロール動作、プリンタ20における所定部位の温度調整のための動作、プリンタ20における所定部位の湿度調整のための動作、プリンタ20における所定部位の清掃のための動作が代表的な調整動作として挙げられる。
【0031】
RAM62には、ハードディスク75またはRAM62にスプールされている印刷ジョブを実行する優先順位と各印刷ジョブにおける印刷枚数、印刷用紙サイズや種類、カラーかモノクロかなどの印刷種別等の各種の属性と、これらの属性に基づく印刷所要時間とがジョブデータとして記憶されるようになっている。また、RAM62には、これらの印刷ジョブを実行するのにあたって行うべきプロセスコントロールなどの調整動作の種類や実行タイミング、予定所要時間などの調整動作の各種属性も記憶されるようになっている。
【0032】
ROM63には、プリンタ20の各部を制御して印刷指令を実行するプログラムのほか、プリンタ20の表示部31への表示制御を実行するプログラムなどが記憶されている。
【0033】
EEPROM74には、CPU61がプロセスコントロールをすべきか否かを決定するのに用いるプロセスコントロール実施プロトコールが記憶されているとともに、所定のプロセスコントロールに対する所定の所要時間が記憶されている。例えば、図4に示すように、電源投入からのウォームアップ、低電力消費状態からの復帰、プロセスコントロール(テストパッチによる画像濃度調整など)、定着ローラーのクールダウン、転写ローラーのクリーニングのそれぞれに予め調整時間が設定されている。それぞれの調整時間は、これらの所定の調整動作が終了するまでに要する平均的な時間が設定されている。さらにまた、EEPROM74には、定着ローラーの温度から調整時間を推測するのに用いる関数や係数、目標到達温度なども記憶されている。
【0034】
クライアント80a、80bは、それぞれ図示しないコントローラを有しており、LAN12を介してカラーレーザプリンタ20に対して印刷指令を出力可能に接続されているとともに、プリンタ20のRAM62に形成された印刷ジョブを待機ないし中断させる各種の調整動作についての情報を要求して、取得した調整情報をクライアント80a、80bのディスプレイ82a、82b上のプリンタウィンドウに表示できるようになっている。
【0035】
次に、こうして構成された実施例のカラーレーザプリンタ20の動作、特に、印刷ジョブについてのジョブデータをプリンタ20の表示部31に表示する動作について説明する。説明の都合上、まず、ジョブスケジュール処理について説明し、次いで、印刷ジョブ表示制御処理について説明する。
【0036】
(印刷ジョブスケジュール処理)
図5は、コントローラ60が実行する印刷ジョブスケジュール処理の一例を示すフローチャートである。この処理では、コントローラ60により、一定時間毎に実行されており、実行中及び待機中の印刷ジョブの実行順位を設定し、設定した各印刷ジョブにプロセスコントロールを割り付けてジョブスケジュールを設定する。以下、この処理では、待機中の印刷ジョブがない場合に新規に印刷ジョブを受け付けた場合について説明する。
【0037】
印刷ジョブスケジュール処理では、まず、図示するように、クライアント80a、80bから新たな印刷ジョブの受け付けがあるかどうかを判定する(ステップS100)。新たな印刷ジョブの受け付けがない場合には、一旦この処理を終了する。
【0038】
一方、新たな印刷ジョブの受け付けがある場合に、RAM62の印刷ジョブのスプール領域に格納された新たに受け付けた印刷ジョブについて実行順位を設定するとともに、ジョブ取得源であるクライアント名称、その印刷枚数、印刷用紙サイズ・種類、印刷種別などの属性を取得して、これらの属性と予めROM63に記憶されたパラメータとに基づいて印刷所要時間を算出する(ステップS110)。なお、ここでは、待機中の印刷ジョブがないので、実行順位は第1位に設定される。
【0039】
さらに、新規印刷ジョブの各種属性と、EEPROM74に記憶されたプロセスコントロール実施プロトコールに基づいて、実施すべきプロセスコントロール動作の回数、実行タイミング、所要時間などの属性を設定する(ステップS120)。例えば、プロセスコントロールを一定の印刷枚数毎で実行するようなプロトコールがある場合には、既に実行された印刷ジョブの印刷枚数と実行タイミングと新規印刷ジョブの印刷枚数とに基づいて、新たなプロセスコントロールの実行タイミングなどのプロセスコントロールスケジュールを設定する。
【0040】
続いて、プロセスコントロールを新規印刷ジョブに対して割り付けするとともに、印刷ジョブの印刷所要時間とプロセスコントロール動作の所要時間とを総所要時間として設定し(ステップS130)、この処理を終了する。ここで、印刷ジョブを待機又は中断させるようなプロセスコントロールを、その印刷ジョブに割り付けることになる。したがって、例えば、先行する印刷ジョブの終了後にプロセスコントロールが入る結果、新規印刷ジョブが待機することになる場合には、このプロセスコントロールは、新規印刷ジョブに割り付けられる。
【0041】
なお、こうした印刷ジョブ及びプロセスコントロールの各種属性と、印刷ジョブとプロセスコントロールとを組み合わせた総合属性(プロセスコントロールの印刷ジョブへの割り付けや総所要時間)は、ジョブ実行順位に応じてRAM62の所定の領域に印刷ジョブ毎にジョブデータとして格納されるようになっている。
【0042】
ここで、例えば、プリンタ20が1分間に10枚カラー印刷する能力があるとき、受け付けた印刷ジョブの印刷枚数が120枚、印刷種別がカラーであるとき、印刷所要時間約12分00秒が算出される。また、プリンタ20において、カラー印刷枚数50枚あたりにトナー濃度調整のためのプロセスコントロール動作を1回行うプロトコールが予め設定されているとき、待機ジョブがない場合には、プロセスコントロールが、本印刷ジョブの50枚印刷後と100枚印刷後とそれぞれ合計2回行うように割り付けられることになる。
【0043】
RAM62に記憶されているスケジュールデータの一例を図6に示す。図示するように、実行順位第1位の印刷ジョブとして、クライアント名称、印刷枚数(120枚)、所要時間(約12分00秒)、プロセスコントロール回数(2回)、所要時間(約1分00秒)、プロセスコントロール所要時間合計(約2分00秒)、印刷ジョブとプロセスコントロール動作の総所要時間(約14分00秒)であることが記憶されている。
【0044】
こうしたジョブスケジュール処理ルーチンにより、新たな印刷ジョブを受け付けると、新規印刷ジョブを順次下位の実行順位にそのジョブ関連情報とともに設定する。これにより、ジョブスケジュールデータが更新されることになる。こうして、いくつかの印刷ジョブのジョブデータが格納されたスケジュールデータの一例を図6に示す。
【0045】
なお、別途、コントローラ60が実行するプログラムにより、スケジュールデータは更新されるようになっている。例えば、スケジュールデータ中の実行順位第1位の印刷ジョブが完了するとともに、印刷済みの実行順位第1位の印刷ジョブデータは削除され、残りの印刷ジョブの実行順位が繰り上がるようになっている。また、一つのプロセスコントロールが完了すると、スケジュールデータ中の対応するプロセスコントロールデータが更新されるようになっている。例えば、本実施例(印刷ジョブのプロセスコントロールが2回、各約1分00秒と、合計約2分00秒と設定)の場合、一回目のプロセスコントロールが完了したら、プロセスコントロール回数が1回及び残り所要時間が約1分00秒に更新されるようなっている。
【0046】
(印刷ジョブ表示制御処理)
次に、印刷ジョブ表示処理について説明する。図7は、コントローラ60が実行する印刷ジョブ表示制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、RAM62に記憶されたスケジュールデータに基づいて印刷ジョブを表示するとともに、実行中の印刷ジョブ実行状況及び調整動作の実行状況を表示するものである。この処理は、所定間隔毎にコントローラ60により実行される。
【0047】
印刷ジョブ表示制御処理では、まず、RAM62のスケジュールデータ格納領域から実行順位1位以降の印刷ジョブのスケジュールデータ関連情報を取得する(ステップS200)。また、コントローラ60が印刷ジョブの開始とともに別途設定する、印刷ページ枚数カウンタ(以下、単にページカウンタという。)、プロセスコントロールステータスカウンタ(以下、単にステータスカウンタという。)のカウンタ値を取得する(ステップS210)。
【0048】
ここでページカウンタは、印刷ジョブにおける印刷枚数を逐次インクリメントしてカウントするものであり、ステータスカウンタは、設定されたプロセスコントロール動作の開始と終了とを監視して、プロセスコントロールが開始されるとその終了まで、その所要時間を秒単位でカウントするものである。カウンタのアドレスにデータがあるときは、プロセスコントロールが実行中であってかつそのデータで示される経過時間(秒)が経過しており、カウンタが「0」であれば、現在実行中のプロセスコントロールはないことになる。ページカウンタ及びステータスカウンタは、RAM62の所定の領域に確保されている。
【0049】
次いで、取得したスケジュールデータやカウンタ値に基づいてプリンタ20の表示部31へ、印刷ジョブ等の実行状況に関するステータスや印刷ジョブの属性を主体とするジョブデータを出力する(ステップS220)。すなわち、実行中の印刷ジョブである実行順位第1位の印刷ジョブについては、そのジョブデータと、ページカウンタ及びステータスカウンタの各カウンタ値に基づく印刷ジョブのステータスを表示部31に表示する。また、実行順位第2位以降の待機中の印刷ジョブについては、そのジョブデータを表示部31へ表示する。
【0050】
実行順位第1位の印刷ジョブのジョブデータとしては、まず、クライアント名称を表示する。さらに、ジョブステータスとしては、印刷済み枚数及び/又は残余の印刷所要時間、プロセスコントロールの残余の回数及び/又は残余の所要時間など、印刷ジョブとプロセスコントロールとのそれぞれの実行状況(換言すれば、印刷ジョブが完了するまでのプロセスや残りの処理量)をユーザに把握させることができる程度の内容のステータスデータを表示する。
【0051】
ここで、印刷済み枚数は、ページカウンタのカウンタ値に基づいて表示し、残余の所要時間は、ページカウンタ値に一枚当たりの所定所要時間をかけて算出した時間を所要時間から減算して算出して表示する。また、プロセスコントロール等で印刷が待機あるいは中断されている間はページカウンタが動かないので、その間は残余の印刷枚数は直前のカウンタ値のままであり、残余の所要時間についても変化しない。
【0052】
プロセスコントロールの残余の回数や所要時間については、プロセスコントロールカウンタが「0」であって、プロセスコントロールが実行中でないときには、スケジュールデータを参照してプロセスコントロールの属性情報をそのまま表示すればよい。スケジュールデータは、プロセスコントロールの完了毎に更新されているからである。また、ステータスカウンタにデータ(プロセスコントロール開始からの経過時間)があるときには、スケジュールデータに記憶されたプロセスコントロールあたりの所要時間に対する経過時間の割合をプロセスバー等で表示することにより、プロセスコントロールの実行状況を明示する。
【0053】
一方、待機中の印刷ジョブのジョブデータとしては、クライアント名称、印刷枚数、印刷所要時間とプロセスコントロール所要時間との総所要時間などを表示する。
【0054】
図8に、印刷ジョブ実行途中にプロセスコントロールが実行されている状態の表示部31における表示例を示す。この表示例は、図6に示すスケジュールデータの実行順位1位から3位までの表示例である。この例の時点では、予定されているプロセスコントロールの第1回目が実行中であり、印刷ジョブは中断されている。したがって、印刷済み枚数は「50枚」で停止し、残り印刷所要時間も「約7分00秒」で停止している。一方、プロセスバーがプロセスコントロール中の実行状況を示している。また、2件の待機中ジョブがあり、印刷枚数としてそれぞれ「100ページ」、「500ページ」が表示され、総所要時間として、それぞれ「約12分00秒」、「約60分00秒」と表示されている。
【0055】
続いて、印刷ジョブが実行中かどうかを判定する(ステップS230)。印刷ジョブが実行中の場合には、1秒毎にスケジュール格納領域のスケジュールデータやカウンタ値を読み込んで、表示部31にその内容に基づいてステータスやジョブデータを表示する(ステップS240、ステップS200〜ステップS230)。したがって、印刷ジョブが実行中の間は、表示部31の表示内容は、1秒毎に、スケジュールデータや各カウンタ値に基づいて更新されることになる。他方、印刷ジョブが実行中でないとき、あるいは実行中でなくなったときには、この印刷ジョブ表示制御処理を終了する。
【0056】
このように、この印刷ジョブ表示制御処理によれば、取得したスケジュールデータとカウンタ値とに基づいて、実行順位第1位の印刷ジョブのジョブデータとステータスを表示するとともに、第2位以降の印刷ジョブのジョブデータを印刷ジョブ毎に表示して、印刷ジョブが実行中の間は、所定間隔毎に最高順位の印刷ジョブについてのステータスが更新されるようになっている。
【0057】
なお、図9に示すように、プロセスコントロール実行中のために待機している印刷ジョブがある場合には、待機中の印刷ジョブが実行順位順にステータス(待機中でありページカウンタは動作していないため、印刷済み枚数は表示されていない)やジョブデータが表示される。また、プロセスコントロールの実行状況を明示するプロセスバーが表示される。さらに、図10に示すように、待機中の印刷ジョブがない場合であってプロセスコントロールが実行中のときには、プロセスバーのみが表示される。
【0058】
次に、こうした印刷ジョブ表示制御処理を表示部31の表示内容を時系列で示して説明する。図11(a)〜(d)は、待機中の印刷ジョブがないときに受け付けた新規印刷ジョブの実行のプロセスにおける表示部31の変化を、順を追って示している。図11(a)は、新規ジョブとして、クライアント名称が「PC01」、印刷枚数がカラー「120枚」の印刷ジョブを受け付けて開始したときのテータスを表示している。この表示では、ステータスとして、印刷済み印刷枚数/印刷枚数が「1/120」、残り所要時間が「12分00秒」、プロセスコントロール残り回数が「2回」、残りプロセスコントロール所要時間が「合計2分00秒」と表示されている。
【0059】
図11(b)は、50枚印刷後にプロセスコントロールが実行され、ジョブが中断している状態を示すとともに、2件の待機ジョブがあることを示している。この表示例は、図8と同様の構成である。プロセスコントロールが実行中なのでステータスは、印刷済み枚数「50枚」、残り印刷所要時間「約7分00秒」で停止している。他方、表示部31の上部にステータスカウンタ値に基づく点灯部分を有するプロセスバーが表示されている。また、プロセスバー近傍に「プリンタ調整中」の文字も合わせて表示されている。
【0060】
図11(c)は、一回目のプロセスコントロールが終了し、ジョブが再開された状態を示している。印刷済み枚数は増加され、同時に、残り印刷所要時間は減少している。また、プロセスコントロール残り回数が「1回」、残り所要時間が「約1分00秒」となっている。また、待機ジョブが1件追加されている。
【0061】
図11(d)は、2回目のプロセスコントロールが終了し、ジョブが再開された状態を示している。プロセスコントロールはもう予定されていないので、対応する部分は空欄になっており、印刷ジョブのステータスのみが表示されている。
【0062】
以上説明した本発明の実施例によれば、印刷ジョブを受け付けると、その属性に基づいてプロセスコントロールなどの調整動作が設定され、印刷ジョブと調整動作とが組み合わされたスケジュールデータが作成され、このスケジュールデータに基づいて、実行中のジョブの属性やステータスを表示するとともに、待機中のジョブについての属性等を表示する。これにより、ユーザに対して、印刷ジョブが完了するまでに要するプロセスについて調整動作を含めた情報が提供されることになる。この結果、ユーザは、実行中のジョブについて、調整動作も含めた実行プロセスと終了タイミングを的確に把握できる。
【0063】
また、ユーザに印刷ジョブを中断又は待機させるような調整動作についての情報も提供されるため、ユーザは、このような調整動作の実行タイミング等の属性を把握することができるようになっている。本実施例によれば、一つの印刷ジョブと、そのジョブを中断または待機させるような調整動作とを組み合わせ、調整動作に関する情報を印刷ジョブの情報に包含させて、一つのジョブグループとして取り扱っている。この結果、表示内容を複雑化することなくユーザにわかりやすい形態で、調整動作に関する情報を提供できるようになっている。また、ユーザは、特に、印刷ジョブをガイドにして実行順位やジョブデータを把握していれば、調整動作の実行タイミングや所要時間についても把握することができるようになっている。
【0064】
また、本実施例によれば、実行順位第1位の印刷ジョブについては、調整動作の実行状況を出力するようになっているので、印刷ジョブが調整動作によって待機又は中断されているとき、その調整動作の実行状況がユーザに提供される。このため、印刷ジョブの実行状況をより具体的にかつ正確に把握できる。特に、本実施例では、印刷ジョブとプロセスコントロールとのそれぞれについて別個にジョブデータや実行状況を表示しているので、調整動作の実行状況を表示することで、反射的に印刷ジョブの実行状況を容易に把握できるものとなっている。
【0065】
本実施例によれば、調整動作の実行状況を、残余の回数や残余の所要時間に基づいて所定時間毎に更新して表示することとしたので、容易に調整動作の実行状況をユーザに提供できるものとなっている。特に、本実施例によれば、調整動作の実行状況をプロセスバーでも表示するため、ユーザに調整動作が実行中であることを容易に視認させることができる。
【0066】
また、本実施例によれば、実行順位第1位の印刷ジョブについて、印刷ジョブの実行状況を出力するため、ユーザは具体的かつ正確に印刷ジョブの現状を把握でき、これらの実行状況を印刷済み印刷枚数、全印刷枚数及び残余の所要時間を組み合わせて所定時間毎に更新表示することとしたので、容易にユーザに印刷ジョブの実行状況を提供できるものとなっている。
【0067】
本実施例によれば、待機中の印刷ジョブについても、各印刷ジョブの属性と各印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の属性とを組み合わせた情報が出力されるため、待機中の印刷ジョブの完了までに要するプロセスについて調整動作を含めた情報が提供されることになる。この結果、ユーザは的確に待機中の印刷ジョブの終了タイミングを把握することができる。また、ユーザは、印刷ジョブをガイドにしつつ、調整動作を含めた情報を把握することができる。そして、本実施例においては、待機中の各印刷ジョブについて、印刷所要時間と調整動作所要時間とに基づいた情報を表示するものとしたので、ユーザはこれらの時間情報を参照するだけで、調整動作を含めた終了タイミングをより具体的に把握することができる。特に、本実施例では、印刷所要時間と調整動作所要時間と合計所要時間を表示するのでより容易に終了タイミングを把握することができる。
【0068】
さらにまた、本実施例によれば、印刷ジョブの実行状況やプロセスコントロールなどの実行状況が逐次更新して表示されるため、印刷ジョブ完了までの待機ストレスが軽減されるものとなっている。
【0069】
ここで、本実施形態においては、プリンタ20が本発明の印刷装置に相当し、プリンタ20において印刷ジョブの実行に関わる感光体21、露光器22と、現像器23と、転写ベルト24と、一次転写ユニット25と、搬送ユニット27と、二次転写ユニット28と、定着ユニット29などが、本発明の印刷ジョブ実行手段に相当し、プリンタ20が備えるコントローラ60と、図示しない各種のセンサ、ヒーター、ファンなどの温度や湿度の調節ユニットや、トナー濃度調整ユニット等が、本発明の調整動作実行手段に相当し、印刷ジョブスケジュール処理や印刷ジョブ表示制御処理を実行するCPU61が、本発明の印刷ジョブスケジュール手段や印刷ジョブ表示制御手段に相当し、クライアント80a、80b等が印刷ジョブ送信装置に相当し、印刷システム10が本発明の印刷システムに相当する。
【0070】
以上説明した本実施例では、調整動作としてプロセスコントロール動作を具体例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、各種の調整動作について本発明を適用できる。また、印刷ジョブの実行が中断して行われる調整動作に限定するものでもなく、印刷ジョブの実行前及び実行後等、調整動作が実行される時期に関わらず各種調整動作について本発明を適用できる。
【0071】
なお、ここでは、カラーレーザプリンタ20に代表されるレーザプリンタにおいて実施される調整動作について説明したが、インクジェットプリンタにおける調整動作としては、節電モードからの復帰、インクジェットヘッドの清掃、インクノズルキャップの清掃に係る動作を挙げることができる。
【0072】
また、本実施例では、実行順位第1位の印刷ジョブについて、印刷済み枚数と総印刷枚数とを組み合わせて実行状況を表示するものとしたが、残余の印刷枚数を直接表示することによってステータス表示してもよく、その他、印刷ジョブやプロセスコントロールのステータスを表示するためのジョブ要素としては、ユーザに実行状況を認識させることが可能であれば、他のいかなるジョブ要素を用いてもよい。
【0073】
また、本実施例では、文字を主体として実行順位第1位の印刷ジョブの実行状況を示すものとしたが、これに限定するものではなく、グラフィック表示を主体として実行状況を表示することもできる。例えば、図12(a)に示すように、プロセスコントロールを含めた印刷ジョブ全体を一つのプロセスバーとして示すこともできるし、図12(b)に示すように、横軸が時間軸で縦軸が印刷枚数の折れ線棒グラフとして示すこともできる。
【0074】
また、本実施例では、所定のプロセスコントロールに対してEEPROM74に予め記憶されたプロトコールに基づいてプロセスコントロールの実行タイミングや総所要時間などのジョブデータを算出するものとしたが、センサによる実測値から推測される所要時間や実行タイミングを用いてプロセスコントロールのジョブデータを算出し作成することもできる。また、これらの算出方法を適宜組み合わせてもよい。
【0075】
また、本実施例では、実行順位順に示した印刷ジョブのステータス及びジョブデータをプリンタ20の表示部31に出力するようにしたが、これに限定するものではなく、クライアント80a等のステータス及び/又はジョブデータ要求信号に基づいて、これらをクライアント80a等に出力し、クライアント80aにおけるプリンタウィンドウに表示するようにしてもよい。また、プリンタ20の表示部への出力と同時に、クライアント80a等のディスプレイ82aにも表示するよう出力してもよい。また、別個にプリンタサーバを備える場合には、サーバのディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施例では、プリンタ20のCPU61が、ジョブスケジュール処理及び印刷ジョブ表示制御処理を行うものとしたが、プリンタ20とは別個に備えられるプリントサーバ機能を備えるコンピュータがこの処理を実行してもよい。また、これらの処理は、クライアント80a等に導入されたプリンタドライバによってクライアント80a等により実行されてもよい。
【0077】
また、本実施例では、ネットワークとしてLAN12を介するものとしたがこれに限定するものではなく、端末とプリンタのみからなる印刷システムの他、インターネット網、電話回線網、専用回線網などのいずれかあるいはこれらを組み合わせて構成されるネットワークに適用するものとすることもできる。
【0078】
本実施例では、印刷装置として、カラーレーザプリンタ20に適用するものとしたが、モノクロレーザカラーレーザプリンタやインクジェットプリンタなどの各種のプリンタに適用してもよく、複写機などのプリンタ以外の印刷装置や複合機に適用してもよい。
【0079】
上記実施例では、本発明を、カラーレーザプリンタ20を具体例とした印刷装置の形態として説明したが、こうした印刷装置20を備える印刷システム10の形態としたり、プリントサーバ等の情報管理装置の形態としたり、印刷方法の形態としたり、プリンタドライバ、プリンタサーバドライバなどのプログラムないしかかるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】印刷システム10の構成の概略を示す構成図。
【図2】カラーレーザプリンタ20の構成の概略を示す構成図。
【図3】コントローラ60における制御信号の入出力を示すブロック図。
【図4】調整動作に対する調整時間のデータの一例を示す図。
【図5】印刷ジョブスケジュール処理の一例を示すフローチャート。
【図6】スケジュールデータの一例を示す図。
【図7】印刷ジョブ表示制御処理の一例を示すフローチャート。
【図8】プロセスコントロールが実行されているときの表示例を示す図。
【図9】待機している印刷ジョブがあるときの表示例を示す図。
【図10】待機している印刷ジョブがないときの表示例を示す図。
【図11】印刷ジョブ表示制御処理による表示内容を時系列で示す図。
【図12】実行中の印刷ジョブの実行状況の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0082】
10 印刷システム、12 LAN、20 カラーレーザプリンタ、21 感光体、22 露光器、23 現像器、24 転写ベルト、25 一次転写ユニット、26 用紙カセット、27 搬送ユニット、28 二次転写ユニット、29 定着ユニット、30 可動接続部、31 表示部、32C,32M,32Y,32K トナーカートリッジ、33C,33M,33Y,33K 記憶素子、60 コントローラ、61 CPU、62 RAM、63 ROM、64 露光器駆動制御部、65 現像器駆動制御部、66 一次転写ユニット駆動制御部、67 二次転写ユニット駆動制御部、68 定着ユニット駆動制御部、69 搬送ユニット駆動制御部、70 可動接続部駆動制御部、71 ディスプレイ表示制御部、74 EEPROM、75 ハードディスク、80a、80b クライアントコンピュータ、82a、82b ディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
印刷ジョブを実行する印刷ジョブ実行手段と、
印刷装置の印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する調整動作実行手段と、
1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定する印刷ジョブスケジュール手段と、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力する印刷ジョブ関連情報制御手段と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記最も高い実行順位の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の実行状況を出力する手段である、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行状況として前記印刷ジョブを待機又は中断させる調整動作の残余の回数および/または残余の所要時間に基づく情報を所定タイミングで更新して出力する手段である、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記最も高い実行順位の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、該印刷ジョブの実行状況を出力する手段である、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行状況として、印刷済み印刷枚数、残余の印刷枚数および残余の所要時間のいずれかあるいは2種以上に基づく情報を所定タイミングで更新して出力する手段である、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、実行順位が第2位以降の印刷ジョブについて、これらの各印刷ジョブの属性と該各印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性に基づくジョブ関連情報を印刷ジョブ毎に出力する手段である、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブ関連情報制御手段は、前記実行順位が第2位以降の印刷ジョブについてのジョブ関連情報として、これらの各印刷ジョブの所要時間と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の所要時間とに基づく情報を印刷ジョブ毎に出力する手段である、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記ジョブ関連情報は、前記印刷ジョブの所要時間と前記調整動作の所要時間の合計時間である、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷ジョブ関連情報出力手段は、前記印刷装置の表示部及び/又は前記印刷装置に接続された印刷ジョブ送信装置の表示部に前記印刷ジョブ関連情報を印刷ジョブ毎に出力する手段である、請求項1〜8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と、該印刷ジョブ送信装置から送信された印刷ジョブを実行する印刷装置とを備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、印刷ジョブを実行する印刷ジョブ実行手段と、印刷装置の印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する調整動作実行手段と、1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定する印刷ジョブスケジュール手段と、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力する印刷ジョブ関連情報制御手段と、を備え、
前記印刷装置により出力したジョブ関連情報を、前記印刷ジョブ送信装置の表示部及び/又は前記印刷装置の表示部に、表示する、
印刷システム。
【請求項11】
印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置において実行する1又は複数の印刷ジョブの実行順位を設定するとともに、これらの印刷ジョブの属性に基づいて実行されるべき調整動作を設定するステップと、
少なくとも最も高い実行順位の印刷ジョブについて、該印刷ジョブの属性と該印刷ジョブを待機又は中断させる前記調整動作の属性とに基づくジョブ関連情報を出力するステップと、
を備える印刷装置の制御方法。
【請求項12】
プログラムであって、
印刷機能を発揮又は維持するために行われる印刷以外の動作である調整動作を実行する印刷装置が印刷ジョブを実行するとき、請求項11に記載の各ステップを一または複数のコンピュータに実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−116745(P2006−116745A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304578(P2004−304578)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】