説明

印刷装置および印刷ジョブ管理装置

【課題】省エネルギーという観点から印刷ジョブを並べ替える制御を行う。
【解決手段】印刷装置は、受信された印刷ジョブに基づき形成された未定着画像を用紙に熱定着させる定着部9と、受信された印刷ジョブを登録する待ち行列4と、ジョブ管理部3を有する。ジョブ管理部3は、定着部9の定着目標温度を印刷ジョブの情報から判定し、待ち行列4における印刷ジョブの順番を各印刷ジョブの定着目標温度順に並べ替える。この待ち行列4において並べ替えられた順番に印刷ジョブが処理される。印刷開始後に受け付けられた印刷ジョブについても所定の条件下で並べ替えを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱定着式の印刷装置およびそのような印刷装置の印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に対して複数の印刷ジョブが与えられる場合、紙質の異なる印刷ジョブが混在していても生産性を損なわないように、複数の印刷ジョブを管理し、かつ定着部の検出温度と紙質情報に応じて処理順序を変更するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、幅狭紙の連続通紙による定着部端部の過昇温防止のために、第1サイズ幅が第2サイズ幅より小さいとき、第1サイズの印刷ジョブの待ち行列の途中に第2サイズ印刷ジョブを登録しなおすものがある(特許文献2参照)。
【0004】
更に、印刷装置のスループットを向上させるため、制御コマンドによる指定が一致するジョブ処理を連続して行うようジョブ処理順を並べ替えるものが提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−251106号公報
【特許文献2】特開2002−356041号公報
【特許文献3】特開2001−162909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱を用いて用紙への画像の定着を行う定着装置を持つ印刷装置においては、機器全体の電力消費の多くの部分をこの定着装置の部分によっている。定着装置ではヒータを制御することにより定着部を適正な温度(温調温度)に維持するようにしている。目標とする温調温度(定着目標温度)は、使用する用紙の種類やサイズ、通紙枚数などに応じて、印刷ジョブ毎に変更していかなければならない。そのため、印刷ジョブが変わった際には、せっかく定着温度を高めに制御していたとしてもその直後のジョブでは低めの温度制御に変え、また次のジョブでは温度を高めに制御するといったことがあった。
【0006】
このように従来の印刷ジョブの管理ではこのような印刷ジョブの変更時における定着部でのエネルギーのロスについては考慮されていなかった。特許文献1に記載の従来技術では、定着部の検出温度と紙質情報に応じて印刷ジョブの処理順序を変更しているが、これは例えば、現在実行中の印刷ジョブで指定された紙質が比較的熱容量が大きい場合に、熱容量の小さい用紙を用いる他の印刷ジョブがあれば、現在実行中の印刷ジョブを中断して当該他の印刷ジョブを割り込み処理させることにより、生産性を向上させることを目的とするものである。
【0007】
近年、事務機器においても省エネルギー等を考慮したいわゆる地球に優しい製品が求められるようになっており、各種規格においてもそのことが反映されてきている。
【0008】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、その目的は省エネルギーという観点から印刷ジョブを並べ替える制御を行う印刷装置および印刷ジョブ管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による印刷装置は、受信された印刷ジョブに基づき形成された未定着画像を用紙に熱定着させる定着手段を備えた印刷装置において、受信された複数の印刷ジョブを登録する待ち行列手段と、前記待ち行列手段における印刷ジョブの順番を各印刷ジョブの定着目標温度順に並べ替えるジョブ管理手段と、前記待ち行列手段において並べ替えられた順番に印刷ジョブを処理する印刷手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
ジョブ管理手段は、印刷ジョブを複数処理する場合、複数の印刷ジョブの処理順序を管理する。具体的には、印刷動作開始前に複数ジョブを受け付けて処理するようなジョブ管理制御を行う場合には、要求された各印刷ジョブの定着目標温度を比較して、定着目標温度の高い順に並べ替え処理を行い印刷動作を開始する。
【0011】
このようなジョブ管理の際、前記ジョブ管理手段は、印刷処理を行っていない状態で受信した第1の印刷ジョブの受付から規定時間が経過したとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷を開始させる。あるいは、印刷処理を行っていない状態で前記待ち行列手段内の印刷ジョブの印刷枚数の総数が規定枚数を超えたとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷を開始させる。
【0012】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理中に新たな印刷ジョブを受け付けたとき、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合に、例えば割り込み処理により、印刷処理中の印刷ジョブを中断させて、当該新たな印刷ジョブを実行させることもできる。
【0013】
前記ジョブ管理手段は、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合であっても、所定の条件の下で、前記印刷処理中の印刷ジョブの印刷の中断を行わないようにすることもできる。所定の条件下とは、例えば、印刷処理中のジョブを中断してまでジョブの実行順序を変更してもその変更が無意味となる場合である。あるいは、印刷処理中のジョブを中断して実行順を変更することにより余熱の有効利用がそれほど期待できない場合である。
【0014】
本発明による印刷ジョブ管理装置は、印刷ジョブを受け付けて、熱定着式の印刷装置に対して印刷ジョブの印刷要求を出力する印刷ジョブ管理装置であって、受信された複数の印刷ジョブを登録する待ち行列手段と、受信された印刷ジョブを格納するための印刷ジョブ格納手段と、前記待ち行列手段における印刷ジョブの順番を各印刷ジョブの定着目標温度順に並べ替えるジョブ管理手段と、並べ替えられた順番に各印刷ジョブの印刷要求を印刷装置に対して出力する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
この印刷ジョブ管理装置は、通信ネットワーク等を介して例えばホストコンピュータから印刷ジョブを受け付けて印刷ジョブを管理し、印刷装置に印刷ジョブの印刷要求を出力する装置であり、印刷装置の外部で印刷ジョブの管理が行われる以外、上記と同様である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、要求された複数の印刷ジョブに対して熱効率を考えて定着目標温度の高い順に印刷ジョブの処理順を整理し直して印刷処理を行っていくため、前回の印刷ジョブで行った制御の余熱を次の印刷ジョブで十分に利用して定着加熱制御を行っていくことができるため加熱した熱を無駄にすることが少なく効率のよい印刷処理を行うことができる。その結果、無駄なエネルギー消費を減少させる効果がある。
【0017】
また、徐々に定着装置の加熱量を減らせるため内部昇温的にも有利で、ひいては機器自体へのダメージも軽減でき機器をいたずらに短命化させることがないといった効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本実施の形態における印刷装置の要部の概略構成を示す図である。この印刷装置は、ジョブ管理制御部5、印刷制御部6、搬送部7、画像形成・転写部8、定着部9、アプリケーション部10、センサ部11、および操作パネル20を有する。
【0020】
ジョブ管理制御部5は、ネットワーク上のワークステーションやパーソナルコンピュータ、あるいはファクシミリ、画像読み取り装置等の外部装置からの印刷ジョブを受信し、管理し、印刷制御部6に対して当該ジョブの印刷を指示する機能部であり、受信インタフェース1、受信バッファ2、ジョブ管理部3、ジョブ待ち行列4を含む。受信インタフェース1は外部装置からの印刷ジョブを受信し、受信バッファ2に格納する。ジョブ管理制御部5には、ユーザインタフェースとして、ユーザに対して情報を提供する表示部およびユーザが印刷装置に対して指示情報を入力する入力部を含む操作パネル20が接続されている。
【0021】
ジョブ管理部3は、受信バッファ2に格納された印刷ジョブを1つずつ読み出して、「印刷目標温度の判定」「ジョブ待ち行列のどこに入れるかの判定」「判定した待ち行列の場所へのジョブの組み込み」「待ち行列から順番にジョブを取り出して印刷制御に指示する」「印刷中に新規ジョブを割り込ませるかどうかの判定」「印刷制御部6から情報を受け取る」といった処理を行う。ジョブ管理部3の処理は中央処理装置(CPU)によるプログラム制御によって実現しうる。
【0022】
ジョブ待ち行列4は、ジョブ管理部3に従って印刷ジョブを待ち行列として格納する「RAM等の半導体メモリ」「磁気テープ」「磁気ディスク」等の記憶装置で構成され、本発明の待ち行列手段を構成する。
【0023】
印刷制御部6は、印刷エンジンの制御部であり、印刷ジョブに従い用紙を搬送する搬送部7、トナー像を形成し用紙に載せる画像形成・転写部8、この画像形成・転写部8を通った用紙上の画像を加圧および加熱にて定着させる定着部9を制御する。定着部9は、加圧部、加熱部および温度検知部を含む。
【0024】
印刷制御部6には、フィニッシャーやオプション排紙等のアプリケーション部10、およびセンサ部11も接続される。センサ部11は、一般的には紙検知、紙サイズ検知、排紙満載検知、トナー検知、廃トナー検知等のためのセンサを含み、アプリケーションによっては針検知、パンチ屑検知等のためのセンサを含む。
【0025】
より具体的には、印刷装置は、例えば定着目標温度に関する温調制御情報や記録用紙に印刷させる印刷データを含む印刷ジョブを処理するときの印刷データに応じた潜像を感光体等の像担持体上に形成する。例えば、画像形成・転写部8は、印刷データに応じた光ビームで感光体上を走査露光することにより印刷データに応じた潜像を感光体上に形成し、現像器でトナー現像することにより画像、すなわちトナー画像を像担持体上に形成し、転写器でこれを記録用紙に転写する。このような画像形成装置において、定着部9は、画像が転写された記録用紙を加圧及び加熱することにより画像を記録用紙に定着させる。この定着部9の温度、例えば定着部の表面温度はサーミスタ等で構成される温度検出手段により検出される。
【0026】
以下、本実施の形態に動作を説明する。
【0027】
図2は、本実施の形態においてジョブ管理部3が実行する印刷処理前におけるジョブの並べ替えの一例を説明するための図である。図2の並べ替え前のジョブ受け付けバッファ20は図1の受信バッファ2であってもよいし、受信バッファ2からジョブを移動した別の記憶装置であってもよい。この例では、5つの印刷ジョブとしてjob1〜job5が受け付けられている様子を示している。各印刷ジョブの紙種(紙質を含む)および定着目標温度は、job1,job2が普通紙で190℃、job3がOHP用紙で185℃、job4がハガキで210℃、job5が厚紙で200℃である。受け付けバッファ20内に格納された複数のジョブ(job)については、ジョブ待ち行列4に登録する際、そのジョブの定着目標温度の大小に応じて並べ替えを行う。「登録する」とは記憶装置に格納することを意味する。なお、ジョブ待ち行列4は必ずしも印刷ジョブ全体を格納する必要はなく、例えば印刷ジョブを指示するポインタ等の格納により各印刷ジョブの印刷順序を管理できれば足りる。本実施の形態では定着温度の高い方から先に印刷されるように並べ替えられ、待ち行列4に登録される。
【0028】
図3は本実施の形態におけるジョブ管理部3の制御動作を表すフローチャートである。この処理は、印刷装置内の図示しないメモリに格納された制御プログラムをジョブ管理部3のCPUが読み出して実行することにより実現される。後述する図6の処理についても同様である。
【0029】
図3のフローチャートにおいて、ステップS11で装置電源オン等により印刷ジョブ受付を開始した後、ステップS12で待ち行列クリアを行い、ステップS13で印刷ジョブ待ちを行う。
【0030】
ステップS13で印刷ジョブが来ていなければ、ステップS14で1ジョブ目を受け付けてからの経過時間をチェックし、規定時間に達していなければステップS13に戻る。この規定時間は、1ジョブ目をこれ以上待機させることはユーザを必要以上に待たせることになると考えられる予め定められた時間である。規定時間に達したら、ステップS18に進み、1ジョブ目の印刷を開始する。
【0031】
ステップS13で新規ジョブを受信した場合は、ステップS15にて新規ジョブの定着目標温度と、印刷要求枚数を確認する。定着目標温度は当該ジョブの内容、例えば指定された紙種、印刷枚数、印刷モード等に基づいて既知の方法により決定される。
【0032】
次いで、ステップS16にて待ち行列4の印刷ジョブの定着目標温度と新規ジョブの定着目標温度を比較し、定着目標温度の高い順に印刷ジョブが並ぶように待ち行列4に新規ジョブを登録する。
【0033】
ステップS17にて、新規ジョブの印刷要求枚数を加えた全印刷要求枚数を確認して、規定枚数以上であればステップS18の印刷開始を行う。規定枚数は印刷開始の契機となる予め定められた枚数であり、この枚数値が小さすぎれば本発明の効果が薄くなり、逆にこの枚数値が大きすぎればユーザを過度に待たせることになる。したがって、このような相反する事項を比較考量して適切な規定枚数を設定する。
【0034】
なお、ステップS14の規定時間やステップS17の判定枚数はユーザが可変設定できるようにしてもよい。
【0035】
本実施の形態によれば、複数の印刷ジョブを処理する場合に定着目標温度の高い順にジョブを並べ替えることで効率的な熱定着を行い、無駄なエネルギー消費を減少させることができる。
【0036】
以上は、ジョブ受付時の並べ替えについて説明したが、印刷処理を開始した後も、印刷ジョブの並べ替えを行うことも可能である。
【0037】
図4と図5は印刷処理中におけるジョブ待ち行列4での印刷ジョブの並べ替えを示した図である。図4は、ジョブ1〜5が待ち行列4に格納され、そのうち先頭のジョブ4の印刷処理中に、新規ジョブ6が受け付けられた場合を示している。このとき、その新規ジョブ(ジョブ6)の定着目標温度を、ジョブ待ち行列4内のすべてのジョブと対比して、ジョブの並べ替えを行う。その結果、この例ではジョブ6はジョブ5の次でジョブ1の前に登録される。
【0038】
図5の例では新規ジョブ(ジョブ6)の定着目標温度が現在印刷処理中のジョブ4よりも高い場合を示している。このような場合、現在印刷中のジョブ(ジョブ4)の処理を中断し、新規ジョブを先頭に位置させてその印刷を開始する。
【0039】
図6は、図4,図5で説明したような印刷処理が開始された後の新規ジョブ追加時のジョブ管理部3の制御動作を表すフローチャートである。
【0040】
ステップS21で印刷ジョブの受け付けを開始する。まず、ステップS22で待ち行列をクリアし、ステップS23で印刷ジョブ待ちを行う。ここで、印刷ジョブが来ていなければ、ステップS24で1ジョブ目受付からの時間経過を確認する。規定時間に達していなければステップS23に戻る。規定時間に達していた場合は印刷を開始する(S25)。
【0041】
ステップS23にて新規ジョブが来ていた場合はステップS26にて印刷処理中かどうか確認する。印刷処理中でなければステップS27にて新規ジョブの定着目標温度と要求枚数をチェックする。次いでステップS28にて、待ち行列のジョブの定着目標温度と新規ジョブの定着目標温度を比較し、定着目標温度の高い順にジョブが並ぶように新規ジョブを待ち行列に登録する。ステップS29にて新規ジョブの印刷要求枚数を加えた全印刷要求枚数を確認し、規定枚数以上であれば、ステップS30の印刷を開始する。
【0042】
また、ステップS26において印刷処理中であった場合は、ステップS31にて印刷ジョブの定着目標温度と新規ジョブの定着目標温度の差が規定温度以上かどうかを確認する。当該差が規定温度を超えていたらステップS32にて判定(1)の条件のチェックを行う。ここで判定(1)の条件は、印刷処理中のジョブを中断してまでジョブの実行順序を変更してもその変更が無意味となるような状況に相当し、例えば次のいずれかが含まれる。
1)排紙積載部が満杯である
2)新規ジョブと印刷中のジョブの要求枚数を印刷したとすると排紙積載が満杯と予測される
3)新規ジョブと印刷中のジョブの要求枚数を印刷したとすると残り用紙が不足すると予測される
4)廃トナー満杯
5)印刷中のジョブが割り込みジョブである
6)新規ジョブはステープル動作を要求されているが針なし
7)トナー無し
8)新規ジョブは穴あけ動作を要求されているがパンチ屑が満杯
9)排紙口が複数有るが、使用可能な排紙口が無い場合(例えば、空いている排紙口があるが、それがFAX専用となっているような場合)
10)新規ジョブの要求用紙が無い
11)印刷ジョブの処理予想時間と新規ジョブの処理予想時間の差が規定時間以下の場合
12)新規ジョブの使用者は印刷を許可されていない
13)ジャムのリカバリー中
【0043】
ステップS32で条件が満足された場合は、ステップS35にて「実行中ジョブ」および「中断中ジョブ」(存在すれば)を除いた待ち行列内のジョブと新規ジョブとで定着目標温度の高い順となるよう待ち行列に新規ジョブを登録する。
【0044】
判定(1)で条件が満足されなかった場合、ステップS33にて判定(2)の条件のチェックを行う。ここで判定(2)の条件は、判定(1)のような条件に該当しない場合であって、印刷処理中のジョブを中断して実行順を変更することにより余熱の有効利用がそれほど期待できる状況に相当し、例えば次のいずれかが含まれる。
1) 実行中ジョブと新規ジョブの用紙幅が同じ
2) 実行中ジョブと新規ジョブの1分間換算あたりの出力可能枚数が同じ
3) 新規ジョブの優先度が実行中ジョブの優先度と同じかそれより高い
4) 条件なし
【0045】
ステップS33の条件が満足された場合はステップS34にて実行中ジョブを中断し、実行中ジョブが新規ジョブの次に再開される処理となるようにする。ステップS33の条件に当てはまらない場合は前記ステップS35へ移行する。
【0046】
但し、現在印刷処理中のジョブの印刷を中断して新規ジョブを先に実行する場合には、印刷中のジョブの残り枚数を考慮するようにしてもよい。例えば残り枚数が僅少である場合には、そのまま当該処理中のジョブの印刷を続行し、新規ジョブはその次順に位置させる。
【0047】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図1は印刷装置で複数の印刷ジョブの並べ替えを行う例を示したが、図7に示すシステムでは、1台(または複数台)の印刷装置(プリンタ)75を印刷ジョブ管理装置70で共有する場合に、印刷ジョブ管理装置70で各ホストコンピュータ71からの印刷ジョブを受け付けてプリンタ75への印刷ジョブを与える印刷ジョブ管理装置70を備える。ホストコンピュータ71、プリンタ75および印刷ジョブ管理装置70は相互に通信ネットワーク73で接続されている。
【0048】
図8に印刷ジョブ管理装置70の構成例を示す。この印刷ジョブ管理装置70は、通信ネットワーク73を介して各ホストコンピュータ71から印刷ジョブを受信する受信インタフェース701、この受信された印刷ジョブを一時保存する受信バッファ702、複数の印刷ジョブが格納される待ち行列704、受信バッファ702に保存された印刷ジョブの定着目標温度等に基づいてジョブ待ち行列704に格納するジョブ管理部703、待ち行列704の先頭の印刷ジョブから順に、通信ネットワーク73を介してプリンタ75へ送信する送信インタフェース705を備える。
【0049】
ジョブ管理部703による待ち行列704の管理は図1に示した実施の形態と同じであり、その説明を省略する。
【0050】
本実施の形態によれば、通信ネットワーク上で複数のホストコンピュータからの印刷ジョブを一括して管理する印刷ジョブ管理装置において本発明を実現することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、上記印刷ジョブの並べ替え動作は、ユーザが選択できる一つの動作モードとして提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態における印刷装置の要部の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態においてジョブ管理部が実行する印刷処理前におけるジョブの並べ替えの一例を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるジョブ管理部の制御動作を表すフローチャートである。
【図4】印刷処理中におけるジョブ待ち行列での印刷ジョブの並べ替えの一例を示した図である。
【図5】印刷処理中におけるジョブ待ち行列での印刷ジョブの並べ替えの他の一例を示した図である。
【図6】図4,図5で説明したような印刷処理が開始された後の新規ジョブ追加時のジョブ管理部の制御動作を表すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシステム構成を示す図である。
【図8】図7のシステムにおける印刷ジョブ管理装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1,701 受信インタフェース
2,702 受信バッファ
3,703 ジョブ管理部
4,704 待ち行列格納メモリ
6 印刷制御部
10 アプリケーション部
11 センサ部
70 印刷ジョブ管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された印刷ジョブに基づき形成された未定着画像を用紙に熱定着させる定着手段を備えた印刷装置において、
受信された複数の印刷ジョブを登録する待ち行列手段と、
前記待ち行列手段における印刷ジョブの順番を各印刷ジョブの定着目標温度順に並べ替えるジョブ管理手段と、
前記待ち行列手段において並べ替えられた順番に印刷ジョブを処理する印刷手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理を行っていない状態で受信した第1の印刷ジョブの受付から規定時間が経過したとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷を開始させることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理を行っていない状態で前記待ち行列手段内の印刷ジョブの印刷枚数の総数が規定枚数を超えたとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷を開始させることを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理中に新たな印刷ジョブを受け付けたとき、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合に印刷処理中の印刷ジョブを中断させて、当該新たな印刷ジョブを実行させることを特徴とする請求項1、2または3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ジョブ管理手段は、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合であっても、所定の条件の下で、前記印刷処理中の印刷ジョブの印刷の中断を行わないことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷ジョブを受け付けて、熱定着式の印刷装置に対して印刷ジョブの印刷要求を出力する印刷ジョブ管理装置であって、
受信された複数の印刷ジョブを登録する待ち行列手段と、
受信された印刷ジョブを格納するための印刷ジョブ格納手段と、
前記待ち行列手段における印刷ジョブの順番を各印刷ジョブの定着目標温度順に並べ替えるジョブ管理手段と、
並べ替えられた順番に各印刷ジョブの印刷要求を印刷装置に対して出力する送信手段と
を備えたことを特徴とする印刷ジョブ管理装置。
【請求項7】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理を行っていない状態で受信した第1の印刷ジョブの受付から規定時間が経過したとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷要求を出力することを特徴とする請求項6記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項8】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理を行っていない状態で前記待ち行列手段内の印刷ジョブの印刷枚数の総数が規定枚数を超えたとき、前記待ち行列手段内の先頭の印刷ジョブの印刷を開始させることを特徴とする請求項6または7記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項9】
前記ジョブ管理手段は、印刷処理中に新たな印刷ジョブを受け付けたとき、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合に印刷処理中の印刷ジョブを中断させて、当該新たな印刷ジョブを実行させることを特徴とする請求項6、7または8記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項10】
前記ジョブ管理手段は、当該新たな印刷ジョブの定着目標温度が印刷処理中の印刷ジョブの定着目標温度より規定温度以上高い場合であっても、所定の条件の下で、前記印刷処理中の印刷ジョブの印刷の中断を行わないことを特徴とする請求項9記載の印刷ジョブ管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−123421(P2006−123421A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316557(P2004−316557)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】