説明

印刷装置

【課題】複数の印刷装置内に保存されている印字データを、ホストコンピュータから送信されてきたレイアウト情報によってそれら印字データをそのレイアウト情報に基づいて統合して印刷することができる。
【解決手段】該印刷装置内に保存されている印字データの内容を検索する検索手段と、前記印字データをネットワーク上の他の印刷装置に送信する送信手段とを有することで、前記レイアウト情報に基づいて複数の印刷装置内に保存されている印字データを簡単にレイアウト印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印字データを受信した場合、その印字データが該印刷装置内に保存する要求の印字データである場合には保存し、印刷を要求する場合にはその印字データに基づいて印刷を行なう印刷装置と、その印字データを送信するホストPCを含めた印刷システムに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷システムでは、ネットワーク上に保存されている文書データを一旦ホストPCにダウンロードし、それらを編集して再度印字データとして印刷装置に送信することで印刷動作を行なっていた。
【特許文献1】特開2003−216366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記従来例では、全ての文書データをひとつのホストPCにダウンロードする場合、印字データが重いものであると、ダウンロードに多くの時間がかかっていた。
【0004】
本発明によれば、レイアウト編集を行なうホストPCには、ネットワーク上の印刷装置に保存されている文書データではなく、その文書に関する用紙サイズやページ数、用紙タイプなどの「文書情報」のみを送信することで、交信する情報量を減らし、印刷パフォーマンスを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は下記の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0006】
(1)印字データを受信し、その印字データに基づいて画像データを作成する画像処理手段と、前記画像処理手段により作成された画像データから印刷動作を行なう印刷装置において、受信したデータを記憶する記憶手段と、前記受信したデータに前記記憶手段にそのデータに含まれる印字データを記憶させるか、あるいは前記記憶手段に記憶されている印字データに関する情報取得のためのデータであるかどうかを判別する判別手段と、前記判別手段が前記受信したデータが該印刷装置内の前記記憶手段に記憶されている印字データの情報を取得するデータであると前記判別手段が判別した場合、前記受信したデータに応じて前記記憶手段に記憶されている印字データの情報を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された検索結果を該印刷装置に送信してきたネットワーク上の別の印刷装置に対して送信する送信手段とを有する印刷装置において、該印刷装置が接続されているネットワーク上のホストコンピュータから前記ネットワーク上の他の印刷装置を含め、それら印刷装置内に記憶されている印字データを指定しレイアウトする情報を元に、それら印刷装置間で印字データの交信を前記送信手段によって行い、それらの印字データを印刷することを特徴とする印刷装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、印刷装置内に保存されている印字データを、該印刷装置が接続されているネットワーク上のホストコンピュータから編集データのみが送信されるだけで、複数の印刷装置内に保存されている印字データを編集し、同一ドキュメントとして印刷することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0009】
[第1の実施例]
図1に本発明の第1の実施例を表す全体図を示す。同図において、101はホストコンピュータであり、LANなどのネットワーク上に存在し、プリンタドライバなどによって作成された印字データを102のプリンタ装置に送信するものである。102のプリンタ装置では、103のプリンタコントローラで印字データを受信し、所定の処理をした後、104の画像印字部(プリンタエンジン)で画像形成を行なう。また、エンジン制御部105はプリンタエンジンの動作のコントロールを行い、必要に応じて給紙手段や両面給紙手段、排紙手段等の動作制御を実行する。106はネットワークであり、ホストコンピュータやプリンタ、コピー機、ファックスなどの各デバイスがこれに任意に接続されていることを示している。
【0010】
図2はプリンタコントローラであり、本発明はプリンタコントローラに関するものであるので、以下にその動作を説明する。
【0011】
プリンタコントローラ103では、前記101のホストコンピュータから送られてきた印字データを受信する。11は受信バッファであり、ホストコンピュータより送信された印字データを記録するものである。12は受信データ判別部であり、(1)受信データがこの受信データそのものを(該印刷装置内の記憶装置に保存せず)直接印刷するモードであるかどうかを判別する(2)ネットワーク106上の他の印刷装置から送られてきた印字データかどうかを判別する。13は画像形成部であり、前記受信した印字データをビットマップイメージの画像データに変換し、その画像データを104の画像印字部へ転送するものである。
【0012】
14はデバイス制御部であり、12の受信データ判別部で判別した結果を受け、その結果に応じた印字データ、あるいは後記の印字データ記憶部15や送信部16のデバイス制御を行う。15は印字データ記憶部であり、前記印字データ内にその印字データを保存させる旨のデータが含まれている場合には、ここで前記印字データの保存を行なう。16の送信部は印字データ記憶部15で保存している文書に関する文書情報かまたはその文書の印字データそのものをネットワーク上のホストPCまたは他の印刷装置に対して送信する。
【0013】
次に該印刷システムにおける受信データの処理についてのプリンタコントローラ103の動作を表すフローチャートを図3に示し、以下で説明する。
【0014】
まず、ステップ101(図では「S101」と表示。以下同様)でネットワーク上のホストコンピュータ101から送信されたデータを受信バッファ11で受信する。ステップ102では受信データ判別部12が前記受信した受信データがネットワーク上の他の印刷装置からの印字データ要求モードのデータであるかを判別する。印字データ要求モードであれば、ステップ103で要求してきた印刷装置に対して対象となる印字データを送信する。
【0015】
次にステップ104で、受信したデータがホストコンピュータ101からの編集印刷モードのものであると受信データ判別部12が判別した場合、ステップ105で前記受信データ内に含まれる印字データをその印字データを保存しているネットワーク上の他の印刷装置に対して、適宜印字データの要求を行なう。ステップ106では必要とする印字データが全て送信され次第、前記受信した編集モードの印字データ内に含まれるレイアウト情報に基づいて印刷を行なう。
【0016】
最後に前記受信した受信データが通常の印字データである場合や保存を促すデータである場合、あるいは該印刷装置内に保存されている文書情報を問い合わせるものである場合には、ステップ107として次に説明する処理を行なう。
【0017】
ステップ107の詳細動作については、図4に示し、以下で説明する。
【0018】
ステップ111では、前記受信した受信データが印字データ記憶部15に保存されている文書に関する情報を求めているデータであるかどうかを受信データ判別部12が判別する。前記受信データが印字データでない場合、ステップ112で前記印字データ記憶部15内に保存されている文書に関する文書情報を検索し、ステップ113でその検索された文書情報を送信部16から問い合わせのあったホストコンピュータ101に送信する。
【0019】
また、ステップ111で前記受信データが印字データであると判別された場合には、次のステップ114でその印字データが通常の印刷モードであると受信データ判別部13が判別した場合には、ステップ115で通常の印刷動作を行い、また「保存モード」であると判別された場合には、ステップ116で前記印字データを印字データ記憶部15に保存して一連の動作を終了する。
【0020】
図5に印字データの内容例を示す。
【0021】
「データモード」は、この印字データを受信した印刷装置に対して、どのような処理を行なうかのモードを表す。「ユーザ名」はその名の通りユーザ名であり、この印字データを交信する上でのプロトコル上の名称でも良いし、あるいは特定の名称でも良く、唯一無二である必要はない。「ユーザID」はIPアドレス等、接続されているネットワーク上における唯一無二のIDを表す。
【0022】
「印字データタイプ」は、上記「データモード」が印刷を指定するものである場合に必要とされ、下記の「印字データ」が通常印刷におけるPDLデータか、あるいは編集印刷を表す文書情報のいずれかであるかが指定される。
【0023】
「指定PDL」は、該印刷装置で処理できるPDLのうちのひとつが指定される。
【0024】
「印字データ」は、通常印刷である場合には、実際のPDLデータがここに含まれ、編集印刷の場合には、その下に示すような文書情報の羅列が含まれる。設定項目例としては、以下の通りである。
【0025】
データモード:印刷/保存/問い合わせ/要求
ユーザ名:(任意)
ユーザIP:IPアドレス
印字データタイプ:PDL/文書情報
指定PDL:PDL名(PDLの場合は印字データタイプと同じ)
印字データ:PDLデータ(PDLの場合)/
プリンタID、文書ID(文書情報の場合)
【0026】
図6には、該印刷装置内で保存している文書情報の一例を示す。
【0027】
これらの情報を元に、ユーザがホストコンピュータ上で特定のPDLで作成された文書の中から編集する文書を選択し、両面印刷や同ページに複数ページを配する、いわゆるN−Upなどを指定し、これら文書を保存している印刷装置のなかのいずれかに編集結果を含んだ印字データを送信する。
【0028】
なお、ユーザを特定するために上記ではIPアドレスを例に説明したが、MACアドレスや独自のプロトコルによる唯一無二のユーザ名、またはユーザID番号がそれぞれのユーザに割り振られているケースでも良い。
【0029】
[第2の実施例]
第1の実施例では編集印刷モードの場合、特定のひとつのPDLで記述された印字データのみを編集して印刷する例であった。これは、同一ページに別の印字データを配置するケースにおいて、同一PDLでなければ印刷できないためによるものであるが、本実施例においては、改ページすることを条件に別ページに渡るケースとして、該印刷装置がサポートする複数PDLで印刷する例を表す。この第1の実施例と本(第2の)実施例での印刷結果の違いを図7に示す。
【0030】
本実施例における、該印刷システムにおける受信データの処理についてのプリンタコントローラ103の動作を表すフローチャートを図8に示し、以下で説明する。
【0031】
まず、ステップ201でネットワーク上のホストコンピュータ101から送信されたデータを受信バッファ11で受信する。ステップ202では受信データ判別部12が前記受信した受信データがネットワーク上の他の印刷装置からの印字データ要求モードのデータであるかを判別する。印字データ要求モードであれば、ステップ203で要求してきた印刷装置に対して対象となる印字データを送信する。
【0032】
次にステップ204で、受信したデータがホストコンピュータ101からの編集印刷モードのものであると受信データ判別部12が判別した場合、ステップ205で前記受信データ内に含まれる印字データをその印字データを保存しているネットワーク上の他の印刷装置に対して、適宜印字データの要求を行なう。ステップ206では必要とする印字データが全て送信され次第、前記受信した編集モードの印字データ内に含まれるレイアウト情報に基づいて印刷を行なう。
【0033】
最後に前記受信した受信データが通常の印字データである場合や保存を促すデータである場合、あるいは該印刷装置内に保存されている文書情報を問い合わせるものである場合には、ステップ207として次に説明する処理を行なう。
【0034】
ステップ207の詳細動作については、図9に示し、以下で説明する。
【0035】
ステップ211では、前記受信した受信データが印字データ記憶部15に保存されている文書に関する情報を求めているデータであるかどうかを受信データ判別部12が判別する。前記受信データが印字データでない場合、ステップ212で前記印字データ記憶部15内に保存されている文書に関する文書情報を検索し、ステップ213でその検索された文書情報を送信部16から問い合わせのあったホストコンピュータ101に送信する。
【0036】
また、ステップ211で前記受信データが印字データであると判別された場合には、次のステップ214でその印字データが通常の印刷モードであると受信データ判別部13が判別した場合には、ステップ215で通常の印刷動作を行い、また「保存モード」であると判別された場合には、ステップ216で前記印字データを印字データ記憶部15に保存して一連の動作を終了する。
【0037】
図10に印字データの内容例を示す。
【0038】
「データモード」は、この印字データを受信した印刷装置に対して、どのような処理を行なうかのモードを表す。「ユーザ名」はその名の通りユーザ名であり、この印字データを交信する上でのプロトコル上の名称でも良いし、あるいは特定の名称でも良く、唯一無二である必要はない。「ユーザID」はIPアドレス等、接続されているネットワーク上における唯一無二のIDを表す。
【0039】
「印字データタイプ」は、上記「データモード」が印刷を指定するものである場合に必要とされ、下記の「印字データ」が通常印刷におけるPDLデータか、あるいは編集印刷を表す文書情報のいずれかであるかが指定される。
【0040】
「指定PDL」は、本実施例の場合、該印刷装置で処理できるどのPDLでも良いので、「Auto」とする。
【0041】
「印字データ」は、通常印刷である場合には、実際のPDLデータがここに含まれ、編集印刷の場合には、その下に示すような文書情報の羅列が含まれる。設定項目例としては、以下の通りである。
【0042】
データモード:印刷/保存/問い合わせ/要求
ユーザ名:(任意)
ユーザIP:IPアドレス
印字データタイプ:PDL/文書情報
指定PDL:Auto(本実施例の場合)
印字データ:PDLデータ(PDLの場合)/
プリンタID、PDL名、文書ID(文書情報の場合)
【0043】
本実施例においても図6に記載されている内容例にあるような情報を元に、ユーザがホストコンピュータ上で特定複数のPDLで作成された文書の中から編集する文書を選択し、両面印刷や同ページに複数ページを配する、いわゆるN−Upなどを指定し、これら文書を保存している印刷装置のなかのいずれかに編集結果を含んだ印字データを送信する。本実施例の場合、上記N−Up印刷においては、図7で示したような出力結果となる。
【0044】
なお、ユーザを特定するために上記ではIPアドレスを例に説明したが、MACアドレスや独自のプロトコルによる唯一無二のユーザ名、またはユーザID番号がそれぞれのユーザに割り振られているケースでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施例を表す全体図
【図2】第1の実施例を表す詳細図
【図3】第1の実施例を表すフローチャート1
【図4】第1の実施例を表すフローチャート2
【図5】印字データの内容例
【図6】印刷装置内で保存されている印字データの情報例
【図7】第一、及び第二の実施例における実際の印刷例
【図8】第2の実施例を表すフローチャート1
【図9】第2の実施例を表すフローチャート2
【図10】印字データの内容例
【符号の説明】
【0046】
101 ホストコンピュータ(PC)
102 印刷装置
103 プリンタコントローラ
104 画像印字部
105 エンジン制御部
106 ネットワーク
207 管理サーバ
11 受信バッファ
12 受診データ判別部
13 画像形成部
14 デバイス制御部
15 印字データ記憶部
16 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字データを受信し、その印字データに基づいて画像データを作成する画像処理手段と、前記画像処理手段により作成された画像データから印刷動作を行なう印刷装置において、
受信したデータを記憶する記憶手段と、前記受信したデータに前記記憶手段にそのデータに含まれる印字データを記憶させるか、あるいは前記記憶手段に記憶されている印字データに関する情報取得のためのデータであるかどうかを判別する判別手段と、前記判別手段が前記受信したデータが該印刷装置内の前記記憶手段に記憶されている印字データの情報を取得するデータであると前記判別手段が判別した場合、前記受信したデータに応じて前記記憶手段に記憶されている印字データの情報を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された検索結果を該印刷装置に送信してきたネットワーク上の別の印刷装置に対して送信する送信手段とを有する印刷装置において、
該印刷装置が接続されているネットワーク上のホストコンピュータから前記ネットワーク上の他の印刷装置を含め、それら印刷装置内に記憶されている印字データを指定しレイアウトする情報を元に、それら印刷装置間で印字データの交信を前記送信手段によって行い、それらの印字データを印刷することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
複数のプリンタ言語を有する該印刷装置において、
該印刷装置が接続されているネットワーク上の他の印刷装置から送信されてくる印字データが複数のプリンタ言語で構成される場合、レイアウト可能な範囲で印刷を行なうことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記記憶手段に記憶されている印字データのユーザの個別認識を行なう認識手段を有する印刷装置において、
前記ネットワーク上のホストコンピュータから送信される印字情報が指定する印字データが全て前記印字情報を送信してきたユーザが作成、記憶させたものであるかどうかを前記認識手段が判別し、他のユーザが作成、記憶させた印字データを指定している場合には、セキュリティー対策として印刷しないことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3において、
該印刷装置に前記印字データを記憶させる際にその印字データの共有レベルを設定し、そのレベルを前記認識手段が判別する場合、その共有レベルに応じて印刷させるかどうかを判断することを特徴とする印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図5】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−43955(P2006−43955A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225722(P2004−225722)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】