説明

印刷装置

【課題】省電力モードから通常モードへ、高速に移行することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像データに基づいて画像を印刷し、通常モードと消費電力を制限する省電力モードとを具備する印刷装置において、印字動作を制御する第1のCPUと、上記省電力モードから上記通常モードへ移行する際に、上記第1のCPUの起動動作と上記印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御する第2のCPUであって、上記第1のCPUよりも消費電力が低い第2のCPUとを有する印刷装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードから通常モードへ移行する際に、メインCPUの起動と印刷機構の起動とを並列に実行する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、メインCPUによって、印刷機構部の調整動作を行っている。よって、省電力モードから通常モードへ移行して印刷を再開させる際は、最初にメインCPUを起動し、この完了を待ってから、印刷前調整動作を行わなければならず、動作速度の面で、改善する余地がある。したがって、省電力モードから通常モードへ移行する際に、これらメインCPUや印刷機構部における高速で確実な起動制御が望まれている。
【0003】
そこで、省電力モード時に、メインCPUへの電力供給を停止した上で、メインCPUよりも消費電力が少ないサブCPUが制御権を有し、外部インタフェースから入力される印刷ジョブを監視する方式が提案されている。この提案では、省電力モード下で、サブCPUが印刷ジョブの入力を確認した場合に、メインCPUへ電源供給の再開を指示し、メインCPUが起動した段階で、外部インタフェースの監視を含めた制御権を、メインCPUへ移行する。サブCPUは、メモリを持たず、サブCPUからメインCPUへ制御権が移る間に受信した印刷ジョブを、メモリへ一時的に保存し、メインCPUが起動後に、メモリに保存されている印刷ジョブデータを、メインCPUで処理する。このような制御を行うことによって、省電力モードからの復帰時に、確実なデータ処理を実現する。
【0004】
また、省電力モード時に、メインCPUへの電力供給を停止し、また、一定時間サブCPUが処理すべき種類のデータが、インタフェースから入力されなければ、サブCPUへの電力供給も停止する方式が提案されている。この提案では、インタフェース制御部が、印刷ジョブを監視し、メインCPUとサブCPUとへの電力供給を制御する。サブCPUは、インタフェース制御部に内蔵され、インタフェース部は、サブCPUがスリープしている状況下でも、ネットワーク監視と電力供給制御とを実行する。このような制御を行うことによって、省電力モード時の消費電力を、より低減させることができる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−267099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例では、省電力モード時における消費電力を削減できるが、省電力モードから通常モードへの移行における制御の高速化、特にメインCPUと印刷機構起動動作との高速化が、考慮されてはいないという問題がある。つまり、上記従来例では、省電力モードから通常モードへ、高速に移行することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、省電力モードから通常モードへ、高速に移行することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像データに基づいて画像を印刷し、通常モードと消費電力を制限する省電力モードとを具備する印刷装置において、印字動作を制御する第1のCPUと、上記省電力モードから上記通常モードへ移行する際に、上記第1のCPUの起動動作と上記印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御する第2のCPUであって、上記第1のCPUよりも消費電力が低い第2のCPUとを有する印刷装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、省電力モードから通常モードへ、高速に移行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の本体PR1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における印刷部4009の概略構成を示す図である。
【図3】実施例1でメインCPUと起動制御手段との消費電力量の比較図である。
【図4】実施例1において省電力モードから通常モードへの制御権の変遷図である。
【図5】本発明の印刷装置の基本的な動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施例1において、通常モードへの移行動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1であるインクジェットプリント装置PR1の構成を示すブロック図である。
【0013】
図2は、本発明の実施例1であるインクジェットプリント装置PR1における印刷部4009の概略構成を示す図である。
【0014】
インクジェットプリント装置PR1は、画像データに基づいて画像を印刷し、通常の動作モードである通常モードと消費電力を制限する省電力モードとを具備する印刷装置の例である。また、ネットワークを介して、外部に、または直接インタフェースで接続されているホストコンピュータ等の外部情報源から供給された印刷情報やフォーム情報、マクロ命令等に従って、対応する文字パターンやフォームパターン等を作成する。そして、インクジェットプリント装置PR1は、記録媒体である記録紙等に、画像を形成(印刷)する。
【0015】
また、印刷部4009は、往路走査プリントヘッド3001と、復路走査プリントヘッド3002と、キャリッジ3003と、給紙ローラ3004と、補助ローラ3005と、紙送りローラ3006と、記録紙3007とを有する。
【0016】
往路走査プリントヘッド3001は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のカラーインクがそれぞれ封入されているインクタンクと、それぞれのインクに対応している4つのプリントヘッドとを一体化したマルチヘッドである。これら4つのプリントヘッドは、図2中、主走査往路方向X1の往路走査方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インク用のプリントヘッドが並ぶように配列されている。
【0017】
復路走査プリントヘッド3002は、往路走査プリントヘッド3001と同様に構成されている。4色のインクに対応する4つのプリントヘッドの配列は、往路走査プリントヘッド3001とは、対照的に、主走査往路方向X1に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順番で配列されている。
【0018】
キャリッジ3003は、往路走査プリントヘッド3001と復路走査プリントヘッド3002とを搭載し、主走査往路方向X1と主走査復路方向X2との両方向に移動されるキャリッジである。キャリッジ3003は、プリント動作していない状態等の待機時には、ホームポジション位置Pにある。キャリッジ3003は、ガイドロッドGに、ガイドされつつ、図示しない移動機構によって、主走査往路方向X1と主走査復路方向X2との両方向に移動される。
【0019】
紙送りローラ3006は、補助ローラ3005と共に、プリント媒体としての記録紙3007を押えながら、矢印Yの副走査方向へ間欠的に搬送する。給紙ローラ3004は、記録紙3007を給紙し、また、紙送りローラ3006と補助ローラ3005と同様に、記録紙3007を押える。
【0020】
次に、実施例1における基本的な往復プリント動作について、説明する。
【0021】
待機時に、ホームポジション位置Pに存在しているキャリッジ3003は、記録開始命令によって、主走査往路方向X1に移動する。これに伴い、往路走査プリントヘッド3001における4つのプリントヘッドは、それぞれの複数のインク吐出口から、画像データに従って、インクを吐出し、このインクによって、記録紙3007上の印字等のプリントを行う。記録紙3007の端部までの1行分の画像データのプリントが終了すると、紙送りローラ3006が、矢印方向へ回転し、記録紙3007を、Y方向へ所定幅だけ、紙送りする。
【0022】
続いて、キャリッジ3003が、主走査復路方向X2に移動しながら、復路走査プリントヘッド3002における4つのプリントヘッドの複数のノズルから、画像データに従って、インクを吐出し、記録紙3007上に、印字等をプリントする。そして、元のホームポジションPの位置まで戻る。その後に、再び紙送りローラ3006が、記録紙3007をY方向へ所定幅だけ紙送りする。このようなヘッドの走査動作と、紙送り動作との繰り返しによって、記録紙3007上に画像を、順次プリントする。
【0023】
なお、インクジェットプリント装置PR1の図示しない本体内には、次のモータ等が設けられている。キャリッジ駆動用のキャリッジモータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータ等を駆動するためのモータドライバ、プリントヘッドを駆動するためのプリントヘッド駆動用のドライバ等が設けられている。
【0024】
インクジェットプリント装置PR1は、プリンタ制御ユニット4102と、外部メモリ4007と、印刷部4009と、操作パネル4010とを有する。
【0025】
プリンタ制御ユニット4102において、CPU4001は、プリンタのCPUであり、印字動作を制御する第1のCPUの例である。CPU4001は、たとえば高速のRISC型CPUによって構成されている。CPU4001は、ROM4004に記憶されている制御プログラムや、外部メモリ4007に記憶されている制御プログラム等に基づいて、システムバス4005に接続されている各種のデバイスへアクセスし、総合的に制御する。
【0026】
そして、最終的には、印刷用インタフェース4008を介して接続されている印刷部4009に、出力画像として画像信号を出力する。プリンタ制御ユニット4102内の各ブロック間の制御と画像データの通信とは、パケット構造のデータをやりとりすることで、実行したことになる。
【0027】
ROM4004は、CPU4001の制御プログラムや、上記インクジェットプリント装置PR1の制御に必要なデータを記憶する。CPU4001は、外部インタフェース4011を介して、入力用バス4200に接続されているホストコンピュータ等の外部装置と通信可能に構成されている。
【0028】
なお、ホストコンピュータと外部ネットワークとを介して、通信するとしているが、図示していない表示装置等の直接インタフェースを介して、ホストコンピュータと接続し、通信を行うようにしてもよい。
【0029】
RAM4002は、CPU4001のメインメモリやワークエリア等として機能する。
【0030】
ホストコンピュータから入力用バス4200を通じて入力され、圧縮された状態にある画像データを受信する。なお、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによって、RAM4002のメモリ容量を拡張することができる。RAM4002上に用意されている画像出力用メモリ4003は、出力メモリとして、PDLジョブに対して、ハードレンダラ4012で作成されるラスタデータ、ラスタジョブについて、ホストコンピュータで作成されたラスタデータが記録される。
【0031】
メモリコントローラ4006は、DRAM等の外部メモリ4007へのアクセスを制御する。ハードレンダラ4012は、内部にローカルメモリを持っている。ハードレンダラ4012は、PDLジョブに対して、ローカルメモリに転送されたディスプレイリスト(以後、DLと呼ぶ)またはRAM4002上にあるDLを、そのまま解釈し、ラスタデータとラスタデータとの各画素に対応する属性データを作成する。
【0032】
非可逆圧縮伸張部4013は、ホストコンピュータから入力用バス4200を通じて、RAM4002へ入力された画像データ、非可逆圧縮された画像データを、伸張する部分である。非可逆圧縮伸張部4013は、RAM4002に保存されている圧縮コードを読み出し、伸張処理を行った後に、RAM4002へ画像データを保存する。非可逆圧縮方式として、JPEGを用いる。圧縮符号化処理では、目標圧縮率が設定され、必要に応じて、パラメータ(量子化テーブル)を変更し、圧縮処理を繰り返し実行する。
【0033】
可逆圧縮伸張部4014は、取り扱う圧縮方式が可逆圧縮であること以外、上記非可逆圧縮伸張部4013と同様である。可逆圧縮方式として、パックビッツを用いるようにしてもよい。上記パックビッツ方式は、非符号化とランレングス符号化とを組み合わせ、2バイト以上で構成されている。
【0034】
1バイト目は、いくつ同じデータが続くか、または、いくつ異なるデータが続くかを示すコントロールバイトであり、その後に、データが続く。ここで、同じ種類のデータが連続している場合、2バイトで表すことができ、異なるデータが続いている場合、データ数よりも1バイト多いバイト数で表すことができる。実施例1において、圧縮方式については、非可逆圧縮と可逆圧縮との双方とも、使用可能であり、用途によって使い分けることができる。
【0035】
画像処理部4015は、属性データに基づいて、ラスタデータに文字用の画像処理、イメージ用の画像処理、グラフィック用の画像処理、カラー用の画像処理、白黒用の画像処理、細線用の画像処理のいずれか、または組み合わせて施す。
【0036】
起動制御手段4300は、1つまたは複数の省電力型CPUや、印刷ジョブデータ監視部で構成され、常に入力用バス4200と外部インタフェース4011とから印刷データが入力されるか否かを監視する。また、起動制御手段4300は、必要に応じて、外部インタフェースの制御等を処理し、省電力モード時に印刷データの入力を確認した場合、通常モードへ移行処理するかどうかを判断する。そして、起動制御手段4300は、通常モードへ移行処理する場合、CPU4001の起動動作と印刷部4009の起動動作とを並行して実行するように、制御する。
【0037】
つまり、起動制御手段4300は、省電力モードから通常モードへ移行する際に、第1のCPUの起動動作と印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御し、上記第1のCPUよりも消費電力が低い第2のCPUの例である。
【0038】
上記実施例において特徴的な点は、省電力モードから通常モードへの移行時に、メインCPUの起動と印刷機構の初期起動動作とを、起動制御手段が並列に実行することを可能とする印刷装置である。次に、この特徴点について説明する。
【0039】
上記実施例は、省電力モードから通常モードへの遷移時に、メインCPUの起動と印刷機構の起動動作とを、並列に実行する起動制御手段を有する。
【0040】
印刷装置が省電力モードにある場合、外部インタフェースから印刷ジョブデータが入力されるか否かを、常時チェックする目的で、起動制御手段にのみ電源供給され、印刷装置の制御権は、起動制御手段が有する。
【0041】
図3は、実施例1におけるメインCPUの消費電力量と、起動制御手段との消費電力量との比較例を示す図である。
【0042】
実施例1において、起動制御手段は、1つまたは複数の省電力型CPUで構成されている。メインCPUと、起動制御手段を構成する省電力型CPU群とについて、消費電力量の大きい順に比較すると、図3に示すようになる。つまり、通常モード時のメインCPU、省電力モード時のメインCPU(Boot時)、通常モード時の起動制御用CPU群、省電力モード時の起動制御用CPU群の順で、消費電力が少なくなる。
【0043】
起動制御手段では、省電力モード時に、外部インタフェースから印刷ジョブが入力された場合、まず印刷機構の初期起動動作を開始する。この印刷機構の初期起動動作は、具体的には、ヘッドリフレッシング動作、インク予備吐出動作、用紙確認動作、インク残量検知動作、モータ初期化動作等を指す。インクジェット方式の印刷装置において、印刷品質を保つために不可欠な動作である。実施例1の起動制御手段は、1つまたは複数のCPUで構成され、印刷機構初期化動作は、ソフトウェアを用いることによって、比較的容易に実現可能である。
【0044】
この起動制御手段は、上記印刷機構初期起動動作と並行して、メインCPU起動動作を行う。メインCPUの起動動作は、ROMに保存されている印刷装置制御用プログラムをRAMへ展開し、このRAM上に展開されたプログラムを用いて、メインCPUで演算処理を実行できる状態にする動作である。メインCPUは、起動後に、RAMに保存されている命令を、内部レジスタへ取り込み、デコード、演算処理等を行った結果を、RAMへ書き戻すという通常動作を行う。
【0045】
なお、印刷装置制御用プログラムを展開する記憶装置は、起動制御手段に内蔵されているRAMに限定する必要はなく、外部接続されたRAMやハードディスク(以降、HDDという)での実現が可能である。ただし、ROMからRAMへプログラムを展開する際には、一定時間のレイテンシがつきものである。特に、外部接続されたRAMやHDD等を用いる場合、レイテンシは、より増大する傾向にある。実施例1は、これらのレイテンシによってもたらされる性能上のオーバーヘッドを削減することに寄与する。
【0046】
実施例1では、印刷機構初期起動動作を行っている途中から並行して、メインCPUの起動動作を行う場合の例であるが、メインCPUの起動動作を開始するタイミングを、任意に設定可能である。
【0047】
メインCPUが起動した後は、印刷装置の制御権が、起動制御手段から、メインCPUへ移る。印刷装置の制御権が、メインCPUへ移った段階で、省電力モードから通常モードへの移行が完了する。
【0048】
図4は、インクジェットプリント装置PR1において、省電力モードから通常モードへ至る際の制御権の変遷を示す図である。
【0049】
通常モードへの移行後に、起動制御手段は、メインCPUの制御下に置かれるが、外部インタフェースからの印刷ジョブ入力監視は、引き続き行うものとする(図4参照)。
【0050】
上記のように、実施例1は、省電力モードから通常モードへの移行時に、メインCPUの起動と、印刷機構起動動作とを、並列に実行することが困難である起動制御手段を有する。
【0051】
次に、実施例1の詳細な動作について説明する。
【0052】
図5は、インクジェットプリント装置PR1の基本的な動作を説明するフローチャートである。
【0053】
具体的には、省電力モードから通常モードへ移行する際に、起動制御手段によるメインCPUの起動と印刷機構起動動作とについて、外部インタフェースから画像データを受信する段階から、印刷する段階までを、順序立てて説明する。はじめに、インクジェットプリント装置PR1が省電力モードにある状態で、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信し、印刷処理を行う際の全体動作を、フローチャートに従って説明する。
【0054】
省電力状態にあるインクジェットプリント装置PR1について、ホストコンピュータから印刷データが送信され(S2001)、インクジェットプリント装置PR1側では、印刷データの受信の有無について検知する(S2002)。
【0055】
ここで、印刷データの受信を確認できなければ、受信を検知できるまで、状態を維持する。一方、印刷データの受信が検知されれば、起動制御手段4300が、通常モードへ移行する(S2003)。通常モードへの移行を完了した後に、印刷データは、一旦メモリに保存される(S2004)。この印刷データは、圧縮された画像データと印刷モード設定等の情報とを、含んでいる。
【0056】
続いて、メモリに保存されている印刷データは、圧縮されている画像データ部分について伸張処理を施される(S2005)。伸張処理された画像データは、2値化処理等の画像処理(S2006)を経て、印刷処理される(S2007)。印刷処理が行われた後も、印刷データの受信の有無について、検知が行われ(S2008)、一定時間の間に再度印刷データを受信した場合、通常モードでの処理を繰り返す。一方、一定時間の間に印刷データを受信しなかった場合、インクジェットプリント装置PR1は、省電力モードへ移行(S2009)し、待機状態へ戻る(S2010)。
【0057】
図6は、実施例1において、通常モードへの移行動作(S2003)を詳細に示すフローチャートである。
【0058】
省電力モードから通常モードへの移行時は、起動制御手段4300が制御権を持ち、各種処理を行う。省電力モードにおいて、ホストコンピュータから、印刷データ受信を検知したことを受け、1つまたは複数の省電力CPUによって構成されている起動制御手段4300は、通常モードへの移行動作を開始する(S1001)。通常モードへの移行動作を開始すると、起動制御手段4300は、まず、印刷機構の初期起動動作(S1002)を実行する。
【0059】
この印刷機構の初期起動動作は、紙面に向けてインクを吐出する印刷ヘッド部のリフレッシュ動作や、インクの吐出確認動作、印刷を行うロール紙の有無についての確認と、インク残量検知動作と、モータ初期化動作等である。この初期起動動作は、インクジェットプリント装置PR1において、印刷品質を保つ上で重要な動作である。
【0060】
印刷機構の初期起動動作を開始した後に、メインCPUの起動動作(S1003)を開始する。印刷機構の起動動作と、メインCPUの起動動作とを、並行して行うようにしてもよい。
【0061】
この後に、起動制御手段4300は、メインCPUの起動動作が完了したかどうかを検知する(S1004)。メインCPUの起動動作が完了していなければ、そのまま起動動作を継続させ、メインCPUのBootが完了するまで待つ。メインCPUが起動した後に、印刷機構の起動動作が完了したかどうかを調べる(S1005)。
【0062】
S1004、S1005において、インクジェットプリント装置PR1を動作させるために必要な部位の起動が完了したことを確認した上で、起動制御手段4300が有していた制御権を、メインCPUへ移行する(S1006)。メインCPUへ制御権が移行することによって、省電力モードから通常モードへの移行が完了し(S1007)、通常の印刷動作に入ることができる。
【0063】
なお、起動制御手段4300を、1つ以上のCPUではなく、ASICを用いて実現するようにしてもよい。この場合、上記ASICは、省電力モードから上記通常モードへ移行する際に、第1のCPUの起動動作と印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御し、第1のCPUよりも消費電力が低いASICの例である。
【0064】
なお、上記省電力モードでは、電源供給時に初期化動作を行う必要のある上記第1のCPUに対する電源供給を制限し、第1のCPUまたはASICにのみ電力を供給するモードである。
【0065】
また、インクジェットプリント装置PR1を、第1のCPUまたはASICを利用せずに動作させるようにしてもよい。
【0066】
なお、上記実施例を、レーザビームプリンタや、電子写真方式等、他のプリント方式の装置等、他の印刷装置に適用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上記実施例は、インクジェットプリント装置であるが、イメージスキャナを備えた複合機に、上記実施例を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
PR1…インクジェットプリント装置、
4001…CPU、
4010…操作パネル、
4300…起動制御手段(第2のCPU)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像を印刷し、通常の動作モードである通常モードと消費電力を制限する省電力モードとを具備する印刷装置において、
印字動作を制御する第1のCPUと;
上記省電力モードから上記通常モードへ移行する際に、上記第1のCPUの起動動作と上記印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御する第2のCPUであって、上記第1のCPUよりも消費電力が低い第2のCPUと;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
画像データに基づいて画像を印刷し、通常の動作モードである通常モードと消費電力を制限した省電力モードを具備する印刷装置において、
印字動作を制御する第1のCPUと;
上記省電力モードから上記通常モードへ移行する際に、上記第1のCPUの起動動作と上記印刷装置の印刷機構起動動作とを並行して実行するように制御するASICであって、上記第1のCPUよりも消費電力が低いASICと;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2であって、
上記省電力モードでは、電源供給時に初期化動作を行う必要のある上記第1のCPUに対する電源供給を制限し、上記第2のCPUまたはASICにのみ電力を供給するモードであることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−201706(P2010−201706A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48143(P2009−48143)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】