説明

印字装置

【課題】テープカセットの単価を抑制しつつ、より多数のテープカセットに関する情報を管理することができる印字装置を提供する。
【解決手段】印字装置には、個体情報、テープ残量、及び印字履歴が対応付けられて記憶されている。個体情報は、テープカセットの個体を特定するための情報である。印字装置に記憶されている個体情報の一覧が表示される(S11)。表示された個体情報から一の個体情報が選択されると(S12:YES)、個体情報に対応付けられた印字履歴の印字データが表示され(S14)、テープ残量が表示される(S25)。印字が行われると、算出された新たなテープ残量と、印字された印字データとが、印字装置に記憶される。新たなテープカセットが使用される場合には、新たな個体情報が入力される(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープカセットに収納されたテープに印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープカセットに関する情報を、テープカセットまたは印字装置で管理することが知られている。例えば、テープカセットに備えられた記憶素子に、モデル名、駆動電源、印字制御パラメータ、テープ搬送量などを記憶させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数のカートリッジを装着可能な記録装置において、カートリッジごとの使用量を記憶する記憶手段を、その記録装置が装着可能なカートリッジの数量分設けることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/033431号
【特許文献2】特開平4−67968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テープカセットに記憶素子を設けた場合、テープカセットの単価が高くなるおそれがあった。また、記録装置に装着可能なカートリッジの数量分の記憶手段を設けた場合、記憶手段の数量分よりも多数のカートリッジについて情報を管理できないおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、テープカセットの単価を抑制しつつ、より多数のテープカセットに関する情報を管理することができる印字装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印字装置は、テープを収納したカセットケースを備えたテープカセットが着脱されるカセット装着部と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットから前記テープを引き出して搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記テープに印字を行う印字手段と、記憶装置に記憶された、前記テープカセットの個体を特定するための情報である個体情報のうち、一の前記個体情報をユーザに選択させる選択手段と、前記選択手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されたか否かを判断する選択判断手段と、前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されたと判断された場合に、選択された前記個体情報を取得する個体情報取得手段と、前記テープの印字に関する情報である使用履歴を取得する使用履歴取得手段と、前記使用履歴取得手段によって取得された前記使用履歴を、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けて、前記記憶装置に記憶させる記憶制御手段とを備えている。
【0007】
この場合、カセット装着部に装着されるテープカセットの個体情報毎に、使用履歴が記憶装置に記憶される。テープカセットに、記憶素子を設ける必要がないため、テープカセットの単価を抑制することができる。また、印字装置は、テープカセット毎に異なる記憶装置を備える必要がないので、使用履歴を管理できるテープカセットの数が、記憶装置に限定されることがない。このため、多数のテープカセット毎の使用履歴を管理することができる。
【0008】
前記印字装置において、前記個体情報取得手段は、前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されなかったと判断された場合に、ユーザによって入力される前記個体情報を取得してもよい。個体情報がユーザによって選択されなかった場合とは、記憶装置に個体情報が記憶されていない新たなテープカセットが使用される場合である。この場合に、ユーザが入力する、新たなテープカセットの個体情報を取得することができる。
【0009】
前記印字装置において、前記個体情報取得手段は、前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されなかったと判断された場合に、前記記憶装置に既に記憶されている前記個体情報とは異なる前記個体情報を生成して取得してもよい。この場合、新たなテープカセットが使用される場合に、自動で個体情報を取得することができる。
【0010】
前記印字装置は、ユーザによって入力される、前記テープの長さであるテープ長を取得するテープ長取得手段と、前記搬送手段による前記テープの搬送量を取得する搬送量取得手段とを備え、前記使用履歴取得手段は、前記搬送量取得手段によって検出された前記搬送量と、前記テープ長取得手段によって取得された前記テープ長とに基づいて、前記使用履歴として前記テープの残量であるテープ残量を取得してもよい。この場合、ユーザによって入力されるテープ長と、印字を行う際のテープの搬送量とを取得し、テープ残量を取得することができる。
【0011】
前記印字装置において、前記テープカセットの前記カセットケースには、前記テープカセットの種類別の識別情報である種類情報を示す指標部が設けられ、未使用状態の前記テープにおける搬送方向の下流端には、未使用状態であることを示すスタートマークが設けられ、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットを対象に前記スタートマークを検出するスタート検出手段と、前記スタート検出手段によって前記スタートマークが検出されたか否かを判断するスタート判断手段と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部が示す前記種類情報を検出する種類情報検出手段とを備え、前記テープ長取得手段は、前記スタート判断手段によって前記スタートマークが検出されたと判断された場合に、前記種類情報検出手段によって検出された前記種類情報に基づいて、未使用状態の前記テープ長を取得してもよい。
【0012】
スタート検出手段によってスタートマークが検出される場合、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープは、未使用状態である。つまり、テープは、カセットテープが出荷された状態の予め設定されたテープ長を有している。このため、種類情報検出手段によってテープカセットの種類情報を検出された場合、テープ長取得手段は、種類情報に基づいて、未使用状態のテープ長を取得することができる。よって、正確なテープ長が自動で取得される。
【0013】
前記印字装置において、前記使用履歴取得手段は、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記テープ残量が、前記記憶装置に記憶されていない場合に、前記テープ長取得手段によって取得された前記テープ長を、前記テープ残量として取得し、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記テープ残量が、前記記憶装置に記憶されている場合に、前記記憶装置に記憶された前記テープ残量から、前記搬送量取得手段によって取得された前記搬送量を減算したものを、前記テープ残量として取得してもよい。この場合、記憶装置に記憶された前記テープ残量から、搬送量を減算したものが新たなテープ残量として取得される。つまり、印字が行われる場合に、その都度、最新のテープ残量を記憶装置に記憶することができる。
【0014】
前記印字装置は、前記記憶装置に記憶された前記テープ残量が、前記搬送量取得手段によって取得される前記搬送量よりも少ない場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除可能な第一削除手段を備えてもよい。テープ残量が、搬送量より少ない場合とは、印字を行うために必要なテープ残量が、不足している状態である。テープ残量が不足している場合、テープカセットは、今後使用されない場合が多い。この場合に、使用履歴を削除することができる。このため、記憶装置の空き容量を確保することができる。
【0015】
前記印字装置は、前記記憶装置に記憶された前記テープ残量が、前記搬送量取得手段によって取得される前記搬送量よりも少ない場合に、ユーザによって前記使用履歴を削除するか否かの指示が入力されたか否かを判断する削除指示判断手段を備え、前記第一削除手段は、前記削除指示入力手段によって前記使用履歴を削除する指示が入力されたと判断された場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除してもよい。テープ残量が不足している場合でも、ユーザが、使用履歴を削除することを望まない場合があり得る。このため、ユーザの意思を確認し、ユーザによって削除する指示が入力された場合に、使用履歴を削除することができる。
【0016】
前記印字装置は、前記テープにおける搬送方向の上流端には、使用済み状態であることを示すエンドマークが設けられており、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットを対象に前記エンドマークを検出するエンド検出手段と、前記エンド検出手段によって前記エンドマークが検出されたか否かを判断するエンド判断手段と、前記エンド判断手段によって前記エンドマークが検出されたと判断された場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除する第二削除手段とを備えてもよい。エンドマークが検出された場合、テープ残量が全くない状態(つまり、使用済み状態)であるので、印字を行うことができない。この場合、テープカセットは、その後使用されないので、使用履歴を削除することができる。このため、記憶装置の空き容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カバー6が閉じられた状態にある印字装置1の斜視図である。
【図2】カバー6が開かれた状態にある印字装置1及びテープカセット30の斜視図である。
【図3】テープカセット30の斜視図である。
【図4】上ケース31Aが取り外された状態にあるテープカセット30の平面図である。
【図5】テープカセット30のアーム前面35を拡大した正面図である。
【図6】フィルムテープ59のスタートマーク591とエンドマーク592とを示す図である。
【図7】可動機構100を斜め前方からみた斜視図である。
【図8】ローラホルダ18及びセンサホルダ19の背面図である。
【図9】カバー6が開かれた状態にある可動搬送機構の横断面、及び、テープカセット30とテープ駆動軸11とサーマルヘッド10とを表した図である。
【図10】カバー6が閉じられた状態にある可動搬送機構の横断面、及び、テープカセット30とテープ駆動軸11とサーマルヘッド10とを表した図である。
【図11】センサホルダ19の縦断面図である。
【図12】テープカセット30にセンサホルダ19が圧接された状態を示す、図5におけるI−I線矢視方向断面図である。
【図13】印字装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図14】種類情報データテーブル81を示す模式図である。
【図15】個体情報データテーブル82を示す模式図である。
【図16】メイン処理を示すフローチャートである。
【図17】メイン処理を示すフローチャートである。
【図18】個体情報データテーブル82を示す模式図である。
【図19】印字処理を示すフローチャートである。
【図20】個体情報データテーブル82を示す模式図である。
【図21】個体情報データテーブル82を示す模式図である。
【図22】個体情報データテーブル82を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0019】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る印字装置1の概略構成について説明する。本実施形態の説明では、図1及び図2の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、印字装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。
【0020】
図1に示すように、印字装置1の上面には、キャラクタ(文字、記号及び数字等)を入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側(紙面右上側)には、電源スイッチ、印字キー等の機能キー群4が設けられている。以下の説明では、キーボード3と機能キー群4とを総称する場合、入力部91という。機能キー群4の後側には、入力した文字や記号等を表示するためのディスプレイ5が設けられている。印字装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。印字装置1の左後角には、カットされた印字済テープ50(図3参照)を受けるテープトレイ7が設けられている。
【0021】
図2に示すように、ディスプレイ5の後側には、カセット装着部8が形成されている。カセット装着部8には、テープカセット30が上下方向に着脱される。カセット装着部8には、リボン巻取軸9が立設されている。リボン巻取軸9は、リボンスプール42(図4参照)から引き出されて文字等の印字に使用された後のインクリボン60(図4参照)を巻取る。リボン巻取軸9の左前方には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ74(図9参照)が立設されている。ヘッドホルダ74の前面には、フィルムテープ59(図4参照)に文字等を印字するサーマルヘッド10(図9参照)が取り付けられている。ヘッドホルダ74の左方には、印字済テープ50を送り駆動するためのテープ駆動軸11(図9参照)が立設されている。
【0022】
カセット装着部8の前側には、後述のローラホルダ18、センサホルダ19、リリースロッド17等が配設されている(図7参照)。ローラホルダ18、センサホルダ19、リリースロッド17等は、板部13によって被覆されている。板部13の右側には、リリースロッド17と連結されたレバー16が設けられている。
【0023】
カバー6は、カバー6の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。カセット装着部8は、カバー6が閉位置にあるときにテープカセット30を着脱不能に閉鎖され(図1参照)、カバー6が開位置にあるときにテープカセット30を着脱自在に開放される(図2参照)。
【0024】
次に、図3〜図5を参照して、本実施形態に係るテープカセット30の構造について説明する。本実施形態のテープカセット30は、感熱タイプ、レセプタータイプ、ラミネートタイプ等、各種のテープ種類に実装可能な汎用カセットを、ラミネートタイプに実装している。本実施形態の説明では、図3の左上側、右下側、右上側、左下側、上側、下側を、それぞれ、テープカセット30の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。
【0025】
図3に示すように、テープカセット30は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケース31を有している。カセットケース31は、カセットケース31の底面30Bを含む下ケース31Bと、カセットケース31の上面30Aを含む上ケース31Aとを有する。上ケース31Aは、下ケース31Bの上部に固定される。
【0026】
カセットケース31は、テープカセット30の種類(例えば、テープ幅や印字態様など)にかかわらず、同一の幅(上下方向の長さが同一)に形成された角部32Aを有する。角部32Aは、平面視で直角をなすように外側方向に突出している。ただし、平面視で左下の角部32Aでは、テープ排出口49が角に設けられているために、直角はなしていない。
【0027】
図3に示すように、上ケース31A及び下ケース31Bには、それぞれ後述のスプール類を回転可能に支持する支持孔65、66、67が設けられている。図3には、上ケース31Aに形成された各支持孔65,66,67のみしか図示されていないが、下ケース31Bについても同様に、支持孔65、66、67が形成されている。
【0028】
カセットケース31の上面30Aの支持孔66と支持孔67との間には、左右方向に長い平面視略長方形の開口69が設けられている。ユーザは、開口69を介して、カセットケース31の内部に設けられたフィルムテープ59と両面粘着テープ58とを確認することができる。これによって、ユーザは、フィルムテープ59のおおよその残量を把握することができる。
【0029】
カセットケース31の上面30Aの左部には、個体別テープ501が貼り付けられている。個体別テープ501は、個体情報が印字された印字済テープ50である。個体別テープ501は、図19のステップS42において印字され、ユーザによってテープカセット30に貼り付けられる。図3の個体別テープ501には、例示として、個体情報「24A」が印字されている。個体情報は、テープカセット30の個体を特定するための情報である。詳細については、後述する。
【0030】
図4に示すように、カセットケース31内には、第一テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58、第二テープスプール41に巻回された透明なフィルムテープ59、及び、リボンスプール42に巻回されたインクリボン60の3種類のテープロールが収納されている。両面粘着テープ58は、一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印字済みのフィルムテープ59の印字面側に貼り合わされる。
【0031】
両面粘着テープ58の剥離紙を外側に向けて巻回した第一テープスプール40は、カセットケース31内の左側後部において、先述の支持孔65を介して回転可能に配置されている。フィルムテープ59が巻回された第二テープスプール41は、カセットケース31内の右側後部において、先述の支持孔66を介して回転可能に配置されている。リボンスプール42に巻回されたインクリボン60は、カセットケース31内の右側前部において回転可能に配置されている。
【0032】
カセットケース31内における第一テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボン巻取スプール44が先述の支持孔67を介して回転可能に配置されている。リボン巻取スプール44は、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン60を巻き取る。
【0033】
図3に示すように、カセットケース31の前面には、平面視で断面半円状をなす溝部である半円溝34Kが、カセットケース31の高さ方向(上面30Aから底面30Bまで)に亘って設けられている。カセットケース31の前面のうち、半円溝34Kから左に延びる部分を、アーム前面35という。アーム前面35と、アーム前面35から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面37(図4参照)とで規定される、テープカセット30右側から左方に延びる部位をアーム部34という。
【0034】
図4に示すように、アーム部34内には、第二テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59と、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60とが共に案内されている。アーム前面35の先端部は、後方へ向かって屈曲している。アーム前面35とアーム背面37の先端により、開口34Aが形成されている。フィルムテープ59とインクリボン60とは、開口34Aで重ね合わされて、後述する露出部77に向けて排出される。
【0035】
アーム背面37と、アーム背面37から連続して設けられた周壁面とにより囲まれた、カセットケース31を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部39である。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面側に設けられた露出部77を介して、テープカセット30の前面側で外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、印字装置1のサーマルヘッド10(図9参照)を支持するヘッドホルダ74が挿入される。露出部77では、開口34Aから排出されたフィルムテープ59の一面が前方に露出され、且つその他面が後方のサーマルヘッド10に対向する。本実施形態では、フィルムテープ59の他面がインクリボン60を挟んでサーマルヘッド10に対向している。露出部77では、サーマルヘッド10によるフィルムテープ59への印字が、インクリボン60を使用して行われる。
【0036】
図3及び図4に示すように、開口34Aからテープ排出口49までのフィルムテープ59及びインクリボン60の搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側にはテープ駆動ローラ46が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ46は、その内部に挿嵌されるテープ駆動軸11(図9参照)によって回転駆動される。テープ駆動ローラ46は、対向する可動搬送ローラ14(図10参照)と協働して、第二テープスプール41からフィルムテープ59を引き出し、第一テープスプール40から両面粘着テープ58を引き出し、フィルムテープ59の印字面に両面粘着テープ58をガイドして接着させる。接着されたフィルムテープ59と両面粘着テープ58は、テープ排出口49から排出され、印字済テープ50となる。
【0037】
図3及び図5に示すように、アーム前面35には、テープカセット30の種類情報を示すアーム識別部800が設けられている。アーム識別部800は、種類情報に応じた規定のパターンで、非押圧部801と押圧部802とを含む。非押圧部801は、スイッチ端子231(図8参照)を挿脱可能な正面視矩形状の孔である。押圧部802は、スイッチ端子231と接触する面部である。本実施形態のアーム識別部800は、5つのスイッチ端子231に対応する5箇所の位置に、非押圧部801及び押圧部802のいずれかを有する。以下では、非押圧部801及び押圧部802を総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に識別部という。
【0038】
本実施形態のアーム識別部800では、各識別部の左右方向の位置はそれぞれ異なっている。5つの識別部は、上下方向に重ならないようにジグザグに配置されている。機械式センサ23(図8参照)とアーム識別部800を用いた種類情報の検出態様については、別途後述する。
【0039】
アーム前面35には、アーム識別部800の右側上方に、係止孔820が設けられている。係止孔820は、後述のセンサホルダ19が識別位置(図10に示す位置)に移動した場合に、後述の係止片192(図8及び図11参照)が挿入される孔部である(図12参照)。
【0040】
図3に示すように、アーム前面35において、下ケース31Bのアーム識別部800の左側には、正面視で縦長長方形状の貫通孔850が設けられている。図4に示すように、貫通孔850の後方には、フィルムテープ59の搬送経路が位置している。
【0041】
図6を参照して、フィルムテープ59に設けられたスタートマーク591とエンドマーク592とについて説明する。スタートマーク591は、フィルムテープ59が未使用状態であることを示すマークである。エンドマーク592は、フィルムテープ59が使用済み状態であることを示すマークである。図6では、紙面左側が、未使用状態のフィルムテープ59の搬送方向の下流端であり、紙面右側が、フィルムテープ59の搬送方向の上流端を示している。図6に示すように、フィルムテープ59の搬送方向の下流端には、スタートマーク591が設けられている。スタートマーク591は、透明なフィルムテープ59において、黒色に形成された部分である。フィルムテープ59の搬送方向の上流端には、エンドマーク592が設けられている。エンドマーク592は、フィルムテープ59において、所定幅の黒色に形成された部分である。エンドマーク592は、所定の間隔で、複数個並んでいる。
【0042】
図7〜図10を参照して、印字装置1に備えられた可動機構100の概略構成について説明する。本実施形態の可動機構100は、レバー16、リリースロッド17、ローラホルダ18、及びセンサホルダ19を含み、外圧に応じて可動する一連の機構をいう。
【0043】
本実施形態では、図7の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、下側は、それぞれ、可動機構100の前側、後側、右側、左側、上側、下側と対応する。図7は、可動機構100の動作態様を理解容易にするために、リリースロッド17を左右方向に案内する壁部を取り除いて図示している。図7に示す可動機構100は、カバー6が開閉される途中の状態である。
【0044】
レバー16の下端には、正面視で左右方向を長手とする板状のリリースロッド17が係合されている。リリースロッド17の後側(図7の左上側)には、ローラホルダ18が設けられている。ローラホルダ18は、プラテンローラ15(図8参照)と可動搬送ローラ14とを備える。ローラホルダ18は、ホルダ軸181を中心に回動可能に軸支されている。ローラホルダ18の左端縁部には、可動搬送ローラ14がローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ14の右側には、プラテンローラ15がローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ14及びプラテンローラ15は、それぞれテープ駆動ローラ46及びサーマルヘッド10に対向する位置に配置されている(図9参照)。ホルダ軸181の下部の周囲には、巻きバネ185(図8参照)が設けられている。ローラホルダ18は、巻きバネ185(図8参照)によって前方向に常に弾性付勢されている。
【0045】
ローラホルダ18におけるホルダ軸181とプラテンローラ15との間には、正面視で略矩形状の開口部を形成するホルダ開口部182が設けられている。リリースロッド17の後側、かつホルダ開口部182の内側には、センサホルダ19が設けられている。センサホルダ19は、ローラホルダ18には固定されていないため、ローラホルダ18とは独立して移動可能である。センサホルダ19には、光学式センサ28と複数の機械式センサ23とが設けられている。光学式センサ28は、発光部281と受光部282とを備えている。光学式センサ28は、貫通孔850に対向する位置に設けられている。機械式センサ23は、後方(図7の左上方向)に突出するスイッチ端子231を備えている(図8参照)。複数の機械式センサ23は、アーム識別部800に設けられた複数の識別部にそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0046】
ユーザが、カセット装着部8に対してテープカセット30を着脱する場合、ユーザはカバー6を上方に開く。ユーザが、印字装置1にて印字を行う場合、ユーザはカバー6を下方に閉じる。カバー6が下方に閉じられる場合、レバー16が下方向に回動する。レバー16の下方向への回動に伴って、リリースロッド17は、左方向に移動する。左方向に移動したリリースロッド17は、ローラホルダ18を後方に押圧する。押圧されたローラホルダ18は、巻きバネ185の付勢力に抗って後方に回動する。後方に回動したローラホルダ18は、図10に示す印字位置に移動する。印字位置では、プラテンローラ15がサーマルヘッド10に圧接され、且つ、可動搬送ローラ14がテープ駆動ローラ46に圧接されている。
【0047】
また、リリースロッド17の左方向の移動に伴って、センサホルダ19は、後方に移動する。後方に移動したセンサホルダ19は、図10に示す識別位置に移動する。識別位置では、機械式センサ23のスイッチ端子231がアーム識別部800に圧接される。ローラホルダ18が印字位置にあり、センサホルダ19が識別位置にある場合、印字装置1では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を用いた印字動作が可能となり、且つ、テープカセット30の種類を特定可能となる。
【0048】
カバー6が上方に開かれる場合、レバー16が上方向に回動する。レバー16の上方向への移動に伴って、リリースロッド17は、右方向に移動する。リリースロッド17の右方向の移動に伴って、ローラホルダ18は、巻きバネ185の付勢力によって前方に回動する。前方に回動したローラホルダ18は、図9に示す待機位置に移動する。待機位置では、プラテンローラ15がサーマルヘッド10から離間され、且つ、可動搬送ローラ14がテープ駆動ローラ46から離間される。
【0049】
また、リリースロッド17の右方向の移動に伴って、センサホルダ19は、前方に移動する。前方に移動したセンサホルダ19は、図9に示す離間位置に移動する。離間位置では、機械式センサ23のスイッチ端子231がアーム識別部800から離間される。ローラホルダ18が待機位置にあり、センサホルダ19が離間位置にある場合、印字装置1では、カセット装着部8にテープカセット30を着脱自在となる。
【0050】
図7〜図8及び図11を参照して、センサホルダ19の物理的構造について説明する。図11では、5つの機械式センサ23のうちで、最も左上(図8では右上)に位置する機械式センサの可動態様を模式的に示している。センサホルダ19は、箱状のユニット本体191、機械式センサ23、光学式センサ28、係止片192、及び電気基板193を少なくとも備えている。ユニット本体191と係止片192とは、一体に形成されている。
【0051】
ユニット本体191において、カセット装着部8に装着されているテープカセット30に対向する面をカセット対向面191Aという。5つの機械式センサ23が各々有するスイッチ端子231は、カセット装着部8に装着されているテープカセット30のアーム前面35(図3参照)に対向するようにカセット対向面191Aから突出している。各スイッチ端子231は、先述したアーム識別部800の識別部(非押圧部801または押圧部802)(図5参照)にそれぞれ対応する位置に設けられている。スイッチ端子231は、常にはバネ(図示外)によって後方向(図11では左方向)に回動した進出位置に移動している。このとき、機械式センサ23はオフ状態となる。スイッチ端子231の先端側に外圧が加えられると、スイッチ端子231は前方向に回動した退入位置に移動する。このとき、機械式センサ23はオン状態となる。
【0052】
カセット対向面191Aの右上部(図8の左上部)には、左右方向を長手とする板状突起である係止片192が設けられている。カセット対向面191Aにおいて、最も左側(図8の右側)のスイッチ端子231の左方には、開口199が設けられている。開口199は、光学式センサ28の発光部281と受光部282とを、後方に露出させるために設けられている。光学式センサ28は、貫通孔850(図4参照)に対向する位置に設けられている。各機械式センサ23と、光学式センサ28は、ユニット本体191に配設された電気基板193に実装され、電気基板193と電気的に接続されている。
【0053】
電気基板193は、ユニット本体191の前側に設けられている。図示しないが、電気基板193の前面には電気配線が接続されている。電気基板193は、この電気配線を介して、印字装置1の内部に備えられた制御回路部400(図13参照)に電気的に接続されている。機械式センサ23のオン・オフの信号は、電気基板193に接続された電気配線を介してCPU401(図13参照)に伝達される。
【0054】
CPU401は、光学式センサ28を使用して、スタートマーク591とエンドマーク592を検出する。より詳細には、光学式センサ28の発光部281から発せられた光は、貫通孔850を通過して、貫通孔850の後方に搬送経路が位置するフィルムテープ59(図4参照)に照射される。受光部282は、フィルムテープ59に反射した光を受光する。スタートマーク591とエンドマーク592は、黒色であるため、フィルムテープ59の透明な部分に比べて光の反射量が少ない。CPU401は、この反射量を、受光部282を介して検出することで、スタートマーク591とエンドマーク592とを検出する。
【0055】
図5及び図12を参照して、カセット装着部8に装着されているテープカセット30の種類の検出態様について説明する。図12に示すように、テープカセット30がカセット装着部8の適正な位置に装着されている場合は、カバー6(図2参照)が閉じられてセンサホルダ19が識別位置に移動すると、カセット対向面191Aに設けられた係止片192がテープカセット30の係止孔820に挿入される。カセット対向面191Aに設けられた機械式センサ23が、テープカセット30のアーム識別部800に対向する。5つのスイッチ端子231は、それぞれ対向するアーム識別部800の識別部(非押圧部801または押圧部802)によって選択的に押圧される。
【0056】
具体的には、押圧部802に対向したスイッチ端子231は、アーム前面35の面部に押圧され、機械式センサ23がオン状態となる。非押圧部801に対向したスイッチ端子231は非押圧部801に挿入され、機械式センサ23がオフ状態となる。
【0057】
CPU401は、種類情報データテーブル81(後述)を参照し、5つの機械式センサ23のオン・オフの組合せに基づいて、カセット装着部8に装着されているテープカセット30の種類を特定する(図16のS19参照)。
【0058】
図13を参照して、印字装置1の電気的構成について説明する。図13に示すように、印字装置1は、制御基板上に形成される制御回路部400を備えている。制御回路部400は、各機器を制御するCPU401、CPU401にデータバス410を介して接続されたROM402、CGROM403、RAM404、及び入出力インターフェース411等から構成されている。
【0059】
ROM402は、プログラム記憶領域4021及び種類情報データテーブル記憶領域4022を少なくとも備えている。プログラム記憶領域4021には、CPU401が印字装置1を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。種類情報データテーブル記憶領域4022には、後述する種類情報データテーブル81が記憶されている。RAM404は、個体情報データテーブル記憶領域4041を少なくとも備えている。また、RAM404には、テキストメモリ、印字バッファ等、複数の記憶領域が設けられている(図示外)。個体情報データテーブル記憶領域4041には、後述する個体情報データテーブル82が記憶されている。CGROM403には、キャラクタを印字するための印字用ドットパターンデータが記憶されている。
【0060】
入出力インターフェース411には、機械式センサ23、入力部91、液晶駆動回路(LCDC)405、駆動回路406、407、408、409等が接続されている。駆動回路406は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路407は、リボン巻取軸9及びテープ駆動軸11を回転させるテープ送りモータ24を駆動するための電子回路である。駆動回路408は、印字済テープ50を切断する移動刃(図示外)を動作させるカッターモータ25を駆動するための電子回路である。駆動回路409は、光学式センサ28を制御するための電子回路である。液晶駆動回路(LCDC)405は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有する。
【0061】
図14を参照して、種類情報データテーブル81について説明する。種類情報データテーブル81には、種類情報、テープ幅、及びテープ長が対応付けられている。図14に示す例では、種類情報、テープ幅、及びテープ長の順に、「第一パターン」、「32mm」、及び「800cm」が対応付けられている。同様に、「第二パターン」、「24mm」、及び「800cm」が対応付けられ、「第三パターン」、「12mm」、及び「800cm」が対応付けられている。「第四パターン」、「12mm」、及び「300cm」が対応付けられている。なお、図14には、種類情報データテーブル81に登録されたデータの内、一部のデータのみを記載している。
【0062】
第一〜第四パターンは、テープカセット30毎の種類情報を示している。第一〜第四パターンは、テープカセット30の種類毎に異なる、アーム識別部800の非押圧部801と押圧部802の組み合わせである。テープ幅とテープ長とは、テープカセット30の種類に対応したテープ幅とテープ長である。例えば、アーム識別部800の非押圧部801と押圧部802の組み合わせが第一パターンである場合、そのテープカセット30に収納されているフィルムテープ59のテープ幅は、32mmであり、テープ長は800cmである。
【0063】
図15を参照して、個体情報データテーブル82について説明する。個体情報データテーブル82には、個体情報と使用履歴とが対応付けられている。使用履歴は、テープ残量と印字履歴とである。図15に示す例では、個体情報「24A」、テープ残量「790cm」、及び印字履歴「File No.1」、「会議用資料」が対応付けられている。同様に、個体情報「24B」、テープ残量「794cm」、及び印字履歴「極秘資料」が対応付けられ、個体情報「12A」、テープ残量「795cm」、及び「顧客名簿」が対応付けられている。
【0064】
個体情報は、後述するステップS16(図16参照)において入力される。個体情報は、ユーザが使用しているテープカセット30毎に付与されている。例えば、「24A」のうち、「24」は、テープカセット30に収納されているフィルムテープ59の太さ(上下方向の高さ)が「24mm」であることを示し、「A」は、他の24mmのテープカセット30と同一とならないように付与されたアルファベットである。なお、個体情報は、後述するステップS42(図19参照)で印字され、図3に示す個体別テープ501のように、ユーザによって、テープカセット30に貼り付けられる。
【0065】
テープ残量は、個体情報が示すテープカセット30のフィルムテープ59の残量である。印字履歴は、個体情報が示すテープカセット30を使用して、印字装置1を使用して過去に印字を行った印字データの履歴である。
【0066】
次に、図16及び図17のフローチャートを参照して、印字装置1のCPU401によるメイン処理について説明する。メイン処理は、ユーザによって入力部91を介して、印字を行う旨の指示が入力されたことを契機に開始される。以下の説明では、ユーザが種々のテープカセット30を使用して印字を行った結果、図15に示す個体情報データテーブル82が、個体情報データテーブル記憶領域4041に記憶されている場合について、例示しながら説明する。以下、この例示を、「具体例」という。
【0067】
まず、個体情報データテーブル82(図15参照)に記憶されている個体情報の一覧がディスプレイ5に表示される(S11)。具体例では、個体情報「24A」、「24B」、及び「12A」が、ディスプレイ5に表示される。
【0068】
ユーザは入力部91を操作して、ディスプレイ5に表示された個体情報の一覧から、カセット装着部8に装着したテープカセット30に対応する個体情報を選択する。例えば、カセット装着部8に装着されたテープカセット30に、図3に示すように、「24A」と記載された個体別テープ501が貼り付けられている場合、ユーザは個体情報「24A」を個体情報の一覧から選択する。このように、CPU401は、個体情報の一覧をディスプレイ5に表示することで、個体情報データテーブル82に記憶されている個体情報のうちの一の個体情報をユーザに選択させる(S11)。なお、ユーザが、初めてカセット装着部8に装着したテープカセット30には、個体情報が付与されていないので、ユーザは、個体情報を選択しない旨の指示を、入力部91を介して入力する。
【0069】
次いで、ディスプレイ5に表示された個体情報の一覧の中から、個体情報が選択されたか否かが判断される(S12)。個体情報が選択された場合(S12:YES)、選択された個体情報が個体情報データテーブル82(図15参照)から取得される(S13)。言い換えると、カセット装着部8に装着されたテープカセット30の個体が特定される。次いで、個体情報データテーブル82(図15参照)において、ステップS13で取得された個体情報に対応した印字履歴に登録されている印字データが、ディスプレイ5に表示される(S14)。具体例では、ユーザが個体情報「24A」を選択したのに応じて、印字履歴の印字データ「File No.1」と「会議用資料」とが表示される。
【0070】
さらに、個体情報データテーブル82が参照され、ステップS13で取得された個体情報に対応したテープ残量が、ディスプレイ5に表示される(S25)。具体例では、ユーザが個体情報「24A」を選択したのに応じて、テープ残量「790cm」が表示される。
【0071】
次いで、ステップS14で表示された印字履歴が示す印字データの中から、印字データが選択されたか否かが判断される(S26)。印字データが選択されていない場合(S26:NO)、新たな印字データが入力されたか否かが判断される(S27)。例えば、ユーザがディスプレイ5に表示された印字データを選択せずに、入力部91を操作して印字データを直接入力した場合、新たな印字データが入力されたと判断される(S27:YES)。印字データが入力されていない場合(S27:NO)、処理はステップS26に戻る。具体例では、ユーザが入力部91を介して、印字データ「SAMPLE」を入力したとする(S27:YES)。
【0072】
印字データが選択された場合(S26:YES)、選択された印字データを印字するのに必要なフィルムテープ59の搬送量が算出される(S28)。同様に、新たな印字データが入力された場合も(S27:YES)、入力された印字データを印字するのに必要なフィルムテープ59の搬送量が算出される(S28)。この搬送量は、ROM402又はCGROM403に記憶されている文字の大きさや、文字間の余白の長さを使用して算出される。具体例では、印字データ「SAMPLE」を印字するのに必要な搬送量として、「6cm」が算出されたとする。
【0073】
次いで、ステップS13またはS16で取得された個体情報に対応したテープ残量が、ステップS28で算出された搬送量より少ないか否かが判断される(S29)。言い換えると、テープ残量が不足しているか否かが判断される。具体例において、仮に、個体情報データテーブル82の個体情報「24A」に対応付けられたテープ残量が「3cm」であった場合、ステップS25で算出された「6cm」より少ないと判断される(S29:YES)。テープ残量が搬送量より少ない場合(S29:YES)、使用履歴と個体情報とを、個体情報データテーブル82から削除するか否かをユーザに問い合わせるための画面が、ディスプレイ5に表示される(S30)。ステップS30で表示される画面は、例えば「テープ残量が不足しています。個体情報と使用履歴を削除しますか?」というテキストである。
【0074】
次いで、個体情報と使用履歴とを削除する指示が入力されたか否かが判断される(S31)。ユーザによって入力部91を介して削除する指示が入力された場合(S31:YES)、個体情報と使用履歴とが、個体情報データテーブル82から削除される(S32)。具体例では、個体情報「24A」とそれに対応付けられた使用履歴が削除され、個体情報データテーブル82は図18に示すように更新される。ステップS32の実行後、または削除しない指示が入力された場合(S31:NO)、メイン処理が終了される。
【0075】
具体例では、個体情報「24A」に対応付けられたテープ残量は「790cm」である(図15参照)。よって、テープ残量は搬送量「6cm」以上であると判断され(S29:NO)、印字処理が行われる(S33)。
【0076】
図19を参照して、印字処理について説明する。印字処理は、印字データの印字を行う処理である。印字処理では、まず、個体情報が、新たに入力された個体情報であるか否かが判断される(S41)。より詳細には、ステップS16(図16参照、後述)で、新たに個体情報が入力された場合、新たに入力された個体情報であると判断される(S41:YES)。また、ステップS11〜S13(図16参照)で、個体情報の一覧から一の個体情報が選択された場合、新たに入力された個体情報でないと判断される(S41:NO)。
【0077】
新たに入力された個体情報でないと判断された場合(S41:NO)、ステップS26で選択された印字データ、または、ステップS27で入力された印字データが、フィルムテープ59に印字される(S43)。次いで、ステップS43による印字が終了したか否かが判断される(S44)。印字が終了していない場合(S44:NO)、光学式センサ28が使用されてエンドマーク592が検出される(S45)。次いで、ステップS45においてエンドマーク592が検出されたか否かが判断される(S46)。エンドマーク592が検出されていない場合(S46:NO)、処理はステップS43に戻る。つまり、印字データの印字が継続される。
【0078】
エンドマーク592が検出された場合(S46:YES)、印字が途中で終了される(S47)。テープ残量がないため、印字データの最後まで印字を行えないからである。次いで、ステップS32(図17参照)と同様に、個体情報と使用履歴とが削除される(S48)。次いで、図17に示すメイン処理に戻り、メイン処理が終了される。なお、テープ残量が搬送量以上であると判断され(S29:NO)、エンドマーク592が検出される場合(S46:YES)とは、後述するステップS23(図16参照)において、ユーザによって入力されたテープ残量より、実際のテープ残量の方が少ない場合である。
【0079】
印字が終了したと判断された場合(S44:YES)、テープ残量が算出される(S49)。具体例の場合、印字データ「SAMPLE」の印字が終了される(S44:YES)。そして、個体情報データテーブル82(図15参照)において、個体情報「24A」に対応付けられたテープ残量「790cm」から、ステップS28で算出された搬送量「6cm」が減算され、新たなテープ残量「784cm」が算出される(S49)。
【0080】
次いで、使用履歴が、個体情報データテーブル82に登録され、個体情報データテーブル記憶領域4041に記憶される(S50)。具体例の場合、図15に示す個体情報データテーブル82が、図20に示すように更新される。詳細には、図15におけるテープ残量「790cm」が、ステップS49で算出されたテープ残量「784cm」に更新登録される。また、ステップS43で印字された印字データ「SAMPLE」が、個体情報データテーブル82に登録される(S50)。次いで、ステップS50で登録されたテープ残量が、ディスプレイ5に表示される(S51)。具体例では、ディスプレイ5に「784cm」と表示される。次いで、メイン処理(図17参照)に戻り、メイン処理が終了される。
【0081】
図16に示すステップS12で、一の個体情報が選択されなかった場合について説明する。なお、以下の説明では、具体例として、ユーザは、図14に示す、種類情報「第三パターン」、テープ幅「12cm」、テープ長「800cm」のテープカセット30を新たに使用するとする。ユーザによって、個体情報を選択しない旨の指示が入力された場合、個体情報が選択されなかったと判断され(S12:NO)、ユーザが入力部91を介して個体情報を入力するための画面がディスプレイ5に表示される(S15)。次いで、ユーザによって個体情報が入力されたか否かが判断される(S16)。個体情報が入力されていない場合(S16:NO)、処理はステップS16に戻る。
【0082】
ステップS15で表示される画面は、例えば、テープカセット30のテープ幅を入力する欄と、アルファベットを入力する欄とが設けられている。ユーザは、表示された画面に従って、ステップS11で表示された個体情報とは異なる個体情報(つまり、個体情報データテーブル82に登録されている個体情報とは異なる個体情報)を入力する。具体例の場合、ユーザが、テープ幅を入力する欄に「12cm」を入力し、アルファベットの欄に「B」を入力したとする。この場合、ユーザによって、個体情報「12B」が入力されたことになる。
【0083】
個体情報が入力された場合(S16:YES)、スタートマーク591の検出が行われる(S17)。次いで、ステップS17で、スタートマーク591が検出されたか否かが判断される(S18)。言い換えると、カセット装着部8に装着されたテープカセット30が未使用状態か否かが判断される(S18)。スタートマークが検出された場合(S18:YES)、アーム識別部800が示す種類情報が検出され、テープカセット30の種類が特定される(S19)。具体例では、「第三パターン」が検出されることで、テープカセット30の種類が特定される。次いで、種類情報データテーブル81(図14参照)が参照され、ステップS19で検出されたテープカセット30の種類に対応したテープ長が取得される(S20)。具体例では、種類情報「第三パターン」に対応したテープ長「800cm」が取得される(S20)。
【0084】
次いで、ステップS20で取得されたテープ長が、ステップS16で取得された個体情報に対応付けられて、テープ残量として個体情報データテーブル82に記憶される(S21)。言い換えると、テープ残量の初期値が設定される。具体例の場合、図20に示す個体情報データテーブル82が、図21に示すように更新される。図21に示す個体情報データテーブル82では、個体情報「12B」に対応付けられてテープ残量「800cm」が登録されている。次いで、前述したステップS25が実行される。
【0085】
スタートマーク591が検出されていないと判断された場合(S18:NO)、ユーザが入力部91を介して、テープカセット30のテープ残量を入力するための画面が、ディスプレイ5に表示される(S22)。スタートマーク591が検出されないため、テープカセット30のテープ残量を自動で確定できないからである。次いで、ユーザによってテープ残量が入力されたか否かが判断される(S23)。テープ残量が入力されていない場合(S23:NO)、処理はステップS23に戻る。ユーザは、カセット装着部8に装着したテープカセット30のテープ残量を入力する。このとき、例えば、ユーザは、開口69を介してフィルムテープ59を確認して、テープカセット30のテープ残量を入力する。
【0086】
テープ残量が入力された場合(S23:YES)、入力されたテープ残量が、ステップS16で入力された個体情報に対応付けられて、個体情報データテーブル82に記憶される(S24)。例えば、具体例の場合において、テープ残量「250cm」が入力された場合、図20に示す個体情報データテーブル82が、図22に示すように更新される。図22に示す個体情報データテーブル82では、個体情報「12B」に対応付けられて、テープ残量「250cm」が登録されている。次いで、ステップS25以降が実行される。この場合、図19のステップS41の処理において、新たに入力された個体情報であると判断され(S41:YES)、ステップS16で入力された個体情報「12B」がフィルムテープ59に印字され、新たな個体別テープ501が作成される(S42)。ユーザは、印字された個体別テープ501をテープカセット30に貼り付ける。これによって、ユーザは、個体別テープ501を確認することで、テープカセット30の個体情報を確認することができる。S42が実行された後、印字データがフィルムテープ59に印字される(S43)。
【0087】
以上説明したように、本実施形態における処理が行われる。本実施形態では、個体情報データテーブル82において、カセット装着部8に装着されるテープカセット30の個体情報毎に、使用履歴が対応付けられる。個体情報データテーブル82は、個体情報データテーブル記憶領域4041に記憶される。つまり、テープカセット30に、テープカセット30の個体情報を記憶した記憶素子を設ける必要がない。テープカセット30に記憶素子を設ける必要がないため、テープカセット30の単価を抑制することができる。また、印字装置1は、テープカセット30毎に異なる記憶装置を備える必要がないので、使用履歴を管理できるテープカセット30の数が、記憶装置の数に限定されることがない。このため、多数のテープカセット毎の使用履歴を管理することができる。
【0088】
また、ステップS12(図16参照)によって一の個体情報が選択されなかったと判断された場合(S12:NO)、ユーザによって入力される個体情報が取得される(S16)。個体情報がユーザによって選択されなかった場合とは、個体情報データテーブル82に個体情報が登録されていない新たなテープカセット30が使用される場合である。この場合に、ステップS16でユーザが入力する、新たなテープカセット30の個体情報を取得することができる。
【0089】
また、本実施形態では、ユーザによって入力されるテープ長が取得され(S23、図16参照)、搬送量が算出されることで取得される(S25)。そして、取得されたテープ長と搬送量とに基づいて、テープ残量を取得することができる(S49、図19参照)。
【0090】
また、スタートマーク591が検出された場合(S18:YES)、ステップS19で検出されたテープカセットの種類情報に基づいて、未使用状態のテープ長が取得される(S20、図16参照)。スタートマーク591が検出される場合、カセット装着部8に装着されたテープカセット30のフィルムテープ59は、未使用状態である。つまり、フィルムテープ59は、予め設定されたテープ長を有している(図14の種類情報データテーブル81参照)。このため、種類情報データテーブル81を参照し、種類情報に対応した未使用状態のテープ長を取得することができる。つまり、正確なテープ長が自動で取得される。
【0091】
また、個体情報データテーブル82に登録されているテープ残量から、搬送量が減算され(S49、図19参照)、新たなテープ残量が、個体情報データテーブル82に登録される(S50、図19参照)。つまり、印字が行われる場合に、その都度、最新のテープ残量を個体情報データテーブル記憶領域4041に記憶することができる。
【0092】
また、テープ残量が、搬送量より少ない場合とは、印字を行うために必要なテープ残量が不足している状態である。ステップS29(図17参照)で、テープ残量が搬送量より少ないと判断された場合(S29:YES)、個体情報と使用履歴が削除される(S32)。つまり、テープ残量が不足している場合、テープカセット30は、その後使用されない場合が多いので、個体情報と使用履歴とを削除できる。このため、RAM404の空き容量を確保することができる。なお、テープ残量が不足している場合でも、ユーザが、使用履歴を削除することを望まない場合があり得る。このため、本実施形態では、ステップS30とS31において、ユーザによって削除の指示が入力された場合に(S31:YES)、個体情報と使用履歴とを削除している(S32)。
【0093】
また、図19のステップS45でエンドマーク592が検出された場合、テープ残量が全くない状態(つまり、使用済み状態)であるので、印字を行うことができない。この場合、テープカセット30は、その後使用されないので、個体情報と使用履歴とを削除することができる(S48、図19参照)。このため、RAM404の空き容量を確保することができる。
【0094】
上記実施形態において、テープ送りモータ24(図13参照)が、本発明の「搬送手段」に相当し、図19のステップS43の処理を行うCPU401が、本発明の「印字手段」に相当する。RAM404の個体情報データテーブル記憶領域4041が、本発明の「記憶装置」に相当し、図16のステップS11の処理を行うCPU401が、本発明の「選択手段」に相当する。図16のステップS12の処理を行うCPU401が、本発明の「選択判断手段」に相当し、図16のステップS13及びステップS16の処理を行うCPU401が、本発明の「個体情報取得手段」に相当する。図19のステップS49の処理を行うCPU401が、本発明の「使用履歴取得手段」に相当し、図16のステップS21、ステップS24、及び図19のステップS50の処理を行うCPU401が、本発明の「記憶制御手段」に相当する。
【0095】
図16のステップS23及びステップS20の処理を行うCPU401が、本発明の「テープ長取得手段」に相当し、図17のステップS28の処理を行うCPU401が、本発明の「搬送量取得手段」に相当する。アーム識別部800が、本発明の「指標部」に相当し、図16のステップS17の処理を行うCPU401が、本発明の「スタート検出手段」に相当する。図16のステップS18の処理を行うCPU401が、本発明の「スタート判断手段」に相当し、図16のステップS19の処理を行うCPU401が、本発明の「種類情報検出手段」に相当する。図17のステップS32で使用履歴を削除する処理を行うCPU401が、本発明の「第一削除手段」に相当し、図17のステップS31の処理を行うCPU401が、本発明の「削除指示判断手段」に相当する。図19のステップS45の処理を行うCPU401が、本発明の「エンド検出手段」に相当し、図19のステップS46の処理を行うCPU401が、本発明の「エンド判断手段」に相当する。図19のステップS48の処理を行うCPU401が、本発明の「第二削除手段」に相当する。
【0096】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、また、ステップS16において、ユーザによって入力される個体情報を取得していたが、これに限定されない。例えば、個体情報データテーブル82に記憶された個体情報データテーブル82に既に登録されている個体情報とは異なる個体情報を生成して取得してもよい。この場合、新たなテープカセット30が使用される場合に、自動で個体情報を取得することができる。
【0097】
また、例えば、個体情報「24A」の場合、テープ幅「24cm」とアルファベット「A」の組み合わせで表現されていたが、これに限定されない。例えば、任意のキャラクタの組み合わせ等でもよい。
【0098】
また、アーム識別部800の位置は限定されない。例えば、アーム識別部800は、カセットケース31の前面の右部にあってもよい。また、テープカセット30の底面30Bにあってもよい。この場合、機械式センサ23の位置を、アーム識別部800の位置に合わせて変更することで、テープカセット30の種類情報を検出できる。
【0099】
また、スタートマーク591が検出された場合に、ステップS20で種類情報データテーブル81が使用されて、テープ長が取得されていたが、これに限定されない。例えば、スタートマーク591を検出しなくてもよい。この場合において、ステップS12で個体情報が選択されなかったと判断された場合、常にステップS23を行って、ユーザによって入力されるテープ残量を取得してもよい。
【0100】
また、ステップS32(図17参照)及びステップS48(図19参照)において、個体情報と使用履歴との両方が削除されていたが、これに限定されない。例えば、個体情報と、使用履歴とのうち、いずれか一方を削除してもよい。
【0101】
また、種類情報データテーブル81(図14参照)には、種類情報にテープ幅とテープ長とが対応付けられていたが、これに限定されない。例えば、種類情報に、テープの色や、感熱タイプ、レセプタータイプ、ラミネートタイプ等の各種のテープ種類等を対応付けてもよい。この場合、アーム識別部800が示す種類情報を検出することで、テープ幅、テープ長、テープの色、及びテープ種類等が特定できる。
【0102】
また、個体情報データテーブル82には、使用履歴として、テープ残量と印字履歴とが登録されていたが、これに限定されない。例えば、使用履歴として、さらに、購入年月日、テープの色、及びテープ種類等を対応付けてもよい。この場合、印字装置1のCPU401は、個体情報から、テープ残量、印字履歴、購入年月日、テープの色、及びテープ種類等を特定できる。
【0103】
また、ユーザが個体情報を確認できるように、個体別テープ501を作成していた(S42、図19参照)が、これに限定されない。例えば、個体別テープ501は、作成しなくてもよい。この場合、ユーザが、任意の方法によって、テープカセット30とその個体情報を管理してもよい。
【0104】
また、例えば、図19のステップS49では、テープ残量から、搬送量を減算することで、新たなテープ残量を算出していた。しかし、テープ残量の算出方法は、限定されない。例えば、印字で使用されたフィルムテープ59の搬送量の合計を記憶しておき、テープ残量を使用する場合に、テープ長の初期値から、搬送量の合計を減算して、テープ残量を算出してもよい。
【0105】
また、機械式センサ23に代えて、光学式センサを用いてもよい。この場合、例えば、アーム識別部800における押圧部802を、光を反射する反射面に変更し、非押圧部801を、光を反射しない非反射面に変更してもよい。この場合、光学式センサが発した光が、反射面によって反射された場合には、光学式センサの受光部で光が検出され、非反射面によって反射されなかった場合には、光学式センサの受光部で光が検出されない。印字装置1は、この光の有無によって種類情報を特定できる。また、押圧部802は面部、非押圧部801は孔部のままであっても、反射率の違いにより、孔部の有無を検出できて種類情報を特定できる。
【0106】
また、個体情報データテーブル記憶領域4041は、RAM404に設けられていたが、これに限定されない。例えば、個体情報データテーブル記憶領域4041は、フラッシュメモリに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 印字装置
5 ディスプレイ
8 カセット装着部
10 サーマルヘッド
11 テープ駆動軸
19 センサホルダ
23 機械式センサ
24 テープ送りモータ
28 光学式センサ
30 テープカセット
31 カセットケース
81 種類情報データテーブル
82 個体情報データテーブル
91 入力部
231 スイッチ端子
401 CPU
591 スタートマーク
592 エンドマーク
800 アーム識別部
801 非押圧部
802 押圧部
4022 種類情報データテーブル記憶領域
4041 個体情報データテーブル記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを収納したカセットケースを備えたテープカセットが着脱されるカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットから前記テープを引き出して搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記テープに印字を行う印字手段と、
記憶装置に記憶された、前記テープカセットの個体を特定するための情報である個体情報のうち、一の前記個体情報をユーザに選択させる選択手段と、
前記選択手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されたか否かを判断する選択判断手段と、
前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されたと判断された場合に、選択された前記個体情報を取得する個体情報取得手段と、
前記テープの印字に関する情報である使用履歴を取得する使用履歴取得手段と、
前記使用履歴取得手段によって取得された前記使用履歴を、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けて、前記記憶装置に記憶させる記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記個体情報取得手段は、前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されなかったと判断された場合に、ユーザによって入力される前記個体情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記個体情報取得手段は、前記選択判断手段によって一の前記個体情報がユーザによって選択されなかったと判断された場合に、前記記憶装置に既に記憶されている前記個体情報とは異なる前記個体情報を生成して取得することを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項4】
ユーザによって入力される、前記テープの長さであるテープ長を取得するテープ長取得手段と、
前記搬送手段による前記テープの搬送量を取得する搬送量取得手段とを備え、
前記使用履歴取得手段は、
前記搬送量取得手段によって検出された前記搬送量と、前記テープ長取得手段によって取得された前記テープ長とに基づいて、前記使用履歴として前記テープの残量であるテープ残量を取得することを特徴とする請求項1から3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記テープカセットの前記カセットケースには、前記テープカセットの種類別の識別情報である種類情報を示す指標部が設けられ、
未使用状態の前記テープにおける搬送方向の下流端には、未使用状態であることを示すスタートマークが設けられ、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットを対象に前記スタートマークを検出するスタート検出手段と、
前記スタート検出手段によって前記スタートマークが検出されたか否かを判断するスタート判断手段と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部が示す前記種類情報を検出する種類情報検出手段と
を備え、
前記テープ長取得手段は、前記スタート判断手段によって前記スタートマークが検出されたと判断された場合に、前記種類情報検出手段によって検出された前記種類情報に基づいて、未使用状態の前記テープ長を取得することを特徴とする請求項4に記載の印字装置。
【請求項6】
前記使用履歴取得手段は、
前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記テープ残量が、前記記憶装置に記憶されていない場合に、前記テープ長取得手段によって取得された前記テープ長を、前記テープ残量として取得し、
前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記テープ残量が、前記記憶装置に記憶されている場合に、前記記憶装置に記憶された前記テープ残量から、前記搬送量取得手段によって取得された前記搬送量を減算したものを、前記テープ残量として取得することを特徴とする請求項4または5に記載の印字装置。
【請求項7】
前記記憶装置に記憶された前記テープ残量が、前記搬送量取得手段によって取得される前記搬送量よりも少ない場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除可能な第一削除手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の印字装置。
【請求項8】
前記記憶装置に記憶された前記テープ残量が、前記搬送量取得手段によって取得される前記搬送量よりも少ない場合に、ユーザによって前記使用履歴を削除するか否かの指示が入力されたか否かを判断する削除指示判断手段を備え、
前記第一削除手段は、前記削除指示入力手段によって前記使用履歴を削除する指示が入力されたと判断された場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除することを特徴とする請求項7に記載の印字装置。
【請求項9】
前記テープにおける搬送方向の上流端には、使用済み状態であることを示すエンドマークが設けられており、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットを対象に前記エンドマークを検出するエンド検出手段と、
前記エンド検出手段によって前記エンドマークが検出されたか否かを判断するエンド判断手段と、
前記エンド判断手段によって前記エンドマークが検出されたと判断された場合に、前記個体情報取得手段によって取得された前記個体情報に対応付けられた前記使用履歴を、前記記憶装置から削除する第二削除手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−116085(P2012−116085A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267647(P2010−267647)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】