説明

原稿送り装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】JAM処理時における原稿やアクチュエータ部の破損を防止する原稿送り装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿トレイ(22)から搬送路(29)を経由して搬送された原稿の画像面を読み取り、原稿を排出トレイ(24)に送出する原稿送り装置(20)であって、搬送路をその内部に有した筐体(21)と、筐体の一端に回動自在に支持されており、搬送路を開閉可能な搬送ガイド(25)と、搬送路における原稿の搬送を検知するスイッチ部材(31)とを具備し、スイッチ部材は、搬送路に突出して原稿に接触することにより、搬送ガイド内に向けて移動するアクチュエータ部(57)と、搬送ガイドが搬送路を開いた場合には、アクチュエータ部を搬送ガイド内に向けて退避させる突出規制部(59)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を所定の画像読取位置に搬送する原稿送り装置及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、原稿送り装置や画像読取部を搭載しており、原稿送り装置の原稿トレイにセットされた原稿は画像読取部の画像読取位置に向けて搬送され、その画像面が読み取られる。
そして、電子写真プロセスを用いる画像形成装置では、感光体ドラムを予め帯電し、このドラムの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。次いで、現像されたトナー画像を用紙に転写及び定着する。
【0003】
ここで、原稿トレイから搬送された原稿は、セットスイッチを通過することにより検知される(例えば、特許文献1参照)。詳しくは、このスイッチは、原稿に接触可能なアクチュエータ部を有しており、搬送ガイドを閉じた通常時には、アクチュエータ部は搬送路に向けて飛び出している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−178439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この原稿が移動中に装置内で詰まった場合には、搬送ガイドを開いて原稿を搬送路から取り出す必要があるが、上述した従来の技術では、このJAM処理時に、取り出した原稿やアクチュエータ部が破損し得るとの問題がある。
なぜならば、搬送ガイドを閉じた通常時の他、搬送ガイドを開いたJAM処理時のいずれにおいても、アクチュエータ部が搬送ガイドよりも外方向に向けて飛び出しており、取り出した原稿或いはユーザとアクチュエータ部とが接触するからである。
【0006】
このように、アクチュエータ部の飛び出しについては何等かの措置が必要になるが、上記従来の技術では格別な配慮がなされていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、JAM処理時における原稿やアクチュエータ部の破損を防止する原稿送り装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、原稿トレイから搬送路を経由して搬送された原稿の画像面を読み取り、原稿を排出トレイに送出する原稿送り装置であって、搬送路をその内部に有した筐体と、筐体の一端に回動自在に支持されており、搬送路を開閉可能な搬送ガイドと、搬送路における原稿の搬送を検知するスイッチ部材とを具備し、スイッチ部材は、搬送路に突出して原稿に接触することにより、搬送ガイド内に向けて移動するアクチュエータ部と、搬送ガイドが搬送路を開いた場合には、アクチュエータ部を搬送ガイド内に向けて退避させる突出規制部とを有する。
【0008】
第1の発明によれば、原稿は原稿トレイから搬送路に向けて搬送され、その画像面が読み取られると、排出トレイに送出される。
ここで、原稿送り装置は、筐体と、搬送ガイドと、スイッチ部材とをそれぞれ備えており、搬送ガイドは、筐体の一端にて回動自在に支持され、搬送路を開閉する。また、スイッチ部材は、搬送路における原稿の搬送を検知する。
【0009】
詳しくは、このスイッチ部材は、アクチュエータ部と、突出規制部とを含んで構成されており、アクチュエータ部は、搬送路に突出して原稿に接触することにより、搬送ガイド内に向けて移動する。一方、搬送ガイドが搬送路を開いた場合には、突出規制部が、アクチュエータ部を搬送ガイド内に向けて退避させる。
よって、搬送ガイドの開放時にはアクチュエータ部の飛び出しが少なくなり、従来に比して原稿やユーザに触れ難くなる結果、この原稿の破損やアクチュエータ部の破損を回避できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、スイッチ部材は、原稿の有無を判定するフォトインタラプタと、原稿との接触によって駆動するアクチュエータとを備え、このアクチュエータは、搬送ガイドに回動自在に支持される軸部と、軸部に一体形成され、搬送路に突出して原稿に接触することにより、軸部を回動させる上述したアクチュエータ部と、軸部に一体形成され、軸部の回動によってフォトインタラプタからの光を遮光する遮光部と、軸部に一体形成され、搬送ガイドが搬送路を開いた場合には、アクチュエータ部を搬送ガイド内に向けて退避させる上述の突出規制部とを有することを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、スイッチ部材がフォトインタラプタ及びアクチュエータからなるセットスイッチであれば、既存の構成に突出規制部を設ければ足りるので、製造コストの低廉化が図られる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、突出規制部は、軸部に設置されたウエイトであり、搬送ガイドが搬送路を閉じた場合に、軸部の軸心を通る略垂直線よりも原稿トレイ側であって、軸心を通る略水平線よりも搬送路側に配置されていることを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、アクチュエータの重心位置が従来に比して改良されており、搬送ガイドが搬送路を開いた際に、そのアクチュエータ部の先端を搬送ガイド内に向けて確実に退避可能になる。
【0012】
第4の発明は、第1から3のいずれかの原稿送り装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、原稿やアクチュエータ部の破損を回避できることにより、ユーザに原稿を再度準備させなくて済むし、また、画像形成装置の停止期間も短くて済み、画像形成装置の信頼性も向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送ガイドが搬送路を開いた場合に、アクチュエータ部を搬送ガイド内に向けて退避させる突出規制部を有しており、原稿の破損やアクチュエータ部の破損を回避する原稿送り装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1の正面側からみた断面が示されている。
本実施例の複合機1は、胴内排紙型の装置本体2を有しており、排紙トレイ14が画像読取部7の下側に形成されている。
【0015】
装置本体2の上側、つまり、画像読取部7の上側には原稿送り装置20が搭載され、この装置20は、原稿を所定の画像読取位置に自動搬送可能に構成されている(ADF:Auto Document Feeder)。詳しくは、複合機1を複写機やファクシミリ、ネットワークスキャナとして利用するときには、この送り装置20から原稿を搬送し、その画像面は画像読取部7にて光学的に読み取られる。
【0016】
一方、装置本体2の下部にはフロントローディング式の用紙供給装置が配置されている。具体的には、本実施例の供給装置には、本体2の高さ方向に沿って上下2段の給紙カセット3が備えられている。そして、各カセット3はいずれも本体2に対して着脱可能に構成され、複合機1の正面側に向けて引き出されると、カセット3の内部が外部に対して開かれる一方、複合機1の背面側に向けて押し込まれると、その内部が閉じられる。
【0017】
また、同図にて実線で示された矢印は用紙の搬送経路及びその搬送方向を表している。
各カセット3には画像形成前の各種の用紙Pが積層状態で収容され、この用紙Pはカセット3から1枚ずつ分離され、左方向に向けて送出される。そして、搬送路4の用紙Pは装置本体2の左側面に沿って上方に向けて搬送される。
【0018】
また、本体2の右側面には開閉式の手差しトレイ5が備えられており、このトレイ5から送出された用紙も搬送路6に搬送され、その後、上方に向けて搬送される。
この本体2の内部には、用紙搬送方向で見て下流側にレジストローラ、画像形成部9及び転写部10が順番に配置されている。画像形成部9の右方には露光部8やトナーコンテナ11が備えられており、露光部8からは画像形成部9の感光体ドラムに向けてレーザ光Lが照射され、トナーコンテナ11からのトナーが現像される。
【0019】
用紙搬送方向で見て転写部10の下流側には、定着部12、及び排出分岐部13が順番に配置され、片面印刷の場合には、定着部12から排出された用紙は排出ローラ15を経て排紙トレイ14に排出される。
一方、排出分岐部13と搬送路4との間には両面印刷用ユニット16が配置されており、このユニット16では定着部12から排出された用紙を搬送路4に戻し、画像形成部9に向けて再び送出する。
【0020】
ここで、上述した原稿送り装置20は、同図の右方に配置した原稿を左方に向けて搬送し、再び右方に向けて排出可能な送り装置本体(筐体)21を有している。
具体的には、図2に示されるように、送り装置本体21は、その中央部分から右斜め上方に向けて延びた原稿トレイ22を有しており、このトレイ22は、当該中央部分にて本体21に回動可能に構成されており、画像読取部7で読み取られる前の原稿はトレイ22上にセットされる。
【0021】
この装置本体21は、原稿トレイ22の左側に給紙カバー(搬送ガイド)25を備えている(図2,3)。この給紙カバー25は、支点位置S(図3中に×印で示す)にて本体21に回動自在に支持されており、搬送路29を外部に対して開閉することができる。つまり、同図に示された状態のカバー25は搬送路29を閉じており、カバー25の外面は送り装置20の天面に相当する一方、このカバー25の内面は後述する搬送路29のガイド面53(図4,6等)として機能している。
【0022】
ここで、図3にて破線で囲まれたカバー25が原稿トレイ22側から離れ、支点位置Sに対して図2,3で見て反時計回りに回動すると、搬送路29が開かれ、この搬送路29の周囲に配設された各種のローラを視ることができる。
詳しくは、この搬送路29には、原稿トレイ22からの原稿搬送方向で見て、ピックアップローラ30、分離ローラ対33、レジストローラ35が順番に配置されている。
【0023】
ピックアップローラ30は、給紙カバー25に設置されており(図3,4)、原稿トレイ22の最上層に位置する原稿に接触し、当該原稿を分離ローラ対33に向けて送出する。この原稿の搬送の有無はセットスイッチ(スイッチ部材)31で検知され、その原稿の向き等は位置センサ32で検知される。これらセットスイッチ31や位置センサ32もカバー25に設置されている。
【0024】
分離ローラ対33は、給紙カバー25と送り装置本体21とにそれぞれ設けられ、当該原稿を所定の搬送圧力でレジストローラ35に向けて1枚ずつ送出し、密着型センサ(CIS:Contact Image Sensor)37へと送出する。
本実施例の密着型センサ37は、給紙カバー25の支点位置Sの近傍にて本体21に設置されており、読み取りローラ36と協働して原稿の下面、つまり、原稿トレイ22に直接に対峙した側の面を読み取っている。
【0025】
また、原稿搬送方向で見て密着型センサ37の下流側には、用紙ガイド38、排出ローラ42、排出トレイ24が順番に配置されており、このガイド38は、画像読取部7のコンタクトガラス39、具体的には、給紙カバー25の支点位置S近傍に位置した表側読取用ガラス40に対峙して装置本体21に設置され、原稿の上面、つまり、密着型センサ37で読み取られる面とは反対側の面を、画像読取部7内のミラーやレンズ等を介して同じく画像読取部7内に配置されたCCDが読み取る。
【0026】
そして、その画像面が読み取られた原稿は、排出ローラ42を経て排出トレイ24に排出される。
なお、上述した原稿の同時読み取りの他、これらトレイ22,24の間に配置された反転トレイ23を利用しても良い。つまり、原稿は、その上面が上記CCDで読み取られると、図3で見て右斜め上方に位置する反転トレイ23に向けて送出され、当該上面がトレイ23に直接に対峙した状態で到達する。その後、このトレイ23の原稿が搬送路29へスイッチバックして同図で見て左斜め上方に向けて送出されると、この原稿の下面が上記CCDで読み取られる。
【0027】
一方、本実施例の原稿送り装置20は、原稿押さえとしても機能する。詳しくは、送り装置本体21は、複合機1の背面側にて装置本体2に回動自在に支持されており、この本体21は画像読取部7に対して開閉することができる。
そして、当該本体21の下面には押圧板43が設けられており、この押圧板43は手置き読取用ガラス41に対峙し、このガラス41に載置した原稿を押圧板43で押さえつけておき、所定ボタンを押下げると、画像読取部7は当該原稿の画像面を読み取ることができる。
【0028】
なお、この図3の参照符号34は、原稿の詰まりを検出する検知センサであり、また、本実施例の本体前面26は、透明或いは半透明の透過部材28が嵌め込まれた窓部27を備えている(図2)。
ここで、本実施例のセットスイッチ31は、給紙カバー25が搬送路29を開いた場合には、このカバー25の内部に向けて退避可能に構成されている。
【0029】
具体的には、セットスイッチ31はフォトインタラプタ54を備えており(図4)、本実施例のフォトインタラプタ54は、カバー25の内部に設けられている。そして、対向する発光部と受光部を有し、後述する如くこの発光部からの光を受光部で検出することによって原稿の有無を判定しており、この判定信号は図示しないコントローラに向けて出力される。
【0030】
また、スイッチ31は、この図4で見てフォトインタラプタ54の右側にアクチュエータ55を備え、このアクチュエータ55は、原稿との接触を回動に変換する機能を有している。
詳しくは、アクチュエータ55は、図5,6にも示されるように、複合機1の正面側から背面側に向けて延びた軸部56を有し、この軸部56はカバー25内にて回動自在に支持されている。
【0031】
この図5,6で見て軸部56の手前側には、アクチュエータ部57が一体形成され、カバー25が搬送路29を閉じた場合には、その自重でガイド面53の下側に突出しており、原稿に接触可能に構成されている。
さらに、この図で見てアクチュエータ部57の奥側には、遮光部58が軸部56に一体形成されており、当該姿勢にてフォトインタラプタ54の発光部からの光を遮光している。そして、トレイ22に原稿がセットされ、この原稿の先端がガイド面53の下側にてアクチュエータ部57に接触すると、アクチュエータ部57、軸部56及び遮光部58は同図で見て時計回りに回動する。これにより、上記発光部からの光は上記受光部に達し、上述したピックアップローラ30、レジストローラ35や排出ローラ42等は待機状態になる。そして、これら各ローラ30等は所定ボタンの押下げに伴って駆動し、原稿の搬送が開始される。
【0032】
続いて、総ての原稿が搬送路29に向けて送出されると、アクチュエータ部57はその自重で垂下し、軸部56や遮光部58も同図で見て反時計回りに回動する。これにより、遮光部58が上記発光部から上記受光部への光を遮るので、原稿の搬送終了を判定でき、その後、各ローラ30等は駆動停止になる。
ところで、上述した軸部56にはウエイト(突出規制部)59が設置されている。具体的には、本実施例のウエイト59は、軸部56の軸線方向に沿って一体形成されており、カバー25が搬送路29を閉じた状態を示した図5,6の如く、軸部56の軸心を通る略垂直線よりも原稿トレイ22側であって、この軸心を通る略水平線よりも搬送路29側、より詳しくは、複合機1の正面側からみれば時計の約3時の方向から約6時の方向に亘って設けられ、遮光部58の延設方向とは反対側に配置されている。
【0033】
そして、上述の原稿送り装置20では、原稿は、原稿トレイ22にセットされ、所定ボタンの押下げにより、画像読取部7の画像読取位置に向けて搬送されて読み取られ、排出トレイ24に排出される。或いは、コンタクトガラス39にセットされ、押圧板43で押しつけられた原稿は、所定ボタンの押下げにより同じく画像読取部7で読み取られる。
【0034】
一方、この原稿送り装置20を搭載した複合機1では、カセット4やトレイ5から用紙が1枚ずつ分離して送出され、この用紙は装置本体2内のレジストローラに到達する。このレジストローラは、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部9で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙を転写部10へと送出する。
【0035】
また、上述した図示しないコントローラからの画像データに基づき、複合機1では露光部8によるレーザ光Lの照射が制御される。これにより、画像形成部9においてドラム上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてトナーコンテナ11のトナーを用い、この潜像からドラム上にトナー画像が形成され、用紙に転写される。
【0036】
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部12に向けて送られ、トナー画像を定着する。次いで、定着部12から排出された用紙は排出分岐部13を通ってトレイ14に排出される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部12から排出された用紙はトレイ14に排出される直前にてユニット16側に引き戻され、この用紙は搬送路4に合流し、再び転写部10に向けて送られる。そして、この場合には、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー画像が転写される。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、原稿は原稿トレイ22から搬送路29に向けて搬送され、その画像面が画像読取部7で読み取られると、排出トレイ24に送出される。
ここで、原稿送り装置20は、送り装置本体21と、給紙カバー25と、セットスイッチ31とをそれぞれ備えており、給紙カバー25は、送り装置本体21の支点位置Sにて回動自在に支持され、搬送路29を外部に対して開閉する。また、セットスイッチ31は、カバー25に設置されて原稿の搬送を検知する。
【0038】
詳しくは、このセットスイッチ31は、アクチュエータ部57と、ウエイト59とを含んで構成されており、カバー25が搬送路29を閉じた場合には、図5,6に示されるように、アクチュエータ部57は、搬送路29に突出して原稿に接触することにより、カバー25内に向けて移動する。
【0039】
これに対し、図7に示される如くカバー25が搬送路29を開き、ガイド面53が視認状態にある場合には、図5,6では複合機1の正面側から見て軸部56の右下に設置されていたウエイト59が、軸部56をさらに時計回りに回動させるので、アクチュエータ部57もまた時計回りに回動し、ガイド面53の左側、つまり、カバー25内に退避する(図8,9)。
【0040】
よって、このカバー25の開放時にはアクチュエータ部57の飛び出しが少なくなり、従来の構成、すなわち、アクチュエータ部が搬送ガイドよりも外方向に向けて飛び出していた構成に比して、原稿やユーザに触れ難くなる結果、この原稿の破損やアクチュエータ部57の破損を回避できる。
また、図7に示された装置本体21とカバー25とを連結する保持部材60の長さを大きくすることなく、アクチュエータ部57をカバー25内に収容でき、送り装置20の省スペース化に寄与する。
【0041】
さらに、上述したフォトインタラプタ54及びアクチュエータ55からなるセットスイッチ31であれば、既存の構成にウエイト59を設ければ済むので、製造コストの低廉化が図られる。
さらにまた、アクチュエータ55の重心位置が従来に比して改良されており、カバー25が搬送路29を開いた際に、そのアクチュエータ部57の先端をカバー25内に向けて確実に退避可能になる。
【0042】
また、原稿やアクチュエータ部57の破損を回避できることにより、ユーザに原稿を再度準備させなくて済むし、また、複合機1の停止期間も短くて済み、複合機1の信頼性も向上する。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【0043】
例えば、上記実施例では、突出規制部が軸部56に設置されたウエイト59として説明されているが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、本発明の突出規制部は、アクチュエータ部57をカバー25内に向けて退避させる限り、この軸部の形状変更によって構成されていても良い。
また、上記実施例では、フォトインタラプタ54がカバー25内に設けられているが、遮光部58をカバー25外に配置すれば、フォトインタラプタ54を送り装置本体21に設けても良い。さらに、本発明のアクチュエータは、原稿有無用に限定されるものではなく、その他の搬送ガイドに設けられる搬送スイッチ(レジストスイッチ等)のアクチュエータにも適用可能である。
【0044】
さらに、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているが、本発明は原稿送り装置を有する複写機、プリンタ等にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施例の複合機を概略的に示した断面正面図である。
【図2】図1の原稿送り装置の斜視図である。
【図3】図2の装置の断面正面図である。
【図4】図2の閉じた状態の搬送ガイドを上方からみた斜視図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】図5のアクチュエータの斜視図である。
【図7】図2の搬送ガイドが開いた状態の斜視図である。
【図8】図7の搬送ガイドを上方からみた部分拡大斜視図である。
【図9】図8のアクチュエータの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 複合機(画像形成装置)
20 自動原稿搬送装置(原稿送り装置)
21 送り装置本体(筐体)
22 原稿トレイ
24 排出トレイ
25 給紙カバー(搬送ガイド)
29 搬送路
31 セットスイッチ(スイッチ部材)
54 フォトインタラプタ
55 アクチュエータ
56 軸部
57 アクチュエータ部
58 遮光部
59 ウエイト(突出規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿トレイから搬送路を経由して搬送された原稿の画像面を読み取り、該原稿を排出トレイに送出する原稿送り装置であって、
前記搬送路をその内部に有した筐体と、
該筐体の一端に回動自在に支持されており、前記搬送路を開閉可能な搬送ガイドと、
前記搬送路における前記原稿の搬送を検知するスイッチ部材とを具備し、
該スイッチ部材は、
前記搬送路に突出して前記原稿に接触することにより、前記搬送ガイド内に向けて移動するアクチュエータ部と、
前記搬送ガイドが前記搬送路を開いた場合には、前記アクチュエータ部を該搬送ガイド内に向けて退避させる突出規制部と
を有することを特徴とする原稿送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿送り装置であって、
前記スイッチ部材は、
前記原稿の有無を判定するフォトインタラプタと、
前記原稿との接触によって駆動するアクチュエータとを備え、
該アクチュエータは、
前記搬送ガイドに回動自在に支持される軸部と、
該軸部に一体形成され、前記搬送路に突出して前記原稿に接触することにより、該軸部を回動させる前記アクチュエータ部と、
該軸部に一体形成され、該軸部の回動によって前記フォトインタラプタからの光を遮光する遮光部と、
前記軸部に一体形成され、前記搬送ガイドが前記搬送路を開いた場合には、前記アクチュエータ部を該搬送ガイド内に向けて退避させる前記突出規制部と
を有することを特徴とする原稿送り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の原稿送り装置であって、
前記突出規制部は、前記軸部に設置されたウエイトであり、前記搬送ガイドが前記搬送路を閉じた場合に、前記軸部の軸心を通る略垂直線よりも前記原稿トレイ側であって、該軸心を通る略水平線よりも前記搬送路側に配置されていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿送り装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−64851(P2010−64851A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232613(P2008−232613)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】