説明

反転パターン形成方法及びポリシロキサン樹脂組成物

【課題】被加工基板上に形成されたマスクパターンとミキシングすることがなく、かつこのマスクパターンの間隙に良好に埋め込むことができ、ドライエッチング耐性及び保存安定性に優れる反転パターン形成用のポリシロキサン樹脂組成物及びこれを用いた反転パターン形成方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、(1)被加工基板上にマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程(2)上記マスクパターンの間隙に、ポリシロキサン樹脂組成物を埋め込む埋込工程、及び(3)上記マスクパターンを除去し、反転パターンを形成する反転パターン形成工程を有する反転パターン形成方法であって、上記ポリシロキサン樹脂組成物が、特定構造を有する[A]ポリシロキサン及び特定構造を有する[B]有機溶媒を含有することを特徴とする反転パターン形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転パターン形成方法及びポリシロキサン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用素子等を製造する際のパターン形成においては、リソグラフィー技術、エッチング技術等を適用する反転パターン形成法により、有機材料又は無機材料よりなる基板のさらなる微細加工が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、被加工基板上に形成されるマスクパターンが微細化し、且つこのパターンの間隙の容積も小さくなっているため、従来のパターン形成方法に用いられている反転パターン形成用材料では、被加工基板上に形成されたマスクパターンの間隙に、良好に埋め込むことが困難となってきている。そのため、埋め込み性により優れる反転パターン形成用材料が求められている。また、このような反転パターン形成用材料は、被加工基板上に形成されたマスクパターンとインターミキシングしないことが必要であり、且つドライエッチング耐性及び保存安定性等にも優れていることが求められており、これら全てを満足する反転パターン形成用樹脂組成物は未だ提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−110510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を克服するためになされたものであり、その目的は、被加工基板上に形成されたマスクパターンとミキシングすることがなく、さらにこのマスクパターンの間隙に良好に埋め込むことができ、且つドライエッチング耐性に優れる反転パターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、
(1)被加工基板上にマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程、
(2)上記マスクパターンの間隙に、ポリシロキサン樹脂組成物を埋め込む埋込工程、及び
(3)上記マスクパターンを除去し、反転パターンを形成する反転パターン形成工程
を有する反転パターン形成方法であって、
上記ポリシロキサン樹脂組成物が、
[A]下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)、及び下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)を加水分解縮合させて得られるポリシロキサン(以下、「[A]ポリシロキサン」ともいう。)、並びに
[B]下記式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」ともいう。)を含む有機溶媒(以下、「[B]有機溶媒」ともいう。)
を含有することを特徴とする反転パターン形成方法である。
【化1】

(式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、又はアリール基である。Xはハロゲン原子又は−ORであり、Rは1価の有機基である。aは1〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(式(2)中、Xは上記式(1)と同義である。)
【化3】

(式(3)中、R’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R”は水素原子又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。但し、R’とR”の炭素数の合計は、4〜10である。)
【0007】
本発明の反転パターン形成方法によると、反転パターン形成用のポリシロキサン樹脂組成物が、一般的に用いられる感放射線性樹脂組成物により先に形成されたマスクパターンとインターミキシングすることがなく、上記マスクパターンの間隙に良好に埋め込むことができる。また、本発明により形成された反転パターンは、ドライエッチング耐性にも優れる。なお、「マスクパターン」とは、基板上を所定のパターンで部分的に被覆したものを意味し、例えばライン・アンド・スペースパターン、ホールパターン等が該当する。
【0008】
上記式(1)及び(2)におけるXが−ORであることが好ましい。但し、Rは上記式(1)と同義である。
【0009】
上記式(1)及び(2)におけるXが−ORであると、反転パターン形成用の樹脂組成物は、一般的に用いられる感放射線性樹脂組成物により先に形成されたマスクパターン間への埋め込み性が良好となり、また、本発明により形成された反転パターンは、ドライエッチング耐性にもさらに優れる。
【0010】
形成された反転パターンのSIMS法にて測定した珪素原子含有量が30質量%以上46.7質量%以下であり、炭素原子含有量が1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。元素組成が上記範囲内であると、得られる反転パターンは、ドライエッチング耐性に優れると共に、塗膜の表面の平担化加工も容易となる。
【0011】
(1)マスクパターン形成工程が、
(i)被加工基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布及び乾燥し、塗膜を形成する塗膜形成工程、
(ii)上記塗膜上の所定の領域に放射線を照射する露光工程、及び
(iii)上記露光された塗膜を現像する現像工程
を含むことが好ましい。
【0012】
(ii)露光工程が連続して複数回行われることが好ましい。本発明の反転パターン形成方法によれば、上記ダブルエクスポージャー等により形成されるさらに微細なマスクパターンの間隙においても、反転パターンを良好に形成することができる。
【0013】
(1)マスクパターン形成工程が、繰り返し行われ、第一マスクパターンの形成工程と、第一マスクパターンとは異なる第二マスクパターンの形成工程とを有することが好ましい。本発明の反転パターン形成方法によれば、上記ダブルパターニングにより得られるさらに微細なマスクパターンの間隙においても、反転パターンを良好に形成することができる。
【0014】
本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、
[A]下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られるポリシロキサン、並びに
[B]下記式(3)で表される化合物を含む有機溶媒
を含有することを特徴とする。
【化4】

(式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、又はアリール基である。Xはハロゲン原子又は−ORであり、Rは1価の有機基である。aは1〜3の整数である。なお、R及びXは、それぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化5】

(式(2)中、Xは上記式(1)と同義である。)
【化6】

(式(3)中、R’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R”は水素原子又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。但し、R’とR”の炭素数の合計は、4〜10である。)
【0015】
本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、反転パターン形成用に好適に用いることができる。当該ポリシロキサン樹脂組成物は保存安定性にも優れる。
【0016】
[A]ポリシロキサンのサイズ排除クロマトグラフィによるポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下であることが好ましい。[A]ポリシロキサンが上記サイズであると、当該ポリシロキサン樹脂組成物は保存安定性等にさらに優れる。
【0017】
[C]硬化促進剤をさらに含有することが好ましい。硬化促進剤を加えることにより、マスクパターンの間隙に埋め込んだポリシロキサンの硬化が低温でも進行し、埋め込み後の焼成条件を緩和することで、転写形状をより良好に保持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の反転パターン形成方法及びポリシロキサン樹脂組成物は、被加工基板上に形成されたマスクパターンとのミキシングが抑制され、且つこのマスクパターンの間隙に良好に埋め込むことができると共に、ドライエッチング耐性及び保存安定性に優れている。従って、本発明は、今後更に微細化が進行するとみられるLSIの製造、特に微細なコンタクトホール等の形成に極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】反転パターンの形成方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<反転パターンの形成方法>
本発明の反転パターン形成方法は、 (1)被加工基板上にマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程(以下、「工程(1)」ともいう。)、
(2)上記マスクパターンの間隙に、ポリシロキサン樹脂組成物を埋め込む埋込工程(以下、「工程(2)」ともいう。)、及び
(3)上記マスクパターンを除去し、反転パターンを形成する反転パターン形成工程(以下、「工程(3)」ともいう。)
を有する。以下各工程について詳述する。
【0021】
[工程(1)]
本工程では、被加工基板上にマスクパターンが形成される。このマスクパターンの形成方法は特に限定されず、公知のフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。例えば、
(i)被加工基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を形成する塗膜形成工程、
(ii)上記塗膜上の所定の領域に放射線を照射して露光する露光工程、及び
(iii)上記露光された塗膜を現像する現像工程により形成することができる。
【0022】
上記工程(i)における被加工基板としては、例えば、シリコンウェハ、アルミニウム、銅、二酸化シリコンで部分被覆したウェハ等を用いることができる。なお、この被加工基板上には、後述の感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、特公平6−12452号公報等に開示されているように、有機系又は無機系の反射防止膜を予め形成しておいてもよい。
【0023】
上記感放射線性樹脂組成物としては、例えば、酸発生剤等を含有する化学増幅型のレジスト組成物等を、適当な溶媒中に、例えば0.1〜20質量%の固形分濃度となるように溶解したのち、例えば孔径30nm程度のフィルターでろ過して調製されたものを使用することができる。なお、ArF用レジスト組成物やKrF用レジスト組成物等の市販されているレジスト組成物をそのまま使用することもできる。また、この感放射線性樹脂組成物は、ポジ型であってもよいし、ネガ型であってもよい。
【0024】
上記感放射線性樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段が挙げられる。また、感放射線性樹脂組成物を塗布した後の乾燥手段は特に限定されないが、例えば、予備加熱することにより、塗膜中の溶剤を揮発させることができる。この加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。更に、乾燥後に得られる上記塗膜の厚みは特に限定されないが、通常、10〜1000nmであり、好ましくは50〜500nmである。
【0025】
上記工程(ii)における露光に使用される放射線としては、感放射線性樹脂組成物に含有される酸発生剤等の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV(超紫外線)、X線、荷電粒子線等から適宜選定されるが、ArFエキシマレーザ(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましい。また、微細マスクパターンの作成には、EUVを用いることもできる。また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。また、露光処理は所定の設計形状パターンを有するマスクを介して行ってもよい。更に、上記露光後には、加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理により、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行させることができる。この加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、加熱温度は通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。また、加熱時間は通常10〜300秒間、好ましくは30〜180秒間である。
【0026】
上記工程(iii)における現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液や、水、有機溶剤およびこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、アルカリ性水溶液が好ましい。また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0027】
工程(1)で得られるマスクパターンのサイズ(例えば、ライン・アンド・スペースパターンの場合は線幅、ホールパターンの場合はホール径等)は、通常、10〜100nmである。なお、例えば10〜30nmの微細マスクパターンについては、液浸露光等を用いて作成することができる。
【0028】
なお、露光の際に用いられる液浸液としては水や炭化水素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を僅かな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上の塗膜層を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
【0029】
さらに、工程(1)においては、ダブルエクスポージャー、ダブルパターニングを用いることもできる。
【0030】
ダブルエクスポージャーとは、上記工程(i)の後の工程(ii)において、所望の設計形状パターンのマスクによる露光を2回以上行う方法である。その場合、露光は連続して行うことが好ましい。例えば所望の領域にライン・アンド・スペースパターンマスクを介して第1の縮小投影露光を行い、続けて第1の露光により形成したラインパターンの潜像に対してラインが交差するように、好ましくは直交するように、第2の縮小投影露光を行う。この露光方法により、ポジ型感放射線性樹脂組成物の場合、露光部で囲まれた未露光部において柱状(ピラー状)マスクパターンを形成することができる。
【0031】
なお、上記複数回の露光は同じ光源を用いても、異なる光源を用いても良いが、1回目の露光にはArFエキシマレーザー光を用いることが好ましい。
【0032】
ダブルパターニングとは、(1)マスクパターン形成工程が繰り返し行われ、第一マスクパターンの形成工程と、第一マスクパターンとは異なる第二マスクパターンの形成工程とを有するマスクパターン形成方法をいう。
【0033】
第一マスクパターンの形成工程とは、はじめに、(1)マスクパターン形成工程における工程(i)〜(iii)により基板上にマスクパターンを形成する工程のことをいう。第二マスクパターンの形成工程とは、第一マスクパターンを形成した後に、(1)マスクパターン形成工程における工程(i)〜(iii)により第一パターンとは異なるマスクパターンを形成する工程をいう。このとき、第二マスクパターンにおいて、第一マスクパターンと同じ設計形状パターンのマスクを介して、異なる位置に第二マスクパターンを形成する場合も含まれる。また、第一マスクパターンと第二マスクパターンとが異なる設計形状パターンのマスクを介して同じ領域にマスクパターンを形成する場合も含まれる。
【0034】
上記(1)マスクパターン形成工程における工程(i)〜(iii)により形成した第一マスクパターンは、第二マスクパターン形成用の感放射線性樹脂組成物に対する不溶化処理が施されることが好ましい。不溶化処理としては、例えば、第一マスクパターンに対する、120℃以上、好ましくは140℃以上の温度でのベーク処理、及び/又は、放射線の照射、好ましくは300nm以下の波長の光の照射処理が挙げられる。より具体的な暴露条件としては、第一マスクパターンを形成するための最適露光量の2〜20倍の露光量での放射線照射等を挙げることができる。また、加熱条件としては、第一マスクパターン形成の際の露光後の加熱工程であるポストエクスポージャーベーク(Post Exposure Bake:PEB)の温度よりも高い温度条件下で加熱する方法を挙げることができる。
【0035】
また、第一マスクパターンの表面に不溶化樹脂組成物をコーティングし、ベーク又は露光により硬化させて不溶化膜を形成してもよい。不溶化樹脂組成物としては、例えば、水酸基を有する樹脂とアルコール溶媒を含有し、ベークにより不溶化する性質を有するものが挙げられる。具体的には、分子内にアミド結合を有する単量体と水酸基を有する単量体から構成される樹脂、炭素数1〜8の1価のアルコール、及び必要に応じて架橋成分を含有するものを挙げることができる。不溶化樹脂組成物を塗布し、ベーク又は露光した後、必要に応じて残留組成物を洗浄することにより、不溶化された第一マスクパターンを形成することができる。
これらの不溶化処理は、1種のみを行ってもよく、2種以上行っても良い。
【0036】
第二マスクパターンは、感放射線性樹脂組成物を第一マスクパターンが形成された基板上に塗布し、上記(1)マスクパターン形成工程における工程(i)〜(iii)と同様の方法により形成することができる。上述のように、第一マスクパターンは不活性化又は不溶化されているため、第二マスクパターン形成用の感放射線性樹脂組成物と第一マスクパターンとのミキシングは起こらない。例えば、第二マスクパターンを第一マスクパターンのスペース部分に形成することで、より微細なマスクパターン形成が可能となる。
上記方法により、ライン・アンド・スペースパターン及びホールパターン共に、マスクパターンの微細化を行うことが可能になる。
【0037】
[工程(2)]
本工程では、上記マスクパターンの間隙に反転パターン形成用のポリシロキサン樹脂組成物が埋め込まれる。具体的には、上記マスクパターンが形成された被加工基板上に、本発明のポリシロキサン樹脂組成物が、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、上記被加工基板上に塗布されて、上記マスクパターンの間隙に埋め込まれる。なお、この工程(2)で用いられる本発明のポリシロキサン樹脂組成物については、後段で詳細を説明する。
【0038】
また、本工程においては、ポリシロキサン樹脂組成物を上記マスクパターンの間隙に埋め込んだ後に、乾燥工程を設けることが好ましい。上記乾燥手段は特に限定されないが、例えば、焼成することにより、組成物中の有機溶剤を揮発させることができる。この焼成条件は、樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、焼成温度は通常80〜250℃、好ましくは80〜200℃である。この焼成温度が、80〜180℃である場合には、後述の平坦化工程、特にウェットエッチバック法による平坦化加工を円滑に行うことができる。なお、この加熱時間は通常10〜300秒間、好ましくは30〜180秒間である。また、乾燥後に得られるパターン反転用樹脂膜の厚みは特に限定されないが、通常10〜1000nmであり、好ましくは50〜500nmである。
【0039】
[工程(3)]
本工程では、上記マスクパターンが除去され、反転パターンが形成される。具体的には、まず、好ましくは上記マスクパターンの上表面を露出するための平坦化加工が行われる。次いで、ドライエッチング又は溶解除去により上記マスクパターンが除去され、所定の反転パターンが得られる。上記平坦化加工で利用される平坦化法としては、ドライエッチバック、ウェットエッチバック等のエッチング法や、CMP法等を用いることができる。これらのなかでも、フッ素系ガス等を用いたドライエッチバック、ウェットエッチバック法が低コストで好ましい。なお、平坦化加工における加工条件は特に限定されず、適宜調整できる。また、マスクパターン除去にはドライエッチングが好ましく、具体的には、酸素エッチング、オゾンエッチング等が好ましく用いられる。上記ドライエッチングには、酸素プラズマ灰化装置、オゾンアッシング装置等の公知のレジスト剥離装置を用いることができる。なお、エッチング加工条件は特に限定されず、適宜調整できる。
【0040】
以下、上記工程(1)、(2)及び(3)を有する本発明の反転パターン形成方法の具体的な例を、図1を用いて説明する。
上記工程(1)では、図1の(a)に示すように、反射防止膜2が形成された被加工基板1上に、感放射線性樹脂組成物が塗布され、加熱等による乾燥工程を経て所定膜厚塗膜3が形成される。そして、塗膜3の所用領域に、所定の設計形状パターンのマスクを介して放射線等の照射による露光が行われた後、現像されることによってマスクパターン31が形成される(図1の(b)参照)。
次いで、上記工程(2)では、図1の(c)に示すように、マスクパターン31の間隙に樹脂組成物が埋め込まれるように、マスクパターン31が形成された被加工基板1上に樹脂組成物が塗布され、加熱等による乾燥工程を経てパターン反転用樹脂膜4が形成される。
その後、上記工程(3)では、図1の(d)に示すように、塗膜31の上表面が露出するように、エッチバック法やCMP法等の手段により平坦化加工が行われる。次いで、ドライエッチングにより、マスクパターン31が除去されることで、反転パターン41が形成される(図1の(e)参照)。
【0041】
本発明の反転パターン形成方法により得られる反転パターンは、SIMS法にて測定した珪素原子の含有量が、30質量%以上46.7質量%以下であることが好ましく、40質量%以上46.7質量%以下であることがより好ましい。また、炭素原子の含有量が、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。珪素原子の含有量が30質量%未満であると、酸素ガス及びオゾンガスを用いたドライエッチングへの耐性が低下する場合がある。また、珪素原子の含有量46.7質量%を超える場合や炭素原子の含有量が1質量%未満である場合は、ポリシロキサンの保存安定性が極度に低下する可能性がある。
なお、参考までに二酸化珪素膜のSIMS法にて測定した元素組成は、珪素原子が46.75質量%、酸素原子が53.25質量%、炭素原子が0質量%である。
【0042】
<ポリシロキサン樹脂組成物>
本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒を含有する。また好適成分として[C]硬化促進剤を含む。さらに本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を含有していてもよい。本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、上述の本発明の反転パターン形成方法において特に好適に用いられるものであるが、それに限らず、層間絶縁膜材料、反射防止膜材料、基板平坦化のための平坦化材にも好適に用いられる。以下に各成分について詳述する。
【0043】
<[A]ポリシロキサン>
[A]ポリシロキサンは、上記式(1)で表される化合物(1)及び上記式(2)で表される化合物(2)を、加水分解縮合させて得られるものであり、化合物(1)及び化合物(2)は、それぞれ1種でも数種を混合して用いてもよい。
【0044】
上記式(1)におけるRが表す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基等の分岐状のアルキル基が挙げられる。なお、これらのアルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子等で置換されていてもよい。
シアノアルキル基としては、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0045】
アルケニル基としては、下記式(4)で表される基が好ましいものとして挙げられる。
【0046】
【化7】

(式(4)中、nは0〜4の整数である。)
【0047】
上記式(4)におけるnは、0〜4の整数であり、好ましくは0又は1の整数、更に好ましくは0である。
また、上記式(4)で表される基以外のアルケニル基としては、例えば1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0048】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0049】
上記式(1)及び(2)におけるXは、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子又は−ORであり、−ORであることが好ましい。このRにおける1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ジメチルシリル基等のシリル基が好ましいものとして挙げられる。更に、上記式(1)におけるaは1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。
【0050】
上記式(1)で表される化合物(1)の具体例としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、3−エチルフェニルトリメトキシシラン、3−メトキシフェニルトリメトキシシラン、3−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2,4,6−トリメチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルベンジルトリメトキシシラン、4−エチルベンジルトリメトキシシラン、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン、4−フェノキシベンジルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、4−アミノベンジルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノベンジルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノベンジルトリメトキシシラン等の芳香環含有トリアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビストリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルジクロロシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリ−tert−ブトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン類;
等が挙げられる。
【0051】
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−メチルベンジルトリメトキシシランメチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等が好ましい。
【0052】
また、上記式(2)で表される化合物(2)の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
これらのなかでも、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが、ドライエッチング耐性に優れた反転パターンが得られるため好ましい。
【0053】
[A]ポリシロキサンを得るための加水分解性シラン化合物としては、必要に応じて、化合物(1)及び(2)以外にも、下記一般式(5)で表わされる加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(5)」ともいう。)を併用してもよい。
【0054】
【化8】

(式(5)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルコキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、又はアルキルカルボニルオキシ基である。Rは、それぞれ独立して、1価の有機基である。Rは、アリーレン基、メチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基である。Rが複数存在する場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。bは0〜3の整数を示し、mは1〜20の整数である。)
【0055】
上記式(5)のR及びRが表すアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。
【0056】
また、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。なお、これらのアルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
シアノアルキル基としては、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0057】
上記式(5)のRが表す1価の有機基としては、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アルケニル基、グリシジル基等の環状エーテル構造を有する基等が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基、アルコキシル基、アリール基でが好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が挙げられ、上記R及びRが表す炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基として例示したものと同様のものを挙げることができる。なお、これらのアルキル基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
上記アルコキシル基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基が挙げられる。具体的には、上記R及びRが表すアルコキシル基として例示したものと同様の基を挙げることができる。 上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。これらのなかでも、フェニル基が好ましい。
上記アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。
なお、Rが複数存在する場合、複数のRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
【0058】
上記式(5)のRにおけるアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましい。例えば、フェニレン基、ナフチレン基、メチルフェニレン、エチルフェニレン、クロロフェニレン基、ブロモフェニレン基、フルオロフェニレン基等が挙げられる。
また、炭素数2〜10のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
【0059】
上記式(5)におけるbは、0〜3の整数であり、好ましくは1又は2である。
また、mは、1〜20の整数であり、好ましくは5〜15であり、更に好ましくは5〜10である。
【0060】
化合物(5)の具体例としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
【0061】
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン;
【0062】
ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、
【0063】
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルメトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルエトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−tert−ブトキシシリル)エタン、
【0064】
1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、
【0065】
1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。
【0066】
更には、ポリジメトキシメチルカルボシラン、ポリジエトキシメチルカルボシラン等のポリカルボシラン等が挙げられる。
【0067】
これらの化合物のなかでも、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルメトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ポリジメトキシメチルカルボシラン、ポリジエトキシメチルカルボシランが好ましい。
【0068】
化合物(5)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
なお、[A]ポリシロキサンは、本発明における樹脂組成物に1種のみ含有されていてもく、2種以上含有されていてもよい。
[A]ポリシロキサンの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィによるポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。
なお、本明細書における[A]ポリシロキサンの分子量は、東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0070】
<[A]ポリシロキサンの合成方法>
本発明の[A]ポリシロキサンを合成する方法は、化合物(1)及び化合物(2)を加水分解縮合させるものであれば特に限定されないが、例えば、化合物(1)、化合物(2)、必要に応じて化合物(5)等を有機溶媒中に溶解し、この溶液と水を断続的に或いは連続的に混合し、通常0〜100℃の温度下において、触媒の存在下に、加水分解縮合させて、[A]ポリシロキサンを得る。この際、触媒は、予め有機溶媒中に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水中に溶解又は分散させておいてもよい。
【0071】
なお、[A]ポリシロキサンを合成する際に用いられる有機溶媒としては、この種の用途に使用される溶媒であれば特に限定されない。例えば、後述する[B]有機溶媒と同様のものを挙げることができる。また、上記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等を挙げることができる。これらのなかでも、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましい。
【0072】
加水分解性シラン化合物全体における化合物(1)の割合は、好ましくは1〜99モル%、より好ましくは10〜95モル%、特に好ましくは20〜90モル%である。また、化合物(2)の割合は、好ましくは1〜99モル%、より好ましくは5〜90モル%、特に好ましくは10〜80モル%である。化合物(1)及び(2)が上記の割合で用いられることにより、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによる塗膜表面を露出するための平坦化加工が容易でありながら、ドライエッチング耐性に優れ、かつ保存安定性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また、化合物(5)の割合は、好ましくは0〜50モル%である。
【0073】
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒は、上記式(3)で表される化合物を含む。[A]ポリシロキサンを溶解可能であり、被加工基板上に予め形成されたマスクパターンを溶解しない有機溶媒であれば特に限定されるものではない。
【0074】
式(3)中、R’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R”は水素原子又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。但し、R’とR”の炭素数の合計は、4〜10である。
【0075】
化合物(3)は、炭素数4〜10のアルキルアルコール又はアルキルエーテルである。R’及びR”が表す直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。また、上記式(3)におけるR’とR”の炭素数の合計は4〜10であり、好ましくは4〜8である。
【0076】
化合物(3)としては、例えば1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール等のアルキルアルコールが挙げられ、これらの中でも、1−ブタノール、2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール及び2−メチル−2−プロパノールが好ましい。また、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、等のアルキルエーテルが挙げられ、これらの中でもジイソアミルエーテル及びジブチルエーテルが好ましい。なお、化合物(3)は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0077】
[B]有機溶媒は、化合物(3)と他の溶媒との混合溶媒であってもよい。他の溶媒としては、例えば化合物(3)以外の1価のアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、化合物(3)以外のエーテル類、環状エーテル類、高級炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、フッ素系溶剤、水等を挙げることができる。
【0078】
化合物(3)以外の1価アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等を挙げることができる。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができる。
多価アルコールのアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。
多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0079】
化合物(3)以外のエーテル類としては、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル等を挙げることができる。
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。
高級炭化水素類としては、デカン、ドデカン、ウンデカン等を挙げることができる。芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等を挙げることができる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチルを挙げることができる。
フッ素系溶媒としては、例えばパーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン等のパーフルオロアルカン又はパーフルオロシクロアルカン、これらの一部に二重結合を有するパーフルオロアルケン、さらにはパーフルオロテトラヒドロフラン、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等のパーフルオロ環状エーテル、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロテトラペンチルアミン、パーフルオロテトラヘキシルアミン等のフパーフルオロアミンを挙げることが出来る。
これらのうち、1価アルコール類、エーテル類、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、高級炭化水素類が好ましい。
【0080】
なお、混合できる他の溶媒の割合は、混合溶媒全量に対して30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。30質量%以上であると、塗膜とのミキシングの問題が生じて好ましくない。
【0081】
<[C]硬化促進剤>
本発明のポリシロキサン樹脂組成物には、必須成分である[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒以外に、[C]硬化促進剤がさらに含まれていることが好ましい。硬化促進剤としては、紫外光の照射及び加熱又はいずれか一方により酸を発生する酸発生化合物(以下、「酸発生剤」ともいう。)、及び紫外光の照射により塩基を発生する塩基発生化合物(以下、「塩基発生剤」ともいう。)が好ましい。これら硬化促進剤を加える事により、マスクパターンの間隙に埋め込んだポリシロキサンの硬化が低温でも進行し、埋め込み後の焼成条件を緩和する事ができる。すなわち、マスクパターンの熱変形を抑えながらポリシロキサンの硬化が促進されることで、転写形状をより良好に保持することができる。
【0082】
上記酸発生剤としては、加熱処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「熱酸発生剤」ともいう。)及び紫外光照射処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「光酸発生剤」ともいう。)等が挙げられる。
上記熱酸発生剤は、通常50〜450℃、好ましくは200〜350℃に加熱することにより酸を発生する化合物である。例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。
【0083】
上記スルホニウム塩の具体例としては、4−アセトフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等のアルキルスルホニウム塩;
ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート等のベンジルスルホニウム塩;
ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート等のジベンジルスルホニウム塩;
p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等の置換ベンジルスルホニウム塩;等が挙げられる。
【0084】
上記ベンゾチアゾリウム塩の具体例としては3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等のベンジルベンゾチアゾリウム塩が挙げられる。
更に、上記以外の熱酸発生剤として、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノンを挙げることもできる。
【0085】
これらのうち、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等が好ましく用いられる。これらの市販品としてはサンエイド SI−L85、同SI−L110、同SI−L145、同SI−L150、同SI−L160(三新化学工業社製)等が挙げられる。
【0086】
また、上記光酸発生剤は、通常1〜100mJ/cm、好ましくは10〜50mJ/cmの紫外光照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンゼンメチルスルホニウムトルエンスルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチル−ジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシメトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシメトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(1−メトキシエトキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−メトキシエトキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシカルブニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−n−プロポキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−iso−プロポキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−n−ブトキカルビニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブトキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ベンジルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類;
フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類;
【0087】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のジアゾケトン化合物系光酸発生剤類;
4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン酸化合物系光酸発生剤類;
ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリストリフルオロメタンスルホネート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸化合物系光酸発生剤類等が挙げられる。
なお、これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸発生剤の含有量は、[A]ポリシロキサンの固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0088】
塩基発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルスルホニウム化合物、トリフェニルメタノール;ベンジルカルバメート及びベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタム及びN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド;オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体等を挙げることができる。
なかでも、下記式(f1)で表される光塩基発生剤(F1);2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミンから選ばれるカルバメート系の光塩基発生剤(F2);トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)が好ましく用いられ、光塩基発生剤 (F1)、光塩基発生剤(F2)がより好ましく用いられ、光塩基発生剤(F1)が特に好ましく用いられる。
【0089】
【化9】

【0090】
式中、R41〜R43はそれぞれ独立してアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
【0091】
上記式(f1)中、R41〜R43で示されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、なかでもフッ素原子が最も好ましい。
上記式(f1)中、n〜nは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、好ましくは、それぞれ独立して0〜1である。なかでも、n〜nのいずれもが0であるものがより好ましい。
【0092】
光塩基発生剤(F1)の好適な具体例としては、下記式(f1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0093】
【化10】

【0094】
また、光塩基発生剤 (F2)のなかでも好適なものとしては、本発明の効果の点から、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメートが最も好ましい。なお、これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記酸発生剤の含有量は、[A]ポリシロキサンの固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0095】
また、本発明のポリシロキサン樹脂組成物には、必須成分としての[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒、好適成分としての[C]硬化促進剤以外に、任意成分として界面活性剤、架橋剤等を含有させることができる。
【0096】
<当該ポリシロキサン樹脂組成物の調製方法>
必須成分である[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒、好適成分である[C]硬化促進剤、さらには必要に応じて加える上記任意成分とを混合することにより、本発明のポリシロキサン樹脂組成物を調製することができる。この際、[A]ポリシロキサンの固形分濃度は適宜調整することができるが、1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【実施例】
【0097】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、この実施例の記載における「部」及び「%」の記載は、特記しない限り質量基準である。
【0098】
<[A]ポリシロキサンの合成>
下記合成例及び比較合成例に示すようにポリシロキサンを合成した。なお、各合成例で得られるポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)の測定は、下記の方法により行った。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0099】
[合成例1]
石英製三口フラスコ中に、20%マレイン酸水溶液0.53g及び超純水34.89gを加えて65℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン6.42g、メチルトリメトキシシラン51.68g、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル6.48gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、65℃で4時間攪拌させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−1)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は8,200であった。
【0100】
[合成例2]
石英製三口フラスコ中に、20%マレイン酸水溶液0.54g及び超純水35.25gを加えて55℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン28.72g、メチルトリメトキシシラン25.70g、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル9.79gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、55℃で3時間攪拌させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−2)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は10,000であった。
【0101】
[合成例3]
石英製三口フラスコ中に、20%マレイン酸水溶液0.54g及び超純水35.25gを加えて55℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン49.58g、メチルトリメトキシシラン4.93g、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル7.24gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、55℃で3時間攪拌させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−3)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は12,000であった。
【0102】
[合成例4]
石英製三口フラスコ中に、20%マレイン酸水溶液0.54g及び超純水35.25gを加えて55℃に加熱した。次いで、テトラクロロシラン55.34g、メチルトリメトキシシラン4.93g、及びメタノール3.62g、プロピレングリコールモノエチルエーテル3.62gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、55℃で3時間攪拌させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−4)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は12,000であった。
【0103】
[合成例5]
石英製三口フラスコ中に、20%マレイン酸水溶液0.46g及び超純水29.78gを加えて55℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン3.38g、メチルトリメトキシシラン12.11g、ビストリエトキシシリルエタン39.41g及びプロピレングリコールモノエチルエーテル17.38gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、55℃で2時間攪拌させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−5)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は4,000であった。
【0104】
[合成例6]
25%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液14.59g、水4.53g、及びメタノール40.0gを入れたフラスコに、冷却管と、テトラメトキシシラン10.66g、4−メチルフェニルトリメトキシシラン1.06g、メチルトリメトキシシラン3.41g、及びメタノール50.00gを入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、このモノマーのメタノール溶液をゆっくり滴下し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、20%無水マレイン酸水溶液23.83gとメタノール18.73gを混合した溶液に対し、上述のように放冷した反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン450gを添加してからエバポレーターにセットし、反応溶媒及び反応により生成したメタノールを除去して反応生成物の4−メチル−2−ペンテノン溶液を得た。得られた溶液を分液ロートへ移してから、水80gを添加して1回目の水洗を行い、水40gを添加して2回目の水洗を行なった。その後、分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン溶液に、4−メチル−2−ペンタノール370部を添加してからエバポレーターにセットし、4−メチル−2−ペンテノンを除去して、反応生成物(ポリシロキサンA−6)の4−メチル−2−ペンタノール溶液を得た。
【0105】
[合成例7]
無水マレイン酸0.42gを水2gに加熱溶解させてマレイン酸水溶液を調製した。次に、メチルトリエトキシシラン30.5g及び4−メチル−2−ペンタノール50.8gをフラスコに入れた。このフラスコに、冷却管と予め調製しておいたマレイン酸水溶液を入れた滴下ロートとをセットし、オイルバスにて100℃で加熱した後、マレイン酸水溶液をゆっくり滴下し、100℃で4時間反応させた。この溶液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、反応生成物(ポリシロキサンA−7)を得た。得られた生成物の分子量(Mw)は1,400であった。
【0106】
<ポリシロキサン樹脂組成物の調製>
[実施例1〜8、比較例1〜2]
表1に示す割合で、合成例で得られた[A]ポリシロキサンと、[C]硬化促進剤を混合し、ポリシロキサン樹脂組成物(J−1〜J−8,j−1〜j−2)を調製した。また、各組成物の固形分濃度が表1の値となるように[B]有機溶媒を添加した。なお、[B]有機溶媒の含有比とは、質量比である。
なお、表1における[B]有機溶媒と、[C]硬化促進剤の詳細は下記の通りである。
<[B]有機溶媒>
B−1:4−メチル−2−ペンタノール
B−2:1−ブタノール
B−3:ジブチルエーテル
B−4:ジイソアミルエーテル
B−5:プロピレングリコールモノエチルエーテル
<[C]硬化促進剤>
C−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロスルホネート
C−2:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート
C−3:4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート
【0107】
【表1】

【0108】
<性能評価>[実施例9〜20、比較例3〜4]
上記各ポリシロキサン樹脂組成物を用い、表2に示す条件で、下記の性能評価を行った。その評価結果を表2に示す。
[インターミキシング性]
シリコンウェハの表面に、感放射線性樹脂組成物溶液(JSR社製、AR230JN)をスピンコーターによって塗布した後、126℃のホットプレート上で90秒間乾燥して、膜厚170nmの塗膜が形成された基板を得た。次いで、上記塗膜上に、各パターン反転用のポリシロキサン樹脂組成物を塗布し、120℃のホットプレート上で60秒間乾燥させた後、分光エリプソメーターにより、塗膜の膜厚を測定した。その膜厚と初期膜厚よりも膜厚が減量するものを不適「×」として、上記塗膜とのインターミキシング性を評価した。
【0109】
[マスクパターン間への埋め込み性]
シリコンウェハの表面に、反射防止膜用材料(日産化学社製、ARC29)をスピンコーターによって塗布した後、205℃のホットプレート上で1分間乾燥して、膜厚が77nmの反射防止膜(下層膜)を形成したものを基板として用いた。次いで、上記反射防止膜上に感放射線性樹脂組成物(JSR社製、AR230JN)を塗布し、126℃で90秒間乾燥した。この際得られた塗膜の膜厚は205nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザ照射装置(ニコン社製、S306C)を用い、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を0.100μmの1:1ライン・アンド・スペースパターン形成用の石英製縮小投影マスクを介して、上記塗膜が形成された基板に17mJ/cm照射した。次いで、基板を126℃で90秒間加熱した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で40秒間現像処理を行い、基板上に高さ73nm、0.100μmの1:1ライン・アンド・スペース形状のマスクパターンを得た。次いで、このマスクパターン上及びマスクパターンの間隙に、各ポリシロキサン樹脂組成物をスピンコーターによって塗布し、表2に記載された温度(PEB(℃))のホットプレートで1分間乾燥することにより、膜厚150nmの樹脂膜を形成した。実施例16及び18に関しては、ホットプレートで乾燥後、ArFエキシマレーザ照射装置(ニコン社製、S306C)を用い、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を50mJ/cmウエハ全面に照射した。このようにして、得られた基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、上記マスクパターン間に、各ポリシロキサン樹脂組成物が隙間なく埋め込まれている場合を「○」とし、ボイドが生じている場合を「×」として、マスクパターンへの埋め込み性を評価した。
【0110】
[ドライエッチング耐性]
上述のようにして形成したパターン反転用樹脂膜に対して、バレル型酸素プラズマ灰化装置「PR−501」(ヤマト科学社製)を用いて、500Wで15秒間ドライエッチング処理を行った。処理前のパターン反転用樹脂膜の膜厚と、処理後のパターン反転用樹脂膜の膜厚との差が10nm以下である場合を「○」とし、10nmを超える場合を「×」として、ドライエッチング耐性を評価した。
【0111】
[保存安定性]
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件にて、各パターン反転用のポリシロキサン樹脂組成物を塗布し、その後、120℃のホットプレート上で1分間乾燥することにより、パターン反転用樹脂膜を形成した。次いで、得られたパターン反転用樹脂膜について、光学式膜厚計(KLA−Tencor社製、型番「UV−1280SE」)を用いて、9点の位置で膜厚を測定し、その平均膜厚を求めた。また、各組成物を、40℃で1週間保存した後、上記と同様にして樹脂膜を形成して膜厚を測定し、その平均膜厚を求めた。次に、保存前の樹脂膜の平均膜厚(T0)と、保存後のパターン反転用樹脂膜の平均膜厚(T)との差(T−T0)を求め、平均膜厚T0に対するその差の大きさの割合〔(T−T0)/T0〕を膜厚変化率として算出し、その値が5%以下である場合を「○」とし、5%を超える場合を「×」として、保存安定性を評価した。
【0112】
[珪素及び炭素の含有割合測定]
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件にて、各組成物を塗布し、その後、200℃のホットプレート上で1分間乾燥することにより、樹脂膜を形成した。該樹脂膜の珪素(Si)及び炭素(C)の含有割合を、SIMS(アルバック−ファイ株式会社製 PHI ADEPT−1010)を用いて測定し、深さ方向における測定値の平均値を算出し、含有割合とした。
【0113】
【表2】

【0114】
<反転パターンの形成>
[実施例21]
本発明の実施例1のポリシロキサン樹脂組成物を用いて反転パターンを形成した。図1を参照して説明する。
シリコンウェハの表面に、反射防止膜用材料(日産化学社製、ARC29)をスピンコーターによって塗布した後、205℃のホットプレート上で1分間乾燥して、膜厚が77nmの反射防止膜(下層膜)を形成したものを基板として用いた。
次いで、上記反射防止膜上に感放射線性樹脂組成物(JSR社製、AR230JN)を塗布し、126℃で90秒間乾燥した。この際得られた塗膜の膜厚は205nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザ照射装置(ニコン社製)を用い、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を0.100μmの1:1ライン・アンド・スペースパターン形成用の石英製マスクを介して、上記塗膜が形成された基板に17mJ/cm照射した。次いで、基板を126℃で90秒間加熱した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で40秒間現像処理を行い、図1(b)に示すように基板上に0.100μmの1:1ライン・アンド・スペースのマスクパターンを得た。
次いで、上記マスクパターン上及びマスクパターンの間隙に、実施例1の反転パターン形成樹脂組成物を膜厚150nmとなる回転数で、スピンコーターによって塗布し、160℃で1分間のベーキング処理をすることにより、図1(c)に示すような樹脂膜を形成した。このとき、反転パターン形成樹脂の膜厚は210nmであった。
その後、RIE装置内にてCF/Oの混合ガスよりなるプラズマを用いて樹脂膜の表面をドライエッチングした。エッチングは図1(d)に示すように、マスクパターン31の表面が露出するまで行った(ドライエッチバック)。これにより、図1(d)に示すように、マスクパターン31の間隙にのみ反転パターン形成樹脂膜を残すことができた。
さらに、RIE装置内にてN/Oの混合ガスよりなるプラズマを用いてドライエッチングを行い、図1(e)に示すような反転パターンを得た。このとき、反転パターンの高さ寸法は約180nmであり、矩形形状であった。
【0115】
<微細反転パターンの形成>
[実施例22]ダブルエクスポージャー法
シリコンウェハの表面に、膜厚105nmの下層反射防止膜「ARC66」(ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。上記反射防止膜上に「CLEAN TRACK ACT12」(東京エレクトロン社製)を用いて「ARX2014J」(JSR社製)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときのレジストの膜厚は100nmに制御した。さらに、形成したレジスト被膜上に液浸上層膜材料「NFC TCX091−7」(JSR社製)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときの液浸上層膜の膜厚は30nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザー照射装置「S610C」(ニコン社製)を用い、40nmの1:1ライン・アンド・スペースパターン形成用の石英マスクを介して第一の露光16mJ/cmの条件で照射した。次に石英マスクを90°回転させ、第一の露光で得られた潜像に直行する向きにマスクの潜像が得られるように配置して、第二の露光16mJ/cmを照射した。次いで、基板を115℃で60秒間加熱した後、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理し、高さ85nm、柱径40nmのピラー状マスクパターンを形成した。
次いで、このマスクパターン上及びマスクパターンの間隙に、反転パターン形成用ポリシロキサン樹脂組成物(J−2)をスピンコーターによって塗布し、120℃のホットプレートで1分間乾燥することにより、ARC66膜表面からの膜厚150nmの樹脂膜を形成した。この基板を0.5%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に30秒間浸す処理をすることで、予め形成したマスクパターンの表面がポリシロキサン表面に露出する状態となった(ウェットエッチバック)。基板を180℃で1分加熱してポリシロキサン部分を追加硬化させた後、RIE装置内にてN/Oの混合ガスよりなるプラズマを用いてドライエッチングを行い、反転パターンを得た。このとき、反転パターンは約40nmφ径の穴が等間隔に形成された微細ホールパターンであった。
【0116】
[実施例23]ダブルパターニング法
シリコンウェハの表面に、膜厚105nmの下層反射防止膜「ARC66」(ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。次いで、上記反射防止膜上に「CLEAN TRACK ACT12」(東京エレクトロン社製)を用いて「ARX3520JN」(JSR社製)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときのレジストの膜厚は100nmに制御した。次いで、ArFエキシマレーザー照射装置「S610C」(ニコン社製)を用い、40nmの1:3ライン・アンド・スペース形状のパターン形成用の石英マスクを介して露光量23mJ/cmの条件で照射した。次に、基板を105℃で60秒間加熱し、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理し、高さ85nm、ライン幅40nmの第一のマスクパターンを形成した。次いで、このマスクパターン形成基板を150℃で1分加熱して第一マスクパターンの不溶化処理を行った。
次に第一マスクパターン基板に「ARX3714JN」(JSR社製)を上記「ARX3520JN」と同様に105nmの膜厚となるように塗布、成膜した。同じ40nmの1:3ライン・アンド・スペース形状のパターン形成用の石英マスクを介してパターニングすることで第一マスクパターンの間に第二のマスクパターンが形成される様に露光装置上でウエハの位置を80nmずらして配置した。次いで露光(20mJ/cm)、加熱(100℃で60秒)、現像(2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間)を第一のパターニングと同様に行い、ARC66の膜上に高さ85nm、40nmの1:1ライン・アンド・スペースのマスクパターンを形成した。
この間隙に、反転パターン形成用ポリシロキサン樹脂組成物(J−5)をスピンコーターによって塗布し、140℃のホットプレートで1分間乾燥することにより、ARC66表面からの膜厚150nmの樹脂膜を形成した。この基板にArFエキシマレーザ(波長193nm)を50mJ/cmウエハ全面に照射してポリシロキサン樹脂を追加硬化させた。その後、RIE装置内にてCF/Oの混合ガスよりなるプラズマを用いてポリシロキサン樹脂膜の表面をドライエッチングした。エッチングは図1(d)に示すように、マスクパターン31の表面が露出するまで行った(ドライエッチバック)。次いでRIE装置内にてN/Oの混合ガスよりなるプラズマを用いてドライエッチングを行い、反転パターンを得た。このとき、反転パターンは約40nmのラインが等間隔に形成された微細ラインパターンであった。
【0117】
表2から明らかなように、本実施例のパターン反転用であるポリシロキサン樹脂組成物は、基板に形成された塗膜とインターミキシングを起こすことがなく、且つ塗膜に形成されたマスクパターン間に良好に埋め込むことができると共に、ドライエッチング耐性及び保存安定性に優れることが確認できた。比較例1についてはマスクパターン上に塗布した段階でマスクパターンの消失が見られた。
【0118】
実施例21においては、本発明のポリシロキサン樹脂組成物を用いることにより、通常のマスクパターンの反転パターンとして、100nmのラインが等間隔に形成された良好なパターンを形成することができた。また、実施例22及び23の結果から、本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、ダブルエクスポージャー法及びダブルパターニング法によって形成されたさらに微細なマスクパターンの反転パターン材料として好適に用いられ、約40nmのラインが等間隔に形成された良好な微細ラインパターンを形成することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の反転パターン形成方法によると、本発明のポリシロキサン樹脂組成物は、被加工基板上に形成されたマスクパターンとミキシングすることがなく、このマスクパターンの間隙に良好に埋め込むことができ、かつドライエッチング耐性及び保存安定性に優れている。従って、本発明は、今後更に微細化が進むとみられるLSIの製造、特に微細なコンタクトホール等の形成に極めて好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1;被加工基板、2;反射防止膜、3;塗膜、31;マスクパターン、4;パターン反転用樹脂膜、41;反転パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)被加工基板上にマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程、
(2)上記マスクパターンの間隙に、ポリシロキサン樹脂組成物を埋め込む埋込工程、及び
(3)上記マスクパターンを除去し、反転パターンを形成する反転パターン形成工程
を有する反転パターン形成方法であって、
上記ポリシロキサン樹脂組成物が、
[A]下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られるポリシロキサン、並びに
[B]下記式(3)で表される化合物を含む有機溶媒
を含有することを特徴とする反転パターン形成方法。
【化1】

(式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、又はアリール基である。Xはハロゲン原子又は−ORであり、Rは1価の有機基である。aは1〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(式(2)中、Xは上記式(1)と同義である。)
【化3】

(式(3)中、R’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R”は水素原子又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。但し、R’とR”の炭素数の合計は、4〜10である。)
【請求項2】
上記式(1)及び(2)におけるXが−ORである請求項1に記載の反転パターン形成方法。(但し、Rは上記式(1)と同義である。)
【請求項3】
形成された反転パターンのSIMS法にて測定した珪素原子含有量が30質量%以上46.7質量%以下であり、炭素原子含有量が1質量%以上50質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の反転パターン形成方法。
【請求項4】
(1)マスクパターン形成工程が、
(i)被加工基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布及び乾燥し、塗膜を形成する塗膜形成工程、
(ii)上記塗膜上の所定の領域に放射線を照射する露光工程、及び
(iii)上記露光された塗膜を現像する現像工程
を含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の反転パターン形成方法。
【請求項5】
(ii)露光工程が連続して複数回行われる請求項4に記載の反転パターン形成方法。
【請求項6】
(1)マスクパターン形成工程が、繰り返し行われ、第一マスクパターンの形成工程と、第一マスクパターンとは異なる第二マスクパターンの形成工程とを有する請求項4に記載の反転パターン形成方法。
【請求項7】
[A]下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られるポリシロキサン、並びに
[B]下記式(3)で表される化合物を含む有機溶媒
を含有することを特徴とするポリシロキサン樹脂組成物。
【化4】

(式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、又はアリール基である。Xはハロゲン原子又は−ORであり、Rは1価の有機基である。aは1〜3の整数である。なお、R及びXは、それぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化5】

(式(2)中、Xは上記式(1)と同義である。)
【化6】

(式(3)中、R’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R”は水素原子又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。但し、R’とR”の炭素数の合計は、4〜10である。)
【請求項8】
[A]ポリシロキサンのサイズ排除クロマトグラフィによるポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下である請求項7に記載のポリシロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
[C]硬化促進剤をさらに含有する請求項7又は請求項8に記載のポリシロキサン樹脂組成物。



【図1】
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【公開番号】特開2011−118373(P2011−118373A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240174(P2010−240174)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】