収容体の製造方法、及び収容体
【課題】複数の収容物を収容可能な収容体を安価に製造することを可能とする収容体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、収容物注出用の注出口7と連通する溶着部5を複数個、直列状に配設したベース部材3に対し、2枚のシート部材を複数個の溶着部5のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器20を有する収容体1を製造する方法であって、ベース部材3を保持し、直列状に配設された溶着部5の溶着面に対し、2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部5の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明は、収容物注出用の注出口7と連通する溶着部5を複数個、直列状に配設したベース部材3に対し、2枚のシート部材を複数個の溶着部5のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器20を有する収容体1を製造する方法であって、ベース部材3を保持し、直列状に配設された溶着部5の溶着面に対し、2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部5の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インク、薬品等の化学物質や食品などの流動体(以下、収容物と称する)を収容する収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような収容物を収容する収容体として、合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)を重ねて溶着(熱溶着)したものが知られている。このような収容体は、事務用品分野、医療分野、食品分野、化粧品やサニタリー用品などの日用品分野等、様々な分野で使用されている。通常、このような収容体には、合成樹脂で一体成形された注出部材(スパウトとも称される)を前記合成樹脂製のシートに一体的に熱溶着し、注出部材に形成された注出口(口部)を介して、内部に収容された収容物を注出するものも知られている。
【0003】
また、そのような注出部材には、その使用用途によって、一旦開封した後、再封止できる再封止機能を備えていることを要求されることがある。一般的に、上記したような収容体は、例えば、特許文献1に開示されているように、樹脂成型された注出部材に、断面が円形或いは舟形の溶着部を形成しておき、この部分に合成樹脂シートを熱溶着することで形成されている。
【0004】
この場合、収容物は、例えば、注出部材の注出口部分に充填用の針を差し込んで収容体内に充填することが可能である。また、このように収容物を充填した収容体は、例えば、外部装置(事務用品の分野であればプリンタのような外部装置)に設置するような構成であれば、外部装置に組み込まれているケーシング内、或いは、外部装置等に対して着脱されるケーシング内にセットされ、そして、前記注出部材の注出口部分に注出用の針を差し込んで、収容物を注出して所定の箇所に供給がなされる。
【特許文献1】特開2006−8138号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような従来の収容体は、1つの収容体に1つの注出部材を取着した構成であるため、製造効率が悪く、コストが高くなるという問題がある。すなわち、注出部材には、シート部材が溶着される溶着部が設けられており、通常、この溶着部に対して、シート部材を介在させてヒートバーのような溶着部材を圧着して収容体が製造されることから、1つの収容体毎に注出部材が設けられている構成では、溶着コストが高くなってしまい、結果として、収容体のコストも高くなってしまう。
【0006】
また、上記のような構成では、外部装置のケーシング(外部装置に対して着脱されるケーシングを含む)は、1種類の収容物を収容した単体の収容体を装着する構造となってしまい、複数の収容物を収容した収容体を装着することはできない。このため、外部装置として、複数の収容物の供給を考慮した場合、ケーシングの設置個数がその分、多くなったり、或いは、その設置スペースを考慮すると、装置全体が大型化してしまうという問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、複数の収容物を収容可能な収容体を安価に製造することを可能にする収容体の製造方法、及びそのような製造方法によって製造される収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、収容物注出用の注出口と連通する溶着部を複数個、直列状に配設したベース部材に対し、2枚のシート部材を前記複数個の溶着部のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器を有する収容体を製造する方法であって、前記ベース部材を保持し、前記直列状に配設された溶着部の溶着面に対し、前記2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする。
【0009】
上記した収容体の製造方法では、直列状に溶着部を形成したベース部材に対し、夫々の溶着部を挟持するように2枚のシート部材を対向配置し、この状態で溶着部の溶着面に対して溶着を行うため、一度の溶着工程で複数の容器を一体的に形成することが可能となり、製造工程の効率化が図れるようになる。
【0010】
また、このような製造工程によって製造される収容体は、ベース部材に対して直列状に容器が配置されることとなるが、ベース部材を折り曲げ可能と構成することで、容器の配置状態を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収容体の製造方法によれば、複数の収容物を収容可能な収容体を安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1(a)は、溶着部を有するベース部材の構成を示す斜視図、図1(b)は、ベース部材を折り曲げた状態を示す斜視図、図2は、ベース部材に容器を装着して収容体となった状態を示す斜視図、図3は、図2に示す収容体において溶着部を示した側面図、そして、図4は、図2に示す収容体のベース部材を折り曲げた状態を示す図である。
【0013】
本発明に係る収容体は、ベース部材、及びこのベース部材に装着される複数の容器を備えている。本実施形態では、図1から図4に示すように、収容体1は、板状のベース部材3と、このベース部材3に装着される複数の容器(本実施形態では、容器は2つ設けられる)20とを備えている。
【0014】
図1に示すように、ベース部材3は、矩形で薄板状の外観形状を有しており、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂によって一体形成されている。ベース部材3には、収容物が収容される容器20を、個別に複数個装着可能とする溶着部5と、溶着部5に装着された各容器20内の収容物を、それぞれ注出可能にする注出口7が一体的に形成されている。
【0015】
前記溶着部5は、ベース部材3の裏面側に突出するように形成されており、断面が舟形形状に形成されて、容器20を構成する柔軟な合成樹脂シート(シート部材)が溶着される表面形状を備えている。溶着部5には、容器20に収容された収容物を通過させる連通孔6が形成されており、この連通孔は、ベース部材3の表面側に形成される注出口7と連結されている。
【0016】
また、前記溶着部5は、図1に示すように、矩形のベース部材3に対して、長手方向(矢印X方向)に沿って直列状に配置されており、後述するように形成される容器20が容易に製造可能となっている。
【0017】
本実施形態の注出口7は、ベース部材3の表面に開口する孔部として構成されており、夫々の注出口7は、溶着部5に形成された連通孔6と連結されている。この場合、注出口7の開口部は、ベース部材3の表面と面一状に形成されており、例えば、ゴムのような弾性体をその内部に封入し、表面の開口部に薄膜7aを被着して構成することが可能である。
【0018】
前記溶着部5の溶着面には、容器20を構成するための柔軟な合成樹脂シートが溶着される。具体的には、各溶着部5に装着される容器20は、予め2枚の柔軟な合成樹脂シートを重ねてその周囲を溶着しておき、これを各溶着部の表面に溶着することによって作成される。
【0019】
ここで、図5から図8を参照して、上記した構成の収容体1を作成する製造工程について具体的に説明する。
【0020】
前記ベース部材3の表面には、支持穴8が複数箇所形成されている。この複数の支持穴8は、図5に示すように、2枚重ねて周囲が溶着された状態にある合成樹脂シート21A,21Bを、溶着部5の溶着面に溶着する際、溶着装置50に突設された固定治具51に係合させてベース部材3を位置決め保持する役目を果たす。
【0021】
この場合、2枚の柔軟な合成樹脂シート21A,21Bは、その周囲領域、具体的には、図5の白抜きで示した上辺21dを除いて、容器20の内部空間を規定する周囲(縦辺21a及び底辺21b)がヒートバーによって予め溶着されている。なお、隣接する容器20の間となる底辺部分21cについては、予め溶着しておいても良いし、溶着しておかなくても良い。また、重ねた2枚の合成樹脂シート21A,21Bの周囲を溶着する工程については、縦辺、横辺のいずれを先に溶着しても良いし、一度に溶着しても良い。
【0022】
このように溶着された2枚の合成樹脂シート21A,21Bは、上辺部分が開口した状態(隣接する溶着部5が介在される以外の周囲領域が溶着された状態)となっており、このような合成樹脂シートを、固定治具51にセットされたベース部材3に対して、隣接する溶着部5に被せ、溶着部を介在するように対向配置する(複数の容器20が形成された袋体のセット)。図5は、袋体がセットされた状態を示しており、このような袋体のセットは、機械的に行うものであっても良いし、手動で行うものであっても良い。
【0023】
次に、図5に示す上辺21dの領域(この領域は、図1の矢印X方向に沿って直列状になっている)を、図6(a)に示すような一対のヒートバー53,54によって、図1の矢印X方向と直交する方向Yで押圧処理する。この場合、各ヒートバー53,54の対向面には、各溶着部5の表面を圧接するように、凹んだ湾曲面53a,54aが形成されると共に、それ以外の部分は、両ヒートバーが矢印Y方向に接近しても相手方のヒートバーに接触しないように平坦面となっている。このため、図6(b)に示すように、両ヒートバー53,54を互いに矢印Y方向に押圧すると、各溶着部5の表面が熱によって溶着され、それ以外の領域は、未溶着となる(図6(b)及び(c)参照)。
【0024】
次に、溶着部5以外の上辺21dの領域を、図7(a)に示すような一対のヒートバー55,56によって矢印Y方向に押圧処理する。この場合、各ヒートバー55,56の対向面には、各溶着部5の表面から離間して凹んだ湾曲面55a,56aが形成されると共に、それ以外の部分は、両ヒートバーが矢印Y方向に接近した際、相手方のヒートバーに密着される平坦面となっている。このため、図7(b)に示すように、両ヒートバー55,56を互いに矢印Y方向に押圧すると、各溶着部5の表面以外の上辺21dが溶着される(図7(b)及び(c)参照)。
【0025】
そして、次に、上記したように溶着された上辺21dの領域は、図8(a),(b)に示すように、冷却バー57,58によって押圧され、冷却される。この場合、各冷却バー57,58の対向面には、各溶着部5の表面を圧接するように、凹んだ湾曲面57a,58aが形成され、それ以外の部分も相手方の冷却バーに密着される平坦面となっている。このため、図8(b)に示すように、両冷却バー57,58を互いに矢印Y方向に押圧すると、上記した押圧工程によって溶着された上辺21dの領域が冷却される。
【0026】
なお、上辺21dの領域を溶着するに際しては、上記したように、最初に溶着部5の部分を溶着しておき、次に、溶着部5以外の部分を溶着しても良いし、一度の押圧工程で上辺21dの領域を溶着しても良い。
【0027】
これにより、図2及び図3に示すような複数の容器20を備えた収容体1を、簡単な溶着工程で一度に製造することが可能となる。
【0028】
なお、溶着部5に装着される容器20は、上記したように、2枚の合成樹脂シート21A,21Bを重ね周囲領域を溶着した構成となっているが、それ以外にも、更に複数枚の合成樹脂シートを重ねた、いわゆる自立体形式(底面及び側面が形成された容器)に構成されていても良い。
【0029】
そして、このように構成された各容器20の内部空間には、例えば、注出口7に注入針を刺し込んで、収容物を充填することが可能である。この場合、注出口7に注入針を刺し込んで引き抜くと、内部に封入された弾性体の押圧力によって刺し込み部分は閉塞されるようになっている。もちろん、それ以外にも、合成樹脂シートの周囲の一部を未溶着状態としておき、収容物を充填した後に、その部分を溶着しても良いし、予め収容物を充填した状態の合成樹脂シートを溶着部5に溶着しても良い。
【0030】
また、本実施形態の構成では、前記板状に形成されたベース部材3に、それ自身を折り曲げ可能にする薄肉厚部9が形成されている。この薄肉厚部9は、ベース部材3に対してX方向と直交する方向に溝9aを形成することで、一側面側(側面3a,3b側)に形成されている。この場合、成型する上で、他側面側にも薄肉厚部9bが形成されるが、この薄肉厚部9bは、ベース部材3を折り曲げる際に破断される部分となる。このため、薄肉厚部9bの肉厚は、容易に破断できるように0.3〜0.4mm程度あれば良く、薄肉厚部9は、折り曲げられても破断しない程度の肉厚、例えば、0.7〜1.0mm程度あれば良い。そして、図1(a)に示すように、薄肉厚部9を介して、ベース部材3を矢印方向に略180°折り曲げることでベース部材3の一側面3a,3bを互いに密着させて、図1(b)に示す状態に変形すること、すなわち、溶着部5に装着された容器20を、図2に示す直列状体から、図4に示す並列状態に、その配置態様を変更することが可能となっている。
【0031】
この場合、ベース部材3には、薄肉厚部9を介して折り曲げた際、折り曲げ状態を保持する固定部と、固定部を係合させる係合部とが設けられている。具体的に、固定部は、一側面3aの近傍に設けられる弾性変形可能な爪部材11によって構成され、係合部は、爪部材11が嵌り込むように、一側面3bの近傍に設けられた係止孔12によって構成することが可能である。これにより、ベース部材3を、薄肉厚部9の部分を支点として、図1(a)の矢印方向に略180°折り曲げて、一側面3a,3bを密着させると、一対設けられた爪部材11が広がって、対応する係止孔12に入り込み、図4に示すように、容器20の並列状態が維持されるようになる。
【0032】
なお、固定部と係合部については、図1に示すような爪部材11、係止孔12以外にも種々変形することが可能である。例えば、一側面3a,3bのいずれか一方の面に、フランジや突起を設けておき、他方の面に、フランジが嵌入される長溝や突起が嵌入される凹部を設けた構成であっても良い。
【0033】
上記したように構成される収容体1は、ベース部材3に対して、隣接する溶着部5が直列状に配置されているため、一度の溶着工程で複数の容器20を同時に製造することが可能となる。すなわち、一度の溶着工程で、同時に複数の溶着部5に対して合成樹脂シートを溶着できることから、複数の容器を有する収容体の製造効率の向上が図れ、コストを低減することが可能となる。この場合、例えば、各容器20を取着形成した後、上記した薄肉厚部9の部分を切断することで、容器毎に個々の収容体とすることも可能となり、製造効率が向上するようになる。
【0034】
また、上記したように構成される収容体1は、1つのベース部材3に対して、複数の容器20が設けられており、各容器に対応して注出口7が形成されているため、複数の収容物から必要なものを注出して使用するようなケースでは、収容物を予めグループ化しておくことが可能となる。従って、多数の収容体を複数個並べたり、個別に搬送する必要が無く、取扱上の利便性の向上が図れる。
【0035】
また、外部装置等のケーシング(外部装置に対して着脱されるケーシングを含む)に対しても、容器20毎に複数の収容物を収容した収容体1を装着することができるため、ケーシングの設置個数を減らしたり、容積を省スペース化することが可能となり、外部装置の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
さらに、薄肉厚部9を折り曲げることで、容器を直列状体から並列状態に変更できるため、搬送や外部装置のセッティング等に応じて、収容体1を最適な配置態様に設定することが可能となる。この場合、図3に示す底辺部分21cを溶着しておき、隣接する容器20間に、空洞状部分25を形成しておくことで、収容体1を多数重ねて搬送したり、図4に示すように並列状にして使用する際に、空洞状部分25がクッションの役目を果たし、容器20に収容される収容物を保護することも可能となる。
【0037】
上記した実施形態では、ベース部材3に対して、溶着部5を矢印X方向に沿って直列状に2箇所形成したが、溶着部の形成個数については限定されることはない。例えば、図9に示すように、直列状に4箇所形成しておくことで、より多数種類の収容物を1つの収容体1内に収容することが可能になる。また、このように構成しても、多数の容器20は、一度の溶着工程で製造できるため、より製造コストを安くすることが可能となる。
【0038】
なお、上述した構成において、ベース部材3の形状、薄肉厚部9の形成位置、折り曲げ方向やその角度、折り曲げた後の固定方法等、適宜変形することが可能である。
【0039】
上記したような溶着工程によって製造される収容体については、例えば、図10から図12に示すように構成しても良い。これらの図は、収容体の別の実施形態を示しており、図10は、最終的に製造される収容体を示す斜視図、図11(a)は、収容体の構成を示す分解斜視図、図11(b)は、注出口及び溶着部の構成を示す分解斜視図、そして、図12は、溶着部の構成を示す斜視図である。
【0040】
本実施形態における収容体1の各容器は、上記した実施形態と同様、2枚の合成樹脂シートを重ねて溶着することで製造されるが、ベース部材3に対して、4つの容器20Aが装着された構成となっている。すなわち、ベース部材3の裏面に突出形成される溶着部5は、ベース部材3に対して直列状に2つ形成し、かつこれを並列状に形成した構成となっている。
【0041】
この場合、4つの容器20Aは、上記した実施形態と同様、予め周囲が溶着された2枚の合成樹脂シートを、夫々の溶着部5に溶着することで製造される。すなわち、上記した実施形態と同様、図11(a)に示すように、予め周囲が溶着された袋状になった2枚の合成樹脂シートの上端開口部分を、それぞれ直列状に配列された溶着部5を挟持するように被せ、各上辺部分を、図5から図8で示したようなヒートバー等で溶着することで、より効率的に複数の容器を有する収容体を一体的に製造することが可能である。
【0042】
また、本実施形態の注出口17は、ベース部材3から上方に突出形成されており、首部17aの上方に円筒状に形成された口部17bと、この口部17bに被着される冠体17cを備えている。このような注出口17は、口部17b内に、円板状で中央部分が上方に向けて突出するように湾曲した弾性体(図示せず)を封入し、冠体17cを被着することで弾性体を押圧し、口部17bの内周面に圧接させるようになっている。
【0043】
冠体17cには、収容物を充填したり、注出するための針を刺し込む薄肉厚部17dが形成されており、針を引き抜くことで、上記した実施形態と同様、弾性体の押圧力によって、針の刺し込み部分が閉塞されるようになっている。
【0044】
以上のように、ベース部材3に装着される容器の配置態様や、注出口の構成については、適宜変形することが可能である。また、本実施形態のように、ベース部材3については、薄肉厚部を形成することなく、折り曲げられないように構成されていても良い。さらに、上記した注出口については、上記した第1の実施形態と同様、ベース部材3の表面から突出しない注出口7としても良い(図13参照)。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、溶着部や薄肉厚部の構成、及びそこに装着される容器の構成、容器の配置態様、注出口の構成等については適宜変形することが可能であり、また、それに応じてベース部材の構成も適宜変形することが可能である。また、容器に対する収容物の充填方法についても、適宜変形することが可能である。
【0046】
また、容器を構成する2枚の合成樹脂シートについては、その周囲を溶着する順番については特に限定されることはない。また、ベース部材に直列状に設けられる溶着部は、直線上に配列されていても良いし、ヒートバーを用いて溶着する際、一体的に押圧処理ができる程度に湾曲したり屈曲した状態にあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る収容体のベース部材の構成を示しており、(a)は、溶着部を有するベース部材の構成を示す斜視図、(b)は、ベース部材を折り曲げた状態を示す斜視図。
【図2】ベース部材に容器を装着して収容体となった状態を示す斜視図。
【図3】図2に示す収容体において溶着部を示した側面図。
【図4】図2に示す収容体のベース部材を折り曲げた状態を示す図。
【図5】図2に示す収容体を作成する製造工程を示す図であり、溶着装置にベース部材を係合し、周囲が溶着された合成樹脂シートをセットした状態を示す図。
【図6】(a)及び(b)は、溶着部に対する溶着工程を順に示す図、(c)は、溶着部に溶着された合成樹脂シートの溶着状態を示す側面図。
【図7】(a)及び(b)は、溶着部以外の上辺部分に対する溶着工程を順に示す図、(c)は、合成樹脂シートの溶着状態を示す側面図。
【図8】(a)及び(b)は、上辺部分が溶着された合成樹脂シートの冷却工程を順に示す図。
【図9】ベース部材の変形例を示す斜視図。
【図10】収容体の別の実施形態を示す斜視図。
【図11】図10に示す収容体を示す図であり、(a)は、収容体の構成を示す分解斜視図、(b)は、注出口及び溶着部の構成を示す分解斜視図。
【図12】溶着部の構成を示す斜視図。
【図13】注出口の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1 収容体
3 ベース部材
5 溶着部
7,17 注出口
9 薄肉厚部
20,20A 容器
21A,21B 合成樹脂シート(シート部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インク、薬品等の化学物質や食品などの流動体(以下、収容物と称する)を収容する収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような収容物を収容する収容体として、合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)を重ねて溶着(熱溶着)したものが知られている。このような収容体は、事務用品分野、医療分野、食品分野、化粧品やサニタリー用品などの日用品分野等、様々な分野で使用されている。通常、このような収容体には、合成樹脂で一体成形された注出部材(スパウトとも称される)を前記合成樹脂製のシートに一体的に熱溶着し、注出部材に形成された注出口(口部)を介して、内部に収容された収容物を注出するものも知られている。
【0003】
また、そのような注出部材には、その使用用途によって、一旦開封した後、再封止できる再封止機能を備えていることを要求されることがある。一般的に、上記したような収容体は、例えば、特許文献1に開示されているように、樹脂成型された注出部材に、断面が円形或いは舟形の溶着部を形成しておき、この部分に合成樹脂シートを熱溶着することで形成されている。
【0004】
この場合、収容物は、例えば、注出部材の注出口部分に充填用の針を差し込んで収容体内に充填することが可能である。また、このように収容物を充填した収容体は、例えば、外部装置(事務用品の分野であればプリンタのような外部装置)に設置するような構成であれば、外部装置に組み込まれているケーシング内、或いは、外部装置等に対して着脱されるケーシング内にセットされ、そして、前記注出部材の注出口部分に注出用の針を差し込んで、収容物を注出して所定の箇所に供給がなされる。
【特許文献1】特開2006−8138号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような従来の収容体は、1つの収容体に1つの注出部材を取着した構成であるため、製造効率が悪く、コストが高くなるという問題がある。すなわち、注出部材には、シート部材が溶着される溶着部が設けられており、通常、この溶着部に対して、シート部材を介在させてヒートバーのような溶着部材を圧着して収容体が製造されることから、1つの収容体毎に注出部材が設けられている構成では、溶着コストが高くなってしまい、結果として、収容体のコストも高くなってしまう。
【0006】
また、上記のような構成では、外部装置のケーシング(外部装置に対して着脱されるケーシングを含む)は、1種類の収容物を収容した単体の収容体を装着する構造となってしまい、複数の収容物を収容した収容体を装着することはできない。このため、外部装置として、複数の収容物の供給を考慮した場合、ケーシングの設置個数がその分、多くなったり、或いは、その設置スペースを考慮すると、装置全体が大型化してしまうという問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、複数の収容物を収容可能な収容体を安価に製造することを可能にする収容体の製造方法、及びそのような製造方法によって製造される収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、収容物注出用の注出口と連通する溶着部を複数個、直列状に配設したベース部材に対し、2枚のシート部材を前記複数個の溶着部のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器を有する収容体を製造する方法であって、前記ベース部材を保持し、前記直列状に配設された溶着部の溶着面に対し、前記2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする。
【0009】
上記した収容体の製造方法では、直列状に溶着部を形成したベース部材に対し、夫々の溶着部を挟持するように2枚のシート部材を対向配置し、この状態で溶着部の溶着面に対して溶着を行うため、一度の溶着工程で複数の容器を一体的に形成することが可能となり、製造工程の効率化が図れるようになる。
【0010】
また、このような製造工程によって製造される収容体は、ベース部材に対して直列状に容器が配置されることとなるが、ベース部材を折り曲げ可能と構成することで、容器の配置状態を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収容体の製造方法によれば、複数の収容物を収容可能な収容体を安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1(a)は、溶着部を有するベース部材の構成を示す斜視図、図1(b)は、ベース部材を折り曲げた状態を示す斜視図、図2は、ベース部材に容器を装着して収容体となった状態を示す斜視図、図3は、図2に示す収容体において溶着部を示した側面図、そして、図4は、図2に示す収容体のベース部材を折り曲げた状態を示す図である。
【0013】
本発明に係る収容体は、ベース部材、及びこのベース部材に装着される複数の容器を備えている。本実施形態では、図1から図4に示すように、収容体1は、板状のベース部材3と、このベース部材3に装着される複数の容器(本実施形態では、容器は2つ設けられる)20とを備えている。
【0014】
図1に示すように、ベース部材3は、矩形で薄板状の外観形状を有しており、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂によって一体形成されている。ベース部材3には、収容物が収容される容器20を、個別に複数個装着可能とする溶着部5と、溶着部5に装着された各容器20内の収容物を、それぞれ注出可能にする注出口7が一体的に形成されている。
【0015】
前記溶着部5は、ベース部材3の裏面側に突出するように形成されており、断面が舟形形状に形成されて、容器20を構成する柔軟な合成樹脂シート(シート部材)が溶着される表面形状を備えている。溶着部5には、容器20に収容された収容物を通過させる連通孔6が形成されており、この連通孔は、ベース部材3の表面側に形成される注出口7と連結されている。
【0016】
また、前記溶着部5は、図1に示すように、矩形のベース部材3に対して、長手方向(矢印X方向)に沿って直列状に配置されており、後述するように形成される容器20が容易に製造可能となっている。
【0017】
本実施形態の注出口7は、ベース部材3の表面に開口する孔部として構成されており、夫々の注出口7は、溶着部5に形成された連通孔6と連結されている。この場合、注出口7の開口部は、ベース部材3の表面と面一状に形成されており、例えば、ゴムのような弾性体をその内部に封入し、表面の開口部に薄膜7aを被着して構成することが可能である。
【0018】
前記溶着部5の溶着面には、容器20を構成するための柔軟な合成樹脂シートが溶着される。具体的には、各溶着部5に装着される容器20は、予め2枚の柔軟な合成樹脂シートを重ねてその周囲を溶着しておき、これを各溶着部の表面に溶着することによって作成される。
【0019】
ここで、図5から図8を参照して、上記した構成の収容体1を作成する製造工程について具体的に説明する。
【0020】
前記ベース部材3の表面には、支持穴8が複数箇所形成されている。この複数の支持穴8は、図5に示すように、2枚重ねて周囲が溶着された状態にある合成樹脂シート21A,21Bを、溶着部5の溶着面に溶着する際、溶着装置50に突設された固定治具51に係合させてベース部材3を位置決め保持する役目を果たす。
【0021】
この場合、2枚の柔軟な合成樹脂シート21A,21Bは、その周囲領域、具体的には、図5の白抜きで示した上辺21dを除いて、容器20の内部空間を規定する周囲(縦辺21a及び底辺21b)がヒートバーによって予め溶着されている。なお、隣接する容器20の間となる底辺部分21cについては、予め溶着しておいても良いし、溶着しておかなくても良い。また、重ねた2枚の合成樹脂シート21A,21Bの周囲を溶着する工程については、縦辺、横辺のいずれを先に溶着しても良いし、一度に溶着しても良い。
【0022】
このように溶着された2枚の合成樹脂シート21A,21Bは、上辺部分が開口した状態(隣接する溶着部5が介在される以外の周囲領域が溶着された状態)となっており、このような合成樹脂シートを、固定治具51にセットされたベース部材3に対して、隣接する溶着部5に被せ、溶着部を介在するように対向配置する(複数の容器20が形成された袋体のセット)。図5は、袋体がセットされた状態を示しており、このような袋体のセットは、機械的に行うものであっても良いし、手動で行うものであっても良い。
【0023】
次に、図5に示す上辺21dの領域(この領域は、図1の矢印X方向に沿って直列状になっている)を、図6(a)に示すような一対のヒートバー53,54によって、図1の矢印X方向と直交する方向Yで押圧処理する。この場合、各ヒートバー53,54の対向面には、各溶着部5の表面を圧接するように、凹んだ湾曲面53a,54aが形成されると共に、それ以外の部分は、両ヒートバーが矢印Y方向に接近しても相手方のヒートバーに接触しないように平坦面となっている。このため、図6(b)に示すように、両ヒートバー53,54を互いに矢印Y方向に押圧すると、各溶着部5の表面が熱によって溶着され、それ以外の領域は、未溶着となる(図6(b)及び(c)参照)。
【0024】
次に、溶着部5以外の上辺21dの領域を、図7(a)に示すような一対のヒートバー55,56によって矢印Y方向に押圧処理する。この場合、各ヒートバー55,56の対向面には、各溶着部5の表面から離間して凹んだ湾曲面55a,56aが形成されると共に、それ以外の部分は、両ヒートバーが矢印Y方向に接近した際、相手方のヒートバーに密着される平坦面となっている。このため、図7(b)に示すように、両ヒートバー55,56を互いに矢印Y方向に押圧すると、各溶着部5の表面以外の上辺21dが溶着される(図7(b)及び(c)参照)。
【0025】
そして、次に、上記したように溶着された上辺21dの領域は、図8(a),(b)に示すように、冷却バー57,58によって押圧され、冷却される。この場合、各冷却バー57,58の対向面には、各溶着部5の表面を圧接するように、凹んだ湾曲面57a,58aが形成され、それ以外の部分も相手方の冷却バーに密着される平坦面となっている。このため、図8(b)に示すように、両冷却バー57,58を互いに矢印Y方向に押圧すると、上記した押圧工程によって溶着された上辺21dの領域が冷却される。
【0026】
なお、上辺21dの領域を溶着するに際しては、上記したように、最初に溶着部5の部分を溶着しておき、次に、溶着部5以外の部分を溶着しても良いし、一度の押圧工程で上辺21dの領域を溶着しても良い。
【0027】
これにより、図2及び図3に示すような複数の容器20を備えた収容体1を、簡単な溶着工程で一度に製造することが可能となる。
【0028】
なお、溶着部5に装着される容器20は、上記したように、2枚の合成樹脂シート21A,21Bを重ね周囲領域を溶着した構成となっているが、それ以外にも、更に複数枚の合成樹脂シートを重ねた、いわゆる自立体形式(底面及び側面が形成された容器)に構成されていても良い。
【0029】
そして、このように構成された各容器20の内部空間には、例えば、注出口7に注入針を刺し込んで、収容物を充填することが可能である。この場合、注出口7に注入針を刺し込んで引き抜くと、内部に封入された弾性体の押圧力によって刺し込み部分は閉塞されるようになっている。もちろん、それ以外にも、合成樹脂シートの周囲の一部を未溶着状態としておき、収容物を充填した後に、その部分を溶着しても良いし、予め収容物を充填した状態の合成樹脂シートを溶着部5に溶着しても良い。
【0030】
また、本実施形態の構成では、前記板状に形成されたベース部材3に、それ自身を折り曲げ可能にする薄肉厚部9が形成されている。この薄肉厚部9は、ベース部材3に対してX方向と直交する方向に溝9aを形成することで、一側面側(側面3a,3b側)に形成されている。この場合、成型する上で、他側面側にも薄肉厚部9bが形成されるが、この薄肉厚部9bは、ベース部材3を折り曲げる際に破断される部分となる。このため、薄肉厚部9bの肉厚は、容易に破断できるように0.3〜0.4mm程度あれば良く、薄肉厚部9は、折り曲げられても破断しない程度の肉厚、例えば、0.7〜1.0mm程度あれば良い。そして、図1(a)に示すように、薄肉厚部9を介して、ベース部材3を矢印方向に略180°折り曲げることでベース部材3の一側面3a,3bを互いに密着させて、図1(b)に示す状態に変形すること、すなわち、溶着部5に装着された容器20を、図2に示す直列状体から、図4に示す並列状態に、その配置態様を変更することが可能となっている。
【0031】
この場合、ベース部材3には、薄肉厚部9を介して折り曲げた際、折り曲げ状態を保持する固定部と、固定部を係合させる係合部とが設けられている。具体的に、固定部は、一側面3aの近傍に設けられる弾性変形可能な爪部材11によって構成され、係合部は、爪部材11が嵌り込むように、一側面3bの近傍に設けられた係止孔12によって構成することが可能である。これにより、ベース部材3を、薄肉厚部9の部分を支点として、図1(a)の矢印方向に略180°折り曲げて、一側面3a,3bを密着させると、一対設けられた爪部材11が広がって、対応する係止孔12に入り込み、図4に示すように、容器20の並列状態が維持されるようになる。
【0032】
なお、固定部と係合部については、図1に示すような爪部材11、係止孔12以外にも種々変形することが可能である。例えば、一側面3a,3bのいずれか一方の面に、フランジや突起を設けておき、他方の面に、フランジが嵌入される長溝や突起が嵌入される凹部を設けた構成であっても良い。
【0033】
上記したように構成される収容体1は、ベース部材3に対して、隣接する溶着部5が直列状に配置されているため、一度の溶着工程で複数の容器20を同時に製造することが可能となる。すなわち、一度の溶着工程で、同時に複数の溶着部5に対して合成樹脂シートを溶着できることから、複数の容器を有する収容体の製造効率の向上が図れ、コストを低減することが可能となる。この場合、例えば、各容器20を取着形成した後、上記した薄肉厚部9の部分を切断することで、容器毎に個々の収容体とすることも可能となり、製造効率が向上するようになる。
【0034】
また、上記したように構成される収容体1は、1つのベース部材3に対して、複数の容器20が設けられており、各容器に対応して注出口7が形成されているため、複数の収容物から必要なものを注出して使用するようなケースでは、収容物を予めグループ化しておくことが可能となる。従って、多数の収容体を複数個並べたり、個別に搬送する必要が無く、取扱上の利便性の向上が図れる。
【0035】
また、外部装置等のケーシング(外部装置に対して着脱されるケーシングを含む)に対しても、容器20毎に複数の収容物を収容した収容体1を装着することができるため、ケーシングの設置個数を減らしたり、容積を省スペース化することが可能となり、外部装置の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
さらに、薄肉厚部9を折り曲げることで、容器を直列状体から並列状態に変更できるため、搬送や外部装置のセッティング等に応じて、収容体1を最適な配置態様に設定することが可能となる。この場合、図3に示す底辺部分21cを溶着しておき、隣接する容器20間に、空洞状部分25を形成しておくことで、収容体1を多数重ねて搬送したり、図4に示すように並列状にして使用する際に、空洞状部分25がクッションの役目を果たし、容器20に収容される収容物を保護することも可能となる。
【0037】
上記した実施形態では、ベース部材3に対して、溶着部5を矢印X方向に沿って直列状に2箇所形成したが、溶着部の形成個数については限定されることはない。例えば、図9に示すように、直列状に4箇所形成しておくことで、より多数種類の収容物を1つの収容体1内に収容することが可能になる。また、このように構成しても、多数の容器20は、一度の溶着工程で製造できるため、より製造コストを安くすることが可能となる。
【0038】
なお、上述した構成において、ベース部材3の形状、薄肉厚部9の形成位置、折り曲げ方向やその角度、折り曲げた後の固定方法等、適宜変形することが可能である。
【0039】
上記したような溶着工程によって製造される収容体については、例えば、図10から図12に示すように構成しても良い。これらの図は、収容体の別の実施形態を示しており、図10は、最終的に製造される収容体を示す斜視図、図11(a)は、収容体の構成を示す分解斜視図、図11(b)は、注出口及び溶着部の構成を示す分解斜視図、そして、図12は、溶着部の構成を示す斜視図である。
【0040】
本実施形態における収容体1の各容器は、上記した実施形態と同様、2枚の合成樹脂シートを重ねて溶着することで製造されるが、ベース部材3に対して、4つの容器20Aが装着された構成となっている。すなわち、ベース部材3の裏面に突出形成される溶着部5は、ベース部材3に対して直列状に2つ形成し、かつこれを並列状に形成した構成となっている。
【0041】
この場合、4つの容器20Aは、上記した実施形態と同様、予め周囲が溶着された2枚の合成樹脂シートを、夫々の溶着部5に溶着することで製造される。すなわち、上記した実施形態と同様、図11(a)に示すように、予め周囲が溶着された袋状になった2枚の合成樹脂シートの上端開口部分を、それぞれ直列状に配列された溶着部5を挟持するように被せ、各上辺部分を、図5から図8で示したようなヒートバー等で溶着することで、より効率的に複数の容器を有する収容体を一体的に製造することが可能である。
【0042】
また、本実施形態の注出口17は、ベース部材3から上方に突出形成されており、首部17aの上方に円筒状に形成された口部17bと、この口部17bに被着される冠体17cを備えている。このような注出口17は、口部17b内に、円板状で中央部分が上方に向けて突出するように湾曲した弾性体(図示せず)を封入し、冠体17cを被着することで弾性体を押圧し、口部17bの内周面に圧接させるようになっている。
【0043】
冠体17cには、収容物を充填したり、注出するための針を刺し込む薄肉厚部17dが形成されており、針を引き抜くことで、上記した実施形態と同様、弾性体の押圧力によって、針の刺し込み部分が閉塞されるようになっている。
【0044】
以上のように、ベース部材3に装着される容器の配置態様や、注出口の構成については、適宜変形することが可能である。また、本実施形態のように、ベース部材3については、薄肉厚部を形成することなく、折り曲げられないように構成されていても良い。さらに、上記した注出口については、上記した第1の実施形態と同様、ベース部材3の表面から突出しない注出口7としても良い(図13参照)。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、溶着部や薄肉厚部の構成、及びそこに装着される容器の構成、容器の配置態様、注出口の構成等については適宜変形することが可能であり、また、それに応じてベース部材の構成も適宜変形することが可能である。また、容器に対する収容物の充填方法についても、適宜変形することが可能である。
【0046】
また、容器を構成する2枚の合成樹脂シートについては、その周囲を溶着する順番については特に限定されることはない。また、ベース部材に直列状に設けられる溶着部は、直線上に配列されていても良いし、ヒートバーを用いて溶着する際、一体的に押圧処理ができる程度に湾曲したり屈曲した状態にあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る収容体のベース部材の構成を示しており、(a)は、溶着部を有するベース部材の構成を示す斜視図、(b)は、ベース部材を折り曲げた状態を示す斜視図。
【図2】ベース部材に容器を装着して収容体となった状態を示す斜視図。
【図3】図2に示す収容体において溶着部を示した側面図。
【図4】図2に示す収容体のベース部材を折り曲げた状態を示す図。
【図5】図2に示す収容体を作成する製造工程を示す図であり、溶着装置にベース部材を係合し、周囲が溶着された合成樹脂シートをセットした状態を示す図。
【図6】(a)及び(b)は、溶着部に対する溶着工程を順に示す図、(c)は、溶着部に溶着された合成樹脂シートの溶着状態を示す側面図。
【図7】(a)及び(b)は、溶着部以外の上辺部分に対する溶着工程を順に示す図、(c)は、合成樹脂シートの溶着状態を示す側面図。
【図8】(a)及び(b)は、上辺部分が溶着された合成樹脂シートの冷却工程を順に示す図。
【図9】ベース部材の変形例を示す斜視図。
【図10】収容体の別の実施形態を示す斜視図。
【図11】図10に示す収容体を示す図であり、(a)は、収容体の構成を示す分解斜視図、(b)は、注出口及び溶着部の構成を示す分解斜視図。
【図12】溶着部の構成を示す斜視図。
【図13】注出口の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1 収容体
3 ベース部材
5 溶着部
7,17 注出口
9 薄肉厚部
20,20A 容器
21A,21B 合成樹脂シート(シート部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物注出用の注出口と連通する溶着部を複数個、直列状に配設したベース部材に対し、2枚のシート部材を前記複数個の溶着部のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器を有する収容体を製造する方法であって、
前記ベース部材を保持し、前記直列状に配設された溶着部の溶着面に対し、前記2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする収容体の製造方法。
【請求項2】
前記2枚のシート部材は、前記溶着部を介在する以外の周囲領域が予め溶着された状態にあり、
前記溶着面に対する溶着工程の後、注出口毎に密閉された容器が形成されることを特徴とする請求項1に記載の収容体の製造方法。
【請求項3】
前記2枚のシート部材は、隣接する容器の間に空洞状部が形成されるように溶着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の収容体の製造法。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記直列状に配設された溶着部間が折り曲げ可能となっており、
前記複数の容器は、前記ベース部材を折り曲げることで、直列状から並列状に変更配置可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された収容体。
【請求項1】
収容物注出用の注出口と連通する溶着部を複数個、直列状に配設したベース部材に対し、2枚のシート部材を前記複数個の溶着部のそれぞれの溶着面に取着して複数の容器を有する収容体を製造する方法であって、
前記ベース部材を保持し、前記直列状に配設された溶着部の溶着面に対し、前記2枚のシート部材を、各溶着部を介在した状態で対向配置し、各シート部材を夫々の溶着部の溶着面に溶着する工程を有することを特徴とする収容体の製造方法。
【請求項2】
前記2枚のシート部材は、前記溶着部を介在する以外の周囲領域が予め溶着された状態にあり、
前記溶着面に対する溶着工程の後、注出口毎に密閉された容器が形成されることを特徴とする請求項1に記載の収容体の製造方法。
【請求項3】
前記2枚のシート部材は、隣接する容器の間に空洞状部が形成されるように溶着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の収容体の製造法。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記直列状に配設された溶着部間が折り曲げ可能となっており、
前記複数の容器は、前記ベース部材を折り曲げることで、直列状から並列状に変更配置可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された収容体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−115903(P2010−115903A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292432(P2008−292432)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000228408)日本キム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000228408)日本キム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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