説明

収納容器

【課題】複数の小分け収納部分を備え、簡単な工程で容易に組み立てることができる新規な収納容器を提供する。加熱による強度の低下などを防止することができる紙製の収納容器を提供する。
【解決手段】各小分け容器体a1、a2は一枚の板紙の折り曲げと貼り付けにより組み立てられる。外装体bは四角形の底壁部11と、相対向する一対の側壁部13を備え、底壁部11上に各小分け容器体a1、a2が直線状に連なるよう配置し、膨出状の側面板3a、3aを側壁部13、13に貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納容器に関し、詳しくは、複数の小分け収納部分を備えた収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1(特開2003−334871)の図7、図10に開示されるような、一枚の板紙の要所の折り曲げと貼り付けにより組み立てられる紙製容器(収納容器)が知られている。また、本出願人は、同文献1に記載されるように、この種紙製容器の組み立てを成形装置で自動的に行う技術を先に提案している。
【0003】
さらに本出願人は、同文献1の図11、図12に示すように、大型の紙製容器内に小型の紙製容器を複数組み込んでなる収納容器を先に提案している。このような紙製の収納容器は、惣菜や中華料理の展示販売用や、弁当用などの、食品用容器として好適に用いることができる。
【0004】
ところで、近年においてはこの種食品用容器として、PETや発泡スチロールなどにより一体成型されたプラスチック製容器が普及している。しかし、プラスチック製品の焼却による二酸化炭素の発生やこれに伴う地球温暖化、有害物質の発生といった、地球環境の破壊を防止する上で、プラスチック製品を極力少なくすることが求められている。
【0005】
そこで、例えば特許文献2(特開平6-156480)、特許文献3(実用新案登録3068464)、特許文献4(実用新案登録3097316)に開示されるような紙製容器が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−334871号公報
【特許文献2】特開平6−156480号公報
【特許文献3】実用新案登録3068464号公報
【特許文献4】実用新案登録3097316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2〜4に記載された紙製容器は、従来の延長線上あり、一枚の板紙の要所の折り曲げと貼り付けにより、複数の小分け収納部分を有する容器として組み立てられるものであるが、プラスチック製の容器と比べた場合、以下のような問題があった。
【0008】
すなわち、従来の紙製容器は、一枚の板紙の折り曲げと貼り付けからなるため、厚さは薄く剛性の低いものであった。このため、電子レンジなどで食品を加熱すると発生する熱と水蒸気により剛性がさらに低下する恐れがあり、持ちづらく、貼り付け方によっては貼り付け部分から汁分が漏れる恐れがあった。
また、一枚の板紙からなり、底壁部と複数の側壁部および仕切り壁部とを備えるため、折り曲げと貼り付けが多段階の作業になり、自動成形装置により自動的に組み立てを行おうとした場合、複雑な構造の大掛かりな装置が必要となるばかりか、一つの装置で一種類の収納容器しか組み立てることができないという問題があった。
【0009】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、複数の小分け収納部分を備えた収納容器であって、簡単な工程で容易に組み立てることができる新規な収納容器を提供することにある。また本発明は、加熱による剛性(強度)の低下を防止することができる収納容器の提供を目的とする。さらに本発明は、簡単な工程で容易に組み立てることができ、加熱による剛性(強度)低下を防止することができる紙製の収納容器の提供を目的とする。
また本発明は、前記収納容器を簡単に製造することが可能な製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するために、本発明に係る収納容器は、
複数の小分け容器体を、一枚の板紙からなる外装体で連接してなる収納容器であって、
前記各小分け容器体は幅方向の大きさがそろっており、
前記外装体は少なくとも、四角形の底壁部と、該底壁部における相対向する一対の側縁に立ちあがる一対の側壁部とを有し、
前記外装体の底壁部上に前記各小分け容器体が幅方向をそろえて直線状に連なるよう配置されていることを特徴とする(請求項1)。
ここで、小分け容器体は、紙製、プラスチック製のいずれでもよく、またその形状も、平面視において、円形状、楕円形状、三角形状、四角形状、台形状、五角形以上の多角形状など、特に限定されるものではない。
【0011】
また、本発明に係る収納容器は、
前記外装体の底壁部上で相対向する前記小分け容器体の側面板同士の間に隙間を備え、
前記底壁部には、前記隙間の底面側開口に対応する底壁側切欠きが形成され、
前記側壁部には、前記隙間の側面側開口に対応する側壁側切欠きが前記底壁側切欠きに連続して形成されており、
前記隙間、前記底壁側切欠きおよび前記側壁側切欠きにより、複数の収納容器を重ね合わせ可能であり、且つ、重ね合わせた状態において、内側にある収納容器における前記側壁部と前記側面板との貼り付け状態が、外側にある収納容器によって保持されるよう形成されていることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
また、本発明に係る収納容器は、
前記各小分け容器体は、一枚の板紙の要所の折り曲げと貼り付けにより、上面を開口する容器に組み立てられたものであって、
四角形の底面板と、該底面板の周縁に折り目を介して立ち上がる前後左右の側面板と、隣り合わせた前記側面板同士を連接する略扇形状の折り込み板とを有し、
各側面板は前記底面板の周縁から上面開口へ向けて拡開状であると共に、前記側壁部に貼り付けられる側面板が、外側へ向けて膨出するよう形成されていることを特徴とする(請求項3)。
【0013】
前記外装体は、前記小分け容器体よりも剛性が高いことが好ましい(請求項4)。
また前記外装体は、前記小分け容器体よりも熱伝導率が低いことが好ましい(請求項5)。熱伝導率が低い板紙として、例えば、適度な厚みを有する単紙(所謂ボール紙)、片面段ボール、両面段ボール、多層段ボール、強化段ボール、その他、公知の厚紙、板紙を用いることができる。
【0014】
前記外装体は、前記一対の側壁部のうちのいずれか一方の上縁に、折り目を介して連設された蓋を備えるとよい(請求項6)。
また、前記外装体が前記底壁部と前記側壁部からなり、該側壁部における前記側壁側切欠きの上部の切断により、前記小分け容器体ごとに分割可能に形成されていてもよい(請求項7)。
本発明に係る収納容器は、例えば、食品用容器または弁当用容器として用いることができる(請求項8)。
【0015】
また、本発明に係る収納容器の好ましい製造方法として、
前記外装体の底壁部に対し、前記複数の小分け容器体を直線状に連なるよう配置するセッティング工程と、
前記外装体における一対の側壁部を折り目を介して折り曲げると共に、該一対の側壁部を前記側面板に貼り付けて収納容器を組み立てる折り曲げ・貼り付け工程と、
前記収納容器を、先に組み立てられた収納容器に重ね合わせて組み立て状態を保持するスタック工程と、を含むことを特徴とする製造方法をあげることができる(請求項9)。
前記セッティング工程、前記折り曲げ・貼り付け工程、前記スタック工程を行う各作業位置が直線状に配列されており、前記セッティング工程、前記折り曲げ・貼り付け工程および前記スタック工程を連続して行うための雄型が、前記直列状の各スペース内に摺動自在に配されているとよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上説明したように構成したので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1によれば、複数個の小分け容器の底面側と側面側が、外装体で補強された二重構造になるので、電子レンジなどで加熱した場合でも強度の低下が抑えられると共に、汁分の漏れなどを防止することができる。
またこの収納容器は、予め自動成形装置で組み立てた小分け容器を外装体に貼り付けるという極めて簡単な工程で容易に組み立てることができる。よって、一枚の紙製板材の要所の折り曲げと貼り付けのみにより組み立てられる従来の紙製容器に比べ、簡単な構造の自動成形装置により迅速に製造することができ、低コストでの提供が可能になるなど、多くの効果がある。
【0017】
請求項2によれば、外装体と各小分け容器の底面側および側面側に、隙間と切欠きを有するので、組み立て作業時に、先に組み立てられその状態を強制的に保持されている収納容器に、次の収納容器を重ねていくことが可能になる。
よって、複数の小分け容器を、外装体の底壁部上に直線状に連なるよう配置して貼り付け、その外装体における一対の側壁部を折り曲げて収納容器を組み立てた後、先に組み立てられその状態を強制的に保持されている収納容器に重ね合わせるだけの簡単な作業工程により、外装体に対する小分け容器の貼り付けが保持される。したがって、簡単な構造の自動成形装置により迅速に製造することができ、低コストでの提供が可能になるという前述の効果をより実効あるものとし得る。
【0018】
請求項3によれば、紙製の小分け容器と紙製の外装体からなる紙製の収納容器としたので、プラスチックなどとの分別が不要であると共にリサイクルが容易であり、地球環境に優しい収納容器として好適に提供することができる。また、小分け容器の側面板が外側へ向けて膨出するよう形成されているので、先に形成された収納容器に次の収納容器を重ね合わせる製造工程において、外装体に対する小分け容器の貼り付けがより確実に保持されるなどの効果がある。
【0019】
請求項4によれば、外装体が所定の強度を有することで、前述した夫々の効果をより実効あるものとし得る。
請求項5によれば、電子レンジによる加熱などを行った際に外装体が熱伝導を抑えるので、使用者が持っても熱くなく、やけどを防止できるなどの効果を奏する。
【0020】
請求項6によれば、蓋を備えた収納容器となるので、例えば惣菜などの持ち帰り用容器や弁当用容器などとして好適に用いることができる。
請求項7によれば、複数の小分け容器ごとに分割して使用することができ、用途が広がるなどの効果がある。
また本発明の収納容器は、請求項8記載のように、食品用容器または弁当用容器として好適に用いることができる。
【0021】
請求項9または請求項10記載の製造方法によれば、請求項2〜8のいずれか記載の収納容器を、簡単かつ迅速に製造することができる。また、予め複数種の小分け容器体と外装体を準備しておき、その中から所望の小分け容器と外装体を選択して異なる形状の収納容器を製造することができるなど、多くの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る収納容器の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】小分け容器体の展開図である。
【図3】小分け容器体の組み立て工程を示す斜視図である。
【図4】外装体の展開図である。
【図5】収納容器の組み立て途中状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態例を示す斜視図である。
【図7】図6に係る実施形態例の使用の一例を示す斜視図である。
【図8】図6に係る外装体の展開図である。
【図9】収納容器の自動成形装置による製造工程を示す簡略断面図である。
【図10】図9の中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。
(一の実施例)
図1は蓋付きの収納容器Aの斜視図を示し、この収納容器Aは、幅方向の大きさがそろっている三個の小分け容器体a1、a2、a2を、外装体bに貼り付けて組み立てられている。なお、本例では長手方向の大きさがそろっている二個の小分け容器体a2、a2を用いているが、長手方向の大きさが異なるものであってもよい。
【0024】
小分け容器体a1は、図2(i)に示した板紙a'の要所の折り曲げと貼り付けにより組み立てられている。この板紙a'は両面段ボールからなり、内側(収納空間9側)となる面にポリエチレン樹脂などをコーティングして耐水性、耐汚染性などを具備したもので、適当な厚さと強度(剛性)を備えている。また板紙a'は、四角形の底面板1の周縁に、折り目2、2、2、2を介して前後左右の側面板3a,3a、3b,3bが連設されており、隣り合わせた側面板3、3同士は、略扇形状の折り込み板4により連接されている。折り込み板4は、側面板3の側縁に谷折り目5a、山折り目5bを介して連設されると共に、中央に斜めの山折り目6を有し、その山折り目6により一半部4aと他半部4bが区画されている。各側面板3は、底面板1の周縁(折り目2)から外側(小分け容器体a1の上面開口側)へ向けて拡開状となるよう、板紙a'を展開したときに平面視逆台形状に形成されている。
【0025】
次に、板紙a'を小分け容器体a1に組み立てる組み立て方について説明する。図3に示すように、板紙a'の折り目2を介して前後左右の側面板3a,3a、3b,3bを立ち上げる。
さらに、谷折り目5aを谷折りに、山折り目6と山折り目5bを山折りにして、折り込み板4の一半部4aを側面板3aの外面に貼り付け、他半部4bは貼り付けずに一半部4aと重なるようにする。
【0026】
これにより、相対向する一対の側面板3a、3aが外側へ向けて膨出する状態で、各側面板3a,3a、3b,3bが底面板1の周縁から上面開口へ向けて外開き状に傾斜して立ち上がり、内側を収納空間9とする小分け容器体a1が完成する。膨出状の側面板3a、3aは、収納容器A同士を重ね合わせた際に、その接触が良好に保持されるようばね作用を発揮する。
図3に示す組み立て作業は、特許文献1に記載された本出願人による先提案の技術により、容易かつ迅速に連続して、自動的に行うことができる。
【0027】
小分け容器体a2は、図2(ii)に示した板紙a"の要所の折り曲げと貼り付けにより組み立てられている。この板紙a"は、前述した板紙a'とほぼ同様な構成であるが、相対向する一対の側面板3b,3bのうちのいずれか一つに、後述する蓋15の受けとなる側受け板8が、前記側面板3bの上縁の折り目7を介して連設されている。それ以外の構成は前記板紙a'と同様のため、図中に前記と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
そして、前述した小分け容器体a1と同様に図3に示す手順で組み立てを行い、さらに側受け板8を折り目7を介して内側(収納空間9側)に折り返すことで、相対向する一対の側面板3a、3aが外側へ向けて膨出する状態で、各側面板3a,3a、3b,3bが底面板1の周縁から上面開口へ向けて外開き状に傾斜して立ち上がり、内側を収納空間9とする小分け容器体a2が完成する。
この小分け容器体a2の組み立て作業も、前記小分け容器体a1と同様、本出願人による先提案の技術により、容易かつ迅速に連続して、自動的に行うことができる。
【0029】
次に、外装体bは、図4に示した板紙b'の要所の折り曲げにより組み立てられている。この板紙b'は両面段ボールからなり、適当な厚さと、前記した板紙a'より高い剛性を備え、且つ、前記板紙a'より熱伝導率が低いという特性を備えている。ここで言う熱伝導率が低いとは、たとえば、食品を収納した収納容器Aを電子レンジで所定時間加熱した際、収納容器の使用者が板紙a'だけでは熱くて手で持つことができないが、この収納容器Aであれば手で持つことができる程度の熱伝導率である。
また板紙b'は、四角形の底壁部11における相対向する一対の長辺側の側縁に、折り目12、12を介して一対の側壁部13、13が連設されている。一方の側壁部13の上縁には、折り目14を介して蓋15が連設されている。蓋15の上縁には、折り目16を介して差し込み部17が連設されている。他方の側壁部13には、前記差し込み部17の差し込み片18が差し込まれる切欠き19が形成されると共に、当該側壁部13の上縁には、折り目20を介して受け板21が連設されている。
【0030】
前記した底壁部11は、前述した小分け容器体a1、a2、a2が幅方向をそろえて直線状に連なるように配置可能な大きさ、形状を呈する。また、底壁部11には、後述する隙間30の底面側開口に対応する底壁側切欠き22aが形成されており、側壁部13、13には、その隙間30の側面側開口に対応する側壁側切欠き22bが形成されている。
【0031】
そして、図5に示すように、予め組み立てられている小分け容器体a1、a2、a2を外装体bの底壁部11に、幅方向をそろえて直線状に連なるよう配置する。この際、小分け容器体a1が中央に、小分け容器体a2、a2がその両側に位置すると共に、夫々の小分け容器体a1、a2、a2における、外側に膨出する一対の側面板3a、3aが外装体bの側壁部13,13と対峙するよう配置する。すなわち、小分け容器体a1、a2、a2は幅方向にそろっているため、それぞれの側面板3a、3a、3aはひとつの平面上に形成される。このため、外装体bを外装させた際に、それぞれの側面板3a、3a、3aは外装体bのひとつの側壁部13と同時に接することができ、後述の貼り付けが行われる。他方の側壁部13に対しても同様である。
さらに、前記側壁部13、13を折り目12、12を介して立ち上げ、前記一対の側面板3a、3aをその側壁部13、13に貼り付けることで、収納容器Aが完成する。またこのとき、外装体bの底壁部11上で隣り合う小分け容器体a1,a2における、相対向する側面板3b、3bの間には、隙間30が形成される。さらに、外装体bの底壁部11と側壁部13、13に形成された底壁側切欠き22a、側壁側切欠き22bが、その隙間30と連なっている。
なお、図5に示す組み立て作業も、特許文献1に記載された本出願人による先提案の技術により、容易かつ迅速に連続して、自動的に行うことができる。
【0032】
このようにして組み立てられた収納容器Aは、各小分け容器体a1、a2、a2の底面側と左右の側面側が、外装体bで補強された二重構造になるので、食品容器として使われた場合に、電子レンジなどで加熱した場合でも強度の低下が抑えられると共に、汁分の漏れなどを防止することができる。
また、外装体bが所定の剛性を有すると共に、外装体bを熱伝導率が低い板紙製としたので、電子レンジによる加熱などを行っても、外装体bが熱伝導を抑えて、使用者が持っても熱くなく、やけどを防止できる。さらに蓋15を備えるので、惣菜などの持ち帰り用容器や弁当用容器などとして極めて有用な収納容器を提供できる。
【0033】
また、この収納容器Aは、予め組み立てた小分け容器体a1、a2を外装体bに貼り付けるという極めて簡単な工程で容易に組み立てることができる。よって、簡単な構造の自動成形装置により迅速に製造することができ、低コストでの提供が可能になる。
さらに、小分け容器体a1、a2の間に形成される隙間30と、外装体bに形成した底壁側切欠き22aおよび側壁側切欠き22bにより、先に組み立てた収納容器Aに対し、次に組み立てた収納容器Aを、互いに貼り付けられた側面板3aと側壁部13との接触を維持するように重ね合わせることができる。そして、先に組み立てた収納容器(重ね合わせた際に外側になる収納容器)Aを枠状の部材(例えば、後述する雌型120)に押し込んで強制的に保持しておけば、次に組み立てた収納容器(重ね合わせた際に内側になる収納容器)Aを同様に枠状の部材(例えば、後述する雌型120)に押し込んで先の週の胃容器Aに重ね合わせると、先の収納容器Aが次の収納容器Aの組み立て状態を強制的に保持する。しかも、これら収納容器Aを重ね合わせた際、膨出状の側面板3aがばね作用を発揮し、側面板3aと側壁部13の貼り付けがより強固になされる。
なお、収納容器Aの製造方法については後に図を用いて詳述する。
【0034】
(他の実施例)
図6は蓋なしの収納容器A'の斜視図を示す。すなわち、この収納容器A'は、前述した蓋付きの収納容器Aから蓋15、差し込み部17、切欠き19、受け板21、側受け板8を除いたものである。それ以外の構成は収納容器Aと同様のため、図6、図7中に前記と同一の符号を付して重複する説明を省略し、相違点のみ以下に述べる。
【0035】
この例の外装体b1を形成する板紙b"は、図8に示すように、四角形の底壁部11における相対向する一対の長辺側の側縁に、折り目12、12を介して一対の側壁部13、13が連設されたもので、蓋15、差し込み部17、切欠き19、受け板21などは備えていない。また、この例の小分け容器体a2'を形成する板紙は図示しないが、前述の板紙a"において、側受け板8を除いたものである。
【0036】
そして、この例においても、前述の実施形態例と同様に、予め組み立てられている小分け容器体a1、a2'、a2'を外装体bの底壁部11に、幅方向をそろえて直線状に連なるよう配置する。この際、小分け容器体a1が中央に、小分け容器体a2'、a2'がその両側に位置すると共に、夫々の小分け容器体a1、a2'、a2'における、外側に膨出する一対の側面板3a、3aが外装体bの側壁部13,13と対峙するよう配置することは言うまでもない。
さらに、前記側壁部13、13を折り目12を介して立ち上げ、前記一対の側面板3a、3aをその側壁部13、13に貼り付けることで、この例の収納容器A'が完成する。またこのとき、外装体bの底壁部11上で隣り合う小分け容器体a1、a2'における、相対向する側面板3b、3bの間には、隙間30が形成される。さらに、外装体bの底壁部11と側壁部13、13に形成された底壁側切欠き22a、側壁側切欠き22bが、その隙間30と連なっている。
なお、この例の収納容器A'の組み立て作業も、特許文献1に記載された本出願人による先提案の技術により、容易かつ迅速に連続して、自動的に行うことができる。
また、この例における収納容器A'の作用効果は、蓋を備えない点を除き、前述の実施形態例と同様であるため重複する説明を省略する。
【0037】
(製造方法)
次に、前述した各実施形態例における収納容器の製造方法を、図9および図10を参照しながら説明する。
【0038】
図9は、前述した収納容器A(またはA')を製造する自動成形装置の要部の断面図で、この自動成形装置により、予め組み立てられた小分け容器体a1、a2、a2(またはa1、a2'、a2')を外装体bの底壁部11に、直線状に連なるよう配置するセッティング工程と、外装体bにおける一対の側壁部13、13を折り目12、12を介して折り曲げ、その側壁部13、13に膨出状の側面板3a、3aを貼り付けて収納容器Aを組み立てる折り曲げ・貼り付け工程と、この収納容器Aを、先に組み立てられその状態を強制的に保持されている収納容器Aに重ねるスタック工程を、順次行うようになっている。
【0039】
自動成形装置は、雄型101と雌型102を備え、雄型101は不図示の駆動機構により所定のストロークをもって上下摺動自在になっており、この雄型101の上方に雌型102が設置されている。雄型101は、前述した三個の小分け容器体a1、a2、a2が上から緩く嵌る凸部111、112、113を備え、夫々の小分け容器体a1、a2、a2を対応する凸部111〜113に上から被せることで、各小分け容器体a1、a2、a2が、外装体bの底壁部11に配置した際と同じ状態で直線状に連なるようになっている
【0040】
雌型102は、上昇してくる雄型101を収容可能な各筒状のもので、その内部に、前記折り曲げ・貼り付け工程を行うための作業位置となる成形スペース103、および、その成形スペース103の上方に位置し前記スタック工程を行うためのスタックスペース104を備えている。雌型102の下方には、前記成形スペース103の下方に位置し前記セッティング工程を行うためのセッティングスペース105が配置されており、セッティングスペース105の下方に、下降位置(図中に二点鎖線で示す雄型101の位置)にある雄型101が配置されている。すなわち、セッティングスペース105、成形スペース103、スタックスペース104は直線状に配置され、これら各スペース105、103、104内を雄型101が上下摺動するようになっている。
【0041】
セッティングスペース105と成形スペース103の間には、雄型101の夫々の凸部111〜113に、対応する小分け容器体a1、a2、a2を自動的に上から被せる容器供給装置(不図示)が設置されている。またこの位置には、板紙b'(または板紙b")を、雄型101の上面に搭載するための板紙供給装置(不図示)が設置されている。
【0042】
そして、まず容器供給装置が作動し、下降位置(初期位置)にある雄型101の夫々の凸部111〜113に、対応する小分け容器体a1、a2、a2を自動的に上から被せることで、これら小分け容器体a1、a2、a2が、外装体bの底壁部11に配置した際と同じ状態となるよう、雄型101上にて直線状に連なる。
夫々の小分け容器体a1、a2、a2における、膨出状の側面板3a、3aの(外装体bの側壁部13、13に貼り付ける側)には、予めホットメルトなどの接着剤が塗布されており、雄型101に内蔵したヒータなどの加熱手段により、そのホットメルトが溶融する。
次いで、板紙供給装置が作動し、板紙b'が雄型101の上面に搭載され、底壁部11の所定箇所に、夫々の小分け容器体a1、a2、a2が位置するセッティング工程が完了する。
【0043】
次に、駆動機構が作動して雄型101が上昇し、雌型102の成形スペース103内に進入する。この時、雌型102の下端開口縁120にて、板紙b'の一対の側壁部13、13を、折り目12を介して折り曲げると共に、それら側壁部13、13に前記各側面板3a、3aを貼り付けて、収納容器Aを組み立てる折り曲げ・貼り付け工程が完了する。
【0044】
さらに、雄型101が上昇を続けスタックスペース104まで至ると、先に組み立てられその状態を雌型102によって強制的に保持されている収納容器Aに、折り曲げ・貼り付け工程が完了した収納容器Aが互いに貼り付けられた側面板3aと側壁部13との接触を維持するように重ね合わさり、スタック工程が完了する。スタック工程が終了すると雄型101は初期位置まで下降し、次のセッティング工程のために待機する。
【0045】
スタックスペース104内においては、先に組み立てられた収納容器Aが、次に組み立てられた収納容器Aの組み立て状態を強制的に保持している。また、これら収納容器A同士において、膨出状の側面板3aがばね作用を発揮し、側面板3aと側壁部13の貼り付けがより強固になされる。
【0046】
このようにして、セッティング工程、折り曲げ・貼り付け工程、スタック工程を順次、繰り返し行うことで、収納容器A(またはA')を、容易かつ迅速に連続して、自動的に製造することができる。
【0047】
また、前記した小分け容器体や外装体用の板紙を予め複数種用意しておくと共に、これに対応して、前記した雄型および雌型を予め複数種用意しておき、これらを適宜選択、交換して用いることができるようにすることで、小分け容器体の数や形状などが異なる収納容器を、一つの自動成形装置で簡単に製造することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態の例を図面に基づき説明したが、本発明はこれら実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
A:収納容器
a1,a2,a2'...小分け容器体、1...底面板、3a,3a...膨出状の側面板、3b,3b...側面板、4...折り込み板、2,5a,5b,6...折り目、30...隙間
b...外装体、11...底壁部、13...側壁部、12,14...折り目、22a...底壁側切欠き、22b...側壁側切欠き
101...雄型、102...雌型、103...成形スペース、104...スタックスペース、105...セッティングスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小分け容器体を、一枚の板紙からなる外装体で連接してなる収納容器であって、
前記各小分け容器体は幅方向の大きさがそろっており、
前記外装体は少なくとも、四角形の底壁部と、該底壁部における相対向する一対の側縁に立ちあがる一対の側壁部とを有し、
前記外装体の底壁部上に前記各小分け容器体が幅方向をそろえて直線状に連なるよう配置されていることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記外装体の底壁部上で相対向する前記小分け容器体の側面板同士の間に隙間を備え、
前記底壁部には、前記隙間の底面側開口に対応する底壁側切欠きが形成され、
前記側壁部には、前記隙間の側面側開口に対応する側壁側切欠きが前記底壁側切欠きに連続して形成されており、
前記隙間、前記底壁側切欠きおよび前記側壁側切欠きにより、複数の収納容器を重ね合わせ可能であり、且つ、重ね合わせた状態において、内側にある収納容器における前記側壁部と前記側面板との貼り付け状態が、外側にある収納容器によって保持されるよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の収納容器。
【請求項3】
前記各小分け容器体は、一枚の板紙の要所の折り曲げと貼り付けにより、上面を開口する容器に組み立てられたものであって、
四角形の底面板と、該底面板の周縁に折り目を介して立ち上がる前後左右の側面板と、隣り合わせた前記側面板同士を連接する略扇形状の折り込み板とを有し、
各側面板は前記底面板の周縁から上面開口へ向けて拡開状であると共に、前記側壁部に貼り付けられる側面板が、外側へ向けて膨出するよう形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の収納容器。
【請求項4】
前記外装体は、前記小分け容器体よりも剛性が高いことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の収納容器。
【請求項5】
前記外装体は、前記小分け容器体よりも熱伝導率が低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の収納容器。
【請求項6】
前記外装体は、前記一対の側壁部のうちのいずれか一方の上縁に、折り目を介して連設された蓋を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の収納容器。
【請求項7】
前記外装体が前記底壁部と前記側壁部からなり、該側壁部における前記側壁側切欠きの上部の切断により、前記小分け容器体ごとに分割可能に形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか記載の収納容器。
【請求項8】
食品用容器または弁当用容器として用いられることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の収納容器。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかに記載された収納容器の製造方法であって、
前記外装体の底壁部に対し、前記複数の小分け容器体を直線状に連なるよう配置するセッティング工程と、
前記外装体における一対の側壁部を折り目を介して折り曲げると共に、該一対の側壁部を前記側面板に貼り付けて収納容器を組み立てる折り曲げ・貼り付け工程と、
前記収納容器を、先に組み立てられた収納容器に重ね合わせて組み立て状態を保持するスタック工程と、
を含むことを特徴とする収納容器の製造方法。
【請求項10】
前記セッティング工程、前記折り曲げ・貼り付け工程、前記スタック工程を行う各作業位置が直線状に配列されており、前記セッティング工程、前記折り曲げ・貼り付け工程および前記スタック工程を連続して行うための雄型が、前記直列状の各スペース内に摺動自在に配されていることを特徴とする請求項9記載の収納容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−17134(P2012−17134A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156747(P2010−156747)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(397051139)株式会社サンエコーエンジニアリング (2)
【出願人】(593188327)株式会社スマイル (3)
【Fターム(参考)】