説明

可変伝動機

【課題】入出力車に同時に加圧力供給すると適正トルクが定まらず伝動不能に至るが同時に弾性力供給すると逆に両車摩擦力を平衡状態に保ち両トルクが安定するので、入出力両車に同時に二つ弾性力の可変加圧制御する為の指令発生形態、指令伝達形態更に加圧操作形態等の思想を確立する可変伝動機を提供する事である。
【解決手段】調節装置内で予め各回転数又は速比に対する各摩擦力又はトルク特性を定めて入出力弾性力指令を分化して供給し、入出力加圧装置に夫々入出力駆動源を個別設置して、更に両加圧装置の一方は速比制御の加圧力供給路とトルク制御用の弾性力供給路とを互に並存させた可変伝動機構成を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般産業機械、車両、電動機等に使う可変伝動機でプーリへ弾性力と加圧力を識別供給して摩擦力安定化と広帯域高効率伝動を果す可変伝動機に関する。
【背景技術】
【0002】
定馬力型ベルト無段変速機の動作は、米国特許第4973288号又は同第5269726号等で開発中だが満足な商品の実現に至らない。入出力車を後者は油圧でまた前者はネジ巻上機で夫々同時加圧する思想である。然しこれ等の思想は決定的かつ重大な機能上乃至原理上の欠陥を持つ。通常出力車が負荷に伝える出力馬力P〔W〕は該回転数N〔rpm〕とトルクT〔Kgm〕との伝動関係式P=1.027×N×Tで決る。回転数はベルトプーリ間接触位置即ち半径比で決まるのに対しトルクは両者間の接触摩擦圧と接触面積で決まる。この事は回転数がプーリ内ベルトの位置決め制御だけで決まるのに対し軸トルクが該プーリとの該面積と常時摩擦圧の可変加圧制御だけで決まる事を意味する。従って無段変速機での所望回転数とトルクの確保策は各プーリに可変径位置決め制御と摩擦圧の可変加圧制御とを識別適用し相互に同期操作すべき事を上述伝動関係式自体が示す。然し上述米国特許思想は仮に入出力車に同期した加圧力の位置決め機能を与えても常時適正なベルト位置を維持する保証は無くまして両車に常時所定摩擦力付与のトルク保証機能は全く無い。この事は上述両特許思想では適正な回転数とトルクの確保と維持ができず定馬力伝動が原理的に不可能な事を示す。
【0003】
これに対し本件出願人は欧州特許出願EP0931960A2号で入出力の二つの各プーリに可変加圧制御と可変径位置決め制御の各機能役割の分化を提案した。然しまだ幾つかの未解決な問題が残る。その第一はベルトプーリ間摩擦力の不安定性であり第二はそれに伴う伝動効率の悪化の問題である。前者は引張型ベルトの低速伝動を不能に到らせる。その原因は直接にプーリへの外部加圧による摩擦力確保策では接触半径又は面積の増大時に摩擦伝動面の摩擦係数が不安定化し摩擦力過剰を招く為である。後者では押込型ベルトでも伝動効率は速比ε=1付近で最大だがそれ以外の速比域は両プーリの接触面積と摩擦力の平衡が崩れて悪化する。即ち両プーリ中接触面積の増大側での摩擦力過剰でベルト食込みによるブレーキ発熱と、接触面積の減少側での摩擦力不足でスリップ発熱が同時発生するのが原因と推測され制御形態を充実する対策が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,973,288号
【特許文献2】米国特許第5,269,726号
【特許文献3】欧州特許出願EP0931960A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の共通解決課題は、入出力車の一方を弾性力でトルク制御してもベルトを経た摩擦力が他方に充分伝達せず満足なトルク伝動が困難だが両車を各弾性力で個別トルク制御すると高精度の安定な高効率伝動が果せその為指令発生形態、指令供給形態更に具体的操作形態等を確立した可変伝動機を提供する事である。
【0006】
本発明の第一解決課題は、入力加圧装置に入力車及びベルト間の弾性摩擦圧の圧力検出器を持つ際には必然的に調節装置の外部指令操作だけで入力車に対し任意の軸トルクを高精度かつ高効率に附与する事を意味する故に入力軸トルクの高精度管理の思想を提示する。
【0007】
本発明の第二解決課題は、入出力両車に弾性力を施し個別に可変加圧操作する基本指令操作形態を確保する為予め調節装置が速比又は回転数に対するトルク又は摩擦力特性を定めて入力及び出力トルク指令として入力及び出力弾性力指令を分化し供給する思想である。
【0008】
本発明の第三解決課題は、可変径車の摩擦力検出の際加圧力供給時は外部指令の巨大過剰摩擦力でベルト移動の為に値が定まらず事実上検出不能だが、弾性力供給時は弾性振動等の乱れ成分が混入する為該成分を除けば相当正確な摩擦力の測定を実現する思想である。
【0009】
本発明の第四解決課題は、入出力車双方で個別弾性力供給し二トルクの同時制御の際はベルトに摩擦力の過剰や不足の問題も解決され常時安定した高効率伝動を確立し更に負荷の変化に伴い伝動能力の必要時に増大し不要時に軽減する操作を瞬時に果す思想である。
【0010】
本発明の第五解決課題は、可変径車に弾性力を施すとベルトプーリ間摩擦圧と接触面積とで軸トルクが決るので摩擦力過剰でも摩擦力不足でもない最適摩擦圧を入出力車双方に付与した際には伝動機に対し伝動負荷に応じた最適伝動効率を常時付与する思想である。
【0011】
本発明の第六解決課題は、車両等で伝動機運転中は高速度回転時にプーリへの供給弾性力値は軽減するが低速時は増大し特に休止中は最高圧縮状態で長期停止する為弾性体のヘタリやベルトプーリ等伝動部材類に損傷を招くのでこの障害を予め阻止する思想である。
【0012】
本発明の第七解決課題は、入出力車の一方に加圧力供給で速比制御し双方に弾性力でトルク制御すると常時ベルトの巨大摩擦圧は伝動しながら増減変化しもし圧縮装置等の指令供給系路から一部が逆転流出すると適正摩擦伝動が阻害されこれを阻止する思想である。
【0013】
本発明の第八解決課題は、伝動機では入出力車の一方で加圧力供給し速比制御する必要上入出力車双方で同時に弾性力供給し両車の一方又は双方でトルク制御する際は狭い可変径車の周囲に摺動装置と弾性装置とを同時設置しかつ個別操作可能にした加圧思想である。
【0014】
本発明の第九解決課題は、入力及び出力車双方で各回転数及びプーリ摩擦圧が検出可能で確認できれば或る速比値に対する軸トルク値に至る摩擦圧も定める事ができその結果入出力車双方で速比対摩擦圧特性も当然特定できる事になり高効率伝動を果す思想である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の共通解決手段は、入出力車双方で個別に弾性力指令でトルク制御を果すには調節装置内の指令発生形態にも該各指令の伝達形態にも各車の加圧装置の構造形態等に工夫を要し主に各指令発生形態と該指令供給形態とを確立した二つのトルク制御を持つ可変伝動機の構造を提示する。
【0016】
本発明の第一解決手段は、ベルトと入力車間摩擦圧の検出器を入力車への弾性力供給系路に直列に設け摩擦圧又はトルク検出値を予め負荷に応じて定めた基準値と対比し入力加圧装置で帰還制御を施し入力車側でも常時高精度のトルク付与を実現できる構成である。
【0017】
本発明の第二解決手段は、入出力両車でトルク制御するには調節装置内で予め個別に演算処理した二トルク指令を分化して供給し更に各指令を各加圧装置を経て各車に伝達する為各加圧装置に電気信号を機械指令に変換する駆動源を個別設置した指令供給形態である。
【0018】
本発明の第三解決手段は、弾性力で機械歪を生む受圧部に該歪を電気量に直す歪ゲージ器を付し、プーリ回転軸芯方向に圧縮する弾性装置又はこれと直列連結の圧縮装置の摺動装置と該軸芯方向には変位しない本体との間に受圧部を介在した摩擦力感知の構成である。
【0019】
本発明の第四解決手段は、入出力加圧装置に摩擦圧検出器を設け調節装置が予め伝動負荷に応じて定めたトルク基準値と対比する為検出値を帰還制御を施し第二及び他方加圧装置で入力及び出力トルクを同時に個別サーボ制御し高精度の安定伝動を果す構成である。
【0020】
本発明の第五解決手段は、入力及び出力加圧装置の各弾性力供給路に直列配置され機械歪を生む受圧部及び該歪から該弾性力検出値を知る歪ゲージ器を持つ圧力検出器を設けて摩擦圧の過剰も不足も無い高精度のトルク付与ができ結果的に高効率を果す構成である。
【0021】
本発明の第六解決手段は加圧装置が伝動機運転中は速比及び二トルク指令で定馬力伝動等を果すが伝動機休止中は高圧縮状態にある弾性体の圧縮を解放する為各加圧装置を共有し停止時は除圧し起動時は加圧する強制的な除圧及び加圧の為の指令を施す構成である。
【0022】
本発明の第七解決手段は、両車にて一速比制御と二トルク制御とを常時高精度管理するには三つの加圧装置の各圧縮装置を摺動装置と付勢装置とで構成しこの両車の一方又は双方に自己反転阻止機能を施し各圧縮装置間で互に逆転流出するのを阻止した構成である。
【0023】
本発明の第八解決手段は、可変径車の回転軸周囲に大きい外径を持つ弾性装置と回転軸方向に変位する二圧縮装置の二摺動装置とが互に同軸同芯円状に上記入力又は出力回転軸を貫通配置する為弾性装置も摺動装置も円環状成形して指令伝達の操作を果す構造である。
【0024】
本発明の第九解決手段は、入出力車の回転数と摩擦圧の検出器を持ち前者で速比を後者でトルクを算出する演算処理装置と予め負荷に応じ定めた記憶装置の速比対摩擦力特性で得た基準値と対比して速比と両トルクが決まる定馬力型又は定トルク型伝動機構成である。
【発明の効果】
【0025】
入出力車双方に加圧力供給すると適正トルクが定まらず短期に伝動不能に陥るが、双方に弾性力供給した場合は斯かる事態は生じない。本発明は加圧力を入力又は出力車の一方のみに供給して速比制御し弾性力は双方に同時供給して可変トルク制御すると両車間で常時トルクの平衡状態を維持できる利点を生み結果的に安定トルク伝動が期待できるので、調節装置内の各指令分化形態、該指令の加圧装置へ伝達形態、該指令で可動車を加圧する操作形態とを確立する事でこの安定トルク伝動に加えて更に次の様な各種の効用を生む。
即ち第一に、入出力車双方で両トルク平衡状態を崩さずに高精度管理が可能で、高負荷時には両車で摩擦力を増圧し逆に軽負荷時には両車で減圧すれば良く伝動負荷の変動に対して円滑かつ瞬時にトルク伝動を追従させ得る。速比負荷とは全く独立して斯かるトルク操作が簡易かつ確実に実現し利便性の高い可変伝動機が確立する。従って供給弾性力に対し実負荷のトルク値が外れる事が無く常時安定した高効率広帯域伝動を維持する。
【0026】
第二に、調節装置内で各車回転数又は速比に対する各車摩擦力又はトルク特性を予め定めこれに従い算出した入力及び出力弾性力指令を入力及び出力トルク指令として付与し更に各加圧装置に夫々個別設置した駆動源に直接供給するので、当然入力及び出力側で互に信号干渉の無い全く独立した弾性力の指令供給系路が構成できる。よって速比が決ると入出力車間で動力が形を変えて移行する際単なる安定伝動以外に高精度管理したトルク伝動が果す利点がある。この事は必然的に常時摩擦力過剰を伴う非効率性が解消し極めて高効率伝動が実現する以外にトルク増減の応答性操作や加速性の立ち上がり等の度合を細かく調整が可能になる事を意味し操作性の自由度が高いトルク管理を果せる効果がある。
【0027】
第三に、ベルト摩擦圧の圧力検出器を出力車側に設置時は出力トルク操作が可能だが当然入力車側に設置時は入力トルク操作も可能になる。仮に出力車摩擦圧を得て入力加圧装置に帰還を加えてもベルトを経由した摩擦伝動が適正化しない時は入力車に摩擦力過剰を招く事があるが、本発明では入力車側でも摩擦力を検出するので、当然入力車に精度の高いトルク制御を独立に達成でき結果的に入出力車双方でトルクの高精度伝動が常時保証でき上述した操作性や利便性は更に増す。定トルク伝動する場合は出力弾性力を操作しなくても入力トルク制御だけで充分に機能する。本発明では圧力検出器が入出力加圧装置の各弾性力供給路に直列設置するので各摩擦力は正確に感知できる効果がある。弾性振動成分をフィルタで除去し付与するので常時正確な摩擦圧又はトルク値が確保できる利点がある。
【0028】
第四に、入出力車の一方車のみでトルク操作する場合に比し、双方でトルク制御する場合は両車の弾性力が個別に自動調芯機能が作用し安定度が大幅に増す為可変速比と可変トルクの双方で高速度の可変応答性も増し、しかも速比と二トルクを可変サーボ制御する際に速比に対する弾性力の増減方向に応じて定馬力型伝動機にも又定トルク型伝動機にも使用でき結果として常時高効率伝動状態に高精度管理できる利点がある。
【0029】
第五に、入出力車の片方しか弾性力供給しない場合は最高効率の速比ε=1付近から外れた大及び小速比域等の端領域で摩擦面積と摩擦力の平衡が崩れ伝動効率が大きく悪化する欠点があるが、双方で弾性力供給する場合は摩擦面積の増大側で摩擦力を軽減し又は摩擦面積の減少側で摩擦力増大する等の対策で効率悪化を回避でき広い帯域で効率の向上がはかれるので結果的に実用上利用できる可変帯域を拡張できる利点がある。
【0030】
第六に、弾性装置に圧縮装置を連結すれば常時可変操作可能だが仮に指令供給を停止しても当然プーリ自体がベルト位置決め操作に伴い可動車が変位するのでこの場合も供給弾性力も変化し弾性摩擦力としてトルク付与に寄与する。特に定馬力型伝動機では入力車に弾性体を設置しただけで速比の増大で入力弾性力も増大し出力トルクも増大するので加圧方向が定馬力伝動の加圧形態と一致しその結果外部指令による加圧制御が無くても本来の定馬力伝動を果す効果が在る。然し伝動機休止中に高圧縮状態にある弾性装置の高圧縮を解放する為の圧縮又は加圧装置は不可欠である。又入出力車双方で弾性力供給する場合でも両車を閉ループ制御する場合だけでなく一方を開ループで他方を閉ループで可変操作も可能である。
【0031】
第七に、伝動機休止中に弾性体を高圧縮状態で長期停止すると、ベルトプーリ間や弾性体等の伝動部材に劣化を招く。本発明はその際別枠で加圧装置を設ける事無く速比やトルクの加圧装置の指令供給路をそのまま共用して該供給路に停止時は弾性体を除圧し起動時は再加圧する為の指令を施すので、結果的に巨大摩擦圧による伝動部材の劣化を回避でき長期安定伝動が保証される。更に入出力車の一方に加圧力と弾性力の両供給路が個別操作可能に同時設置する際は圧縮装置の摺動装置と弾性装置との各変位圧縮方向を一致させ両者をプーリ回転軸と同軸同芯円状に配置し又は該軸芯方向に伸びる伝達軸と軸受で成る圧力伝達装置を用いる事などで伝動機を小型化、軽量化を果す効用がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例可変伝動機の全体構成断面図を、
【図2】同第1実施例の入力車及び入力操作器の断面図を、
【図3】同第1実施例の出力車及び出力操作器の断面図を、
【図4】同第1実施例の各操作器用の駆動源及び調節装置の構成図を、
【図5】同第1実施例の出力操作器に施した圧力検出器の断面図を、
【図6】同第1実施例の速比対接触半径・摩擦力特性で図6Aは入力車側の図6Bは出力車側の夫々の動作特性説明図を、さらに
【図7】同第1実施例の速比対伝動効率特性図を夫々示す。
【図8】本発明の第2実施例可変伝動機の全体構成断面図を、さらに
【図9】同第2実施例の入力車及び入力操作器の断面図を夫々示す。
【図10】本発明の第3実施例可変伝動機の入力車及び入力操作器の断面図を、更に
【図11】同第3実施例の出力車及び出力操作器の断面図を夫々示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明思想は変速伝動装置と変速制御装置を共に油層に納めた湿式型に限定されず、両者を空中に納めた乾型でも又夫々を個別収納しても良い。又伝動形態として本発明は特に定馬力伝動型可変伝動機で大きな効力を発揮するが速比制御のみ単独操作して定トルク伝動型可変伝動機に適用してもよい。制御形態として変速制御装置の操作器は、加圧力と弾性力の識別に際し第一及び第二加圧装置で成る個別加圧方式と、複合装置による複合加圧方式とを開示したが、入出力両操作器を共に個別加圧装置による加圧方式にしても良く又入力側を複合加圧装置による加圧方式に出力側を個別加圧装置による等各種の加圧方式にしても良いので当然入力側に圧力検出器を配し摩擦圧を検出しても良い。その際出力車に図6Bの予備圧は当然可変制御しても良く又必ずしも与える事を要しない。プーリを押圧する加圧装置、複合装置、圧縮装置、弾性装置又は当接装置は全て非回転配置の例を示したが回転状態で使用しても良く、取付位置もプーリの周囲に制約されず油圧ジャッキや梃子の圧力伝達装置にて任意位置に配しても良い。
【0034】
操作器の加圧力と弾性力を切換する例では速比ε=1で優先的に切換える例を示したが任意の速比の時点で切換えを行っても良く、切換操作の基準を速比で無く出力回転数又は出力トルクを優先的な基準に切換えても良い。その際望ましくは該出力回転数とトルクとが共に瞬時の衝撃なく安全にバンプレス切換させる事が好ましい。更に入力動力が内燃機関や直流電動機等の如き該出力回転数が変速する時は可変伝動機の速比制御を或る定速比のままで出力トルクのみを該回転数に応じ入力操作器の単独操作で可変トルク制御を施してトルク変換機にしても良い。尚基準車機能のプーリは回転数制御をまた追従車機能のそれはトルク制御を夫々果すので、操作器が各機能切換した時は当然調節装置から供給される速比及びトルク指令でもある制御指令も同時切換えるべきは明白で該指令も増速・減速の回転数指令と、増圧・減圧のトルク指令とを夫々識別選択して供給制御すべきは当然である。従ってベルトプーリ摩擦面劣化等には該補償した回転数指令を弾性体劣化等には該補償したトルク指令を夫々識別供給すべきである。
【0035】
次に、各装置、部品等の代替化、兼用共用化は各種変更が可能である。加圧装置は圧縮装置が弾性装置又は/及び当接装置と直列連結ならば配列順序は任意である。圧縮装置は指令信号の供給停止後も該押圧位置を安定保持できるなら他の巻上機や油圧ジャッキ又はカム機構等でも良い。弾性装置も皿バネに限る事なく他の如何なる型でも良い。当接装置も他形態で良く例えば各弾性体自体に当接具をもたせ直列配列させても良い。尚夫々の加圧手段である摺動具、摺動体、摺動材等は相互に兼用、共用したり本体、車、圧力伝達装置等の他部材類と代替兼用しても良い。圧力伝達装置や第一及び第二検出器も他の如何なる型式でも良く、例えば圧力伝達装置はプーリ回転軸の中空軸芯内を伝達させても良い。入出力駆動源の制御モータは入力及び出力側の各加圧装置毎に個別配置の例を示したが、駆動源には周知の伝達機や歯車同期嵌合装置等切換器を用いて共用化又は単一化できモータ種類も交流又はステップモータでも良い。尚可動車と弾性体の同時加圧装置では圧縮装置操作量と円板車相対距離間で比例又は反比例し且つ弾性体と弾性力間で夫々反比例又は比例する構成であれば良い。また各操作器は、該各圧縮装置を該第一及び第二各加圧装置に対して夫々個別に又は共用単一に持っても良い。
【0036】
該モータと圧縮装置をもつ加圧装置では、プーリ高圧力に耐えて長期間の高精度の位置決めと加圧値の供給制御を要する。故に操作器の各加圧系路にセルフロック機能即ち逆転阻止機能とモータのオーバラン阻止機能等各制御指令への誤信号要因を積極的に排除する事を要す。従って台形ネジ等金属面接触摩擦手段やウォーム伝達機等一方向伝達機を用いたり、更にクラッチ、ブレーキ機能付モータや逆転阻止機能をもつステップモータの適用がされるべきである。尚圧縮装置の摺動量は、基準車機能の出力車移動量lではプーリ移動分1pのみだが追従車機能の入力車移動量lではプーリ移動分1pと弾性体圧縮量1sが加わり合計移動量は1p+1sとなる。従って回転数指令とトルク指令では操作量も操作方向も互に異なるため、ネジ又はカム等の巻上摺動装置の場合は巻上ピッチ、回転方向、右ネジ・左ネジ等のネジ溝加工方向、歯車伝達機の速比等周知要素を設計に応じて選択すれば良い。
【0037】
次に調節装置90の制御形態は各種考えられ、出力回転数N0又は出力トルクT0に精度を要しない時は予め初期設定した操作量として単一の制御指令を供給すれば良い。それ等に高精度を維持し安定伝動させて可変速可変トルク動作の高速度応答性を優先する時はベルト周長又は弾性体ヘタリの劣化誤差を定期感知し劣化量に応じて回転数又はトルクの各指令に、予めメモリに定めた基準値となる様に補償量をCPUにて算出加味して入力及び出力操作器に与え実質的な回転数、摩擦圧又はトルク値の操作値を付与して開ループにてサーボ制御しても良い。更なるトルクと速比の高精度管理を要する場合には、入出力車の回転数と摩擦圧又はトルク値の各検出値と予めメモリに定めた基準値とを実質的に比較し負帰還制御を入力又は/及び出力側の各操作器に供給する事により閉ループのサーボ操作で高負荷伝動にも極めて高い効率の長期運転を果す。
【実施例1】
【0038】
図1乃至図6に於いて、車両用の可変伝動機10は、入力車1と出力車2間に施すベルト3で成る変速伝動装置10Aと、該同一平面側に入力操作器9と出力操作器8を図4で示す調節装置90で調節する変速制御装置10Bとで構成される。本例では入力操作器9は第一及び第二入力加圧装置11,51でなる個別加圧装置50を更に出力操作器8は出力加圧装置21でなる複合加圧装置40を有し夫々図4に示す駆動源60で付勢される。各加圧装置11,51,21は夫々圧縮装置14,54,24を有し入力弾性装置31と、入力当接装置35と、出力複合装置20とを夫々操作する。入力操作器9は入力車1に第一及び第二入力加圧装置11,51
とで調節装置90が個別に又出力操作器8は出力車2に加圧装置21が単一で速比に応じ夫々弾性力と加圧力を識別供給する能力を有する。尚入出力側に略同等機能部品が存在する為本明細書では各部品名称に「入力」、「出力」の区別を要す時は付すが、前後の記述や図面等で解る時は省く。
【0039】
変速伝動装置10Aは夫々可動車1a,2a と固定車1b,2b を相対向しキーを経て前者が後者に対し軸芯方向に摺動可能に配された可変径プーリ1,2
を含み、夫々入力軸1cと出力軸2cに互に逆向きに配される。各プーリ1,2 は夫々一対の軸受7,6で軸支されて回転し、更に本体10と各可動車1a,2aとの間を夫々一対の軸受5,4で回転力を分離しながら各加圧装置11,51,21で夫々該プーリ可動車を加圧操作している。本体10は、車両等の他伝動機器等を収める第一本体10aと、可変伝動機10を収める第二本体10bとが分離可能に組付される。
【0040】
Vベルト3は、入力車が出力車を引張伝動する引張型と押込伝動する押込型との二種類のベルトが周知で本発明にはこの両者が適用可能である。その構造説明は省略し例えば前者は米国特許第4,493,681号等で又後者は同第3,949,621号等の例示を記述するに留める。尚本実施例思想は特に引張ベルトでもカム機構等の不安定摩擦力の補償対策を付せずに安定伝動を果すので、金属芯体3aを耐熱樹脂、セラミック、金属等の複合材3bを囲む構造の引張型ベルト3で図示する。本発明の変速伝動装置10Aは次に述べる変速制御装置10Bの操作により図7に示す通り広い可変速可変トルク帯域の全帯域で定馬力の動力伝動を高効率で果すものである。
【0041】
各操作器9,8は、対応する各伝達車1,2の可動車1a,2aに加圧力又は弾性力を制御指令に応じて個別に識別供給可能に構成されている。即ち第一加圧装置による加圧力供給は対応伝達車を基準車機能に又第二加圧装置による弾性力供給は対応伝達車を追従車機能に夫々働かせる。ここで、基準車・追従車機能とは、摩擦伝動時の安定要因の設定を基準車側で定め又不安定要因を追従車側で自己収束し整定する機能を云う。即ち基準車機能は摩擦伝動時のベルトの基準位置を定めて出力回転数や速比を決定する機能で、ベルト接触半径を定めるプーリV溝の位置決め制御を意味する。変速操作時はプーリからベルトに加圧力付与して可変径位置決め制御するが速比が決まると実質的に加圧力印加も停止し可動車によるV溝位置は固定されるので通常の定速比プーリと同一条件のV溝を形成する。追従車機能はベルト・プーリの接触面摩粍や内外の外乱振動等の誤差要因が生じても上述位置決め制御とは全く無関係に両者間に常時所定摩擦力の供給維持しその誤差要因を正規伝動状態に瞬時に復帰させる自己整定乃至自動調芯機能を弾性力の働きで果し各軸の軸トルクを決定する機能である。
【0042】
入力操作器9は、本例では入力車1への加圧力供給用の第一入力加圧装置11と弾性力供給用の第二入力加圧装置51と夫々個別に持つ個別加圧装置50の入力加圧装置と駆動源60a,60bとで構成される。第一加圧装置11は入力切換器の当接装置35と第一圧縮装置14との直列構造で、又第二加圧装置51は弾性装置31と第二圧縮装置54との直列構造で夫々構成し両者は共用の摺動体36と軸受5を経てプーリ1の可動車1aを互に回転軸芯方向に平行に加圧する。当接装置35と弾性装置31は入力車1の軸1cの外周に同軸で同芯円上に並列で軸芯方向に平行に配され、又各圧縮装置14,54は同軸上に縦続配列される。従って各加圧装置の加圧形態は、車1aに対し装置14が第二本体10bの内壁から又装置54が外壁から図2の圧力伝達装置70を経て弾性装置31に圧力伝達する。
【0043】
各加圧装置11,51の各圧縮装置14,54は共に摺動装置13,53とこれを付勢する付勢装置12,52とで成る。各摺動装置13,53は、二つの摺動具16,17と56,57並びに両者間を摺動させる押圧装置15,55を有し本例ではボールネジである。摺動装置13は管状形成し入力車1の周囲に又摺動装置53は棒状形成され該軸1の延長上に離隔して位置する。付勢装置12,52は本例では共にウォーム18,58とホイール19,59から成るウォーム伝達機で成り、夫々軸18a,58aに駆動源60a,60bからの速比、トルク指令が入力され摺動装置13,53が一旦位置決めされると制御指令の供給を停止しても該位置を保つセルフロック機能を果す。各加圧装置11,51はテーパローラ5とスラスト軸受5bとの間で非回転状態で車1を加圧する。歯車19のキー19aを経た雄ネジの摺動具16と歯車59に直結の雌ネジの摺動具57とは回転に伴って上下に摺動する事はなく、加圧装置11では摺動具17が又加圧装置51では摺動具56が上下動する。
【0044】
第一加圧装置11の当接装置35は切換器として働き、間隙38を経て配される二つの摺動材36,37で成り、圧縮装置14の作動指令の選択に応じ両者を互に当接する当接動作時と、両者間を離隔させる当接解除時とを調節装置90の制御指令で加圧力の供給と停止を制御される。当接動作時は圧縮装置14が摺動材36,37と軸受5を介し、入力車1に直接加圧力を与えるので該車1が可変径位置決め制御の基準車機能を果す事になる。当接解除時は間隙38を生じ圧縮装置14は入力車1には作用しないので追従車機能のトルク制御が選択できる。本例では摺動材37は圧縮装置14の摺動具17と共用し摺動材36は弾性装置31の摺動体34と共用する。77は自転阻止の回止具である。
【0045】
第二加圧装置51の弾性装置31は中心貫通孔を施され、四枚の皿バネの直列構造で示す弾性体32と、これを両端で加圧する二つの摺動体33,34とで成り、第一摺動装置13の第一摺動具16、17と当接装置35の外周に該貫通孔が同芯配置される。弾性体は弾性振動の伝達を一端で可能で他端で不能に構成し且つ両端が摺動可能な為浮遊状態に支持される。図2の通り弾性装置31は本例では圧縮装置51との間に圧力伝達装置70が配されて弾性体32を直列圧縮し同時に生じた弾性力を摺動体34と軸受5を介し供給するので、この時該車1が可変加圧制御の追従車機能を果す事になる。従って第一加圧装置11の加圧力と第二加圧装置51の弾性力とは共に共通の摺動体34と軸受5を経て互に車1を並列印加する。
【0046】
図2の圧力伝達装置70は、圧縮装置54の摺動具56の端部56aに連結しこれを中心受加圧点から左右対称に延長した第一伝達手段71と摺動体33を兼ねる第二伝達手段74とでなる横伝達手段78と、その両端に連結し摺動具56の軸芯方向に平行に二本の加圧軸72でなる縦伝達手段73と、更に弾性装置31の押圧用加圧軸72,72の摺動方向を円滑案内する軸受と本体貫通孔でなる支持装置79と成る。各手段71,72,73は四角形枠を形成し高加圧でも四角形を保守させる為各軸72,72をリニヤボール軸受75,76を介して本体10dで支持し摺動具56と同方向に加圧する。尚本例では摺動体33と加圧環74を共用し弾性装置31を直列加圧する。
【0047】
図3の出力操作器8は、本例では出力車2への第一加圧装置の加圧力供給と第二加圧装置の弾性力供給とを単一の出力加圧装置21が駆動源60cへの制御指令に応じて両者を夫々識別供給する。操作器9と異なり、出力弾性装置41と出力切換器である出力当接装置45を並列組付した複合装置20を更に単一の出力圧縮装置24で直列組付した複合加圧装置40である出力加圧装置21を持つ。圧縮装置24は2つ摺動具26,27とボールネジ26aの押圧装置25とでなる摺動装置23、更にウォーム28とホイール29で成りセルフロック機能を持つウォーム伝達機の付勢装置22で成る。圧縮装置24及び54の相違点は、摺動装置53は右ネジ加圧されるが摺動装置23は左ネジ加圧された事と、摺動具56は非回転で上下動するが、摺動具26は回転しかつ上下動する為軸受49が配される事と、更に圧縮装置54の全体が振動不能に本体10bに設置されるが、圧縮装置24では摺動装置23のみは伝達車2と弾性装置41との間を弾性振動伝達可能な連動状態又は浮遊状態に支持する為摺動具26は付勢装置22のホイール29との間に軸芯方向に摺動可能にスプライン結合26cを延長配置して回転伝動を可能にした事等がある。
【0048】
軸受49を経て加圧される弾性装置41は環状鍋に形成した摺動体43と、摺動体44との間で収納加圧する複数の皿バネでなる弾性体42を持つ。本例では図2の弾性体32は伝達車側に又図3の弾性体42は本体側に夫々配されるが、共に弾性体32,42の一端は弾性振動可能に他端は振動不能に支持させて摩擦伝動面での振動抑制を効果的に実施する。当接装置45は、二つの摺動材46,47で成り、本例では摺動材47が摺動体43の鍋状外縁で又摺動材46は摺動体44で夫々共用している。図3は中心線の左半分で弾性装置41の軽負荷時には間隙48が介在し当接装置45が当接解除状態で弾性力を又右半分で弾性装置41が所定値を越え当接装置45が当接動作状態で加圧力を夫々伝達車2に識別供給する状態を示す。尚本例の当接動作状態では弾性体42の弾性力Psは加圧力に加わり常時供給する。
【0049】
尚加圧装置21でも加圧装置51と同一構造の縦伝達手段83と横伝達手段88と支持装置89とで成り左右対称に四角形枠の圧力伝達装置80を持つ為類似参照符号を付し説明を省く。相違点は本例では全加圧機構を固定車2bの裏側に配し弾性振動も相互に伝える事である。又図5は加圧装置21の本体10dと複合装置20の一端間に配した第一検出器の圧力検出器94の断面図である。環状の弾性体42と摺動材47とが液封した主ダイヤフラム104を同時に圧縮可能に構成した環状検出端101と、この検出端101の一箇所から放射状に延長して副ダイヤフラム106を変位する導出端102と、この端部に配し半導体歪ゲージをもった圧力−電気信号変換部103と、更に油媒体105とで成る。単に印加弾性力又は加圧力だけで無く定速比運転時での出力摩擦伝達面での摩擦力の値を適正に感知し且つ摩擦圧によるトルクの負帰還制御が可能となる。
【0050】
図4の通り各操作器8,9は、各加圧装置11,51及び21に夫々個別に駆動源60a,60b及び60cを隣接して施し電子調節装置90から制御指令が個別に供給される。各駆動源60には夫々にギヤヘッド64、直流サーボの可逆モータ65,ブレーキ66,エンコーダ67を持ち各対応する参照部品番号に符号a,b,cを付して示す。両操作器には互に同期したサーボ制御を要するが、各圧縮装置14,54及び24の移動操作量は夫々異る為対応の各軸18a,58a及び28aへの制御指令は調節装置90から個別に設けた速比の異なる歯車伝達機61a,61b,61cをもち必要に応じ歯車68,69を付設する。
【0051】
調節装置90は、CPU又は演算処理装置95及び各種RAM,ROMでなる記憶装置96,97を中心としてA/D乃至D/A等の変換増幅器98、伝送バスをもつ入出力装置91を経て入力及び出力情報を導出入する。入力情報はエンジン等のスタータスイッチ等の変速機10の起動指令と、変速指令又は除加圧指令などの制御指令と、図1で第二検出器として伝達車1,2の回転数検出器92,93の回転数と、圧力検出器94からフィルタ99を経たベルトプーリ摩擦接触圧と、更に各エンコーダ操作量Ra,Rb,Rc等である。出力情報は変換増幅器98a,98b,98cから各モータ65a,65b,65cへの操作指令Ea,Eb,Ecとブレーキ指令Ba,Bb,Bcである。
【0052】
記憶装置96は演算処理装置95がプログラマブル制御を実行する基礎情報を持つ。記憶装置97は三つの処理情報で成りメモリ97aはプーリ1が追従車機能でプーリ2が基準車機能で作動する時の制御情報を、メモリ97bはプーリ1が基準車機能でプーリ2が追従車機能で作動する時の制御情報を、メモリ97cは両プーリ1,2の機能切換時の同期操作情報や各操作器8,9を非同期で個別の単独操作した時の定トルク型伝動機とトルク変換型伝動機、入出力弾性力の同時操作や除加圧の為の指令操作等の制御情報を予め記憶される。フィルタ99は弾性力から弾性振動分を除く。上述の各駆動源60および調節装置90の各機器は例えば山洋電気(株)出版「1998〜99サーボシステム総合カタログ」等で既に開示され市販中なので詳細説明は省く。
【0053】
次に第1実施例の動作を述べる。本例の思想は、引張型ベルトを用いて入力又は出力車のいずれの伝達車に対してもベルトプーリ間の接触半径が大きい時は常に該伝達車を基準車機能に、接触半径が小さい時は常に該伝達車を追従車機能に夫々働かせる為に、対応する各操作器からの加圧力又は弾性力を識別して供給制御する事である。本例では入力及び出力回転数N1,N0の速比ε(=N1/N0)が中間域のε=1を基準に切換える場合を述べる。即ち変速領域が、ε>1の大速比域又は低速域では入力車1に追従車機能を出力車2に基準車機能を与え個別操作して成る第一伝動装置Aの伝動形態で、逆にε<1の小速比域又は高速域では入力車1に基準車機能を出力車2に追従車機能を与え個別操作して成る第二伝動装置Bの伝動形態で夫々作動する様に、両操作器8,9と伝動装置の動作形態を切換える。図1は入力車1が最小半径r10で出力車2が最大半径r00なので、操作器9では入力切換器の当接装置35は当接解除状態で弾性装置31の弾性力を、操作器8では出力切換器の当接装置45が当接動作状態で加圧力を夫々供給し第一伝動装置Aを成し、この伝動中に増速指令が供給されたとする。
【0054】
図6は、変速域の速比εを横軸に、ベルトプーリ間摩擦力Pと接触半径rを夫々左右の縦軸に示す動作特性図で、図6Aは入力車の又図6Bは出力車の各特性を示す。起動時は図1の最大速比εmaxの為に入力車1には弾性体32の最大圧縮圧により最大摩擦力が施される。最大張力のVベルト3を経て出力車2のV溝には張力による最大摩擦力が保証される。本例の場合は出力当接装置45が当接動作中でも弾性体42の弾性加圧力は軸受49、摺動装置23及び圧力伝達装置80を経て、図6Bの二点鎖線の基礎圧Ps0は供給され続ける。従って出力車2の摩擦力はベルト張力と基礎圧Ps0が重畳した最大値P0maxになる。増速指令が加わり三つのモータ67が動くと各軸18a,58a,28aが回動し、入力車側では当接装置35の間隙38が挾まるが影響は無く、弾性体32が圧縮装置54により図6Aの通り圧縮がP11に減圧されるのでトルク指令としての供給弾性力も減り入力摩擦力も減る。出力車側ではベルト張力による摩擦力分が減少する為出力摩擦力もP01に減圧し同時圧縮装置21により複合装置20はそのままの状態で圧縮装置21の摺動具26,27間のみが相対変位し、圧力伝達装置80を経て可動車2aを速比指令としての供給加圧力で強制移動しベルト半径をr01に減ずる。この時同時に弾性力の働きで減圧に拘わらず入力車1の半径r10は増しr11に移動する。この一連の動作が同時に同期して行われる。以下同様に再度増速指令が加わると同じ動作を繰返し、速比ε=1に達するまで繰返す。
【0055】
更に増速指令がε=1に達すると当接装置35、45が両切換器として働き二つの操作器8,9の動作が瞬時に切換わる。即ち入力側では当接装置35の僅かに残された間隙38は調節装置90の指令で瞬時に消去し摺動材36,37は当接動作状態に入り弾性体32の弾性力は当接装置35の加圧力に優先的に速比を固定して切換が行われる。出力側では同時に付勢装置22の働きで摺動具26は上昇し複合装置20を減圧するので当接装置45は圧力検出器94から当接解除状態に入り、弾性体42の弾性力が摺動装置23、圧力伝達装置80を経て車2に伝えられる。従ってε<1の小速比域では、入力車1が接触半径を増大し基準車機能で又出力車2が接触半径を減少し追従車機能で成る第二伝動装置Bとして働く事になる。第一伝動装置Aでは出力回転数は出力操作器8で直接制御し、出力トルクは入力操作器9でベルト張力を経て間接制御して双方で一方加圧装置を形成したのに比し、切換後は第二伝動装置Bでは出力回転数が操作器9の速比指令で間接制御され出力トルクが操作器8のトルク指令で直接制御され双方で他方加圧装置を形成する。従って以後は調節装置90による各制御指令と該各補償信号の供給切換がある以外は全く同様に安定伝動を続ける。図3の左半分は増速指令が更に加わり出力回転数での速比εs の出力車2及び加圧装置21の圧縮状態を示す。最小速比εminまで同じ動作をする。
【0056】
逆に再び最大速比εmaxに復帰するには上述と逆回転の減速指令を各モータ65に与える事で上述と逆の動作手順で達成できる。速比ε=1での機能切換は、ベルト3の長手方向の伸びと幅方向の厚味の経年変化の悪影響を無くす為に本例では調節装置90が常時入出力車回転数検出器92,93と圧力検出器94から算出する速比信号εとトルク信号を基準に各加圧装置へのトルク及び速比指令の指令供給の切換をする例を述べる。然も実際には速比ε=1付近での伝動装置A及びB間のハンチングを阻止する為各指令は図6A,6Bに示す通り動作スキ間(Differential)を施して制御される。尚上述の例では操作器9の弾性装置31又は当接装置35の一方のみしか車1の加圧に影響しないので両圧縮装置14,54を常に駆動しても良いが必ずしもそうする必要は無く、車1に影響しない圧縮装置は図2の左側摺動体の如くその期間の制御指令の供給を停止しある圧縮状態で待機しても良くまた切換時のみだけでなく常時両者を同時駆動させれば良い。更に弾性体31,41、プーリ1,2、ベルト3等の伝動部材が長期間の高圧縮圧で磨耗やヘタリ変径劣化した時に各車1,2で所定摩擦力が継続維持でき無くなる恐れが残るが、本例では図1の最大速比状態で伝動運転を停止する際でも調節装置90から加圧装置51,21の高加圧を低加圧に強制的に解除又は加圧する除圧又は加圧の為の指令を与え長期間の運転停止の時の強制解放による経年劣化の阻止対策を施し得る。又各増幅器98は両操作器の切換時のみ直流モータ65を供給電圧又はパルス量操作で急速切換動作でき瞬時速動指令を供給して機能切換しても良い。
【0057】
更に本例では、出力トルクを入力及び出力操作器9、8の間接又は直接加圧制御で果す場合を持つが、各弾性体32,42の劣化した時にも高精度の所望摩擦力を入力及び出力車1、2で保証する為圧力検出器がトルクの算出に使用される。入出力車1、2が基準車機能で働く時でも弾性力供給しても良くクサビ摩擦力は同検出器で常時感知できるので、当然サーボ制御させれば良い。各摩擦力又はトルクの低下時のトルク補償制御は、弾性体31等の劣化の摩擦圧検出値又はトルク検出値を知るCPU95とメモリ97aとで予め負荷に応じて定めた摩擦力又はトルク基準値に適するように入力又は出力操作器9、8に閉ループ制御を施すことによってサーボ制御すれば良く、他にも開ループ制御等で所定摩擦力供給での可変トルク制御を任意に制御する事が達成できる。出力回転数を入力又は出力操作器9、8の間接又は直接位置決め制御で行う際回転数検出器93を用いた時も同様である。
【0058】
本例の効用は、両車1,2のベルトプーリ間の接触半径又は面積が減少時は高圧の弾性力の常時供給を維持し続けるので加圧不足に因る滑りを解消し、接触半径又は面積が増大時は変速動作時以外には弾性力を全く印加しないか又は可変制御した弾性力を加えるだけなので摩擦係数変動や摩擦力過剰の不安定化を招く事が無く、必要以上の外部加圧に因るベルトの巻込み現象に伴う伝動不良が解消する。故に本明細書及び請求項で「実質的な非加圧」とは摩擦伝動に悪影響の無い範囲内で積極的に弾性力を可変制御しても良い事を意味する。その結果図7の通り二つの効率特性の各最高効率域のズレを利用して大速比域での第一伝動装置Aと小速比域での第二伝動装置Bとを両最高効率域間の中間域で単に安定連結するだけで無く両変速領域を安定のまま大幅に拡大し広帯域化ができる事を示し、所望摩擦力の安定維持が確立する為に高速度の変速応答性を果しかつ低速域及び高速域の該変速領域の両端域でも高効率伝動を果す。然も最大の利点はベルト巻込み現象が解消する為従来周知の押込型ベルトだけで無く引張型ベルトを、カム機構等の調整装置を全く付さずに適用できる点に有る。尚各操作器の機能切換位置は必ずしも速比ε=1に制約されず任意に変更可能である。
【実施例2】
【0059】
図8及び図9は第2実施例可変伝動機を示す。第2実施例が第1実施例との相違点は入力操作器9の構成のみにあり実質的な第一及び第二伝動装置A,B
の機能切換による可変トルク制御及び可変径位置決め制御動作は全く同一である。そこで同一又は類似機能の部材には第1実施例と同じ参照番号を付し相違点を述べる。構造上の相違点は、入力操作器9が出力操作器8と同様に単一の圧縮装置14と複合装置30の直列連結で複合加圧装置50′の入力加圧装置11を形成した点である。複合装置30は第二入力加圧装置51の弾性装置31と第一入力加圧装置11の当接装置35とを予め並列に圧縮組付してある。本例では摺動装置13の摺動具17と、弾性装置31の摺動体33と、更に当接装置35の摺動材37が一体共用化して複合装置20に相異し圧縮状態で両端閉止した円環鍋型収納枠を成す。該室内に複数皿バネの弾性体32を収め摺動体34を兼用する摺動材36及び37とで弾性体32を圧縮収納してある。図6A,6Bの各摩擦力特性の実線で示す通り入力弾性体32は高加圧域特性Ps1を出力弾性体42は低加圧域特性Ps0を夫々担うので、第1実施例と同様に通常は前者が後者より大きい弾性圧縮圧の皿バネが選定されるがベルトプーリ間摩擦係数によっても変化する。摺動材37は可動材37aと可動材37bとの間でネジ39が施され当接装置35の当接又は解除状態の動作点を可調整にしてある。当接装置45も同様に構成しても良い。
【0060】
複合装置30と20の相違点は弾性体の圧縮動作方向が互に逆である。複合装置30が予め圧縮収納した弾性体閉止型だが同装置20では開放型である。動作上も図6A,6B と同様に変速機10が第一伝動装置Aで作動中は操作器8が加圧力でベルト3を位置決め制御する為、当接装置35では図8の間隙38が生じ弾性体32が有効に働く。然し第二伝動装置Bに移ると、操作器8が弾性力の可変加圧制御域に入り同時に当接装置35も間隙38は消失し操作器9が図9の当接動作状態に移るので、小速比域では実質的に弾性体32の機能は無効になり、入力車1が基準車機能として作動する。尚ベルト3は無端帯体3aと多数ブロック3bとの押込型で示す。
【0061】
本例の効用は第1実施例と略同様だが更に小型軽量化が果せる。然し複合装置30が閉止型の為変速機の停止中に劣化防止策用の弾性体32を除圧操作できないが弾性体32に圧縮圧に経年変化が生じても出力トルク制御に圧力検出器94を使う為CPU95とメモリ97cが出力車2での所定摩擦力を常時調節するので弾性力の劣化減少分は入力操作器9の操作量を増す補償操作で障害を克服できる。検出器無しでも少ない劣化の弾性材を使用して長期伝動に耐えさせ又はネジ39で再調整すれば良い。
【実施例3】
【0062】
図10及び11は、本発明の共通ベース思想を示す第3実施例であり、両操作器とも常時機能切換せずに第一伝達装置Aを構成する可変伝動機の夫々入力車及び出力車断面図である。本例では変速領域の全域で、入力操作器9はトルク指令で常時弾性力供給する可変加圧制御によるトルク制御の追従車機能を又出力操作器8は変速時の速比指令で加圧力供給し定常時に無加圧の可変位置決め制御による速比制御の基準車機能を夫々果す。ベルトプーリ間で大摩擦力を得る為に伝達車に巨大外部圧を施す方法は摩擦係数が安定せず摩擦力過剰による伝動不能に到る。特にこの傾向は入力車1よりも出力車2で生じ易い。その理由は出力回転数Nの方がより小さくなり逆に出力トルクTはその分増大する事を要するからである。本例では制御指令供給時は加圧力供給してもそれ以外の定速比運転時は出力車2のV溝に対し加圧装置による外部圧を全く与えず単に定速比プーリのV溝と同等の構成である。所定出力トルクの確保は入力操作器9で追従車機能する入力車1の弾性摩擦力にて与えたベルト張力のみで決定させた思想である。図中のチェーンベルト3の様にプーリ内巻込現象が生じ易い引張型ベルトでも又生じ難い押込型ベルトでもその型式に因らず、大速比域での安定伝動と高効率伝動を果す。
【0063】
構造的には入力操作器9は、図9の操作器9から当接装置35を除去して弾性装置31を圧縮装置14が直列圧縮する弾性加圧装置51と駆動源60bとでなる。出力操作器8は、図1,3又は図8の操作器8から複合装置20を除去し、摺動装置23と付勢装置22を直結した圧縮装置24にて変速動作時だけ加圧力を施し出力車2を可変径位置決め制御の基準車機能を果す構造である。他の構造は第1,第2実施例と同一なので同一の参照符号を付して詳細な説明を省く。尚圧力検出器94の検出端101はホイール29のスラスト軸受4bでの圧力を感知する為摩擦力の値は可動車2a、圧力伝達装置80を経て圧縮装置24と本体10d間で常時感知でき他実施例と同様調節装置90にて操作器9にサーボ制御を施しそれを更に開又は閉ループ制御を施す事で適正な摩擦力管理による任意のトルク制御が達成できる。
【実施例4】
【0064】
上述実施例で入出力車のいずれか一方が弾性力による追従車機能を持つ理由はベルトの周長伸びや厚味摩粍等の誤差要因の吸収能力を弾性力自体に持たせて常時安定伝動の維持を果させる為である。従って入力操作器9を図10の構造で又出力操作器8を図3の構造で夫々組立てた可変伝動機であっても又入力弾性体32が出力弾性体42よりバネ圧を大きく選定し実質的に加圧力として機能する時は安定伝動を果す。そこで本発明では入力及び出力車に同時に弾性力供給して両車でトルク制御を行ってもよいが少なくとも同時に加圧力供給状態にすべきでは無い。従って、両操作器8、9の一方を個別加圧装置又は複合加圧装置で他方を圧縮装置が弾性装置を直列圧縮する弾性加圧装置として両操作器でトルクの可変加圧制御をしても良いので不可に応じた可変トルク制御が可能である。従ってこの時各加圧装置が第3実施例等の様に当接装置等の切換器を持つ必要は無く、更に入力車1に図10の操作器9を又出力車に図示しない定速比プーリを施しても出力トルクを入力操作器で調節する本発明思想は達成できると共に本発明の範囲に含む。
従って本発明は「特許請求の範囲」から当業者が容易に創作しうる範囲内に於いて各種の変更、変形を加えても該範囲に包含される。
【0065】
実施態様1において、出力プーリは可変径型又は定速比プーリで該ベルト接触半径が一定である可変伝動機。実施態様2において、調節装置は予め負荷に応じ定めた速比対入出力摩擦力設定圧基準値を収めた記憶装置と演算処理装置でプログラマブル制御した可変伝動機。実施態様3において、調節装置は摩擦圧又はトルクの検出値と設定摩擦圧又はトルク基準値との夫々偏差に応じた補償量を入力操作器への操作量に加味した閉ループ制御又は入出力トルクに応じ予め定めた弾性力指令を施す開ループ制御をしてなる可変伝動機。実施態様4において、各圧縮装置は二摺動具間に押圧装置を施した摺動装置と該押圧装置を動かす付勢装置とでなり該摺動装置及び付勢装置の一方又は双方に自己反転阻止機能を持たせてなる可変伝動機。実施態様5において、第一入力及び出力加圧装置は二摺動材が該相互間間隙の有無で当接又は解放状態に応じて上記各プーリ可動車に加圧力供給の有無を制御可能な入力及び出力当該装置を持つ可変伝動機。実施態様6において、各弾性装置は、弾性体及び該弾性体の両端に配した二摺動体で成り、弾性力振動の伝達を一端で可能に他端で不能に支持した該弾性体の一端又は他端を各圧縮装置で圧縮した可変伝動機。
【0066】
実施態様7において、調節装置は該速比がε=1の時点に切換えてなる可変伝動機。実施態様8において、調節装置は各操作器の切換の際に該動作時点に速比減少と増大時の間で動作スキ間を有する可変伝動機。実施態様9において、各操作器は該入力操作器に複合加圧装置を又該出力操作器に個別加圧装置を夫々施した可変伝動機。実施態様10において、調節装置は変速機停止中に該第二及び複合加圧装置の各弾性装置の圧縮を解放状態にする可変伝動機。実施態様11において、調節装置は本体と該出力圧縮装置及び弾性装置との間に入出力摩擦力を感知する圧力検出器をもつ可変伝動機。実施態様12において、入力又は/及び出力操作器は受加圧点から左右に伸びる上側及び下側の横伝達手段と、該各横伝達手段の端部間を互に繋げた二本の加圧軸でなる縦伝達手段と、更に該縦伝達手段を本体及び軸受で摺動可能に支える支承体とでなる圧力伝達装置を持つ可変伝動機。
【0067】
実施態様13において、各操作器は該プーリ周囲に配した該各弾性装置又は当接装置、該各圧縮装置、若しくは該各加圧装置と、該プーリ離隔地の該圧縮装置、該弾性装置又は当接装置、若しくは該プーリ軸受との間を夫々圧力伝達装置で互に圧力伝達してなる可変伝動機。実施態様14において、第一及び第二加圧装置は該各圧縮装置の一方を環状で該プーリ軸を貫通させ他方を該軸延長上に施す可変伝動機。実施態様15において、第一及び第二加圧装置は互に円環状の該弾性装置と該当接装置を該プーリ軸芯方向に平行に施した可変伝動機。実施態様16において、第一及び第二加圧装置は該プーリ可動車の軸受と該弾性及び当接装置の共用摺動体とを経て加圧した可変伝動機。実施態様17において、両操作器は一方を該個別加圧装置で他方を圧縮装置が弾性装置を直列圧縮する弾性加圧装置でなる可変伝動機。
【0068】
実施態様18において、複合加圧装置は円環状をなす該弾性装置の内側又は外側に該当接装置を互に同芯円上に配した可変伝動機。実施態様19において、複合加圧装置は二摺動材間の間隙を制御する該当接装置と、二摺動体及び弾性体でなる該弾性装置とを一方の該摺動体にて一端閉止の円環状型枠に形成した単一複合装置を持つ可変伝動機。実施態様20において、複合加圧装置は該二摺動材の一方を該型枠摺動体に又他方を該弾性体と該一方摺動材間に摺動可能に配し予め最小圧縮圧Ps1で封じた閉止型でなり上記入力操作器に配した可変伝動機。実施態様21において、複合加圧装置は該摺動材の一方を該型枠摺動体で又他方を本体で夫々共用し該両摺動材の当接時に該弾性体の最大圧縮圧Ps0を供給する開放型でなり上記出力操作器に配した可変伝動機。実施態様22において、両操作器は一方を該複合加圧装置で他方を圧縮装置が弾性装置を直列圧縮する弾性加圧装置でなる可変伝動機。
【符号の説明】
【0069】
1,2 プーリ
3 ベルト
8,9 操作器
10 可変伝動機又は本体
11,21,51 加圧装置
12,22,52 付勢装置又はウォーム伝達機
13,23,53 摺動装置
14,24,54 圧縮装置
15,25,55 押圧装置
30,20 複合装置
31,41 弾性装置
35,45 当接装置又は切換器
40 複合加圧装置
50 個別加圧装置
60 駆動源
70,80 圧力伝達装置
90 調節装置
92,93 第二検出器又は回転数検出器
94 第一検出器又は圧力検出器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、
該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施す入力及び出力加圧装置と繋ぐ入力及び出力駆動源に、調節装置は夫々直結し予め分化し個別算出した入力及び出力弾性力指令を夫々入力及び出力トルク指令として上記入力及び出力駆動源に施し該入力及び出力トルクを互に独立操作してなる可変伝動機。
【請求項2】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、
該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施しかつ入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、上記入力車摩擦圧検出値を得る入力検出器と、更に該検出器から得た摩擦圧又はトルク検出値を帰還して予め負荷に応じて定めた摩擦圧又はトルク基準値と対比し上記入力加圧装置にトルク制御のトルク指令を上記第一加圧装置に速比指令を施す調節装置とを有してなる可変伝動機。
【請求項3】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、
該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施しかつ入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、該入力及び出力車の各摩擦圧検出値を得る検出器と、該検出値から得た摩擦圧又はトルクを帰還し予め負荷に応じて定めた基準値と対比し上記入力及び出力駆動源で操作して入力及び出力トルクをサーボ制御する調節装置とを有してなる可変伝動機。
【請求項4】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施し入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、該弾性力に応じて機械歪を生む受圧部に該歪から該弾性力検出値を知る歪ゲージ器を付す入力及び出力検出器と、該両駆動源に指令を施す調節装置とを有し、上記各検出器の上記受圧部は弾性力供給路と直列でかつ上記各圧縮装置の摺動装置又は上記各弾性装置と本体との間に介在させ、上記調節装置は入力又は出力車の弾性摩擦力又はトルク値を得てなる可変伝動機。
【請求項5】
請求項3において、上記可変伝動機は、該検出値から弾性振動成分を除くフィルタと、摩擦圧と速比から得た摩擦面積とからトルク値を算出し該摩擦圧又はトルクを帰還して入力及び出力加圧装置で対応車軸トルクをサーボ制御する調節装置とを有する可変伝動機。
【請求項6】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、入力及び出力加圧装置は該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施し入力及び出力駆動源を連結すると共に、調節装置が上記伝動機運転中は伝動負荷に応じて二つのトルク指令を又上記伝動機休止中は停止の際に高加圧圧縮状態にある上記入力又は/及び出力弾性装置の高圧縮を解放し起動の際に加圧する強制的な除圧及び加圧の為の指令を上記第入力又は/及び出力駆動源に施してなる可変伝動機。
【請求項7】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が上記入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た各弾性力を施し入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、該両駆動源に指令を施す調節装置とを有し、上記第一加圧装置が並設される上記入力又は出力加圧装置は、上記第一圧縮装置を二摺動具間が変位する第一摺動装置で構成し上記入力又は出力弾性装置の中心貫通孔に対応車回転軸又は上記第一摺動装置を貫通し該一方貫通孔内側又は上記入力又は出力弾性装置外側に更に上記摺動具の一方又は双方を同軸同心円状に貫通し、上記調節装置は速比指令及びトルク指令を個別付与させてなる可変伝動機。
【請求項8】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力でトルクを施し入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置は、上記各圧縮装置を二摺動具間が変位する各摺動装置と指令を施す各付勢装置とで構成し該各摺動装置又は/及び該各付勢装置に自己反転阻止機能を持たせかつ上記第一圧縮装置と上記入力又は出力圧縮装置との該両摺動装置又は/及び該両付勢装置を対応車回転軸芯上に順次同軸の縦続配列させる事で調節装置は三つの上記各圧縮装置から機械的な加圧力及び弾性力指令の逆転流出を互に阻止して伝達してなる可変伝動機。
【請求項9】
請求項7において、上記入力又は出力加圧装置は上記各付勢装置が自己反転阻止機能を持つウォーム伝達機で構成し各ホイール回転軸芯が該対応車回転軸芯上に順次同軸の縦続配列させ上記調節装置が上記各伝達機ウォーム軸に可変指令を供給してなる可変伝動機。
【請求項10】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、
該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力を施しかつ入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、該両駆動源にトルク指令を施す調節装置とを有し、上記各圧縮装置を二摺動具間が変位する各摺動装置で構成し第一摺動装置と該入力又は出力弾性装置との間或いは夫々該入力又は出力摺動装置と該入力又は出力弾性装置との間で円環状成形した該摺動装置及び該弾性装置が同軸同芯円状に上記入力又は出力回転軸に貫通配置して指令供給してなる可変伝動機。
【請求項11】
入力又は出力車を第一加圧装置の第一圧縮装置で速比制御するベルト可変伝動機において、該入力及び出力車に夫々入力及び出力圧縮装置が入力及び出力弾性装置の直列圧縮で得た弾性力でトルクを施し入力及び出力駆動源を持つ入力及び出力加圧装置と、該入力及び出力車の回転数及び摩擦圧検出値を得る入力及び出力検出器と、演算処理装置で該検出値から得た速比と両車軸トルク又は摩擦力との検出値を夫々記憶装置に予め負荷に応じて定めた基準値と対比し該速比又は回転数と該両トルク又は摩擦力とを操作して上記入力及び出力車間で定馬力型又は定トルク型の伝動制御する調節装置とを有してなる可変伝動機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−36619(P2013−36619A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223339(P2012−223339)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2010−180686(P2010−180686)の分割
【原出願日】平成12年6月9日(2000.6.9)
【出願人】(593006320)東京自動機工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】