説明

可変動弁エンジン

【課題】吸気量を調量するように開閉制御される吸気弁がシリンダヘッドに配設され、シリンダヘッドに設けられる吸気ポートに、吸気チャンバを中間部に有するとともにスロットル弁を有することのない吸気系が接続される可変動弁エンジンにおいて、吸気チャンバの容積が大きくなり過ぎないようにする。
【解決手段】吸気チャンバ80の容積の総排気量に対する比率が所定値以上に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気量を調量するように開閉制御される吸気弁がシリンダヘッドに配設され、シリンダヘッドに設けられる吸気ポートに、吸気チャンバを中間部に有するとともにスロットル弁を有することのない吸気系が接続される可変動弁エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のたとえば自動車では、走行状態に応じて吸入空気量をスロットル弁で制御するエンジンが用いられており、このようなエンジンでは、たとえば特許文献1で開示されるように、スロットル弁の下流側に吸気チャンバを備える吸気系を用いると、スロットル弁で吸気系が閉塞されるので略大気圧一定を維持し得なくなり、吸気チャンバ内の圧力が変動し、アイドル安定性や加速時の応答性が損なわれ、吸気系が本来有している吸気の動的効果を充分に活かせないことがある。その対策として、吸気チャンバの下流側に各気筒毎のスロットル弁が配設される吸気系を用いることもあるが、このような構造では吸気管の中央をスロットルシャフトが横切るので、吸気流れの阻害による吸気の動的効果低下を来し、しかもスロットル弁および吸気弁間の距離も比較的大きいために応答性についても充分な性能が得られない。
【0003】
一方、特許文献2で開示されるように、吸気弁の開閉制御によって吸気量を調量することにより、吸気系にスロットル弁を介在させることのないようにしたエンジンも既に提案されており、このようなエンジンでは、上記不具合が解消される。
【特許文献1】特開2002−89385号公報
【特許文献2】特許第3494049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献2で開示されるようなエンジンにあっては、吸気チャンバの容積を大きく設定することにより、吸気チャンバ内の圧力を略大気圧一定に維持することが可能となるが、吸気チャンバの容積が大き過ぎると、自動車の狭いエンジンルーム内への設置が困難となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、吸気弁で吸気量を調量することで吸気系にスロットル弁を介在させないようにした上で、吸気チャンバの容積が大きくなり過ぎないようにした可変動弁エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、吸気量を調量するように開閉制御される吸気弁がシリンダヘッドに配設され、シリンダヘッドに設けられる吸気ポートに、吸気チャンバを中間部に有するとともにスロットル弁を有することのない吸気系が接続される可変動弁エンジンにおいて、前記吸気チャンバの容積の総排気量に対する比率が所定値以上に設定されることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記所定値が、エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の少なくとも1つを考慮して設定されることを特徴とする。
【0008】
さらに請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の全てを満足する前記所定値が1.7であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、総排気量に対する吸気チャンバの容積の比率が所定値以上に設定されることにより、吸気チャンバの必要最小限の容積を定め、吸気チャンバの容積が必要以上に大きくならないようにして、吸気チャンバを狭いスペースでも容易に設置することができる。
【0010】
また請求項2記載の発明によれば、エンジンの運転に関連する重要要件の少なくとも1つを考慮して設計できるので、吸気チャンバの設計自由度を増大することができる。
【0011】
さらに請求項3記載の発明によれば、吸気の動的効果を充分に得るとともに空燃比の制御性を高め、さらに吸気音の放出を抑えることが可能となる。すなわち総排気量に対する吸気チャンバの容積の比率に対して体積効率は図15で示すように変化するものであり、吸気チャンバの容積が総排気量の1.7倍となるポイントを境に体積効率の変化の勾配が変化しており、吸気チャンバの容積が総排気量の1.7倍未満では吸気チャンバ内の圧力が大気圧を維持できなくなり、吸気の動的効果が充分に得られない。しかも吸気チャンバ内の圧力が大気圧を維持できなくなって負圧になると気筒別の空燃比にばらつきが生じ、空燃比制御にも問題が生じる。また総排気量に対する吸気チャンバの容積の比率に対して放出される吸気音の音圧レベルは図17で示すように変化するものであり、吸気チャンバの容積が総排気量の1.7倍となるポイントを境に音圧レベルの勾配が変化しており、吸気チャンバの容積が総排気量の1.7倍以上に設定されることにより、充分な動的効果を得るとともに空燃比の制御性を高め、吸気音の放出を抑えることが可能となり、エンジンルーム内で最大効率を達成し得るように吸気チャンバを配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図17は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は車両搭載状態での可変動弁エンジンの側面図、図2は図1の2矢視図、図3は図1の3矢視図、図4は図3の4−4線矢視図、図5は吸気弁用動弁装置の縦断側面図、図6は吸気弁用動弁装置の分解斜視図、図7はアクチュエータの縦断側面図、図8は吸気チャンバおよび上流側吸気管の平面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は図8の10−10線断面図、図11は図8の11−11線断面図、図12は図11の12−12線矢視方向から見た第2チャンバ半体の平面図、図13は補強プレートおよび下流側吸気管の平面図、図14は図12の14−14線拡大断面図、図15は総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による体積効率の変化を示す図、図16は総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による空燃比のばらつき度合いを示すグラフ、図17は総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による吸気音の変化を示す図である。
【0014】
先ず図1〜図4において、車両の前部には、クランクシャフト21の軸線Cを車両の幅方向に沿わせた複数気筒たとえば4気筒のエンジン本体22が搭載されており、各気筒は、前記軸線Cと平行な気筒配列方向23に並んでエンジン本体22に設けられる。このエンジン本体22の前方には、エンジン本体22を冷却して昇温した冷却水を冷却するためのラジエータ24と、車両に装備される空気調和装置のコンデンサ25とが、前記気筒配列方向23に並んで配置されており、ラジエータ24およびコンデンサ25の後部には、ラジエータファン26およびコンデンサファン27が付設される。
【0015】
前記エンジン本体22は、前記クランクシャフト21を回転自在に支承するクランクケース28と、該クランクケース28に結合されるシリンダブロック29と、シリンダブロック29に結合されるシリンダヘッド30と、シリンダヘッド30に結合されるヘッドカバー31とを備えるものであり、車両の進行方向前方を向いた状態でクランクケース28の左端には変速機を収納するミッションケース32が、前記エンジン本体22の左側方かつ該ミッションケース32の上方に空きスペースを形成するようにして結合される。
【0016】
前記シリンダヘッド30の前方側に臨む一側壁30a(図1参照)には、各気筒毎の吸気ポート33…が設けられており、それらの吸気ポート33…に吸気系34が接続される。また前記シリンダヘッド30の後方側に臨む他側壁30b(図1参照)には各気筒毎の排気ポート35…が設けられており、それらの排気ポート35…には、遮熱カバー36で上方から覆われる排気マニホールド37が接続される。
【0017】
図5および図6において、シリンダヘッド30には、各吸気ポート33…毎に一対の吸気弁38…が開閉作動作動可能に配設されており、各吸気弁38…を開閉駆動する吸気側動弁装置39は、吸気側動弁カム40を各気筒毎に有する吸気側カムシャフト41と、吸気側動弁カム40に従動して揺動するとともに各気筒毎に一対の吸気弁38…に共通に 連動、連結される吸気側ロッカアーム42と、吸気弁38…の作動特性のうち開弁リフト量を連続的に変化させるリフト可変機構43とを各気筒毎に備える。
【0018】
シリンダヘッド30には、各気筒の両側に配置されるようにして上部ホルダ44…が締結されており、各上部ホルダ44…と協働して吸気側カムシャフト41を回転自在に支承するキャップ45…が上部ホルダ44…の上面に締結される。
【0019】
吸気側ロッカアーム42の一端部には、一対の吸気弁38…におけるステム38a…の上端に上方から当接するタペットねじ46…が進退位置を調節可能として螺合される弁連結部42aが設けられる。また吸気側ロッカアーム42の他端部には、第1支持部42bと、第1支持部42bの下方に配置される第2支持部42cとが相互に連なって設けられ、第1および第2支持部42b,42cは、吸気弁38…とは反対側に開いた略U字状に形成される。
【0020】
吸気側ロッカアーム42の第1支持部42bには、吸気側カムシャフト41の吸気側動弁カム40に転がり接触するローラ47が第1連結軸48およびニードルベアリング49を介して軸支されるものであり、ローラ47は略U字状である第1支持部42bに挟まれるように配置される。
【0021】
リフト可変機構43は、前記吸気側ロッカアーム42の第1支持部42bに一端部が回動可能に連結されるとともに他端部が吸気側ロッカシャフト50で回動可能に支承される第1リンクアーム51と、前記吸気側ロッカアーム42の第2支持部42cに一端部が回動可能に連結される第2リンクアーム52と、第2リンクアーム52の他端部を回動可能に支承する可動支軸53と、該可動支軸53をその軸線と平行な軸線まわりに角変位させることを可能として可動支軸53に連結されるコントロール軸54とを備える。
【0022】
第1リンクアーム51の一端部は、吸気側ロッカアーム42の第1支持部42bを両側から挟むように略U字状に形成されており、ローラ47を吸気側ロッカアーム42に軸支する第1連結軸48を介して第1支持部42bに回動可能に連結される。また第1リンクアーム51の他端部を回動可能に支承する吸気側ロッカシャフト50は、前記上部ホルダ44で支持される。
【0023】
第1リンクアーム51の下方に配置される第2リンクアーム52の一端部は、吸気側ロッカアーム42の第2支持部42cに挟まれるように配置され、第2連結軸55を介して第2支持部42cに回動可能に連結される。
【0024】
ところで、両吸気弁38…は図示しない弁ばねによって閉弁方向にばね付勢されるものであり、閉弁方向にばね付勢されている両吸気弁38…を吸気側ロッカアーム42で開弁方向に駆動しているときに吸気側ロッカアーム42のローラ47は、弁ばねのばね付勢力によって吸気側動弁カム40に接触しているのであるが、吸気弁38…の閉弁状態では、前記弁ばねのばね付勢力は吸気側ロッカアーム42に作用することはなく、ローラ47が吸気側動弁カム40から離れてしまい、吸気弁38…の微小開弁時における弁リフト量の制御精度が低下してしまう可能性がある。そこで、弁ばねとは別のロッカアーム付勢ばね56により、前記ローラ47を吸気側動弁カム40に当接させる方向に吸気側ロッカアーム42が付勢される。
【0025】
コントロール軸54は、一列に並ぶ複数気筒に共通な単一のものであり、吸気側ロッカアーム42の両側に配置されるウエブ54a…と、両ウエブ54a…の基端部外面に直角に連なるジャーナル部54b…と、両ウエブ54a…間を結ぶ連結部54c…とを各気筒毎に有して一体のクランク形状に構成され、可動支軸53は、両ウエブ54a…間を結ぶようにしてコントロール軸54に連結される。しかも前記ジャーナル部54b…は、前記上部ホルダ44…と、各上部ホルダ44…の下面に締結される下部ホルダ57…により回動可能に支承される。
【0026】
ところで吸気弁38…が閉弁状態にあるときに第2リンクアーム52を吸気側ロッカアーム42に連結する第2連結軸55は、コントロール軸54のジャーナル部54b…と同軸上にあり、コントロール軸54がジャーナル部54b…の軸線まわりに揺動すると、可動支軸53はジャーナル部54b…の軸線を中心とする円弧上を移動することになる。
【0027】
可動支軸53が下降する方向にコントロール軸54が回動し、吸気側カムシャフト41の吸気側動弁カム40でローラ47が押圧されると、吸気側ロッカシャフト50、第1連結軸48、第2連結軸55および可動支軸53を結ぶ四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム42が下方に揺動し、タペットねじ46…が吸気弁38…のステム38a…を押圧し、吸気弁38…を低リフトで開弁する。
【0028】
また可動支軸53が上昇する方向にコントロール軸54が回動し、吸気側カムシャフト41の吸気側動弁カム40でローラ47が押圧されると、前記四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム42が下方に揺動し、タペットねじ46…が吸気弁38…のステム38a…を押圧し、吸気弁38…が高リフトで開弁する。
【0029】
図7を併せて参照して、気筒配列方向23に沿うコントロール軸54の一端部、すなわちコントロール軸54が備える複数のジャーナル部54b…のうち前記気筒配列方向23に沿う一端側のジャーナル部54bは、エンジン本体22におけるシリンダヘッド30の左側端壁外面に取付けられるアクチュエータ60の収納ボックス61内に突入される。
【0030】
アクチュエータ60は、電動モータ62と、収納ボックス61内に突入された前記ジャーナル部54bの一端に電動モータ62の回転動力を伝達する動力伝達手段63とを備える。
【0031】
収納ボックス61は、シリンダヘッド30とは反対側を開放した箱形に形成されるケース部64aならびに該ケース部64aの一側側壁に連なって下方に延びる支持壁部64bを一体に有するボックス主体64と、ケース部64aの一側側壁および支持壁部64bを外側方から覆うようにしてボックス主体64に締結される椀状のケース65と、ケース部64aの開口端を閉じるようにしてボックス主体64に締結される蓋部材66とから成り、ボックス主体64および蓋部材66は共締めによりシリンダヘッド30に取付けられる。
【0032】
電動モータ62は、ケース部64aの下方に配置されて支持壁部64bに取付けられるものであり、収納ボックス61内には、電動モータ62の回転動力をコントロール軸54の一端部であるジャーナル部54bに伝達するための動力伝達手段63が収納される。
【0033】
動力伝達手段63は、収納ボックス61内に突入されたジャーナル部54bの一端部にキー67を介して基端部が固定されるコントロールアーム68と、ジャーナル部54bの軸線と直交する平面に軸線が配置されるねじ軸69と、ねじ軸69に螺合するナット部材70と、該ナット部材70にピン71で一端が連結されるとともに他端が一対のピン72…を介してコントロールアーム68に連結される連結リンク73と、ねじ軸69および電動モータ62間に設けられる減速ギヤ機構74とを備える。
【0034】
コントロールアーム68は収納ボックス61のケース部64aに収納されており、電動モータ62と平行な軸線を有して横方向に延びる軸線を有してケース部64a内に大部分が収納されるねじ軸69の一端部はケース部64aの一側側壁から突出される。
【0035】
減速ギヤ機構74は、電動モータ62の出力軸62aおよびねじ軸69間に設けられてケース65内に収納されるものであり、出力軸62aに固定される駆動ギヤ75と、該駆動ギヤ75に噛合してねじ軸69の一端部に固定される被動ギヤ76とから成る。
【0036】
このような吸気側動弁装置39において、電動モータ62の作動によって可動支軸53を無段階に変位させることで吸気弁38…のリフト量を無段階に変化させることが可能であり、それにより吸気弁38…で吸気量を調量することを可能とし、吸気系34にスロットル弁が設けられることが不要となる。
【0037】
再び図1〜図4において、吸気系34は、ラジエータファン26およびコンデンサファン27と、エンジン本体22との間に配置されるようにしてシリンダヘッド30の一側壁30aに対向する吸気チャンバ80を中間部に有するものである。
【0038】
図8〜図11において、吸気チャンバ80は、下方に開いた椀状である第1チャンバ半体81と、上方に開いた椀状である第2チャンバ半体82とが相互に結合されて成るものであり、第1および第2チャンバ半体81,82は、アルミニウム合金等の軽合金により形成される。
【0039】
第2チャンバ半体82が深い椀状に形成されるのに対して、第1チャンバ半体81は浅い椀状に形成されており、そのような第1および第2チャンバ半体81,82の形状の相違により、第1チャンバ半体81自体の剛性は第2チャンバ半体82自体の剛性よりも弱くなっている。
【0040】
しかも第2チャンバ半体82の底部には、一対の支持脚部83,83が下方に延びるようにして一体に突設されており、これらの支持脚部83…は、クランクケース28に取付けられるブラケット84(図4参照)に弾性部材85…を介して支持される。
【0041】
吸気チャンバ80の一部を構成する第1チャンバ半体81の上面には、シリンダヘッド30の一側壁30aに設けられた吸気ポート33…に個別に対応した複数(この実施例では4つ)の接続筒部86…が上方に開放した接続口87…をそれぞれ形成しつつ上方にわずかに突出するようにして一体に設けられており、吸気チャンバ80は、エンジン本体22の気筒配列方向23に沿って各吸気ポート33…から一方側(この実施例では車両前方を向いた状態で左側)にずれた位置に各接続口37…を配置するとともに気筒配列方向23に沿うエンジン本体22の一端よりも側方に一端を張り出すように配置される。
【0042】
この吸気チャンバ80の容積はエンジンの総排気量に対して所定値以上の比率を有するように設定されるものであり、その設定にあたってはエンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の少なくとも1つが考慮され、たとえば前記エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の全てを満足するようにして、前記所定値は1.7に設定される。
【0043】
前記各接続口37…には、シリンダヘッド30の吸気ポート33…側に延びる下流側吸気管88…の上流端が接続されるものであり、各下流側吸気管88…は、下方に向けて開いた略U字状にして同一形状に形成される。しかも各下流側吸気管88…は、平面視では前記気筒配列方向23に対して斜めに交差するように配置される。
【0044】
一方、シリンダヘッド30の一側壁30a…には各吸気ポート33…に共通であるフランジ89が締結されるものであり、各吸気ポート33…に個別に対応してフランジ89に結合される接続管90…に、前記下流側吸気管88…の下流端がコネクタ91…を介してそれぞれ接続される。これにより下流側吸気管88…の下流端は各吸気ポート33…に個別に接続される。しかも図3で示すように、気筒配列方向23に沿う前記吸気チャンバ80の幅D1は前記フランジの幅D2よりも大きく設定される。
【0045】
またシリンダヘッド30の一側壁30aに対向する位置に、吸気チャンバ80と、気筒配列方向23に沿って吸気チャンバ80の他方側に配置される発電機92とが、気筒配列方向23に並んで配置されており、前記下流側吸気管88…は、吸気チャンバ80側に向かうにつれて前記発電機92から遠ざかる側に傾斜するように配置されている。
【0046】
さらに吸気チャンバ80内には、下流側吸気管88…の上流端に個別に接続される複数の上流側吸気管93…が収容されるものであり、それらの上流側吸気管93…は、下流側吸気管88…の気筒配列方向23に対する傾斜方向と鋭角をなして気筒配列方向23に斜めに交差する平面内で略U字状に彎曲するように形成される。
【0047】
図9に特に注目して、第1チャンバ半体81に設けられる接続筒部86…内には、上端の接続口87と、上方に臨む第1段部94を接続口87との間に形成して接続口87よりも小径に形成される小径孔95と、下方に臨む第2段部96を小径孔95の下端との間に形成して小径孔95よりも大径に形成される第1嵌合孔97と、第1嵌合孔97の下端に小径端を連ならせるととも下方に向かうにつれて大径となるテーパ面98と、テーパ面98の大径端との間に下方に臨む第3段部99を形成してテーパ面98の大径端に連なる第2嵌合孔100とが同軸にそれぞれ設けられる。
【0048】
下流側吸気管88…の上流端は第1段部94に当接されるまで接続口97に嵌合された状態で接続筒部96に全周にわたって溶接される。一方、上流側吸気管93…の下流端部には、鍔部材101が半径方向外方に張り出すようにして溶接されており、上流側吸気管93…の下流端を第2段部96に当接するまで第1嵌合孔97に嵌合したときに前記鍔部材101の外周は第2嵌合孔100に嵌合される。しかも上流側吸気管93…の下流端外周には前記鍔部材101で保持されるOリング102が装着されており、このOリング102が、上流側吸気管93…の下流端外周およびテーパ面98間に介装されることで、上流側吸気管93…の第1チャンバ半体81への接続部がシールされる。このようにして上流側吸気管93…の下流端が、第1チャンバ半体81を介して下流側吸気管88…の上流端に接続され、下流側吸気管88…の下流端が吸気ポート33…に接続されることになる。
【0049】
第2チャンバ半体82の外周の複数箇所には、図12で示すように挿通孔105…が設けられており、それらの挿通孔105…に挿通されるボルト106…が第1チャンバ半体81に螺合されることで、第1および第2チャンバ半体81,82が相互に結合されるのであるが、そのような第1および第2チャンバ半体81,82の結合部を補強するための補強プレート107が、吸気チャンバ80内に収容される。
【0050】
図13を併せて参照して、上流側吸気管93…の中間部は、補強プレート107を貫通するとともに補強プレート107に溶接される。すなわち各上流側吸気管93…は補強プレート107で支持されることになる。しかも前記補強プレート107の周縁部は、たとえば第2チャンバ半体82側に曲がる折り曲げ部107aを形成するようにして屈曲成形される。
【0051】
補強プレート107の周方向複数箇所には、第1チャンバ半体81の周縁部の複数箇所に設けられる取付け座108…に螺合されるボルト109…を挿通するための挿通孔110…が設けられており、ボルト109…を締めつけることにより補強プレート107が第1チャンバ半体81に取付けられる。しかも前記取付け座108…および挿通孔110…は、第1および第2チャンバ半体81,82を相互に締結する複数の締結箇所すなわち第2チャンバ半体82に設けられている複数の挿通孔105…間に配置されており、補強プレート107は、第1および第2チャンバ半体81,82を相互に締結する複数の締結箇所間で第1チャンバ半体81に取付けられることになる。
【0052】
図14を併せて参照して、第2チャンバ半体82の内周の周方向複数箇所にはリブ111…が一体に設けられており、それらのリブ111…は、補強プレート107を第1チャンバ半体81に取りつけるためのボルト109…の頭部に近接、対向する柱状の離脱阻止部111a…と、第2チャンバ半体82の内周および離脱阻止部111a…間を結ぶ連結部111b…とを一体に備えるものである。
【0053】
また補強プレート107には、上流側吸気管93…の上流側開口端を臨ませる2つの切欠き部112,113が設けられており、吸気チャンバ80内に収容される上流側吸気管93…の上流端開口部への新気流入阻害を回避する形状に補強プレート107が形成される。
【0054】
再び図1〜図3において、ラジエータファン26の後方に配置されるエンジン本体22のシリンダヘッド30に、吸気弁38…を開閉制御して吸気量を調量するためのアクチュエータ60が取付けられるのであるが、ラジエータファン26およびアクチュエータ60間に配置される吸気チャンバ80により、図1の白抜き矢印で示すように、ラジエータファン26からの温められた背風がアクチュエータ60に直接当たることが阻止される。
【0055】
しかもラジエータファン26およびコンデンサファン27は、背風を図3の矢印114で示すように、左右いずれか一方(この実施例では車両を前方から見たときに左方)に偏向させるように図2の矢印115で示す方向に回転方向を定めて配置されており、アクチュエータ60は、エンジン本体22のシリンダヘッド30の左右端壁のうちラジエータファン26からの背風偏向方向とは反対側の端壁に取付けられている。
【0056】
ところで、吸気チャンバ80の第1チャンバ半体81に一体に設けられる吸気導入筒部116には、エアクリーナ118に連なる接続ダクト120の下流端がコネクタ121を介して接続される。またエアクリーナ118のクリーナケース119には、外部から外気を吸入するための吸気ダクト122が一体に設けられるのであるが、吸気ダクト122の上流開口端は、前記ラジエータファン26およびコンデンサファン27からの背風偏向方向とは反対側でエンジン本体22の側方(この実施例では車両を前方から見たときにエンジン本体22の右側方)に配置されている。
【0057】
さらに前記エアクリーナ118は、冷却手段124によって冷却されるものであり、この冷却手段124は、車両の前方からの走行風をアクチュエータ60に直接当てる送風路125を構成するようにエンジン本体22の前方に配置される複数の部品が配置されて成るものであり、この実施例では、前記複数の部品は、吸気チャンバ80、該吸気チャンバ80からシリンダヘッド30の吸気ポート33…側に延びる下流側吸気管88…のうち車両前方から見たときに最も右側に配置される下流側吸気管88、ならびに吸気チャンバ80およびエアクリーナ118間を結ぶ接続ダクト120であり、車両前方から見たときに前記下流側吸気管88…、吸気チャンバ80および接続ダクト120が、アクチュエータ60まで直線的に延びる送風路125を形成するように配置される。
【0058】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、吸気系34の一部を構成する吸気チャンバ80の容積は、エンジンの総排気量に対する比率が所定値以上となるように設定されるものであり、それにより吸気チャンバ80の必要最小限の容積を定め、吸気チャンバ80の容積が必要以上に大きくならないようにして、吸気チャンバ80を狭いスペースでも容易に設置することができる。
【0059】
しかも前記所定値は、エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の少なくとも1つを考慮して設定されるものであり、エンジンの運転に関連する重要要件の少なくとも1つを考慮して設計できるので、吸気チャンバ80の設計自由度を増大することができる。
【0060】
さらに前記所定値はエンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の全てを満足するように1.7に設定されており、それにより吸気の動的効果を充分に得るとともに吸気音の放出を抑えることが可能となる。すなわち総排気量に対する吸気チャンバ80の容積の比率に対してエンジンの体積効率は図15で示すように変化するものであり、吸気 チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍となるポイントを境に体積効率の勾配が変化しており、吸気チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍未満では吸気チャンバ80内の圧力が大気圧を維持できなくなり、吸気の動的効果が充分に得られない。
【0061】
しかも容量を増大することで吸気チャンバ80内の圧力をほぼ大気圧に維持し、他気筒の脈動の干渉を防止することが可能であり、他気筒の脈動の影響を受けないようにすることで各気筒への吸気量を同一にすることが可能であり、各気筒毎に燃料噴射量を補正する等の複雑な制御をすることなく空燃比の制御性を高めることができる。
【0062】
すなわち吸気チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍未満たとえば1.5倍では吸気チャンバ80内の圧力が大気圧を維持できなくなって負圧になり、図16(a)で示すように、気筒別の空燃比にばらつきが生じ、空燃比制御にも問題が生じるものであり、それに対し、吸気チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍以上たとえば1.7倍では、吸気チャンバ80内の圧力が大気圧を維持することができ、図16(b)で示すように、気筒別の空燃比のばらつきが小さく抑えられ、空燃比制御が容易となる。
【0063】
また総排気量に対する吸気チャンバ80の容積の比率に対して放出される吸気音の音圧レベルは図17で示すように変化するものであり、吸気チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍となるポイントを境に音圧レベルの勾配が変化しており、吸気チャンバ80の容積が総排気量の1.7倍以上に設定されることにより、吸気音の放出を抑えることが可能となる。
【0064】
吸気チャンバ80は、シリンダヘッド30の各吸気ポート33…に個別に接続されるべき複数の接続口87…を上部に有しており、気筒配列方向23に沿って各吸気ポート33…から一方側にずれた位置に各接続口87…を配置するとともに気筒配列方向23に沿うエンジン本体22におけるシリンダヘッド30の一端よりも側方に一端を張り出すようにしてシリンダヘッド30の一側壁30aに対向、配置されている。しかも各接続口87…から吸気ポート33…側に延びるようにして同一形状に形成される複数の下流側吸気管88…が、平面視では気筒配列方向23に対して斜めに交差するように配置される。
【0065】
したがって吸気チャンバ80をエンジン本体22側に近接させつつ吸気チャンバ80の容量を増大することが可能である。またエンジン本体22に近接させることで吸気チャンバ80の設置スペースを小さく設定可能とした上で、下流側吸気管88…の管長の設定自由度を増大することが可能であり、吸気管形状の最適化により各気筒の吸気慣性効果を最大限利用可能であり、出力の最大効率を達成することができる。
【0066】
また各下流側吸気管88…の下流端が共通に接続されるフランジ89が各吸気ポート33…に共通にしてシリンダヘッド30の一側壁30aに締結され、気筒配列方向23に沿う吸気チャンバ80の幅D1がフランジ89の幅D2よりも大きく設定されるので、吸気チャンバ80の容量をより増大することが可能となり、上記効果をより一層高めることができる。
【0067】
またシリンダヘッド30の一側壁30aに対向する位置に、吸気チャンバ80と、気筒配列方向23に沿って吸気チャンバ80の他方側に配置される発電機92とが気筒配列方向23に並ぶようにして配置され、下流側吸気管88…は、吸気チャンバ80側に向かうにつれて発電機92から遠ざかる側に傾斜するように配置されるので、シリンダヘッド30の一側壁30aに対向する位置に発電機92が配置されるにもかかわらず、よりコンパクトに吸気チャンバ80および各下流側吸気管88…を配置することができる。
【0068】
さらに吸気チャンバ80内には、下流側吸気管88…の上流端に個別に接続される複数の上流側吸気管93…が収容されており、それらの上流側吸気管93…は、気筒配列方向23と斜めに交差する平面内で略U字状に彎曲するように形成されるので、下流側および上流側吸気管88,93全体の管長の設計自由度を高めることが可能であり、特に、吸気チャンバ80内での上流側吸気管93の管長の設計自由度を高めることができる。
【0069】
ところで、吸気チャンバ80は、第1および第2チャンバ半体81,82を相互に結合して構成されるものであり、第1および第2チャンバ半体81,82の結合部を補強する補強プレート107が、第1および第2チャンバ半体81,82の結合面の近傍で第1チャンバ半体81に取付けられるので、補強プレート107の両面のシール性を考慮する必要がなく、部品点数を低減することができるとともに両チャンバ半体81,82の組付けを容易とすることができる。しかも両チャンバ半体81,82間に挟むためのフランジ部を補強プレート107に設けることが不要となり、補強プレート107の軽量化を図ることができる。
【0070】
しかも第1チャンバ半体81自体の剛性は第2チャンバ半体82自体の剛性よりも弱いものであり、第1および第2チャンバ半体81,82のうち、それ自体の剛性が弱い第1チャンバ半体81に補強プレートが取付けられるので、第1チャンバ半体81の剛性を高めて、吸気チャンバ80全体の剛性を高めることができる。また補強プレート107の周縁部が折り曲げ部107aを形成するように屈曲成形されているので、補強プレート107の剛性を高めることができる。
【0071】
また第1および第2チャンバ半体81,82は複数箇所で相互に締結され、それらの締結箇所間に位置する複数箇所で補強プレート107が第1チャンバ半体82に取付けられるので、吸気チャンバ80の膜面振動に対する剛性を高めることができる。
【0072】
さらに補強プレート107はボルト109…で第1チャンバ半体81に取付けられるのであるが、各ボルト109…に近接対向するリブ111…が、第2チャンバ半体82に設けられるので、第1チャンバ半体81から補強プレート107が脱落することを防止した上で吸気チャンバ80の膜面振動に対する剛性を高めることができる。
【0073】
しかも吸気チャンバ80内に収容される上流側吸気管93…が補強プレート107で支持されており、振動に対する上流側吸気管の耐久性向上を図ることができる。また補強プレート107は、上流側吸気管93…の上流端開口部への新気流入阻害を回避する形状に形成されており、上流側吸気管93…への新気流入が補強プレート107で阻害されることがないようにして、エンジンの出力向上を図ることができる。
【0074】
ところで上流側吸気管93…の下流端は、第1チャンバ半体81を介して下流側吸気管88…の上流端に接続されるものであり、組立性を高めることが可能となる。すなわち補強プレート107を両チャンバ半体81,82の結合面間に挟むようにした構造では、吸気チャンバ80内に収容される上流側吸気管93…を補強プレート107で支持するようにした場合には、吸気チャンバ80内の上流側吸気管93…および下流側吸気管88…の接続部ならびに下流側吸気管88…の吸気チャンバ80への接続部のシールを同時に考慮する必要があり、加工および組付けを高精度とする必要があるが、補強プレート107を第1チャンバ半体81に取付けるとともに第1チャンバ半体81を介して上流側吸気管93…および下流側吸気管88…を接続するようにした構成では、第1チャンバ半体81に上流側吸気管93…および下流側吸気管88…と、補強プレート107とを組付ければよいので、高精度の加工および組付けが要求されることはなく、組立性を高めることが可能となるのである。
【0075】
さらに吸気弁38…を開閉制御して吸気量を調量するので、吸気チャンバ80を含む吸気系34にスロットル弁が介在されることはなく、それにより吸気音が外部に放出され易いが、吸気チャンバ80を補強プレート107で補強することで、吸気チャンバ80の膜面剛性を高めて吸気音の低減を図ることができる。
【0076】
吸気弁38…を開閉制御するアクチュエータ60はエンジン本体22のシリンダヘッド30に取付けられており、エンジン本体22の前方に配置されるラジエータファン26からの背風は、吸気系34の一部を構成してラジエータファン26およびアクチュエータ60間に配置される吸気チャンバ80により、アクチュエータ60に直接当たることが阻止される。これにより、ラジエータファン26が回転する機会が多いアイドル運転時にも、ラジエータファン26からの背風による熱影響がアクチュエータ60に及ばないようにしてアイドル運転を安定化させることができ、しかも吸気チャンバ80が背風防御手段を兼ねるので、背風防御のための専用部材が不必要であり、部品点数の増大を回避しつつ、構造の簡素化を図ることができる。
【0077】
またラジエータファン26は、背風を左右いずれか一方に偏向させるようにしてエンジン本体22の前方に配置され、アクチュエータ60が、エンジン本体22の左右端壁のうちラジエータファン26からの背風偏向方向とは反対側でシリンダヘッド30の端壁に取付けられているので、アクチュエータ60側に向かうラジエータファン26からの背風量をより少なくし、アイドル運転をより安定化させることができる。
【0078】
また吸気系34が上流端に備える吸気ダクト122の上流開口端が、ラジエータファン26からの背風偏向方向とは反対側でエンジン本体22の側方に配置されるので、吸気ダクト122にラジエータファン26からの背風が極力回り込まないようにして、エンジンの出力向上およびアイドル安定性の両立を図ることができる。
【0079】
さらに前記アクチュエータ60は、冷却手段124によって冷却されるものであり、この冷却手段124は、車両の前方からの走行風をアクチュエータ60に直接当てる送風路125を構成するようにエンジン本体22の前方に複数の部品が配置されて成るものであり、この実施例では、前記複数の部品が、吸気系34の一部を構成する吸気チャンバ80、吸気チャンバ80から吸気ポート33側に延びる下流側吸気管88、ならびに吸気チャンバ80およびエアクリーナ118間を結ぶ接続ダクト120であり、車両前方から見たときに下流側吸気管88、吸気チャンバ80および接続ダクト120が、アクチュエータ60まで直線的に延びる送風路125を形成するように配置される。
【0080】
したがってエンジン本体22の前方に配置される複数の部品を利用してアクチュエータ60を走行風で冷却することができ、部品点数の増大を回避しつつアクチュエータ60を冷却することができる。しかも下流側吸気管88、吸気チャンバ80および接続ダクト120は吸気系34を構成するものであり、走行風が当たっても走行風が暖気化することはなく、アクチュエータ60を効率的に冷却することができる。
【0081】
このようにして冷却手段124によりアクチュエータ60が冷却されることにより、低負荷運転時にも、アクチュエータ60が熱影響を受けないようにして吸気量を高精度に制御することができる。
【0082】
本発明の他の実施例として、図1および図2において鎖線で示すように、車両の前部に一端を開口してアクチュエータ60まで延びるダクトを冷却手段126として用いるようにしてもよく、このようにすれば、ラジエータファン26からの背風およびエンジン本体22からの放射熱等の影響を受けることなく外気によってアクチュエータ60を効率良く冷却することができる。この際、前記冷却手段124はエンジン本体22または車体に支持されればよく、またダクトの後端開口面積を絞るようにすれば、ノズル効果で冷却効果をより高めることができる。
【0083】
図18は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみで詳細な説明は省略する。
【0084】
吸気チャンバ80′は、下方に開いた椀状である第1チャンバ半体81′と、上方に開いた椀状である第2チャンバ半体82′とが相互に結合されて成るものであり、この吸気チャンバ80′内には、第1実施例と同様に、第1チャンバ半体81′の接続管部86…、下流側吸気管88…および接続管90…(第1実施例参照)を介してシリンダヘッド30の吸気ポート33…(第1実施例参照)に連なる上流側吸気管93…が収容されており、それらの上流側吸気管93…は第1チャンバ半体81′に取付けられる補強プレート107で支持される。
【0085】
しかも上流側吸気管93…の上流端開口部の指向方向が、エアクリーナ118(第1実施例参照)に接続されるべく第1および第2チャンバ半体81′,82′の一方に設けられる接続管部116′の指向方向と異なって設定される。而してこの第2実施例では、上流側吸気管93…の上流端が斜め上方に指向して開口しているので、第1および第2チャンバ半体81′,82′のうち下方の第2チャンバ半体82′に、斜め下方に向けて指向する接続管部116′が設けられる。
【0086】
この第2実施例によれば、吸気音の低減に寄与することができる。すなわち吸気系がスロットル弁を有しないことに起因して吸気音が吸気系から大気に放出され易いのであるが、吸気チャンバ80′内での上流側吸気管93′の上流端開口部の指向方向が、第2チャンバ半体82′に設けられる接続管部116′の指向方向と異なるので、吸気系の上流端であるエアクリーナ118側への吸気音の伝播を抑え、吸気音の低減に寄与することができるのである。
【0087】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0088】
たとえば上記実施例では、吸気弁38のリフト量を連続的に可変とすることで吸気量を調量するようにした可変動弁エンジンについて説明したが、特許文献2(特許第3494049号公報)で開示されるように、ソレノイドで開閉駆動される吸気弁の閉弁時期を可変とすることで吸気量を調量するようにした可変動弁エンジンについても本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1実施例における車両搭載状態での可変動弁エンジンの側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】図1の3矢視図である。
【図4】図3の4−4線矢視図である。
【図5】吸気弁用動弁装置の縦断側面図である。
【図6】吸気弁用動弁装置の分解斜視図である。
【図7】アクチュエータの縦断側面図である。
【図8】吸気チャンバおよび上流側吸気管の平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】図8の11−11線断面図である。
【図12】図11の12−12線矢視方向から見た第2チャンバ半体の平面図である。
【図13】補強プレートおよび下流側吸気管の平面図である。
【図14】図12の14−14線拡大断面図である。
【図15】総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による体積効率の変化を示す図である。
【図16】総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による空燃比のばらつき度合いを示すグラフである。
【図17】総排気量に対する吸気チャンバ容積の比率による吸気音の変化を示す図である。
【図18】第2実施例の吸気チャンバの図11に対応した断面図である。
【符号の説明】
【0090】
30・・・シリンダヘッド
33・・・吸気ポート
38・・・吸気弁
34・・・吸気系
80,80′・・・吸気チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気量を調量するように開閉制御される吸気弁(38)がシリンダヘッド(30)に配設され、シリンダヘッド(30)に設けられる吸気ポート(33)に、吸気チャンバ(80,80′)を中間部に有するとともにスロットル弁を有することのない吸気系(34)が接続される可変動弁エンジンにおいて、前記吸気チャンバ(80,80′)の容積の総排気量に対する比率が所定値以上に設定されることを特徴とする可変動弁エンジン。
【請求項2】
前記所定値が、エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の少なくとも1つを考慮して設定されることを特徴とする請求項2記載の可変動弁エンジン。
【請求項3】
前記エンジン出力向上、吸気音の消音および空燃比制御性の全てを満足する前記所定値が1.7であることを特徴とする請求項2記載の可変動弁エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−242012(P2006−242012A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55470(P2005−55470)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】