説明

合金の製造装置

【課題】保磁力が高い希土類磁石を製造可能な合金の製造装置を提供する。
【解決手段】ストリップキャスト法により合金溶湯を鋳造する鋳造装置2と、鋳造後の鋳造合金を破砕する破砕装置21と、破砕後の鋳造合金薄片Nを保温する保温装置3と、保温後の鋳造合金薄片Nを貯蔵する貯蔵容器5とを少なくとも備え、保温装置3は、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを収納する保温コンテナ32と、保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nを保温する保温ヒータと、保温コンテナ32を傾斜させて保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nを貯蔵容器5に送出させる傾斜装置33とから構成されている合金の製造装置1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金の製造装置に関するものであり、特に、R−T−B系合金(ただし、RはYを含む希土類元素のうちの少なくとも1種以上の元素であり、TはFeを必須とする金属であり、Bはホウ素である)からなる希土類元素含有合金の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石の中で最大の磁気エネルギー積を有するR−T−B系磁石は、その高特性からHD(ハードディスク)、MRI(磁気共鳴映像法)、各種モーター等に使用されている。近年、R−T−B系磁石の耐熱性向上に加え、省エネルギーへの要望が高まっていることから、自動車を含めたモーター用途の比率が上昇している。
R−T−B系磁石は、主成分がNd、Fe、Bである事からNd−Fe−B系、あるいはR−T−B系磁石と総称されている。R−T−B系磁石のRは、Ndの一部をPr、Dy、Tb等の他の希土類元素で置換したものが主であり、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種である。TはFeの一部をCo、Ni等の金属で置換したものである。Bは硼素であり、一部をCまたはNで置換できる。また、R−T−B系磁石には、添加元素としてCu、Al、Ti、V、Cr、Ga、Mn、Nb、Ta、Mo、W、Ca、Sn、Zr、Hfなどを1種または複数組み合わせて添加してもよい。
【0003】
R−T−B系磁石となるR−T−B系合金は、磁化作用に寄与する強磁性相であるR14B相を主相とし、非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のRリッチ相が共存する合金である。R−T−B系合金は、活性な金属であることから一般に真空又は不活性ガス中で溶解や鋳造が行われている。また、鋳造されたR−T−B系合金塊から粉末冶金法によって焼結磁石を作製するには、合金塊を3μm(FSSS:フィッシャーサブシーブサイザーでの測定)程度に破砕して合金粉末にした後、磁場中でプレス成形し、焼結炉で約1000〜1100℃の高温にて焼結し、その後必要に応じ熱処理、機械加工し、さらに耐食性を向上するためにメッキを施し、焼結磁石とするのが普通である。
【0004】
R−T−B系焼結磁石において、Rリッチ相は、以下のような重要な役割を担っている。
1)融点が低く、焼結時に液相となり、磁石の高密度化、従って磁化の向上に寄与する。
2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーションサイトを減少させ保磁力を高める。
3)主相を磁気的に絶縁し保磁力を増加する。
従って、成形した磁石中のRリッチ相の分散状態が悪いと、局部的な焼結不良、磁性の低下をまねくため、成形した磁石中にRリッチ相が均一に分散していることが重要となる。Rリッチ相の分布は、原料であるR−T−B系合金の組織に大きく影響される。
【0005】
また、R−T−B系合金の鋳造において生じるもう一つの問題は、鋳造された合金中にα−Feが生成することである。α−Feは、変形能を有し、破砕されずに破砕機中に残存するため、合金を破砕する際の破砕効率を低下させるだけでなく、破砕前後での組成変動、粒度分布にも影響を及ぼす。さらに、α−Feが、焼結後も磁石中に残存すれば、磁石の磁気特性の低下をもたらす。
【0006】
R−T−B系合金中にα−Feが生成する問題を解決するため、より速い冷却速度で合金塊を鋳造するストリップキャスト法(SC法と略す。)が開発され実際の工程に使用されている。
SC法は、内部が水冷された銅ロール上に溶湯を流して0.1〜1mm程度の薄片を鋳造することにより、合金を急冷凝固させる方法である。SC法では、溶湯を主相R14B相の生成温度以下まで過冷却するため、合金溶湯から直接R14B相を生成することが可能であり、α‐Feの析出を抑制することができる。さらに、SC法を行なうことにより合金の結晶組織が微細化するため、Rリッチ相が微細に分散した組織を有する合金を生成することが可能となる。また、Rリッチ相は水素雰囲気中で水素と反応し、膨張して脆い水素化物となる(水素化工程)。この性質を利用すると、Rリッチ相の分散程度に見合った、微細なクラックが導入される。この水素化工程を経てから微破砕すると、水素化で生成した多量の微細クラックをきっかけに合金が壊れるため、合金の破砕性が極めて良好となる。このように、SC法で鋳造された合金は、内部のRリッチ相が微細に分散しているため、破砕、焼結後の磁石中のRリッチ相の分散性も良好となり、磁石の磁気特性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
またSC法により鋳造された合金薄片は、組織の均質性も優れている。組織の均質性は、結晶粒径やRリッチ相の分散状態で比較することが出来る。SC法で作製した合金薄片では、合金薄片の鋳造用ロール側(以降、鋳型面側とする)にチル晶が発生することもあるが、全体として急冷凝固でもたらされる適度に微細で均質な組織を得ることが出来る。
【0008】
以上のように、SC法で鋳造したR−T−B系合金は、Rリッチ相が微細に分散し、α−Feの生成も抑制されているため、焼結磁石を作製する場合には、最終的な磁石中のRリッチ相の均質性が高まり、またα−Feに起因する破砕、磁性への弊害を防止することができる。このように、SC法で鋳造したR−T−B系合金塊は、焼結磁石を作製するための優れた組織を有している。
【特許文献1】特開平5−222488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、磁石の特性が向上するにつれて、SC法で鋳造したR−T−B系合金の更なる改良が求められている。
上述のように、R−T−B系合金は、Ndの一部をPr、Dy、Tb等の他の希土類元素で置換した元素Rと、Feの一部をCo、Ni等の金属で置換した元素Tと、B(硼素)を主として含む合金である。一般的に、R−T−B系磁石の耐熱性は、保磁力の大小で評価される。保磁力は、R−T−B系合金におけるDy、Tbの組成比が高まるにつれて向上する。しかし、Dy及びTbを添加すると、保磁力が向上する一方で、残留磁束密度が低下する傾向があり、顧客に要求される特性を満たすことが難しくなっている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、R−T−B系合金においてDy、Tbの添加によるBr(残留磁束密度)の低下を最小として、保磁力の高い希土類磁石を製造することが可能な希土類元素含有合金の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]ストリップキャスト法により合金溶湯を鋳造する鋳造装置と、鋳造後の鋳造合金を破砕する破砕装置と、破砕後の鋳造合金薄片を保温する保温装置と、保温後の前記鋳造合金薄片を貯蔵する貯蔵容器とが少なくとも備えられてなり、前記保温装置は、前記破砕装置から供給された前記鋳造合金薄片を収納する保温コンテナと、前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を保温する保温ヒータと、前記保温コンテナを傾斜させて前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を前記貯蔵容器に送出させる傾斜装置とから構成されることを特徴とする合金の製造装置。
[2]前記傾斜装置は、前記鋳造合金薄片が前記保温コンテナに収納されてから所定の保温時間の経過後に、前記鋳造合金薄片を前記貯蔵容器に送出させるものであることを特徴とする[1]に記載の希土類鋳造合金の製造装置。
[3]前記保温ヒータが、前記保温コンテナの壁面および/または底面に配置されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の合金の製造装置。
[4]前記保温ヒータが、前記保温コンテナの上部に配置されていることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[5]前記保温ヒータが、前記保温コンテナの下部に配置されていることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の合金の製造装置。
【0012】
[6]前記傾斜装置は、少なくとも一対の搬送ローラと、前記一対の搬送ローラ間に架設されて回転駆動される無端状搬送ベルトと、前記無端状搬送ベルトの搬送面上に前記保温コンテナを揺動自在に固定する固定部材とからなり、いずれか一方の前記搬送ローラによって前記無端状搬送ベルトの搬送方向が反転される際に前記保温コンテナを傾斜させることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[7]前記保温コンテナが、前記無端状搬送ベルトに複数固定されていることを特徴とする[6]に記載の合金の製造装置。
【0013】
[8]前記傾斜装置は、前記保温コンテナに取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転させて前記保温コンテナを傾斜させる可動装置とからなることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[9]前記保温コンテナの上部に前記鋳造合金薄片の導入口が開口されているとともに、前記保温コンテナの側部に前記鋳造合金薄片の導出口が開閉自在に設けられていることを特徴とする[8]に記載の合金の製造装置。
【0014】
[10]前記鋳造装置、前記破砕装置及び前記保温装置が、不活性ガス雰囲気のチャンバ内に設置されていることを特徴とする[1]ないし[9]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[11]前記チャンバ内に放冷室が設けられ、前記貯蔵容器が前記放冷室に移動可能とされていることを特徴とする[10]に記載の合金の製造装置。
【0015】
[12]前記合金が希土類元素含有合金であることを特徴とする[1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[13]前記希土類元素含有合金が、R−T−B系合金(ただし、RはYを含む希土類元素のうちの少なくとも1種以上の元素であり、TはFeを必須とする金属であり、Bはホウ素である)からなることを特徴とする[12]に記載の合金の製造装置。
[14]前記合金が、水素吸蔵合金であることを特徴とする[1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置。
[15]前記合金が、熱電半導体合金であることを特徴とする[1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置。
【0016】
[16][1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする合金。
[17][1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする希土類元素含有合金。
[18][1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする水素吸蔵合金。
[19][1]ないし[11]のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする熱電半導体合金。
[20][17]に記載の希土類元素含有合金からなることを特徴とする希土類磁石。
【発明の効果】
【0017】
本発明の合金の製造装置は、記破砕装置から供給された前記鋳造合金薄片を収納する保温コンテナと、前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を保温する保温ヒータと、前記保温コンテナを傾斜させて前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を前記貯蔵容器に送出させる傾斜装置とから構成される保温装置を備えているので、鋳造、破砕後の鋳造合金薄片に対して保温処理を行うことにより、合金の諸特性を向上させることができる。
特に、合金がR−T−B系合金の場合は、保温処理によって保磁力を向上させることができるので、R−T−B系合金におけるDy、Tbの組成比を高くすることなく、保磁力の高い希土類磁石を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態である合金の製造装置について図面を参照して説明する。尚、以下の説明で参照する図面は、合金の製造装置の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の合金の製造装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0019】
「合金の製造装置の全体構成」
図1は、本実施形態の合金の製造装置の全体構成を示す正面模式図である。
図1に示す合金の製造装置1(以下、製造装置1と表記する)は、合金溶湯を鋳造する鋳造装置2と、鋳造後の鋳造合金を破砕する破砕装置21と、破砕後の鋳造合金薄片を保温する保温装置3と、保温後の鋳造合金薄片を貯蔵するコンテナ(貯蔵容器)5とから概略構成されている。
【0020】
図1に示す製造装置1には、チャンバ6が備えられている。チャンバ6内は不活性ガスの減圧雰囲気とされており、不活性ガスとしては例えばアルゴンが用いられている。また、チャンバ6は、鋳造室6aと、鋳造室6aの下方に設置されて鋳造室6aと連通する保温・貯蔵室6bとから構成されている。鋳造室6aには鋳造装置2と破砕装置21とが収納され、保温・貯蔵室6bには保温装置3が収納されている。このようにして、チャンバ6の内部に鋳造装置2と破砕装置21と保温装置3とが収納されている。また、この構成によって、破砕装置21の下方に保温装置3が配置された状態になっている。
【0021】
また、保温・貯蔵室6b内において、保温装置3の下方にはコンテナ5が配置されている。コンテナ5は、ステンレス、鉄、ハステロイ、インコネル等の高温下で使用可能な各種金属などによって形成されている。また、製造装置1にはコンテナ5を可動自在にするベルトコンベア51(可動装置)が備えられており、ベルトコンベア51上にコンテナ5が載置されていることによってコンテナ5が図1中左右方向に移動できるようになっている。
また、保温・貯蔵室6bにはゲート6eが配置されており、コンテナ5が保温・貯蔵室6bの外部に搬送される時以外はこのゲート6eによって保温・貯蔵室6bが密閉されている。
【0022】
尚、ゲート6eを挟んで保温・貯蔵室6bの側方に、保温後の鋳造合金薄片を放冷するための放冷室が設けられていても良い。また、放冷室に別のゲートを設け、このゲートを開放することによってコンテナ5をチャンバ6の外部に搬送できるようにしても良い。
【0023】
「鋳造装置の構成」
図2は、製造装置1に備えられた鋳造装置2および破砕装置21を示した模式図である。図2に示す鋳造装置2は、SC法により合金溶湯を鋳造するものであり、破砕装置21は、鋳造後の鋳造合金を破砕して鋳造合金薄片を調製する装置である。また、図2に示す鋳造装置2において、符号22は、合金溶湯Lを急冷して鋳造合金Mを鋳造する直径60〜80mm程度の冷却ロールであり、符号23は、冷却ロール22に合金溶湯Lを供給するタンディッシュである。そして、図2に示す鋳造装置2では、冷却ロール22によって鋳造された鋳造合金Mが、破砕装置21によって破砕されて鋳造合金薄片Nとされるようになっている。
【0024】
合金溶湯Lは、チャンバ6の外部に設置された図示しない高周波溶解炉において調製される。高周波溶解炉では、真空または不活性ガス雰囲気中で耐火物ルツボに原料が投入され、投入された原料が高周波溶解法によって溶解されることによって合金溶湯が調製される。合金溶湯Lの温度は、合金成分にもよるが1300℃〜1500℃の範囲に調整されている。調製された合金溶湯Lは、図2に示すように、耐火物ルツボ24ごと鋳造装置2に搬送される。そして、合金溶湯Lが、耐火物ルツボ24からタンディッシュ23に供給される。
【0025】
タンディッシュ23には、必要に応じて整流機構やスラグ除去機構が設けられている。また、冷却ロール22には、内部に図示しない水冷機構が備えられており、この水冷機構によって冷却ロール22の周面22aが冷却されている。冷却ロール22の材質は、熱伝導性がよく入手が容易である点から銅、或いは銅合金が適当である。合金溶湯Lの供給速度と冷却ロール22の回転数は、鋳造合金Mの厚さに応じて制御されるが、冷却ロール22の回転数は周速度にして0.5〜3m/s程度が適当である。冷却ロール22の材質や周面22aの表面状態によっては、冷却ロール22の周面22aにメタルが付着しやすいため、必要に応じて清掃装置を設置すると、鋳造されるR−T−B系合金の品質が安定する。冷却ロール22上で凝固された鋳造合金Mは、タンディッシュ23の反対側で冷却ロール22から離脱される。
【0026】
破砕装置21は、図1及び図2に示すように、例えば一対の破砕ロール21aから構成され、回転する2個の破砕ロール21a、21aの間に鋳造合金Mが挟み込まれることで、鋳造合金Mが鋳造合金薄片Nに破砕される。破砕された鋳造合金薄片Nは落下して、図1に示すように、保温装置3に送出される。
【0027】
「保温装置の構成」
保温装置3は、複数の保温コンテナ32と、保温コンテナ32および保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nを保温する後述する保温ヒータと、ベルトコンベア(傾斜装置)33とを備えたものである。
保温コンテナ32は、図1に示すように、破砕装置21から落下してきた鋳造合金薄片Nを収納するものであり、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス製のブロックまたは繊維質の板や、複数の金属薄板が隙間を開けて重ね合わされたものなど、断熱性に優れた材料によって形成されている。
【0028】
また、ベルトコンベア33は、鋳造合金薄片Nが保温コンテナ32に収納されてから所定の保温時間の経過後に、保温コンテナ32を傾斜させて保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nをコンテナに送出させるものである。
ベルトコンベア33は、図1に示すように、略水平方向に延在する複数の搬送ローラ34と、複数の搬送ローラ34間に架設されて回転駆動される環状の無端状搬送ベルト35と、無端状搬送ベルト35の搬送面上に保温コンテナ32を揺動自在に固定する固定部材36とを有するものである。複数の搬送ローラ34は、図1に示すように、両端部に配置された一対の端部ローラ34aと、一対の端部ローラ34a間に配置された中間ローラ34bとからなる。ベルトコンベア33は、図1に示すように、一方の端部ローラ34aによって無端状搬送ベルト35の搬送方向が反転される際に保温コンテナ32を傾斜させるものである。
【0029】
無端状搬送ベルト35の外面には、保温コンテナ32が開口部32aを外方に向けて取り付けられている。図1に示すように、ベルトコンベア33の搬送ローラ34を回転させることによって、無端状搬送ベルト35の外側を保温コンテナ32が開口部32aを外方に向けた状態で旋回されるようになっている。
したがって、本実施形態においては、図1に示すように、ベルトコンベア33によって開口部32aを上方に向けて移動されている保温コンテナ32内に、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを載置させて搬送させ、搬送方向におけるベルトコンベア33の端部33aで保温コンテナ32が傾けられることによって、保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させるようになっている。また、図1に示す保温装置3では、ベルトコンベア33に保温コンテナ32の移動速度を制御させることによって、鋳造合金薄片Nが保温コンテナ32内に載置されてからコンテナ5に送出されるまでの時間を制御できるようになっている。
【0030】
図1に示す保温装置3を構成する保温ヒータは、保温コンテナ32の上部に配置され、開口部32aを上方に向けて図1における左から右へと移動している保温コンテナ32を上部から加熱する上保温ヒータ31aと、保温コンテナ32の下部に配置され、開口部32aを下方に向けて図1における右から左へと移動している保温コンテナ32を下部から加熱する下保温ヒータ31bとからなる。
また、本実施形態においては、図1に示すように、上保温ヒータ31aの一部に、破砕装置21から保温コンテナ32に鋳造合金薄片Nを供給するための薄片投入穴31cが設けられている。薄片投入穴31cは、図1に示すように、破砕装置21の下方に配置されている。
【0031】
上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bの加熱方式としては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱、赤外線加熱、誘導加熱のいずれかの方式などを採用できる。また、上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bを構成する発熱体としては、金属線、炭化ケイ素、黒鉛等を用いることができる。
【0032】
「合金の製造装置の動作」
次に、上記の製造装置1の動作について説明する。
まず、図1に示すように、上保温ヒータ31aの薄片投入穴31cが、破砕装置21の下方に位置するように、上保温ヒータ31aを配置する。また、ベルトコンベア33の搬送方向における端部33aに移動された保温コンテナ32から鋳造合金薄片Nが送出される位置の直下に位置するように、コンテナ5を移動させる。
また、ベルトコンベア33による保温コンテナ32の旋回移動を開始し、上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bを通電状態とし、保温コンテナ32を所定の温度に加熱しておく。
【0033】
次いで、鋳造装置2を作動させて鋳造合金薄片Nを調製する。鋳造合金薄片Nを調製するには、まず、図示しない溶解装置において合金溶湯Lを調製する。そして、図2に示すように、合金溶湯Lをタンディッシュ23に供給する。次いで、合金溶湯Lをタンディッシュ23から冷却ロール22に供給して合金溶湯を凝固させ、鋳造合金Mとする。その後、鋳造合金Mを冷却ロール22から離脱させ、破砕ロール21aの間を通して破砕することにより、鋳造合金薄片Nとする。
【0034】
合金溶湯Lの組成は、例えば、一般式R−T−Bで表される。ここでRは、Ndの一部をPr、Dy、Tb等の他の希土類元素で置換したものが主であり、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種である。TはFeの一部をCo、Ni等の金属で置換したものである。また、Bは硼素であり、一部をCまたはNで置換できる。更に、添加元素としてCu、Al、Ti、V、Cr、Ga、Mn、Nb、Ta、Mo、W、Ca、Sn、Zr、Hfなどを1種または複数組み合わせて添加されていてもよい。また、Rの組成比は28〜33質量%であり、Bは0.9〜1.3質量%であり、Tが残部である。Rの一部を15質量%のDy及び/または15質量%のTbで置換しても良い。尚、本発明に係る製造装置1に適用される合金溶湯の組成は、上述した範囲に限定されるものではなく、R−T−B系合金であればどのような組成であっても良い。
【0035】
また、冷却ロール22上での合金溶湯の平均冷却速度は、毎秒300〜3000℃とすることが望ましい。毎秒300℃以上にすれば、冷却速度が十分となり、α−Feの析出、Rリッチ相、R17相などの組織の粗大化を防止できる。また、毎秒3000℃以下であれば、過冷度が過剰にならず、適度な温度で保温装置3に鋳造合金薄片を供給できる。また、毎秒3000℃以下であれば、鋳造合金薄片が冷えすぎないので、再加熱の必要がない。尚、平均冷却速度は、溶湯の冷却ロール接触直前の温度と冷却ロール離脱時の温度との差を、冷却ロール上に接触している時間で除することで求められる。
【0036】
更に、冷却ロール22を離脱する際の鋳造合金Mの平均温度は、冷却ロール22との接触程度の微妙な相違、厚さのゆらぎなどにより微妙に変化する。鋳造合金Mが冷却ロールを離脱する平均温度は、例えば鋳造開始時から終了時まで放射温度計で合金表面を幅方向に走査して測定し、得られた測定値を平均化することで得られる。
鋳造合金Mが冷却ロール22を離脱する平均温度は、合金溶湯のR14B相の平衡状態での凝固温度よりも100〜500℃低いことが好ましく、100〜400℃低いことがより好ましい。R14B相の溶解温度は、Nd−Fe−Bの3元系では1150℃とされているが、Ndの他の希土類元素への置換、Feの他の遷移元素への置換、その他の添加元素の種類、添加量に応じて変化する。冷却ロール22を離脱する鋳造合金Mの平均温度と、鋳造合金MにおけるR14B相の平衡状態での凝固温度との差が、100℃未満である場合は、冷却速度不足に相当する。一方、その差が500℃を超える場合は、冷却速度が速すぎるため、溶湯の過冷却が大きくなりすぎる。溶湯の過冷却の程度は合金内で一様ではなく、冷却ロールとの接触程度、冷却ロールとの接触部からの距離に応じて変化する。
【0037】
次に、図1に示すように、破砕装置21によって破砕されて落下してきた鋳造合金薄片Nは、上保温ヒータ31aの薄片投入穴31cを通過して、破砕装置21の下方に位置する保温コンテナ32内に載置される。このとき、保温コンテナ32は、上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bによって所定の温度とされている。
【0038】
図1に示す製造装置1では、鋳造合金薄片Nは、破砕装置21から保温コンテナ32に所定の供給量で連続して供給される。そして、図1に示す保温装置3では、ベルトコンベア33によって保温コンテナ32が旋回移動しているので、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nは、順次、上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bで加熱された各保温コンテナ32に供給され、所定の時間、各保温コンテナ32内で保温された後、コンテナ5に送出される。
【0039】
ここで個々の保温コンテナ32に着目して説明すると、例えば、開口部32aを上方に向けた状態とされた空の保温コンテナ32は、ベルトコンベア33によって図1における左から右へと移動されつつ、上保温ヒータ31aに加熱されることによって所定の温度とされる。そして、所定の温度とされた保温コンテナ32が、上保温ヒータ31aの薄片投入穴31cの下方の位置に到達すると、破砕装置21から保温コンテナ32に鋳造合金薄片Nが供給され、鋳造合金薄片Nの保温が開始される。
その後、鋳造合金薄片Nの載置された保温コンテナ32は、上保温ヒータ31aに加熱されることによって鋳造合金薄片Nを保温しながら、さらに図1における左から右へさらに移動され、搬送方向におけるベルトコンベア33の端部33aまで移動される。ベルトコンベア33の端部33aに到達した保温コンテナ32は、図1に示すように反転されて保温コンテナ32の開口部32aの向きが上向きから下向きに変化される。このときの保温コンテナ32の傾斜・反転によって、保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nがコンテナ5に送出され、鋳造合金薄片Nの保温が終了される。
【0040】
なお、図1に示す保温装置3においては、保温コンテナ32の移動速度をベルトコンベア33に制御させることによって、各保温コンテナ32内において鋳造合金薄片Nが載置されてからコンテナ5に送出されるまでの時間が、所定の時間となるように制御されている。
【0041】
その後、開口部32aを下方に向けた状態とされた空の保温コンテナ32は、ベルトコンベア33によって図1における右から左へと移動されつつ、下保温ヒータ31bに加熱されることによって所定の温度に維持される。そして、ベルトコンベア33の搬送方向と反対側の端部に到達した保温コンテナ32は、傾斜・反転されて保温コンテナ32の開口部32aの向きが下向きから上向きに変化され、再び、上保温ヒータ31aによる加熱とベルトコンベア33による図1における左から右への移動が開始される。
【0042】
本実施形態においては、保温コンテナ32の温度である鋳造合金薄片Nの保温温度は、鋳造合金薄片Nのロール離脱温度より低いことが好ましく、具体的には(ロール離脱温度−100℃)以上ロール離脱温度以下の範囲が好ましく、(ロール離脱温度−50℃)以上ロール離脱温度以下の範囲が好ましく、より具体的には600℃以上900℃以下の範囲が好ましい。鋳造合金薄片Nに対して保温処理を行うことで、R−T−B系合金の保磁力を高めることができる。保温温度が600℃以上であれば、保磁力を十分に高めることができる。また、保温温度が900℃以下であれば、α−Feの析出、Rリッチ相、R17相などの組織の粗大化を防止できる。
なお、1000℃で保温した場合にも保磁力向上の効果は得られる。しかし、1000℃で保温した場合、組織が粗大化するので、破砕したときの粒度分布や得られた微粉の流動性、さらに焼結温度が変化する。したがって、1000℃で保温する場合には、保温後の工程への影響を考慮する必要がある。
【0043】
また、何らかの理由でロール離脱温度が低下した場合には、上保温ヒータ31aおよび/または下保温ヒータ31bを制御することにより、保温温度をロール離脱温度より高くして、鋳造合金薄片Nの温度を昇温保持させることもできる。ここでの好ましい昇温幅は100℃以内が好ましく、50℃以内がより好ましい。昇温幅が高すぎると生産効率が低下する。
【0044】
鋳造合金薄片Nの保温時間は30秒以上が好ましく、30秒〜数時間程度がより好ましく、30秒〜2分程度が最も好ましい。保温時間が30秒以上であれば保磁力を高めるのに十分であり、数時間に渡って保温しても良いが、生産効率の面からは2分以下にすることが望ましい。
本実施形態においては、各保温コンテナ32に最初に供給された鋳造合金薄片Nと最後に供給された鋳造合金薄片Nとの間に保温時間の差が生じる。本実施形態においては、最初に供給された鋳造合金薄片Nの保温時間も、最後に供給された鋳造合金薄片Nの保温時間も、上述した好ましい範囲内とされている。
【0045】
保温装置3による保温が終了してコンテナ5に送出された鋳造合金薄片Nは、ベルトコンベア51によってコンテナ5が図1中における左右方向に移動されることにより、コンテナ5内に図1中の左右方向に均等に堆積される。コンテナ5内に堆積された鋳造合金薄片Nは、コンテナ5の内面に接触することによって熱を奪われて冷却される。また、コンテナ5に入れられた鋳造合金薄片Nは、保温・貯蔵室6bのゲート6eを開いてコンテナ5をチャンバ6の外部に搬送することにより、チャンバ6の外部に搬送される。
また、チャンバ6に放冷室を設けた場合には、保温・貯蔵室6bのゲート6eを開いてコンテナ5を放冷室に搬送し、コンテナ5内の鋳造合金薄片Nを放冷する。そして、鋳造合金薄片Nの放冷が完了したならば、放冷室のゲートを開いてコンテナ5をチャンバ6の外部に搬送すればよい。
【0046】
以上説明したように、図1に示す製造装置1には、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを収納する保温コンテナ32と、保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nを保温する保温ヒータと、保温コンテナ32を傾斜させて保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させるベルトコンベア33とを有する保温装置3が備えられているので、鋳造、破砕後のR−T−B系合金からなる鋳造合金薄片Nに対して保温処理を行うことができ、R−T−B系合金におけるDy、Tbの組成比を高くすることなく、保磁力の高い耐熱性に優れた希土類磁石の材料となる鋳造合金薄片Nを製造できる。
また、図1に示す製造装置1によれば、ベルトコンベア33が、保温コンテナ32内に鋳造合金薄片Nが収納されてから所定の保温時間の経過後に、鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させるものであるので、鋳造合金薄片Nの保磁力をより一層向上させることができる。
【0047】
また、図1に示す製造装置1を構成するベルトコンベア33が、搬送ローラ32間に架設されて回転駆動される無端状搬送ベルト35と、無端状搬送ベルト35の搬送面上に保温コンテナ32を揺動自在に固定する固定部材36とからなり、一方の端部ローラ34aによって無端状搬送ベルト35の搬送方向が反転される際に保温コンテナ32を傾斜させるものであるので、保温コンテナ32の移動速度をベルトコンベア33に制御させることによって、鋳造合金薄片Nが保温コンテナ32内に載置されてからコンテナ5に送出されるまでの時間である保温時間を制御できる。したがって、鋳造合金薄片Nの保温時間を容易に一定に保つことができ、鋳造合金薄片Nの品質を均一にすることができる。
また、図1に示す保温装置3では、ベルトコンベア33によって保温コンテナ32が旋回移動しているので、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nが、順次、保温コンテナ32に供給されることになり、保温コンテナ32内の一箇所に鋳造合金薄片Nが偏ることがなく、鋳造合金薄片Nを保温コンテナ32内に均等に配置させることができる。このため、保温コンテナ32内の鋳造合金薄片Nを均一に保温でき、品質の均一な鋳造合金薄片Nを製造できる。
【0048】
また、図1に示す製造装置1は、保温装置3が、開口部32aを上方に向けて移動している保温コンテナ32を上部から加熱する上保温ヒータ31aを備えたものであり、上保温ヒータ31aの一部に薄片投入穴31cが設けられ、薄片投入穴31cが破砕装置21の下方に配置されているので、上保温ヒータ31aの薄片投入穴31cを介して、開口部32aを上方に向けた状態で移動する保温コンテナ32に破砕装置21から鋳造合金薄片Nを供給できるとともに、開口部32aを上方に向けた状態で移動する保温コンテナ32を上部から加熱できるものとなる。
【0049】
さらに、図1に示す製造装置1によれば、鋳造装置2の下方に保温装置3が配置されているので、鋳造合金薄片Nを落下させるだけで鋳造装置2から保温装置3に鋳造合金薄片Nを供給することができ、鋳造装置2から保温装置3に鋳造合金薄片Nを搬送するための搬送機構を別途設ける必要がなく、製造装置1の小型化、省スペース化を図ることができる。
【0050】
また、図1に示す製造装置1は、保温装置3が、開口部32aを下方に向けて移動している保温コンテナ32を下部から加熱する下保温ヒータ32bを備えたものであるので、開口部32aを下方に向けた状態とされた空の保温コンテナ32の温度が、下保温ヒータ31bに加熱されることによって所定の温度に維持される。このことにより、再び保温コンテナ32に鋳造合金薄片Nが供給される時の保温コンテナ32の温度を、容易に所定の温度とすることができる。
【0051】
また、図1に示す製造装置1は、コンテナ5を可動自在にするベルトコンベア51が備えられたものであるので、ベルトコンベア51によってコンテナ5を移動させることにより、保温が終了した鋳造合金薄片Nをコンテナ5内に均等に堆積させることができ、品質の均一な鋳造合金薄片Nを製造できる。更に、コンテナ5を可動自在にするベルトコンベア51が備えられているので、保温後の鋳造合金薄片Nを容易に製造装置1から搬出させることができる。
【0052】
また、図1に示す製造装置1によれば、鋳造装置2に破砕装置21が備えられているので、鋳造合金塊をすみやかに破砕して鋳造合金薄片Nにすることができ、保温装置3やコンテナ5における鋳造合金の取扱を容易にすることができる。
【0053】
また、図1に示す製造装置1によれば、鋳造装置2及び保温装置3が不活性ガス雰囲気のチャンバ6内に設置されているので、R−T−B系合金の劣化を防止できる。
また、図1に示す製造装置1において、チャンバ6内に放冷室が設けられた場合は、コンテナ5が放冷室に移動可能とされているので、保温処理の終了した鋳造合金薄片Nをコンテナ5とともに保温・貯蔵室6bから搬出させて放冷させることができ、生産効率を高めることができる。
【0054】
また上記の製造装置1によれば、希土類元素含有合金がR−T−B系合金であるので、保磁力が高く耐熱性に優れた磁石を製造することができる。R−T−B系合金は、Ndの一部をPr、Dy、Tb等の他の希土類元素で置換した元素Rと、Feの一部をCo、Ni等の金属で置換した元素Tと、B(硼素)を主として含む合金である。この合金から構成されるR−T−B系磁石の保磁力は、R−T−B系合金におけるDy、Tbの組成比が高まるにつれて向上するが、その一方で残留磁束密度が低下する傾向がある。
上記の製造装置1は、保温装置3を備えるものであるので、R−T−B系合金に対して保温処理を行うことができ、保温処理を行なうことによりR−T−B系合金からなる磁石の保磁力を向上できるので、合金中のDy、Tbの組成比を少なくすることができる。また、合金中のDy、Tbの組成比を少なくすることで、残留磁束密度も改善できる。
【0055】
また、保温装置3は、先に説明した構成に限定されるものではない。例えば、図1に示す保温装置3のように、上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bが備えられている場合には、保温温度を容易に正確に制御できるため好ましいが、保温コンテナ32の断熱性能が十分に高く、上保温ヒータ31aと下保温ヒータ31bの両方によって加熱しなくても、保温コンテナ32内に鋳造合金薄片Nを載置することにより鋳造合金薄片Nを十分に高い保温温度および十分な保温時間で保温できる場合には、上保温ヒータ31aと下保温ヒータ31bのいずれか一方が備えられていなくてもよい。
また、例えば、図1に示す上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bに代えて、または上保温ヒータ31aおよび下保温ヒータ31bとともに、保温コンテナの壁面および/または底面に保温ヒータが配置されていてもよい。この場合、鋳造合金薄片Nの保温温度をより一層容易に正確に制御できる。
【0056】
また、保温装置3として、図3に示す構成を採用しても良い。図1に示す製造装置1と、図3に示す製造装置10との相違点は、保温装置のみである。
図3に示す保温装置30も、図1に示す保温装置3と同様に、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを収納する保温コンテナ52と、保温コンテナ52および保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nを保温する保温ヒータ(図示略)と、保温コンテナ52を傾斜させて保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させる傾斜装置13とを備えている。
【0057】
傾斜装置13は、図3に示すように、保温コンテナ52に取り付けられた回転軸55と、回転軸55を回転させて保温コンテナ52を傾斜・回転させる可動装置(図示略)とを備えている。そして、図3に示すように、保温コンテナ52が、略水平方向に延在する回転軸55によって開口部52aを外方に向けて回転可能に支持され、保温コンテナ52の傾斜・回転が、可動装置によって制御されるようになっている。また、図3に示す保温装置30においては、保温コンテナ52の上部に鋳造合金薄片Nの開口部52a(導入口)が開口されているとともに、保温コンテナ52の壁面(側部)の1つに鋳造合金薄片Nの送出口53a(導出口)が上下に可動可能なゲート板53によって開閉自在に設けられている。ゲート板53の上下の移動は、移動手段(図示略)によって制御されている。
【0058】
そして、図3に示す保温装置30では、開口部52aを上方に向けた保温コンテナ52内に、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを載置させ、移動手段によってゲート板53を上に移動させて壁面に送出口53aを形成するとともに、可動装置によって保温コンテナ52を傾斜・回転させることによって、送出口53aを介して保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させるようになっている。また、図3に示す保温装置30では、保温コンテナ52の傾斜・回転を可動装置に制御させるとともに、ゲート板53の移動を移動手段に制御させることによって、鋳造合金薄片Nが保温コンテナ52内に収納されてからコンテナ5に送出されるまでの保温時間を制御できるようになっている。
【0059】
図3に示す保温装置30においても、図1に示す保温装置3と同様に、保温コンテナ52は、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス製のブロックまたは繊維質の板や、複数の金属薄板が隙間を開けて重ね合わされたものなど、断熱性に優れた材料によって形成されている。より具体的には、保温装置30の材料として、鉄などの金属板の間に、繊維質のセラミックを主原料とする耐熱ボードを挟み込んでなる複合材料などを好ましく用いることができる。
また、図3に示す保温装置30においては、保温コンテナ52の壁面および/または底面に保温ヒータ(図示略)が配置されている。保温ヒータとしては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱、赤外線加熱、誘導加熱のいずれかの加熱方式によって、金属線、炭化ケイ素、黒鉛等の発熱体を発熱させるものなどを用いることができる。
【0060】
図3に示す製造装置10を用いて、鋳造合金薄片Nを製造する場合、破砕装置21から落下してきた鋳造合金薄片Nが、破砕装置21の下方に位置する保温コンテナ52内に載置され、鋳造合金薄片Nの保温が開始される。このとき、保温コンテナ52は、保温ヒータによって所定の温度とされており、ゲート板53が閉じられている。また、鋳造合金薄片Nの載置された保温コンテナ52は、開口部52aを上方に向けた状態で鋳造合金薄片Nがこぼれない程度の角度範囲で可動装置によって回動されつつ、保温ヒータに加熱されることによって鋳造合金薄片Nを保温する。このことにより、保温コンテナ52内において鋳造合金薄片Nが移動して均等に配置され、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nが均一に保温される。そして、所定の保温時間が経過すると、図3に示すように、移動手段によってゲート板53が移動されて壁面に送出口53aが形成されるとともに、可動装置によって保温コンテナ52が傾斜・回転されて、送出口53aを介して保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nがコンテナ5に送出され、鋳造合金薄片Nの保温が終了される。保温が終了した鋳造合金薄片Nは、図1に示す製造装置1と同様にコンテナ5内に堆積される。
【0061】
鋳造合金薄片Nの保温時間は30秒以上が好ましく、2分〜数時間程度がより好ましく、2分〜30分程度が最も好ましい。保温時間が2分以上であると効果的に保磁力を高めることができ、数時間に渡って保温しても良いが、生産効率の面からは30分以下にすることが望ましい。
本実施形態においては、保温コンテナ52に最初に供給された鋳造合金薄片Nと最後に供給された鋳造合金薄片Nとの間に保温時間の差が生じる。本実施形態においては、最初に供給された鋳造合金薄片Nの保温時間も、最後に供給された鋳造合金薄片Nの保温時間も、上述した好ましい範囲内とされている。
【0062】
図3に示す製造装置10においても、図1に示す製造装置1と同様に、破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを収納する保温コンテナ52と、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nを保温する保温ヒータと、保温コンテナ52を傾斜させて保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させる傾斜装置13とを有する保温装置30が備えられているので、鋳造、破砕後のR−T−B系合金からなる鋳造合金薄片Nに対して保温処理を行うことができ、R−T−B系合金におけるDy、Tbの組成比を高くすることなく、保磁力の高い耐熱性に優れた希土類磁石の材料となる鋳造合金薄片Nを製造できる。
また、図3に示す製造装置10は、鋳造合金薄片Nが保温コンテナ52に収納されてから所定の保温時間の経過後に、鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させる傾斜装置13を備えるものであるので、鋳造合金薄片Nの保磁力をより一層向上させることができる。
【0063】
また、図3に示す製造装置10は、傾斜装置13が保温コンテナ52に取り付けられた回転軸55と、回転軸55を回転させて保温コンテナ52を傾斜させる可動装置とを備えるものであるので、保温コンテナ52内に破砕装置21から供給された鋳造合金薄片Nを載置させ、保温コンテナ52を傾斜・回転させることによって、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出させることができ、保温コンテナ52の傾斜・回転を制御することによって、鋳造合金薄片Nの保温時間を制御できる。したがって、鋳造合金薄片Nの保温時間を容易に一定に保つことができ、鋳造合金薄片Nの品質を均一にすることができる。
【0064】
また、図3に示す製造装置10は、保温コンテナ52の上部に鋳造合金薄片Nの開口部52aが開口されているとともに、保温コンテナ52の壁面に鋳造合金薄片Nの送出口53aが上下に可動可能なゲート板53によって開閉自在に設けられているので、ゲート板53の移動を制御するとともに保温コンテナ52の回転を制御することによって、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nをコンテナ5に送出できる。したがって、保温コンテナ52の壁面に開閉自在な送出口53aが設けられていない場合と比較して、保温コンテナ52から鋳造合金薄片Nを送出させる際に保温コンテナ52を回動させる角度範囲を小さくすることができ、製造装置10の小型化、省スペース化を図ることができる。
【0065】
また、図3に示す製造装置10は、保温コンテナ52が、略水平方向に延在する回転軸55によって開口部52aを外方に向けて回転可能に支持されているので、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nを保温しながら、開口部52aを上方に向けた状態で保温コンテナ52を鋳造合金薄片Nがこぼれない程度の角度範囲で回動させることにより、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nを均等に配置することができ、保温コンテナ52内の鋳造合金薄片Nを均一に保温できる。したがって、品質の均一な鋳造合金薄片Nを製造できる。
【0066】
なお、図3に示す製造装置10においては、例えば、保温コンテナ52の壁面および/または底面に備えられた保温ヒータに代えて、または保温コンテナ52の壁面および/または底面に備えられた保温ヒータとともに、図1に示す製造装置1に備えられた上保温ヒータ31aおよび/または下保温ヒータ31bが備えられていてもよい。この場合、鋳造合金薄片Nの保温温度をより一層容易に正確に制御できる。
【0067】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、貯蔵容器を可動自在にする可動装置としてベルトコンベア51を例示したが、この他に貯蔵容器に車輪付の台車を取り付けて自走式の貯蔵容器としても良く、更にレールを敷設してこのレール上を台車が走行するようにしても良い。
【0068】
また、破砕装置22と保温装置との間に、鋳造合金薄片Nを保温コンテナ上に案内するホッパ7が備えられていてもよい。この場合、鋳造合金薄片Nを破砕装置22から保温装置に送出する際に、鋳造合金薄片Nが保温・貯蔵室6b内部に散乱することを防止できる。
【0069】
また、本発明の製造装置は、R−T−B系合金に限らず、熱電半導体合金や水素吸蔵合金に適用しても良い。
熱電半導体合金としては、一般式A3−xC(但し、AとBはFe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Zr、Hf、Nb、Mo、Ta、Wなどの遷移金属のうち少なくとも一種、CはAl、Ga、In、Si、Ge、Snなど13族または14族の元素のうち少なくとも一種)で表される合金を例示できる。
また、一般式ABC(但し、AとBはFe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Zr、Hf、Nb、Mo、Ta、Wなどの遷移金属のうち少なくとも一種、CはAl、Ga、In、Si、Ge、Snなど13族または14族の元素のうち少なくとも一種)で表される合金も例示できる。
更に、一般式RE(Fe1−ySb12(REはLa、Ceのうち少なくとも一種、MはTi、Zr、Sn、Pbからなる群から選ばれた少なくとも一種。0<x≦1、0<y<1)で表される希土類合金も例示できる。
更にまた、一般式RE(Co1−ySb12(REはLa、Ceのうち少なくとも一種、MはTi、Zr、Sn、Cu、Zn、Mn、Pbからなる群から選ばれた少なくとも一種。0<x≦1、0<y<1)で表される希土類合金も例示できる。
【0070】
水素吸蔵合金としては、AB型合金(チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケルなどの遷移元素の合金をベースとしたもの)またはAB型合金(希土類元素、ニオブ、ジルコニウム1に対して、触媒効果を有する遷移元素(ニッケル、コバルト、アルミニウムなど)5を含む合金をベースとしたもの)を例示できる。
【0071】
(希土類磁石の作製)
本発明の希土類磁石を作製するには、例えば、本発明のR−T−B系合金からなる鋳造合金薄片を、平均粒径3〜5μm(レーザ回析計による測定)に微粉砕した後、横磁場中で成型機などを用いてプレス成型して、真空中で焼結させることにより得られる。
本実施形態の希土類磁石は、本発明のR−T−B系合金からなるものであるので、保磁力が高く、磁気特性に優れたものとなる。
【実施例】
【0072】
「実施例1」
合金組成が質量比で、Nd28%、Dy4.5%、B0.96%、Co1.0%、Al0.15%、Cu0.10%、残部Feになるように、金属ネオジウム、金属ディスプロシウム、フェロボロン、コバルト、アルミニウム、銅、鉄を配合した原料を、アルミナ坩堝を使用して、アルゴンガスで1気圧の雰囲気中で、高周波溶解炉で溶解して合金溶湯を調製した。
次いで、この合金溶湯を図1に示す製造装置の鋳造装置に供給して、SC法にて鋳造、破砕することにより、鋳造合金薄片を作製した。
【0073】
尚、冷却ロールの直径は600mmであり、材質は銅に微量のCr、Zrを混合した合金であり、内部は水冷されており、鋳造時のロールの周速度は1.3m/sであり、鋳造合金塊が冷却ロールを離脱する平均温度は放射温度計で測定したところ890℃であった。その測定値の最高温度と最低温度との相違は35℃であった。本合金のR14B相の融点が約1170℃であることから、平均離脱温度との差は280℃である。また、冷却ロール上での鋳造合金塊の平均冷却速度は、980℃/秒であり、平均厚さは0.29mmであった。
【0074】
作成された鋳造合金薄片を、図1に示す製造装置の保温装置3の保温コンテナ32内に収納し、800℃の温度で平均30秒間保温する保温処理を行った。このようにして、実施例1の希土類合金からなる鋳造合金薄片を製造した。
【0075】
「実施例2」
図3に示す製造装置を用い、鋳造合金薄片を図3に示す保温装置30の保温コンテナ52内に収納し、800℃の温度で平均2分30秒間保温する保温処理を行ったこと以外は実施例1同様にして、実施例2の鋳造合金薄片を製造した。
【0076】
「比較例1」
保温処理を行わなかったこと以外は実施例1同様にして、比較例1の鋳造合金薄片を製造した。
【0077】
次に、得られた実施例1、実施例2、比較例1の鋳造合金薄片を、平均粒径5μm(レーザ回析計による測定)に微粉砕した後、100%窒素雰囲気中、横磁場中で成型機を用いてプレス成型した。成型圧は0.8t/cmであり、金型のキャビティ内の磁界は15kOeとした。得られた成型体を、1.33×10−5hPaの真空中、500℃で1時間保持し、次いで1.33×10−5hPaの真空中、800℃で2時間保持した後、さらに1.33×10−5hPaの真空中、1030℃で2時間保持して焼結させた。焼結密度は7.67〜7.69g/cm以上であり十分な大きさの密度となった。さらに、この焼結体をアルゴン雰囲気中、530℃で1時間熱処理し、実施例1、実施例2、比較例1のR−T−B系磁石を作製した。
【0078】
得られたR−T−B系磁石の磁気特性をパルス型BHカーブトレーサーで測定した。その結果を図4に示す。
図4は、実施例1、実施例2、比較例1のR−T−B系磁石の保磁力(Hcj)を示すグラフである。図4に示すように、保温処理を行った実施例1および実施例2のR−T−B系磁石は、保温処理を行わない比較例1に対して、保磁力が増大していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の実施形態である合金の製造装置の構成を示す正面模式図である。
【図2】図2は、製造装置に備えられた鋳造装置および破砕装置を示した模式図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態である合金の製造装置の構成を示す正面模式図である。
【図4】図4は、実施例1、実施例2、比較例1のR−T−B系磁石の保磁力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
1、10…製造装置、2…鋳造装置、3、30…保温装置、5…コンテナ(貯蔵容器)、6…チャンバ、6a…鋳造室、6b…保温・貯蔵室、6e…ゲート、21…破砕装置、31a…上保温ヒータ、31b…下保温ヒータ、31c…薄片投入穴、32、52…保温コンテナ、32a、52a…開口部、33…ベルトコンベア(傾斜装置)、33a…端部 35…無端状搬送ベルト、51…ベルトコンベア(可動装置)、53…ゲート板、53a…送出口、55…回転軸、L…合金溶湯、N…鋳造合金薄片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップキャスト法により合金溶湯を鋳造する鋳造装置と、
鋳造後の鋳造合金を破砕する破砕装置と、
破砕後の鋳造合金薄片を保温する保温装置と、
保温後の前記鋳造合金薄片を貯蔵する貯蔵容器とが少なくとも備えられてなり、
前記保温装置は、前記破砕装置から供給された前記鋳造合金薄片を収納する保温コンテナと、前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を保温する保温ヒータと、前記保温コンテナを傾斜させて前記保温コンテナ内の前記鋳造合金薄片を前記貯蔵容器に送出させる傾斜装置とから構成されることを特徴とする合金の製造装置。
【請求項2】
前記傾斜装置は、前記鋳造合金薄片が前記保温コンテナに収納されてから所定の保温時間の経過後に、前記鋳造合金薄片を前記貯蔵容器に送出させるものであることを特徴とする請求項1に記載の合金の製造装置。
【請求項3】
前記保温ヒータが、前記保温コンテナの壁面および/または底面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合金の製造装置。
【請求項4】
前記保温ヒータが、前記保温コンテナの上部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項5】
前記保温ヒータが、前記保温コンテナの下部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項6】
前記傾斜装置は、少なくとも一対の搬送ローラと、前記一対の搬送ローラ間に架設されて回転駆動される無端状搬送ベルトと、前記無端状搬送ベルトの搬送面上に前記保温コンテナを揺動自在に固定する固定部材とからなり、いずれか一方の前記搬送ローラによって前記無端状搬送ベルトの搬送方向が反転される際に前記保温コンテナを傾斜させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項7】
前記保温コンテナが、前記無端状搬送ベルトに複数固定されていることを特徴とする請求項6に記載の合金の製造装置。
【請求項8】
前記傾斜装置は、前記保温コンテナに取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転させて前記保温コンテナを傾斜させる可動装置とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項9】
前記保温コンテナの上部に前記鋳造合金薄片の導入口が開口されているとともに、前記保温コンテナの側部に前記鋳造合金薄片の導出口が開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の合金の製造装置。
【請求項10】
前記鋳造装置、前記破砕装置及び前記保温装置が、不活性ガス雰囲気のチャンバ内に設置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項11】
前記チャンバ内に放冷室が設けられ、前記貯蔵容器が前記放冷室に移動可能とされていることを特徴とする請求項10に記載の合金の製造装置。
【請求項12】
前記合金が希土類元素含有合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項13】
前記希土類元素含有合金が、R−T−B系合金(ただし、RはYを含む希土類元素のうちの少なくとも1種以上の元素であり、TはFeを必須とする金属であり、Bはホウ素である)からなることを特徴とする請求項12に記載の合金の製造装置。
【請求項14】
前記合金が、水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項15】
前記合金が、熱電半導体合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする合金。
【請求項17】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする希土類元素含有合金。
【請求項18】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする水素吸蔵合金。
【請求項19】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の合金の製造装置によって製造されたことを特徴とする熱電半導体合金。
【請求項20】
請求項17に記載の希土類元素含有合金からなることを特徴とする希土類磁石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−79241(P2009−79241A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247851(P2007−247851)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【特許番号】特許第4219390号(P4219390)
【特許公報発行日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】