説明

同期モータの制御装置

【課題】低速から高速までの広範囲な運転領域において高トルクと高回転を両立した、高効率な同期モータの制御装置を提供する。
【解決手段】ステータに第1の三相コイルU、V、Wおよび第2の三相コイルU、V、Wを有する同期モータ7と、これらの三相コイルに交流出力を個別に印加する第1および第2のインバータ回路3、4と、バッテリBと、バッテリBとインバータ回路3、4の間に設けられたメインコンタクタ5と、インバータ回路3、4間に設けられたコンタクタ6と、外部信号の入力に基づいて、メインコンタクタ5およびコンタクタ6の制御ならびにインバータ回路3、4の出力の制御を行うことにより、同期モータ7を、第1および第2のインバータ回路4の両方の交流出力で駆動させる第1の駆動モードと、第1のインバータ回路3のみの交流出力で駆動させる第2の駆動モードとで駆動させる制御部2と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォークリフトなどの電気車両に搭載される同期モータの制御装置に関し、特に、低速から高速までの広範囲な運転領域において高トルクと高回転を両立した、高効率な同期モータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、フォークリフトに搭載される従来の同期モータの制御装置の概略構成図である。また、図12は、図11の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。
図11を参照して、同期モータの制御装置23は、同期モータ25と、同期モータ25に接続されたインバータ回路24と、インバータ回路24に直流電圧を供給するバッテリ(直流電源)Bとを備えている。
図12を参照して、同期モータ25は、ロータおよびステータ(図示しない)からなる公知のモータであって、ステータ側の三相コイルU、V、Wで発生させる回転磁界によって、永久磁石を有するロータを所望の回転数で回転させるものである。
インバータ回路24は、例えば、MOS型FET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの6個の半導体スイッチング素子Q18〜Q23からなり、この半導体スイッチング素子Q18〜Q23のスイッチング動作によって同期モータ25に三相交流出力を印加して、永久磁石を有するロータを回転させて、同期モータ25を駆動する。なお、インバータ回路24とバッテリBの間にはメインコンタクタ5が介在し、インバータ回路24の入力側にはコンデンサCが並列接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−89098号公報(段落0019〜0022、0040、および図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、同期モータ25においては、永久磁石を有するロータの回転によって、ステータ側のコイルに、ロータの回転数に比例した誘起電圧(逆起電力)が、インバータ回路24から印加される電圧を打ち消す方向に発生する。このため、同期モータ25の最大回転数は、この誘起電圧がインバータ回路24から印加される交流電圧以下となるような回転数に制限される。ここで、この誘起電圧を減少させるため、ステータ側のコイルU、V、Wの巻数を減らす等の方法により同期モータ25の最大回転数を上げることができるが、この場合、同期モータ25で発生する最大トルクが小さくなってしまう。即ち、同期モータ25においては、得られる最大回転数と最大トルクとが互いにトレードオフの関係にあるため、高トルクと高回転を同時に実現できないという問題を有している。
【0005】
また、同期モータ25の最大回転数を上げるために、ロータの永久磁石による磁界を打ち消すような電流を、ステータ側のコイルU、V、Wに流して誘起電圧を下げるという弱め界磁制御がある。しかしながら、弱め界磁制御は、永久磁石の界磁と逆方向の磁界をかけるために永久磁石が減磁されるという問題点や、トルクに寄与していない電流をコイルに流すために銅損が増大してモータ効率が悪くなり、バッテリの消費電力が増大するという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低速から高速までの広範囲な運転領域において高トルクと高回転を両立した、高効率な同期モータの制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、ステータに少なくとも第1および第2の多相コイルを含む複数の多相コイルを有する同期モータと、前記複数の多相コイルに対して回転磁界を発生させるための交流出力を個別に印加する少なくとも第1および第2のインバータ回路を含む複数のインバータ回路と、前記複数のインバータ回路に対して共通の直流電圧を供給するバッテリと、を備えた電気車両の同期モータの制御装置であって、前記バッテリと前記複数のインバータ回路の間に設けられて当該バッテリからの前記直流電圧の供給または供給停止の切り替えを行うメインコンタクタと、前記複数のインバータ回路間に設けられて当該複数のインバータ回路間の接続の切り替えを行う少なくとも1つのサブコンタクタと、外部信号の入力に基づいて、前記メインコンタクタおよび前記サブコンタクタの各々の切り替えの制御ならびに前記複数のインバータ回路の各々の交流出力の制御を行うことにより、前記同期モータを、少なくとも、前記第1および前記第2のインバータ回路の両方の交流出力で駆動させる第1の駆動モードと、前記第1のインバータ回路のみの交流出力で駆動させる第2の駆動モードとを含む複数の異なった駆動モードで駆動させる制御部と、を備えたことを特徴とする同期モータの制御装置を提供する。
【0008】
この発明によれば、同期モータの制御装置において、ステータ側の多相コイルを少なくとも第1および第2の多相コイルで構成し、また、インバータ回路を、少なくとも第1および第2の多相コイルにそれぞれ対応して交流出力を印加する少なくとも第1および第2のインバータ回路で構成する。そして、外部信号の入力に基づいて、同期モータを、少なくとも、第1および第2のインバータ回路の両方の交流出力で駆動させる第1の駆動モードと、第1のインバータ回路のみの交流出力で駆動させる第2の駆動モードとで駆動させる制御部を構成したので、同期モータを、第1の駆動モードにて高トルクにて駆動でき、さらに第2の駆動モードで高回転数まで駆動でき、結果として、高トルクと高回転を両立した、弱め界磁等の複雑な制御が不要な高効率の同期モータの制御装置を提供できる。
【0009】
本発明の好ましい第1実施例によれば、前記同期モータの回転速度を検出する速度検出部と、前記電気車両のアクセル指令量を検出するアクセル指令量検出部と、前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、をさらに備え、前記外部信号として、前記速度検出部で検出された速度信号、前記アクセル指令量検出部で検知されたアクセル指令信号、および前記バッテリ電圧検出部で検知されたバッテリ電圧信号の入力に基づいて、前記制御部が、前記速度信号と予め設定された速度基準信号とを比較し、前記速度信号が前記速度基準信号よりも小さいと判定した場合に、前記同期モータを前記第1の駆動モードで駆動させ、前記速度信号が前記速度基準信号よりも大きいと判定した場合に、前記同期モータを前記第2の駆動モードで駆動させる。ここで、前記速度基準信号は前記バッテリ電圧信号と所定のゲインの積で定められることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、同期モータの制御装置において、速度検出部、アクセル指令量検出部およびバッテリ電圧検出部をさらに構成する。そして、外部信号として、速度検出部で検出された速度信号の入力に基づいて、制御部が、速度信号と速度基準信号を比較し、その比較結果に応じて同期モータを第1の駆動モードまたは第2の駆動モードのいずれかの駆動モードで駆動させるように構成したので、低速域における高トルクと、高速域における高回転とを両立した、高効率な同期モータの制御装置を提供できる。
【0011】
第1実施例においてより好ましくは、第1の多相コイルの巻数を第2の多相コイルの巻数よりも少なく構成する。
【0012】
この構成によれば、ステータ側の第1および第2の多相コイルの巻数を変えるだけで、低速から高速までの広範囲な運転領域において高トルクと高回転を可変に制御することができる、高効率な同期モータの制御装置を提供できる。
【0013】
第1実施例においてさらに好ましくは、前記速度信号および前記アクセル指令信号の入力に基づいて、さらに、前記制御部が、前記同期モータに対する必要トルク値を算出し、この必要トルク値を前記同期モータから出力させるために前記第1および第2のインバータ回路に各々必要なトルク値を算出して、前記第1および第2のインバータ回路に交流出力として前記各々必要なトルク値を指令するように構成する。
【0014】
この構成によれば、外部信号として、速度信号およびアクセル指令信号の入力に基づいて、制御部によって同期モータに対する必要トルク値が算出され、この必要トルク値が同期モータから出力されるべく、第1および第2のインバータ回路に交流出力として各々必要なトルク値(トルク値に対応する電流値)が指令される。そして、この指令を受けて、第1および第2のインバータ回路がこれらの算出されたトルク(電流)を各々出力するので、トルクをより効率よく制御可能な同期モータの制御装置を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低速から高速までの広範囲な運転領域において高トルクと高回転を両立した、高効率な同期モータの制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例によるフォークリフトに搭載される同期モータの制御装置の概略構成図である。
【図2】図1の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。
【図3】図1の同期モータの制御装置の動作を説明するフロー図である。
【図4】図1の同期モータの制御装置の駆動状態を説明するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。
【図5】図1の同期モータの制御装置と、従来の同期モータの制御装置とを比較するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。
【図6】本発明の変形例によるフォークリフトに搭載される同期モータの制御装置の概略構成図である。
【図7】図6の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。
【図8】図6の同期モータの制御装置の動作を説明するフロー図である。
【図9】図6の同期モータの制御装置の駆動状態を説明するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。
【図10】図6の同期モータの制御装置と、従来の同期モータの制御装置とを比較するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。
【図11】フォークリフトに搭載される従来の同期モータの制御装置の概略構成図である。
【図12】図11の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例によるフォークリフトに搭載される同期モータの制御装置の概略構成図である。また、図2は、図1の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。ここで、図11を参照して説明した従来の同期モータの制御装置との対応関係が明確となるように、図11に示す各構成要素と共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
図1を参照して、同期モータの制御装置1は、制御部2と、同期モータ7と、同期モータ7に各々接続された高速型連続回転用インバータ回路(本願請求項の第1のインバータ回路に相当)3および低速型回転用インバータ回路(本願請求項の第2のインバータ回路に相当)4と、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4に共通の直流電圧を供給するバッテリ(直流電源)Bと、メインコンタクタ5と、サブコンタクタ6と、電流センサ8〜11と、速度検出部(PG)12と、アクセル指令量検出部13と、バッテリ電圧検出部14と、を備えている。速度検出部12は、同期モータ7に設けられたパルスジェネレータ(パルス生成器)PGからなり、同期モータ7の回転速度(回転数)を検出するものである。アクセル指令量検出部13は、フォークリフトのアクセルレバー(図示しない)の操作量に応じたアクセル指令量を検出するものである。バッテリ電圧検出部14は、バッテリBの直流電圧を検出するものである。
【0020】
この同期モータ7は、ロータおよびステータ(図示しない)からなる公知のモータである。図2を参照して、同期モータ7は、ステータ側に、高速型連続回転用インバータ回路3から交流出力が印加される高速型連続回転用三相コイル(本願請求項の第1の多相コイルに相当)U、V、Wと、低速型回転用インバータ回路4から交流出力が印加される低速型回転用三相コイル(本願請求項の第2の多相コイルに相当)U、V、Wを有する。同期モータ7は、永久磁石を有するロータを、これらの三相コイルで発生させる回転磁界によって所望の回転数で回転させるものである。ここで、高速型連続回転用三相コイルU、V、Wは、低速型回転用三相コイルU、V、Wよりもコイル巻数が少ない。
図示しないが、同期モータ7は、高速型連続回転用三相コイルU、V、Wおよび低速型回転用三相コイルU、V、Wのそれぞれで発生させた回転磁界に対応した回転力(トルク)を別々に出力、または合成して出力できる軸機構を有している。
【0021】
高速型連続回転用インバータ回路3は、U相上、U相下、V相上、V相下、W相上、W相下の6個の公知の半導体スイッチング素子Q1〜Q6からなり、これら半導体スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作によって同期モータ7に三相交流出力を印加して、同期モータ7を駆動する。
低速型回転用インバータ回路4は、U相上、U相下、V相上、V相下、W相上、W相下の6個の公知の半導体スイッチング素子Q7〜Q12からなり、これら半導体スイッチング素子Q7〜Q12のスイッチング動作によって同期モータ7に三相交流出力を印加して、同期モータ7を駆動する。
互いに直列接続された、U相上下に対応する半導体スイッチング素子Q1、Q2と、V相上下に対応する半導体スイッチング素子Q3、Q4と、W相上下に対応する半導体スイッチング素子Q5、Q6と、U相上下に対応する半導体スイッチング素子Q7、Q8と、V相上下に対応する半導体スイッチング素子Q9、Q10と、W相上下に対応する半導体スイッチング素子Q11、Q12とが、バッテリBの両端に接続される電源ライン間に並列に接続されている。半導体スイッチング素子としては、例えば、MOS型FET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの高速スイッチング動作が可能な素子が用いられる。図示しないが、それぞれの半導体スイッチング素子にはダイオードが並列接続されるのが好ましい。
また、互いに直列接続された各半導体スイッチング素子Q1〜12同士の接続点から、同期モータ7を駆動するための交流のU相電圧VUH、V相電圧VVH、W相電圧VWH、U相電圧VUL、V相電圧VVL、W相電圧VWLが同期モータ7に供給される。ここで、IUH、IVH、IWH、IUL、IVL、IWLは、それぞれU相電流、V相電流、W相電流、U相電流、V相電流、W相電流を示している。図1中の8〜11は、それぞれU相電流、V相電流、U相電流、V相電流を検出する電流センサである。なお、W相電流およびW相電流は、それぞれ、U相電流とV相電流とを合算したもの、およびU相電流とV相電流とを合算したものとなるので、W相電流およびW相電流用の電流センサは設けられていない。なお、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の入力側には、それぞれ、コンデンサC、Cが並列接続されている。
【0022】
メインコンタクタ5は、バッテリBと、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の間に設けられて、当該バッテリBからの当該インバータ回路3、4への直流電圧の供給または供給停止の切り替えを行うものである。また、サブコンタクタ6は、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の間に設けられて、当該インバータ回路3、4間の接続の切り替えを行うものである。
【0023】
制御部2は、入力部2aと、MPU(Micro Processor Unit)2b、出力部2cとを備え、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の各々の交流出力の制御、ならびに、メインコンタクタ5およびサブコンタクタ6の各々の切り替えの制御を行うものである。
入力部2aには、例えば、速度検出部(PG)12で検出された速度信号V、アクセル指令量検出部13で検知されたアクセル指令信号A、バッテリ電圧検出部14で検知されたバッテリ電圧信号V、U相電流に関するU相信号、V相電流に関するV相信号、U相電流に関するU相信号、およびV相電流に関するV相信号が入力される。
MPU2bは、入力部2aに入力された上記の信号に基づいて、同期モータ7の制御に必要な処理を実行する。
出力部2cは、MPU2bによって処理された制御信号を用いて、高速型連続回転用インバータ回路3、低速型回転用インバータ回路4、メインコンタクタ5およびサブコンタクタ6に対して必要な指令(出力)を行う。
【0024】
図3は、本発明の同期モータの制御装置1の動作を説明するフロー図であり、制御部2によって実行される手順を示してある。図4は、図1の同期モータの制御装置1の駆動状態を説明するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。図3および図4を参照して、以下本手順について説明する。
【0025】
最初に、制御部2によって、メインコンタクタ5がオンされる(ステップS1)。続いて、バッテリ電圧信号Vが入力部2aに入力され(ステップS2)、速度信号Vおよびアクセル指令信号Aが入力部2aに入力される(ステップS3)。
そして、MPU2bによって、速度信号Vと予め設定された速度基準信号Vとが比較される(ステップS4)。ここで、予め設定された速度基準信号Vは、バッテリ電圧信号Vと所定のゲインGの積で定められる。
上記のステップS4において、速度信号Vが速度基準信号V未満(V<V)、すなわち低速(低回転)の駆動状態と判定されたら、サブコンタクタ6がオンされる(ステップS5)。このステップS5により、同期モータ7は、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の両方の交流出力としてのトルク値(トルク値に対応する電流値)で駆動され得る状態となる(第1の駆動モード)。これは、図4に示す領域1および領域2での駆動状態に相当する。
また、上記のステップS4において、速度信号Vが速度基準信号V以上(V≧V)、すなわち高速(高回転)の駆動状態と判定されたら、サブコンタクタ6がオフされる(ステップS6)。このステップS6により、同期モータ7は、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力としてのトルク値(トルク値に対応する電流値)で駆動される状態となる(第2の駆動モード)。これは、図4に示す領域3での駆動状態に相当する。このとき、低速型回転用インバータ回路4は、バッテリBとは切り離されるが、制御部2によってトルク値0(電流値0)が指令された状態にコントロールされる。
【0026】
次に、上記低速の駆動状態において高トルクを実現するために、MPU2bによって、速度信号Vおよびアクセル指令信号Aに基づいて、同期モータ7に対する必要トルク値Tが算出される(ステップS7、S8)。そして、この必要トルク値Tを同期モータ7に出力させるために、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4に各々必要なトルク値(トルク値に対応する電流値)が、以下のように算出される。但し、説明を簡単にするために、高速型連続回転用インバータ回路3を常に最高トルク値(出力)に対応する交流出力で駆動して、当該インバータ回路3が同期モータ7に対する必要トルク値Tに対応する交流出力を出せなくなった場合のみ、その差分のトルク値に対応する交流出力を低速型回転用インバータ回路4が出せるように、両インバータ回路3、4を駆動させる場合について説明する。
まず、必要トルク値Tと予め設定されたトルク基準値(高速型連続回転用インバータ回路3の最高トルク値)Tとが比較される(ステップS9)。このステップS9において、制御部2は、上記ステップS7で算出された必要トルク値Tがトルク基準値T未満(T<T)と判定すれば、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、トルク値0を指令する(ステップS10)。これは、図4に示す領域1での駆動状態に相当する。また、このステップS9において、制御部2は、上記ステップS7で算出された必要トルク値Tがトルク基準値T以上(T≧T)と判定すれば、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、必要トルク値Tとトルク基準値Tとの差分値(T−T)を指令する(ステップS11)。これは、図4に示す領域2での駆動状態に相当する。
そして、ステップS10、S11の結果に応じて、低速型回転用インバータ回路4に必要なトルク値0または(T−T)に対応する交流出力が、当該インバータ回路4から同期モータ7に対して出力される(ステップS12)。さらに、高速型連続回転用インバータ回路3に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路3から同期モータ7に対して出力される(ステップS13)。したがって、低速域において、同期モータ7を、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の両方の交流出力で駆動させることができるので、同期モータの制御装置1における高トルクが実現できる。
なお、ステップS8の後においては、制御部2は、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、トルク値0を指令する(ステップS14)。これは、図4に示す領域3での駆動状態に相当し、上述したように、制御部2によって、低速型回転用インバータ回路4がバッテリBと切り離されるがトルク値0(電流値0)でコントロールされた状態となっている。そして、ステップS14の結果に応じて、高速型連続回転用インバータ回路3に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路3から同期モータ7に対して出力される(ステップS13)。したがって、高速域において、同期モータ7を、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力で高回転まで駆動させることができるので、同期モータの制御装置1における高回転が実現できる。
最後に、制御部2によって、同期モータ7が所望の動作で駆動するまでステップS2〜S14が反復せしめられて、最適な駆動モードと必要トルク値とが得られるように制御が行われる。
【0027】
(比較結果1)
図5に、図1の同期モータの制御装置1と、従来の同期モータの制御装置23とを比較するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフを示す。
図5を参照して、(a)は、同期モータ7を、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力で駆動させた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフ、(b)は、同期モータ7を、低速型回転用インバータ回路4のみの交流出力で駆動させた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフ、(A)は、図1の同期モータの制御装置1における(a)と(b)を組み合わせた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフである。
図5より明らかなように、従来の同期モータの制御装置23においては、(a)または(b)に示すいずれかのトルク−回転速度特性の範囲内でしか同期モータ25を駆動できないが、図1の同期モータの制御装置1においては、(A)に示すトルク−回転速度特性の幅広い範囲内で同期モータ7を駆動できる。
したがって、図1の同期モータの制御装置1は、従来の同期モータの制御装置23と比べて、高トルクと高回転を両立できる。
【0028】
(変形例)
図6は、本発明の第1実施例の変形例によるフォークリフトに搭載される同期モータの制御装置の概略構成図である。また、図7は、図6の同期モータのステータ側のコイルの等価回路図である。
ここで、本変形例は、第1実施例の同期モータの制御装置1において、さらに、中速型回転用インバータ回路を備え、この回路の追加に伴って、ステータ側の多相コイルの数、コンタクタの数、制御部の入出力信号の数および駆動モードの数を増やした点が、第1実施例と異なる。したがって、図1および図11を参照して説明した従来のスイッチング電源装置との対応関係が明確となるように、図1および図11に示す各構成要素と共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図6を参照して、同期モータの制御装置15は、制御部16と、同期モータ17と、同期モータ17に各々接続された高速型連続回転用インバータ回路(本願請求項の第1のインバータ回路に相当)3、低速型回転用インバータ回路(本願請求項の第2のインバータ回路に相当)4と、中速型回転用インバータ回路(第3のインバータ回路)18と、当該インバータ回路3、4、18に共通の直流電圧を供給するバッテリ(直流電源)Bと、メインコンタクタ5と、サブコンタクタ19、20と、速度検出部(PG)12と、アクセル指令量検出部13と、バッテリ電圧検出部14と、電流センサ21、22と、を備えている。
【0030】
この同期モータ17は、ロータおよびステータ(図示しない)からなる公知のモータである。図7を参照して、同期モータ17は、ステータ側に、高速型連続回転用インバータ回路3から交流出力が印加される高速型連続回転用三相コイル(本願請求項の第1の多相コイルに相当)U、V、Wと、低速型回転用インバータ回路4から交流出力が印加される低速型回転用三相コイル(本願請求項の第2の多相コイルに相当)U、V、Wと、中速型回転用インバータ回路18から交流出力が印加される中速型回転用三相コイル(第3の多相コイル)U、V、Wとを有する。同期モータ17は、永久磁石を有するロータを、これらの三相コイルで発生させる回転磁界によって所望の回転数で回転させるものである。ここで、高速型連続回転用三相コイルU、V、Wは、中速型回転用三相コイルU、V、Wよりもコイル巻数が少ない。また、中速型連続回転用三相コイルU、V、Wは、低速型回転用三相コイルU、V、Wよりもコイル巻数が少ない。
図示しないが、同期モータ17は、高速型連続回転用三相コイルU、V、W、低速型回転用三相コイルU、V、Wおよび中速型連続回転用三相コイルU、V、Wのそれぞれで発生させた回転磁界に対応した回転力を別々に出力、または合成して出力できる軸機構を有している。
【0031】
中速型回転用インバータ回路18は、U相上、U相下、V相上、V相下、W相上、W相下の6個の公知の半導体スイッチング素子Q13〜Q18からなり、これら半導体スイッチング素子Q13〜Q18のスイッチング動作によって同期モータ17に三相交流出力を印加して、同期モータ17を駆動する。
互いに直列接続された、U相上下に対応する半導体スイッチング素子Q13、Q14と、V相上下に対応する半導体スイッチング素子Q15、Q16と、W相上下に対応する半導体スイッチング素子Q17、Q18とが、バッテリBの両端に接続される電源ライン間に並列に接続されている。
また、互いに直列接続された各半導体スイッチング素子Q13〜Q18同士の接続点から、同期モータ17を駆動するための交流のU相電圧VUM、V相電圧VVM、W相電圧VWMが同期モータ7に供給される。ここで、IUM、IVM、IWMは、それぞれU相電流、V相電流、W相電流を示している。図6中の21、22は、それぞれU相電流、V相電流を検出する電流センサである。なお、W相電流は、U相電流とV相電流とを合算したものとなるので、W相電流用の電流センサは設けられていない。なお、中速型回転用インバータ回路18の入力側には、コンデンサCが並列接続されている。
【0032】
メインコンタクタ5は、バッテリBと、各インバータ回路3、4、18との間に設けられて、当該バッテリBからの当該インバータ回路3、4、18への直流電圧の供給または供給停止の切り替えを行うものである。サブコンタクタ19は、高速型連続回転用インバータ回路3および低速型回転用インバータ回路4の間に設けられ、当該インバータ回路3、4間の接続の切り替えを行うものである。サブコンタクタ20は、高速型連続回転用インバータ回路3および中速型回転用インバータ回路18の間に設けられ、当該インバータ回路3、18間の接続の切り替えを行うものである。
【0033】
制御部16は、入力部16aと、MPU(Micro Processor Unit)16b、出力部16cとを備え、各インバータ回路3、4、18の各々の交流出力の制御、ならびに、メインコンタクタ5およびサブコンタクタ19、20の各々の切り替えの制御を行うものである。
入力部16aには、U相電流に関するU相信号、V相電流に関するV相信号、が入力される。
MPU16bは、入力部16aに入力された信号に基づいて、同期モータ17の制御に必要な処理を実行する。
出力部16cは、MPU16bによって処理された制御信号を用いて、各インバータ回路3、4、18、メインコンタクタ5およびサブコンタクタ19、20に対して必要な指令(出力)を行う。
【0034】
図8は、本発明の同期モータの制御装置15の動作を説明するフロー図であり、制御部16によって実行される手順を示してある。図9は、図6の同期モータの制御装置15の駆動状態を説明するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフである。図8および図9を参照して、以下本手順について説明する。
【0035】
最初に、制御部16によって、メインコンタクタ5がオンされる(ステップS15)。続いて、バッテリ電圧信号Vが入力部16aに入力され(ステップS16)、速度信号Vおよびアクセル指令信号Aが入力部16aに入力される(ステップS17)。
そして、MPU16bによって、速度信号Vと予め設定された速度基準信号V、V(但し、V<V)が比較される(ステップS18)。ここで、予め設定された速度基準信号V、Vは、それぞれ、バッテリ電圧信号Vと所定のゲインGの積、バッテリ電圧信号Vと所定のゲインGの積で定められる(但し、G<G)。
上記のステップS18において、速度信号Vが速度基準信号V未満(V<V)、すなわち低速(低回転)の駆動状態と判定されたら、サブコンタクタ19、20が両方オンされる(ステップS19)。このステップS19により、同期モータ17は、高速型連続回転用インバータ回路3、低速型回転用インバータ回路4および中速型回転用インバータ回路18の3つの交流出力としてのトルク値(トルク値に対応する電流値)で駆動され得る状態となる(第1’の駆動モード)。これは、図9に示す領域1’および領域2’での駆動状態に相当する。
また、上記のステップS18において、速度信号Vが速度基準信号V以上V未満(V≦V<V)、すなわち中速(中回転)の駆動状態と判定されたら、サブコンタクタ19がオフされ、サブコンタクタ20がオンされる(ステップS20)。このステップS20により、同期モータ17は、高速型連続回転用インバータ回路3および中速型回転用インバータ回路18の両方の交流出力としてのトルク値(トルク値に対応する電流値)で駆動される状態となる(第2’の駆動モード)。これは、図9に示す領域3’での駆動状態に相当する。このとき、低速型回転用インバータ回路4は、バッテリBとは切り離されるが、制御部16によってトルク値0(電流値0)が指令された状態にコントロールされる。
さらに、上記のステップS18において、速度信号Vが速度基準信号V以上(V≦V)、すなわち高速(高回転)の駆動状態と判定されたら、サブコンタクタ19、20が両方オフされる(ステップS21)。このステップS21により、同期モータ17は、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力としてのトルク値(トルク値に対応する電流値)で駆動される状態となる(第3’の駆動モード)。これは、図9に示す領域4’での駆動状態に相当する。このとき、低速型回転用インバータ回路4および中速型回転用インバータ回路18は、ともに、バッテリBとは切り離されるが、制御部16によってトルク値0(電流値0)が指令された状態にコントロールされる。
【0036】
次に、上記低速の駆動状態において高トルクを実現するために、MPU16bによって、速度信号Vおよびアクセル指令信号Aに基づいて、同期モータ17に対する必要トルク値Tが算出される(ステップS22、S23、S24)。そして、この必要トルク値Tを同期モータ17に出力させるために、高速型連続回転用インバータ回路3、中速型回転用インバータ回路18および低速型回転用インバータ回路4に各々必要なトルク値(トルク値に対応する電流値)が、以下のように算出される。但し、説明を簡単にするために、高速型連続回転用インバータ回路3および中速型回転用インバータ回路18を常に最高トルク値(出力)に対応する交流出力で駆動して、当該両インバータ回路3、18が同期モータ7に対する必要トルク値Tに対応する交流出力を出せなくなった場合のみ、その差分のトルク値に対応する交流出力を低速型回転用インバータ回路4が出せるように、これらのインバータ回路3、4、18を駆動させる場合について説明する。
まず、必要トルク値Tと予め設定されたトルク基準値(高速型連続回転用インバータ回路3の最高トルク値と中速型回転用インバータ回路18の最高トルク値の合計)Tとが比較される(ステップS25)。このステップS25において、制御部16は、上記ステップS22で算出された必要トルク値Tがトルク基準値T未満(T<T)と判定すれば、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、トルク値0を指令する(ステップS26)。これは、図9に示す領域1’での駆動状態に相当する。また、このステップS25において、制御部16は、上記ステップS22で算出された必要トルク値Tがトルク基準値T以上(T≧T)と判定すれば、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、必要トルク値Tとトルク基準値Tとの差分値(T−T)を指令する(ステップS27)。これは、図9に示す領域2’での駆動状態に相当する。
そして、ステップS26、S27の結果に応じて、低速型回転用インバータ回路4に必要なトルク値0または(T−T)に対応する交流出力が、当該インバータ回路4から同期モータ17に対して出力される(ステップS28)。そして、中速型回転用インバータ回路18に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路18から同期モータ17に対して出力される(ステップS29)。さらに、高速型連続回転用インバータ回路3に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路3から同期モータ17に対して出力される(ステップS30)。したがって、低速域において、同期モータ17を、高速型連続回転用インバータ回路3、中速型回転用インバータ回路18および低速型回転用インバータ回路4の3つの交流出力で駆動させることができるので、同期モータの制御装置15における高トルクが実現できる。
なお、ステップS23の後においては、制御部16は、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、トルク値0を指令する(ステップS31)。これは、図9に示す領域3’での駆動状態に相当し、上述したように、制御部16によって、低速型回転用インバータ回路4が、バッテリBと切り離されるがトルク0(電流0)でコントロールされた状態となっている。そして、ステップS31の結果に応じて、中速型回転用インバータ回路18に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路18から同期モータ17に対して出力される(ステップS29)。さらに、高速型連続回転用インバータ回路3に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路3から同期モータ17に対して出力される(ステップS30)。
また、ステップS24の後においては、制御部16は、低速型回転用インバータ回路4に、必要なトルク値として、トルク値0を指令し(ステップ32)、中速型回転用インバータ回路18に、必要なトルク値として、トルク値0を指令する(ステップ33)。これは、図9に示す領域4’での駆動状態に相当し、上述したように、制御部16によって、低速型回転用インバータ回路4および中速型回転用インバータ回路18が、ともに、バッテリBと切り離されるがトルク値0(電流値0)でコントロールされた状態となっている。そして、ステップS32、S33の結果に応じて、高速型連続回転用インバータ回路3に必要なトルク値に対応する交流出力が、当該インバータ回路3から同期モータ17に対して出力される(ステップS30)。したがって、高速域において、同期モータ17を、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力で高回転まで駆動させることができるので、同期モータの制御装置15における高回転が実現できる。
最後に、制御部16によって、同期モータ17が所望の動作で駆動するまでステップS15〜S33が反復せしめられて、最適な駆動モードと必要トルク値とが得られるように制御が行われる。
【0037】
(比較結果2)
図10に、図6の同期モータの制御装置15と、従来の同期モータの制御装置23とを比較するためのトルク−回転速度(回転数)特性を示したグラフを示す。
図10を参照して、(a’)は、同期モータ17を、高速型連続回転用インバータ回路3のみの交流出力で駆動させた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフ、(b’)は、同期モータ17を、低速型回転用インバータ回路4のみの交流出力で駆動させた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフ、(c’)は、同期モータ17を、中速型回転用インバータ回路18のみの交流出力で駆動させた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフ、(A’)は、図6の同期モータの制御装置15における(a’)〜(c’)を組み合わせた場合のトルク−回転速度特性を示すグラフである。
図10より明らかなように、従来の同期モータの制御装置23においては、(a’)または(b’)または(c’)に示すいずれかのトルク−回転速度特性の範囲内でしか同期モータ25を駆動できないが、図6の同期モータの制御装置15においては、(A’)に示すトルク−回転速度特性の範囲内で同期モータ17を駆動できる。
したがって、図6の同期モータの制御装置15は、従来の同期モータの制御装置23と比べて、高トルクと高回転を両立できる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
例えば、本第1実施例および変形例において、インバータ回路をそれぞれ、2つ備えた場合、3つ備えた場合について説明したが、インバータ回路の個数をさらに増やしてもよいし、ステータ側の多相コイルの数、コンタクタの数、制御部への入出力信号の数および駆動モード状態も任意とすることができる。
また、制御部の構造は、本実施例に限定されるものではなく、速度の比較またはトルク値の比較を行うことにより、同期モータの最適な駆動状態を制御する構成を有していれば、どのような構成を有していても構わない。
さらに、本実施例において、同期モータの制御装置に関して説明したが、誘導モータなどの様々なモータの制御装置に応用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 同期モータの制御装置
2 制御部
2a 入力部
2b MPU(Micro Processor Unit)
2c 出力部
3 高速型連続回転用インバータ回路
4 低速型回転用インバータ回路
5 メインコンタクタ
6 サブコンタクタ
7 同期モータ
8 U相電流を検出する電流センサ
9 V相電流を検出する電流センサ
10 U相電流を検出する電流センサ
11 V相電流を検出する電流センサ
12 速度検出部(PG)
13 アクセル指令量検出部
14 バッテリ電圧検出部
15 同期モータの制御装置
16 制御部
16a 入力部
16b MPU(Micro Processor Unit)
16c 出力部
17 同期モータ
18 中速型回転用インバータ回路
19 サブコンタクタ
20 サブコンタクタ
21 U相電流を検出する電流センサ
22 V相電流を検出する電流センサ
23 同期モータの制御装置
24 インバータ回路
25 同期モータ
26 U相電流を検出する電流センサ
27 V相電流を検出する電流センサ
B バッテリ
C、C、C、C コンデンサ
PG パルスジェネレータ(パルス生成器)
Q1〜18 半導体スイッチング素子
U 三相コイル
高速型連続回転用三相コイル
低速型回転用三相コイル
中速型回転用三相コイル
V 三相コイル
高速型連続回転用三相コイル
低速型回転用三相コイル
中速型回転用三相コイル
W 三相コイル
高速型連続回転用三相コイル
低速型回転用三相コイル
中速型回転用三相コイル
S1〜S33 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータに少なくとも第1および第2の多相コイルを含む複数の多相コイルを有する同期モータと、前記複数の多相コイルに対して回転磁界を発生させるための交流出力を個別に印加する少なくとも第1および第2のインバータ回路を含む複数のインバータ回路と、前記複数のインバータ回路に対して共通の直流電圧を供給するバッテリと、を備えた電気車両の同期モータの制御装置であって、
前記バッテリと前記複数のインバータ回路の間に設けられて当該バッテリからの前記直流電圧の供給または供給停止の切り替えを行うメインコンタクタと、
前記複数のインバータ回路間に設けられて当該複数のインバータ回路間の接続の切り替えを行う少なくとも1つのサブコンタクタと、
外部信号の入力に基づいて、前記メインコンタクタおよび前記サブコンタクタの各々の切り替えの制御ならびに前記複数のインバータ回路の各々の交流出力の制御を行うことにより、前記同期モータを、少なくとも、前記第1および前記第2のインバータ回路の両方の交流出力で駆動させる第1の駆動モードと、前記第1のインバータ回路のみの交流出力で駆動させる第2の駆動モードとを含む複数の異なった駆動モードで駆動させる制御部と、を備えたことを特徴とする同期モータの制御装置。
【請求項2】
前記同期モータの回転速度を検出する速度検出部と、
前記電気車両のアクセル指令量を検出するアクセル指令量検出部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、をさらに備え、
前記外部信号として、前記速度検出部で検出された速度信号、前記アクセル指令量検出部で検知されたアクセル指令信号、および前記バッテリ電圧検出部で検知されたバッテリ電圧信号の入力に基づいて、前記制御部が、前記速度信号と予め設定された速度基準信号とを比較し、前記速度信号が前記速度基準信号よりも小さいと判定した場合に、前記同期モータを前記第1の駆動モードで駆動させ、前記速度信号が前記速度基準信号よりも大きいと判定した場合に、前記同期モータを前記第2の駆動モードで駆動させることを特徴とする請求項1に記載の同期モータの制御装置。
【請求項3】
前記速度基準信号は前記バッテリ電圧信号と所定のゲインの積で定められることを特徴とする請求項2に記載の同期モータの制御装置。
【請求項4】
前記第1の多相コイルは前記第2の多相コイルよりもコイル巻数が少ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の同期モータの制御装置。
【請求項5】
前記速度信号および前記アクセル指令信号の入力に基づいて、さらに、前記制御部が、前記同期モータに対する必要トルク値を算出し、この必要トルク値を前記同期モータから出力させるために前記第1および第2のインバータ回路に各々必要なトルク値を算出して、前記第1および第2のインバータ回路に交流出力として前記各々必要なトルク値を指令することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の同期モータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−178596(P2010−178596A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21660(P2009−21660)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】