同期信号発生回路
【課題】 PWM信号からその同期信号を発生する。
【解決手段】 三角波発生回路101は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であり、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる。同期信号発生部160は、三角波発生回路101が発生する三角波信号TRIA、TRIB、TRICに基づいてPWM信号PWMINに同期した同期信号SYNCを発生する手段であり、相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号SYNCのレベルを反転させ、先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化する。
【解決手段】 三角波発生回路101は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であり、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる。同期信号発生部160は、三角波発生回路101が発生する三角波信号TRIA、TRIB、TRICに基づいてPWM信号PWMINに同期した同期信号SYNCを発生する手段であり、相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号SYNCのレベルを反転させ、先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号に同期した同期信号を発生する同期信号発生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
D級増幅器は、入力信号に応じてパルス幅変調されたPWM信号を生成し、このPWM信号により負荷を駆動するアンプである(例えば特許文献1参照)。このD級増幅器は、エネルギー効率が高いという利点を有しており、オーディオ機器等においてスピーカを駆動するパワーアンプとして用いられる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−124625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲインを一定に保つ等の理由により、PWM信号の個々のパルス幅を負荷を駆動する回路の電源電圧に合わせて一律に調整(例えばパルス幅をk倍にする)する必要が生じる場合がある。このような要求に対処するための手段として、例えばPWM信号(以下、入力PWM信号という)を変調前のアナログ信号に戻し、このアナログ信号のPWM信号(以下、出力PWM信号という)への変換を再度行うといった手段が考えられる。しかし、この手段を採るとした場合、アナログ信号から出力PWM信号への変換を行うのに出力PWM信号の発生タイミングを指示する同期信号が必要となる。ここで、入力PWM信号から得られたアナログ信号は、元の入力PWM信号に同期した雑音成分を含んでいる。このため、アナログ信号から出力PWM信号を得るために用いる同期信号が元の入力PWM信号に同期していないと、出力PWM信号にビートが発生する。このようなビートの発生を防止するには、入力PWM信号の発生元である回路から入力PWM信号の発生に用いた同期信号を取得し、この同期信号を用いてアナログ信号から出力PWM信号への変換を行えばよい。しかし、そのような同期信号を入力PWM信号の発生元である回路から取得することができない場合もある。
【0005】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、PWM信号からそのPWM信号に同期した同期信号を発生することができる同期信号発生回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、入力されるパルス幅変調信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる三角波発生手段と、前記三角波発生手段が発生する三角波信号に基づいて前記パルス幅変調信号に同期した同期信号を発生する手段であって、前記三角波発生手段が相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号のレベルを反転させるとともに、前記相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化して停止させる同期信号発生手段とを具備することを特徴とする同期信号発生回路を提供する。
【0007】
かかる発明によれば、パルス幅変調信号において隣接する異種のエッジ間の中央において、相前後して発生した2個の三角波信号が互いに逆向きの時間勾配となって交差し、この交差点を境に2つの三角波信号の大小関係が切り換わる。従って、相前後して発生した2個の三角波信号の大小関係が切り換わったときに同期信号をレベル反転させることにより、パルス幅変調信号に同期した同期信号が得られる。また、同期信号のレベル反転時には、先行して発生した三角波信号が基準レベルに初期化されるため、パルス幅変調信号のエッジ検出に伴って発生される三角波信号は常に基準レベルから変化を開始する。従って、安定した同期信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の第1実施形態である同期信号発生回路を備えたD級増幅器の構成を示す回路図である。
【図2】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図3】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図4】同実施形態におけるタイミング発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図5】同実施形態における同期信号発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図6】同タイミング発生部の各部の信号波形を示す図である。
【図7】この発明の第2実施形態である同期信号発生回路を備えたD級増幅器の構成を示す回路図である。
【図8】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図9】同実施形態におけるタイミング発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図10】同実施形態における同期信号発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である同期信号発生回路100と再変調回路200とにより構成されたD級増幅器の構成を示す回路図である。このD級増幅器には、図示しないPWM回路が出力するPWM信号PWMINが入力される。このPWM信号PWMINは、入力信号に応じてパルス幅変調されたパルスの列であり、このパルスの列における個々のパルスは、時間軸上において一定の時間間隔で並んだサンプリング点の前後に同じ時間幅だけ膨らんだパルスとなっている。本実施形態による同期信号発生回路100は、このPWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCをPWM信号PWMINから発生する回路である。また、再変調回路200は、PWM信号PWMINおよび同期信号SYNCに基づき、同期信号SYNCに同期し、かつ、元のPWM信号PWMINのパルス幅に指定された倍率を乗算したパルス幅を持ったPWM信号PWMOUTを発生して出力する回路である。
【0010】
再変調回路200としては、各種の構成のものが考えられるが、例えば図示のように、PWM信号PWMINのパルス幅に応じた変調信号(アナログ信号)を発生するローパスフィルタ等の復調回路201と、同期信号SYNCに同期した三角波信号を発生する三角波発生回路202と、この三角波信号とアナログ信号とのレベル比較によりPWM信号PWMOUTを発生するPWM回路203とにより構成してもよい。
【0011】
本実施形態による同期信号発生回路100は、図1に示すように、三角波発生回路101と、同期信号発生部160とにより構成されている。三角波発生回路101は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号TRIA、TRIBまたはTRICを発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる回路である。
【0012】
図示の例において三角波発生回路101は、タイミング発生部102と、三角波発生部110A、110Bおよび110Cとを有する。ここで、タイミング発生部102は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出することにより、パルスPA、PBおよびPCを発生する回路である。さらに詳述すると、PWM信号PWMINにおいて、隣接した異種のエッジ間の期間(例えば立ち上がりエッジとその直後の立ち下がりエッジとの間の期間)を1異種エッジ間期間、連続した同種のエッジ間の期間(例えば立ち上がりエッジとその次の立ち上がりエッジとの間の期間)を1同種エッジ間期間と呼ぶものとすると、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間だけパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間だけパルスPAをHレベルとする、という動作を繰り返す。また、タイミング発生部102は、パルスPAに対して1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な態様でパルスPBを発生し、このパルスPBに対して1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な態様でパルスPCを発生する。
【0013】
三角波発生部110A、110Bおよび110Cは、タイミング発生部102が出力するパルスPA、PBおよびPCに基づいて三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICを各々発生する回路である。これらのうち三角波発生部110Aは、図示のように電源VDDおよび接地間に直列に介挿されたスイッチ111、定電流源112および113、スイッチ114と、定電流源112および113の共通接続点と接地との間に介挿されたキャパシタ115と、キャパシタ115に並列接続されたスイッチ116とを有する。この構成において、スイッチ111はPチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造の電界効果トランジスタ)、スイッチ114はNチャネルMOSFETであり、これらの各MOSFETのゲートにはパルスPAが供給される。スイッチ116は、NチャネルMOSFETであり、このMOSFETのゲートには同期信号発生部160からリセットパルスRAが供給される。
【0014】
リセットパルスRAがアクティブレベル(Hレベル)になると、スイッチ116がON状態となるため、スイッチ116を介してキャパシタ115の放電が行われ、三角波信号TRIAは0Vに固定される。リセットパルスRAが非アクティブレベル(Lレベル)である状態において、パルスPAがLレベルになると、スイッチ111がON、スイッチ114がOFFとなるため、定電流源112によるキャパシタ115の充電が行われ、三角波信号TRIAは、定電流源112の電流値とキャパシタ115の容量値により決定される一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。その後、パルスPAがHレベルになると、スイッチ111がOFF、スイッチ114がONとなるため、定電流源113によるキャパシタ115の放電が行われ、三角波信号TRIAは定電流源113の電流値とキャパシタ115の容量値により決定される一定の時間勾配で直線的に低下する。ここで、定電流源112および113は、同じ電流値の定電流源である。従って、三角波信号TRIAが上昇するときの時間勾配と、低下するときの時間勾配は、大きさが同じで符号が異なった勾配となる。
【0015】
三角波発生部110Bおよび110Cも三角波発生部110Aと同じ構成である。三角波発生部110Bは、パルスPBがLレベルである期間、三角波信号TRIBを一定の時間勾配で直線的に上昇させ、パルスPBがHレベルである期間、三角波信号TRIBを一定の時間勾配で直線的に低下させる。また、三角波発生部110Cは、パルスPCがLレベルである期間、三角波信号TRICを一定の時間勾配で直線的に上昇させ、パルスPCがHレベルである期間、三角波信号TRICを一定の時間勾配で直線的に低下させる。そして、三角波発生部110Bが発生する三角波信号TRIBは、同期信号発生部160がリセットパルスRBをアクティブレベル(Hレベル)にしたとき、三角波発生部110Cが発生する三角波信号TRICは、同期信号発生部160がリセットパルスRCをアクティブレベル(Hレベル)にしたとき、各々0Vに固定される。三角波発生部110A、110Bおよび110Cにおいて、定電流源112の電流値、定電流源113の電流値、キャパシタ115の容量値は同じである。このため、三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICが上昇するときの時間勾配の絶対値、これらが低下するときの時間勾配の絶対値は全て同じである。
【0016】
同期信号発生部160は、三角波発生回路101が発生する三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICに基づいてPWM信号PWMINに同期した同期信号SYNCを発生する手段である。この同期信号発生部160は、三角波発生回路101が相前後して発生を開始した2個の三角波信号(例えば三角波信号TRIAおよびTRIBとする)の大小関係が逆転したとき(例えばTRIA>TRIBの状態からTRIA<TRIBの状態に切り換わったとき)、同期信号SYNCのレベルを反転させるとともに、相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号(この例では三角波信号TRIA)を基準レベルに固定して停止させるためのリセットパルス(この例ではリセットパルスRA)を発生する。
【0017】
図2は、50%よりも小さいデューティ比を有するPWM信号PWMINが同期信号発生回路100に与えられた場合の各部の信号波形を示す図であり、図3は、50%よりも大きいデューティ比を有するPWM信号PWMINが同期信号発生回路100に与えられた場合の各部の信号波形を示す図である。以下、これらの図を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0018】
図2および図3において、最上段に並んだ下向き矢印の各々は、PWM信号PWMINのサンプリング点を各々示している。図示のように、PWM信号PWMINは、サンプリング点に対して前後に同じ時間だけ膨らんだパルスの列となる。
【0019】
図示の例において、タイミング発生部102は、PWM信号PWMINの最初の立ち上がりエッジ(時刻t1)から始まる1同種エッジ間期間(t1−t3)に亙ってパルスPAをLレベルとし、その後、1異種エッジ間期間(t3−t4)に亙ってパルスPAをHレベルとしている。以下、同様であり、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間に亙ってパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間に亙ってパルスPAをHレベルにする、という動作を繰り返す。
【0020】
パルスPAがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t1−t3)において、三角波信号TRIAは一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。また、パルスPAの立ち下がりよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた時点から始まる1同種エッジ間期間(t2−t4)の間、タイミング発生部102は、パルスPBをLレベルとする。この間、三角波信号TRIBは一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。
【0021】
ここで、同種エッジ間期間(t1−t3)と同種エッジ間期間(t2−t4)の長さは、いずれもPWM信号PWMINの周期と一致するため、両者は等しくなる。また、同種エッジ間期間(t1−t3)における三角波信号TRIAの時間勾配と同種エッジ間期間(t2−t4)における三角波信号TRIBの時間勾配は等しい。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、時刻t3およびt4において、同じ電圧VPに各々到達する。
【0022】
一方、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間(t1−t3)に亙ってパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間(t3−t4)に亙ってパルスPAをHレベルとする。このパルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)において、三角波信号TRIAは、上昇時における三角波信号TRIAおよびTRIBの時間勾配を同じ絶対値を有する逆方向の時間勾配で電圧VPから直線的に低下し始める。
【0023】
ここで、パルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)に着目すると、同期間(t3−t4)の始点t3では、三角波信号TRIAが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t3−t4)の終点t4では、三角波信号TIRBが三角波信号TRIAとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、パルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRIAおよびTRIBの関係はTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わる。
【0024】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図示の例では、LレベルからHレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRIAのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRAをアクティブレベル(Hレベル)にする。
以上と同様の動作が相前後して発生する三角波信号TRIBおよびTRICについても行われ、相前後して発生する三角波信号TRICおよびTRIAについても行われる。すなわち、次の通りである。
【0025】
まず、三角波信号TRIBは、パルスPBがLレベルとなる1同種エッジ間期間(t2−t4)において0VからVPまで上昇するが、三角波信号TRICは、この1同種エッジ間期間(t2−t4)から1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t3−t5)において、パルスPCがLレベルとなるため、0Vから電圧VPまで上昇する。また、三角波信号TRIBは、1同種エッジ間期間(t2−t4)の後の1異種エッジ間期間(t4−t5)になると、パルスPBがHレベルとなるため、一定の時間勾配で電圧VPから低下し始める。
【0026】
ここで、パルスPBがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t4−t5)に着目すると、同期間(t4−t5)の始点t4では、三角波信号TRIBが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t4−t5)の終点t5では、三角波信号TRICが三角波信号TRIBとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRIBおよびTRICは、パルスPBがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t4−t5)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRIBおよびTRICの関係はTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わる。
【0027】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図示の例では、HレベルからLレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRIBのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRBをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0028】
次に、三角波信号TRICは、パルスPCがLレベルとなる1同種エッジ間期間(t3−t5)において0VからVPまで上昇するが、三角波信号TRIAは、この1同種エッジ間期間(t3−t5)から1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t4−t6)において、パルスPAがLレベルとなるため、0Vから電圧VPまで上昇する。また、三角波信号TRICは、1同種エッジ間期間(t3−t5)の後の1異種エッジ間期間(t5−t6)になると、パルスPCがHレベルとなるため、一定の時間勾配で電圧VPから低下し始める。
【0029】
ここで、パルスPCがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t5−t6)に着目すると、同期間(t5−t6)の始点t5では、三角波信号TRICが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t5−t6)の終点t6では、三角波信号TRIAが三角波信号TRICとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRICおよびTRIAは、パルスPCがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t5−t6)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRICおよびTRIAの関係はTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わる。
【0030】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRICおよびTRIAの関係がTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図の例では、LレベルからHレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRICのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRCをアクティブレベル(Hレベル)にする。
以下、同様の動作が行われる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、PWM信号PWMINのデューティ比とは無関係に、PWM信号PWMINがHレベルを維持する期間の中央のサンプリング点およびLレベルを維持する期間の中央のサンプリング点に同期してレベル反転する同期信号SYNCが得られる。本実施形態では、この同期信号SYNCが再変調回路200の三角波発生回路202に供給される。
【0032】
再変調回路200において、PWM回路203が三角波発生回路202からの三角波信号とのレベル比較に用いるアナログ信号は、PWM信号PWMINのサンプリング点に間隔に対応した周波数の雑音を含んでいる。このため、PWM回路203がPWM信号PWMOUTを発生するのに用いる三角波信号が、このPWM信号PWMINと同期していないと、PWM信号PWMOUTにビートが発生する。しかしながら、本実施形態では、同期信号発生回路100がPWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCを出力する。そして、再変調回路200の三角波発生回路202は、例えば三角波発生部110A等と同様な構成により、PWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCのエッジにおいてピークとなる三角波信号を発生し、PWM回路203はこの三角波信号を用いてPWM信号PWMOUTを生成する。従って、PWM信号PWMOUTにビートが発生するのを防止することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、前段のPWM回路からPWM信号PWMINの同期信号が供給されない状況でも、PWM信号PWMINから同期信号SYNCを発生することができる。従って、ビートの発生という不具合を生じさせることなく、PWM信号PWMINのパルス幅を一律に拡張または縮小する操作等を行うことが可能となる。また、本実施形態において、同期信号SYNCを発生するために利用される三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICは、常に基準レベルである0Vから上昇を開始する。従って、常にサンプリング点に正確に同期した同期信号SYNCが得られる。
【0034】
次に具体例を挙げて、本実施形態をさらに詳細に説明する。図4は本実施形態におけるタイミング発生部102の具体的構成例を示す回路図、図5は本実施形態における同期信号発生部160の具体的構成例を示す回路図、図6は図4に示すタイミング発生部102の各部の波形を示す図である。
【0035】
まず、図4に示すタイミング発生部102について説明する。
図4において、フリップフロップ121〜124はシフトレジスタを構成しており、このシフトレジスタとNORゲート125はリングカウンタを構成している。ここで、シフトレジスタの第1段および第3段に位置するフリップフロップ121および123は、PWM信号PWMINの立ち上がりにより入力データを取り込んで出力するポジティブエッジ駆動のフリップフロップであり、第2段および第4段に位置するフリップフロップ122および124は、PWM信号PWMINの立ち下がりにより入力データを取り込んで出力するネガティブエッジ駆動のフリップフロップである。
【0036】
このように構成されたリングカウンタにおいて、図6に示すように、NORゲート125の出力信号DaがHレベルである時刻t11にPWM信号PWMINが立ち上がると、このHレベルの信号DaがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ121の正論理出力信号(Q出力信号)DbがHレベルとなる。これによりNORゲート125の出力信号DaはLレベルとなる。
【0037】
次に時刻t12にPWM信号PWMINが立ち下がると、Hレベルの信号DbがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ122の正論理出力信号(Q出力信号)DcがHレベルとなる。次に時刻t13にPWM信号PWMINが立ち上がると、Hレベルの信号DcがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ123に取り込まれ、フリップフロップ123の正論理出力信号(Q出力信号)DdがHレベルとなる。また、Lレベルの信号DaがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ121の正論理出力信号(Q出力信号)DbがLレベルとなる。
【0038】
次に時刻t14にPWM信号PWMINが立ち下がると、Hレベルの信号DdがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ124に取り込まれ、フリップフロップ124の正論理出力信号(Q出力信号)DeがHレベルとなる。また、Lレベルの信号DbがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ122に取り込まれ、フリップフロップ122の正論理出力信号(Q出力信号)DcがLレベルとなる。次に時刻t15にPWM信号PWMINが立ち上がると、Lレベルの信号DcがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ123に取り込まれ、フリップフロップ123の正論理出力信号(Q出力信号)DdがHレベルとなる。次に時刻t16にPWM信号PWMINが立ち下がると、Lレベルの信号DdがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ124に取り込まれ、フリップフロップ124の正論理出力信号(Q出力信号)DdがLレベルとなる。また、これにより信号Da〜Ddの全てがLレベルになることから、NORゲート125の出力信号DaがHレベルになる。図4に示すタイミング発生部102は、以上のようにPWM信号PWMINが6回レベル反転する間の動作を1周期分の動作とし、この1周期分の動作を繰り返す。
【0039】
図4において、NANDゲート131は、シフトレジスタの第1段のフリップフロップ121の正論理出力信号Dbと第2段のフリップフロップ122の負論理出力信号Dc’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期のうちPWM信号PWMINが最初に立ち上がって次に立ち下がるまでの第1の異種エッジ間期間(t11−t12)のみステート信号S0をアクティブレベル(Lレベル)とする。また、NANDゲート132は、シフトレジスタの第2段のフリップフロップ122の正論理出力信号Dcと第3段のフリップフロップ123の負論理出力信号Dd’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第2の異種エッジ間期間(t12−t13)のみステート信号S1をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0040】
また、NANDゲート133は、シフトレジスタの第3段のフリップフロップ123の正論理出力信号Ddと第4段のフリップフロップ124の負論理出力信号De’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第3の異種エッジ間期間(t13−t14)のみステート信号S2をアクティブレベル(Lレベル)とする。また、NANDゲート134は、シフトレジスタの第4段のフリップフロップ124の正論理出力信号Deと第3段のフリップフロップ123の正論理出力信号Ddの両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第4の異種エッジ間期間(t14−t15)のみステート信号S3をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0041】
また、NANDゲート135は、シフトレジスタの第4段のフリップフロップ124の正論理出力信号Deと第3段のフリップフロップ123の負論理出力信号Dd’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第5の異種エッジ間期間(t15−t16)のみステート信号S4をアクティブレベル(Lレベル)とする。そして、インバータ136は、NORゲート125の出力信号DaがHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における最後の異種エッジ間期間(t16−次の周期のt11)のみステート信号S5をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0042】
そして、ローアクティブNORゲート137Aは、ステート信号S0、S1、S3、S4のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPAをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPAをHレベルとする。また、ローアクティブNORゲート137Bは、ステート信号S1、S2、S4、S5のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPBをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPBをHレベルとする。また、ローアクティブNORゲート137Cは、ステート信号S2、S3、S5、S0のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPCをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPCをHレベルとする。
【0043】
このため、図6に示すように、パルスPAは、1同種エッジ間期間(t11−t13)に亙ってLレベルを維持し、1異種エッジ間期間(t13−t14)に亙ってHレベルを維持し、1同種エッジ間期間(t14−t16)に亙ってLレベルを維持し、1異種エッジ間期間(t16−次の周期のt11)に亙ってHレベルを維持する、という変化を周期的に繰り返す。また、パルスPBは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れてパルスPAと同様な周期的変化を繰り返し、パルスPCは、パルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れてパルスPAと同様な周期的変化を繰り返す。図6と図2および図3におけるPWM信号PWMIN、パルスPA、PBおよびPCを対比すると、図6における時刻t11〜t16が図2および図3における時刻t1〜t6に各々対応しており、図4に示すタイミング発生部102により図2および図3に示すパルスPA、PBおよびPCが発生されることが理解されよう。
以上が図4に示すタイミング発生部102の詳細である。
【0044】
次に図5に示す同期信号発生部160について説明する。
図5において、コンパレータ161Aは、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。また、コンパレータ161Bは、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。コンパレータ161Cは、三角波信号TRICおよびTRIAの関係がTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。ローアクティブOR−ANDゲート162Aは、ステート信号S2またはS5がLレベルの期間のみコンパレータ161Aの出力信号を通過させ、ローアクティブOR−ANDゲート162Bは、ステート信号S3またはS0がLレベルの期間のみコンパレータ161Bの出力信号を通過させ、ローアクティブOR−ANDゲート162Cは、ステート信号S4またはS1がLレベルの期間のみコンパレータ161Cの出力信号を通過させる。
【0045】
ローアクティブOR−ANDゲート162A、162Bおよび162Cの各出力信号は、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに供給される。このトグルフリップフロップ166は、負論理出力端の信号がデータ入力端Dに帰還されており、クロック入力端Cへの入力信号が立ち上がる度に正論理出力端Qの信号のレベルを反転させる。そして、この例では、トグルフリップフロップ166の正論理出力端Qの信号が同期信号SYNCとなる。
【0046】
セットリセットフリップフロップ163Aは、ローアクティブOR−ANDゲート162Aの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPAがインバータ164Aにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Aの出力信号がリセットパルスRAとして図1における三角波発生部110Aに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Bは、ローアクティブOR−ANDゲート162Bの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPBがインバータ164Bにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Bの出力信号がリセットパルスRBとして図1における三角波発生部110Bに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Cは、ローアクティブOR−ANDゲート162Cの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPCがインバータ164Cにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Cの出力信号がリセットパルスRCとして図1における三角波発生部110Cに供給される。
【0047】
このような構成において、図6においてステート信号S2がLレベル、パルスPAがHレベルとなる異種エッジ間期間(t13−t14)では、三角波信号TRIAが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRIBが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する(図2および図3のt3−t4間を参照)。そして、異種エッジ間期間(t13−t14)の中央のサンプリング点において、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA<TRIBからTRIA>TRIBに切り換わると、コンパレータ161Aの出力信号が立ち上がる。このときステート信号S2がLレベルであることから、このコンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、ローアクティブOR−ANDゲート162Aを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRAがHレベルとなり、三角波信号TRIAが0Vに初期化される。その後、ステート信号S2がHレベル、ステート信号S3がLレベルとなって、パルスPAがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Aに対するリセットパルスRAがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIAは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0048】
次に、図6においてステート信号S3がLレベル、パルスPBがHレベルとなる異種エッジ間期間(t14−t15)では、三角波信号TRIBが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRICが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する(図2および図3のt4−t5間を参照)。そして、異種エッジ間期間(t14−t15)の中央のサンプリング点において、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB<TRICからTRIB>TRICに切り換わると、コンパレータ161Bの出力信号が立ち上がる。このときステート信号S3がLレベルであることから、このコンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、ローアクティブOR−ANDゲート162Bを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRBがHレベルとなり、三角波信号TRIBが0Vに初期化される。その後、ステート信号S3がHレベル、ステート信号S4がLレベルとなって、パルスPBがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Bに対するリセットパルスRBがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIBは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0049】
三角波信号TRICおよびTRIAに関連したコンパレータ161C、ローアクティブOR−ANDゲート162C、セットリセットフリップフロップ163Cおよびインバータ164Cの動作も以上と同様である。
以上が図5に示す同期信号発生部160の詳細である。
【0050】
<第2実施形態>
図7はこの発明の第2実施形態である同期信号発生回路100Aの構成を示す回路図である。この同期信号発生回路100Aは、PWM信号PWMINから三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDを発生する三角波発生回路101Aと、これらの三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDに基づいて同期信号SYNCを発生する同期信号発生部160Aとにより構成されている。また、三角波発生回路101Aは、タイミング発生部102Aと、4個の三角波発生部110A、110B、110Cおよび110Dとにより構成されている。ここで、タイミング発生部102Aは、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを各々検出し、1同種エッジ間期間に亙ってLレベルを維持し、その後の1同種エッジ間期間に亙ってHレベルを維持するという変化を繰り返すパルスPAを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPBを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPCを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPCから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPDを出力する。三角波発生部110A、110B、110Cおよび110Dは、上記第1実施形態の三角波発生部110Aと同様な回路であり、各々パルスPA、PB、PCおよびPDに基づいて三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDを発生する。同期信号発生部160Aには、三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDが与えられる。同期信号発生部160Aは、相前後して発生される2個の三角波信号(例えば三角波信号TRIAおよびTRIB)の大小関係が切り換わったとき、同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、先行して発生された三角波信号(この例では三角波信号TRIA)を0Vに初期化するためのリセットパルスを出力する。
【0051】
図8は同期信号発生回路100Aの各部の信号波形を示す図である。図8に示すように、タイミング発生部102Aは、1同種エッジ間期間(例えばt21−t23)に亙ってパルスPAをLレベルとし、1同種エッジ間期間(例えばt23−t25)に亙ってパルスPAをHレベルとする動作を繰り返す。また、タイミング発生部102Aは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPBをパルスPAと同様に変化させ、このパルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPCをパルスPAと同様に変化させ、さらにこのパルスPCから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPDをパルスPAと同様に変化させる。
【0052】
三角波信号TRIAは、パルスPAがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t21〜t23)において、一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇し、その後の1異種エッジ間期間(t23−t24)になると、パルスPAがHレベルになるため、電圧VBから上昇時と同じ絶対値の時間勾配で低下し始める。一方、パルスPBは、パルスPAよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t22〜t24)においてLレベルとなる。このパルスPBがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t22〜t24)において、三角波信号TRIBは上昇時の三角波信号TRIAと同じ一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇する。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、パルスPAがHレベルとなった直後の1異種エッジ間期間(t23−t24)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係は、TRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わる。これにより同期信号発生部160Aは、サンプリング点において同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、リセットパルスRAをHレベルにして三角波信号TRIAを0Vに初期化する。
【0053】
1異種エッジ間期間(t24−t25)になると、パルスPBがHレベルになるため、三角波信号TRIBは、上昇時と同じ絶対値の逆向きの時間勾配で、電圧VPから低下し始める。一方、パルスPCは、パルスPBよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t23〜t25)においてLレベルとなる。このパルスPCがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t23〜t25)において、三角波信号TRICは上昇時の三角波信号TRIBと同じ一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇する。このため、三角波信号TRIBおよびTRICは、パルスPBがHレベルとなった直後の1異種エッジ間期間(t24−t25)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に、三角波信号TRIBおよびTRICの関係は、TRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わる。これにより同期信号発生部160Aは、サンプリング点において同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、リセットパルスRBをHレベルにして三角波信号TRIBを0Vに初期化する。
【0054】
以下同様であり、1異種エッジ間期間(t24−t25)の後の1異種エッジ間期間(t25−t26)では、低下する三角波信号TRICと上昇する三角波信号TRIDとがサンプリング点において交差して同期信号SYNCがレベル反転し、その後の1異種エッジ間期間(t26−t27)では、低下する三角波信号TRIDと上昇する三角波信号TRIAとがサンプリング点において交差して同期信号SYNCがレベル反転する。
【0055】
図9は、本実施形態におけるタイミング発生部102Aの具体的構成例を示す回路図である。図9に示すように、タイミング発生部102Aは、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジをトリガとしてレベル反転するトグルフリップフロップ126と、PWM信号PWMINの立ち下がりエッジをトリガとしてレベル反転するトグルフリップフロップ127と、4個のNANDゲート128A、128B、128Cおよび128Dとにより構成されている。ここで、トグルフリップフロップ126の正論理出力信号(Q出力信号)がパルスPA、負論理出力信号がパルスPCとなり、トグルフリップフロップ127の正論理出力信号(Q出力信号)がパルスPB、負論理出力信号がパルスPDとなる。このような構成とすることで、図8に示すパルスPA、PB、PCおよびPDがPWM信号PWMINから得られる。NANDゲート128Aは、パルスPBおよびPCがHレベルである期間のみステート信号S0をLレベルとし、NANDゲート128Bは、パルスPCおよびPDがHレベルである期間のみステート信号S1をLレベルとし、NANDゲート128Cは、パルスPDおよびPAがHレベルである期間のみステート信号S2をLレベルとし、NANDゲート128Dは、パルスPAおよびPBがHレベルである期間のみステート信号S3をLレベルとする。
【0056】
図10は、本実施形態における同期信号発生部160Aの具体的構成例を示す回路図である。なお、図10に示す各部おいて前掲図5と対応する部分には同一の符号が使用されている。図10において、コンパレータ161A〜161Dは、三角波信号TRIA〜TRIDの大小関係の切り換わりを検出する手段である。さらに詳述すると、コンパレータ161Aは、TRIA>TRIBからTRIA<TRIBへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Bは、TRIB>TRICからTRIB<TRICへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Cは、TRIC>TRIDからTRIC<TRIDへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Dは、TRID>TRIAからTRID<TRIAへの切り換わり時に出力信号を立ち上げる。
ANDゲート167Aは、ステート信号S2がLレベルである期間のみコンパレータ161Aの出力信号を通過させ、ANDゲート167Bは、ステート信号S3がLレベルである期間のみコンパレータ161Bの出力信号を通過させ、ANDゲート167Cは、ステート信号S0がLレベルである期間のみコンパレータ161Cの出力信号を通過させ、ANDゲート167Dは、ステート信号S1がLレベルである期間のみコンパレータ161Dの出力信号を通過させる。
【0057】
ANDゲート167A、167B、167Cおよび167Dの各出力信号は、ORゲート168を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに供給される。このトグルフリップフロップ166の正論理出力端Qの信号が同期信号SYNCとなる。
【0058】
セットリセットフリップフロップ163Aは、ANDゲート167Aの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPAがインバータ164Aにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Aの出力信号がリセットパルスRAとして図7における三角波発生部110Aに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Bは、ANDゲート167Bの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPBがインバータ164Bにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Bの出力信号がリセットパルスRBとして図7における三角波発生部110Bに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Cは、ANDゲート167Cの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPCがインバータ164Cにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Cの出力信号がリセットパルスRCとして図7における三角波発生部110Cに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Dは、ANDゲート167Dの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPDがインバータ164Dにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Dの出力信号がリセットパルスRDとして図7における三角波発生部110Dに供給される。
【0059】
このような構成において、図8に示すようにパルスPAがHレベルとなる異種エッジ間期間(t23−t24)では、三角波信号TRIAが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRIBが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する。そして、異種エッジ間期間(t23−t24)の中央のサンプリング点において、TRIA<TRIBからTRIA>TRIBへの切り換わりが発生し、コンパレータ161Aの出力信号が立ち上がる。このときパルスPAおよびPDがHレベルであってステート信号S2がLレベルになることから、このコンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、ANDゲート167Aを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRAがHレベルとなり、三角波信号TRIAが0Vに初期化される。その後、パルスPAがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Aに対するリセットパルスRAがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIAは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0060】
次に、図8に示すようにパルスPBがHレベルとなる異種エッジ間期間(t24−t25)では、三角波信号TRIBが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRICが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する。そして、異種エッジ間期間(t24−t25)の中央のサンプリング点において、TRIB<TRICからTRIB>TRICへの切り換わりが発生し、コンパレータ161Bの出力信号が立ち上がる。このときパルスPAおよびPBがHレベルであってステート信号S3がLレベルになることから、このコンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、ANDゲート167Bを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRBがHレベルとなり、三角波信号TRIBが0Vに初期化される。その後、パルスPBがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Bに対するリセットパルスRBがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIBは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0061】
三角波信号TRICおよびTRIDに関連したコンパレータ161C、ANDゲート167C、セットリセットフリップフロップ163Cおよびインバータ164Cの動作も以上と同様である。また、 三角波信号TRIDおよびTRIAに関連したコンパレータ161D、ANDゲート167D、セットリセットフリップフロップ163Dおよびインバータ164Dの動作も以上と同様である。
【0062】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、図4と図9とを比較すれば分かるように、本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、タイミング発生部102Aの構成を簡素なものにすることができるという利点がある。
【0063】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、相前後して発生した2個の三角波信号の大小関係が切り換わったとき、同期信号SYNCをレベル反転させ、先行して発生した三角波信号を0Vに初期化したが、0V以外の基準レベルに三角波信号を初期化してもよい。
(2)上記実施形態では、PWM信号PWMINからエッジが順次検出されるのに応じて、正の時間勾配から始まる三角波信号を順次発生させ、先行する三角波信号における負の時間勾配の区間と後続の三角波信号の正の時間勾配の区間とが交差する点において同期信号SYNCをレベル反転させた。しかし、PWM信号PWMINからエッジが順次検出されるのに応じて、負の時間勾配から始まる三角波信号を順次発生させ、先行する三角波信号における正の時間勾配の区間と後続の三角波信号の負の時間勾配の区間とが交差する点において同期信号SYNCをレベル反転させてもよい。
(3)上記実施形態は、PWM信号PWMINに発生する同種エッジ間期間がPWM信号PWMINのサンプリング周期に同期していることを前提としている。そして、PWM信号PWMINを発生するのに用いるアナログ信号の波形に急激な変化が生じない状況では、この前提がほぼ成立するため、PWM信号PWMINに正確に同期した同期信号SYNCが得られる。しかし、PWM信号PWMINを発生するのに用いるアナログ信号の波形に急激な変化が生じる場合には、その結果発生するPWM信号PWMINの同種エッジ間期間がPWM信号PWMINのサンプリング周期に対して一時的に同期ずれを起こすことがある。このような一時的な同期ずれを補償するために、例えば同期信号SYNCをPLL(Phase Locked Loop;位相同期ループ)に与え、同期信号SYNCの周期変動を緩和した同期信号をPLLにより生成して再変調回路200に供給してもよい。
【符号の説明】
【0064】
100,100A……同期信号発生回路、101,101A……三角波発生回路、102,102A……タイミング発生部、110A,110B,110C,110D……三角波発生部、160,160A……同期信号発生部、111,114,116……スイッチ、112,113……定電流源、115……キャパシタ、121〜124……フリップフロップ、125……NORゲート、131〜135,128A,128B,128C,128D……NANDゲート、136,164A,164B,164C,164D……インバータ、137A,137B,137C……ローアクティブNORゲート、161A,161B,161C,161D……コンパレータ、162A,162B,162C……ローアクティブOA−ANDゲート、163A,163B,163C,163D……セットリセットフリップフロップ、165……ORゲート、166,126,127……トグルフリップフロップ、167A,167B,167C,167D……ANDゲート、200……再変調回路、201……復調回路、202……三角波発生回路、203……PWM回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号に同期した同期信号を発生する同期信号発生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
D級増幅器は、入力信号に応じてパルス幅変調されたPWM信号を生成し、このPWM信号により負荷を駆動するアンプである(例えば特許文献1参照)。このD級増幅器は、エネルギー効率が高いという利点を有しており、オーディオ機器等においてスピーカを駆動するパワーアンプとして用いられる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−124625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲインを一定に保つ等の理由により、PWM信号の個々のパルス幅を負荷を駆動する回路の電源電圧に合わせて一律に調整(例えばパルス幅をk倍にする)する必要が生じる場合がある。このような要求に対処するための手段として、例えばPWM信号(以下、入力PWM信号という)を変調前のアナログ信号に戻し、このアナログ信号のPWM信号(以下、出力PWM信号という)への変換を再度行うといった手段が考えられる。しかし、この手段を採るとした場合、アナログ信号から出力PWM信号への変換を行うのに出力PWM信号の発生タイミングを指示する同期信号が必要となる。ここで、入力PWM信号から得られたアナログ信号は、元の入力PWM信号に同期した雑音成分を含んでいる。このため、アナログ信号から出力PWM信号を得るために用いる同期信号が元の入力PWM信号に同期していないと、出力PWM信号にビートが発生する。このようなビートの発生を防止するには、入力PWM信号の発生元である回路から入力PWM信号の発生に用いた同期信号を取得し、この同期信号を用いてアナログ信号から出力PWM信号への変換を行えばよい。しかし、そのような同期信号を入力PWM信号の発生元である回路から取得することができない場合もある。
【0005】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、PWM信号からそのPWM信号に同期した同期信号を発生することができる同期信号発生回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、入力されるパルス幅変調信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる三角波発生手段と、前記三角波発生手段が発生する三角波信号に基づいて前記パルス幅変調信号に同期した同期信号を発生する手段であって、前記三角波発生手段が相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号のレベルを反転させるとともに、前記相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化して停止させる同期信号発生手段とを具備することを特徴とする同期信号発生回路を提供する。
【0007】
かかる発明によれば、パルス幅変調信号において隣接する異種のエッジ間の中央において、相前後して発生した2個の三角波信号が互いに逆向きの時間勾配となって交差し、この交差点を境に2つの三角波信号の大小関係が切り換わる。従って、相前後して発生した2個の三角波信号の大小関係が切り換わったときに同期信号をレベル反転させることにより、パルス幅変調信号に同期した同期信号が得られる。また、同期信号のレベル反転時には、先行して発生した三角波信号が基準レベルに初期化されるため、パルス幅変調信号のエッジ検出に伴って発生される三角波信号は常に基準レベルから変化を開始する。従って、安定した同期信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の第1実施形態である同期信号発生回路を備えたD級増幅器の構成を示す回路図である。
【図2】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図3】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図4】同実施形態におけるタイミング発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図5】同実施形態における同期信号発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図6】同タイミング発生部の各部の信号波形を示す図である。
【図7】この発明の第2実施形態である同期信号発生回路を備えたD級増幅器の構成を示す回路図である。
【図8】同実施形態の各部の信号波形を示す図である。
【図9】同実施形態におけるタイミング発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【図10】同実施形態における同期信号発生部の具体的構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である同期信号発生回路100と再変調回路200とにより構成されたD級増幅器の構成を示す回路図である。このD級増幅器には、図示しないPWM回路が出力するPWM信号PWMINが入力される。このPWM信号PWMINは、入力信号に応じてパルス幅変調されたパルスの列であり、このパルスの列における個々のパルスは、時間軸上において一定の時間間隔で並んだサンプリング点の前後に同じ時間幅だけ膨らんだパルスとなっている。本実施形態による同期信号発生回路100は、このPWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCをPWM信号PWMINから発生する回路である。また、再変調回路200は、PWM信号PWMINおよび同期信号SYNCに基づき、同期信号SYNCに同期し、かつ、元のPWM信号PWMINのパルス幅に指定された倍率を乗算したパルス幅を持ったPWM信号PWMOUTを発生して出力する回路である。
【0010】
再変調回路200としては、各種の構成のものが考えられるが、例えば図示のように、PWM信号PWMINのパルス幅に応じた変調信号(アナログ信号)を発生するローパスフィルタ等の復調回路201と、同期信号SYNCに同期した三角波信号を発生する三角波発生回路202と、この三角波信号とアナログ信号とのレベル比較によりPWM信号PWMOUTを発生するPWM回路203とにより構成してもよい。
【0011】
本実施形態による同期信号発生回路100は、図1に示すように、三角波発生回路101と、同期信号発生部160とにより構成されている。三角波発生回路101は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号TRIA、TRIBまたはTRICを発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる回路である。
【0012】
図示の例において三角波発生回路101は、タイミング発生部102と、三角波発生部110A、110Bおよび110Cとを有する。ここで、タイミング発生部102は、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出することにより、パルスPA、PBおよびPCを発生する回路である。さらに詳述すると、PWM信号PWMINにおいて、隣接した異種のエッジ間の期間(例えば立ち上がりエッジとその直後の立ち下がりエッジとの間の期間)を1異種エッジ間期間、連続した同種のエッジ間の期間(例えば立ち上がりエッジとその次の立ち上がりエッジとの間の期間)を1同種エッジ間期間と呼ぶものとすると、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間だけパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間だけパルスPAをHレベルとする、という動作を繰り返す。また、タイミング発生部102は、パルスPAに対して1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な態様でパルスPBを発生し、このパルスPBに対して1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な態様でパルスPCを発生する。
【0013】
三角波発生部110A、110Bおよび110Cは、タイミング発生部102が出力するパルスPA、PBおよびPCに基づいて三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICを各々発生する回路である。これらのうち三角波発生部110Aは、図示のように電源VDDおよび接地間に直列に介挿されたスイッチ111、定電流源112および113、スイッチ114と、定電流源112および113の共通接続点と接地との間に介挿されたキャパシタ115と、キャパシタ115に並列接続されたスイッチ116とを有する。この構成において、スイッチ111はPチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造の電界効果トランジスタ)、スイッチ114はNチャネルMOSFETであり、これらの各MOSFETのゲートにはパルスPAが供給される。スイッチ116は、NチャネルMOSFETであり、このMOSFETのゲートには同期信号発生部160からリセットパルスRAが供給される。
【0014】
リセットパルスRAがアクティブレベル(Hレベル)になると、スイッチ116がON状態となるため、スイッチ116を介してキャパシタ115の放電が行われ、三角波信号TRIAは0Vに固定される。リセットパルスRAが非アクティブレベル(Lレベル)である状態において、パルスPAがLレベルになると、スイッチ111がON、スイッチ114がOFFとなるため、定電流源112によるキャパシタ115の充電が行われ、三角波信号TRIAは、定電流源112の電流値とキャパシタ115の容量値により決定される一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。その後、パルスPAがHレベルになると、スイッチ111がOFF、スイッチ114がONとなるため、定電流源113によるキャパシタ115の放電が行われ、三角波信号TRIAは定電流源113の電流値とキャパシタ115の容量値により決定される一定の時間勾配で直線的に低下する。ここで、定電流源112および113は、同じ電流値の定電流源である。従って、三角波信号TRIAが上昇するときの時間勾配と、低下するときの時間勾配は、大きさが同じで符号が異なった勾配となる。
【0015】
三角波発生部110Bおよび110Cも三角波発生部110Aと同じ構成である。三角波発生部110Bは、パルスPBがLレベルである期間、三角波信号TRIBを一定の時間勾配で直線的に上昇させ、パルスPBがHレベルである期間、三角波信号TRIBを一定の時間勾配で直線的に低下させる。また、三角波発生部110Cは、パルスPCがLレベルである期間、三角波信号TRICを一定の時間勾配で直線的に上昇させ、パルスPCがHレベルである期間、三角波信号TRICを一定の時間勾配で直線的に低下させる。そして、三角波発生部110Bが発生する三角波信号TRIBは、同期信号発生部160がリセットパルスRBをアクティブレベル(Hレベル)にしたとき、三角波発生部110Cが発生する三角波信号TRICは、同期信号発生部160がリセットパルスRCをアクティブレベル(Hレベル)にしたとき、各々0Vに固定される。三角波発生部110A、110Bおよび110Cにおいて、定電流源112の電流値、定電流源113の電流値、キャパシタ115の容量値は同じである。このため、三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICが上昇するときの時間勾配の絶対値、これらが低下するときの時間勾配の絶対値は全て同じである。
【0016】
同期信号発生部160は、三角波発生回路101が発生する三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICに基づいてPWM信号PWMINに同期した同期信号SYNCを発生する手段である。この同期信号発生部160は、三角波発生回路101が相前後して発生を開始した2個の三角波信号(例えば三角波信号TRIAおよびTRIBとする)の大小関係が逆転したとき(例えばTRIA>TRIBの状態からTRIA<TRIBの状態に切り換わったとき)、同期信号SYNCのレベルを反転させるとともに、相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号(この例では三角波信号TRIA)を基準レベルに固定して停止させるためのリセットパルス(この例ではリセットパルスRA)を発生する。
【0017】
図2は、50%よりも小さいデューティ比を有するPWM信号PWMINが同期信号発生回路100に与えられた場合の各部の信号波形を示す図であり、図3は、50%よりも大きいデューティ比を有するPWM信号PWMINが同期信号発生回路100に与えられた場合の各部の信号波形を示す図である。以下、これらの図を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0018】
図2および図3において、最上段に並んだ下向き矢印の各々は、PWM信号PWMINのサンプリング点を各々示している。図示のように、PWM信号PWMINは、サンプリング点に対して前後に同じ時間だけ膨らんだパルスの列となる。
【0019】
図示の例において、タイミング発生部102は、PWM信号PWMINの最初の立ち上がりエッジ(時刻t1)から始まる1同種エッジ間期間(t1−t3)に亙ってパルスPAをLレベルとし、その後、1異種エッジ間期間(t3−t4)に亙ってパルスPAをHレベルとしている。以下、同様であり、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間に亙ってパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間に亙ってパルスPAをHレベルにする、という動作を繰り返す。
【0020】
パルスPAがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t1−t3)において、三角波信号TRIAは一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。また、パルスPAの立ち下がりよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた時点から始まる1同種エッジ間期間(t2−t4)の間、タイミング発生部102は、パルスPBをLレベルとする。この間、三角波信号TRIBは一定の時間勾配で0Vから直線的に上昇する。
【0021】
ここで、同種エッジ間期間(t1−t3)と同種エッジ間期間(t2−t4)の長さは、いずれもPWM信号PWMINの周期と一致するため、両者は等しくなる。また、同種エッジ間期間(t1−t3)における三角波信号TRIAの時間勾配と同種エッジ間期間(t2−t4)における三角波信号TRIBの時間勾配は等しい。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、時刻t3およびt4において、同じ電圧VPに各々到達する。
【0022】
一方、タイミング発生部102は、1同種エッジ間期間(t1−t3)に亙ってパルスPAをLレベルとした後、1異種エッジ間期間(t3−t4)に亙ってパルスPAをHレベルとする。このパルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)において、三角波信号TRIAは、上昇時における三角波信号TRIAおよびTRIBの時間勾配を同じ絶対値を有する逆方向の時間勾配で電圧VPから直線的に低下し始める。
【0023】
ここで、パルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)に着目すると、同期間(t3−t4)の始点t3では、三角波信号TRIAが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t3−t4)の終点t4では、三角波信号TIRBが三角波信号TRIAとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、パルスPAがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t3−t4)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRIAおよびTRIBの関係はTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わる。
【0024】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図示の例では、LレベルからHレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRIAのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRAをアクティブレベル(Hレベル)にする。
以上と同様の動作が相前後して発生する三角波信号TRIBおよびTRICについても行われ、相前後して発生する三角波信号TRICおよびTRIAについても行われる。すなわち、次の通りである。
【0025】
まず、三角波信号TRIBは、パルスPBがLレベルとなる1同種エッジ間期間(t2−t4)において0VからVPまで上昇するが、三角波信号TRICは、この1同種エッジ間期間(t2−t4)から1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t3−t5)において、パルスPCがLレベルとなるため、0Vから電圧VPまで上昇する。また、三角波信号TRIBは、1同種エッジ間期間(t2−t4)の後の1異種エッジ間期間(t4−t5)になると、パルスPBがHレベルとなるため、一定の時間勾配で電圧VPから低下し始める。
【0026】
ここで、パルスPBがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t4−t5)に着目すると、同期間(t4−t5)の始点t4では、三角波信号TRIBが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t4−t5)の終点t5では、三角波信号TRICが三角波信号TRIBとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRIBおよびTRICは、パルスPBがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t4−t5)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRIBおよびTRICの関係はTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わる。
【0027】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図示の例では、HレベルからLレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRIBのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRBをアクティブレベル(Hレベル)にする。
【0028】
次に、三角波信号TRICは、パルスPCがLレベルとなる1同種エッジ間期間(t3−t5)において0VからVPまで上昇するが、三角波信号TRIAは、この1同種エッジ間期間(t3−t5)から1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t4−t6)において、パルスPAがLレベルとなるため、0Vから電圧VPまで上昇する。また、三角波信号TRICは、1同種エッジ間期間(t3−t5)の後の1異種エッジ間期間(t5−t6)になると、パルスPCがHレベルとなるため、一定の時間勾配で電圧VPから低下し始める。
【0029】
ここで、パルスPCがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t5−t6)に着目すると、同期間(t5−t6)の始点t5では、三角波信号TRICが一定の時間勾配で電圧VPから低下し始め、同期間(t5−t6)の終点t6では、三角波信号TRIAが三角波信号TRICとは逆方向で絶対値の等しい時間勾配で電圧VPに到達する。このため、三角波信号TRICおよびTRIAは、パルスPCがHレベルとなる1異種エッジ間期間(t5−t6)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に三角波信号TRICおよびTRIAの関係はTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わる。
【0030】
そこで、同期信号発生部160は、三角波信号TRICおよびTRIAの関係がTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わるのを検知して、同期信号SYNCのレベルを反転させ(図の例では、LレベルからHレベルに切り換え)、先行して発生を開始した三角波信号TRICのレベルを0Vに初期化すべくリセットパルスRCをアクティブレベル(Hレベル)にする。
以下、同様の動作が行われる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、PWM信号PWMINのデューティ比とは無関係に、PWM信号PWMINがHレベルを維持する期間の中央のサンプリング点およびLレベルを維持する期間の中央のサンプリング点に同期してレベル反転する同期信号SYNCが得られる。本実施形態では、この同期信号SYNCが再変調回路200の三角波発生回路202に供給される。
【0032】
再変調回路200において、PWM回路203が三角波発生回路202からの三角波信号とのレベル比較に用いるアナログ信号は、PWM信号PWMINのサンプリング点に間隔に対応した周波数の雑音を含んでいる。このため、PWM回路203がPWM信号PWMOUTを発生するのに用いる三角波信号が、このPWM信号PWMINと同期していないと、PWM信号PWMOUTにビートが発生する。しかしながら、本実施形態では、同期信号発生回路100がPWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCを出力する。そして、再変調回路200の三角波発生回路202は、例えば三角波発生部110A等と同様な構成により、PWM信号PWMINのサンプリング点に同期した同期信号SYNCのエッジにおいてピークとなる三角波信号を発生し、PWM回路203はこの三角波信号を用いてPWM信号PWMOUTを生成する。従って、PWM信号PWMOUTにビートが発生するのを防止することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、前段のPWM回路からPWM信号PWMINの同期信号が供給されない状況でも、PWM信号PWMINから同期信号SYNCを発生することができる。従って、ビートの発生という不具合を生じさせることなく、PWM信号PWMINのパルス幅を一律に拡張または縮小する操作等を行うことが可能となる。また、本実施形態において、同期信号SYNCを発生するために利用される三角波信号TRIA、TRIBおよびTRICは、常に基準レベルである0Vから上昇を開始する。従って、常にサンプリング点に正確に同期した同期信号SYNCが得られる。
【0034】
次に具体例を挙げて、本実施形態をさらに詳細に説明する。図4は本実施形態におけるタイミング発生部102の具体的構成例を示す回路図、図5は本実施形態における同期信号発生部160の具体的構成例を示す回路図、図6は図4に示すタイミング発生部102の各部の波形を示す図である。
【0035】
まず、図4に示すタイミング発生部102について説明する。
図4において、フリップフロップ121〜124はシフトレジスタを構成しており、このシフトレジスタとNORゲート125はリングカウンタを構成している。ここで、シフトレジスタの第1段および第3段に位置するフリップフロップ121および123は、PWM信号PWMINの立ち上がりにより入力データを取り込んで出力するポジティブエッジ駆動のフリップフロップであり、第2段および第4段に位置するフリップフロップ122および124は、PWM信号PWMINの立ち下がりにより入力データを取り込んで出力するネガティブエッジ駆動のフリップフロップである。
【0036】
このように構成されたリングカウンタにおいて、図6に示すように、NORゲート125の出力信号DaがHレベルである時刻t11にPWM信号PWMINが立ち上がると、このHレベルの信号DaがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ121の正論理出力信号(Q出力信号)DbがHレベルとなる。これによりNORゲート125の出力信号DaはLレベルとなる。
【0037】
次に時刻t12にPWM信号PWMINが立ち下がると、Hレベルの信号DbがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ122の正論理出力信号(Q出力信号)DcがHレベルとなる。次に時刻t13にPWM信号PWMINが立ち上がると、Hレベルの信号DcがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ123に取り込まれ、フリップフロップ123の正論理出力信号(Q出力信号)DdがHレベルとなる。また、Lレベルの信号DaがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ121に取り込まれ、フリップフロップ121の正論理出力信号(Q出力信号)DbがLレベルとなる。
【0038】
次に時刻t14にPWM信号PWMINが立ち下がると、Hレベルの信号DdがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ124に取り込まれ、フリップフロップ124の正論理出力信号(Q出力信号)DeがHレベルとなる。また、Lレベルの信号DbがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ122に取り込まれ、フリップフロップ122の正論理出力信号(Q出力信号)DcがLレベルとなる。次に時刻t15にPWM信号PWMINが立ち上がると、Lレベルの信号DcがPWM信号PWMINの立ち上がりエッジによりフリップフロップ123に取り込まれ、フリップフロップ123の正論理出力信号(Q出力信号)DdがHレベルとなる。次に時刻t16にPWM信号PWMINが立ち下がると、Lレベルの信号DdがPWM信号PWMINの立ち下がりエッジによりフリップフロップ124に取り込まれ、フリップフロップ124の正論理出力信号(Q出力信号)DdがLレベルとなる。また、これにより信号Da〜Ddの全てがLレベルになることから、NORゲート125の出力信号DaがHレベルになる。図4に示すタイミング発生部102は、以上のようにPWM信号PWMINが6回レベル反転する間の動作を1周期分の動作とし、この1周期分の動作を繰り返す。
【0039】
図4において、NANDゲート131は、シフトレジスタの第1段のフリップフロップ121の正論理出力信号Dbと第2段のフリップフロップ122の負論理出力信号Dc’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期のうちPWM信号PWMINが最初に立ち上がって次に立ち下がるまでの第1の異種エッジ間期間(t11−t12)のみステート信号S0をアクティブレベル(Lレベル)とする。また、NANDゲート132は、シフトレジスタの第2段のフリップフロップ122の正論理出力信号Dcと第3段のフリップフロップ123の負論理出力信号Dd’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第2の異種エッジ間期間(t12−t13)のみステート信号S1をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0040】
また、NANDゲート133は、シフトレジスタの第3段のフリップフロップ123の正論理出力信号Ddと第4段のフリップフロップ124の負論理出力信号De’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第3の異種エッジ間期間(t13−t14)のみステート信号S2をアクティブレベル(Lレベル)とする。また、NANDゲート134は、シフトレジスタの第4段のフリップフロップ124の正論理出力信号Deと第3段のフリップフロップ123の正論理出力信号Ddの両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第4の異種エッジ間期間(t14−t15)のみステート信号S3をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0041】
また、NANDゲート135は、シフトレジスタの第4段のフリップフロップ124の正論理出力信号Deと第3段のフリップフロップ123の負論理出力信号Dd’の両方がHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における第5の異種エッジ間期間(t15−t16)のみステート信号S4をアクティブレベル(Lレベル)とする。そして、インバータ136は、NORゲート125の出力信号DaがHレベルである期間、すなわち、図6に示すように、上記1周期における最後の異種エッジ間期間(t16−次の周期のt11)のみステート信号S5をアクティブレベル(Lレベル)とする。
【0042】
そして、ローアクティブNORゲート137Aは、ステート信号S0、S1、S3、S4のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPAをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPAをHレベルとする。また、ローアクティブNORゲート137Bは、ステート信号S1、S2、S4、S5のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPBをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPBをHレベルとする。また、ローアクティブNORゲート137Cは、ステート信号S2、S3、S5、S0のいずれかがアクティブレベル(Lレベル)である期間、パルスPCをLレベルとし、それ以外の期間はパルスPCをHレベルとする。
【0043】
このため、図6に示すように、パルスPAは、1同種エッジ間期間(t11−t13)に亙ってLレベルを維持し、1異種エッジ間期間(t13−t14)に亙ってHレベルを維持し、1同種エッジ間期間(t14−t16)に亙ってLレベルを維持し、1異種エッジ間期間(t16−次の周期のt11)に亙ってHレベルを維持する、という変化を周期的に繰り返す。また、パルスPBは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れてパルスPAと同様な周期的変化を繰り返し、パルスPCは、パルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れてパルスPAと同様な周期的変化を繰り返す。図6と図2および図3におけるPWM信号PWMIN、パルスPA、PBおよびPCを対比すると、図6における時刻t11〜t16が図2および図3における時刻t1〜t6に各々対応しており、図4に示すタイミング発生部102により図2および図3に示すパルスPA、PBおよびPCが発生されることが理解されよう。
以上が図4に示すタイミング発生部102の詳細である。
【0044】
次に図5に示す同期信号発生部160について説明する。
図5において、コンパレータ161Aは、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。また、コンパレータ161Bは、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。コンパレータ161Cは、三角波信号TRICおよびTRIAの関係がTRIC>TRIAからTRIC<TRIAに切り換わったときにその出力信号を立ち上げる。ローアクティブOR−ANDゲート162Aは、ステート信号S2またはS5がLレベルの期間のみコンパレータ161Aの出力信号を通過させ、ローアクティブOR−ANDゲート162Bは、ステート信号S3またはS0がLレベルの期間のみコンパレータ161Bの出力信号を通過させ、ローアクティブOR−ANDゲート162Cは、ステート信号S4またはS1がLレベルの期間のみコンパレータ161Cの出力信号を通過させる。
【0045】
ローアクティブOR−ANDゲート162A、162Bおよび162Cの各出力信号は、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに供給される。このトグルフリップフロップ166は、負論理出力端の信号がデータ入力端Dに帰還されており、クロック入力端Cへの入力信号が立ち上がる度に正論理出力端Qの信号のレベルを反転させる。そして、この例では、トグルフリップフロップ166の正論理出力端Qの信号が同期信号SYNCとなる。
【0046】
セットリセットフリップフロップ163Aは、ローアクティブOR−ANDゲート162Aの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPAがインバータ164Aにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Aの出力信号がリセットパルスRAとして図1における三角波発生部110Aに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Bは、ローアクティブOR−ANDゲート162Bの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPBがインバータ164Bにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Bの出力信号がリセットパルスRBとして図1における三角波発生部110Bに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Cは、ローアクティブOR−ANDゲート162Cの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102が出力するパルスPCがインバータ164Cにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Cの出力信号がリセットパルスRCとして図1における三角波発生部110Cに供給される。
【0047】
このような構成において、図6においてステート信号S2がLレベル、パルスPAがHレベルとなる異種エッジ間期間(t13−t14)では、三角波信号TRIAが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRIBが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する(図2および図3のt3−t4間を参照)。そして、異種エッジ間期間(t13−t14)の中央のサンプリング点において、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係がTRIA<TRIBからTRIA>TRIBに切り換わると、コンパレータ161Aの出力信号が立ち上がる。このときステート信号S2がLレベルであることから、このコンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、ローアクティブOR−ANDゲート162Aを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRAがHレベルとなり、三角波信号TRIAが0Vに初期化される。その後、ステート信号S2がHレベル、ステート信号S3がLレベルとなって、パルスPAがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Aに対するリセットパルスRAがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIAは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0048】
次に、図6においてステート信号S3がLレベル、パルスPBがHレベルとなる異種エッジ間期間(t14−t15)では、三角波信号TRIBが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRICが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する(図2および図3のt4−t5間を参照)。そして、異種エッジ間期間(t14−t15)の中央のサンプリング点において、三角波信号TRIBおよびTRICの関係がTRIB<TRICからTRIB>TRICに切り換わると、コンパレータ161Bの出力信号が立ち上がる。このときステート信号S3がLレベルであることから、このコンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、ローアクティブOR−ANDゲート162Bを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRBがHレベルとなり、三角波信号TRIBが0Vに初期化される。その後、ステート信号S3がHレベル、ステート信号S4がLレベルとなって、パルスPBがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Bに対するリセットパルスRBがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIBは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0049】
三角波信号TRICおよびTRIAに関連したコンパレータ161C、ローアクティブOR−ANDゲート162C、セットリセットフリップフロップ163Cおよびインバータ164Cの動作も以上と同様である。
以上が図5に示す同期信号発生部160の詳細である。
【0050】
<第2実施形態>
図7はこの発明の第2実施形態である同期信号発生回路100Aの構成を示す回路図である。この同期信号発生回路100Aは、PWM信号PWMINから三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDを発生する三角波発生回路101Aと、これらの三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDに基づいて同期信号SYNCを発生する同期信号発生部160Aとにより構成されている。また、三角波発生回路101Aは、タイミング発生部102Aと、4個の三角波発生部110A、110B、110Cおよび110Dとにより構成されている。ここで、タイミング発生部102Aは、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを各々検出し、1同種エッジ間期間に亙ってLレベルを維持し、その後の1同種エッジ間期間に亙ってHレベルを維持するという変化を繰り返すパルスPAを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPBを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPCを出力する。また、タイミング発生部102Aは、パルスPCから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPAと同様な変化を繰り返すパルスPDを出力する。三角波発生部110A、110B、110Cおよび110Dは、上記第1実施形態の三角波発生部110Aと同様な回路であり、各々パルスPA、PB、PCおよびPDに基づいて三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDを発生する。同期信号発生部160Aには、三角波信号TRIA、TRIB、TRICおよびTRIDが与えられる。同期信号発生部160Aは、相前後して発生される2個の三角波信号(例えば三角波信号TRIAおよびTRIB)の大小関係が切り換わったとき、同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、先行して発生された三角波信号(この例では三角波信号TRIA)を0Vに初期化するためのリセットパルスを出力する。
【0051】
図8は同期信号発生回路100Aの各部の信号波形を示す図である。図8に示すように、タイミング発生部102Aは、1同種エッジ間期間(例えばt21−t23)に亙ってパルスPAをLレベルとし、1同種エッジ間期間(例えばt23−t25)に亙ってパルスPAをHレベルとする動作を繰り返す。また、タイミング発生部102Aは、パルスPAから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPBをパルスPAと同様に変化させ、このパルスPBから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPCをパルスPAと同様に変化させ、さらにこのパルスPCから1異種エッジ間期間だけ遅れて、パルスPDをパルスPAと同様に変化させる。
【0052】
三角波信号TRIAは、パルスPAがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t21〜t23)において、一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇し、その後の1異種エッジ間期間(t23−t24)になると、パルスPAがHレベルになるため、電圧VBから上昇時と同じ絶対値の時間勾配で低下し始める。一方、パルスPBは、パルスPAよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t22〜t24)においてLレベルとなる。このパルスPBがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t22〜t24)において、三角波信号TRIBは上昇時の三角波信号TRIAと同じ一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇する。このため、三角波信号TRIAおよびTRIBは、パルスPAがHレベルとなった直後の1異種エッジ間期間(t23−t24)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に、三角波信号TRIAおよびTRIBの関係は、TRIA>TRIBからTRIA<TRIBに切り換わる。これにより同期信号発生部160Aは、サンプリング点において同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、リセットパルスRAをHレベルにして三角波信号TRIAを0Vに初期化する。
【0053】
1異種エッジ間期間(t24−t25)になると、パルスPBがHレベルになるため、三角波信号TRIBは、上昇時と同じ絶対値の逆向きの時間勾配で、電圧VPから低下し始める。一方、パルスPCは、パルスPBよりも1異種エッジ間期間だけ遅れた1同種エッジ間期間(t23〜t25)においてLレベルとなる。このパルスPCがLレベルを維持する1同種エッジ間期間(t23〜t25)において、三角波信号TRICは上昇時の三角波信号TRIBと同じ一定の時間勾配で0Vから電圧VPまで上昇する。このため、三角波信号TRIBおよびTRICは、パルスPBがHレベルとなった直後の1異種エッジ間期間(t24−t25)の中央のサンプリング点において交差し、このサンプリング点を境に、三角波信号TRIBおよびTRICの関係は、TRIB>TRICからTRIB<TRICに切り換わる。これにより同期信号発生部160Aは、サンプリング点において同期信号SYNCをレベル反転させるとともに、リセットパルスRBをHレベルにして三角波信号TRIBを0Vに初期化する。
【0054】
以下同様であり、1異種エッジ間期間(t24−t25)の後の1異種エッジ間期間(t25−t26)では、低下する三角波信号TRICと上昇する三角波信号TRIDとがサンプリング点において交差して同期信号SYNCがレベル反転し、その後の1異種エッジ間期間(t26−t27)では、低下する三角波信号TRIDと上昇する三角波信号TRIAとがサンプリング点において交差して同期信号SYNCがレベル反転する。
【0055】
図9は、本実施形態におけるタイミング発生部102Aの具体的構成例を示す回路図である。図9に示すように、タイミング発生部102Aは、PWM信号PWMINの立ち上がりエッジをトリガとしてレベル反転するトグルフリップフロップ126と、PWM信号PWMINの立ち下がりエッジをトリガとしてレベル反転するトグルフリップフロップ127と、4個のNANDゲート128A、128B、128Cおよび128Dとにより構成されている。ここで、トグルフリップフロップ126の正論理出力信号(Q出力信号)がパルスPA、負論理出力信号がパルスPCとなり、トグルフリップフロップ127の正論理出力信号(Q出力信号)がパルスPB、負論理出力信号がパルスPDとなる。このような構成とすることで、図8に示すパルスPA、PB、PCおよびPDがPWM信号PWMINから得られる。NANDゲート128Aは、パルスPBおよびPCがHレベルである期間のみステート信号S0をLレベルとし、NANDゲート128Bは、パルスPCおよびPDがHレベルである期間のみステート信号S1をLレベルとし、NANDゲート128Cは、パルスPDおよびPAがHレベルである期間のみステート信号S2をLレベルとし、NANDゲート128Dは、パルスPAおよびPBがHレベルである期間のみステート信号S3をLレベルとする。
【0056】
図10は、本実施形態における同期信号発生部160Aの具体的構成例を示す回路図である。なお、図10に示す各部おいて前掲図5と対応する部分には同一の符号が使用されている。図10において、コンパレータ161A〜161Dは、三角波信号TRIA〜TRIDの大小関係の切り換わりを検出する手段である。さらに詳述すると、コンパレータ161Aは、TRIA>TRIBからTRIA<TRIBへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Bは、TRIB>TRICからTRIB<TRICへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Cは、TRIC>TRIDからTRIC<TRIDへの切り換わり時に出力信号を立ち上げ、コンパレータ161Dは、TRID>TRIAからTRID<TRIAへの切り換わり時に出力信号を立ち上げる。
ANDゲート167Aは、ステート信号S2がLレベルである期間のみコンパレータ161Aの出力信号を通過させ、ANDゲート167Bは、ステート信号S3がLレベルである期間のみコンパレータ161Bの出力信号を通過させ、ANDゲート167Cは、ステート信号S0がLレベルである期間のみコンパレータ161Cの出力信号を通過させ、ANDゲート167Dは、ステート信号S1がLレベルである期間のみコンパレータ161Dの出力信号を通過させる。
【0057】
ANDゲート167A、167B、167Cおよび167Dの各出力信号は、ORゲート168を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに供給される。このトグルフリップフロップ166の正論理出力端Qの信号が同期信号SYNCとなる。
【0058】
セットリセットフリップフロップ163Aは、ANDゲート167Aの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPAがインバータ164Aにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Aの出力信号がリセットパルスRAとして図7における三角波発生部110Aに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Bは、ANDゲート167Bの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPBがインバータ164Bにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Bの出力信号がリセットパルスRBとして図7における三角波発生部110Bに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Cは、ANDゲート167Cの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPCがインバータ164Cにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Cの出力信号がリセットパルスRCとして図7における三角波発生部110Cに供給される。また、セットリセットフリップフロップ163Dは、ANDゲート167Dの出力信号がセット端子Sに与えられるとともに、タイミング発生部102Aが出力するパルスPDがインバータ164Dにより反転されてリセット端子Rに与えられる。そして、このセットリセットフリップフロップ163Dの出力信号がリセットパルスRDとして図7における三角波発生部110Dに供給される。
【0059】
このような構成において、図8に示すようにパルスPAがHレベルとなる異種エッジ間期間(t23−t24)では、三角波信号TRIAが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRIBが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する。そして、異種エッジ間期間(t23−t24)の中央のサンプリング点において、TRIA<TRIBからTRIA>TRIBへの切り換わりが発生し、コンパレータ161Aの出力信号が立ち上がる。このときパルスPAおよびPDがHレベルであってステート信号S2がLレベルになることから、このコンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、ANDゲート167Aを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Aの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRAがHレベルとなり、三角波信号TRIAが0Vに初期化される。その後、パルスPAがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Aのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Aに対するリセットパルスRAがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIAは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0060】
次に、図8に示すようにパルスPBがHレベルとなる異種エッジ間期間(t24−t25)では、三角波信号TRIBが電圧VPから一定の時間勾配で低下し、三角波信号TRICが電圧VBに向けて一定の時間勾配で上昇する。そして、異種エッジ間期間(t24−t25)の中央のサンプリング点において、TRIB<TRICからTRIB>TRICへの切り換わりが発生し、コンパレータ161Bの出力信号が立ち上がる。このときパルスPAおよびPBがHレベルであってステート信号S3がLレベルになることから、このコンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、ANDゲート167Bを通過し、ORゲート165を介してトグルフリップフロップ166のクロック入力端Cに与えられる。これにより同期信号SYNCがレベル反転する。また、コンパレータ161Bの出力信号の立ち上がりエッジは、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端Sに与えられる。この結果、リセットパルスRBがHレベルとなり、三角波信号TRIBが0Vに初期化される。その後、パルスPBがLレベルになると、セットリセットフリップフロップ163Bのセット入力端SがLレベル、リセット入力端RがHレベルとなり、三角波発生部110Bに対するリセットパルスRBがLレベルとなる。これにより三角波信号TRIBは、0Vから一定の時間勾配で上昇し始める。
【0061】
三角波信号TRICおよびTRIDに関連したコンパレータ161C、ANDゲート167C、セットリセットフリップフロップ163Cおよびインバータ164Cの動作も以上と同様である。また、 三角波信号TRIDおよびTRIAに関連したコンパレータ161D、ANDゲート167D、セットリセットフリップフロップ163Dおよびインバータ164Dの動作も以上と同様である。
【0062】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、図4と図9とを比較すれば分かるように、本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、タイミング発生部102Aの構成を簡素なものにすることができるという利点がある。
【0063】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、相前後して発生した2個の三角波信号の大小関係が切り換わったとき、同期信号SYNCをレベル反転させ、先行して発生した三角波信号を0Vに初期化したが、0V以外の基準レベルに三角波信号を初期化してもよい。
(2)上記実施形態では、PWM信号PWMINからエッジが順次検出されるのに応じて、正の時間勾配から始まる三角波信号を順次発生させ、先行する三角波信号における負の時間勾配の区間と後続の三角波信号の正の時間勾配の区間とが交差する点において同期信号SYNCをレベル反転させた。しかし、PWM信号PWMINからエッジが順次検出されるのに応じて、負の時間勾配から始まる三角波信号を順次発生させ、先行する三角波信号における正の時間勾配の区間と後続の三角波信号の負の時間勾配の区間とが交差する点において同期信号SYNCをレベル反転させてもよい。
(3)上記実施形態は、PWM信号PWMINに発生する同種エッジ間期間がPWM信号PWMINのサンプリング周期に同期していることを前提としている。そして、PWM信号PWMINを発生するのに用いるアナログ信号の波形に急激な変化が生じない状況では、この前提がほぼ成立するため、PWM信号PWMINに正確に同期した同期信号SYNCが得られる。しかし、PWM信号PWMINを発生するのに用いるアナログ信号の波形に急激な変化が生じる場合には、その結果発生するPWM信号PWMINの同種エッジ間期間がPWM信号PWMINのサンプリング周期に対して一時的に同期ずれを起こすことがある。このような一時的な同期ずれを補償するために、例えば同期信号SYNCをPLL(Phase Locked Loop;位相同期ループ)に与え、同期信号SYNCの周期変動を緩和した同期信号をPLLにより生成して再変調回路200に供給してもよい。
【符号の説明】
【0064】
100,100A……同期信号発生回路、101,101A……三角波発生回路、102,102A……タイミング発生部、110A,110B,110C,110D……三角波発生部、160,160A……同期信号発生部、111,114,116……スイッチ、112,113……定電流源、115……キャパシタ、121〜124……フリップフロップ、125……NORゲート、131〜135,128A,128B,128C,128D……NANDゲート、136,164A,164B,164C,164D……インバータ、137A,137B,137C……ローアクティブNORゲート、161A,161B,161C,161D……コンパレータ、162A,162B,162C……ローアクティブOA−ANDゲート、163A,163B,163C,163D……セットリセットフリップフロップ、165……ORゲート、166,126,127……トグルフリップフロップ、167A,167B,167C,167D……ANDゲート、200……再変調回路、201……復調回路、202……三角波発生回路、203……PWM回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるパルス幅変調信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる三角波発生手段と、
前記三角波発生手段が発生する三角波信号に基づいて前記パルス幅変調信号に同期した同期信号を発生する手段であって、前記三角波発生手段が相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号のレベルを反転させるとともに、前記相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化して停止させる同期信号発生手段と
を具備することを特徴とする同期信号発生回路。
【請求項1】
入力されるパルス幅変調信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの各々を検出する度に、先行して開始した三角波信号の発生と並行して三角波信号を発生する手段であって、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出後、三角波信号を基準レベルから一定の時間勾配で変化させ、その後、同種のエッジが検出された以降、同じ大きさの逆方向の時間勾配で三角波信号を変化させる三角波発生手段と、
前記三角波発生手段が発生する三角波信号に基づいて前記パルス幅変調信号に同期した同期信号を発生する手段であって、前記三角波発生手段が相前後して発生を開始した2個の三角波信号の大小関係が逆転したとき、同期信号のレベルを反転させるとともに、前記相前後して発生を開始した2個の三角波信号のうち先行して発生を開始した三角波信号を基準レベルに初期化して停止させる同期信号発生手段と
を具備することを特徴とする同期信号発生回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−283628(P2010−283628A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135655(P2009−135655)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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