説明

吐出量測定方法、パターン形成方法、デバイス、電気光学装置、電子機器

【課題】描画パターンを形成するときに近い吐出量の計測方法を提供する。
【解決手段】本発明の液状体の吐出量測定方法は、計測用吐出データに基づいて液滴吐出ヘッドを駆動し、測定可能な量となるように吐出数を設定して液状体をノズルから液滴として吐出する計測用吐出工程(ステップS2)と、吐出された液状体の吐出量を計測する計測工程(ステップS3)と、計測された吐出量と吐出数とから平均吐出量を算出する演算工程(ステップS4)とを備え、計測用吐出データとして描画パターンを吐出描画するときと略同様な吐出データを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出法における、吐出量測定方法、パターン形成方法、デバイス、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタにおいて用いられているインクジェット方式(液滴吐出法)を応用して、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL表示装置における発光層を形成する方法が提案されている。
【0003】
このような液滴吐出法では、液滴吐出ヘッドから吐出する液滴の量を適正な値に調整する必要がある。例えば、カラーフィルタの形成方法において、吐出される着色材料を含む液滴の量が不適切な場合には、カラーフィルタを透過した光の色合いが濃すぎたり薄すぎたりし、色合いのバラツキが大きく品質が不安定なカラーフィルタとなる。
【0004】
液滴の吐出量を適正にする方法が特許文献1に提案されている。これによると、液滴の吐出量を測定する環境とワークに液滴を吐出するときの環境とを同じにして、温度や湿度による影響を低減することで、実際の液滴の吐出量を適正にすることが紹介されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−209429号公報(15〜17頁、図10〜図11)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、ワークに液滴を吐出する吐出タイミングおよびパターンの記載はない。通常は液滴吐出ヘッドの複数のノズルから液滴を連続吐出して測定を行なっている。この測定方法による液滴の吐出量と、複数のノズルを選択して液滴を吐出する実際の描画パターンの形成時における液滴の吐出量とが異なることがあった。すなわち、ワークに液滴を吐出する描画パターンに起因する液滴の吐出量の変動を低減することは困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、描画パターンを形成するときの状態に近い液滴の吐出量計測方法、これを用いたパターン形成方法、デバイス、電気光学装置、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吐出量測定方法は、液滴吐出ヘッドのノズルから吐出された液状体の吐出量を測定する吐出量測定方法であって、計測用吐出データに基づいて液滴吐出ヘッドを駆動し、測定可能な量となるように吐出数を設定して液状体をノズルから液滴として吐出する計測用吐出工程と、吐出された液状体の吐出量を計測する計測工程と、計測された吐出量と吐出数とから平均吐出量を算出する演算工程とを備え、計測用吐出データが描画パターンを吐出描画するときと略同様な吐出データを用いることを特徴とする。
【0009】
液滴吐出ヘッドのノズルから連続的に液滴を吐出する場合と、間歇的に吐出する場合とでは、吐出される液滴の量が異なる。その理由としては、液滴吐出ヘッドを駆動する駆動装置と駆動される液滴吐出ヘッドの間のインピーダンスマッチングの状態が変化することが考えられる。さらに、吐出される液状体を収納してあるタンクから液滴吐出ヘッドへ繋がる流路内における液状体の流体抵抗が、駆動される液滴吐出ヘッドの数により変化することが考えられる。この方法によれば、計測用吐出工程では、計測用吐出データとして描画パターンを吐出描画するときと略同様な吐出データを用いて液状体の吐出を行なう。したがって、単純にノズルから連続的に液滴を吐出する場合に比べて、実際に描画パターンを吐出描画する状態に近い液滴の吐出量を求めることができる。
【0010】
上記計測工程では、吐出された液状体の吐出量として重量を計測することを特徴とする。これによれば、吐出された液状体の量はその重量で計測される。吐出された液滴は、着弾後に安定した形状になりにくく、体積を測る場合に比べて容易に液状体の吐出量を測定することができる。また、重量の測定値を電気変換するデバイスが広く用いられており、重量を電気変換して電気量を計測することで精度よく吐出量を計測することができる。
【0011】
また、上記液滴吐出ヘッドは複数のノズルを備え、計測用吐出工程では複数のノズルから液状体を吐出し、計測工程では、液滴吐出ヘッドの複数のノズルから吐出された液状体の吐出量を計測するとしてもよい。これによれば、複数のノズルから液滴を吐出して、まとめてその吐出量を計測する。従って、各ノズルから吐出される液滴の量を個々に計測する場合に比べて、計測する回数を少なくすることができる。その結果生産性良く計測することができる。
【0012】
また、上記計測用吐出データがすべての複数のノズルから液状体を吐出しない全ノズル不吐出情報を含み、全ノズル不吐出情報が連続するときには、連続した全ノズル不吐出情報の一部を削除して用いることが好ましい。これによれば、連続した全ノズル不吐出情報の一部を削除して用いるので、計測のために液滴を吐出するのに要する時間を短縮することができる。
【0013】
また、上記計測用吐出データが複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズル情報を有する第1計測用吐出データと、不吐出としたノズルから連続して液状体を吐出させるノズル情報を有する第2計測用吐出データとを含み、計測用吐出工程では、第1の計測用吐出データと第2の計測用吐出データとを少なくとも用いて液滴吐出ヘッドを駆動し、測定可能な量となるように吐出数を設定して液状体を液滴として吐出することが好ましい。
【0014】
複数のノズルから液状体を吐出して描画パターンを形成する場合、同時に使用するノズルの数や分布状態が異なり、これによっても吐出される液滴の吐出量に影響を与える。この方法によれば、実際の吐出データに則して複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズル情報を有する第1計測用吐出データと、不吐出としたノズルから連続して液状体を吐出させるノズル情報を有する第2計測用吐出データとを含む計測用吐出データを用いるので、結果的にすべてのノズルから所定の吐出数液滴を吐出すると共に、より正確に吐出量を求めることができる。
【0015】
さらには、上記液滴吐出ヘッドは複数のノズルからなる少なくとも2つのノズル列を備え、計測用吐出工程では、少なくとも2つのノズル列ごとに第1計測用吐出データと第2計測用吐出データとを用いて液滴吐出ヘッドを駆動することを特徴とする。これによれば、液滴吐出ヘッドが所謂多連のノズル列を有していても、ノズル列ごとに第1計測用吐出データと第2計測用吐出データとを用いて液滴吐出ヘッドを駆動する。したがって、ノズル列ごとの正確な液滴の吐出量を求めることができる。
【0016】
本発明のパターン形成方法は、ワーク上に機能性材料からなる描画パターンを形成するパターン形成方法であって、上記発明の吐出量測定方法を用いて、液滴吐出ヘッドから吐出される機能性材料を含む機能液の平均吐出量を推定する吐出量推定工程と、推定結果に基づいて液滴吐出ヘッドから吐出される機能液の吐出量を調整するか否かの判定をする判定工程と、調整が必要な場合に液滴吐出ヘッドの駆動条件を変更して吐出量を調整する調整工程と、ワークと液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる主走査に同期して、液滴吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出描画する描画工程と、吐出描画された機能液を固化して描画パターンを形成するパターン形成工程と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、吐出量推定工程では、上記発明の吐出量測定方法を用いて液状体としての機能液の平均吐出量を推定し、この推定結果を基に判定工程にて吐出量を調整するか否か判定する。そして、調整が必要な場合、調整工程では、液滴吐出ヘッドの駆動条件を変更して吐出量を調整する。したがって、描画工程では、液滴の吐出量が適正化された状態で機能液が吐出描画され、吐出描画された機能液を固化すれば、液滴の吐出量の変動に起因する膜厚ムラが少ない描画パターンをワーク上に形成することができる。
【0018】
上記描画工程では、複数の液滴吐出ヘッドを用いて機能液を吐出描画し、計測用吐出工程では、複数の液滴吐出ヘッドごとに機能液を吐出し、計測工程では、複数の液滴吐出ヘッドごとに吐出される機能液の吐出量を計測し、調整工程では、複数の液滴吐出ヘッド間の平均吐出量の差を少なくする様に調整することが好ましい。これによれば、複数の液滴吐出ヘッド間の平均吐出量の差に起因する膜厚ムラが少ない描画パターンを形成することができる。
【0019】
また、上記計測用吐出工程では、描画工程における主走査したときの液滴吐出ヘッドとワークとの相対位置情報と、ワーク上に液滴を配置する配置データとから生成した計測用吐出データに基づいて、液滴吐出ヘッドから機能液を吐出するが好ましい。これによれば、計測用吐出データが描画工程における主走査したときの液滴吐出ヘッドとワークとの相対位置情報と、ワーク上に液滴を配置する配置データとから生成されている。したがって、実際の描画工程における吐出描画に対して略同等の吐出タイミングで計測用吐出が行なわれる。すなわち、描画パターンを吐出描画するときの状態により近づけて予め液滴の吐出量を調整することができる。
【0020】
さらには、液滴吐出ヘッドが複数のノズルを有し、描画工程では、ワークと液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる主走査を複数回行なうと共に、複数回の主走査の間に主走査の方向に対して直交する方向に複数の液滴吐出ヘッドを移動させる副走査を行ない、計測用吐出工程では、副走査に伴って第1計測用吐出データにおいて複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズル情報を変更した第3計測用吐出データと、第3計測用吐出データにおいて不吐出としたノズルから機能液を吐出させるノズル情報を有する第4計測用吐出データとを含む計測用吐出データを用いることが好ましい。
【0021】
この方法によれば、描画工程において、ワークと液滴吐出ヘッドとを相対移動させる主走査と副走査とを行なって機能液を吐出描画する複雑な吐出制御が行なわれる。したがって、副走査に伴って複数のノズルのうち連続して不吐出とするノズルが変化する。計測用吐出工程では、吐出させるノズル数が変わる所謂ノズルの使用率に対応した第3計測用吐出データと、第3計測用吐出データにおいて不吐出としたノズルから機能液を吐出させるノズル情報を有する第4計測用吐出データとを含む計測用吐出データに基づいて計測用吐出を行なう。ゆえに、調整工程において、ノズルの使用率に起因する液滴の吐出量の変動を考慮して液滴吐出ヘッドの駆動条件を設定することができる。すなわち、液滴の吐出量の変動をより低減して描画パターンを形成することができる。
【0022】
本発明のデバイスは、機能性材料からなる描画パターンを有するデバイスであって、上記発明のパターン形成方法を用いて描画パターンが製造されたことを特徴とする。この構成によれば、液滴の吐出量の変動に起因する膜厚ムラが少ない描画パターンを形成することができるパターン形成方法を用いている。したがって、安定した特性を有するデバイスを提供することができる。例えば、デバイスがカラーフィルタの場合は、着色層の光学特性を所望の透過率、色度、彩度とすることができる。また、デバイスが有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の場合は、正孔注入層、発光層、電子注入層を形成するために塗布する機能液の量を所望の量とすることができるので適切な厚さの層を有する素子構造とすることができる。その結果、高い発光効率を有する有機EL素子を提供することができる。
【0023】
本発明の電気光学装置は、上記発明のデバイスを備えることを特徴とする。これによれば、安定した特性を有するデバイスを備えているので、安定した電気光学特性を有する電気光学装置を提供することができる。例えば、デバイスがカラーフィルタのときは、着色層の光学特性がねらい通りのカラーフィルタを備えた電気光学装置とすることができる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。これによれば、安定した電気光学特性を有する高い品質を実現した電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態は、ワークとしての基板上に着色層形成材料を含む液状体としての機能液を塗布して、3色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法を例に説明する。機能液を基板上に塗布する方法として、機能液を液滴として吐出描画することが可能な液滴吐出装置を用いる。
【0026】
まず、液滴吐出装置について説明する。図1は、液滴吐出装置の構造を示す概略斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置20は、略直方体形状の基台21と、基台21上においてY軸方向に移動可能な状態に配設されたステージ23と、ステージ23に対向してX軸方向に移動可能なキャリッジ30とを備えている。キャリッジ30には、複数(9個)の液滴吐出ヘッド31〜39(図2参照)が搭載されている。また、基台21の側面部には、複数の液滴吐出ヘッド31〜39から吐出される液状体を受けて、その吐出量を計測する計測装置としての電子天秤50が備えられている。
【0027】
基台21の上面21aには、Y軸方向に延びる一対の案内レール22a,22bがY軸方向全幅にわたり凸設されている。ステージ23は、例えば一対の案内レール22a,22bに沿ってY軸方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構と、所定のパルス信号を受けてネジ軸を正逆転させるY軸モータ(図示しない)とにより、Y軸方向に移動する構成となっている。すなわち、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モータに与えられると、Y軸モータが正転又は逆転して、ステージ23を同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動させることができる。この場合、キャリッジ30とステージ23とを対向させ、ステージ23をY軸方向へ移動させることを主走査と呼ぶ。
【0028】
さらに、基台21の上面21aには、主走査位置検出装置24が一対の案内レール22a,22bと並列して配置され、ステージ23のY軸方向における位置が計測できるようになっている。
【0029】
ステージ23の載置面25には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられており、載置面25に載置されたワークとしての基板Wを所定位置に位置決め固定することができる。
【0030】
基台21は、側面部から立設した一対の支持台26a,26bを備え、その一対の支持台26a,26bには、X軸方向に基台21を跨ぐように案内部材27が架設されている。案内部材27は、基台21のX軸方向の幅よりも長く延設され、その一端が支持台26a側に張り出すように配置されている。
【0031】
案内部材27の下側には、X軸方向に延びる案内レール29がX軸方向全幅にわたり凸設されている。一方、案内部材27の上側には、液状体を収容する収容タンク28が配設され、収容タンク28から複数の液滴吐出ヘッド31〜39に向けて液状体を供給可能となっている。
【0032】
キャリッジ30は、例えば案内レール29に沿ってX軸方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構と、所定のパルス信号を受けてネジ軸を正逆転させるX軸モータ(図示しない)とにより、案内レール29に沿ってX軸方向に移動する構成となっている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モータに与えると、X軸モータが正転又は逆転して、キャリッジ30を同ステップ数に相当する分だけX軸方向に往動又は復動させる。この場合、キャリッジ30とステージ23とを対向させ、キャリッジ30をX軸方向へ移動させることを副走査と呼ぶ。案内部材27とキャリッジ30との間には、副走査位置検出装置53が配置されており、キャリッジ30のX軸方向における位置を計測可能となっている。したがって、複数の液滴吐出ヘッド31〜39から吐出される液状体の吐出量を計測する場合は、X軸モータを駆動してキャリッジ30を支持台26a側に移動させ、複数の液滴吐出ヘッド31〜39と電子天秤50とを対向配置させる。
【0033】
図2は、キャリッジにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す平面図である。詳しくは、ステージ23側から見た平面図である。
【0034】
図2に示すように、キャリッジ30のヘッド配設面30aには、第1の液滴吐出ヘッド31から第9の液滴吐出ヘッド39が3個ずつX軸方向とY軸方向とに配列して設けられている。液滴吐出ヘッド31は、複数のノズル42が略等間隔で配設されたノズル列N1を有するノズルプレートP1を備えている。他の液滴吐出ヘッド32〜39も同様である。この場合、X軸方向に配列した3個の液滴吐出ヘッド31,32,33は、対応する各ノズル列N1,N2,N3が、Y軸方向から見て複数のノズル42が略等間隔で連続するようにキャリッジ30に搭載されている。他の液滴吐出ヘッド34,35,36および液滴吐出ヘッド37,38,39においても同様である。したがって、キャリッジ30に対して基板WをY軸方向に相対移動しつつ各液滴吐出ヘッド31,32,33から液滴を吐出したとき、吐出された液滴はX軸方向に略等間隔に塗布される。
【0035】
また、この場合、第1の液滴吐出ヘッド31〜第3の液滴吐出ヘッド33には赤(R)の着色層形成材料を含む機能液が供給されている。同様に、第4の液滴吐出ヘッド34〜第6の液滴吐出ヘッド36には、緑(G)の着色層形成材料を含む機能液が供給されている。第7の液滴吐出ヘッド37〜第9の液滴吐出ヘッド39には、青(B)の着色層形成材料を含む機能液が供給されている。すなわち、3色の異なる機能液をほぼ同時に吐出することが可能な構成となっている。
【0036】
図3は、液滴吐出ヘッドの要部構造を示す概略断面図である。図3に示すように、例えば、液滴吐出ヘッド31は、ノズル列N1の各ノズル42に連通する複数のキャビティ43と、振動板45を介して複数のキャビティ43に対応する位置に配設された複数の圧電素子46とを備えている。
【0037】
そして、圧電素子46を駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子46が伸張して、振動板45を上下方向に振動させキャビティ43内に充填された機能液を加圧する。その結果、液滴吐出ヘッド31のノズル列N1から機能液が液滴として吐出される。他の液滴吐出ヘッド32〜39の構造も同様である。
【0038】
よって、第1の液滴吐出ヘッド31〜第3の液滴吐出ヘッド33の各キャビティ43には、赤(R)の着色層形成材料を含む機能液としての色材料液44Rが充填され、ノズル列N1〜N3から微小液滴47Rとして吐出される。第4の液滴吐出ヘッド34〜第6の液滴吐出ヘッド36の各キャビティ43には、緑(G)の着色層形成材料を含む機能液としての色材料液44Gが充填され、ノズル列N4〜N6から微小液滴47Gとして吐出される。第7の液滴吐出ヘッド37〜第9の液滴吐出ヘッド39の各キャビティ43には、青(B)の着色層形成材料を含む機能液としての色材料液44Bが充填され、ノズル列N7〜N9から微小液滴47Bとして吐出される。
【0039】
なお、このような液滴吐出ヘッド31〜39において充填された液状体を加圧する構成は、圧電素子46に限らず、振動板45を静電吸着して振動させる静電方式や、電気熱変換素子により液状体を加熱して気泡を発生させ、これにより液状体を加圧して液滴としてノズル42から吐出するバブル方式を採用してもよい。
【0040】
図4は、電子天秤の構成を示す概略斜視図である。図4に示すように、電子天秤50は、重量検出機構と検出された重量を電気信号に変換する変換部を有する本体51と、被計量物を受ける計量台52とを備えている。計量台52の上面には、被計量物としての機能液を各液滴吐出ヘッド31〜39ごとに受ける9個の測定用受け皿M1〜M9が設けられている。
【0041】
測定用受け皿M1〜M9には、スポンジ状の吸収体が敷設されており、各ノズル列N1〜N9から吐出された液滴を確実に受け止めて、測定用受け皿M1〜M9から外に飛散することを防止している。
【0042】
この場合、電子天秤50の最小計量単位は1mgである。一方、吐出される液滴はngレベルであるため、測定可能な機能液の量となるように吐出数を2000〜3000に設定して各液滴吐出ヘッド31〜39を駆動し、各ノズル列N1〜N9から機能液を液滴として吐出する。このような計測用吐出は、当然ながら液滴吐出ヘッド31〜39ごとに行なわれる。
【0043】
次に、液滴吐出装置20の電気的な制御系について説明する。図5は、液滴吐出装置の電気的な制御系を示すブロック図である。図5に示すように、液滴吐出装置20はプロセッサとして各種の演算処理を行なうCPU(演算処理装置)54と、各種情報を記憶するメモリ55とを有する。
【0044】
ヘッド位置制御装置56、基板位置制御装置57、主走査駆動装置58、副走査駆動装置59、主走査位置検出装置24、副走査位置検出装置53、液滴吐出ヘッド31〜39を駆動するヘッド駆動回路60は、入出力インターフェース61およびバス62を介してCPU54に接続されている。さらに、入力装置63、ディスプレイ64、電子天秤50も入出力インターフェース61およびバス62を介してCPU54に接続されている。
【0045】
メモリ55は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、液滴吐出装置20の動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域や、基板W上の所望の領域に液滴を配置する配置データを記憶するための記憶領域や、主走査方向(Y軸方向)における基板Wの主走査移動量を記憶するための記憶領域や、CPU54のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0046】
CPU54は、メモリ55内に記憶されたプログラムソフトに従って、基板Wの表面の所定位置に機能液を液滴吐出するための制御を行なうものである。具体的な機能実現部として、電子天秤50を用いた重量測定を実現するための演算を行なう重量測定演算部67と、液滴吐出ヘッド31〜39によって液滴を吐出するための演算を行なう吐出演算部68を有する。
【0047】
吐出演算部68を詳しく説明すれば、液滴の吐出を開始する初期位置に液滴吐出ヘッド31〜39を配置させるための吐出開始位置演算部69と、基板Wを主走査方向へ所定の速度で移動させるための制御を演算する主走査制御演算部70と、液滴吐出ヘッド31〜39を副走査方向(X軸方向)へ所定の副走査量で移動させるための制御を演算する副走査制御演算部71を有する。さらに、吐出演算部68は液滴吐出ヘッド31〜39内の複数のノズル42のうちのいずれかを選択して機能液を吐出するかを制御するための演算を行なうノズル吐出制御演算部72等といった各種の機能演算部を有する。
【0048】
なお、上記の各機能がCPU54を用いてプログラムソフトで実現することとしたが、上記の各機能がCPUを用いない単独の電子回路(ハードウェア)によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
【0049】
(実施形態1)
次に、本発明のデバイスの一実施形態であるカラーフィルタとその製造方法について説明する。図6は、カラーフィルタを示す概略平面図である。
【0050】
図6に示すように、本実施形態のカラーフィルタは、基板W上において複数の描画領域Aをマトリクス状に区画する隔壁部(バンク)15と、区画された複数の描画領域A内に形成されたRGB3色の着色層とを有する。このカラーフィルタは、同一色の着色層が同一方向に直線的に配置された所謂ストライプ方式である。
【0051】
隔壁部15は、公知の材料および方法で形成されている。例えば、感光性樹脂材料を基板W上に塗布して、フォトリソグラフィ法により形成する方法が挙げられる。基板Wを透過する光が隔壁部15によって遮光されることが望ましく、パターニングされた遮光性を有する金属材料薄膜の上に感光性樹脂材料からなる隔壁部15を形成してもよい。
【0052】
RGB3色の着色層は、上記液滴吐出装置20を用い、複数の描画領域Aに着色層形成材料を含む3色の色材料液44R,44G,44Bを対応する各液滴吐出ヘッド31〜39から吐出して形成されている。
【0053】
図7は、カラーフィルタの製造方法を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施形態のデバイスとしてのカラーフィルタの製造方法は、隔壁部15が形成された基板Wを液滴吐出装置20にセットして、液滴吐出装置20の初期設定をする基板セット工程(ステップS1)と、液滴吐出ヘッド31〜39から吐出数を設定して液滴を吐出する計測用吐出工程(ステップS2)と、吐出された機能液の吐出量を計測する計測工程としての吐出量計測工程(ステップS3)と、吐出量の測定値と吐出数(吐出回数)とから平均吐出量を算出する演算工程としての平均吐出量演算工程(ステップS4)とを備えている。ステップS2からステップS4までの工程で各液滴吐出ヘッド31〜39からの吐出量が推定できることからこの3つの工程を合わせて吐出量推定工程と呼ぶ。また、各液滴吐出ヘッド31〜39から吐出する液滴の吐出量の調整が必要か否か判定する判定工程(ステップS5)と、調整が必要であると判定した場合は、各液滴吐出ヘッド31〜39の駆動条件を変更して機能液の吐出量を調整する調整工程としての吐出量調整工程(ステップS6)と、基板Wの複数の描画領域Aに色材料液44R,44G,44Bを液滴として吐出描画する描画工程(ステップS7)と、吐出描画された色材料液44R,44G,44Bを乾燥してRGB3色の着色層を形成するパターン形成工程としての乾燥工程(ステップS8)とを備えている。
【0054】
図7のステップS1は基板セット工程である。ステップS1では、図1に示すように、基板Wを液滴吐出装置20のステージ23に載置して固定する。次にキャリッジ30を電子天秤50の上方に移動させ、測定用受け皿M1〜M9(図4参照)と液滴吐出ヘッド31〜39とを対向配置する。そして、液滴を吐出する前の測定用受け皿M1〜M9の重量を計測してこれを「ゼロ」としてリセットする。そして、ステップS2へ進む。
【0055】
図7のステップS2は計測用吐出工程である。ステップS2では、キャリッジ30を電子天秤50上に固定した状態で、後の描画工程(ステップS7)と同様にステージ23を主走査方向に移動させる。その一方で、液滴吐出ヘッド31〜39ごと、すなわちノズル列N1〜N9ごとに電子天秤50の測定用受け皿M1〜M9に向けて液滴を吐出する。キャリッジ30には、第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39まで配置されているが、動作の説明を解り易くする為に第1の液滴吐出ヘッド31の動作で説明する。
【0056】
図8は、機能液の吐出方法を示す概略図である。詳しくは、後の描画工程(ステップS7)における機能液の吐出方法を示す概略図である。図8に示すように、基板Wには、ノズル列N1〜N9から吐出した液滴を着弾させる赤色(R)の描画領域A、緑色(G)の描画領域A、青色(B)の描画領域Aが配置してある。一つの赤色(R)の描画領域Aには、赤色の色材料液44Rの液滴が3個のノズル42から3回吐出されて塗布される。
【0057】
ノズル列N1が赤色(R)の描画領域Aに吐出する動作に着目すると、ノズル列N1が赤色(R)の描画領域Aを通過するとき、液滴はノズル42から赤色(R)の描画領域Aに3回吐出される。緑色(G)の描画領域Aと青色(B)の描画領域A及び描画領域Aの間(すなわち隔壁部15)には、液滴が吐出されず、再度赤色(R)の描画領域Aの上を通過するとき、液滴は3回吐出される。基板Wとキャリッジ30との相対移動に伴い、この吐出動作が主走査方向(Y軸方向)において繰り返される。従って、一個のノズル42から吐出される液滴の着弾予定位置75は、赤色(R)の描画領域Aに3箇所設定される。基板W上において、着弾予定位置75は緑色(G)の描画領域Aと青色(B)の描画領域Aとには無く、次の赤色(R)の描画領域Aにおいて3箇所設定される。
【0058】
図9は、機能液の吐出タイミングを示す概略図である。図9に示すように、キャリッジ30には赤色(R)の描画領域Aに液滴を吐出する第1の液滴吐出ヘッド31と第2の液滴吐出ヘッド32と第3の液滴吐出ヘッド33とが配置されている。第1の液滴吐出ヘッド31のノズル列N1と、液滴がノズル列N1から最初に吐出される赤色(R)の描画領域Aの中心までの距離をL1とする。第2の液滴吐出ヘッド32のノズル列N2と、液滴がノズル列N2から最初に吐出される赤色(R)の描画領域Aの中心までの距離をL2とする。同様に、第3の液滴吐出ヘッド33のノズル列N3と、液滴がノズル列N3から最初に吐出される赤色(R)の描画領域Aの中心までの距離をL3とする。
【0059】
ノズル列N1とノズル列N3とがX軸方向において略同一直線上に位置し、赤色(R)の描画領域Aと略平行に配置されていることから、L1とL3は略同じ距離となっている。ノズル列N1とノズル列N2とはY軸方向に所定の間隔を空けて平行に配置されていることからL1とL2との間の距離は所定の距離となっている。
【0060】
ノズル列N1〜N3が赤色(R)の描画領域Aに吐出する動作に着目する。基板Wとキャリッジ30とをY軸方向に相対移動し、ノズル列N1とノズル列N3とが赤色(R)の描画領域Aに達したとき液滴が吐出される。その時、ノズル列N2は、赤色(R)の描画領域Aに到達していないので、液滴は吐出されない。さらに、基板Wとキャリッジ30とをY軸方向に相対移動し、ノズル列N2が赤色(R)の描画領域Aに到達した時点で、ノズル列N2から液滴が吐出される。この時、ノズル列N1とノズル列N3とは赤色(R)の描画領域Aを通過しており、ノズル列N1とノズル列N3とから液滴は吐出されない。従って、第1の液滴吐出ヘッド31と第3の液滴吐出ヘッド33とから同じタイミングで液滴が吐出され、第2の液滴吐出ヘッド32からは第1の液滴吐出ヘッド31とは別のタイミングで液滴が吐出される。
【0061】
図1に示すように、基台21とステージ23との間には、主走査位置検出装置24が配置されている。キャリッジ30とステージ23に載置された基板Wとの相対位置は、主走査位置検出装置24により計測されるようになっている。
【0062】
ステップS2の計測用吐出工程では、CPU54の副走査制御演算部71は副走査駆動装置59にキャリッジ移動位置データを送信し、副走査駆動装置59はキャリッジ30を電子天秤50の上方の位置に移動させる。CPU54の主走査制御演算部70は主走査駆動装置58にステージ移動位置データを送信し、主走査駆動装置58はステージ23を主走査方向に移動させる。主走査位置検出装置24はステージ23の位置データをCPU54のノズル吐出制御演算部72に送信する。ノズル列N1の位置と着弾予定位置75(図8参照)との相対位置がX軸方向で同一線上となるステージ23の位置のとき、ノズル吐出制御演算部72はヘッド駆動回路60に液滴を吐出する計測用吐出データとしての信号を送信し、ノズル列N1から液滴が吐出される。ステージ23の移動に同期して、赤色(R)の描画領域Aの着弾予定位置75に液滴を吐出する動作を繰り返し、所定の吐出数液滴を吐出した時点で吐出を終了する。すなわち、基板Wの主走査方向における相対位置情報と、基板Wの相対移動に対応したタイミングで液滴を所定の描画領域Aに配置する配置データとに基づいて計測用の液滴を吐出する。そして、ステップS3へ進む。
【0063】
図7のステップS3は吐出量計測工程である。ステップS3では、電子天秤50の測定用受け皿M1〜M9に吐出された液滴の重量を測定する。ステップS1において測定した吐出前の測定用受け皿M1〜M9の重量測定値と、吐出後の測定用受け皿M1〜M9の重量測定値との差から吐出量を計測する。先にも述べたように、実際には、3色の色材料液44R,44G,44Bを対応する各液滴吐出ヘッド31〜39から吐出する。したがって、ステップS2とステップS3とを液滴吐出ヘッド31〜39ごとに実施して、ノズル列N1〜N9ごとに吐出される機能液の吐出量を計測する。ゆえにステップS2とステップS3とが9回繰り返される。そして、ステップS4へ進む。
【0064】
図7のステップS4は、平均吐出量演算工程である。ステップS4では、ステップS3で測定した機能液の吐出量とステップS2で吐出した吐出数(吐出回数)から平均吐出量を算出する。平均吐出量の算出方法は、四則演算を組み合わせて算出することが可能である。例えば、本実施形態では、測定用受け皿M1の吐出前後の重量差を液滴吐出ヘッド31が吐出した吐出数で割る計算方法を採用した。ここでは、第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39ごとに1吐出あたりの機能液(液滴)の平均吐出量を算出する。そして、ステップS5へ進む。
【0065】
図7のステップS5は判定工程である。ステップS5では、ステップS4で算出した各液滴吐出ヘッド31〜39の平均吐出量が所定の吐出量と比較して調整が必要か否かの判定をする。例えば、本実施形態では、赤色(R)の描画領域Aに全部で9滴の色材料液44Rを吐出する。よって、液滴吐出ヘッド31の平均吐出量の9滴分と所望の光学特性(透過率、色度、彩度)となる膜(赤色の着色層)を形成するのに必要な所定の吐出量とを比較して調整が必要か否かの判定を行なう。この場合、液滴吐出ヘッド31の平均吐出量の9滴分と上記所定の吐出量との差が、上記所定の吐出量に対して±3%の許容範囲を外れたとき調整が必要と判定した。さらに、同一色の色材料液44Rを吐出する各液滴吐出ヘッド31,32,33の平均吐出量を比較して調整が必要か否かの判定を行なう。例えば、各液滴吐出ヘッド31,32,33の平均吐出量が、平均値に対して±1%の許容範囲を外れたとき調整が必要と判定した。他の液滴吐出ヘッド34〜39においても同様である。そして、ステップS5で調整が必要と判定したときステップS6へ進む。調整が不要と判定したときステップS7へ進む。
【0066】
図7のステップS6は吐出量調整工程である。ステップS6では、第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39ごとの吐出量を調整する。吐出量の調整は圧電素子46(図3参照)の駆動電圧波形の電圧振幅を調整して行なう。電圧振幅と吐出量の関係は、電圧振幅を大きくすると吐出量が多くなり、電圧振幅を小さくすると吐出量が小さくなる。この関係を用いて、第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39ごとの吐出量を調整する。吐出量の調整は、所望の吐出量に対して近づける様に調整すると共に、同一色の色材料液を吐出する液滴吐出ヘッド間の吐出量の差が少なくなるように調整する。この場合、前述した許容範囲内となるように調整する。よって、所望の吐出量となるように、ステップS2からステップS4を再び繰り返して検証してもよい。
【0067】
図7のステップS7は描画工程である。ステップS7では、ステージ23とキャリッジ30を駆動し、第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39のノズル列N1〜N9から基板Wの赤色(R)の描画領域A、緑色(G)の描画領域A、青色(B)の描画領域Aに対応する色材料液44R,44G,44Bの液滴をそれぞれ吐出し塗布する。
液滴の描画領域Aにおける配置は、前述したとおりである。各描画領域Aには、所定量の色材料液44R,44G,44Bの液滴が付与され、濡れ広がり盛り上がる。そして、ステップS8へ進む。
【0068】
図7のステップS8は乾燥工程である。ステップS8では、吐出描画された色材料液44R,44G,44Bを一括乾燥して固化し、3色の着色層を形成する。乾燥方法としては、色材料液44R,44G,44Bに含まれる溶媒を均一に蒸発させることが可能な減圧乾燥が好ましい。これによれば、より均一な膜厚を有する着色層を形成することが可能である。
【0069】
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)ノズル42から吐出される液滴は、連続して吐出されるときと、間歇的に吐出されるときとでは、吐出される液滴の量が異なることがある。その理由としては、圧電素子46を連続して駆動するときと、圧電素子46を間歇駆動するときでは、ヘッド駆動回路60と圧電素子46の交流成分の信号に対するインピーダンスマッチングの適合性が異なることが考えられる。さらに、液滴を連続して吐出するときと、間歇的に吐出するときでは、液状体を収容する収容タンク28から各液滴吐出ヘッド31〜39へ繋がる流路を流れる液状体の流体抵抗が異なることが考えられる。
上記実施形態1の吐出量推定工程では、描画工程において基板Wの赤色(R)の描画領域Aに吐出するタイミングと同じタイミングで液滴を吐出し、吐出された液滴の重量を計測し、吐出数で割り算することで一回の吐出あたりの平均吐出量を液滴吐出ヘッド31〜39ごとに算出した。また、液滴吐出ヘッド31〜39ごとの平均吐出量と所望の吐出量とを比較して、吐出量の調整が必要な場合には、調整工程において、所望の吐出量が吐出されるように調整した。そして、ワークとしての基板Wに液滴を吐出描画して3色の着色層を形成した。従って、ノズル42から吐出される液滴の吐出量を計測するとき、液滴を連続的に吐出して吐出量を計測する場合に比べて、実際に基板Wに液滴を吐出するときの吐出量に近い計測をすることができる。その結果、基板Wに吐出される液滴の吐出量を所望の吐出量に近い吐出量とすることができる。
【0070】
(2)1つの液滴吐出ヘッドのすべてのノズル42から同時に液滴を吐出する場合と、それより少ない数のノズルから液滴を吐出する場合とでは、吐出される液滴の量が異なることがある。その理由としては、液滴吐出ヘッドの圧電素子46をすべて同時に駆動するときと、少ない数の圧電素子46を駆動するときでは、ヘッド駆動回路60と圧電素子46のインピーダンスマッチングの適合性が異なることが考えられる。さらに、すべての液滴吐出ヘッドから吐出するときと、少ない液滴吐出ヘッドから吐出するときでは、収容タンク28から各液滴吐出ヘッド31〜39へ繋がる流路を流れる液状体の流体抵抗が異なることが考えられる。
上記実施形態1の吐出量推定工程では、液滴吐出装置20には複数(9個)の液滴吐出ヘッド31〜39が備えられ、各液滴吐出ヘッド31〜39から吐出される液滴の吐出量を測定するとき、各液滴吐出ヘッド31〜39が基板Wの描画領域Aに吐出するタイミングで各ノズル列N1〜N9から吐出される液滴の吐出量を計測した。従って、ノズル列N1〜N9から吐出される液滴の吐出量を計測するとき、すべての液滴吐出ヘッド31〜39から液滴を吐出して吐出量を計測する場合に比べて、基板Wに吐出するときの吐出量に近い計測をすることができる。その結果、基板Wに吐出される液滴の吐出量を所望の吐出量に近い吐出量に調整することができる。
【0071】
(3)上記実施形態1のカラーフィルタの製造方法において、調整工程では、各液滴吐出ヘッド31〜39から吐出される液滴の吐出量を調整するとき、所望の吐出量に近づけるように調整すると共に、同一色の色材料液を吐出する複数(3個)の液滴吐出ヘッド間の吐出量の差が少なくなるように調整した。これにより、同一色の色材料液を吐出する複数(3個)の液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出量が略同じとなる。ゆえに、液滴が吐出された基板W上の複数の描画領域Aの間で吐出量が変動することが抑制され、光学特性(透過率、色度、彩度)の差が少ない同一色の着色層を形成することができる。
【0072】
(実施形態2)
次に、本発明の吐出量測定方法の他の実施形態について図10に従って説明する。図10は、吐出量測定の電気的な制御系を示すブロック図である。
【0073】
図10に示すように、液滴吐出装置20は擬似位置値発生装置77を備えている。これ以外は上記実施形態1の図5に示す液滴吐出装置の電気的な制御系を示すブロック図と同じ構成である。
【0074】
上記実施形態1では、CPU54の主走査制御演算部70は主走査駆動装置58にステージ移動位置データを送信し、主走査駆動装置58はステージ23を駆動した。主走査位置検出装置24はステージ23の位置データをCPU54のノズル吐出制御演算部72に送信し、ノズル吐出制御演算部72は上記位置データとメモリ55に記録された液滴の配置データとに基づいてヘッド駆動回路60に液滴を吐出するタイミングで吐出信号を送信していた。
【0075】
本実施形態では、主走査位置検出装置24はステージ23の位置データを送信する代わりに擬似位置値発生装置77が擬似位置データを生成してノズル吐出制御演算部72に送信する。ノズル吐出制御演算部72は上記擬似位置データと上記配置データとを基にヘッド駆動回路60に液滴を吐出する吐出信号を送信する。ヘッド駆動回路60は吐出信号を受けて第1の液滴吐出ヘッド31〜第9の液滴吐出ヘッド39に圧電素子46を駆動する駆動信号を送信し、液滴が吐出される。
【0076】
擬似位置値発生装置77は、位置データを生成する回路から構成されても良いし、キャリッジ30とステージ23とを相対移動させる主走査において主走査位置検出装置24から出力されるステージ23の位置データを記憶し、記憶した位置データを再生し出力するようにしても良い。
【0077】
上記実施形態2の吐出量測定方法によれば、上記実施形態1の効果に加えて以下の効果を有する。
(1)擬似位置値発生装置77により擬似位置データを生成してCPU54のノズル吐出制御演算部72に送信し、ノズル吐出制御演算部72は擬似位置データとメモリ55に記録された液滴の配置データとを基に液滴を吐出する吐出信号(タイミング信号)を生成した。従って、主走査位置検出装置24からステージ23の位置データを取得する為に、ステージ23を駆動する方法に比べて、ノズル吐出制御演算部72は液滴を吐出するタイミングを容易に判断でき、吐出信号を送信することができる。その結果、ステージ23を移動させず少ないエネルギーで吐出量を計測することができる。
【0078】
(実施形態3)
次に、本発明の吐出量測定方法のさらなる他の実施形態について図11〜図14に従って説明する。図11は実施形態3における液滴吐出ヘッドを示す概略平面図、図12および図13は実施形態3における液状体の吐出方法を示す概略図、図14は計測用吐出データを示す概略図である。
【0079】
図11に示すように、本実施形態における液滴吐出ヘッド40は、複数(180個)のノズル42からなる2つのノズル列42A,42Bを備えている。各ノズル列42A,42Bはそれぞれ略等間隔のノズルピッチPで複数のノズル42が配列していると共に、ノズル列42A,42Bが互いに半ノズルピッチずれた状態で配列している。
【0080】
各ノズル列42A,42Bの両端に位置する10個のノズル42を使用せず、それぞれ有効ノズル数が160個となっている。
【0081】
またこの場合、液滴吐出装置20におけるキャリッジ30に配設される液滴吐出ヘッド40の数および配置は、図2に示したものと同様とする。なお、キャリッジ30に搭載される液滴吐出ヘッド40は、9個に限らず、3色の色材料液44R,44G,44Bに対応した3個の構成としてもよい。
【0082】
本実施形態のデバイスとしてのカラーフィルタにおいて、RGB3色の着色層が形成される描画領域Aの配置は図6に示したものと同様であるが、サイズが上記実施形態1に比べて大きい。したがって、描画領域Aに付与される所望の液滴の数が増加する。本実施形態は、このような場合を想定した液状体の吐出方法に基づく吐出量測定方法を含めたカラーフィルタの製造方法を示すものである。
【0083】
本実施形態のカラーフィルタの製造方法における液状体の吐出方法は、上記実施形態1に対して計測用吐出工程と描画工程の構成を変えたものである。液滴吐出ヘッド40と基板WとをY軸方向に相対移動させる複数回の主走査と、複数回の主走査の間に液滴吐出ヘッド40をX軸方向に移動させる副走査とを組み合わせた吐出制御により、描画領域Aに所定の量の液状体を液滴として吐出描画する描画工程を備えている。
【0084】
図12(a)および(b)は、描画工程において、最初の主走査による描画領域Aへの液滴の配置を示すものである。例えば、液滴吐出ヘッド40から液状体(機能液)として赤色の色材料液44Rを吐出する場合、赤色(R)の描画領域Aには、ノズル列42Aがまず到達し、次にノズル列42Bが到達する。
【0085】
図12(a)に示すように、ノズル列42Aの有効ノズルを順に#11〜#170まで符番する。描画領域Aのサイズとこれに掛かるノズル列42Aとの位置関係において、有効ノズルのうち描画領域Aに対して連続して液滴を吐出するノズル42と、不吐出とするノズル42とが発生する。また当然ながら緑色(G)および青色(B)の描画領域Aには液滴を吐出しないのですべての有効ノズルが不吐出となる。例えば、有効ノズルの両端側では、ノズル番号11A,12Aのノズルが一方の赤色(R)の描画領域Aに対して吐出ノズルとなり、ノズル番号169A,170Aのノズルが他方の赤色(R)の描画領域Aに対して吐出ノズルとなる。また、ノズル番号13A,168Aのノズルが不吐出ノズルとなる。
【0086】
続いて、図12(b)に示すように、他方のノズル列42Bの有効ノズルを順に#11〜#170まで符番する。ノズル列42Bにおいても有効ノズルのうち描画領域Aに対して連続して液滴を吐出するノズル42と、不吐出とするノズル42とが発生する。例えば、有効ノズルの両端側では、ノズル番号11B,12Bのノズルが一方の赤色(R)の描画領域Aに対して吐出ノズルとなり、ノズル番号168B,169Bのノズルが他方の赤色(R)の描画領域Aに対して吐出ノズルとなる。また、ノズル番号13B,170Bのノズルが不吐出なノズルとなる。このような主走査における吐出データは、各ノズル列42A,42Bに対応して、縦軸がノズル番号、横軸が吐出タイミングを示すビットマップとして液滴吐出装置20に入力されメモリ55に格納される。
【0087】
図12(a)および(b)に示すように描画領域Aに対して複数の液滴が着弾するように吐出してもなお、色材料液44Rが不足する場合、同様に主走査を繰り返して主走査方向において同一位置に液滴を付与してもよいが、付与された液滴の偏りが発生するので、描画領域Aに掛かる複数のノズル42の位置を変えて吐出することが好ましい。
【0088】
図13(c)および(d)は、液滴吐出ヘッド40をX軸方向に移動させる副走査を行なって、描画領域Aに掛かる複数のノズル42の位置を変えて主走査することにより、不足する液滴を吐出した状態を示す概略図である。
【0089】
図13(c)に示すように、例えば、液滴吐出ヘッド40のノズル列42Aにおいて、ノズル番号13A,14Aのノズルが一方の描画領域Aに掛かるように液滴吐出ヘッド40を副走査すると、今度は、先の主走査で吐出したノズル番号11A,12A,15Aのノズルが不吐出ノズルとなる。
【0090】
続いて、図13(d)に示すように、ノズル列42Bでも同様に吐出ノズルと不吐出ノズルの選択が変わる。このような副走査後の主走査における吐出データは、各ノズル列42A,42Bに対応して、縦軸がノズル番号、横軸が吐出タイミングを示すビットマップとして液滴吐出装置20に入力されメモリ55に格納される。
【0091】
本実施形態の吐出量測定方法では、上記のように描画工程において、吐出ノズルと不吐出ノズルとが各主走査により変化することに対応して、計測用吐出データを生成することにより、実際の着色層を吐出描画する状態により近い液滴の吐出量を計測可能とするものである。
【0092】
図14は、実施形態3の計測用吐出データを示すビットマップである。図14(a)に示すように、本実施形態の吐出量測定方法は、計測用吐出データが複数のノズル42のうち連続して不吐出としたノズル情報を有する第1計測用吐出データとしての第1のビットマップと、不吐出としたノズルから連続して液状体を吐出させるノズル情報を有する第2計測用吐出データとしての第2のビットマップとを含み、計測用吐出工程では、第1のビットマップと第2のビットマップとを少なくとも用いて液滴吐出ヘッド40を駆動し、測定可能な量となるように吐出数を設定して液状体を液滴として吐出する。
【0093】
また、計測用吐出工程では、2つのノズル列42A,42Bごとに第1のビットマップと第2のビットマップとを用いて液滴吐出ヘッドを駆動する。
【0094】
そして、図14(b)に示すように、計測用吐出工程では、副走査に伴って第1のビットマップにおいて複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズル情報が変更された第3計測用吐出データとしての第3のビットマップと、第3のビットマップにおいて不吐出としたノズルから機能液を吐出させるノズル情報を有する第4計測用吐出データとしての第4のビットマップとを含む計測用吐出データを用いる。また、2つのノズル列42A,42Bごとにこれを生成して用い、計測工程では、ノズル列42A,42Bごとの液滴の吐出量を計測する。
【0095】
第1および第2のビットマップは、図12(a)および(b)に示した主走査における吐出データを基に、有効ノズル数に対する吐出ノズル数の比、すなわちノズル使用率が反映されている。
【0096】
第3および第4のビットマップは、図13(c)および(d)に示した副走査後の主走査における吐出データを基に、ノズル使用率を反映しつつ、吐出が行なわれるノズル選択の変化に対応している。
【0097】
計測用吐出データを生成するにあたり、描画工程における吐出データをそのまま反映すると、複数のノズル42のすべてが不吐出となる全ノズル不吐出情報が、吐出描画されない描画領域Aの配置に対応して連続して発生する。よって、計測用吐出工程において吐出を行なわない無駄な時間を削減するため、本実施形態の第1〜第4のビットマップにおいては、全ノズル不吐出情報の一部を削除して、計測用吐出データとした。
【0098】
なお、縦軸がノズル番号、横軸が吐出タイミングを示すビットマップにおいて、「1」は選択、「0」は非選択を示す。また、選択時には1回の吐出に対応する駆動信号を液滴吐出ヘッド40の各ノズル42に対応する圧電素子46に与えるが、複数の駆動信号を連続して与えるとしてもよい。また、横軸の吐出タイミングを上記実施形態2で説明したように、ワークとしての基板Wの主走査における基板位置情報を基にしてもよい。
【0099】
上記実施形態3の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態3の吐出量測定方法では、描画工程におけるノズル使用率を反映した第1〜第4のビットマップを計測用吐出データとして用いる。したがって、すべてのノズル42から所定の吐出数の液滴を吐出させると共に、実際の描画工程における吐出状態を反映した計測用吐出を行なうことができる。ゆえに、より実際の液状体の吐出描画に近い状態の液滴の吐出量を計測することができる。
【0100】
(2)上記実施形態3の吐出量測定方法では、液滴吐出ヘッド40の各ノズル列42A,42Bごとに計測用吐出データとしての第1〜第4のビットマップを生成して、計測用吐出を行なう。したがって、ノズル列42A,42Bごとに実際の液状体の吐出描画に近い状態の液滴の吐出量を計測することができる。
【0101】
(3)上記実施形態3の吐出量測定方法では、計測用吐出データとしての第1〜第4のビットマップは、描画工程における吐出データのうち、全ノズル不吐出情報を一部削除して生成されている。したがって、計測用吐出工程において液滴を吐出しない無駄な時間を削減して効率よく計測用吐出を行なうことができる。
【0102】
(4)上記実施形態3のカラーフイルタの製造方法は、第1〜第4のビットマップを用いた吐出量測定方法により、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴の吐出量が適正化されている。したがって、描画工程では、各描画領域Aに適正量の色材料液44R,44G,44Bが付与され、乾燥工程後に、膜厚ムラが少ないRGB3色の着色層を形成することができる。
【0103】
(実施形態4)
次に、本発明の電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置について説明する。図15は、液晶表示装置の構造を示す概略図である。同図(a)は正面図、同図(b)は同図(a)のH−H´線で切った断面図である。
【0104】
図15(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、対をなすTFTアレイ基板2および対向基板3と、両基板2,3を接着する光硬化性の封止材であるシール材4と、シール材4によって区画された領域内に封入された液晶5とを備えている。シール材4は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0105】
シール材4の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り6が形成されている。シール材4の外側の領域には、データ線駆動回路7及び実装端子8がTFTアレイ基板2の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路9が形成されている。TFTアレイ基板2の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路9の間を接続するための複数の配線10が設けられている。また、対向基板3のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板2と対向基板3との間で電気的導通をとるための基板間導通材11が配設されている。
【0106】
なお、データ線駆動回路7及び走査線駆動回路9をTFTアレイ基板2の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板2の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置1においては、使用する液晶5の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0107】
また、対向基板3において、TFTアレイ基板2の後述する各画素電極に対向する領域に、描画パターンとしての赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の着色層12R,12G,12Bを有するカラーフィルタが保護膜とともに形成されている。着色層12R,12G,12Bは、上記実施形態1〜上記実施形態3に示されたカラーフィルタの製造方法のいずれかを用いて製造されている。さらに、カラーフィルタのTFTアレイ基板2側には対向電極13が配置されている。
【0108】
このような構造を有する液晶表示装置1の画像表示領域においては、複数の画素がm行n列のマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素の各々には、画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)素子が形成されている。画素信号を供給するデータ線がTFTのソースに電気的に接続され、走査信号を供給する走査線がTFTのゲートに電気的に接続され、TFTのドレインに画素電極14が電気的に接続されている。
【0109】
TFTのゲートには走査線が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線にパルス的に走査信号を印加するように構成されている。
【0110】
画素電極14は、TFTのドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線から供給される画素信号を各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極14を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号は、対向基板3の対向電極13との間で一定期間保持される。画素信号のレベルに応じて、液晶5の光透過量が変化し、液晶表示装置1はカラーフィルタを備えていることから、液晶表示装置1はカラー画像を表示することができる。
【0111】
上記実施形態4の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態4の液晶表示装置1において、対向基板3のカラーフィルタは、上記実施形態1〜上記実施形態3に示されたカラーフィルタの製造方法のいずれかを用いて製造されている。したがって、膜厚ムラの少ない3色の着色層12R,12G,12Bを有し、所定の光学特性(透過率、色度、彩度)が安定的に確保されている。ゆえに、液晶表示装置1は、色ムラなどが少ない高い表示品質を有する。
【0112】
(実施形態5)
次に、本発明の電子機器の一実施形態であるパーソナルコンピュータについて説明する。図16は、パーソナルコンピュータを示す概略斜視図である。本実施形態の電子機器としてのパーソナルコンピュータ(PC)80は、情報を表示する表示部として表示装置81を備えている。この表示装置81に、上記実施形態4の液晶表示装置1が配設されている。
【0113】
上記実施形態5の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態5のPC80は、色ムラなどが少ない高い表示品質を有する液晶表示装置1を搭載しているので、色情報を含む画像情報などを的確に確認することができるPC80を提供することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0115】
(変形例1)上記実施形態1では、吐出量の計測に電子天秤50を用いて、液滴の重量を計測したが、これに限らず、液滴の体積を計測して吐出量を計測しても良い。例えば、同じ幅の溝に液滴を吐出して、溝を占める液状体の長さから体積を推定する方法で体積を計測しても良い。
【0116】
(変形例2)上記実施形態1では、電子天秤50の測定用受け皿M1〜M9を液滴吐出ヘッド31〜39ごとに配置して、液滴吐出ヘッド31〜39の各ノズル列N1〜N9から吐出される液滴の吐出量を測定したが、ノズル42ごとに測定用受け皿を配置してノズル42から吐出される液滴の吐出量を測定しても良い。ノズル42ごとに吐出量を調整することで、ノズル間の吐出量の差を少なくすることができる。
【0117】
(変形例3)上記実施形態2では、ノズル吐出制御演算部72は擬似位置データと配置データとを基にヘッド駆動回路60に液滴を吐出する吐出信号を送信した。擬似位置データにおいて吐出する位置でないデータが連続して含んでいるときには、吐出する位置でないデータの一部を削除して擬似位置データのデータ量を減量しても良い。吐出する位置でないデータの一部を削除する場合には、削除することで吐出が連続にならないようにするのが好ましい。吐出しないデータを削除することで、所定の吐出数を吐出するのにかかる時間を短縮することができる。
【0118】
(変形例4)上記実施形態1〜上記実施形態3における吐出量測定方法を適用したカラーフィルタの製造方法は、RGB3色の着色層を有するカラーフィルタの製造方法に限定されない。例えば、RGB3色に他の色を加えた多色のカラーフィルタの製造方法にも適用することができる。また、RGB3色の着色層の配置は、ストライプ方式に限定されず、デルタ方式、モザイク方式においても適用可能である。具体的には、基板Wの描画領域Aに液滴を配置する吐出データに基づいて計測用吐出データを生成すればよい。
【0119】
(変形例5)上記実施形態1〜上記実施形態3における吐出量測定方法は、カラーフィルタを形成するときのパターン形成方法に適用することに限定されない。例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を有する表示装置において、発光素子としての有機EL素子を構成する正孔注入層、発光層、電子注入層をパターン形成する方法にも適用することができる。これによれば、液滴吐出ヘッドのノズルから各層を形成する材料を含む液状体を吐出描画して、正孔注入層、発光層、電子注入層の各層の厚さを所望の厚みに形成することができる。また、有機EL素子の正孔注入層、発光層、電子注入層の各層の厚さのバラツキを少なくすることができるので、発光素子の発光効率を略均一にすることができ、発光時にムラの少ない表示装置とすることができる。
【0120】
(変形例6)上記実施形態5における電気光学装置としての液晶表示装置1を備えた電子機器は、パーソナルコンピュータ80に限定されない。例えば、電子ブック、携帯電話、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の電子機器の画像表示手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、表示ムラが少ない電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】液滴吐出装置の構造を示す概略斜視図。
【図2】キャリッジにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す平面図。
【図3】液滴吐出ヘッドの要部構造を示す概略断面図。
【図4】電子天秤の構成を示す概略斜視図。
【図5】液滴吐出装置の電気的な制御系を示すブロック図。
【図6】カラーフィルタを示す概略平面図。
【図7】カラーフィルタの製造方法を示すフローチャート。
【図8】機能液の吐出方法を示す概略図。
【図9】機能液の吐出タイミングを示す概略図。
【図10】吐出量測定の電気的な制御系を示すブロック図。
【図11】実施形態3における液滴吐出ヘッドを示す概略平面図。
【図12】(a)および(b)は実施形態3における液状体の吐出方法を示す概略図。
【図13】(c)および(d)は実施形態3における液状体の吐出方法を示す概略図。
【図14】(a)及び(b)は実施形態3の計測用吐出データを示すビットマップ。
【図15】(a)液晶表示装置の構造を示す概略正面図、(b)は(a)のH−H´線で切った断面図。
【図16】パーソナルコンピュータを示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0122】
1…電気光学装置としての液晶表示装置、12R,12G,12B…描画パターンとしての着色層、31〜40…液滴吐出ヘッド、42…ノズル、42A,42B…ノズル列、44R,44G,44B…液状体および機能液としての色材料液、80…電子機器としてのパーソナルコンピュータ、N1〜N9…ノズル列、W…ワークとしての基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのノズルから吐出された液状体の吐出量を測定する吐出量測定方法であって、
計測用吐出データに基づいて前記液滴吐出ヘッドを駆動し、測定可能な量となるように吐出数を設定して前記液状体を前記ノズルから液滴として吐出する計測用吐出工程と、
吐出された前記液状体の吐出量を計測する計測工程と、
計測された前記吐出量と前記吐出数とから平均吐出量を算出する演算工程とを備え、
前記計測用吐出データが描画パターンを吐出描画するときと略同様な吐出データを用いることを特徴とする吐出量測定方法。
【請求項2】
前記計測工程では、吐出された液状体の吐出量として重量を計測することを特徴とする請求項1に記載の吐出量測定方法。
【請求項3】
前記液滴吐出ヘッドは複数のノズルを備え、
前記計測用吐出工程では前記複数のノズルから液状体を吐出し、
前記計測工程では、前記液滴吐出ヘッドの前記複数のノズルから吐出された液状体の吐出量を計測することを特徴とする請求項1または2に記載の吐出量測定方法。
【請求項4】
前記計測用吐出データがすべての前記複数のノズルから前記液状体を吐出しない全ノズル不吐出情報を含み、前記全ノズル不吐出情報が連続するときには、連続した前記全ノズル不吐出情報の一部を削除して用いることを特徴とする請求項3に記載の吐出量測定方法。
【請求項5】
前記計測用吐出データが前記複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズル情報を有する第1計測用吐出データと、前記不吐出としたノズルから連続して前記液状体を吐出させるノズル情報を有する第2計測用吐出データとを含み、
前記計測用吐出工程では、前記第1の計測用吐出データと前記第2の計測用吐出データとを少なくとも用いて前記液滴吐出ヘッドを駆動し、測定可能な量となるように前記吐出数を設定して前記液状体を液滴として吐出することを特徴とする請求項3または4に記載の吐出量測定方法。
【請求項6】
前記液滴吐出ヘッドは複数のノズルからなる少なくとも2つのノズル列を備え、
前記計測用吐出工程では、前記少なくとも2つのノズル列ごとに前記第1計測用吐出データと前記第2計測用吐出データとを用いて前記液滴吐出ヘッドを駆動することを特徴とする請求項5に記載の吐出量測定方法。
【請求項7】
ワーク上に機能性材料からなる描画パターンを形成するパターン形成方法であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の吐出量測定方法を用いて、液滴吐出ヘッドから吐出される前記機能性材料を含む機能液の平均吐出量を推定する吐出量推定工程と、
推定結果に基づいて前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記機能液の吐出量を調整するか否かの判定をする判定工程と、
調整が必要な場合に前記液滴吐出ヘッドの駆動条件を変更して前記吐出量を調整する調整工程と、
前記ワークと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる主走査に同期して、前記液滴吐出ヘッドのノズルから前記機能液を液滴として吐出描画する描画工程と、
吐出描画された前記機能液を固化して前記描画パターンを形成するパターン形成工程と、を備えたことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
前記描画工程では、複数の液滴吐出ヘッドを用いて前記機能液を吐出描画し、
前記計測用吐出工程では、前記複数の液滴吐出ヘッドごとに前記機能液を吐出し、
前記計測工程では、前記複数の液滴吐出ヘッドごとに吐出される前記機能液の吐出量を計測し、
前記調整工程では、前記複数の液滴吐出ヘッド間の前記平均吐出量の差を少なくする様に調整することを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記計測用吐出工程では、前記描画工程における前記主走査したときの前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとの相対位置情報と、前記ワーク上に液滴を配置する配置データとから生成した前記計測用吐出データに基づいて、前記液滴吐出ヘッドから前記機能液を吐出することを特徴とする請求項7または8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記液滴吐出ヘッドが複数のノズルを有し、
前記描画工程では、前記ワークと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる主走査を複数回行なうと共に、前記複数回の主走査の間に前記主走査の方向に対して直交する方向に前記複数の液滴吐出ヘッドを移動させる副走査を行ない、
前記計測用吐出工程では、前記副走査に伴って前記第1計測用吐出データにおいて前記複数のノズルのうち連続して不吐出としたノズルを変更したノズル情報を有する第3計測用吐出データと、前記第3計測用吐出データにおいて不吐出としたノズルから前記機能液を吐出させるノズル情報を有する第4計測用吐出データとを含む前記計測用吐出データを用いることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
機能性材料からなる描画パターンを有するデバイスであって、
前記描画パターンが請求項7から10のいずれか一項に記載のパターン形成方法を用いて製造されたことを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスを備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−152340(P2007−152340A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252482(P2006−252482)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】