説明

含フッ素重合体と加硫ゴムの積層体

【課題】接着層を介したり、特別な表面処理を施すことなく熱可塑性含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピクロルヒドリン系ゴムを加硫接着する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性含フッ素重合体と未加硫ゴム組成物が加硫接着されてなる積層体であって、上記含フッ素重合体が下記(A)からなり、かつ、上記未加硫ゴム組成物が下記(B1)または下記(B2)からなることを特徴とする積層体。
(A)主鎖末端および/または側鎖末端に反応性官能基を有する含フッ素重合体。
(B1)アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤および加硫剤を含有するニトリル系ゴム組成物。
(B2)前記接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤、受酸剤および加硫剤を含有するエピハロヒドリン系ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含フッ素重合体と加硫ゴムの積層体に係わり、更に詳しくは熱可塑性の含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムからなる未加硫ゴムが、接着層を介さずに直接加硫接着されている積層体、積層ホースに関する。この様な積層体、積層ホースは、例えば自動車用燃料ホースなどに用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、ガソリン等の燃料油に使用されるホースや、酸、アルカリ、有機溶剤等に使用されるケミカルホースは、最内層材に化学薬品や有機溶剤に耐性の高いフッ素ゴム加硫物からなる層を配し、それに直接積層される層にニトリル系ゴムやエピハロヒドリン系ゴムの加硫物からなる層を配した多層ホースが好適に用いられてきた。特に、耐サワーガソリン性、耐ガソリン透過性が要求される自動車用燃料系ホースの場合には、最内材にフッ素ゴム加硫物からなる層を配し、それに直接積層される層に耐油性の優れたニトリル系ゴムやエピクロルヒドリン系ゴムの加硫物からなる層を配した多層ホースが好適に用いられてきた。しかしながら、年々強化される燃料蒸散規制等のため、燃料油系ホースの材料として高い耐ガソリン透過性を持つ材料が要求されるようになってきており、燃料不透過性が更に優れたフッ素樹脂の使用が望まれるようになっている。
【0003】
ゴムと樹脂を用いた多層ホースの場合、ゴム−樹脂間の接着性が最も重要な課題である。フッ素樹脂とニトリル系ゴムやエピクロルヒドリン系ゴムは、これらをそのまま加硫接着しようとしても接着性が乏しいことが知られている。フッ素樹脂とエピクロルヒドリン系ゴムの接着性を改良する手段としては、例えばエピクロルヒドリン系ゴムに1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7(以下DBUと記す)、あるいはその誘導体のような添加剤を配合しておき、加硫接着する手段が提案されている(特許文献1、2参照)。他方、フッ素系部材の表面を処理して接着性を向上させる方法も種々試みられている。フッ素系部材の処理方法としては、部材表面の機械的な粗面化、化学的エッチング、さらにプラズマ、コロナなどの放電処理方法が知られている。このうちプラズマ放電処理方法による表面処理は、クリーンでかつ表面改質の自由度が大きいことから、フッ素系部材の表面処理方法として注目されており、プラズマ処理したフッ素系部材とエピクロルヒドリン系ゴムを直接加硫接着する方法も提案されている(特許文献3、4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−294998号公報
【特許文献2】特開平8−294999号公報
【特許文献3】特開2006−272739号公報
【特許文献4】特開2006−272741号公報
【0005】
しかしながら、上記エピクロルヒドリン系ゴムにDBU、あるいはその誘導体のような添加剤を配合しておき加硫接着する方法では、その接着強度がフッ素系部材のフッ化ビニリデン単位の含有量に依存しているため、燃料不透過性を高めるためにフッ化ビニリデン単位の含有量を少なくしたフッ素系部材や、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ化ビニリデン単位を含まないフッ素系部材では接着強度が著しく低下する問題がある。また、上記フッ素系部材の表面をプラズマ処理して接着する方法では、大規模な処理装置を導入しなければならず、さらにフッ素系部材の処理表面が変質し易いため、プラズマ処理から加硫接着までの経過時間により接着強度が低下する問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、接着層を介することなく、また特別な表面処理を施すことなく熱可塑性含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピクロルヒドリン系ゴムを直接加硫接着する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す熱可塑性含フッ素重合体と加硫用ゴム組成物を用いて積層体とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、熱可塑性含フッ素重合体と未加硫ゴム組成物が加硫接着されてなる積層体であって、上記含フッ素重合体が下記(A)からなり、かつ、上記未加硫ゴム組成物が下記(B1)または下記(B2)からなることを特徴とする積層体である。
(A)主鎖末端および/または側鎖末端に反応性官能基を有する含フッ素重合体。
(B1)アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤および加硫剤を含有するニトリル系ゴム組成物。
(B2)アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤、受酸剤および加硫剤を含有するエピハロヒドリン系ゴム組成物。
【0009】
従来、フッ化ビニリデン単位の少ない、あるいはフッ化ビニリデン単位を含まない熱可塑性含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムを直接加硫接着することは困難であった。しかしながら、含フッ素重合体の主鎖末端および/または側鎖末端に反応性官能基を導入し、ニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムにアミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤を含ませれば直接加硫接着が可能となることがわかった。
【0010】
前記含フッ素重合体に導入する反応性官能基としては、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、カルボニルジオキシ基、ハロホルミル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基などが好ましく、特に好ましくはカルボニルジオキシ基である。
【0011】
また、本発明の積層体を自動車用燃料ホースの部材として用いる場合、低燃料透過性、柔軟性などの観点から、含フッ素重合体の構成単位としてはテトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位を主成分とする共重合体であることが好ましい。
【0012】
本発明ではゴム成分にアミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤を含ませることにより接着力を高めている。好ましい接着付与剤としては1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7の弱酸塩または1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−5の弱酸塩を挙げることができる。これら接着付与剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対し0.1〜5重量部。好ましくは0.3〜3重量部の範囲内にある。
【0013】
更にゴム成分中にエポキシ化合物を含ませればより強固な接着力が得られる。但し、多量にエポキシ化合物を添加するとゴムの加硫が阻害されるため、通常はゴム成分100重量部に対し0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部の範囲内にある。
【0014】
本発明の積層体を構成するゴム成分としてニトリル系ゴムを用いる場合の加硫剤としては、通常ニトリル系ゴムに使用されている硫黄系加硫剤、有機過酸化物系加硫剤などが用いられる。その配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。加硫剤が0.1重量部未満であると、架橋効果が不十分であり、一方、10重量部を越えると、加硫ゴム成形体が剛直になりすぎ実用的なゴム物性が得られない。
【0015】
本発明の積層体を構成するゴム成分としてエピハロヒドリン系ゴムを適用する場合、同ゴムには受酸剤が添加される。受酸剤としては、通常エピハロヒドリン系ゴムに使用されている金属酸化物、金属水酸化物、無機マイクロポーラスクリスタルなどが用いられる。その配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して、0.5〜15重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。受酸剤が0.5重量部未満であると、架橋効果が不十分であり、一方、15重量部を越えると、加硫ゴム成形体の伸びが不十分となる。
【0016】
エピハロヒドリン系ゴムの加硫剤も、通常同ゴムに使用されている加硫剤が適用可能であるが、本発明の積層体を自動車用燃料ホースに用いる場合の耐熱性や、未加硫ゴム組成物の貯蔵安定性などの観点からは、チオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、ポリオール系加硫剤などが好ましく、特に好ましくはキノキサリン系加硫剤である。加硫剤の添加量はゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。加硫剤が0.1重量部未満であると、架橋効果が不十分であり、一方、10重量部を越えると、加硫ゴム成形体が剛直になりすぎ実用的なゴム物性が得られない。
【0017】
前記熱可塑性含フッ素重合体と前記ニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムの積層体の作成は直接加硫接着により行われる。すなわち、含フッ素重合体と未加硫ゴム組成物を貼り合わせた後、加熱下でゴム成分を加硫せしめることにより得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱可塑性含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムが強固に接着した積層体が得られる。同積層体はガソリン等の燃料油に使用されるホースや、酸、アルカリ、有機溶剤等に使用されるケミカルホースなどに広く応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明に用いられる主鎖末端および/または側鎖末端に反応性官能基を有する熱可塑性の含フッ素重合体の反応性官能基としては、耐熱性、機械特性の点からカルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、カルボニルジオキシ基、ハロホルミル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基が好ましく、特にカルボニルジオキシ基、ハロホルミル基が好ましい。
【0021】
フッ素樹脂への好ましい官能基の導入量は、主鎖炭素数1×10個当たり10〜1000個である。官能基の導入量が少なすぎると接着効果が低く、多すぎると成形加工中に反応性官能基の化学変化によって発生するガスが樹脂の物性へ悪影響を及ぼす可能性がある。
【0022】
また、その成形加工性の観点からは、含フッ素重合体の融点が120℃〜270℃の範囲内にあることが好ましい。この様な融点範囲の含フッ素重合体はテトラフルオロエチレンに、これと共重合可能な単量体単位を共重合せしめた共重合体であり、好ましい単量体単位としてはヘキサフルオロプロピレン、エチレン、プロピレン、ビニリデンフロライドなどを例示することができる。但し、ビニリデンフロライド単位を多く導入すると、ゴムとの接着性は向上するものの、耐ガソリン透過性が低下するため、特に好ましくはテトラフルオロエチレン−エチレン−ヘキサフルオロプロピレンを主成分とする共重合体である。
好ましいフッ素樹脂の共重合組成は、例えば、テトラフルオロエチレン 20〜90モル%、エチレン 10〜80モル%、ヘキサフルオロプロピレン 0〜15モル%である。
【0023】
前記含フッ素重合体の主鎖末端および/または側鎖末端に前記反応性官能基を導入する方法としては、含フッ素重合体の重合時に前記官能基を有する単量体を導入する方法、含フッ素重合体の重合時に前記官能基に変換可能な反応性部位を有する単量体を共重合し重合後に変換する方法、前記官能基または前記官能基に変換可能な反応性部位を有する重合触媒を用いる方法などが挙げられる。このような含フッ素重合体の製造方法としては、例えば特開2005−239902号公報に記載の方法などが適用される。
【0024】
本発明におけるゴム層を構成するゴム成分としては、ニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系ゴムが適用される。
【0025】
前記ニトリル系ゴムとしては、特に制限されないが、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、同共重合体にさらに少量の共重合成分を共重合せしめたカルボキシル変性ニトリルゴムなどの変性ニトリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体中の不飽和結合の一部または全部を水素添加した水添ニトリルゴム等を挙げることができる。本発明においては低温柔軟性と耐油性の観点から、ニトリル含有量が10〜50%の範囲内にあるニトリル系ゴムが好ましく用いられる。
【0026】
前記エピハロヒドリン系ゴムとしては、特に制限されないが、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等が挙げられる。特に好ましくは、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が挙げられる。これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明においては耐熱性と耐油性の観点から、塩素含有量が20%以上のエピクロルヒドリン系ゴムが好ましく用いられる。
【0027】
ゴム成分の成形加工性の観点からは、前記ニトリル系ゴムまたは前記エピハロヒドリン系ゴムの分子量範囲は、100℃におけるムーニー粘度表示で30〜200のものが好ましい。
【0028】
本発明においてこれらゴム成分に配合される前記接着付与剤としては、アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも1種が適用される。
【0029】
アミン系接着付与剤の例としては、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−5、またはこれらの弱酸塩を挙げることができる。好ましくはこれらの弱酸塩であり、弱酸塩とする場合の有機酸としては、フェノール、オクチル酸、p−トルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェノールノボラック樹脂、ヒドロキシナフトエ酸などを例示することができる。
【0030】
4級アンモニウム塩系接着付与剤とは、下記一般式(I)で表される4級アンモニウム塩化合物であり、例としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。
【0031】
一般式(I)
【化1】

(但し、Rはそれぞれ同一でも異なっていても良いアルキル基、アルケニル基を示し、Xは1価のアニオンを示す)
【0032】
4級ホスホニウム塩系接着付与剤とは、下記一般式(II)で表される4級ホスホニウム塩化合物であり、例としては、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートなどを挙げることができる。
【0033】
一般式(II)
【化2】

(但し、Rはそれぞれ同一でも異なっていても良いアルキル基、アルケニル基を示し、Xは1価のアニオンを示す)
【0034】
上記接着付与剤は用いられるゴムの種類や加硫剤の種類に応じ適宜選択され、その配合割合はゴム成分100重量部に対し0.1〜5重量部。好ましくは0.3〜3重量部の範囲内にある。
【0035】
本発明の積層体は、ゴム成分にエポキシ化合物を含ませておくと更に接着強度を向上せしめることができる。エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、o−クレゾールノボラック型エポキシ、アミン型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、エポキシ化大豆油等を挙げることができる。これらエポキシ化合物の配合割合はゴム成分100重量部に対し0.1〜5重量部。好ましくは0.3〜3重量部の範囲内にある。
【0036】
本発明の積層体ゴム成分にニトリル系ゴムを適用する場合、加硫剤としては通常ニトリル系ゴムの加硫に用いられている公知の加硫剤を選択することができる。具体的な加硫剤の例としては、硫黄、モルホリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等の硫黄系加硫剤、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物系加硫剤、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の樹脂系加硫剤、p−キノンジオキシム、p−p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム系加硫剤等を挙げることができる。これら加硫剤の配合割合はニトリル系ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0037】
また、これら加硫剤とともに、通常ニトリル系ゴムの加硫に用いられている公知の加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫促進助剤、架橋助剤等を要求される性能に応じて添加することは任意である。公知のこれら添加剤の例としてはアルデヒドアンモニア系促進剤、アルデヒドアミン系促進剤、チオウレア系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤、キサントゲンサン塩系促進剤等の各種加硫促進剤、N−ニトロソジフェニルアミン、無水フタル酸、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等の加硫遅延剤、亜鉛華、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫促進助剤、キノンジオキシム系架橋助剤、メタクリレート系架橋助剤、アリル系架橋助剤、マレイミド系架橋助剤等の各種架橋助剤等を挙げることができる。
【0038】
本発明の積層体ゴム成分にエピハロヒドリン系ゴムを適用する場合は受酸剤の添加が必須である。受酸剤の例としては、周期表第(II)族金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等、及び下記一般式(III)で示される合成ハイドロタルサイト類、及び一般式(IV)で示されるLi−Al系包接化合物が挙げられる。

MgZnAl
(OH)2(x+y)+3z-2CO・wHO (III)

(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す)

〔AlLi(OH)X・mHO (IV)

(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数)
【0039】
前記受酸剤の具体的な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫をあげることができる。
【0040】
さらに、前記一般式(III)で示される合成ハイドロタルサイト類については、例えば、MgZnAl2 (OH)12CO・wHO等を挙げることができる。また、一般式(III)に含まれる下記一般式(V)であってもよい。

MgAl(OH)2x+3y-2CO・wHO (V)

(但しxは1〜10、yは1〜10、wは正の実数を表す)
更に具体的に例示すれば、Mg4.5Al(OH)13CO.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)10CO1.7HO等を挙げることができる。
【0041】
さらに、前記一般式(II)で示されるLi−Al系包接化合物については、〔Al
Li(OH)CO・HO等が挙げられる。
【0042】
また、前記Li−Al系包接化合物のアニオン種としては、炭酸、硫酸、過塩素酸、リン酸のオキシ酸、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン酸等が挙げられる。また、これらの受酸剤は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
前記受酸剤のうちエピハロヒドリン系ゴムの耐熱性の観点から、好ましく用いられる受酸剤は金属酸化物、金属水酸化物、無機マイクロポーラスクリスタルであり、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.5〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
【0044】
本発明において積層体ゴム成分にエピハロヒドリン系ゴムを適用する場合に用いられる前記加硫剤としては、塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、ポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、ピラジン類、メルカプトキノキサリン類等を挙げることができる。また、エピハロヒドリン系ゴムとしてエピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体などの二重結合を有する重合体を本発明に適応する場合は、ニトリル系ゴムと同様の加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫促進助剤、架橋助剤を用いることができる。これらの加硫剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
前記塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤を例示すれば、ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p−フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等があげられる。
【0046】
前記チオウレア類としては、エチレンチオウレア、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等があげられる。
【0047】
前記チアジアゾール類としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート等があげられる。
【0048】
前記メルカプトトリアジン類としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−メトキシ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキサンアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン等があげられる。
【0049】
前記ピラジン類としては、2,3−ジメルカプトピラジン誘導体等があげられ、2,3−ジメルカプトピラジン誘導体を例示すると、ピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5−メチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5−エチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5,6−ジメチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5,6−ジメチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート等があげられる。
【0050】
前記メルカプトキノキサリン類としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体等があげられ、2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体を例示すると、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−エチル−2,3−ジメルカプトキノキサリン、6−イソプロピルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート等があげられる。
【0051】
これら加硫剤のうち、エピハロヒドリン系ゴム成分の耐熱性や熱可塑性含フッ素重合体との接着性の観点から好ましく用いられる加硫剤はチオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、ポリオール系加硫剤であり、特に好ましくはキノキサリン系加硫剤である。
【0052】
本発明に用いられる前記エピハロヒドリン系ゴム加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0053】
また、前記加硫剤と共に公知の加硫促進剤、遅延剤を本発明においてそのまま用いることができる。塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤に併用される加硫促進剤としては、塩基性シリカ、1級、2級、3級アミン、該アミンの有機酸塩もしくはその付加物、グアニジン系促進剤、チウラム系促進剤、ジチオカルバミン酸系促進剤等を挙げることができる。また、遅延剤としてはN−シクロヘキサンチオフタルイミド、酸性シリカ、ジチオカルバミン酸類の亜鉛塩等を挙げることができる。
【0054】
上記加硫促進剤を例示すれば、1級、2級、3級アミンとしては、特に炭素数5〜20の脂肪族又は環式脂肪酸の第1、第2もしくは第3アミンが好ましく、このようなアミンの代表例は、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキサメチレンジアミン等である。
【0055】
上記アミンと塩を形成する有機酸としては、カルボン酸、カルバミン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオリン酸等が例示される。また上記アミンと付加物を形成する物質としては、アルコール類、オキシム類等が例示される。アミンの有機酸塩もしくは付加物の具体例としては、n−ブチルアミン・酢酸塩、ヘキサメチレンジアミン・カルバミン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩等が挙げられる。
【0056】
上記グアニジン系促進剤の例としては、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等が挙げられる。
【0057】
上記チウラム系加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
【0058】
上記ジチオカルバミン酸系促進剤の例としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩等が挙げられる。
【0059】
前記塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤に併用される加硫促進剤又は遅延剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0060】
本発明に用いられるゴム成分の配合方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を利用することができる。
【0061】
また、本発明に用いられるゴム成分に当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば滑剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、顔料、発泡剤等を任意に配合することができる。
【0062】
更に、本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている樹脂等とのブレンドを行うことも可能である。本発明に用いられる樹脂を例示すれば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、スチレン/アクリロニトリル(AS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂等が挙げられる。
【0063】
本発明の積層体は、本発明における熱可塑性含フッ素重合体とニトリル系ゴムまたはエピハロヒドリン系の未加硫ゴム組成物を重ね合わせ、通常100〜250℃で加硫接着して得ることができる。加硫時間は温度によって異なるが、一般的には、0.5〜300分の間で行われる。成形方法としては、圧縮成型、射出成型、多層押出成形などを適用することができ、また、加熱方法としてはスチーム缶、エアーバス、赤外線、あるいはマイクロウェーブによる加熱等の任意の方法を用いることができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0065】
表1の割合で各種のゴム組成物を調製した。使用したゴム、配合剤は以下の通りである。
【0066】
含フッ素重合体1:テトラフルオロエチレン40.8モル%、エチレン44.8モル%、ヘキサフルオロプロピレン13.9モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1ペンテン)0.5モル%の共重合体にカルボニルジオキシ基を主鎖炭素1×10個あたり300個含有。
含フッ素重合体2:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ダイキン工業社製 ネオフロンETFE EP−610
NBR:ニトリル系ゴム、JSR社製 N−230S
ECO:エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム、ダイソー社製 エピクロマーC
エステル系可塑剤:旭電化工業社製 アデカサイザーRS−107
滑剤:花王社製 スプレンダーR−300
老化防止剤OD:アルキル化ジフェニルアミン
老化防止剤NBC:ニッケルジブチルジチオカーバメート
合成ハイドロタルサイト:協和化学社製 DHT−4A
接着付与剤1:1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7の弱酸塩 ダイソー社製 P−152
接着付与剤2:4級アンモニウム塩系 トリエチルベンジルアンモニウムクロライド
接着付与剤3:4級ホスホニウム塩系 ダイネオン社製 ダイナマーFX−5166
エポキシ化合物:ジャパンエポキシレジン社製 エピコート828
遅延剤:N−シクロヘキシルチオフタルイミド
促進剤CZ:シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド
促進剤TT:テトラメチルチウラムジスルフィド
キノキサリン系加硫剤:6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート
チオウレア系加硫剤:エチレンチオウレア
ポリオール系加硫剤:ダイネオン社製 ダイナマーFC−5157
【0067】
[含フッ素重合体1の製造]
オートクレーブに蒸留水380Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン75kg、HFP
155kg及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)〔HF−Pe〕0.5kgを仕込み、系内を35℃、撹拌速度200rpmに保った。その後、TFEを0.7MPaまで圧入し、更に引き続きEtを1.0MPaまで圧入した後、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート2.4kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE:Et:HFP=40.5:44.5:15.0モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.0MPaに保った。そして、HF−Peを合計量1.5kgとなるように連続して仕込み、20時間、撹拌を継続した。その後、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗し、乾燥して含フッ素エチレン性重合体1の粉末205kgを得た。
【0068】
[実施例1]
120℃に設定した容量1リットルのニーダー中でニトリル系ゴム100重量部を1分間素練りした後、表1に示したA練り配合剤を表1に示した配合量で投入した。これらを4分間混練した後、ニーダーより取り出し、70℃に設定した7インチロールでシート化してゴムシート(以下、「A練りシート」とする。)を作製した。
【0069】
次いで、70℃に温度設定した7インチロールを用い、前記A練りシートに、表1に示した配合割合のB練り配合剤を加え、約5分間混練することにより、ゴムシート(以下、「B練りシート」とする。)を作製した。
【0070】
得られたB練りシートと表1に記載の熱可塑性の含フッ素重合体のシート(0.2mm厚)を重ね合わせ、170℃に設定したプレス機にて加熱、加圧下にて15分間加硫接着を行い、加硫ゴム成分厚み約2mm、含フッ素重合体成分厚み約0.2mmの積層体を得、同積層体を1cm幅に切断することにより接着強度測定用試験片を得た。
【0071】
なお、[実施例2〜12]及び[比較例1〜4]については、上記[実施例1]と同様の方法で、表1、表3及び表5の配合に従いゴムシートを作製した。
表1、表3及び表5において、○印は積層体に使用した含フッ素重合体を示す。
【0072】
[接着強度試験]
JIS K 6330−6に準拠して測定した。但し試験片は1cm幅の短冊状試験片を用いた。剥離速度は50mm/minで行った。試験結果を表2、表4及び表6に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
比較例1および比較例3では含フッ素重合体に反応性官能基を有していないため、ニトリル系ゴム、エピハロヒドリン系ゴムともに接着できないことが確認できた。
【0080】
比較例2および比較例4では、本発明の必須成分である接着付与剤を含まないため、ニトリル系ゴム、エピハロヒドリン系ゴムともに接着できないことが確認できた。
【0081】
実施例4および実施例8では、エポキシ化合物の添加により接着強度を更に改善し得ることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の積層体は、燃料不透過性に優れた含フッ素重合体と、ニトリル系ゴム又はエピハrpヒドリン系ゴムが加硫接着されてなるもので、積層ホース、例えば自動車用燃料ホースの用途や、酸、アルカリ、有機溶剤等に使用されるケミカルホース等の用途に広く応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性含フッ素重合体と未加硫ゴム組成物が加硫接着されてなる積層体であって、上記熱可塑性含フッ素重合体が下記(A)からなり、かつ、上記未加硫ゴム組成物が下記(B1)または下記(B2)からなることを特徴とする積層体。
(A)主鎖末端および/または側鎖末端に反応性官能基を有する熱可塑性含フッ素重合体。
(B1)アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤および加硫剤を含有するニトリル系ゴム組成物。
(B2)アミン系接着付与剤、4級アンモニウム塩系接着付与剤、4級ホスホニウム塩系接着付与剤から選ばれる少なくとも一種の接着付与剤、受酸剤および加硫剤を含有するエピハロヒドリン系ゴム組成物。
【請求項2】
熱可塑性含フッ素重合体(A)の反応性官能基がカルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、カルボニルジオキシ基、ハロホルミル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基から選ばれる少なくとも一種の官能基である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
含フッ素重合体(A)が、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位を含む共重合体である請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
アミン系接着付与剤が、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7の弱酸塩または1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−5の弱酸塩である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
ニトリル系ゴム組成物(B1)またはエピハロヒドリン系ゴム組成物(B2)が更にエポキシ化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
エピハロヒドリン系ゴム(B2)の受酸剤が、金属酸化物、金属水酸化物、一般式(III)で示される合成ハイドロタルサイト類、一般式(IV)で示されるLi−Al系包接化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
MgZnAl
(OH)2(x+y)+3z-2CO・wHO (III)

(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す)

〔AlLi(OH)X・mHO (IV)

(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数)

【請求項7】
エピハロヒドリン系ゴム(B2)の加硫剤が、チオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、ポリオール系加硫剤よりなる群から選ばれる1種である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
エピハロヒドリン系ゴム(B2)の加硫剤が、キノキサリン系加硫剤ある請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いた自動車用ホース。


【公開番号】特開2009−56632(P2009−56632A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224255(P2007−224255)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】